パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

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ノーチラスシリーズのステンレスモデル人気が相変わらず続いている。3針ステンレスRef.5711のブラックブルーを筆頭にホワイトダイアルもプチコンRef.5712/1Aも需給バランスが全く合わない。今回紹介の年次カレンダーモデルRef.5726Aもブレスレットタイプ共々、少しだけ店頭に並んでは嫁いでゆく人気モデルである。
機械的にはカラトラバケースに身を包むクンロクファミリーRef.5396と全く同じ3針自動巻きCal.324に年次モジュール組み込んだキャリバーが搭載されている。ダイアルレイアウトも同じなのだがラグジュアリースポーツの元祖ともいうべきノーチラスケースに積まれて横ボーダーのノーチラスダイアル仕様になると全く違う時計に見えてしまう。
流石にケース厚は3針の8.3mmに対して11.3mmと厚くなるのだが昨今流行りの大型ラグスポに較べればフィット感を損なう厚みではない。斜めから見ればベゼルの厚みが結構あって機械部分はたったの5.78mmしかないのでボリューム感を出す為のデザイン的な宿命と言える。
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天才時計デザイナーのチャールズ・ジェラルド・ジェンタが3針のノーチラスをデザインし発表したのが1976年、その後パワーリザーブ機能付きになったりサイズが色々と変更されたりバリエーションは多々あったが基本的には3針モデルであり続けた。初めての複雑機能が付加されたのが2005年のRef.3712。マイクロローター搭載の極薄自動巻Cal.240にパワーリザーブ・ムーンフェイズ・カレンダー・スモールセコンドを組み込んだ通称プチコンのステンレスブレスモデル。以前にも書いたが、このモデルたった一年しか生産されなかった希少モデルになってしまった。
2006年に発売30周年を迎えたノーチラスは記念的なフルモデルチェンジを受け一気にファミリーも増えた。その際にプチコンも新たにRef.5712に変更され、クロノグラフも始めてラインナップされる事となった。そして4年後の2010年に今回紹介の年次カレンダー5726のストラップモデルが発表された。ついでに言うとさらに4年後の2014年にはRef.5990トラベルタイム付きクロノグラフがリリースされている。
特に人気のあるステンレスノーチラス(メンズ)に限って言えば、現在のラインナップは3針ブレスが2色、年次カレンダーがストラップで1色ブレスで2色、プチコン1モデル、トラベルタイムクロノ1モデルの7モデル。価格は税抜271万円(3針)~582万円(トラベルクロノ)となっている。ストラップ仕様の5726Aは431万円でちょうど真ん中あたりに位置する。
ちなみにジェラルド・ジェンタはラグスポ系の人気モデルを本当に沢山デザインしているがノーチラスが大のお気に入りだったそうで、亡くなる2年前の2009年に初のレディスノーチラスにもデザイン協力で関わっていたそうである。
年次カレンダーについては過去何度も書いているが、初出は1996年でそれまでの永久カレンダームーブをベースに簡素化するのではなく完全なる新規設計がなされた。当時は徐々にクオーツショックからスイス機械式時計産業が立ち直り始めた頃で超の付く複雑時計(永久カレンダー等)はごく一部のコレクター向けとなっていた。そこでパテックは製造の手間やコストがかかり調整も大変なレバー主体ではなく、実用性が高く信頼性や耐久性も高い歯車を主体に機構を考案し特許を得た。それにしても結構なお値段ではありますが・・
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元々1976年に薄さと当時としては画期的な120mの防水性(=堅牢性)を両立するために考案された特殊な2ピース構造の為に考え出されたケース両サイドの"耳"。当時リーダーシップを受け継ぎつつあったフィリップ・スターン氏(現会長)も厚みとその形状には確信を持てなかったとの記述がある。個人的にも20数年前の初見時のノーチは正直好みとは言えなかった。
美人は3日見れば・・・と同じで超ロングセラーモデルは案外とっつきが大した事が無いのかもしれない。逆に短期的なベストセラーは誰もが一目惚れだったりして。
発売当時は上下の2ピースを微妙な調整しながらセット(すり合わせ)していたのでピース毎の互換性が無かった。40年間の様々な技術革新によって現行モデルでは互換可能な3ピース構造となり裏スケルトン仕様にすらなっている。
尚、ステンレスモデルノーチでストラップ仕様は現在このモデルのみであり、ラバー調のスペアストラップが付属されている。
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Ref.5726A-001
ケース径:40.5mm(10時ー4時方向) ケース厚:11.3mm ラグ×美錠幅:25×18mm 
防水:12気圧
ケースバリエーション:SSのみ 
文字盤:ブラックグラデーテッド 夜光付ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)ブラックアリゲーター 他にブラックラバー付属
価格:税別 4,310,000円(税込 4,654,800円)2017年8月現在

Caliber 324 S QA LU 24H/303

直径:33.3mm 厚み:5.78mm 部品点数:347個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

在庫状況についてはお問い合わせください。








Georgia on my mind(我が心のジョージア)が下手なカラオケの十八番。絶唱タイプの英語の歌なので聞かされる方はかなり心地悪いだろうなと思いつつ酔いが進むと、ついリクエストしてしてしまう。気分は完全にレイ・チャールズ・・
このジョージア州の州歌にもなっているこの名曲を、個人的にはずっとレイ・チャールズのオリジナルナンバーだと思っていた。だがウイキペディアによれば彼の生まれた1930年に作詞作曲され多くのミュージシャンにカバーされたジャズのスタンダードナンバーとある。レイ・チャールズ自身のカバーは1960年でミリオンセラーの人気を博し、1979年に州歌となり1996年の州都アトランタでのオリンピック開会式では彼が歌唱している。

