パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

今年の桜もそろそろ見納め。中々に続編が書けない。ネタはたっぷりあり、店もそんなに多忙でないが何かしら時間が無い。いや、時間の作り方が加齢に従って下手くそになってくるのだろうか。わずかな空き時間を利用して、細切れでもともかく書き進めよう。
尚、本稿の使用画像は全てパテック フィリップ社からの提供画像である。今年は商談室に持ち込んだミラーレスデジタル一眼のホワイトバランス調整に失敗し、ロクな絵が撮れなかった。従来から供給されてきた公式カタログ等に掲載されている時計正面画像は修正されまくりでシズル感がほぼ無く全く好みでは無いのだが、今回入手した画像は修正がなされているものの非常にクオリティが高くバリエーションも結構あって、来年からはサンプル撮影は不要じゃないかと思っている。

Ref.5235/50R-001 レギュレーター・タイプ年次カレンダー
昨年度からパテック フィリップはバーゼルの数日前に新作のチョイ出し(昨年はカラトラバ トラベルタイム ローズゴールド ペアモデル)をやるようになった。今年も3月19日にインスタグラムで今年2月にディスコンになったRef.5235Gレギュレータースタイル年次カレンダーの後継モデルとしてローズゴールド仕立てのRef.5235を、それは心憎いほどに、魅力的に思わせぶりタップリに露出させてきた。画像と動画を見た限りでは、えらく艶っぽい色気のある印象を受けていた。
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現物はかなりギャップがあって、極端に言うと文字盤はほぼダークグレー(グラファイト)とブラックのツートンながら色差があまり無い印象で、黒文字盤と言えなくもない。画像では違いが際立っているが、実際には12時と6時側のインダイアルと文字盤ベースカラーとの色差が非常に少なく感じる。
また生産中止になったホワイトゴールドのシルバー系ダイアル同様に3時位置にPATEK PHILIPPE GENEVEロゴが無着色でエングレーブされているが、これまた本当に目立たない。新作ローズはなおさらその感が強いように思う。大半のパテックコレクションで文字盤センター上に位置されるブランドロゴが、右側にオフセットされている事で左右非対称になるパテック フィリップでは珍しいモデルなのだが、目立たぬロゴでほぼシンメトリーウオッチに仕立直しされているようにも思えた。

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最近、腕時計専門誌のクロノスを読んでいて初めて知ったが、時計自体変更が無くて素材やダイアルの変更だけの場合を"コスメティックチェンジ"と言うらしい。言いえて妙な気もするが、個人的にはこの"cosmetic"という言い回しには少し違和感があるものの他にピッタリくる言い方も思い浮かばないので、当分はこの表現を使わせて頂きます。まさしく今年追加のローズゴールドバージョンがコスメティックチェンジ(お化粧直し版)である。
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Ref.5235/50R-001
ケース径:40.5mm ケース厚:10mm ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:RGWG
文字盤:グラファイト/エボニーブラックのツートーン バーティカル サテンフィニッシュド ホワイト転写インデックス
ストラップ:ハンドステッチ ラージスクエア マット(艶無)ブラックアリゲーター
バックル:PATEK PHILIPPEの刻印付ピン(穴止め式)
価格:お問い合わせください

尚、この時計は少し特殊な専用エンジンを積んでいる。その詳細については過去記事をご参考頂きたい。

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Caliber 31-260 REG QA
年次カレンダー機構搭載マイクロローター自動巻ムーブメント
直径:33mm 厚み:5.08mm 部品点数:313個 石数:31個 受け:10枚
パワーリザーブ:最低38時間~最大48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
脱進機:パルソマックスPalsomax® アンクル、ガンギ車共にSilinvar®製
振動数:3.2Hz 23,040振動
ローター:22金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)


Ref.5231Jー001 ワールドタイム クロワゾネダイアル レアハンドクラフト
2016年にフルモデルチェンジしたワールドタイム。現代ワールドの2代目Ref.5130の円みを帯びたチョッと丸餅が押しつぶされた様なケース形状から1mmケース径をシェイプアップし、クンロクに似たエッジの効いたケースにトラディッショナルなウイングレット(翼状)ラグを持つRef.5230に移行がなされた。
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両者は針もセンターギョーシェ紋様も全く違うし、その他にも細かい差異は多々あるがここでは省く。詳細は過去記事をご覧頂きたい。これらワールドタイムにはセンターギョーシェ部分にグローバルな地図を有線七宝(クロワゾネ)で描かれた特別バージョンの設定があり、代々4桁リファレンス末尾が0でなく1とされてきた。現行では第2世代のままでRef.5131/1P-001のプラチナブレスモデルがあるが、本年は現行の第3世代バージョンにもレザーストラップ仕様でイエローゴールドケースが新たに設定された。センターに描かれる地図モチーフはモデルごとに違っており、今回は大西洋をセンターにヨーロッパ、アフリカそして南北両アメリカがチョイスされている。

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ところでこのモデル初見時に最新世代の5230感がなぜか無かった。帰国後に顧客様と資料をじっくり見ていてご指摘を受けたのが針形状。ありゃりゃ第二世代で採用されていた非常に特徴的な通称アップルハンドではないか。そりゃ古い既視感を覚えたはずだ。
さらに細かい変更点はダイアル外周のシティディスクの都市名で、従来はTokyoと1時間時差のHongkongがBeijingに変更されている。この変更はニューモデルに限らず現行3モデル5230G、5230R、5131/1P-001全てに加えてRef.5930Gワールドタイムクロノグラフも対象で、ランニングチェンジ期間は両方のダイアルが市場に混在することになる。変更理由の詮索は物議を醸しそうなので控えたい。
ところで文字盤の仕様がギョーシェ装飾とは思いっきり異なるがこのモデルもまたコスメティックチェンジと呼んで良いのだろうか。
閑話休題、それでですね皆さんご想像がつくと思われますが、こちらの特別モデルはRef.5131のプラチナブレス同様に買ったり注文したりが中々に困難で、なじみの店を作って相談をするところから始めることになります。目的を果たすために困難を乗り越える過程にこそ楽しみがあるのかも・・・

Ref.5231J-001
ケース径:38.5mm ケース厚:10.23mm 
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:YG,
文字盤:センターにクロワゾネ(有線七宝)装飾
ストラップ:ハンドステッチ ラージスクエア(竹符) ブリリアント(艶有) チョコレート・ブラウンアリゲーター
バックル:フォールドオーバー(折畳み式)
価格:お問い合わせください

Caliber 240 HU
ワールドタイム機構搭載マイクロローター自動巻ムーブメント
直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 受け:8枚 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)


Ref.5905R-001 年次カレンダー搭載クロノグラフ

コスメティックチェンジバージョンを続ける。これまでプラチナのみで展開していた年次カレンダー・フライバック・クロノグラフ。新たにローズゴールドが加わった。ダイアルは濃いめのブラウン。昨年のペアトラベルタイムもそうだが、どうも素材とダイアルカラーにこの組み合わせが増えてきた。
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この時計のルーツは2006年初出のRef.5960Pにまで遡る。パテック フィリップ独自設計開発製造のクロノグラフムーブメント第2弾CH 28-520系の初搭載モデルとしてセンセーショナルなデビューをした初代は数年間は異常な人気が続いた。そして8年が経過した2014年にプラチナ素材モデルがディスコンとなった代わりにステンレスブレスモデルにリプレースされるという大胆なマイナーチェンジがなされた。
翌年の2015年には素材としてプラチナが復活したが、パワーリザーブ、昼夜表示そして12時間計が省かれたスッキリしたニューフェースのRef.5905Pとして登場した。そのデビュー当時はあまりにも文字盤が"シュッと(関西弁:スッキリしたとかコンシャスなの意味)"としすぎてあまり好みでは無かった。だが良いお値段なのに当社の百貨店部門で、この時計はポツポツと嫁いでゆく。今回のローズは18金で多少お財布的にも優しいし、何より色使いがヤバい。暖か味のあるローズの色味と表面が艶っぽい仕上がりのこげ茶ってのは何とも言えぬ色気があって個人的には秘かに好ましい新作だ。

Ref.5905R-001
ケース径:42mm ケース厚:14.3mm ラグ×美錠幅:22×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:RGPT別ダイアル有
文字盤:ブラウン・ソレイユ、ブラック・グラデーション
ゴールド植字バーインデックス
ストラップ:ハンドステッチ ラージスクエア(竹符) ブリリアント(艶有)ブラック アリゲーター
バックル:ピン(穴止め) 
価格:お問い合わせください。

Caliber CH 28-520 QA 24H 
年次カレンダー機構 コラムホイール 垂直クラッチ搭載
フルローター自動巻フライバック・クロノグラフムーブメント
直径:33mm 厚み:7.68mm 部品点数:402個 石数:37個 受け:14枚 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

Ref.5172G-001 手巻クロノグラフ
今年廃番になったプラチナ素材の手巻きクロノグラフRef.5170から品番的に連想されうるバリエーションモデル。エンジンは完全自社設計開発製造(いわゆるマニュファクチュール)の手巻クロノグラフCH 29-535 PS。そして特徴的なラグ形状を持つケースと一段盛り上がったサファイアガラスは一昨年発表され一気に人気永久カレンダーモデルになったRef.5320Gとそっくり。ついでに言うならアラビアインデックスの書体と非常にとんがったペンシルハンド(針)。それらに塗布されている蓄光塗料スーパールミノバの加減もウリふたつだ。
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そして好みが分れるかもなのが、クロノグラフのプッシュボタンの形状。ヌーベルレマニア最終搭載のRef.5070から自社エンジンに積み替えられたRef.5170に至るパテックの手巻きクロノグラフのアイコンとも言えたスクエア形状に上下両面サテンフィニッシュ。ところがニューフェイス5172では小ぶりな丸いプッシュボタンが採用されている。プッシュ面には放射状のギョーシェ装飾がなされてアクセントになっている。
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現行のクロノグラフラインナップではRef5960/01Gや5961系の自動巻フライバッククロノグラフもこの形状のプッシュボタンを持つ。しかし前述もした派生モデルと言えるRef.5905系はケース形状は5960に酷似するがプッシュボタンはスクエアシェイプが採用されているので厳密なルールがあるわけではなさそうだ。さらにもう一つ大事な永久カレンダー5320との共通点が割安に感じる価格設定。詳細はお問い合わせ頂きたいが、なぜかこのケース形状が採用されると同じエンジンを搭載する兄弟モデルより結構お得感があるプライシングとなっている。ストラップはカラトラバ・パイロット・トラベルタイムから採用され始めたカーフスキンの濃紺にかなり太めの白糸がラフな感じでステッチされており、全体の印象はかなりカジュアルな仕上がりとなっている。
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当店でもパテック フィリップの顧客にかなりお若い方が増えてきている状況を考えると、これまでの手巻きクロノモデルは少し古典的な印象があって、50歳半ば以上がターゲットだったのかもしれない。尚、文字盤はニス塗装ブルーとマットな表面感でカラトラバ・パイロット・トラベルのホワイトゴールドと同色の青、ストラップは文字盤に近似な青色で表面感もマットな仕上がりとなっている。しかし、最近のパテックは青が多いなァ~

Ref.5172G-001
ケース径:41mm ケース厚:11.45mm 3気圧防水
ケースバリエーション:WGのみ
裏蓋:サファイアクリスタル・バック
文字盤:ニス塗装ブルー文字盤 タキメーター目盛
蓄光塗料(スーパールミノバ)付きゴールド植字アラビアインデックス
ストラップ:ネイビーブルー・ハンドステッチ・カーフスキン
バックル:フォールドオーバー(折畳み式)
価格:お問い合わせ下さい。

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Caliber CH 29-535 PS:コラムホイール搭載手巻クロノグラフムーブメント
直径:29.6mm 厚み:5.35mm 部品点数:270個 石数:33個 受け:11枚 
パワーリザーブ:最低65時間(クロノグラフ非作動時)クロノグラフ作動中は58時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:ブレゲ巻上ヒゲ
振動数:28,800振動

この調子だと4月中に新製品全部を紹介できるのだろうか。たぶんあと2回は必要で、次回はメンズの完結編を予定。まあ気長によろしくお付き合い下さい。

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾 画像:PATEK PHILIPPE SA提供(※一部加工有)

バーゼルからは3月26日の火曜日に帰国した。現地3泊4日だが実際には3泊2日?とした方が正しい弾丸ツアー。使い慣れたキャリアKLMでアムステルダム経由バーゼル空港への往路は、オンラインチェックイン時にわずか5万数千円でビジネスにアップグレードで楽々だった。復路も大いに期待したが、これが叶わず昨年末に予約済みのEXIT ROW SHEET(非常口横の離着陸時に客室常務員とお見合いする特別席)。関空からの帰りは、数年前から恒例にしている帰国報告を兼ねた墓参りで大阪市内の菩提寺にワンバウンド。さらに帰路途中の「うなぎの豊川(東花園駅近の本店の方)」で特上うな重を頂き思いっきり″和"モードに切り替えて店に戻った。

予想はしていたが留守中にあっちコッチから、メールや電話で「あのモデルは予約できるか?」「こっちはどうやねん?」かしましくも嬉しいお声がかりを多数頂戴していた。帰国当日は時差ボケひど過ぎで返信しきれず、翌日は定休日ながら出社する羽目になった。ここの処のパテック人気は本当に"うなぎ登り!!"有難いかぎりだ。
長すぎる前置きはこの程度にして、バーゼル訪問記も後日として、とにかくニューモデルをご紹介。

メンズ:時計10型+カフリンクス1型

グランドコンプリケーション

Ref.6300G-010 グランドマスター・チャイム  レア ハンドクラフト


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今年2月に生産中止発表された(黒文字盤)のニューカラーの青文字盤仕様。この手の超絶系やレアハンドクラフトは展示はされているが我々もガラス越しに鑑賞するだけで商談室で手にする事は無い。帰国後6300G新色の画像を取っていない事に気付いたがもう遅いのでPPの提供画像。サボっとるナァ!
ところで下のスペックを書くために調べていたら意外にもこの腕時計がコレクション最厚ではなかった。Ref.6002Gスカイムーン・トゥールビヨンが17.35mmでチャンピンだった。

Ref.6300G-010
ケース径:47.7mm ケース厚:16.07mm 反転機構搭載(リバーシブルウオッチ) 非防水
ケースバリエーション:WGのみ
時刻側文字盤:ブルー・オパーリン ゴールド植字ブレゲ数字インデックス
センターに手仕上げのギヨシェ装飾(クルー・ド・パリ) 
カレンダー側文字盤:ブルー・オパーリン
両面共に18金製文字盤
ストラップ:ブリリアント・ネイビーブルー・アリゲーター
バックル:フォールドオーバー
価格:定価設定はありませんので少しお時間を頂きますが、目安についてはお問い合わせください

Caliber 300 GS AL 36-750 QIS FUS IRM
直径:37mm 厚み:10.7mm 部品点数:1366個 石数:108個
パワーリザーブ:時計機構72時間 チャイム機構30時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:25,200振動 手巻きさらに詳細なスペックについては公式HPにて

Ref.5078G-010 ミニットリピーター レアハンドクラフト

5078G_010_600.png※画像はパテックブースのウインドウディスプレイをガラス越しにiPhone7で撮影。撮影環境としては厳しい!
2005年からのロングセラーミニットに新顔が追加された。文字盤は黒本七宝(エナメル加工)をした上からレーザー加工で紋様が浅く刻まれている。過去にこの手法は記憶に無い。あくまで個人的にはあまり好きではないが、簡単には発注のできない激レアモデルである事には間違いない。

なぜか昨年までは無かったRare Handcraftsの表記がカタログに記載されるようになったが、上記2点は人の手でギョーシェマシンやレーザー加工具を操っているとはいえ、純粋な手彫りでは無いし、見た目もレアハンドと言うには個人的に多少違和感が有る。本来のレアハンドは全てがユニークピースのはずで、焼きムラや色ムラ、そして彫りムラ・・とムラッ気が有ってこそな気がする。それぐらいクロワゾネやハンドエングレーブには人の手によるぬくもりが宿っていて、ガラス越しであってもビンビンとそれが伝わって来る。至福のひと時を年に一度味わえる幸せがバーゼル詣の楽しみの一つだ。

