
ノーチラスの撮影はいつも簡単。ほんとに早い。ケースとブレスにサテン仕上げが多くて映り込みが非常に少ない。文字盤も微妙にマット調の仕上がりなので何も工夫せずともしっとりと美しく写ってくれる。上の画像も下の少し寄り気味にしてダイアルのグラデーションを少し表現したカットも埃の除去以外は、全く画像修正をしていない。もちろん時計そのものが抜群に美しく、素晴らしいブルーカラーがあってこそなのは言うまでもない。ちなみに画像中央下部の青い奇妙な映り込みはバックルの保護シール。
パテック社の期初は2月からなので今期の初荷が、待ちに待ったノーチラスの永久カレンダーだったのは何とも喜ばしい。本来は昨年のニューモデルなので、前期末の1月末までに入荷予定だった。しかし入荷状況が非常に悪いとはPPJからは聞いていたので、ご注文者様にもしばしのご辛抱をお願いしていた。結果的には10日程度の納期遅れでの入荷となった。
ところが残り物には副が有るようで、このたったの数日の遅れには小さなサプライズが付いてきた。チョッと此処には書けないが、店頭でならお相手次第ではお話出来るかも。

このモデルの遺伝子は3年前のノーチラス発売40周年に当たる2016年に記念限定でリリースされた2モデル。すなわちWG素材でジャンボサイズが採用されたフライバッククロノグラフRef5976Gとノーマルサイズでプラチナ素材の3針モデルRef.5711/1Pの両モデルと全く同一な文字盤色となっている。上の画像では人気のSSノーチラス5711と5712のブラックブルーダイアル程ではないがブルーの濃淡がハイライトとシャドウに浮いて出ており魅惑的な表情を見せている。
さて複雑機能を備えている事とWGでの同一素材という点で今回の永久カレンダーモデルは、3年前の限定クロノグラフモデルにより近しいと言える。しかしながら決定的に違うのはそのケースサイズである。クロノグラフはセンターローター自動巻機構と垂直クラッチ方式でクロノグラフへトルクを伝達するスタイルが採用された厚み(6.63mm)のあるCal.CH28-520が搭載された。結果ケースの厚みも12.16mmとノーチラスでは最厚に近い厚みが有った。さらに定番のクロノグラフ5980系が機能付きノーチラスの主要サイズである40.5mmに収まっているのに、敢えて44mmというジャンボサイズにアップサイジングされた。かくして312グラムという筋トレにも使えそうなヘビー級の時計が出来上がった。これに対して5740はグランドコンプリケーションにもかかわらず40mm径というシンプル系ノーチラスと同サイズが採用された。さらに驚くのはその厚みで、シリーズ最薄モデルの3針5711にたった0.12mm加えただけの8.42mmに仕上げられている。これは従来の永久カレンダーモデルにも多用されている極薄ベースキャリバーCal.240の貢献が大きい。この22金のマイクロローター方式の名キャリバーの設計は1977年にまで遡り、40年以上もパテックコレクションの主要エンジンとして現役バリバリである。パテックムーブメントには本当に長寿命のものが多い。
このCal.240ベースの永久カレンダームーブは通常ケースサイドにあるコレクターと呼ばれるプッシュボタンで各カレンダーの調整を行う。下図の左が従来のラウンドケースの永久カレンダー。四か所にプッシュボタンA~Dがあるが、C,Dのボタンは曜日と日付ディスクの直近にあってアクセスが非常に良さそうだ。A,Bは対応する日付と月・閏年ディスクから離れてはいるがプッシュボタンを押す方向はムーブメント内側に向かっている。

右のノーチラスケースではその独特なケース形状から9時位置の曜日調整のCボタン以外の三つのボタンは、ブレスレットの付け根付近にリプレースされている。さらにBボタンの矢印のようにあくまでプッシュ方向はケース面に垂直にせざるを得ないのでムーブメントの外縁辺りしかアクセスしえない。パテックはこれを解決するために直線的にディスクへ直接アクセスするのではなく、途中で方向転換する為の特殊な伝達機構を設けてこの問題を解決したようだ。恐らくこのニューモデルの納期が、遅れ気味になったのはこの調整部分の作りこみに手間と時間を取られたのではないかと思っている。