最新のパテックフィリップマガジンⅣ04号巻末の連載「時計のある人生」には6~7歳の頃に緑内障で全盲になったレイ・チャールズが名声の頂点にいた1963年に時計愛好家のプロデューサーからユニークな時計をプレゼントされた逸話が取り上げられている。パテック フィリップが初めて特別製作したプラチナ製点字腕時計Ref.3482は強力なぜんまいを備える懐中時計用のムーブメントが積まれた。点字時計は時分針を指で触れるために強力なトルクパワーが必要とあり、指での判読を容易にすべくダイアルは当時としては大きな37mm直径であった。掲載イラストでは詳細は不明ながら指先で触るダイヤモンドインデックスが採用され、むき出しの文字盤を守るヒンジ付きのカバーにもダイヤモンドがセッティングされていたラグジュアリーウオッチだったようである。オリジナルのレザーストラップ仕様は彼の常時着用で後にプラチナのメタルブレスに交換されたとある。
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記事を書いているジョン・リアドン氏はレイ・チャールズの息子であるレイ・ジュニア氏に取材の機会を得て、この時計に関する様々なエピソードを文中で紹介している。一文を引用すると
「父親にとって時刻は重要でした。盲目なので、昼夜が分からなかったからです。少なくとも一時間に1回は、軽く時計を叩いてカバーを開き、文字盤の上を優しくなぞり、時計を耳に当てて、リズミカルな音を聞いて微笑みました。その音だけで父は幸せだったのです。(原文のまま)」
調べてみると今は流行りのスマートウオッチタイプの点字腕時計も作られているし、安価なクオーツの物もたくさん作られている。しかしクオーツ以前の1960年代前半にこんな贅沢でしかも実用性もある盲人用時計を常用出来た人は世界中にどれだけいたのだろう。またそのリクエストに答えたパテック社も凄いと思わざるを得ない。勝手な憶測だが恐らくパテックにとってアメリカが特別に重要なマーケットであったかの証ではないかとも思われる。
その関りはブランド創業間もない1854年のアントワーヌ・ノルベール・ド・パテック自らの初訪米にはじまる。1895年にはアメリカに代理店を設立。1900年前半にはよく知られたヘンリー・グレーブス・ジュニア氏とジェームス・ウォード・パッカード氏の超複雑系時計コレクション競争。1940年から1960年代初めにかけては生産本数の約半分がアメリカ人に販売されていた事実(PPマガジンⅣ03)。そしてパテック社による世界初のアンティーク時計展示会を1969年テキサス州ダラスで開催している。新しいところでは今夏ニューヨークで「ウオッチアート・グランド・エキジビション」の一大イベントを開催・・・
あらら、話がずいぶん脱線しましたが、今回はファンのレイ・チャールズがパテックの特殊時計を愛用していたとは、目からうろこの乾でした。

文責:乾

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昨年の2016年にパテックは永久カレンダーの代表的モデルを大胆にチェンジした。37.2mm径のRef.5140(上画像)の18金モデル(プラチナ除く)を全て生産終了し、その後継機として1.8mmサイズアップさせたRef.5327(下画像)を発表。スッキリでシンプルな印象の前作に対して、時分針は武骨目なドーフィンから少し色気を感じるリーフハンドになり、アワーインデックスはバーからブレゲアラビックに変更され、ミニットインデックスも少し大振りになって受けるイメージはかなり変わった。特にホワイトゴールドバージョンは前作のあっさりしたシルバーから昨今流行りの青文字盤と同色の青ストラップの採用で完全に別物の新しい時計になっている。
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ケースサイドは現代パテックの最先端デザインが採用されている。すなわちラグにかけての横っ面の大きなえぐり込みとベゼルの逆ぞりである。このデザイン特徴がこの時計の方向性を示しており、パテックを代表する顔でもある永久カレンダーにも現代流の新しい解釈がなされたように思う。サイズの微妙なアップについてはトレンド的に少し遅い気がする方もいらっしゃるかもしれないが、元の37.2mmが充分に小さいので39mmに大き過ぎ感は全くない。厚みもバランスを取るためか約1mm弱厚くなった。
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搭載エンジンは極薄自動巻きマイクロローターのCal.240に永久モジュールを組み込んだ前作Ref.5410と全く同じである。今年40周年を迎えたこの偉大なムーブメントは、ワールドタイムや超絶クラスのセレスティアルにまで本当に幅広く長きに渡って使われている。例年バーゼルのパテックブースで展示される希少なハンドクラフトとして展示されているクロワゾネなどの装飾文字盤モデル(2針カラトラバクンロクタイプ)もほぼ全てこの極薄キャリバーが積まれている。恐らく様々な装飾による文字盤の厚みがクリア出来て秒針も不要なので最適なエンジンなのだろう。

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Ref.5140Gー001 自動巻永久カレンダー
ケース径:39.0mm ケース厚:9.71mm ラグ×美錠幅:19×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGRGYG 
文字盤: ロイヤルブルー サンバースト ゴールド植字ブレゲ数字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 9,520,000円(税込 10,281,600円)2017年8月現在

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Caliber 240 Q 

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:275個 石数:27個 受けの枚数:8枚
パワーリザーブ:最低38-最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