Ref.5078G-010
ケース径:38mm ケース厚:110.18mm 非防水
ケースバリエーション:WGのみ
裏蓋:サファイアクリスタルバック ※ノーマルケースバック付属
文字盤:マット仕上げと光沢仕上げの本黒七宝 ゴールド植字 18金製文字盤
ストラップ:ブリリアント・ブラック・アリゲーター
バックル:フォールドオーバー
価格:定価設定はありませんが、少しお時間を頂き目安については問い合わせいたします

Caliber R 27 PS
直径:28mm 厚み:5.05mm 部品点数:342個 石数:39個
パワーリザーブ:最低43-最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)


Ref.5520P-010 アラーム・トラベルタイム
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現行モデルでアラームウオッチは今回黒から青に文字盤チェンジしたグランドマスター・チャイムRef.6300だけである。ここに2番目のアラームウオッチとしてトラベルタイム機構とドッキングさせた非常に実用性の高いタイムピースが完成した。近い将来に実機を撮影したり、記事を作成する可能性が無いとは言わないが簡単では無い気がする。その点では昨年のノーチラス永久カレンダーとは人気の質は異なるだろう。今、書いておかねば・・
この時計で最も感心したのがセーフティ機構と言うか、取扱いでそんなにデリケートにならなくても良い点だ。超絶グランドコンプリのグランドマスター・チャイムは操作上で13のしてはいけないお約束があって、説明する側も聞く側も結構大変らしい。アラームのセットだって15分後とかは無理で最短でも30分以上はあとの時間しかセット不可能だ。まあサイズからしても実際に使用するというよりコレクションして愛でるお宝であろう。それに対してGMT機能+アラームというのは旅のお供としては相性抜群の組合せだ。
言わずもがなデザインは2015年ホワイトゴールドで初出し、昨年ローズゴールドが追加された人気モデルRef.5524に瓜二つだが、ニューモデルに特徴的な4本の角?を説明しよう。時計に向かって左側2本は従来のトラベルタイム操作用プッシュボタン。右側の上はアラームONとOFFをプッシュの度に切り替えて、ON時には12時下の小さ目のベルマーク窓が白くなる。OFFは黒でベルは見えない。このプッシュボタンにもトラベルプッシュ同様に誤作動防止の為に90度回転ロックシステムが採用されている。
文字盤上部にあるチョッと小ぶりなダブルギッシェ窓には特許申請中のアラームセット時間がデジタル表示される。4時位置のリュウズは時計回りでアラーム用ゼンマイを反時計回りで時計本体用のゼンマイを巻き上げる。さらに一段引きでアラームを15分刻みでセットするが、昼夜の判断はダブルギッシェ直下のこれまた小ぶりな●窓が白で昼、夜間はトラベルタイム丸窓同色の紺色となる。尚昼夜は朝と夕いづれも6時で切り替わる。驚く事にこのアラームセットは、例えば1時14分に一分後の1時15分のセットが可能。実際にはセットにもたつくだろうから数分前のセットが現実的だろう。時刻変更と組み合わせて使えばグランドマスター・チャイムには出来ないカップヌードルの3分待ちにだって使える優れものである。防水性もパテックの鳴り物系時計としてはパテック初の3気圧を獲得している。
この鳴り物アラームには時計ケース内側を一周するクラッシックゴングが通常のリピーターの様にムーブ側では無く、ケース側に取り付けられる事で、密閉度の高い防水ケースよる音質の劣化が防がれている。音質はミニットリピーターの2種類の音源の高音側のハンマーがセットされていて35秒から最大40秒間(個体差が有る)でほぼ2秒当たり5回の割でチャイムを打つ。音はゼンマイのトルク変化にかかわらず等間隔で鳴らされる。これはパテックがミニットリピーターで磨き上げてきた遠心ガバナー(フィギュアスケートのスピンで両手を体に密着させるほどに高回転になるのと同原理)技術によるものだ。加えて言えば、高回転するガバナーはどうしても空気摩擦で雑音を発するが、パテックはこれを独自の技術で究極に排除する事で澄み渡ったリピート音を獲得している。この点において他ブランドを圧倒的に凌駕している。と、個人的に思っている。
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※上下画像はいづれもパテックブース外周りの全ムーブメント(圧巻)展示コーナーで搭載するキャリバーNo.をセレクトすると10秒程度流れるデモ動画(下参照)から


通常のシンプルなミニット リピーター ムーブメントの構成部品が大体300個強に対して、Ref.5520のそれは574個というとんでもない構成部品で作り上げられている。それでいて兄弟モデルとも言えるアビエーションスタイルのRef.5524カラトラバ・トラベルタイム(42mm径、10.78mm厚、部品総数294個)とに比較してわずかに大きく収めてきたパテックの技術陣は凄い。採用ケース素材がプラチナでありながらミニットリピーターのエントリーモデルを結構下回る価格がPOR(Price on request)ではなく定価設定されている事も驚異的で、「いつかはパテックの鳴り物を」という方は是非とも検討に値するであろう今年の絶品モデル。

Ref.5520P-010
ケース径:42.2mm ケース厚:11.6mm 防水性:3気圧
ケースバリエーション:PTのみ
裏蓋:サファイアクリスタル・バック ※ノーマルケースバック付属
文字盤:エボニーブラック・ソレイユ 蓄光塗料塗布ゴールド植字アラビアインデックス
ストラップ:マット・ブラック・カーフスキン
バックル:クレヴィス・プロング・ピンバックル
価格:お問い合わせください

Caliber AL 30-660 S C FUS
直径:31mm 厚み:6.6mm 部品点数:574個 石数:52個
パワーリザーブ:最少42時間 最大52時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金センターローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

最初は一回で新作をすべて紹介と思っていたが、グランドコンプリケーションだけでふらふらになっとりますので、次回はコンプリケーションからとしたいが、さて一体何回で終われるのやら・・

撮影、文責:乾













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バーゼルワールドまで一週間を切った。例年のことながらソワソワと落ち着かない今日この頃。毎年バーゼル開催初日(本年は3月21日木曜日)にはパテック社の公式HPにて発表されるニューモデルについて即日ブログ記事を書いてきた。実機サンプルの初見前なので過剰な期待モデルがあれば、秀作モデルを見落したりもする。
本当は出発前のPCモニター画像ではなく、現地でいきなりご対面が先入観なしに評価でき、それが一番と思っている。でも、どうしても我慢できずに見てしまうのが人情であり、パテックラバーの性ではある。
しかしながら本年は出来るだけ初見での素直な評価を大事にして変な先入観を排除すべく、敢えて出発前に速報をブログアップしない事にした。
寡作傾向は今年も継続されるのか、大量の生産中止が発表されたカラトラバの再構築はどうなるのか。昨年、久々に新作がリリースされたノーチラスとアクアノートは、また数年間の新作ブランクとなるのか、アニバーサリーとしての創業180周年、トラベルタイム(1959年初出)の60周年はチョッと弱い気がするし昨年パテック唯一のローズゴールドのペアモデルが発表されているし・・・興味の種は尽きないのだ。
でも今年は帰国後に現地での撮影画像も添えて、念入りに新作紹介ブログとバーゼル訪問記を書きたいと思っている。年間のブログ記事で最もアクセスも多いニューモデル紹介、鮮度も大事だが、実機を拝見しながら説明も聞くことで充実した実のある記事にできれば・・と思っております。

前回記事のノーチラス永久カレンダーと同様に2018新作で納期が遅れ気味で入荷が悪かった年次カレンダーの新色文字盤モデルRef.5205G。文字盤上半分に円弧形で3個の窓表示(aperture:アパーチャー)のカレンダーディスプレイがレイアウトされた独特な年次カレンダースタイルの初出は2010年。
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1996年に年次カレンダーファーストモデルが永久カレンダーの省略版ではなく、全く新しい歯車で構成する設計で開発された経緯は何度も紹介してきた。その進化系として針表示からよりトルクの必要なディスク表示によるダブルギッシェ(文字盤センター直上に左右隣接窓)スタイルのRef.5396が2006年に年次カレンダーの次男として追加リリースされた。ダブルギッシェレイアウトは1940年代から約40年間に渡って、永久カレンダーの代表的な顔として採用され続けたパテックの看板スターのマスクだ。その偉大なレジェンドを現代パテックの実用時計最前線に投入してきた事にパテック社の年次カレンダーに掛ける本気度合いを思い知らされた。

第3世代の5205のダイアルレイアウトでは、大きな窓枠が用いられる事で視認性がさらに高められた。またケース形状も大胆なコンケーブ(逆ぞり)ベゼルが表裏とも採用され、4本のラグには大胆な貫通穴が穿たれており、すこぶるモダンでスタイリッシュな3男が登場したわけだ。この斬新なケースデザインは、2006年の自社開発クロノグラフムーブメント第2弾CH 28-520 IRM QA 24Hを搭載して登場し、一躍人気モデルになったRef.5960Pにそのルーツを持つ。以降パテックコレクションの革新的なモデルに次々と採用され続けているアバンギャルドなフォルムだ。
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画像は2015年撮影分(5205G-010)流用。
実はこのブルー・ブラック・グラデーションという文字盤カラーに極めて近いダイアルカラーを持つモデルがある。残念ながら今年生産中止発表されたプラチナ製手巻クロノグラフRef.5170P。2017年に発表され個人的に大好きなこのモデルの文字盤色(日本語表記:ブラック・グラデーションのブルー・ソレイユ、英語表記では同一)と同じだろうという事で、昨年の発表時には大きすぎる期待を持ってバーゼルでの出会いを楽しみにしていた。履歴書や釣書(今や死語か)の写真でもよくある事ながら期待過剰で現物と対面すると今一つピンと来ない事が多い。この5205Gも同様で、実は対面後の個人的評価はあまり芳しい物ではなかった。恐らくバーインデックス内側の極細に抉られた円周サークルで内と外が分断される事で、面積的に5170Pのように濃青から黒色へのグラデーションがリニアに感じられないからだと思う。

この事は昨年夏の当店展示会で再開した展示サンプルでも、ほぼ同様の感触を得ていた。ところが改めて実機を撮影するために、じっくり眺めなおしてみると結構いい色なのである。一枚目の画像は結構にグラデーションが出た写り方なのだが、むしろグラデをさほど意識せずに単純なモノトーンカラーとして見た時に実に秀逸で高貴な濃紺の文字盤である事に改めて気づかされた。
従来機の文字盤チェンジモデルなのに入荷スピードが今一芳しく無かった要因は、文字盤供給だとしか思えない。たしかグラデーションを表現する吹付塗装はすこぶる微妙な手作業と聞いた。歩留まりも非常に悪いのだろう。


この時計敢えて欠点を言えば、少しスタイリッシュに過ぎる文字盤が、結構ファッションスタイルを絞り込んでしまう事かもしれない。フォーマル過ぎず、カジュアル過ぎずのスーツスタイルが基本。でも白シャツに濃紺スーツというビジネスシーンでの普遍にして王道に、これ以上心強い相棒はいないだろう。

Ref.5205G-013 年次カレンダー
ケース径:40.0mm ケース厚:11.36mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGRG別ダイアル有
文字盤:ブルー ・ブラック・グラデーション、ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブリリアント(艶有)・ブラック アリゲーター 
バックル:フォールディング(Fold-over-clasp)
価格、在庫:お問い合わせください


搭載キャリバーは21金フルローターを採用したパテックを代表する自動巻きCal.324に年次カレンダーモジュールを組込んでいる。
カレンダー系の操作は禁止時間帯等あって気を使うが、パテックの場合は殆どの物が午前6時(例外あり)に時刻を合わせてプッシュ操作を行う。ムーンフェイズはいつもネット検索して確認していたが、パテックHP内にある確認ページが結構便利である。
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Caliber 324 S QA LU 24H/206

直径:32.6mm 厚み:5.78mm 部品点数:356個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
PATEK PHILIPPE 公式ページ

撮影、文責:乾

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ノーチラスの撮影はいつも簡単。ほんとに早い。ケースとブレスにサテン仕上げが多くて映り込みが非常に少ない。文字盤も微妙にマット調の仕上がりなので何も工夫せずともしっとりと美しく写ってくれる。上の画像も下の少し寄り気味にしてダイアルのグラデーションを少し表現したカットも埃の除去以外は、全く画像修正をしていない。もちろん時計そのものが抜群に美しく、素晴らしいブルーカラーがあってこそなのは言うまでもない。ちなみに画像中央下部の青い奇妙な映り込みはバックルの保護シール。

パテック社の期初は2月からなので今期の初荷が、待ちに待ったノーチラスの永久カレンダーだったのは何とも喜ばしい。本来は昨年のニューモデルなので、前期末の1月末までに入荷予定だった。しかし入荷状況が非常に悪いとはPPJからは聞いていたので、ご注文者様にもしばしのご辛抱をお願いしていた。結果的には10日程度の納期遅れでの入荷となった。
ところが残り物には副が有るようで、このたったの数日の遅れには小さなサプライズが付いてきた。チョッと此処には書けないが、店頭でならお相手次第ではお話出来るかも。
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このモデルの遺伝子は3年前のノーチラス発売40周年に当たる2016年に記念限定でリリースされた2モデル。すなわちWG素材でジャンボサイズが採用されたフライバッククロノグラフRef5976Gとノーマルサイズでプラチナ素材の3針モデルRef.5711/1Pの両モデルと全く同一な文字盤色となっている。上の画像では人気のSSノーチラス5711と5712のブラックブルーダイアル程ではないがブルーの濃淡がハイライトとシャドウに浮いて出ており魅惑的な表情を見せている。
さて複雑機能を備えている事とWGでの同一素材という点で今回の永久カレンダーモデルは、3年前の限定クロノグラフモデルにより近しいと言える。しかしながら決定的に違うのはそのケースサイズである。クロノグラフはセンターローター自動巻機構と垂直クラッチ方式でクロノグラフへトルクを伝達するスタイルが採用された厚み(6.63mm)のあるCal.CH28-520が搭載された。結果ケースの厚みも12.16mmとノーチラスでは最厚に近い厚みが有った。さらに定番のクロノグラフ5980系が機能付きノーチラスの主要サイズである40.5mmに収まっているのに、敢えて44mmというジャンボサイズにアップサイジングされた。かくして312グラムという筋トレにも使えそうなヘビー級の時計が出来上がった。これに対して5740はグランドコンプリケーションにもかかわらず40mm径というシンプル系ノーチラスと同サイズが採用された。さらに驚くのはその厚みで、シリーズ最薄モデルの3針5711にたった0.12mm加えただけの8.42mmに仕上げられている。これは従来の永久カレンダーモデルにも多用されている極薄ベースキャリバーCal.240の貢献が大きい。この22金のマイクロローター方式の名キャリバーの設計は1977年にまで遡り、40年以上もパテックコレクションの主要エンジンとして現役バリバリである。パテックムーブメントには本当に長寿命のものが多い。