左が9時側、右がリューズ側のケースサイドビュー。コレクタープッシュボタン位置とケースとブレスレットの薄さに注目。3針モデルの5711/1Aと見た目に違いが無い。ちなみに同じベースキャリバーCal.240にパワーリザーブとムーンフェイズを乗せた人気モデルの"5712通称プチコン"のケース厚は8.52mm。カムやらレバーやらメカメカしい大道具が詰め込まれたモジュールが組み込まれた永久カレンダーの方が僅かながら0.1mmケース上で薄く仕上がっているのが凄い。さらに言えば現行のパテックフィリップ永久カレンダーラインナップで最薄モデルである。今年生産中止が発表されたクッションケースのRef.5940の8.48mmがそれまでのチャンピオンだったが、僅かながらそれを凌いでいる。スポーティなスタイリングや防水仕様から何となく骨太で厚みもありそうな印象をノーチラスは漂わせているが、ジェンタ考案の耳付き構造ケースは薄いムーブを究極に追い込んで包み込んでしまうようだ。
さて、一昨年(たぶん)迄はパテックの永久カレンダーには通常モデルのコレクションボックスではない少し大きめのワインダー内蔵タイプのボックスが用意されていた。昨年度からはこのボックス型ではない専用の独立したワインダー(SELF-WINDER CYLINDER)が用意されるようになった。

交流電源ではなく単4リチウム/アルカリ電池を4本内蔵しておりその寿命は2500時間。フルローター自動巻キャリバー324ベースの永久カレンダーでは一日当たり960回転でおよそ2年で電池交換。巻き上げ効率で多少劣るマイクロローターのCal.240とR27ベースの場合は1日に1440回転となっているので、記載は無いが一年半という事になるのか。尚、出荷段階のデフォルト設定は1440回転で、本体のスイッチはスタートのオンオフだけしかできない。324ベースキャリバー用の960回転への設定変更は、スマートフォンにAPPまたはグーグルプレイから"PP Cilinder"のアプリをダウンロードし、ブルートゥースを介して操作することになる。個人的には何で此処だけ急にデジタルチックにするのかが不可解である。単純に切り替えスイッチ一個で済ませば良いのに・・まあ個人所有のスマホには既にアプリはダウンロード済みではあります。いやいや、永久カレンダーは持っていません。将来のお客様サポート用です。
今回はご購入のお客様のご了解を得て、実機撮影が叶い記事も書けた。本当に感謝しております。ありがとうございました。
尚、かなりの高額商品にも関わらず顧客様のウエイティングがそこそこ有って、ご新規様の新たなご予約は困難な状況です。ご販売を必ずしもお約束出来ないご登録は店頭でのみ受けております。悪しからずご了承ください。
Ref.5740/1Gー001 自動巻永久カレンダー
ケース径:40mm ケース厚:8.42mm(永久カレンダーラインナップ中最薄、2019年2月時点)
防水:60m 重量:205g
ケースバリエーション:WGのみ
文字盤: ブルー サンバースト 蓄光塗料塗布のゴールド植字インデックス
バックル:ニュータイプ両観音クラスプ
裏蓋:サファイアクリスタルバック ※ノーマルケースバックは付属しません。
付属:セルフ-ワインダー シリンダ―(自動巻き上げ機)
価格:お問い合わせください

肉眼だと並べなければステンレスとの色目の違いが解りづらいが、画像撮影すると結構な黄味を帯びていることがわかる。個人的にはステンレスやプラチナのピュアな銀色と違って温かみがある色だと思っている。永久カレンダー機構は総て文字盤側に組まれているので、スケルトンバックから望むのはCal.240の見慣れた後ろ姿だ。
Caliber 240 Q
直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:275個 石数:27個 受けの枚数:8枚
パワーリザーブ:最低38-最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
撮影、文責:乾
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作成しました。投稿はかなりゆっくりですが・・
ついこの間、雑煮とおせちを頂いたばかりなのに目も前に鰯と恵方巻がちらついている。なんという時の流れの早いこと。一か月は1時間で言えば5分に値するが、この間何をしたと言う訳でもないが、店は結構賑わいもあってお陰様な結果が残せそうである。感謝!感謝!
一月末はパテックフィリップにとっては節目で会計年度の年度末に当たる。ロレックスなどは年度末(12月末)が近づくと入荷が少なくなる傾向があったが、パテックはこの12月から1月にかけて入荷がすこぶる良かった。多くが客注分とイレギュラーの店頭分の入荷。パテックの売上げというのは客注商品の入荷次第というところがあるので全国的にここ数ヶ月は相当な売上げに成っているはずだ。
今回はそんな状況で入荷してきた年次カレンダー2本を紹介したい。まずは1996年の年次カレンダーデビューモデルRef.5035のダイアルレイアウトを引き継ぐ血族直系であるRef.5146。ローズゴールドケースにクリーム色のラッカーで仕上げられた文字盤がセットされた何とも優し気なカラーリングの一本。