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文責:乾

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昨年のバーゼルはこのモデルの話題で随分盛り上がった。音系とカレンダーを除いた2大コンプルケーションともいえるワールドタイムとクロノグラフとの夢の組み合わせ。今まで無かったのが不思議だなと発表時には思ったものだが、実は毎日のようにその原型となった時計を見ていたのだった。本ブログのテキスト的存在の「PATEK PHILIPPE GENEVE」HUBER & BANBERY著のブックカバー掲載のRef.1415HUがそれ。手巻きクロノグラフに初期型のワールドタイムを組み合わせたスペシャルオーダーのユニークピース(製造No862 442)。一番外側のシティディスクは手動で、インナーの24時間リングはリューズの時刻調整と連動して操作する形。現代では別々のLONDRES(LONDON)とパリが同じタイムゾーン。東京はTOKIOとされ隔世の感がある。
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ところでこの時計の解説文には30分計クロノグラフとの記載があるが、どう見てもそれらしき機能は見られない。ただこの時計にはパルスメーター(脈拍計)が2系統も用意されている。外側の220-20目盛が15回の脈を数えて1分間の脈泊数を知るレールで24時間計の内側60-10目盛のレールは5回の脈で1分脈拍を読むチョッとずぼらな脈拍計。他ブランド等の手巻きクロノグラフでパルスメーター付を見てみると30回脈で測定するタイプが多い。想像するにこの時計はタイムゾーン移動の多い医療関係者が積算目的ではなく脈拍測定を主な用途としてクロノグラフ機能を特注で附加したのかもしれない。
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翻って現代版にはやや小ぶりな30分積算計が付きパルスメーターは無い。タイムゾーン移動はリューズではなく10時位置のプッシュボタン一つで短針とシティディスク&24時間ディスクを連動して1時間単位で同時に変更できる。これは1959年にジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏が開発・特許化した技術。実に60年近くにわたって使われ続ける実用的な仕組み・・誠に機械式時計の世界は息が長いと言うか何というのか・・
ダイアルセンターは定番ワールドタイムに倣ってギョーシェ装飾が施されている。紋様はシンプルかつ力強くモダンテイスト。ちなみにクロノグラフはパテック最先端の垂直クラッチ搭載のフライバック付き。キャリバーで言えば自動巻CH28-520系なのだが、初見では一瞬手巻きではないかと思ってしまった。それは各プッシュボタンの形状がスクエアかつ上下面がサテン仕上げになっているためだ。この組み合わせは現行ラインナップでは初めてのハズ。まあ30分計が6時位置なのでキャリバーは限られるのだけれど・・
ラグの形状もワールドタイム繋がりでか段差付きのウイングレットラグ。
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尚、クロノ秒針がこの時計では通常秒針として使用可能である。これはパテック開発の優れた垂直クラッチの賜物である。また24時間ディスクとシティディスクの間にある秒スケールは28800振動(4Hz)に合わせて4分の1秒で刻まれている。どうもこの時計ケース形状はクラシカルながら顔は結構モダンである。
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フルローター自動巻きに垂直クラッチという厚みが出る組合せにワールドタイムモジュールを組み込んでいる。それでもムーブ厚さを7.79mmに抑えている。構成部品数343個もあるというのに流石です。実はスペースの都合で30分計の位置がオリジナルから微妙に変更されているらしい。ケース厚さ12.86mmもスクリューバックケースに両面スケルトンなら妥当な厚みか。

Ref.5930G-001 ワールドタイム自動巻フライバッククロノグラフ
ケース径:39.5mm ケース厚:12.86mm ラグ×美錠幅:21×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG
文字盤:ブルーオパーリン ハンドギョーシェ 蓄光塗料付きゴールド植字バーインデックス
ストラップ:マット(艶無し)ネイビーブルーアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 8,040,000円(税込 8,683,200円)2017年8月現在

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チョッと飛び気味になってしまった後ろ姿。

Caliber CH 28-520 HU:ワールドタイム機構付コラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.97mm 部品点数:343個 石数:38個 
パワーリザーブ:最低50時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾
参考:Patek Philippe Internaional Magazine Vol Ⅳ No.2
Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.270




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いまやカラトラバの定番の顔として定着している6000番系。元々はRef.5000として1991年にスタートしたカラトラバファミリーの一員。
搭載キャリバーCal.240の構造上の要因でセンター秒針や6時側スモールセコンドではなく4時位置辺りに小秒針がオフセットしてレイアウトされたパテックのコレクションとしては数少ないアシンメトリー(左右非対称)なモデル。さらにそれまでのパテックには見られなかったスポーティなアラビアインデックスと言う事もあってデビュー当時は賛否両論があったように記憶している。
個人的には若干の違和感を感じていたのだが、最近のRef.5000の再販相場を見ていると結構なお値段になっている。どうも思っていた以上に流通量も少なく人気のカラトラバコレクションになっている。
寿命も非常に長くて初代のRef.5000は発売14年後の2005年に2代目Ref.6000に引き継がれた。新たにポインターデイトというこれまたパテックでは超レアなカレンダー機構を備えてより一層華やかな体育会系の顔になった。
そして12年を経て今年、搭載キャリバー240の40周年を記念して顔はほぼ同じで2mmサイズアップされてRef.6006が発表された。6000はグレーや青や茶と言うカラフルな文字盤が続いたが今回はWGケースに黒文字盤の採用で渋く仕上がっている。ポインターデイト針先の赤色も黒を背景によく効いている。