このCal.240ベースの永久カレンダームーブは通常ケースサイドにあるコレクターと呼ばれるプッシュボタンで各カレンダーの調整を行う。下図の左が従来のラウンドケースの永久カレンダー。四か所にプッシュボタンA~Dがあるが、C,Dのボタンは曜日と日付ディスクの直近にあってアクセスが非常に良さそうだ。A,Bは対応する日付と月・閏年ディスクから離れてはいるがプッシュボタンを押す方向はムーブメント内側に向かっている。
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右のノーチラスケースではその独特なケース形状から9時位置の曜日調整のCボタン以外の三つのボタンは、ブレスレットの付け根付近にリプレースされている。さらにBボタンの矢印のようにあくまでプッシュ方向はケース面に垂直にせざるを得ないのでムーブメントの外縁辺りしかアクセスしえない。パテックはこれを解決するために直線的にディスクへ直接アクセスするのではなく、途中で方向転換する為の特殊な伝達機構を設けてこの問題を解決したようだ。恐らくこのニューモデルの納期が、遅れ気味になったのはこの調整部分の作りこみに手間と時間を取られたのではないかと思っている。
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左が9時側、右がリューズ側のケースサイドビュー。コレクタープッシュボタン位置とケースとブレスレットの薄さに注目。3針モデルの5711/1Aと見た目に違いが無い。ちなみに同じベースキャリバーCal.240にパワーリザーブとムーンフェイズを乗せた人気モデルの"5712通称プチコン"のケース厚は8.52mm。カムやらレバーやらメカメカしい大道具が詰め込まれたモジュールが組み込まれた永久カレンダーの方が僅かながら0.1mmケース上で薄く仕上がっているのが凄い。さらに言えば現行のパテックフィリップ永久カレンダーラインナップで最薄モデルである。今年生産中止が発表されたクッションケースのRef.5940の8.48mmがそれまでのチャンピオンだったが、僅かながらそれを凌いでいる。スポーティなスタイリングや防水仕様から何となく骨太で厚みもありそうな印象をノーチラスは漂わせているが、ジェンタ考案の耳付き構造ケースは薄いムーブを究極に追い込んで包み込んでしまうようだ。
さて、一昨年(たぶん)迄はパテックの永久カレンダーには通常モデルのコレクションボックスではない少し大きめのワインダー内蔵タイプのボックスが用意されていた。昨年度からはこのボックス型ではない専用の独立したワインダー(SELF-WINDER CYLINDER)が用意されるようになった。
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交流電源ではなく単4リチウム/アルカリ電池を4本内蔵しておりその寿命は2500時間。フルローター自動巻キャリバー324ベースの永久カレンダーでは一日当たり960回転でおよそ2年で電池交換。巻き上げ効率で多少劣るマイクロローターのCal.240とR27ベースの場合は1日に1440回転となっているので、記載は無いが一年半という事になるのか。尚、出荷段階のデフォルト設定は1440回転で、本体のスイッチはスタートのオンオフだけしかできない。324ベースキャリバー用の960回転への設定変更は、スマートフォンにAPPまたはグーグルプレイから"PP Cilinder"のアプリをダウンロードし、ブルートゥースを介して操作することになる。個人的には何で此処だけ急にデジタルチックにするのかが不可解である。単純に切り替えスイッチ一個で済ませば良いのに・・まあ個人所有のスマホには既にアプリはダウンロード済みではあります。いやいや、永久カレンダーは持っていません。将来のお客様サポート用です。

今回はご購入のお客様のご了解を得て、実機撮影が叶い記事も書けた。本当に感謝しております。ありがとうございました。
尚、かなりの高額商品にも関わらず顧客様のウエイティングがそこそこ有って、ご新規様の新たなご予約は困難な状況です。ご販売を必ずしもお約束出来ないご登録は店頭でのみ受けております。悪しからずご了承ください。

Ref.5740/1Gー001 自動巻永久カレンダー
ケース径:40mm ケース厚:8.42mm(永久カレンダーラインナップ中最薄、2019年2月時点) 
防水:60m 重量:205g
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤: ブルー サンバースト 蓄光塗料塗布のゴールド植字インデックス
バックル:ニュータイプ両観音クラスプ
裏蓋:サファイアクリスタルバック ※ノーマルケースバックは付属しません。
付属:セルフ-ワインダー シリンダ―(自動巻き上げ機)
価格:お問い合わせください

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肉眼だと
並べなければステンレスとの色目の違いが解りづらいが、画像撮影すると結構な黄味を帯びていることがわかる。個人的にはステンレスやプラチナのピュアな銀色と違って温かみがある色だと思っている。永久カレンダー機構は総て文字盤側に組まれているので、スケルトンバックから望むのはCal.240の見慣れた後ろ姿だ。

Caliber 240 Q 

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:275個 石数:27個 受けの枚数:8枚
パワーリザーブ:最低38-最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

撮影、文責:乾

インスタグラムアカウントinstagram作成しました。投稿はかなりゆっくりですが・・

今年は少し早かった。昨日、次の記事が生産中止だろうと書いたが、翌日(2/2)に早くも通達がやってきたわけだ。皆さんご興味のある所なので、例年のごとく後日加筆覚悟でさっそくご紹介。

斜体文字のRef.は今日現在で当店在庫有り。尚、生産中止発表後にひょっこりと対照モデルが入荷することがある。客注の場合も、そうでない場合もある。あくまで2019年のどこかで生産を打ち切る予定リストなので、現在仕掛かっている製品もあるだろうし、これから仕掛かり年度内に出荷もあるかもしれない。希望的とは言えないが本発表が、即絶望とも言い切れない。一生懸命探しますので、ダメもとのお覚悟ならお声がけください。よろしくお願いします。(2/3加筆)


メンズ31型


超絶系?
6300G-001グランドマスターチャイム
ミニットリピーター
5539G-0105304R-001
※3モデル全て時価(Price on riquest)
6300_5539_5304_341_b.png
スプリットセコンドクロノグラフ
5204P-0115950R-001 ※2モデル共に時価(Price on riquest)
永久カレンダー
5940R-001
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年次カレンダー
5146P-0015146/1J-0015146/1R-0015146/1G-0015146/1G-010
5235G-0015396R-0125396G-0145396R-014
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クロノグラフ
5170P-001
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カラトラバ
5119J-0015119G-0015119R-001
5296G-0015296R-0015296G-0105296R-010
5227G-0015153J-0015153G-0105153R-001
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5296G_001_R001.png
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ゴンドーロ
5124J-0015124G-011
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ノーチラス
5726/1A-0015726/1A-010
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2017年度27型、昨年2018年度が20型、そして今年が31型。今年は大量ディスコンの年だ。永久カレンダーまでのグランドコンプリケーション6型はこんなもんでしょう。6300グランドマスターチャイムは恐らく世界中で現実的にオーナーになりたい方(なれる方)の受注が一通り終わったのか。通称TVスクリーンと呼ばれる個性的かつ人気の永久カレンダー5940はリファレンスそのものが姿を消すことになった。ラトラパンテの5950も無くなってクッションケースがラインナップからグッバイする事態になった。
年次カレンダーはややマニアックなモデルとそんなにご要望のなかったメタルブレスがごっそりと鬼籍に入った。ノーチラスを除きメタルブレスは、ほぼ絶滅危惧種になりつつある。
個人的にお気に入りの手巻きクロノ5170Pは2年で姿を消す。結構将来の資産価値が期待できるレアモデルだったりして。
そして衝撃のカラトラバ。11型のドロップが今年の大量ディスコンの根幹だ。昨年の5116Rに続いてクルドパリベゼルの名作5119が全モデル生産中止。同じくド定番のクンロク自動巻5296も4型全廃となった。あまりにお気の毒で掛ける言葉もありません。ハンターケース系はオフィサータイプの5153が全部サヨウナラ。
ゴンドーロはメンズで唯一残留していたレクタンギュラーケースの5124が消えてレディスオンリーのシリーズとなってしまった。ああバッサリ!(2/3加筆)
さらに衝撃はノーチラスにも、しぶとい人気の年次カレンダーステンレスブレス2色が鬼籍に入ってストラップモデルのみ徳俵で残った。

レディス12型

コンプリケーション(ムーンフェイズ)
7121/1J-0014968/400R-001
7121_1J_4968_400R.png
カラトラバ
4899/900G-0017122/200G-0017122/200R-001
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ノーチラス
7018/1A-0017018/1A-0107018/1A-011
7014/1G-0017014/1R-0017021/1G-0017021/1R-001

7018_1A_001_010_011.png

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レディスの12型も、2017年度10型、昨年2018年の6型から見て結構な見直しとなった。ただその内半分はかなりな宝飾モデルで目垢も付きやすく、買うべき方が一巡すればあまり長く継続すべきではないだろう。個人的にはステンレスノーチラス自動巻で33.6mmと小ぶりで日本人にグッドサイズだった7018全廃は残念だ。

数年に渡る大胆なラインナップ見直しの一方で、昨年の新製品はメンズ12型、レディスはたった3型。一昨年2017年はそれぞれ17型と8型なので近年は寡作化が進行している。結果コレクション全体がシェイプアップされ続けている事になる。かといって生産能力はリストラされている訳ではなく、新工場を現本社工場に隣接して建設中であり、二年ほど前のスイス時計産業不振時期には他の時計コングロマリットが放出した技術者達を積極的に雇用したパテック社の生産余力はむしろ充実傾向にある。
理由として考えられるのは、P社自身も唱えているさらなるクオリティアップ。そしてアフターサービスの充実あたりだろう。決して1モデル当たりの生産本数を全体に底上げするような事はして欲しくないと願っている。
しかし毎年感心するのは、どこの誰がリーク元か知らないが、年末あたりから真しやかに流れている根も葉もない(と言い切れるのか?)生産中止の怪情報がほぼ十中八九的中している事である。そして僅かながら2019新製品の怪情報も添えられているのだが、さすがに現段階では立場上言及できない。ただし本当ならとっても嬉しい内容なのだが・・
今年のバーゼルは3月21日(木)から開催される。例年通りであれば9時間時差のある現地21日午前0時(たぶん)、日本時間午前9時にはP社公式HPで新製品の全貌が発表されるはずだ。個人的には大きなまとまりを欠いたカラトラバシリーズのラインナップ再構築が最も気になるところである。(2/3加筆)

今年はカタログへのリンクだけではなく、判りやすく商品画像も貼る予定。考察ももう少し書き足したい。でもこの手の情報は鮮度が命なので取り急ぎひとまずアップ致します。明日以降加筆予定。速記記事ゆえ多少の誤字・リンク誤りはご容赦ください。

文責:乾

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ついこの間、雑煮とおせちを頂いたばかりなのに目も前に鰯と恵方巻がちらついている。なんという時の流れの早いこと。一か月は1時間で言えば5分に値するが、この間何をしたと言う訳でもないが、店は結構賑わいもあってお陰様な結果が残せそうである。感謝!感謝!
一月末はパテックフィリップにとっては節目で会計年度の年度末に当たる。ロレックスなどは年度末(12月末)が近づくと入荷が少なくなる傾向があったが、パテックはこの12月から1月にかけて入荷がすこぶる良かった。多くが客注分とイレギュラーの店頭分の入荷。パテックの売上げというのは客注商品の入荷次第というところがあるので全国的にここ数ヶ月は相当な売上げに成っているはずだ。

今回はそんな状況で入荷してきた年次カレンダー2本を紹介したい。まずは1996年の年次カレンダーデビューモデルRef.5035のダイアルレイアウトを引き継ぐ血族直系であるRef.5146。ローズゴールドケースにクリーム色のラッカーで仕上げられた文字盤がセットされた何とも優し気なカラーリングの一本。
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このモデル自体は既に紹介済みなので細かくはそちらを見ていただくとして今回は文字盤のデザインについて少々掘り下げてみたい。
文字盤中心から少し上に左右に並ぶ"曜日"と"月"の指針表示は古くからパテックが永久カレンダーで採用してきたレイアウトパターンなのだが年次カレンダーのそれは、両サークルがかなり寄り目でかつセンター指針と一直線では無く上側にシフトされている点で、似て非なる印象を受ける。
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1996年にファーストモデルとして発表されたRef.5035からこの部分は変更がなく、このモデル系列の決定的な遺伝子的要素と言える。6時位置のディスクスタイルの日付表示も同様である。進化した点は1998年に業界に先駆けて初採用された12時直下のパワーリザーブ機構である。パテックにはともかく"時計業界初"が多い。同時にムーンフェイズも追加されて、それまでの24時間表示位置に取って代わって備えられるようになった。その結果パワーリザーブ表示に追いやられたブランドロゴが行き場を失ってダイアル下部の6時位置に配された為に24時間表示が、そのとばっちりで消去されてしまった。
しかし、中央より下側にブランドロゴがレイアウトされるのはかなりレアケース。現行モデルではセレスティアルシリーズとノーチラスのトラベルタイムクロノグラフRef.5990のみだ。ダイアルセンターの右側にエングレーブでロゴ配置されるのが、12時側にも6時側にもスペースが全くない年次カレンダーレギュレーターのRef.5235G。また超絶系のリバーシブルウオッチのグランドマスターチャイムRef.6300はカレンダー側(裏側?)にはスペースが全く無く、時間表示サイド(表側?)のセンター指針の両側に振り分けてかろうじてロゴを表示している。極めつけは文字盤に全くスペースが無いためにベゼルに無理やりっぽく刻印されるプラチナのワールドタイムRef.5131P。多軸やディスプレイが多すぎるのも悩みのタネのようでデザイナーの苦労もさぞやと思う。
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最後にこのモデルのセールストークを少し。現在年次の定番は3型あるが、パワーリザーブ付きの5146が価格的には一番お買い得である。他の2モデルは同素材なら価格も同じでケースが凝っているRef.5205が通常尾錠、ごくノーマルなクンロクケースを纏うRef.5396(後述)が折畳み式バックルの違いがある。折畳みバックル付きの5146はRG・WG素材なら両者に比べ税別約70万円以上お安い価格設定。この価格差は魅力だ。


Ref.5146R-001 年次カレンダー

ケース径:39.0mm ケース厚:11.23mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:RG WG(別ダイアル有YG(別ダイアル有) PT ※別途ブレスレットモデル有り
文字盤:クリームラッカー、ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートブラウンアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:お問い合わせください。
在庫:2019年2月1日現在有ります。

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Caliber 324 S IRM QA LU

直径:30mm 厚み:5.32mm 部品点数:355個 石数:36個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)


さて、今回は二番煎じで中身が薄い分、もう一服としてさらに年次カレンダー入荷モデルを追加紹介。
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2006年に年次カレンダーの2番目のシリーズとして発表されたRef.5396。通称ダブルギッシェ(二つの小窓)と言われるセンター指針の直上に左右に狭い間隔で"曜日"と"月"が並ぶレイアウト。もともとは1900年代半ばから1980年代までもっぱらパテックの永久カレンダーのド定番顔として採用され続けていた由緒正しいマスクである。その特徴的なレイアウトはそのままに6時側インダイアルで針表示していた日付をより実用的な小窓のディスク表示にし、インダイアル指針は24時間表示として時刻合わせをすこしでも容易にする機能を持たせた。この伝統的なレイアウトはクロノグラフと組み合わされる永久カレンダーではずっと採用され続けている。しかしシンプル永久カレンダーとしては2017年発表のRef.5320で久々にリバイバルされたのが記憶に新しい。
さて、しばしば触れているがわが愛機はこのモデルのローズゴールド版である。早いもので愛用歴は3年半になる。精度も調子もすこぶる良いのだが、少し小言もあって、まず搭載キャリバーののCal.324は現在パテックの主流のフルローター自動巻ベースムーブメント。だがパワーリザーブが最大で45時間しかない。10年前なら常識的な長さだが今日に於いては少々短い気がする。72時間駆動するグランドセイコーの愛機と交互に着用することが多いが、たった28時間の差が実用度合いに大きく影響する。
2番目には時間合わせ運針がローギヤで辛気臭い。輪列保護の為にはこのローギヤードが良いのだろうけれど高級実用ブランドであるロレックスやグランドセイコーと比べ非常に遅い。車で言うと2速と4速くらいの違いを感じる。特に年次カレンダーの場合パワリザ不足からの止まった場合は1~2日の遅れであれば一々小さなコレクターを何か所も調整するよりも時刻を手動で進めた方が楽なのだが、忙しい出勤前などはこれが何ともまどろっこしい。近い将来の改良を願う。
そして自分の不注意から一か所不調を抱えている。月齢の調整コレクターがサクサクと押せないのだ。おそらく原因は安価な爪楊枝でコレクターを押した際に先端が微細に砕けてコレクター内に粉末として混入したのだろう。パテックフィリップの取扱説明書には必ず付属の調整ピン(金属製)の使用を限定している。しかし現実的にはコレクターとその周辺のケースにも傷がつきそうな付属ピンはチョッと使う気になれない。当店では原理原則をご説明した上で、自身の失敗から考察して現在は女性がネイルケアの際に使用する木製のスティックを個人責任で使っていただくようにお渡ししている。だがさらに良いものがないか常に日ごろから目を凝らしている。多分非常に硬い竹製で先端がごくわずかに丸められていて軸にはそれなりの太さと長さのある様なものがほしいと思っている。どなたかおすすめのツールがあれば是非コメントください。
閑話休題、現在5396のバリエーションは6型。その内4型は2016年以降の発表なのでバリエーションが増えているモデルである。それと対照的にアバンギャルドなデザインのRef.5205は昨年発表のWG素材のブルーブラック文字盤を入れて僅か3型に集約されてしまっている。個人的にはいづれも甲乙つけがたい素敵な年次カレンダーだと思っているのだが・・