このモデル自体は既に紹介済みなので細かくはそちらを見ていただくとして今回は文字盤のデザインについて少々掘り下げてみたい。
文字盤中心から少し上に左右に並ぶ"曜日"と"月"の指針表示は古くからパテックが永久カレンダーで採用してきたレイアウトパターンなのだが年次カレンダーのそれは、両サークルがかなり寄り目でかつセンター指針と一直線では無く上側にシフトされている点で、似て非なる印象を受ける。

1996年にファーストモデルとして発表されたRef.5035からこの部分は変更がなく、このモデル系列の決定的な遺伝子的要素と言える。6時位置のディスクスタイルの日付表示も同様である。進化した点は1998年に業界に先駆けて初採用された12時直下のパワーリザーブ機構である。パテックにはともかく"時計業界初"が多い。同時にムーンフェイズも追加されて、それまでの24時間表示位置に取って代わって備えられるようになった。その結果パワーリザーブ表示に追いやられたブランドロゴが行き場を失ってダイアル下部の6時位置に配された為に24時間表示が、そのとばっちりで消去されてしまった。
しかし、中央より下側にブランドロゴがレイアウトされるのはかなりレアケース。現行モデルではセレスティアルシリーズとノーチラスのトラベルタイムクロノグラフRef.5990のみだ。ダイアルセンターの右側にエングレーブでロゴ配置されるのが、12時側にも6時側にもスペースが全くない年次カレンダーレギュレーターのRef.5235G。また超絶系のリバーシブルウオッチのグランドマスターチャイムRef.6300はカレンダー側(裏側?)にはスペースが全く無く、時間表示サイド(表側?)のセンター指針の両側に振り分けてかろうじてロゴを表示している。極めつけは文字盤に全くスペースが無いためにベゼルに無理やりっぽく刻印されるプラチナのワールドタイムRef.5131P。多軸やディスプレイが多すぎるのも悩みのタネのようでデザイナーの苦労もさぞやと思う。

最後にこのモデルのセールストークを少し。現在年次の定番は3型あるが、パワーリザーブ付きの5146が価格的には一番お買い得である。他の2モデルは同素材なら価格も同じでケースが凝っているRef.5205が通常尾錠、ごくノーマルなクンロクケースを纏うRef.5396(後述)が折畳み式バックルの違いがある。折畳みバックル付きの5146はRG・WG素材なら両者に比べ税別約70万円以上お安い価格設定。この価格差は魅力だ。
Ref.5146R-001 年次カレンダー
ケース径:39.0mm ケース厚:11.23mm ラグ×美錠幅:20×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:RG WG(別ダイアル有)YG(別ダイアル有) PT ※別途ブレスレットモデル有り
文字盤:クリームラッカー、ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートブラウンアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:お問い合わせください。
在庫:2019年2月1日現在有ります。

Caliber 324 S IRM QA LU
直径:30mm 厚み:5.32mm 部品点数:355個 石数:36個 受け:10枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
さて、今回は二番煎じで中身が薄い分、もう一服としてさらに年次カレンダー入荷モデルを追加紹介。