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ベゼル部は少しだけ盛り上がっているが、ケースサイドは武骨な印象でクンロク系のカラトラバ血流を感じさせる。ただ2mm大きくなった分、緩やかにカーブを描きながら下がってゆくラグ形状で腕なじみを良くしているようだ。
手巻きで薄いRef.5196などはほぼ横一直線(下画像)でラグ先端部分でチョコっと下げられているのと対照的だ。
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裏蓋はスクリューバックの捻じ込み式でサファイアクリスタルバックとなっている。フルローターと違って、沈胴式のマイクロローターはテンプのパフォーマンスを常に楽しませてくれる。
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ダイアルカラーがシックな無彩色のブラックになり色目を気にすることなくスーツはもちろん、スポーティーなインデックスデザインはカジュアルにも幅広くマッチする。使い回しが効くとても実用的なデイリーパテックが登場した。

Ref.6006G-001
ケース径:39.0mm ケース厚:8.86mm ラグ×美錠幅:22×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤:エボニーブラック サンバースト&しルバリィグレイ ホワイト&ブラックの転写
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター
価格:税別 3,340,000円(税込 3,607,200円)2017年8月現在

Caliber 240 PS C

直径:30mm 厚み:3.43mm 部品点数:191個 石数:27個
パワーリザーブ:最低38時間ー最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

2017年10月13日現在 ご予約可能、お問合せ下さい。

パテック フィリップの公式ホームページがリニューアルされた。ジャパンからの説明によれば1997年にスタートした公式ページは5回の更新がなされ今回がバージョン6。よりスマートフォン寄りで、製品をより魅力的に見せながらお気に入りモデルが検索しやすくなっている。でも残念なのは歴史が詳細な年表スタイルから非常に完結で解りやすい2本の動画(しかも英語字幕)になったことでブログ作成の参考にはしづらくなってしまった。こんな事なら全部ダウンロードしておくべきだった。幸いなことに個々の商品ページのアドレスは変更が無く過去記事のリンク切れにならなくて済んだ。でも技術解説などで一部リンクが当て外れにはなっているようだが全部は未チェック。確かに見やすくなり誰にでも取りつきやすくなった半面、突っ込んだコンテンツが少し整理されてカジュアルになった印象だ。
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さて本日のご紹介は本年新作の中でも人気急上昇の永久カレンダーRef.5320G-001。パテックのシンプル系永久カレンダー(クロノグラフ等の追加機能無し)の代表作は極薄自動巻キャリバー240ベースの三つ目タイプ。そしてフルローター自動巻キャリバー324にレトログレードデイトを組み合わせたタイプの二つ。5320Gはこのいづれでもない新規の顔ながらダブルギッシェの年次カレンダーRef.5396にはソックリ。でも年次カレンダーが無かった1960年までの機械式時計黄金時代におけるパテックの永久カレンダーと言えばこの顔に決まっていた(下画像Ref.1526)。だから凄く既視感があるしリリースにも″コンテンポラリー・ビンテージ・スタイル"と表現されている。ただ当時は無かった7時半にある昼夜表示窓や4時半のうるう年表示の便利機能が盛り込まれている。
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そしてこの新製品の特長的なラグは1945年製作のRef.2405(下画像)が参考にされた。
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ポリッシャー泣かせの3次元なラグ形状である。
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立体的なボックス型のサファイアクリスタルは文字盤周辺に全くひずみが見られない。現代ならではの高度な加工がなされたクリスタルを特殊な手法でケースにはめ込む事で完璧な視認性を確保したと聞いた。アラビアインデックスもいにしえのRef.1526同様に立体的かつ正対書体の植字タイプで蓄光塗料を塗り込んで実用性を高めている。暖か味のあるクリーム色文字盤はラッカー仕様ながら記憶にない新色で今年の新作ミニットリピーターRef.50785178のエナメル仕様のクリームと酷似している。インデックスを含めダイアルはビンテージ感を非常に意識したカラーリングとなっている。

さて、このモデルの最大の魅力はその価格設定ではないかと思う。税別902万円(税込9,741,600円)はパテック永久カレンダー中で最もこなれた価格である。現行モデルではRef.5139Gの税別926万円より20万以上お求めやすい。共通のCal.324ベースのレトログラード永久Ref.5496Rが約20万高の税別927万なのだけれどもオーソドックスなクンロクケース。それに対して5320の凝ったラグを持つケースは横から見ても充分に高級感があるし文字盤・サファイアクリスタルも完成度が高い。少々不思議なこの値付け、そりゃ人気モデルになりますよ!
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Ref.5320Gー001 自動巻永久カレンダー
ケース径:40mm ケース厚:11.13mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤: クリーム ラッカー 蓄光塗料塗布ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)チョコレートブラウンアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 9,020,000円(税込 9,741,600円)2017年8月現在