何とか本稿は1月中に今年2本目として掲載したかったのだが、月末に"どうしても源泉かけ流しに行きたい病"を発症して臨時休業をいただき本日のアップとなった。そして例年通りであれば、次の記事は生産中止モデルの発表という事になる。これも例年のことながら年末くらいからディスコンにまつわる色々な詮索話をお客様から伺うことがあった。さすがに此処には書かないが興味深いお噂もあって、あと数日を心待ちにしている。

Ref.5396G-011年次カレンダー
ケース径:38.5mm ケース厚:11.2mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG別ダイアル有)、RG別ダイアル1

文字盤:シルバーオパーリン ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:お問い合わせください。
在庫:2019年2月1日現在有ります。

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Caliber 324 S QA LU 24H/303

直径:33.3mm 厚み:5.78mm 部品点数:347個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責、撮影、修正:乾

インスタグラムアカウントinstagram作成しました。

新年あけましておめでとうございます。元旦恒例の二月堂初詣、今年の御籤は"吉"。亥年は人生6回目、そう年男の今年は還暦を12月に控えて、一杯良い事が起きそうな予感が有りながらも過去かなり裏切られてきたこの身は、今のところは身構えとくしかない。とりあえず奈良の三が日は日本晴れで、二日からの初売りもそこそこ好調なスタート。晴れ男効果があったようで気分は悪くない。本年もどうぞ宜しくお付き合いください。月2回で年24本の投稿を目指して・・
結局、昨年12月はたったの1回しか記事投稿出来なかった。一年間では23本でまあまあながら、生産終了とバーゼルでの新作発表へと話題が連続する2月~4月に大半が偏っている。例年5月以降がネタもスタミナも切れてきて失速してしまう。新作の入荷は早くて8月後半からなので、初夏から秋口まで紹介済みの定番モデルを再度、別の切り口で取り上げる事とでもしようか。まあ「美味しい二番煎じ茶をどうぞ」てなもんです。

で、平成31年の書初めネタは手前味噌なストラップ話。愛用機Ref.5396R-011年次カレンダーのストラップは、折畳み式のフォールドオーバークラスプ(以後:FD)にシャイニー(艶有り)のチョコレートブラウンがデフォルト。実は見た目はそのままでいじっておりまして、まず寸短ストラップを調達し6時側のみ1cm短くしてケース本体が手首内側(親指側)に来るようにいじってみた。ところがクラスプの曲がり形状のせいか思ったように手前にケースが寄ってくれない。仕方がないので逆に12時側を短くし直した上で12時側と6時側を逆に着けてみた。脱着時に違和感があるが、かなり装着感は改善した。
しかしひょっとしたらピンバックル(通常尾錠、以後:BD)の方が、きっと着け心地が良いのではないか?という疑問がムクムク湧いてきた。ローズゴールドの16mm巾ピンバックル(税別82,000円)とチョコレートブラウンの21-16mm巾ピンバックル用ラージスクエア(竹符)アリゲーターストラップ(税別47,000円)を調達した。因みにマシンステッチタイプで、ハンドステッチ手縫いタイプは税別4,000円高くなる。見分け方は簡単で、ストラップの裏地に"Cousu main"とあれば手縫い(ハンドステッチ)という事になる。Cousuは仏語で"縫う"、mainは"手"の意味。
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ところで価格表には記載のある玉符(ラウンドスケール)だがデフォルト(初期設定)で装備されているモデルは無い。パテックフィリップジャパンにも在庫が全く無い。ストラップカタログには画像付きでそれなりのページが割かれているのだから、スイスオーダーをすれば忘れた頃に入荷はするのだろうけれど・・要は実体が備わっていない幻のラインナップのようで、これはこれで気になる。竹符に較べて高級感に欠けると言われている玉符、殆どのブランドで使われている感じが無いが、メリットとしては竹符のように符の部分での割れトラブルが少なく、しなやかで丈夫だとも聞く。いつか試してみたい素材ではある。
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そして価格面もメリットがあった(過去形)。今回調達のストラップなら税別34,000円と3割近くお安かったのだ。ところが話はコレで終わらない。昨年の後半から初期設定の無いストラップは完全な1本づくりのスペシャルオーダー料金税別13,000円が加算されるので、結局税別47,000円と同額になるようになってしまった。これで益々玉符のオーダーは、限りなく非現実的になった。まるで日陰者が奈落に突き落とされて、もう二度と日の目を見ることが出来なくなった様な印象だ。
ついでにシャイニーブラックのFD用ハンドステッチアリゲーターが、訳あって手元に余っていたのでブラックのビジネスシューズに併せられるようにFDに装着してセカンドストラップとする事にした。パテックフィリップの殆どのレザーストラップ仕様は、いわゆるイージークリック方式が採用されており、誰でも爪を使って簡単に脱着が可能だ。只し外したストラップから専用のバネ棒を一旦抜いて、新たに着替えるストラップに差し替えてやらないといけない。大して面倒ではないが、何となく貧乏くさいのと毎回抜き差ししていると傷みが進行しそうな気がしたので思い切って18金ローズのバネ棒2本(1本が税別1万円)を追加調達。これでトータルの調達コストは税抜149,000円。
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左がブラウンBD、右がブラックFDを装着した5396R-011。
で、肝心の着け心地だが思い通りピンバックルのBD仕様が一番しっくりしている。ブラックのFDもブラウン時代よりフィットする感覚がある。天然素材なので硬さは個体差があるし、竹符の場合は符と符の境界線で曲がりやすいので、着け心地は個体ごとに微妙に変わる。厚みも重要で、薄いケースに厚みのあるストラップは合わないし、その逆もまたしかりである。厚さはパテックの初期設定を絶対に守るべきである。最初は見慣れないブラックと5396Rの組み合わせに違和感を覚えるスタッフもいたが、これは慣れの問題で、ムーンフェイズディスクが黒ベースなので合わないわけがない。大変気に入っている。所有する紳士靴ラインナップは黒:茶:その他=5:3:2なので出勤の最大8割での出番が可能となった。因みにストラップ交換に要する時間は私で約30~40秒程度。慣れない人でも1分もあれば十分だろう。

年の初めに細かい小ネタですみませんが、折角の愛用機の出番を増やしてやりませんかというご提案でした。

文責、撮影:乾

今年も残りわずか。一体いくつ記事が書けるのか?いつもは枯渇気味のネタが珍しくある。11月に客注品がまとめて入ってきたお陰で新製品で2本は書けるし、些末な事ながら自身の5396R年次カレンダーのストラップ&バックル交換という小ネタもある。無いのは気力と時間。手つかずの年賀状も気が重いけどお歳暮は済ませた事だし、まあやれるとこまでやりますか。
今年は新作が寡作でメンズ8型、レディス3型。そのメンズもゴールデンイリプスのプラチナはたった100本限定の激レアだったのでレギュラー的なニューモデルはわずか7型しかなかった。ところがどっこい、寡作にして珠玉品度合いが高くその密度は大層に濃厚であった。特にノーチラス初の永久カレンダーとアクアノート初のクロノグラフには本当に多くの方からお声を掛けていただいた。
このうちノーチラス永久は相当に入荷状況が悪いらしく既に日本入荷の実績はあるもののコンスタントとは言えないらしい。今期末の来年1月末が迫る中、かなりのバックオーダーを残しつつもスイスパテック社から次年度への明確なキャリーオーバー(持ち越し)宣言は未だ無いとの事なので、ここは残り僅かの日々を気短に待つしかない。

と言う訳で、今回ご紹介は先に入荷してきた人気のニューモデル5968A-001アクアノート ジャンボ フライバッククロノグラフ。
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サイズは大きく通称"JUMBO"と言われるジャンボサイズの42.2mmである。これは昨年発表されて話題の人気モデルRef.5168G-001と同サイズなのだが、各ブランドのケース径拡大化戦略によって、今日ではメンズの普通サイズである。逆に言えば従来のアクアノートレギュラーサイズ40.8mmがスポーツラグジュアリーウオッチのジャンルにおいてはやや小ぶりと捉えたほうがコンテンポラリーな認識と言えよう。
男女関係同様に顔の好き嫌いはしっかりあるフェイスだろう。いわゆる灰汁のの強い顔立ちで「一目惚れ系」のご尊顔(おっと!殺しちゃいけない・・けど、悩殺される色気が漂うのだナァ~)ダークグレーにフラッシュオレンジの差し色は、漆黒のチャイナドレスのスリットからチラリと覗くセクシーダイナマイト(古っ!)な怪しい蝋蜜の太腿のようである。まだトロピカルラバーが出荷設定の黒はチラリズムの世界に収まっているが、付属のオレンジはいけない。危ない。やばい。やりすぎやでお嬢ちゃん!ナイスバディのくびれ全開のビキニ状態やん。
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今回お買い上げのお客様のご希望でオレンジストラップにチェンジして納品をさせて頂いたが、このストラップチェンジはバネ棒位置が結構深めで、それなりの工具と経験が必要である。全国の正規販売店にはパテック社からは必要工具セット(多分自費購入すれば数十万円はしそう)が貸与されているのだが、不思議なことにこの作業用の工具が含まれていない。当店ではブライトリングから購入した専用工具(ベルジョン製でブランド名入り)で対応した。お客様の撮影許可も頂けたので黒とオレンジ両色での撮像が可能となった。
このモデルはパテックには珍しく個性がバリバリに強く押し出されている。好き嫌いがはっきり別れる時計であろう。でも、惚れた人にはたまらんのやろなァ~
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尚、スペアストラップ入れは従来通りのものが付属されている。

バックルは新型である。従来はS字というかZ字状のスタイルであったが左右対称のカラトラバ十字がデザインされたニュータイプが採用されている。
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バックルセンターのPATEK PHILIPPEロゴマークの左右上下に4か所の短い凸状の突起があって、ここが両サイドの両観音バックル部の凹部(下画像の青丸部)に噛み合って閉まる構造である。外す際はPPロゴ上下の長方形ボタン?を両側から抓むことでリリースされる。
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ストラップ繋がりでバックル解説へと枝葉末節気味の紹介となってしまった。心臓部分のムーブメント紹介へと話を本筋に戻したい。と言ってもこのキャリバーは初出ではなく2006年にクロノグラフキャリバー自社一貫設計開発製造計画の一環としてフライバッククロノグラフ年次カレンダーRef.5960Pに積まれたのが源流である。その後2010年にノーチラス初のクロノグラフモデルRef.5980/1Aに年次カレンダーモジュールとパワーリザーブを敢えて外し、シンプルなフライバッククロノキャリバーCal.CH28-520 C系として初搭載されたエンジンが、8年の実績を経て今モデルにも採用されている。キャリバーの詳細はコチラの過去記事よりご覧いただきたい。

Ref.5968A-001
ケース径:42.2mm(10-4時方向)ケース厚:11.9mm ラグ×美錠幅:22×18mm
防水:120m ねじ込みリューズ仕様
ケースバリエーション:SSのみ 
文字盤:ブラックエンボス 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブラックコンポジット《トロピカル》ストラップ(ラバー)
オレンジコンポジット《トロピカル》ストラップ(ラバー)が付属
アクアノート フォールドオーバー クラスプ付き
 
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Caliber CH 28-520 C/528 フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント
コラムホイール、垂直クラッチ採用
直径:30mm 厚み:6.63mm(ベースキャリバー5.2mm、カレンダーモジュール1.43mm)
部品点数:308個 石数:32個 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
価格:お問い合わせください。

PATEK PHILIPPE 公式ページ
 

文責、撮影、画像レタッチ:乾

在庫状況:お問い合わせ下さい。かなり・・・ですが




To write or not to write,That is the question?
書くべきか、書かぬべきか?文豪並みに悩む文才の無い乾です。何故か偶然に重なったご客注品の入荷。納品は保証書同時納品ルールによって定休前の火曜日以降。でも2点は新作で撮影もしたい。12月と新年1月の販促の仕込みもあるし、先日のお痛のせいで両手の親指と人差し指が突き指でネクタイも結びにくいという状態で、受注も販売も出来ない決定品を並べても他ブランドを含めてご購入希望やメンテナンスでご来店されるお客様とのバッディングも怖いし・・あァ、もうェェ、いてまぇ、いざという時は相方や、姐や、姐のケセラセラや

Ref.5968A-001 アクアノート フライバッククロノグラフ ステンレススチール 2018NEW
※バーゼル以来、改めて見た付属のオレンジラバーストラップ、まるでフラッシュカラー。衝撃的インパクト!
Ref.5524R-001 カラトラバ パイロットトラベルタイム ローズゴールド 2018NEW
※WGの文字盤は青のマット調の単色で男っぽい。対してRGの艶感ありのブラウングラデーションは色気ありまくり。
Ref.5170P-001 グランドコンプリケーション 手巻きクログラフ プラチナ 2017
※二年前のノーチラス40周年限定2型で初出だったバゲットダイアのバーインデックスの好評さから採用されたと思われるパッと見はダイアに見えない奥ゆかしいラグジュアリー仕立てと脳天からコテンと悩殺されるブルグラ・・ホ、ホッ、欲し~い、心から想う久々の一本。気持ちは一杯いっぱいでもなんせお財布が・・・
Ref.5712/1A-001 ノーチラス プチコンプリケーション ステンレススチール 2006
Ref.5711/1A-010 説明不要
Ref.5167A-001 説明不要

誤解無きように書き添えますが、ほぼ全員に展示了解を得ていますし、許して下さる方の分しか展示しません。もちろんご了解を得られない方の納品待商品を並べるつもりもございません。
ご来店いただきケース内のみでのご対応で、手に取って頂いたり、ご着用はご遠慮いただきますのであらかじめご了解の程、お願いいたします。
受注可能なものもありますが、実績顧客様優先モデルが殆どです。
また、スタッフも少量限定?で充分なご対応がかなわない場合もございます。ご容赦下さい。

文責:乾

気がつけば平成で始まる最後の新年がもうそこまで・・例年の事と言いながら本当に年々過ぎ去る速度が速くなる。時の流れに携わる生業でありながら逃げるものを追い駆けているような気分に捉われる事しばしばである。そんなことだからブログもインスタも頻繁に空転期間が空いてしまう。
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さて、相変わらず人気の続くノーチラスシリーズ。最近はステンレスだけではなく素材や機能を問わずに人気が拡大しアクアノートも含めて不人気モデルが探せない状態である。正直言って加熱し過ぎ感が強い。
当店にはレアな旅行者のお客様も国籍を問わず全く同じ傾向にある。中国本土を例とすると現在2店舗(上海、北京)が正規店舗だが、非正規も含めてもう本当に手配が絶望的らしい。人口に対しての供給量のバランスが悪いのかもしれない。
さて、今回紹介はそんなレアノーチラスの中でもレア素材であるステンレス製年次カレンダーのブレスレットモデルRef.5726/1Aで文字盤は白(シルバリィホワイト)。強いて言えば人気はグレー(ブラックグラデーテッド)の方が高いのだが3針の5711同様に若々しさや清潔感が強く別モデルに見えてしまう。
グレーに設定があるレザーストラップモデルが白文字盤には無くステンレットブレスレットのみ用意されている。またメンズではステンレス素材のみの展開はこの年次カレンダーとトラベルタイムフライバッククロノグラフRef.5990の2モデルのみとなっているのも興味深い。
ちなみに当店では少し値の張る5990の方がチョッと人気が高い。ただカラトラバケースに収まったダブルギッシェ(12時下方に左右横並びに曜日と月がレイアウト)スタイルの年次カレンダーモデルRef.5396を愛用する我が身としては親しみを感じざるを得ない可愛いノーチラスである。
でもノーチのアイコンともいえる横ボーダーと角の取れ切ったひょうひょうとした八角形の緩いケース形状(個人的には"ナマズ顔"と密かに思っチョります)に収まりますと同じ時計が此処まで違う表情になってしまう面白さ。「似て非なるもの」では無く「似ずして同じもの」と言えばよいのだろうか。
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くどい程語ってきたノーチラスの魅力"薄さが実現する装着感"、流石にフルローター自動巻きCal.324ベース(厚さ3.3mm)に年次カレンダーモジュールを積み重ねて仕上がりムーブ厚5.78m、ケース厚11.3mmは3針の5711より3mm厚くなっている。ピンが覗く調整駒の厚みは全てのノーチラス(5990でさえも)で共通であり、シリーズ最薄の3針5711は見た目(実寸は?未検証の為)ケース側まで全駒が同厚であるのだが、5726ではケース側から5コマ目あたりはテーパーしながら厚みを減じているように見える。
「たかが3mm、されど3mm・・」両者の装着感は明らかに異なる。異なるが個人的には許せると言うかノーチラスの装着感自慢を実感できるレベルに充分収まっていると思う。明らかにシリーズ最厚のRef.5990の12.53mmケース厚とは着けた感は別物になっている。
フルローター自動巻をベースとしながら、ただでさえ厚みを食う垂直クラッチのフライバッククロノグラフとトラベルタイムと言うダブルファンクションを重ねれば当たり前の事で、むしろ良くこの厚さにまとめたパテックの技術力に脱帽かと思う。勿論この事は若干薄い年次カレンダー5726ではより顕著となる事は言うまでもない。
横顔の比較写真はRef.5990の過去記事よりどうぞ。