2006年に年次カレンダーの2番目のシリーズとして発表されたRef.5396。通称ダブルギッシェ(二つの小窓)と言われるセンター指針の直上に左右に狭い間隔で"曜日"と"月"が並ぶレイアウト。もともとは1900年代半ばから1980年代までもっぱらパテックの永久カレンダーのド定番顔として採用され続けていた由緒正しいマスクである。その特徴的なレイアウトはそのままに6時側インダイアルで針表示していた日付をより実用的な小窓のディスク表示にし、インダイアル指針は24時間表示として時刻合わせをすこしでも容易にする機能を持たせた。この伝統的なレイアウトはクロノグラフと組み合わされる永久カレンダーではずっと採用され続けている。しかしシンプル永久カレンダーとしては2017年発表のRef.5320で久々にリバイバルされたのが記憶に新しい。
さて、しばしば触れているがわが愛機はこのモデルのローズゴールド版である。早いもので愛用歴は3年半になる。精度も調子もすこぶる良いのだが、少し小言もあって、まず搭載キャリバーののCal.324は現在パテックの主流のフルローター自動巻ベースムーブメント。だがパワーリザーブが最大で45時間しかない。10年前なら常識的な長さだが今日に於いては少々短い気がする。72時間駆動するグランドセイコーの愛機と交互に着用することが多いが、たった28時間の差が実用度合いに大きく影響する。
2番目には時間合わせ運針がローギヤで辛気臭い。輪列保護の為にはこのローギヤードが良いのだろうけれど高級実用ブランドであるロレックスやグランドセイコーと比べ非常に遅い。車で言うと2速と4速くらいの違いを感じる。特に年次カレンダーの場合パワリザ不足からの止まった場合は1~2日の遅れであれば一々小さなコレクターを何か所も調整するよりも時刻を手動で進めた方が楽なのだが、忙しい出勤前などはこれが何ともまどろっこしい。近い将来の改良を願う。
そして自分の不注意から一か所不調を抱えている。月齢の調整コレクターがサクサクと押せないのだ。おそらく原因は安価な爪楊枝でコレクターを押した際に先端が微細に砕けてコレクター内に粉末として混入したのだろう。パテックフィリップの取扱説明書には必ず付属の調整ピン(金属製)の使用を限定している。しかし現実的にはコレクターとその周辺のケースにも傷がつきそうな付属ピンはチョッと使う気になれない。当店では原理原則をご説明した上で、自身の失敗から考察して現在は女性がネイルケアの際に使用する木製のスティックを個人責任で使っていただくようにお渡ししている。だがさらに良いものがないか常に日ごろから目を凝らしている。多分非常に硬い竹製で先端がごくわずかに丸められていて軸にはそれなりの太さと長さのある様なものがほしいと思っている。どなたかおすすめのツールがあれば是非コメントください。
閑話休題、現在5396のバリエーションは6型。その内4型は2016年以降の発表なのでバリエーションが増えているモデルである。それと対照的にアバンギャルドなデザインのRef.5205は昨年発表のWG素材のブルーブラック文字盤を入れて僅か3型に集約されてしまっている。個人的にはいづれも甲乙つけがたい素敵な年次カレンダーだと思っているのだが・・
何とか本稿は1月中に今年2本目として掲載したかったのだが、月末に"どうしても源泉かけ流しに行きたい病"を発症して臨時休業をいただき本日のアップとなった。そして例年通りであれば、次の記事は生産中止モデルの発表という事になる。これも例年のことながら年末くらいからディスコンにまつわる色々な詮索話をお客様から伺うことがあった。さすがに此処には書かないが興味深いお噂もあって、あと数日を心待ちにしている。
Ref.5396G-011年次カレンダー
ケース径:38.5mm ケース厚:11.2mm ラグ×美錠幅:21×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG(別ダイアル有)、RG(別ダイアル1、2,3)
文字盤:シルバーオパーリン ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:お問い合わせください。
在庫:2019年2月1日現在有ります。