Caliber 324 S Q

直径:32mm 厚み:4.97mm 部品点数:367個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

パテック社の製品リリース
PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾



永久カレンダークロノグラフRef.5270の記事でも触れたがパテック フィリップは100年以上にわたるクロノグラフタイムピースの輝かしい歴史を持っている。その一方で厳密に言えばこの分野ではマニュファクチュール(完全自社設計開発生産)のキャリバーを持たずについ最近(2004年)までエボーシュより専用のエンジン供給を受けてきた。1900年代前半にはジュ―渓谷ル・サンティエのヴィクトラン・ピゲ、1929年以降はバルジュー、1986年からはヌーベル・レマニアがサプライヤーの重責を果たしてきた。
しかし2000年代に入るとスオッチグループ傘下のレマニアからの安定供給に危険信号が燈るようになりクロノグラフキャリバーのマニュファクチュール化プロジェクトが進められた。で、最も難しそうな手巻スプリットセコンドクロノグラフを1920年代のエボーシュキャリバーを手本に開発し2005年にRef.5959を発表した。ただしこのキャリバーCal.CH27-525は昔ながらの工房内で限られた熟練職人の手作業によって全工程を2度組される伝統的な製作手法によるため極端に生産数が少なくかつ非常に高額なエンジンである。翌2006年には同じクロノグラフでも非常に現代的である程度の量産が可能ないわゆる″シリーズ生産"型の自動巻クロノグラフCal.CH28-520が開発された。さらに2009年に古典的な美観を備えた手巻シンプルクロノグラフCal.CH29-535が発表されパテックのクロノグラフ自社化は完結した。
今回紹介のRef.5960はこの2番目に開発発表されたCH28-520を始搭載したデビューモデル。発表年2006年のバーゼルはこの画期的なクロノグラフの話題で持ちきりだった。垂直クラッチを備えた自動巻きクロノというベースキャリバー開発だけでも話題性充分なのにパテックはいきなりパワーリザーブと年次カレンダーのモジュールを追加し、プラチナケースに搭載してきた。このモデルはケース形状やダイアルデザイン共にクラシックと対極の現代パテックのモダンテイストで仕上げられた。逆ぞりのベゼル、12時側に弓状に並ぶカレンダー表示窓、30分と12時間のクロノグラフ積算計の同軸表示。さらにはカラーリングもスポーティなレッドやブルーを差し色にする事でそれまでになかったパテックの新しいイメージが打ち出された。
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当初プラチナ以外の素材ではリリースしないと言われていた5960Pは2014年にベストセラーかつ希少モデルのまま生産が中止され、ドロップリンクブレスレットを備えたステンレスモデルの後継機Ref.5960/1Aにそのモテモテ人気も一緒に引き継がれた。そして今春のバーゼルでそのステンレス白文字盤は生産中止となり今回紹介の後継モデル2型がラインナップされた。
まずステンレス新ダイアルの黒文字盤Ref.5960/1A-010。赤針2本以外の針色、カレンダー窓枠、インデックス、文字盤ベース・・見事にまで反転液晶のごとく白が黒に、黒が白に逆転されている。傾向として従来の白が良いとの評価もあるが、個人的には好みの問題で優劣を感じてはいない。
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上画像では針やインデックス等の鏡面部がブラックアウトしているが、実際の色目は下のようになっている。
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で、さらに5960としては3番目の素材WGが追加された。色目はトレンドのブルー。色使いは上のステンレスの黒が青にこれまた忠実に置き換わっている。ただしメタルブレス仕様ではなくどこかで見た事のある明るめのブラウンカーフストラップに個性的なピンバックル(Clevis prong buckle)が装備されている。明らかに文字盤カラーも含めて2015年発表のカラトラバ パイロット トラベルタイムRef.5524Gの流れを汲んでいる。
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こちらもSS黒文字盤同様にインデックス等がブラックアウトしてるので現物と見た目感はかなり異なり視認性は充分にある。バーゼルでの初見の印象は正直「売れるのか?売れないのか?よくわからない」。この点でも5524パイロットトラベルと同類なのだった。価格差は税別717万円と約200万円パイロットより高額である。いづれにしても好き嫌いのハッキリ別れそうな個性的な意欲作だと思う。

Ref.5960/1A-010 年次カレンダー自動巻きクロノグラフ
ケース径:40.5mm ケース厚:13.53mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:SS
文字盤:エボニーブラックオパーリン ゴールド植字バーインデックス
ブレスレット:両観音クラスプ付きステンレス5連ブレス 抜き打ちピン調節タイプ 
尚、参考の商品リリースはコチラから
価格:税別 5,560,000円(税込 6,004,800円)2017年8月現在

Ref.5960/01G-001 年次カレンダー自動巻きクロノグラフ
ケース径:40.5mm ケース厚:13.53mm ラグ×美錠幅:21×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG
文字盤:ブルーバーニッシュド ゴールド植字バーインデックス
ストラップ:ヴィンテージ ブラウン カーフレザー クレビスプロングバックル付きブレスレット 
尚、参考の商品リリースはコチラから
価格:税別 7,170,000円(税込 7,743,600円)2017年8月現在

※以下過去記事より転載
冒頭でも触れたキャリバーCal.CH28-520は、それまで頑なに手巻きの水平クラッチに拘っていたパテックのクロノグラフ史を2006年に塗り替えたエポックメイキングなエンジンである。前年発表の完全自社クロノキャリバーCal.CHR27-525は確かに最初の100%自社製造ではあったが、それまでの伝統的製造手法でコツコツと工房で少量生産される手作り的エンジンであり、搭載されるタイムピースも商品というより作品と呼ばれるのがふさわしいユニークピースばかりだ。対してCal.CH28-520は"シリーズ生産"と呼ばれる或る程度の工場量産をにらんだ商業的エンジンであり、パテックフィリップが新しいクロノグラフの歴史を刻み込むために満を持して誕生させた自信作なのだろう。
パテックの自社クロノキャリバー3兄弟の価格は、その搭載機能や構成部品点数に比例せず、どれだけの手仕事が盛り込まれているかで決定される。金銭感覚抜群で働き者の次男CH28-520 C(自動巻、垂直クラッチ、フライバック、部品点数327点)、次がクラシックだけどハイカラな3男坊のCH29-535 PS(手巻き、水平クラッチ、部品点数269点)、そして金に糸目をつけない同楽な長男CHR27-525 PS(手巻き、水平クラッチ、ラトラパンテ、部品点数252点)の順となる。
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上記画像でローターで隠された部分は3枚の受けがあるが、この部分はどの派生キャリバーもほぼ変化が無い。それに対してテンプ左のPPシールの有る受け、さらに左の複雑なレバー類がレイアウトされた空間は派生キャリバー毎にけっこう異なる。必要なミッションに応じて搭載モジュールがダイアル側で単純にチェンジされるだけでなく裏蓋側の基幹ムーブメントへもアレコレと手が入れられている。