Ref.5726/1A-010

ケース径:40.5mm(10時ー4時方向) ケース厚:11.3mm 
防水:12気圧
ケースバリエーション:SS(白文字盤) SS(グレー文字盤) SS(グレー文字盤ストラップタイプ) 
文字盤:シルバリィホワイト 夜光付ゴールド植字インデックス
ブレスレット:両観音クラスプ付きステンレス3連ブレス 抜き打ちピン調節タイプ
価格:お問合せ下さい

Caliber 324 S QA LU 24H/303

直径:33.3mm 厚み:5.78mm 部品点数:347個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

在庫状況:11月20日時点あり




一年おきに開催されるオンリーウオッチのオークションはパテックファンにはお馴染みで過去にもご紹介してきた。難病(デュシェンヌ型筋ジストロフィー)の研究費捻出のためにパテックフィリップを始めとする著名ブランドが特別なユニークピース(一点もの)を製作しチャリティーオークションで競られた売上が寄付されるというものだ。
欧州には古くからノブレス・オブリージュなる言葉もあり、富める者は社会貢献の義務を・・と言う土壌がある。アメリカにもドリームを成し遂げた大富豪の莫大な寄付活動は一般的である。我が国にも立派な篤志家もいらっしゃるが金額の桁が比較にならないし、時々有言不実行?の方もいらっしゃる。むしろ災害時に駆け付ける一般庶民のボランティア精神の方が世界に誇れそうである。
オンリーウオッチ以外にもパテックフィリップは1994年からジュネーブに本拠としてChildren Actionなる世界7か国で医療・教育面等での支援活動を支えるために2005年から2年または3年おきにユニークピースを作っていたようだ。公式HPを見ていて最近初めて気がついた。勉強不足甚だしい。今年度の作品は先日紹介したカラトラバパイロットトラベルタイムRef.5524ベースのチタニウム素材モデル。英文のリリースが既に6月に発表されており、5月以降ジュネーブ・香港・ニューヨークで展示下見がなされつい先日ジュネーブのオークションハウス「クリスティーズ」監修で競られ230万スイスフラン(近日レートで約2億5800万円)で落札されている。仮に定番として市販されれば4~500万円?と推測するのでまあ凄まじい。
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公式に詳細説明があるが、過去に5モデル製作実績があり、2009年のRGトゥエンティフォー4920が18万CHF(約2千万円)、2012年のYGワールドタイムクロワゾネ5131が100万CHF、2015年年次カレンダーチタニウム5396Tが100万USDと共に1億円越えでエスカレートの一途だ。
このスペシャルピース、文字盤が変わっていて真鍮に黒色のニッケル仕上げに加えて縦に極細の筋目加工が手仕事でなされている。インデックスは18金WG植字アラビアでスーパールミノバがしっかり塗布されている。時分針は酸化処理で黒くされた鉄針。その(ローカル)時針に
隠されているホーム時針はスケルトンスタイルのスティール製、秒針はアルミニウム製で白黒ラッカー仕上げとある。
ストラップはVintage black calfskinとあって、知る限りパテックのコレクションでは初めてのエイジングトレンドが採用されている。サファイアの裏スケルトンクリスタルにはチャリティーの特別モデルである刻印「Children Action 2018」がエングレーブされている。

比売品なので商品スペック等は割愛いたします。

文責:乾



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パテック フィリップは同一デザインのペアウオッチと言うのが非常に少ないブランドだ。2015年度まではカラトラバのクルドパリベゼルが特徴的な手巻メンズRef.5119をダウンサイジングしたレディスRef.7119というズバリのペアモデルが存在した。そしてここ2年はカップルモデル根絶状態だったが、今年想像もしなかったペアウオッチの提案がなされた。
2015年に発表され、良くも悪くもパテックらしからぬ風貌でバーゼルワールドで最も話題を振りまいたWGのカラトラバ・パイロット・トラベルタイムRef.5524。賛否両論があったこのモデルは結局大人気となり今現在も品不足が続いている。このユニークなコンプリケーションにRGケースが追加素材として今年のバーゼルで発表された。特筆すべきは4.5mmサイズダウンされたパートナーとなるレディスモデルを伴っていたことだ。厳密に言えばローズゴールドの色目がレディスの方が微妙に赤く仕上げられているのだが見た目殆ど判らない。
さて、コンプリケーションとしてのトラベルタイムの歴史は既に60年近く有り、初出は1959年でジュネーブの天才時計師ルイ・コティエ氏が考案しパテックが特許取得した画期的でシンプルで操作性に優れたGMT機構。当時は1950年代に実用化が進んだジェット旅客機が一般化していった時代であり、裕福層旅行者に各ブランドからトラベル用腕時計の提案がなされていた。1957年ロレックスGMTマスター、1958年ブライトリングトランスオーシャン等が有名だが、単純な回転ベゼル機能やデザイン上でのイメージ訴求に過ぎなかった。その点においてパテックのトラベルタイム機構は画期的であったと思われる。1960年代後半から1990年代半ばまではトラベルタイムは殆ど生産されなかったようだが、スイス機械式時計の復活と共に再生産されるようになった。驚くのは初出の頃のシステムを殆どいじる事なしに現代に充分通用している事だ。
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5524カラトラバ・パイロット・トラベルタイムの詳細はホワイトゴールド5524Gの過去記事をご覧頂くとして、従来のトラベルタイムから工夫されているのがローカルタイムを1時間ずつ進みまたは遅らせるプッシュボタンのロック機構である。従来機のアクアノート・トラベルタイム等はこのプッシャー部が大振りである事もあって、時計の脱着時に意図せず押されてしまった結果の時間ずれトラブルがあった。5524ではねじ込みではないが90度回転のロック機構が備わりこのトラブルが解消されている。
顔はパイロット(アビエーション)と言うよりもミリタリー調で、スーパールミノバ(夜光塗料)がタップリと盛られた個性的なアラビアインデックスと太く武骨な時分針が抜群の視認性を生んでいる。6時側サークルの指針制カレンダーも大きくて読み取り易い。日付の調整はリューズでは無くケース外周の6時半辺りにあるコレクター(プッシュボタン)でおこなう。3時9時に振り分けられたホームとローカルタイムの表示窓はさりげない大きさながら文字盤色とのカラーコントラストで判別は容易だ。パテックのコレクションには珍しいカーフ素材のストラップは武骨すぎる事がない絶妙な太さの白いステッチが粗野にならない程度に適度なミリタリー感を醸している。文字盤はホワイトゴールド版の艶消しの均一な仕上げの濃い青とは対照的にセンターからダイアル外周に向かって濃茶にグラデーションする艶有の仕上げでローズゴールドケースの赤味と合わさってしっかり色気がある。両者の価格は同じながら好き嫌いは別にして明らかに高級感はローズにあるように思う。
尚、サイズ違いのペアになるレディースモデルに分類される7234Rは、ケースサイズは異なれども機械は全く同じCal.324が搭載されて約10%もお買い得である。外径37.5mmは小ぶり好みの日本人男性なら充分検討の余地があるサイスだと思う。

Ref.5524R-001 カラトラバ パイロット トラベルタイム
ケース径:42mm(10-4時方向)ケース厚:10.78mm ラグ×美錠幅:21×18mm 防水:30m 
ケースバリエーション:RG, WG 
文字盤:ブラウン サンバースト、ブラックグラデーテッド 夜光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ヴィンテージ ブラウン カーフレザー クレビスプロングバックル付き 
価格:お問合せ下さい

Caliber 324 SC FUS

直径:31.0mm 厚み:4.9mm 部品点数:294個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 拘束角51°
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

在庫:お問合せ下さい




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ご無沙汰ブログとなってしまった。先日入荷した本年新作の色気ムンムンのローズゴールドケースのゴールデンイリプス。古くから建築物等に採用されてきた完成されたプロポーションである黄金比率に則ってケースデザインがなされたオリジナルイリプスRef.3548は1968年の発表。天地32mm✖左右27mmのかなり小ぶりなケースは当時としてはごく普通だった。ちなみに現行モデルは39.5mm✖34.5mmと20%以上大きくなっている。今春生産中止となったやや小ぶりなRef.3738ですら約10%大きかった。手巻ムーブCal.23-300が積まれたファーストイリプスのケース厚は判然としないがムーブメント厚たった3mmからして薄型であったことは間違いないと思う。現行モデルのRef.5738は極薄自動巻Cal.240搭載でパテックの現行ラインナップ中最薄ケース厚5.9mmを誇っている。さすがにこの薄さで裏スケルトンは厳しいのか希少なノーマルケースバックが採用されている。
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※画像はシールが貼られたサンプルを撮影
ちなみに現行モデル(レディスクォーツモデル除く)でノーマルケースバックはイリプス5738と手巻カラトラバ5196のたった2型のみである。そしてこの両者の金属製裏蓋は見事なまでそっけない。イリプスが縦筋目サテン、5196が鏡面で表面仕上されているのみで文字や数字、紋章等の意匠などが全く無い。知る限りではあるがグランドコンプリケーションの裏スケルトン仕様の永久カレンダー等に付属するノーマルケースバックもそっけない縦目サテンで無装飾。婦人クォーツの裏蓋も同様である。普通現代時計でノーマルな裏蓋にはどちらのブランドも何らかの装飾を施す事が殆どである。むしろエングレーブが深すぎたり、でっぱりが有って着用時に腕廻りに跡形がついてしまうような物も結構ある。装着感上は無装飾な方が良いので、この点でもパテックは実用性を優先しているのかもしれない。その点では実用性を最優先させているロレックスの裏蓋も手首に触れる部分が円形の筋目サテンのみになっている。
尚、これまでコバルト照射に由来するブルー サンバースト カラー文字盤のみに採用されていた18金素材のダイアルがこの黒文字盤には使用されている。現行のプラチナも含めイリプスは全てゴールドダイアルとされた。
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冒頭でも触れた薄いケースサイドの画像。このニューモデルで従来のイリプスには無かった新たな仕様が加わった。リューズの頭にカボションのブラックオニキスがジェムセットされている。今年イリプスで唯一の継続モデルとなったプラチナの5738も含め見られなかった仕様。カタログを繰る限りではメンズコレクションでリューズジェムセットはこのモデルのみとなっている。たったこれだけの装飾ながらこの時計の色気度合いをグッと引き上げている。さらに同時発表された別売のカフリンクスを併せれば完璧なフォーマルが決められるだろう。
この時計はパテックには珍しくチョッとつける人を選んでしまう大人の男専科だと思う。

Ref.5738R-001
ケースサイズ:横34.5mm✖縦39.5mm ケース厚:5.9mm ラグ×美錠幅:21×15mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:RGの他、PT有り 
文字盤:エボニー ブラック サンバースト 18金植字インデックス 18金製文字盤
ストラップ:シャイニー(艶有) ブラック アリゲーター

Caliber 240

直径:27.5mm 厚み:2.53mm 部品点数:161個 石数:27個
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

2018年9月27日現在 在庫についてはお問合せ下さい。

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来る9月頭にパテックフィリップ展を開催します。今年度の新作も含め約70点以上をご用意し、50点程度を展示致します。人気モデルの素材違いや文字盤違いを一度に見較べられるまたと無いチャンスであり、普段はあまりご紹介出来ないレディスモデルやカフス等も沢山ご覧いただけます。是非この機会をお見逃しなくご来店下さいますようお願い申し上げます。

日時:2018年9月1日(土)・2日(日) 11:00-19:00
場所:カサブランカ奈良 2階パテック フィリップコーナー

※ご覧になりたい気になるモデルの出品の有無についてはお気軽にお問合せ下さい。

出品モデルをピックアップでご紹介 

ゴールデンイリプス Ref.5738R-001 2018新製品
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1968年デビューするや一躍当時のパテック フィリップを代表するアイコンウオッチとなったゴールデンイリプス。今年は50周年のアニバーサリーイヤーでレギュラーサイズのRef.3738が全て生産中止となり、40周年の2008年にプラチナ素材でデビューした大振りなRef.5738サイズのローズゴールドがラインナップされた。自動巻ムーブメント搭載ながら厚さ5.9mmは現行全ラインナップで最薄となる。少しマット調のブラック文字盤とローズの組み合わせはとてもシックで大人の色気が漂う逸品だ。→PP公式詳細ページ 関連記事(3738/100J-012

年次カレンダー Ref.5205G-013 2018新製品
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モダンな顔の年次カレンダーRef.5205のホワイトゴールドケースは今年人気のグレー系ダイアル2モデルが生産中止となり、根強いトレンドカラーとなったブルー系の濃紺文字盤が新たにラインナップされた。今年スイス・バーゼルで初対面を最も期待したモデル。文字盤の内側サークル部はネイビーカラーがグラデーションしているように画像では見えるがソリッドな一色である。深みの在る青から濃紺のダイアルは従来プラチナモデルへの採用が多かったが、今年はこのモデルを含めホワイトゴールド素材でグランドコンプリケーションやノーチラスにも新製品投入がなされた。まさに旬なトレンドモデルである。→PP公式詳細ページ 関連記事(5205G-0105205R-010

年次カレンダーレギュレーター Ref.5235G-001
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こちらは殆ど入荷のないとてもレアなモデル。 センターに分針を置き、オフセンターに時針と秒針を別々に配置する特殊な針使いでレギュレーター(標準時計)タイプと呼ばれている。他の時計の時間合わせの際に基準とされる時計で、非常に正確無比で調整が良くされたムーブメントが搭載されなければいけない。昔の時計屋さんには必ずあったものだ。当店一階エントランス脇にも非常に正確で一ヶ月巻きにして月差数秒精度の機械式掛け時計(独アーウィン・サトラ―社製メタリカ1735)があって、その顔もレギュレーター仕様でシルバー文字盤なのでどこどことなく5235Gに似ている。ただ実際の時刻合わせの為の標準時計には国産の電波時計を使っている。尚パテックのコレクションでレギュレーター仕様と言うのはこの5235Gが唯一であり、パテックコレクターには必須所有のモデルである。→PP公式詳細ページ 紹介記事

カラトラバクンロク 5196P-001
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当店スタッフのI君が2015年6月のパテック取扱い開始以来ずっと個人的に渇望し続けているモデル。こちらも相当にレアな時計でご注文以外の店頭仕入は困難なモデル。そもそもプラチナ素材モデルの生産数そのものがとても少ない。解り易い飛び道具(複雑機構)が顔を飾っている訳でもなく、ダイア等の石付宝飾系でも無い。行儀の良いアラビックなアワーマーカーと同色系シルバーのツートーンでシンプルにまとめられた文字盤からは貴金属よりもむしろステンレスケースが似合うのではとさえ思ってしまう。現行パテックには珍しいソリッドメタルのノーマルケースバックの装飾の無いツルンとした仕上げも素朴で控えめな印象を受ける。わかる人だけに向けたさりげない超高級なシンプル時計が5196P。→PP公式詳細ページ紹介記事