Caliber 324 S QA LU 24H/303
直径:33.3mm 厚み:5.78mm 部品点数:347個 石数:34個 受け:10枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
PATEK PHILIPPE 公式ページ
文責、撮影、修正:乾
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作成しました。
To write or not to write,That is the question?
書くべきか、書かぬべきか?文豪並みに悩む文才の無い乾です。何故か偶然に重なったご客注品の入荷。納品は保証書同時納品ルールによって定休前の火曜日以降。でも2点は新作で撮影もしたい。12月と新年1月の販促の仕込みもあるし、先日のお痛のせいで両手の親指と人差し指が突き指でネクタイも結びにくいという状態で、受注も販売も出来ない決定品を並べても他ブランドを含めてご購入希望やメンテナンスでご来店されるお客様とのバッディングも怖いし・・あァ、もうェェ、いてまぇ、いざという時は相方や、姐や、姐のケセラセラや
Ref.5968A-001 アクアノート フライバッククロノグラフ ステンレススチール 2018NEW
※バーゼル以来、改めて見た付属のオレンジラバーストラップ、まるでフラッシュカラー。衝撃的インパクト!
Ref.5524R-001 カラトラバ パイロットトラベルタイム ローズゴールド 2018NEW
※WGの文字盤は青のマット調の単色で男っぽい。対してRGの艶感ありのブラウングラデーションは色気ありまくり。
Ref.5170P-001 グランドコンプリケーション 手巻きクログラフ プラチナ 2017
※二年前のノーチラス40周年限定2型で初出だったバゲットダイアのバーインデックスの好評さから採用されたと思われるパッと見はダイアに見えない奥ゆかしいラグジュアリー仕立てと脳天からコテンと悩殺されるブルグラ・・ホ、ホッ、欲し~い、心から想う久々の一本。気持ちは一杯いっぱいでもなんせお財布が・・・
Ref.5712/1A-001 ノーチラス プチコンプリケーション ステンレススチール 2006
Ref.5711/1A-010 説明不要
Ref.5167A-001 説明不要
誤解無きように書き添えますが、ほぼ全員に展示了解を得ていますし、許して下さる方の分しか展示しません。もちろんご了解を得られない方の納品待商品を並べるつもりもございません。
ご来店いただきケース内のみでのご対応で、手に取って頂いたり、ご着用はご遠慮いただきますのであらかじめご了解の程、お願いいたします。
受注可能なものもありますが、実績顧客様優先モデルが殆どです。
また、スタッフも少量限定?で充分なご対応がかなわない場合もございます。ご容赦下さい。
文責:乾
気がつけば平成で始まる最後の新年がもうそこまで・・例年の事と言いながら本当に年々過ぎ去る速度が速くなる。時の流れに携わる生業でありながら逃げるものを追い駆けているような気分に捉われる事しばしばである。そんなことだからブログもインスタも頻繁に空転期間が空いてしまう。

さて、相変わらず人気の続くノーチラスシリーズ。最近はステンレスだけではなく素材や機能を問わずに人気が拡大しアクアノートも含めて不人気モデルが探せない状態である。正直言って加熱し過ぎ感が強い。
当店にはレアな旅行者のお客様も国籍を問わず全く同じ傾向にある。中国本土を例とすると現在2店舗(上海、北京)が正規店舗だが、非正規も含めてもう本当に手配が絶望的らしい。人口に対しての供給量のバランスが悪いのかもしれない。
さて、今回紹介はそんなレアノーチラスの中でもレア素材であるステンレス製年次カレンダーのブレスレットモデルRef.5726/1Aで文字盤は白(シルバリィホワイト)。強いて言えば人気はグレー(ブラックグラデーテッド)の方が高いのだが3針の5711同様に若々しさや清潔感が強く別モデルに見えてしまう。
グレーに設定があるレザーストラップモデルが白文字盤には無くステンレットブレスレットのみ用意されている。またメンズではステンレス素材のみの展開はこの年次カレンダーとトラベルタイムフライバッククロノグラフRef.5990の2モデルのみとなっているのも興味深い。
ちなみに当店では少し値の張る5990の方がチョッと人気が高い。ただカラトラバケースに収まったダブルギッシェ(12時下方に左右横並びに曜日と月がレイアウト)スタイルの年次カレンダーモデルRef.5396を愛用する我が身としては親しみを感じざるを得ない可愛いノーチラスである。
でもノーチのアイコンともいえる横ボーダーと角の取れ切ったひょうひょうとした八角形の緩いケース形状(個人的には"ナマズ顔"と密かに思っチョります)に収まりますと同じ時計が此処まで違う表情になってしまう面白さ。「似て非なるもの」では無く「似ずして同じもの」と言えばよいのだろうか。