Caliber CH 28-520 IRM QA 24H:年次カレンダー機構付きコラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.68mm 部品点数:456個 石数:40個 受け:14枚 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾

今年の新作にはどうも昨年のノーチラス発売40周年記念モデルからインスパイアされたものが多いように思う。先日紹介した手巻クロノグラフRef.5170Pの深い紺色の文字盤とバゲットダイアモンドインデックス。この組み合わせは年次カレンダーRef.5396Rの新色追加モデルにも採用されている。そして発売20周年を迎えたアクアノートの新作Ref.5168GにはWG+サイズアップ+ダークブルーダイアルというやはり40周年記念ノーチのフライバッククロノグラフモデルRef.5976Gの骨組みが与えられた気がする。
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パッと見て、今まで無かったという感じがしない。誤解を恐れず言えば目新しさは無い。それくらい濃紺(青?)の文字盤とトロピカルストラップがしっくりし過ぎている。単独で見れば大きさも全く違和感が無い。人気品薄のステンレス3針Ref.5167Aも手元にある訳がないので同じくサンプルで来ていたローズゴールドRef.5167Rと並べて撮ってみた。
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相当長く地方巡業をしてきたのだろう。ローズゴールドサンプルのトロピカルラバーには良い感じ?の半光沢が出て艶っぽくなっている点はご勘弁ください。一見するとそんなにケースと文字盤のサイズ感の違いを感じないかもしれないが、サテン仕上げされたベゼルのドーナツ部分の幅が両者で同じなのにWGがずいぶん細く感じるのがサイズ違いの証。プレスリリースではこの従来サイズを1.4mm大きくした42.2mmと言うサイズは"ジャンボ"と愛称がついた1976年初出の初代ノーチラスRef.3700へのオマージュとされている。
3月のバーゼルパテックブースで初見時の印象は「なんで今まで無かったの?」と言う既視感だった。それほどサイズアップに違和感が無かったし、色目もあって当然の定番かつトレンドカラー。ただ他ブランドなら18金ではなくステンレスで発表してイージーな売上貢献を狙うのだろうが、流石にゴールドスミスのパテックはどちらで出してもエンジンの配給的に生産数が同じようなものになるのだろう。実際結構なお値段(税込4,536,000円)にもかかわらず注文が殺到して店頭にはしばらく並ばない状態と聞いている。この飢餓感がさらに人気を生むというブランドにとっての"好循環?"・・
実際に腕に乗っけてみると、やはり大きさをしっかり感じる。下の画像の様に大きくなれどノーチ&アクア兄弟の真骨頂であるケースの薄さ(8.25mm)はほぼ保たれているので余計に裏蓋の面積を感じてしまう。自身の腕廻りは平均より太目なので問題無く乗っかったが、正直細めや丸い目の腕廻りの方には座りが悪いかもしれない。まあ最近のデカ厚時計をサイズ関係なしにガンガン着用される方には全然大丈夫で、むしろ着け心地の良いデカ薄時計?。
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Ref.5168G-001
ケース径:42.2mm(10-4時方向)ケース厚:8.25mm ラグ×美錠幅:22×18mm
防水:120m ねじ込みリューズ仕様
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤:ブルーエンボス ブラックグレデーテッド 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ミッドナイトブルーコンポジット《トロピカル》ストラップ(ラバー)アクアノート フォールドオーバー クラスプ付き 
価格:税別 4,200,000円(税込 4,536,000円)2017年8月現在

120m防水を生むスクリューバックの裏蓋のサファイアクリスタルバックからは入念に仕上げられたムーブメントを鑑賞する事が出来る。実用性最重視であってもゼンマイ心を忘れないパテック流のおもてなし。フルローター自動巻の裏スケルトンは半分しかムーブメントが可視できないので無理やり感があるのだがパテック フィリップは21金ローターそのものを主役にすべく見事な仕上げを施している。
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※上の画像は手抜きのトラベルタイムRef.5164Aを転用

Caliber 324 SC/393

直径:27mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから
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文責:乾