レディスムーンフェイズ Ref.7121J-001
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先日ご紹介したばかりの夏向けレディスコンプリケーションウオッチ7121J。今や18金と言えばローズやピンク、そしてレッドゴールド等様々な名称で呼ばれる赤味の強いものが圧倒的。従来からのイエローゴールドはまるで絶滅危惧種のような扱いだけれどもパテックはメンズもレディスも正統でクラシカルなモデルにはYGの品揃えが残されている。何代にも引き継がれるタイムレスな時計ブランドは一時の流行り廃りに振り回されず一線を画すと言う事だろう。→PP公式詳細ページ 紹介記事

この他にも魅力的なパテック フィリップ コレクションを多数ご用意してお待ちしております。尚、出品内容は都合により変更する事が有ります。

文責:乾


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今夏の異常気象は本当に厄介だ。予想外地域への地震、記録破りの大雨に一転しての酷暑、そして逆走台風。被災された方々は本当にお気の毒。心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。
相方の出が広島県。しばらく断水で難儀を強いられた血縁もいた。また百貨店部門は愛媛の松山市にあって直接被害等は無かったが県南部(南予)は報道が少ないものの結構な被災をされており、地縁と血縁強固な地方特有の事情もあって経済的影響も色々出ている。
そんな過酷な日々ながら奈良県北部の大和盆地は本当に災害が少ないエリア。日本最初の都に定められた天命を災害の報を聞くたびに強く思う。

さて、この時期は少しでも凉を感じられるモデルを紹介したい。それでいて夏色感もあるレディスコンプリケーションがRef.7121J-001。コンプリと言っても本当にプティ(小さい)コンプリでムーンフェイズ(月相)しか付いていない。実用面から言えばカレンダーの方が必要なはずだが、月の満ち欠けなどと言うロマンティックな表示が優先されているのはいかにも乙女時計らしい。
ちなみにメンズには全くラインナップされていないムーンフェイズのみという乙女時計仕様はレディスでもう一型Ref.4968があり素材やブレス違いを含めると2型で5つもバリエーションがある。
現在でこそ永久カレンダーを始め手巻きクロノグラフ、年次カレンダー、ワールドタイム、トラベルタイム等でパテックに於けるご婦人用のコンプリケーションウオッチは百花繚乱と言えるが、それはここ10年位の話でそれ以前から長きに渡って作られて来たレディス用のコンプリケーションはシンプルムーンフェイズモデルだった。
スイスでは永久カレンダー(1800年頃)よりも古くから搭載された機能で、当時は航海や狩猟、漁猟に欠かせないものだった。月齢の周期は29日12時間44分。これを29.5日として59日で2個の月が描かれたムーンフェイズディスクを一周させている。0.5歯という歯車を刻めないので倍数処理されたわけだ。
ただ、その周期だと数年で調整が必要な誤差が出てしまう。パテック フィリップを始め現代の高級時計の標準的なムーンフェイズは、複雑な歯車機構により構成されており122.6年掛けてたった1日分の誤差が蓄積して要修正となっている。前言撤回でPetitとは言えない立派なコンプリケーションだった。
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針の形状はユニークだ。ちゃんと名前が有って"スペード針"と言われている。分針が途中でくびれていて女性のセクシーなボディーラインの様に見えなくもないが、スペードの形状を限りなく伸ばした形でメンズウオッチにもこの針はそこそこ採用されている。ブレゲ数字インデックスとの相性がとても良い。
女性向けムーンフェイズの特徴の一つはムーンフェイズディスクだけでなくスモールセコンドと供用されているサークルの未開口部分にもお星さまが装飾としてプリントされている事だ。これもメンズでは見られない乙女仕様か。
ケースは腕時計黎明期を思わせるオフィサー(将校)スタイルのユニークなラグ形状。女仕立てにすると結構可愛らしい。ベゼルには0.52カラットになる66個のダイアモンドが輝いている。あまり知られていないがパテックのタイムピースにはデビアス社のトップウェッセルトン・ダイヤモンド(クラリティIF及びFLのみ)が使用されていて極めて質が高い。そしてジェムセッティングは実用性を重んじるパテックらしく滑らかな表面を意識し、衣類の袖口の繊維が引っかかったりしない手法が採用されている。
ストラップはMatte pearly beige alligator。パーリィとあるように車のパール塗装の様に光沢があってとても上品。暖色系の色目ではあるが、薄めのサンドカラーに光沢感が効いて涼しさを感じさせる夏時計に仕上げられている。

Ref.7121J-001 レディス コンプリケーション ムーンフェイズ

ケース径:33.mm ケース厚:8.35mm ラグ×美錠幅:16×14mm
防水:3気圧 66個のダイア付ベゼル(約0.52ct.)
ケースバリエーション:YGのみ 
文字盤:シルバリィ グレインド 18金植字ブレゲ数字インデックス
ストラップ:ハンドステッチのマット(艶無)パーリィベージュアリゲーター
      18KYGブレスレットのバリエーション有り
価格:お問合せ下さい
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少しでも涼し気な印象に出来ないかとフォトショップでチョッと悪戯。ムーブメントNoもあり得ないくらいラッキーな・・・不変の長命ムーブメントCal.215。人生もこうであって欲しいナァ!

Caliber:215 PS LU

ムーブメントはパテックを代表する手巻キャリバー215にスモールセコンドとムーンフェイズを組込んでいる。2006年に発表されたシリコン系素材Silinvar®「シリンバー」採用の革新的なSpiromax®スピロマックスひげゼンマイが搭載されたことで耐磁性と耐衝撃性が格段に向上している。まさにパテック フィリップの哲学"伝統と革新"を体現した頼もしいエンジンが搭載されている。

直径:21.9mm 厚み:3.00mm 部品点数:157個 石数:18個 
パワーリザーブ:最短39時間-最長44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2018年7月31日現在
7121J-001   店頭在庫有ります
関連ブログ:着物でパテックフィリップ、ショパール(2017/8/29記事)





2018年のパテック フィリップカタログに掲載されるモデル数は181本。これを無理やり主観的に機能別で分類すると下記の様になっている。
20180629_4.jpg複数の機能を併せ持つモデルがあるため181モデルが216に膨れている。パーセントはあくまで181モデルを分母としてある。"コンプリにあらねばパテックにあらず"の様に捉われがちだが半分弱はシンプルな2・3針モデルで構成されている。そしてコンプリでは永久と年次のカレンダー系とクロノグラフの比率が高く合計で50%を超えている。ただクロノグラフには一般的ではないスプリットセコンドのモデルが7型含まれるので、年次カレンダーこそが現在のパテックを代表するシリーズと言えそうだ。
当店の店頭在庫においてはカラトラバやゴンドーロのシンプル系が大変充実すると共に年次カレンダーとワールド/トラベルタイムも良く揃っている。特に年次カレンダーは代表3Ref.の5146、5205、5396に加えて、滅多に入荷しないレギュレーター仕様のRef.5235Gや生産中止ながら希少なステンレスブレスのフライバッククロノ搭載のRef.5960/1A黒文字盤等の6モデルが横一列に並んでいるのは中々圧巻。
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Ref.5205G-010年次カレンダー
詳細は過去記事からご覧頂くとして今年度ディスコン発表がなされた一本。インデックスも針も12時の窓も凄くエッジが効いていてツートンの文字盤カラーも実に渋い色目で都会的な風貌。アバンギャルドと言うフレーズがこれほど似合う時計も珍しいのではないかと思う。

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Ref.5960/1A-010 フライバッククロノグラフ年次カレンダー
詳細は6月の記事及び文字盤色違いモデル紹介過去記事からご覧頂くとして。スポーツシリーズ(ノーチラス&アクアノート)以外で唯一だったメンズステンレスモデル。たった一年でディスコンになった希少デッドストック。正直なところ白文字盤のデビューが印象的過ぎたからかブラックダイアルの人気は今一つだった。短命に終わった理由かもしれないが、スポーティな時計の顔は基本的に黒なので先に黒が出ていれば全く人気度合いは異なっていたかもしれない。結果的黒文字盤の個体数は相当少ないのではないだろうか。

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Ref.5205R-010 年次カレンダー
過去記事より詳細は見て頂くとして・・現行パテックで一番色気が際立っているモデルだと思う。良く似たモデルに超絶系の5208Rやダイア付の5961Rがあるが色々と凄い物を着込んでいるのでセクシーではなくてどこまでもゴージャスな世界。5205Rはストイックに引き締められた体躯と健康的に色づいた肌でこそ存在感が際立つ色男時計。

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Ref.5235G-001 年次カレンダー・レギュレーター
展示会用貸出サンプルとして来たことが無いので、PPJにサンプルがあるのか無いのか?すら分からないモデルの一つがこちらレギュレータータイプの年次カレンダー5235G。つい先日の記事から詳細はどうぞ。
今年発表のニューモデルで断トツ人気の一番がノーチラスの永久カレンダーWG、二番目がアクアノートジャンボのフライバッククロノグラフSSだと思われる。この2点のサンプルも恐らくどの正規店の展示会場にも並ばないと思われる。あまりにもご注文が多い人気モデルは熱が冷めて落ち着くまで追加オーダーを出来るだけ避けるために未出品となる。数年後にこの新作2モデルがどうなっているかは予想がつかないが、定番でもずっと展示会を欠席し続けているノーチラスやアクアノートのSS系はそれなりの数が製造されている。にもかかわらず熱が冷めるどころか益々加熱しているので永久欠番になりそうだ。
パテックコレクション唯一のレギュレーター5235Gにそこまでの人気は無い。どちらかと言えば通好みであり、個性的な顔は好き嫌いもあろう。もちろんネットで騒がれる事もお問合せを始終頂くわけでもない。しかし展示会を毎回欠席するのは生産が非常に少なく供給が不安定な為である。理由は恐らくアドバンストリサーチがらみの前衛的な素材を心臓部である脱進機廻りに採用しているためだろう。直ぐにブランドがわからない方が良い方や人と被るのが嫌な方にお勧めの一本。

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Ref.5396R-011 年次カレンダー
運命のいたずらで我が愛機となった5396R。たぶんあの事件が無ければ未だにこの価格線のパテックを手にしていたか怪しい。はぼ3年愛用しての感想は本当に飽きの来ない顔だなと・・4つのプッシュコレクターによるカレンダー合わせは好き嫌いが有りそうだ。自分自身でもムーンフェイズは合わせず着用も多い。ご面倒な方にはクロノグラフ搭載の5960系やレギュレーターの5235等のお月様無しの方が使い勝手が良いかもしれない。まあ正装における蝶ネクタイのようなものなので・・

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Ref.5146G-010 年次カレンダー
今は無き大原麗子さんがサントリーCMのセリフに「少し愛して、長~く愛して!」と言うのが有ったが、この時計を見る度にこのセリフを思い出してしまう。
パテックの年次カレンダーは1996年にRef.5035でデビューした。ダイアルレイアウトはそれまでに在りそうで無かった3カウンターで、あまり押し出しの無い地味な印象だった。正直なところまさかこの顔がマイナーチェンジを受けつつ現行のRef.5146に脈々と受け継がれながら超ロングセラーになろうとは思いもしなかった。年次機能が時代にマッチしていた事がロングライフの最大の理由だろうが、パテックらしいある意味そっけないが厭きない顔つきが良いのだとしか思えない。まああと2つの顔がクラッシックな5396、アヴァンギャルドな5205なので年次専用でルーツでもあるこの顔は今後も無くせないような気がする。

まさか大阪での地震に続いての未曽有の豪雨災害。どうも東日本大震災頃から日本列島はあまりにも頻繁に災害に見舞われている気がする。そんな中でも当店の有る奈良県北部は地震も噴火も洪水も・・本当に災害が少ない。さすが1300年前にこの国で初の都と定められただけの事はある。ただたった70数年でその座を京都に譲り渡してからは、ほぼ時間の流れが止まったかのようで住処とするには安全で良いのだが商売っけが無いと言うか、危機感が欠如していると言うか、いらちな大阪生まれ育ちの我が身も此処数十年でそんなリズムに染まってしまった。思いっきりユッタリのんびりと時計を見て楽しんで頂ける空間である事は間違いございません。

文責:乾

腕時計の商品寿命は比較的長い。使われ方次第ではあるが半永久的とも言える(オーナーの元で愛用される)製品としての寿命では無く、我々流通業者が販売をする期間であるデビューから生産中止(ディスコン)までの店頭での販売期間の方の寿命である。時計ビジネスに携わり始めた30年程前より今の方がどのブランドも少し短めになった気はするけれども・・
もちろんパテック フィリップのタイムピースにもこの寿命はあって感覚的ながら長い物は十数年、平均は5年から7年くらいか。短いものはたった一年という短命モデルもある。パテックでは同一モデルの年間生産数はある程度決まっているので寿命が短ければ短いほど市場投入された個体数が限られる。オークションにおけるアンティークウオッチの落札価格がその希少性によるところが最も大きいのは明らかなので、将来のお宝度合いは数量限定モデルの次に来るのが短命モデルと言う考え方も出来る。
本日ご紹介は既に文字盤違いや素材違いで取り上げ済みながらもそんなお宝2点。共通点は今年生産中止発表後に入荷してきた事と短命モデルだった事だ。
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Ref.5710R-001は2016年デビューから2年しか生産されなかった手巻きクロノグラフ。商品詳細は紹介済みの5170G-001(廃番)及び5170P-001(唯一の現行)をご覧いただきたい。ローズゴールドの優し気な色合いに暖か味の有るクリーム系の文字盤上に2カウンターの目玉、このクロノグラフ実にあっさりスッキリしている。ブレゲ数字がカジュアルさを演出するので、さりげなく普段使いという究極に贅沢な一本だと思う。

Ref.5170R-001
ケース径:39.4mm ケース厚:10.9mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:RG、PT
文字盤:シルバリィ オパーリン ゴールド植字ブレゲ数字インデックス
ストラップ:手縫いシャイニー(艶有)チョコレートブラウンアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
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Caliber CH 29-535 PS:コラムホイール搭載手巻クロノグラフムーブメント
直径:29.6mm 厚み:5.35mm 部品点数:269個 石数:33個 受け:11枚 
パワーリザーブ:最低65時間(クロノグラフ非作動時)クロノグラフ作動中は58時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:ブレゲ巻上ヒゲ
振動数:28,800振動

2018年6月18日現在 店頭在庫あります。価格はお問合せ下さい。

もう一点はわずか一年で今年ディスコンとなったRef.5960/1A-010年次カレンダー搭載フライバッククロノグラフ。昨年まで人気を博した白文字盤5960/1A-001と入れ替わりでデビューしたばかりの黒文字盤。いづれもがスポーツ系のノーチラスとアクアノート以外ではパテック フィリップ唯一のメンズステンレスモデルだった。昨今ノーチラスとアクアノートのスポーツ系の人気が凄すぎて、我々も含めてパテックのステンレスモデルは当たり前の様な錯覚をしているがスポーツシリーズ以外にステンレスモデルは現行でラインナップが無くなってしまった。逆にRef.5960のステンレスバージョン誕生が例外的だったと言うべきで、限定などを除いてステンレスは殆ど作らないブランドがパテックである。その意味でこのディスコンモデルの希少性はとても高い。
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センターローターに垂直クラッチ、さらに年次カレンダーモジュールを組み込めば流石に厚みはそれなりとなる。画像は使い回しですみません。
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Ref.5960/1A-010 年次カレンダー自動巻きクロノグラフ

ケース径:40.5mm ケース厚:13.5mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:SS、WG
文字盤:エボニーブラックオパーリン ゴールド植字バーインデックス
ブレスレット:両観音クラスプ付きステンレス5連ブレス 抜き打ちピン調節タイプ 

ムーブ画像も使い回しです。
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Caliber CH 28-520 IRM QA 24H:年次カレンダー機構付きコラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.68mm 部品点数:456個 石数:40個 受け:14枚 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