くどい程語ってきたノーチラスの魅力"薄さが実現する装着感"、流石にフルローター自動巻きCal.324ベース(厚さ3.3mm)に年次カレンダーモジュールを積み重ねて仕上がりムーブ厚5.78m、ケース厚11.3mmは3針の5711より3mm厚くなっている。ピンが覗く調整駒の厚みは全てのノーチラス(5990でさえも)で共通であり、シリーズ最薄の3針5711は見た目(実寸は?未検証の為)ケース側まで全駒が同厚であるのだが、5726ではケース側から5コマ目あたりはテーパーしながら厚みを減じているように見える。
「たかが3mm、されど3mm・・」両者の装着感は明らかに異なる。異なるが個人的には許せると言うかノーチラスの装着感自慢を実感できるレベルに充分収まっていると思う。明らかにシリーズ最厚のRef.5990の12.53mmケース厚とは着けた感は別物になっている。
フルローター自動巻をベースとしながら、ただでさえ厚みを食う垂直クラッチのフライバッククロノグラフとトラベルタイムと言うダブルファンクションを重ねれば当たり前の事で、むしろ良くこの厚さにまとめたパテックの技術力に脱帽かと思う。勿論この事は若干薄い年次カレンダー5726ではより顕著となる事は言うまでもない。
横顔の比較写真はRef.5990の過去記事よりどうぞ。
Ref.5726/1A-010
ケース径:40.5mm(10時ー4時方向) ケース厚:11.3mm
防水:12気圧
ケースバリエーション:SS(白文字盤) SS(グレー文字盤) SS(グレー文字盤ストラップタイプ)
文字盤:シルバリィホワイト 夜光付ゴールド植字インデックス
ブレスレット:両観音クラスプ付きステンレス3連ブレス 抜き打ちピン調節タイプ
価格:お問合せ下さい
Caliber 324 S QA LU 24H/303
直径:33.3mm 厚み:5.78mm 部品点数:347個 石数:34個 受け:10枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
PATEK PHILIPPE 公式ページ
文責:乾
在庫状況:11月20日時点あり
一年おきに開催されるオンリーウオッチのオークションはパテックファンにはお馴染みで過去にもご紹介してきた。難病(デュシェンヌ型筋ジストロフィー)の研究費捻出のためにパテックフィリップを始めとする著名ブランドが特別なユニークピース(一点もの)を製作しチャリティーオークションで競られた売上が寄付されるというものだ。
欧州には古くからノブレス・オブリージュなる言葉もあり、富める者は社会貢献の義務を・・と言う土壌がある。アメリカにもドリームを成し遂げた大富豪の莫大な寄付活動は一般的である。我が国にも立派な篤志家もいらっしゃるが金額の桁が比較にならないし、時々有言不実行?の方もいらっしゃる。むしろ災害時に駆け付ける一般庶民のボランティア精神の方が世界に誇れそうである。
オンリーウオッチ以外にもパテックフィリップは1994年からジュネーブに本拠としてChildren Actionなる世界7か国で医療・教育面等での支援活動を支えるために2005年から2年または3年おきにユニークピースを作っていたようだ。公式HPを見ていて最近初めて気がついた。勉強不足甚だしい。今年度の作品は先日紹介したカラトラバパイロットトラベルタイムRef.5524ベースのチタニウム素材モデル。英文のリリースが既に6月に発表されており、5月以降ジュネーブ・香港・ニューヨークで展示下見がなされつい先日ジュネーブのオークションハウス「クリスティーズ」監修で競られ230万スイスフラン(近日レートで約2億5800万円)で落札されている。仮に定番として市販されれば4~500万円?と推測するのでまあ凄まじい。

公式に詳細説明があるが、過去に5モデル製作実績があり、2009年のRGトゥエンティフォー4920が18万CHF(約2千万円)、2012年のYGワールドタイムクロワゾネ5131が100万CHF、2015年年次カレンダーチタニウム5396Tが100万USDと共に1億円越えでエスカレートの一途だ。
このスペシャルピース、文字盤が変わっていて真鍮に黒色のニッケル仕上げに加えて縦に極細の筋目加工が手仕事でなされている。インデックスは18金WG植字アラビアでスーパールミノバがしっかり塗布されている。時分針は酸化処理で黒くされた鉄針。その(ローカル)時針に隠されているホーム時針はスケルトンスタイルのスティール製、秒針はアルミニウム製で白黒ラッカー仕上げとある。
ストラップはVintage black calfskinとあって、知る限りパテックのコレクションでは初めてのエイジングトレンドが採用されている。サファイアの裏スケルトンクリスタルにはチャリティーの特別モデルである刻印「Children Action 2018」がエングレーブされている。
比売品なので商品スペック等は割愛いたします。
文責:乾