2017年9月17日現在
Ref.5168G-001 ご予約いただけます

店頭に中々在庫が持てないグランドコンプリケーションクラス。皆さんご存知だとは思うけれど時価(価格表でPrice on request表示のもの)となっているモデルは100%客注対応でほぼ受注生産に近く、サンプルすら日本には常備されていない。価格設定されているモデルでも生産数が極端に少なくて人気の高い数モデルについては、ある程度の購買実績を積み上げて、手続きを経ないと購入できない。例えばワールドタイムクロワゾネモデルRef.5131や永久カレンダースプリットセコンドクロノグラフRef.5204などがそれにあたり、もちろん在庫することは不可能だ。これら特別なタイムピースは撮影のチャンスもまず無いし、手に取ってじっくり見る事すら叶わないので、掘り下げたご紹介も難しい。このように閉鎖的とも見える現在の販売手法には批判的なご意見もあるが、あくまで個人的とお断りして色んな意味で″仕方がない"と思う部分と下駄履き絶対お断りというメゾン系ブランドが時計業界に一つ位はあっても良いように思っている。
結局グラコンで在庫したり紹介出来たりするのは永久カレンダーか今回紹介の永久カレンダークロノグラフあたりに限られてしまう。それでも前者が1,000万円前後、後者は約1800万円なので気軽にストックは出来る代物ではない。今回も展示会にやってきたサンプルをドタバタと撮影した。
以前にも書いたがパテックを代表する顔はたくさんあるが、手巻きの永久カレンダークロノグラフもその一つだと思う。パテック フィリップ マガジン各号のオークションニュースでは常連のように出品が多い。

まずシリーズ生産された最初の永久カレンダークロノグラフモデルは1941年~1951年(たぶん?)に281個製作されたRef.1518。画像は1943年製作のタイムピースで極めて希少性が高くイエローゴールドの時計としてのオークションレコードCHF6,259,000(=約7億千3百万円余り)で2010年にジュネーブで落札されている。
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ちなみに昨年11月に腕時計の世界最高落札価格は更新されている。これまたRef.1518(下)で、わずか4個体しか確認されていないステンレススチール製である。価格はCHF11,002,000(約12億5400万円余り)ヴィンテージウオッチの価値においては、希少性が材質や機能性をしばしば凌駕するようだ。尚、それまでのレコードホルダーはやはりパテック。ただしヴィンテージではなく2015年にオンリーウォッチ・チャリティー・オークションの為に1点製作されたやはりステンレス仕様のRef.5016Aだった。パテックだけがパテックを超えてゆく状態はいつまで続くのやら・・
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1951年以降は1518と同じレマニアのキャリバー13'''を搭載したRef.2499が登場した。インデックスはアラビア数字からバーになり、6時のカレンダーサークルが力強く大き目になった。2499は85年まで34年間の長きにわたって製作された。生産終了時には記念のプラチナ仕様が2個だけ1987年に製作され、1989年にパテック フィリップ創業150周年にオークション出品された。当時の落札価格がCHF24万(=約2,736万円)だったが2012年に14倍の価格CHF344万(=3億9千万円強)で落札されたのは著名なロックギタリストのエリック・クラプトンが長期間所有していたからである。尚、残るもう一つのプラチナモデルはパテック社のミュージアムピースとして収蔵されている。

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1986年からはレマニアの新しいクロノグラフキャリバーCH27-70系を採用したRef.3970がスタートした。それまでのCal.13'''と異なりうるう年表示と24時間表示がインダイアルに追加された。そんなに古いものではないのに画像が荒くて恐縮です。
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Ref.3970は18年間のロングセラーの後、2004年に後継機種Ref.5970にバトンを渡す。キャリバーCH27-70Qはヌーベルレマニアエボーシュの最後のエンジンとしてそのまま引き継がれたが、ケース形状についてはクラシカルとモダンの融合への挑戦がなされた。まずウイングレットと呼ばれる翼を模した段差付きのラグ形状は1942年発表のRef.1561からインスパイアされたとある。またクロノグラフプッシャー形状も華奢なラウンドから1518時代に採用が多かった少し武骨で大振りなスクエアボタンとなった。ボタン上下面のサテン仕上げが実に渋い。それらとは裏腹に内反りしたベゼルは知る限り2000年代になってからチャレンジングなモデルに共通して採用されている現代パテックの特徴的なデザインである。
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そして2011年、今回紹介のRef. 5270がようやく登場となる。このモデルチェンジではウイングレットラグやコンケーブベゼル等のケースデザインが5970からほぼ継承されたが、エンジンはパテック初の完全自社設計製造のマニュファクチュール度100%の新開発手巻きクロノグラフCal.CH29-535をベースとして永久カレンダーモジュールが組み込まれて搭載された。新キャリバーはポストレマニア時代を背負う自社開発クロノキャリバー3部作の最終発表の集大成キャリバーとして高い完成度を有していると思われる。新エンジンよって文字盤には若干の変更が加えらている。3時と9時のインダイアルがセンター針と横一線ではなくて少し6時側方向に下がった事で、4時のインデックスが歴代モデルで採用されていた短めのバーからピラミッドになった。うるう年が3時の指針から4時半の小窓の数字表示となり、24時間表示も9時の指針から7時半の窓表示された。結果的にインダイアルがすっきりし、視認性が格段に向上した。
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現行のRef.5270の詳細。まずウイングレットラグ。サンプルなので小キズや埃はご勘弁と言う事で・・
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サイドは当然それなりの貫禄。と言っても12.4mmはマザーキャリバーCH29-535PSを積んだRef. 5170(10.9mm厚)に加えること1.5mmで、ムーブメントの厚さ比較でも1.65mm差となっている。ただラグも含めてグラマラスなケースデザインからは数字以上の存在感を受ける。
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スクリュー(捻じ込み)構造のトランスペアレンシイのケースバックからは機械式時計一番の男前?正統派手巻きクロノグラフが堪能できる。各プッシャーと連動して正確無比に動作するレバー類のパフォーマンスは見飽きる事が無い。
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ご多聞に漏れずRef. 2499時代に迎えたスイス機械式時計暗黒時代1960年~80年代前半にはかなり生産数が絞られたようだが、1941年以来絶えることなく生産され続けているパテックの永久カレンダークロノグラフ。日常的に愛用されるシンプルな時刻表示機能に特化した腕時計がその時々の時代背景で様々な表情の流行り廃りを経験するのとは対照的に、贅沢かつ趣味性が強く蒐集指向もある為なのか殆ど顔が変わらずに脈々と作り続けられている永久カレンダークロノはやっぱり安心してお勧めできるパテック フィリップの代表格だと思う。