2018年6月18日現在 店頭在庫あります。価格はお問合せ下さい。


文責:乾

カラトラバ5196P

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今月はユニークなレアモデルが連続で入荷してくる。前回の年次カレンダーレギュレーターRef.5235と同様に展示会サンプルが無い(来た事が無い)手巻きカラトラバのクンロクケースのRef.5196P。モデル的にはパテックを代表するシンプルウオッチの極みでどちらの正規店でも最低一本は何色かの18金モデルが並んでいるド定番。ところがプラチナは製造数が極めて少ないらしく入荷予定が全く読めないレアモデルとなっている。
上の画像でリーフ針とブレゲスタイルのアラビアインデックス、さらにベゼルもほぼ黒に見合える。だが、ラグを見るとケースはポリッシュ仕上げされており撮影時にブラックアウトしたものと判る。
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角度を変えて実機に迫って撮るとブラックアウトするもののだいぶ印象は変わる。ともかくこの仕様は撮影が困難なので実機を見るに限るが、殆ど並ばないので今は"チャンス!"
6時の真下にはケースにラウンドダイアモンドがプラチナ製である証として埋め込まれている。これは現会長のフィリップ・スターン氏が1970年代にご自分のプラチナウオッチにカスタムで埋め込んだものが社内で評判になり標準仕様となったものである。
さて、この少しノスタルジックな文字盤は完全な復刻デザインである。カラトラバ初号機Ref.96がリリースされた1932年のわずか6年後の1938年から1960年代にかけて長く製造されたRef.570の40年代の代表的な文字盤だったようだ。
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右のプラチナ製は1992年にパテック社によって文字盤交換されているミュージアムピースで、針もインデックスも18金製で極めて現行の5196に近い。それもそのはずで注釈に2004年バーゼルでのRef.5196デビューの際の原型と説明されている。機械は当時の手巻きCal.12'''-120。厚さ4mm、直径26.75mm。現行のCal.215と比べると1.45mm厚く、4.85mmも大きいがケース径は35~36mmとわずかに小さい。厚みは現代の方が若干薄い。まあ当時は薄く小さくを心掛けたムーブを素直に頃合いのケースで包み込んでいた時代だったと思われる。今気づいたが1940年代初頭と言うのは第二次世界大戦の戦時下である。アラビアインデックスの採用には影響が有ったのかもしれない。
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久々に撮るソリッドな裏蓋。現行のほぼすべての機械式モデルが裏スケルトン仕様であるパテックコレクションの中で、正に希少なノーマルケースバックモデル。今年40周年のアニバーサリーイヤーを迎えたゴールデンエリプスの定番2型(RGとPT)とこちらの5196のみの特別仕様?になっている。
僅かに空気が入ったかのような保護シールもスケルトンモデルには無い特別感?が・・・
ラグの裏4か所には、下のピンバックル裏側と共にPT950のホールマーク等がしっかり刻印されている。
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イエローゴールドモデル紹介時にも撮ったサイドビューを再撮影。個人的には最もパテックを代表する優美なフォルムだと思っている。リューズ左下側の不自然な修正はフォトショギブアップしました。修行の一環と言う事で・・
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18金モデルのバーインデックスに較べてアラビアインデックス+2トーンカラーダイアルの組合せは上品やエレガントと言うよりも遊び心が有って個性的である。それを敢えてプラチナケースでやると言うのがパテックの余裕。決して万人受けするモデルでは無いと思うが、一目惚れの人には堪らない魅力を感じさせる一本に違いない。

Ref.5196P-001

ケース径:37mm ケース厚:7.68mm ラグ×美錠幅:21×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:PTの他にYG,WG,RG,
文字盤:ツートーンシルバリィグレイ ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター
価格:お問い合わせください

Caliber:215 PS

ムーブメントはパテックを代表する手巻キャリバー215PS。構成部品たった130個の完全熟成の名機に2006年に発表されたシリコン系素材Silinvar®「シリンバー」採用の革新的なSpiromax®スピロマックスひげゼンマイが搭載されたことで耐磁性と耐衝撃性が格段に向上している。まさにパテック フィリップの哲学"伝統と革新"を体現した頼もしいエンジンである。

直径:21.9mm 厚み:2.55mm 部品点数:130個 石数:18個 パワーリザーブ:44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2018年5月20日現在
YG 5196J-001 店頭在庫有ります
WG 5196G-001 お問い合わせください
RG 5196R-001 お問い合わせください
PT 5196P-001 店頭在庫有ります

全国のパテック フィリップ正規店で開催されている年数回の展示会。皆様も足を運ばれている事と思う。いつもはどの店頭にも20~30点程度の在庫陳列が、この時はパテック フィリップ ジャパン(PPJ)からの貸出サンプルで、多ければ時計だけで70点以上の展示にもなる。
ところが絶対に並ばないモデルがあって、いわゆるP.O.R.(Price on riquest:価格はお問い合わせください)要するに"時価"モデルは並ばない。そもそもPPJにもサンプルそのものが無い。たぶんスイスパテック社には何セットか知らないが用意されていて普段はジュネーブのローヌ通りの本店サロンでなら場合(人?)によっては見られるのだろう。
一般的に展示会で見られないモデルと言うのは簡単に買えない。少し嫌な言い方をすれば、誰にでも売ってくれない特殊な時計と言える。縁が無いので良くは知らないが、車ではロールスロイス、ブガッティ、マクラーレン、ランボルギーニ、フェラーリ、ポルシェ等でも一部の特殊なモデルはいきなりは買えないと聞く。
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ところでパテック以外にこのような販売制限をしている時計ブランドは他にあるだろうか。
普通にカタログに載っていて、数量限定でもなく買えない時計・・需給バランスの崩れからグレーマーケットでプレミアがつくノーチラスSSやデイトナの様な代物という訳でもなく・・在りそうで思い当たらない。
2018年の新製品記事でも紹介したレアハンドクラフト(希少な手仕事作品)群も普通には買えないのだが、これらは元々カタログアップされないし、通称ワンショット(超少数の生産数を作り切って、また翌年新たに提案)なので、少し性格が異なる。
さて、それではカタログに掲載されていて価格が明記されているモデルなら誰にでも買えるか?ごく一部の例外を除けば買える。今現在の例外とはRef.5131/1P-001ワールドタイムプラチナブレス・クロワゾネで購入は相当難しい。それ以外は人気度合いでいきなりだと厳しかったり、各販売店がVIP顧客のご要望を消化し切れずに結果として一見のお客様にはハードルが高くなっているモデルもある。でも、たったの数点にすぎないと思う。

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今日はずいぶんと前置きが長くなってしまった。今回ご紹介のRef.5235G-001は上記のような各諸事情により買いにくいのではなくて、単純に入荷が極端に少ないモデルだ。当店でもPPコーナーオープンから3年弱で初入荷した。もちろん計画的な入荷予定として案内されたものでは無く、突如打診があってのイレギュラーな仕入だった。
冒頭で触れた展示会用サンプルとして、このモデルは過去一度もやって来た事が無い。PPJスタッフ曰く「あまりにも入荷が少なく不規則なので、下手にご注文をお受け出来ない」
なぜそんな事になるのか?その辺りをつらつらと考えながら本稿を進めたい。

この時計、実に不思議な顔をしている。レギュレーターウオッチと言うのは普通カレンダーが付いている印象が無い。改めて画像検索すると日付カレンダー付と言うのはそこそこあるが、月、曜日を含むトリプルカレンダーと言うのはまず見当たらない。
パテックのこの時計の場合は年次カレンダーをレギュレーター仕様のダイアルレイアウトにしているのでトリカレと言う事になるが、Ref.5205の様に12時側弓状に三つ窓にせずに真反対の6時位置に日付窓としている。時間表示インダイアルのスタート位置に大きな窓を開けたくなかった気分はよくわかる。そしてミニット用の外周レールもユニークで、6時側インダイアルがスモセコ表示なので、似た感じのカラトラバオートマRef.5296のトリプルサークルの様に秒刻みがレールに無く分刻みだけのスッキリ仕様となっている。
そもそもレギュレーターとは日本では"標準時計"と訳される置・掛時計の事であった。祖父の代から時計を商う当家にも機械式の掛け時計で振り子が見えるガラス窓部分には縦書き金文字で"標準時計"と書かれたクロックが実家の居間にはあった。
1969年にセイコーが水晶振動子による正確無比なクォーツ時計を販売するまでの機械式時計主役時代には、時計店は最も正確な掛け時計を標準時計に定め、時計が売れた際にはその時計で時刻合わせをして納品をしていたと聞かされた。現代では電波ソーラーの目覚ましなどがその役を担っている。ちなみに百貨店は電波受信器を持ち込んでいない限り電波は受信できない。GPSはもっと入らない。WiFi接続中のスマホが多分一番正確だろう。

尚、当店一階入り口脇には非常に正確な標準時計仕様のエルウィン・サトラ―社(独:ERWIN SATTLER)製の機械式掛け時計を掛けてある。一ヶ月と言う超ロングパワーリザーブで月差数秒という優れもの、気圧変化による振り子の空気抵抗の影響を補正する装置が付いていて本当に正確極まりない。ご来店の際には是非自慢話を聞いてくださいナ。
クロノスイスなどの様にレギュレーターと言う3針(時、分、秒)独立表示を好んで作るブランドもあるが、普通はあまり作られる事は無い。パテックもこの1モデルのみであり、知る限りオークションニュースでも見た記憶は無い。さらにこのモデル変わり者づくめで、まず文字盤のロゴ表示がただ彫っただけで無着色である。上の画像は何気なく撮って、それなりにロゴが読めるが光線の具合によっては殆ど読めない。
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横着して上画像を拡大加工してみた。文字盤表面の天地方向の筋目装飾に対して、単純に彫られただけのロゴマーク底部分の表面感の違いで何とか読み取れるが、光の具合次第で本当に見づらい。入荷時にはひょっとしたら着色忘れの世界に一点のユニークピースが点検漏れで着荷したのかと喜んだが、これが純正仕様だった。おそらくこの不思議な仕様も時刻の読み取りを最優先するのがレギュレーターの使命と考えたパテック流の解釈だろう。個人的にはレール同色の紺色シリコン転写が無難かと・・
カタログ等ではこのロゴはブラックにしか見えない。またサーキュレート(同心円筋目彫り)されたインダイアルと縦筋目彫りされた文字盤とはかなりコントラストが実物にはあるがカタログでは微妙な色差しかなく、この時計は絶対に生で見ないと駄目だ。但しこの顔の好き嫌いはハッキリあるだろう。どちらかと言えば日常用と言うよりはコレクション向きかと・・でも見どころと語りどころはまだある。

不可思議は裏側にも存在する。マイクロローター自動巻きなのでCal.240?と思うが、少し見慣れた方なら妙な違和感を感じるハズだ。そう受けの形状がかなり違うのだ。その前にムーブメントそのものが240より大きい。下に画像(12時上)を加工して並べてみたら他にも相違点は沢山あって22金ローター自体のサイズは同じようだが輪列、テンプ、ローターと全てレイアウトが違っていて当然受けもかなり異なっている。まあCal.240は構造的に小秒針が5時位置にしか付けられないので正統なレギュレーター仕様である6時スモセコにはならない。さらに通常センターに置かれる時針を12時側にインダイアル表示させる必要もあってパテックの開発陣はCal.240の良さを残しつつ完全にニューキャリバーを数年かけて開発した。

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この新規ムーブメントの最大の注目点は前衛的なPalsomax®脱進機の搭載である。パテック社の技術革新のフィールドテストモデルであるアドバンストリサーチプロジェクト3部作(2005~2008年)で完成された髭ゼンマイ、アンクルとガンギ車の全てにシリコン素材のSilinvar®が採用されている事だ。そして3.2Hz(23,040振動)という実にけったいな振動数は、理屈は解らないがこれら新素材によってもたらされたものだ。またマイクロローターのベアリング素材も微小なジルコン・ボールに変更されている。さらに輪列のエネルギー伝達での摩擦ロスをたったの3%に抑えるため歯車には全く新しい歯型曲線が開発採用されている。これらの相乗効果がこのムーブの耐久性を高め、結果的にはメンテナンス期間の長期化をもたらしている。さらに通常パテックが盛り込まないハック(秒針停止)機能が、レギュレーターならではの必要性から搭載されている。
尚、上のムーブメント画像でそれぞれの厚みは年次カレンダーと永久カレンダーのモジュールを含めての厚みである。実際のベースキャリバー厚はそれぞれ2.6mmと2.53mmでたったの0.07mmの違いしか無く、この厚みもローターを若干厚くした事に由来するので新規開発のCal31-260は充分に極薄自動巻キャリバーでありながら非常に先進的で意欲的なエンジンであると言える。恐らくこの特殊で唯一無二のムーブメントの製造が小ロットで気まぐれ?な為に入荷がイレギュラーで滅多にお目にかかれない原因だと思っている。
hallclock_600.pngレギュレーターが必要とされたのは18世紀初めに遡る。当時は大航海時代で安全な航海には高精度な航海用時計(マリンクロノメーター)が欠かせなかった。この時計つくりには当時イギリスがリードしていたが、その製造やメンテナンスの為に非常に正確で安定した精度を出せる基準時計=レギュレーターが必須であったのだ。かつて1900年代前半にはパテックでもレギュレータ―の懐中時計が存在したが、腕時計としては2011年のこのRef.5235Gまでアーカイブが無い。ただホールクロック(床置き時計)タイプはパテック社内で普通に利用されていたようであり、実際名誉会長フィリップ・スターン氏の執務室に置かれていたレギュレーターホールクロック(左)から今回のタイムピース5235はインスパイアされている。ただクロックタイプの標準時計は秒針が12時側にあって、時針インダイアルは6時側にレイアウトされているものが大半である。腕時計ではRef.5235を含めブランドを問わずレイアウトが逆転し秒針は6時側となっている。ちなみに左のクロック文字盤には PATEK PHILIPPE & Cie. GENÈVE とあるが、どこかのクロック専業メーカーにオーダーしたものか自社製なのかは記載がなく不明である。
ケースサイドは文字盤同様のヘアラインのサテン仕上げで時計そのものを渋くクールな印象にしている。厚みはマイクロローターのおかげで通常の年次カレンダーより若干薄い10mmとなっている。
レギュレーター表示を邪魔するだけなので他の年次カレンダーモデルには標準仕様の月齢カレンダーが、このモデルには無い。結果的にカレンダー調整用のプッシュボタンは一つ減って3個である。その為に一般的な年次カレンダーでは4個のボタンをケース両サイドに2個ずつ振り分けているが、Ref.5235では9時側サイドに3個まとめて収められている。下画像で一番左の"月"は良いとして真ん中が"日付け"で右が"曜日"が紛らわしい。人間工学的には文字盤のディスプレイ通りに真ん中が曜日で右が日付だととても使い勝手が良いのだが・・さすがに メイド イン ヨーロッパ ですナァ
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最後にバックルも普通ではなく、特別なエングレーブ仕様になっている。レディスの装飾性の強いモデル等でPP銘入りバックルはたまにあるが、シンプルなカラトラバケース仕立てのメンズモデルでは極めて異例である。
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個性的ではあっても正統で奇をてらわないデザインでありつつ人と違ってかぶらないパテックを望まれる方にはピッタリな1本だと思う。

Ref.5235G-001年次カレンダー(レギュレーター)
ケース径:40.5mm ケース厚:10mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGのみ
文字盤:ツートーン シルバリィ バーティカル サテンフィニッシュド、青転写インディケーション
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター 
バックル:PP エングレーブド ピンバックル

Caliber 31-260 REG QA
直径:33mm 厚み:5.08mm 部品点数:313個 石数:31個 受け:10枚
パワーリザーブ:最低38時間~最大48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
脱進機:パルソマックスPalsomax® アンクル、ガンギ車共にSilinvar®製
振動数:3.2Hz 23,040振動
ローター:22金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

在庫:4月24日現在 店頭在庫あります。

参考:Patek Philippe Internaional Magazine Vol Ⅲ No.4 P.18-23

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今春から始めたインスタグラム。これも忙しさにかまけていると投稿が滞りすぐ忘却されそうになる。人材募集に応募してくれる若い人が勤務初日からみんな結構いい感じで記事をUPしてくれるのだが中々長続きせず寸暇を惜しんでやる羽目になっている。
それでもノイズレベルに過ぎないヨチヨチインスタを見て大阪からわざわざ近鉄電車と徒歩でやってきた中国と韓国の国際結婚カップルが当店初のパテックのインバウンド販売となったのだから馬鹿に出来ない。ちなみにインバウンドは英語らしいが彼らには全く通じなかった。