パテック フィリップは同一デザインのペアウオッチと言うのが非常に少ないブランドだ。2015年度まではカラトラバのクルドパリベゼルが特徴的な手巻メンズRef.5119をダウンサイジングしたレディスRef.7119というズバリのペアモデルが存在した。そしてここ2年はカップルモデル根絶状態だったが、今年想像もしなかったペアウオッチの提案がなされた。
2015年に発表され、良くも悪くもパテックらしからぬ風貌でバーゼルワールドで最も話題を振りまいたWGのカラトラバ・パイロット・トラベルタイムRef.5524。賛否両論があったこのモデルは結局大人気となり今現在も品不足が続いている。このユニークなコンプリケーションにRGケースが追加素材として今年のバーゼルで発表された。特筆すべきは4.5mmサイズダウンされたパートナーとなるレディスモデルを伴っていたことだ。厳密に言えばローズゴールドの色目がレディスの方が微妙に赤く仕上げられているのだが見た目殆ど判らない。
さて、コンプリケーションとしてのトラベルタイムの歴史は既に60年近く有り、初出は1959年でジュネーブの天才時計師ルイ・コティエ氏が考案しパテックが特許取得した画期的でシンプルで操作性に優れたGMT機構。当時は1950年代に実用化が進んだジェット旅客機が一般化していった時代であり、裕福層旅行者に各ブランドからトラベル用腕時計の提案がなされていた。1957年ロレックスGMTマスター、1958年ブライトリングトランスオーシャン等が有名だが、単純な回転ベゼル機能やデザイン上でのイメージ訴求に過ぎなかった。その点においてパテックのトラベルタイム機構は画期的であったと思われる。1960年代後半から1990年代半ばまではトラベルタイムは殆ど生産されなかったようだが、スイス機械式時計の復活と共に再生産されるようになった。驚くのは初出の頃のシステムを殆どいじる事なしに現代に充分通用している事だ。

5524カラトラバ・パイロット・トラベルタイムの詳細はホワイトゴールド5524Gの過去記事をご覧頂くとして、従来のトラベルタイムから工夫されているのがローカルタイムを1時間ずつ進みまたは遅らせるプッシュボタンのロック機構である。従来機のアクアノート・トラベルタイム等はこのプッシャー部が大振りである事もあって、時計の脱着時に意図せず押されてしまった結果の時間ずれトラブルがあった。5524ではねじ込みではないが90度回転のロック機構が備わりこのトラブルが解消されている。
顔はパイロット(アビエーション)と言うよりもミリタリー調で、スーパールミノバ(夜光塗料)がタップリと盛られた個性的なアラビアインデックスと太く武骨な時分針が抜群の視認性を生んでいる。6時側サークルの指針制カレンダーも大きくて読み取り易い。日付の調整はリューズでは無くケース外周の6時半辺りにあるコレクター(プッシュボタン)でおこなう。3時9時に振り分けられたホームとローカルタイムの表示窓はさりげない大きさながら文字盤色とのカラーコントラストで判別は容易だ。パテックのコレクションには珍しいカーフ素材のストラップは武骨すぎる事がない絶妙な太さの白いステッチが粗野にならない程度に適度なミリタリー感を醸している。文字盤はホワイトゴールド版の艶消しの均一な仕上げの濃い青とは対照的にセンターからダイアル外周に向かって濃茶にグラデーションする艶有の仕上げでローズゴールドケースの赤味と合わさってしっかり色気がある。両者の価格は同じながら好き嫌いは別にして明らかに高級感はローズにあるように思う。
尚、サイズ違いのペアになるレディースモデルに分類される7234Rは、ケースサイズは異なれども機械は全く同じCal.324が搭載されて約10%もお買い得である。外径37.5mmは小ぶり好みの日本人男性なら充分検討の余地があるサイスだと思う。
Ref.5524R-001 カラトラバ パイロット トラベルタイム
ケース径:42mm(10-4時方向)ケース厚:10.78mm ラグ×美錠幅:21×18mm 防水:30m
ケースバリエーション:RG, WG
文字盤:ブラウン サンバースト、ブラックグラデーテッド 夜光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ヴィンテージ ブラウン カーフレザー クレビスプロングバックル付き
価格:お問合せ下さい
Caliber 324 SC FUS
直径:31.0mm 厚み:4.9mm 部品点数:294個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 拘束角51°
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
PATEK PHILIPPE 公式ページ
文責:乾
在庫:お問合せ下さい