Ref.5270R-001

ケース径:41mm ケース厚:12.4mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:RGのみ
文字盤:シルバーリィ オパーリン、ゴールド植字バーインデックス
ストラップ:手縫いマット(艶無)・ダークブラウン・アリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 17,920,000円(税込 19,353,600円)2017年8月現在

Caliber CH 29-535 PS Q:手巻クロノグラフ永久カレンダームーブメント
瞬時運針式30分計、昼夜表示、コラムホイール搭載
直径:32mm 厚み:7mm 部品点数:456個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低65時間(クロノグラフ非作動時)クロノグラフ作動中は58時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:ブレゲ巻上ヒゲ
振動数:28,800振動

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

2017年9月12日現在 ご予約対応となります。

文責:乾

Patek Philippe Internaional Magazine Vol.Ⅱ No.5 P.66 VolⅢ No.3 P.68 No.8 P.70 Vol.Ⅳ No.3 P.68
Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.305

パテックよりイレギュラーなプチ製品追加情報が来た。こうゆう「突然お邪魔します!」的なモデル発表はいつも可哀そうだと思ってしまう。拙ブログで毎年一番アクセスが多いのがバーゼル訪問前後の新製品紹介編。2番目がそれに先立つ生産中止情報編。それほど時計ファンにとってお気に入りブランドの継続・廃番・新作は気になってしょうがないところ。昨年のノーチラス発売40周年記念限定モデルの様にストーリーが有ってそれだけで盛り上がれるタイムピースは良い。むしろブランドにとって貴重な別アカウントでの商戦作りも出来よう。だからこそ中々周知されにくいであろうプチ情報も丹念にお伝えしてゆきたい。けっして流行らない(流行り過ぎた?)寿司屋のようにネタが尽きたという訳では・・・

レディスの年次カレンダーは2005年にメンズ2代目Ref.5056と似た顔Ref.4936で発表された。女性向けにマザーオブパール(MOP)文字盤が採用され、WGにはタヒチ産黒蝶貝、YGとRGにはバリ産白蝶貝が使われていた。ベゼルには二重巻きでダイアモンドセットされていた。パワリザはゼンマイ臭いのが敬遠されてか省かれていた。翌年の2006年には豪華仕様のケースサイド及びラグにもダイアジェムセットがなされたRef.4937が追加されている。なぜかWG仕様はインデックスは斜体のかかったアラビアで転写となっていた。

5056_4936_37_2.png
4936&4937のコンビは結構ロングセラーとなり2014年まで生産されたが、2015年発表の現行モデルRef.4947&4948に引き継がれた。二世代目の主な変更点はベゼルのみダイアの4947はダイアルがMOPからソリッド通常文字盤になり、ケースサイドとラグまでダイア装飾の入った4948のみがMOP文字盤とされて住み分けが図られた。インデックスは全て正体のアラビア植字となりケース径が1mmUPした。少し若返った印象だろうか。いづれにしても美人姉妹のような関係が続いている。
4948G_001010.gif
で、いつもどおり前置きが終わって、今回の新色は豪華仕様の姉のWG素材の文字盤変更である。画像は質感が出ていないが資料には真珠母貝とある。我々もスイスパテック社のHP上の画像確認だけなので判然としないがアラビアインデックスのみが鏡面シルバー色(下画像とはかなり違うが?)でレールや曜日、月等のディスプレイはブラックのようだ。でもこの顔どっかで見た既視感があると思ったら、今年バーゼルでレディス永久カレンダーRef.7140に素材追加されたWGのスペアストラップ(シャイニーグリーンターコイズアリゲーター)仕様とか、妹分の年次Ref.4947Gに文字盤追加されたシルバリィ バーティカル アンド ホリゾンタル サテンフィニッシュド ダイアル(長っ!)とか。
7140G_4947G.png
ともかく最近のパテックのトレンドなのだろうレディスはブルー系やグリーン、パープル、ピンクなど明るいビビッドカラーのアリゲーターストラップの採用がラッシュだ。

Ref.4948G-010 レディス年次カレンダー

ケース径:38.0mm ケース厚:11mm ラグ×美錠幅:19×14mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション: WG(別ダイアル有
文字盤:バリ産ホワイト マザー オブ パール、ゴールド植字インデックス
ストラップ: 青緑系アリゲーター ※カラー名称不明、パテックHP記載のブリリアント・ミンクグレーは誤植と思われる為
バックル:ピンバックル(Prong buckle)
ダイアモンド:ケース347個~2.65ct リューズ14個~0.06ct バックル27個~0.21ct 合計388個~2.92ct
価格:税別 7,670,000円(税込 8,283,600円)2017年9月現在
9月よりデリバリー予定

Caliber 324 S QA LU
直径:30mm 厚み:5.32mm 部品点数:328個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

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