ご無沙汰ブログとなってしまった。先日入荷した本年新作の色気ムンムンのローズゴールドケースのゴールデンイリプス。古くから建築物等に採用されてきた完成されたプロポーションである黄金比率に則ってケースデザインがなされたオリジナルイリプスRef.3548は1968年の発表。天地32mm✖左右27mmのかなり小ぶりなケースは当時としてはごく普通だった。ちなみに現行モデルは39.5mm✖34.5mmと20%以上大きくなっている。今春生産中止となったやや小ぶりなRef.3738ですら約10%大きかった。手巻ムーブCal.23-300が積まれたファーストイリプスのケース厚は判然としないがムーブメント厚たった3mmからして薄型であったことは間違いないと思う。現行モデルのRef.5738は極薄自動巻Cal.240搭載でパテックの現行ラインナップ中最薄ケース厚5.9mmを誇っている。さすがにこの薄さで裏スケルトンは厳しいのか希少なノーマルケースバックが採用されている。

※画像はシールが貼られたサンプルを撮影
ちなみに現行モデル(レディスクォーツモデル除く)でノーマルケースバックはイリプス5738と手巻カラトラバ5196のたった2型のみである。そしてこの両者の金属製裏蓋は見事なまでそっけない。イリプスが縦筋目サテン、5196が鏡面で表面仕上されているのみで文字や数字、紋章等の意匠などが全く無い。知る限りではあるがグランドコンプリケーションの裏スケルトン仕様の永久カレンダー等に付属するノーマルケースバックもそっけない縦目サテンで無装飾。婦人クォーツの裏蓋も同様である。普通現代時計でノーマルな裏蓋にはどちらのブランドも何らかの装飾を施す事が殆どである。むしろエングレーブが深すぎたり、でっぱりが有って着用時に腕廻りに跡形がついてしまうような物も結構ある。装着感上は無装飾な方が良いので、この点でもパテックは実用性を優先しているのかもしれない。その点では実用性を最優先させているロレックスの裏蓋も手首に触れる部分が円形の筋目サテンのみになっている。
尚、これまでコバルト照射に由来するブルー サンバースト カラー文字盤のみに採用されていた18金素材のダイアルがこの黒文字盤には使用されている。現行のプラチナも含めイリプスは全てゴールドダイアルとされた。

冒頭でも触れた薄いケースサイドの画像。このニューモデルで従来のイリプスには無かった新たな仕様が加わった。リューズの頭にカボションのブラックオニキスがジェムセットされている。今年イリプスで唯一の継続モデルとなったプラチナの5738も含め見られなかった仕様。カタログを繰る限りではメンズコレクションでリューズジェムセットはこのモデルのみとなっている。たったこれだけの装飾ながらこの時計の色気度合いをグッと引き上げている。さらに同時発表された別売のカフリンクスを併せれば完璧なフォーマルが決められるだろう。
この時計はパテックには珍しくチョッとつける人を選んでしまう大人の男専科だと思う。
Ref.5738R-001
ケースサイズ:横34.5mm✖縦39.5mm ケース厚:5.9mm ラグ×美錠幅:21×15mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:RGの他、PT有り
文字盤:エボニー ブラック サンバースト 18金植字インデックス 18金製文字盤
ストラップ:シャイニー(艶有) ブラック アリゲーター
Caliber 240
直径:27.5mm 厚み:2.53mm 部品点数:161個 石数:27個
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
PATEK PHILIPPE 公式ページ
乾
2018年9月27日現在 在庫についてはお問合せ下さい。
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