さて、前回に引き続き新製品ネタながら一般にはあまり取り上げられないレアハンドクラフトという手作業による伝統的な装飾が施された時計達を紹介したい。
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この4点は全てミニットリピーターでオフィシャルページ上の動画にも全く登場しない為に現場に足を運ばないと絶対に見られない代物。左2点はクロワゾネ(有線七宝)、右2点は手動の機械を用いて彫られた規則性のある同心円状のエングレーブの上から釉薬を掛けたフランケと呼ばれる技法。さらに花と枝の部分は木象嵌も使われているようだ。素材確認は失念したが時価価格は恐らく5000万円以上はするだろう。右2点はもっとする。
今画像を見直して興味深いのは針のポジション。普通パテックのサンプルピースは、10時10分に針止めがお約束なのに見事にバラバラである。右2枚を見れば描かれたモチーフに合わせているという訳でもなさそうだ。ひょっとしたら針止めをしていない実機なのかもしれない。
下の左2枚は動画でも紹介されているクロワゾネのポンテベッキオ橋(レディスとメンズモデル)。右は木象嵌のゴールドフィンチ(ごしきひわ)。右端はその象嵌に使用される着色木片の微細なパーツ。
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ポンテベッキオ橋の2枚はアルノの川面の色とブランドロゴカラーが決定的に替えてあるが、その他はほぼ同じ色目で仕上げてある。これらも針のポジションの統一感は無い。木象嵌は右の破片をジグソーパズルのようにはめ込んでゆくのだろうが、あまりにも細かすぎて工程が想像できない。
全て視認性を上げるために、ムーブメントは秒針省略の二針仕様がお得意なマイクロローター採用の極薄自動巻Cal.240が積まれる。価格は採用技法で異なるだろうが、この木象嵌で1200~1400万円程度らしい。同じムーブを積むシンプルカラトラバのRef.6006Gが税別334万円なのでハンドクラフトだけで1000万円前後と言う事になる。かなり高い気がするが、パテック社の内製ではなく今や本当に少なくなった個人職人への外注なので致し方無いのだろう。ちなみにこの辺りの作品の製造個数は数点から数十点のユニークピース。注文を出しても来ることもあれば来ない事もあるらしい。購入する店を絞って、ストーリー性に富んだ購入実績を相当重ねて、初めて購買の可能性が出てくるらしい。正直明確な基準が良く分からない。

これらのユニークで工芸色豊かな特殊時計がすべてのパテックファンに人気があるわけではない。正直なところ機械式時計に加えて絵画や陶芸方面に趣味の有る方でないと飛びつかれると言う事は無い。実際腕にするというよりは鑑賞用であり、ずっと将来にその希少性ゆえ資産価値を生む可能性はありそうだ。
お好きな方どうですか?とお勧めしたくとも分厚いご購入実績という高いハードルがあるので、今の所は当店が販売する可能性は限りなく薄い。でも、いつかは売りたいなァ・・

文責:乾

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スイスからは火曜日27日に帰国した。興奮冷めやらぬと言うほど豊作では無かったが、各ブランド共手堅く冒険はあまりせずという2018だった。出発前にインプレッションを書いたパテック フィリップニューモデル。実機を初見して、想像通りも多かったが意外なりも結構あった。年々物忘れが酷くなる一方なのでとっとと書き上げてしまおう。
個人的に好きでコレクションしたい(金額は無視)のがプラチナケースの永久カレンダークロノグラフRef.5270P。今年の一押しモデルだ。あくまで個人的にデス。
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2017年時点でローズゴールドのストラップのみになっていた5270。2016年まではWG(白と青の2文字盤)があったので一年ぶりに銀色のケースが復活したのだけど、いかにもパテックなヴィンテージローズカラーに正体ゴシック文字のアラビアインデックス(恐らくWG?)と針が酸化処理のマットブラックへと化粧仕上げされており、ため息が出るくらい美しい。実を言うとこれまでの5270はWGもRGもあまり個人的には趣味で無かった。今年黒文字盤のメタルブレス仕様でリリースされた新しいRGもその意味では同じだ。でもプラチナは何故か全く新しいリファレンスの印象が強い。
今年の撮影は悩みに悩んだが、結局新規購入したミラーレス一眼SONY α5100に単焦点マクロレンズ(E3.5/30)をミニ三脚を使わず手持ちでサンプル実機撮影とした。ズームレンズなら三脚を使って絞り込んでスローシャッターにするがズーム無しの単焦点レンズなので手でカメラをズーミングするしかなかった。ただ単焦点は描写力がズームをかなり上回る・・と思う。具体的な撮影条件はシャッタースピード優先モード1/80秒 絞りオート ISO/5000 ホワイトバランスは各ブランドの商談テーブル上でマニュアルセットした。
難儀なのはブース廻りやショーケース内に展示されている時計や、バーゼル会場のイメージカットを撮るときに、その都度レンズ交換なんてしてられないので、全てフルオートのiPhone7に任せた。
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コチラがiPhone7画像。敢えて生画像で一切お触りなしとした。ガラス越しの実機まで30cm以上はあるので、かなりアップして撮っている。よくもあんな、けな気なレンズでここまで撮れるとは凄いノゥ。
次に各バイヤーから人気が高かったモデルとしてアクアノートの初クロノ、それもフライバッククロノグラフムーブCH28-520Cを搭載したRef.5968A-001。ステンレスアクアのコンプリ系には既にトラベルタイムRef.5164Aあるが、フライバッククロノにエンジンを積み替えたスポーツウオッチが誕生した。色んなインスタ等でオレンジカラーのラバーストラップバージョンが時折出ており、セットなのか、別売なのか、今まで無かった提案で現場に行くまで把握できなかった。この時計の工場出荷時のストラップはブラックでオレンジは付属セットとなっている。但し、注文でスイス入荷待ちの場合にオレンジが希望であれば、黒が予備となって入荷するらしい。確かに売れそうな顔をしております。現物が想像以上に良かった。
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賛否両論がありそうなノーチラス初の永久カレンダーRef.5740/1G-001。そもそもノーチのホワイトゴールドブレスは珍しい。現行モデルでは5719/1Gという全身にダイアを纏った特殊モデルのみである。一昨年にはシリーズ発売40周年記念として1300本の限定モデルとしてWGブレスの大振りサイズでフライバッククロノRef.5976/1Gが出たのみだ。
ノーチのグランドコンプリケーション(永久カレンダー以上の複雑時計)というのも多分初めてのはず。この時計相当に薄い。ケース厚たったの8.42mmしかない。比較されそうなモデルでは、アクア3針が8.1mm、ノーチ3針が8.3mm。同じマイクロローター搭載Cal.240Qを積んだ永久3モデルでは、Ref.5139(生産中止)が8.7mm、Ref.5140(生産中止)が8.8mmで唯一の現行モデルRef.5327は9.71mmもある。全ての永久カレンダーコレクションの中で最も薄いのは新参のノーチラスであり、極上のフィット感を誇る3針モデル5711の厚みをたったの0.12mmしか上回らない。防水性能は6気圧で同じくCal.240搭載のプチコンRef.5712に並んでいる。参考までにAPのロイヤルオーク永久カレンダーをネット検索すると厚さは9.5mmで2気圧防水である。但し、今年の新作であるエクストラシンの永久カレンダーはセンターローター採用で6.3mmケース厚と驚異的である。ただ耐久性については今後のフィールドテストを待たなければ何とも言えないだろう。

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文字盤の青の色目は現物を見るまで少し心配をしていたが、紺では決してない凄く良い青である。この青は大変評判の良かった40周年記念限定の前述したWGクロノグラフ及びプラチナ3針と全く同じ青である。今回この青のカフスも新規リリースされた。12時側にプリントされる PATEK PHILIPPE GENEVE のロゴ部の仕様も従来の横縞ボーダーの凸部にではなくロゴスペース全体を凸状態にした40周年と全く同じ仕様にされている。細かく見てゆくと40周年を買いそびれた方にも是非ご検討を頂きたいモデルでもある。上の画像で4時40分あたりの延長線上に月齢表示の調整コレクターボタンがある。通常は6時位置に配置されるが、ケースの構造上無理なので特殊な伝達方式で此処にレイアウトされた。同様に日付及び月のコレクターも大きく配置換えがなされている。
さて、前述のアクアノートステンレスクロノグラフもこのノーチラス永久カレンダーにも共通して取り入れられたのが新方式を採用したフォールディングバックルである。
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上図でバックル中央のPPロゴの下の横面に2か所の四角の薄い突起が見える。この部分が折り込まれてくる両側のクラスプとかみ合って固定される。従来のバックルが下の画像(懐かしの2年前撮影)である。同じように片側2か所、合計4か所で止める発想は同じだが新方式はより長期間にわたって緩るむ事無く使い続けられるらしい。個人的にはZ型を思わせるスケルトンチックで何処か色気を感じる従来のスタイルが好みではあるが・・
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さて、実際に手に取って見れたモデルが少ないので、その中から印象に特に残った3点を駆け足でご紹介した。少々長くなったので第一弾として一旦休憩。次回はバーゼルの会場でしか見る事の出来ない、いわゆるレアハンドクラフトと呼ばれるユニークピースの一団などをご紹介したいと思う。

文責:乾

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昨日の画像アップ不調は当店HPはレンタルしているサーバートラブルが原因だった。まだ今も回復していないので画像が貼れない。例年は今日(バーゼル一般公開初日、8時間時差)の朝からだったのだが、既に昨夜中にスマホで確認したらしっかり2018ニューモデルが掲載されていた。リンクは貼れるのだろうか?
例年同様に品番頭の●の色はザックリながら、完全な新商品、新素材投入、新文字盤追加 その他 [POR]:時価対象モデル

メンズ
ミニットリピーター
5207G-001(永久カレンダートゥールビヨン)[POR] 5208R-001(永久カレンダーモノプッシャークロノグラフ)[POR]
5531R-001(ワールドタイム・クロワゾネダイアル)[POR]
永久カレンダー
5270/1R-001(手巻きクロノグラフ) 5270P-001(手巻きクロノグラフ)
年次カレンダー
5205G-013
カラトラバ
5524R-001(パイロットトラベル)
ゴールデンエリプス
5738/50P-001 5738R-001 205.9102R5-010(カフリンクス)
ノーチラス
5740/1G-001(永久カレンダー) 205.9057G-013(カフリンクス)
アクアノート
5968A-001(フライバッククロノグラフ)
スプリットセコンドクロノグラフ、クロノグラフ、ワールドタイム無し

メンズは全12型。昨年の17型からさらに絞られた印象。グラコンは昨年5型なので同数。通常なら50周年のハーフクォーターアニバーサリーイヤーを迎えたゴールデンイリプスが、どちらも好印象ながらたったの2モデルしかない。
個人的にはやはり売りずらくてもイエローゴールド+パテックブルーと呼ばれるコバルト照射由来のブルーサンレイダイアルモデルのJUMBOがラインナップされてほしかった。
ローズの黒文字盤は素敵なんだけどチョッと色気あり過ぎかも・・プラチナは限定たった100本で同様な意匠を施されたホワイトゴールドのカフリンクスとのセット販売の様だ。さて、日本に何本来るのか来ないのか。ちなみにこの特殊なハンドクラフト文字盤は18金製で本黒七宝とハンドエングレーブの組み合わせの様だ。様だ、様だは現地で確認致します。工程の順序が良くわからないんですよ。2017年カラトラバで発表されたRef.5088/100P-001とほぼ同じ技法で作られたのは間違いなさそう。でもこの手の限定はバーゼルのPPブースに飾られていてショーケースのガラス越しに見る事が殆どで商談テーブルで直に手に取れる事が無いので、あまり思い入れが入らない。
さて寡作の2018の各モデルを予見してゆこう。グラコンはミニットと永久カレンダークロノに新素材投入が4型。秀逸なのはレギュラーライン初のミニット+ワールドタイムのクロワゾネダイアルバージョンRef.5531R-001。レギュラーライン初と書いたのはリリースのどこかにもあったが、記憶に新しい昨年のニューヨークでのグランド・エキジビションの為にエリア限定で確か作られているからである。手元のスイス・ジュネーブで発行されているeuropa star誌の40PにずばりRef.5531で掲載されている。違いはクロワゾネのモチーフが摩天楼かレマン湖の帆船かだけの様である。となれば今回の5531が枝番001とされているのは少し微妙かもしれない。

5531R_NY&BSL.png


年次カレンダーはRef.5205のWGが全廃されたので何か出るとの予想、恐らく紺や青系と持っていたらドンピシャだった。しかも始めて文字盤内側をグラデーションさせているようで、明らかに昨年の5170Pの人気に気を良くした誰かが画策したのだろう。今一番見たいモデルはコレ。
パイロットトラベルは昨日書いたので、2年ぶりにメンズの新作が投入されたノーチラスについて。これまた予想通りの永久カレンダー。しかもCal.324ではなく偏心マイクロローターのCal.240を積んでノーチの最大の強みである薄さ8.42mmに仕上げたのはあっぱれ。ただモニターで見る青の色目がチョッと薄いようで現物が早う見たいノウ。
さてアクアノートは昨年超ヒットのRef.5168Gに引き続いて新作一点。予想ではRef.5960/1A(年次カレンダー+フライバッククロノグラフSS)が今年全廃されたのでソックリそのままステンアクアに積むのかと予想していたらシンプルなフライバックのみ積んで登場。漆黒の文字盤にアクセントでオレンジを効かせたお決まりのレーシー仕様なのだけれど好き嫌いが出そうな気がする。まあ現物、現物・・ってのが無ければ明日からの5日間が空しくなってしまう。

レディス
クロノグラフ
7150/250R-001
カラトラバ
7234R-001(パイロットトラベルタイム)
アクアノート
5067A-025

昨年も結構な寡作(それでも8点)だったけれど、一体どうしたの状態の僅か3点とは。これは寂しい。やはりヨーロッパ市場が良くないのだろうか。特にこの2年ほどダイア・ダイアとほぼプリンセス プリンセス♪状態(古いですヨ!真正のオヤジですから)だったのに見る影もない。レディスは少なくとも日本ではゆっくりながら伸びているように思えるのだが・・
例年のお約束であるアクアルーチェの新色。これまた青かよ。昨日も書いた意表を突くレディスパイロットトラベルなのだが、これこそ現物を手にしてのサイズ感とボリューミー感を確かめない限り解りません。正直言って。
手巻きクロノキャリバーCal.CH29-535を積んでの新作Ref.7150ですが2016年にディスコンになったRef.7071の後継ですがね・・・好き好きですね、世の中は!。蓼だって無ければより美味しく鮎の塩焼きが戴けない訳ですから。あらゆるモデルには必ずそれを必要とする人が何処かに居るわけデス。山口百恵さん調♪ですかね。
しかし、今年も昨年、一昨年に続きTwenty-4追加一切無し。なんで??

尚、例年現地のパテックブース一階に展示されているレアハンドクラフトのユニークピースのクロワゾネモデルやドームクロックが今年も既に動画で紹介されている。様々なモチーフが紹介されているが個人的には今年何点か登山をイメージしたモデルがあるのとトスカーナとポンテベッキオ橋が描かれた2点が好ましい。是非、皆様もご一読?を。
それでは、例年段々準備がええ加減でまだ一切支度をしていない。夕方に切れかけている花粉症の薬をもらいに行って晩飯をどこぞで頂戴して、しこたま飲んでそれからゆっくり支度。朝は8時にレンジで出発。10時までには関空に着いて11時のフライトはKLMでアムス経由バーゼル空港へは現地夕方5時45分着予定。バスで15分で投宿。ドアドアで17時間強は例年よりずっと楽ちんだ。では次回の投稿は帰国後。画像も全部帰国後。では行ってきます。
もし早めに起きられてお天気よければボクスターで花粉浴びまくりも良いかな・・

文責:乾

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気付いている方が圧倒的に多いと思われる新しいパテックフィリップの公式インスタグラム
明日は朝から公式HPを見て新作のブログを書く予定だった。ひょっとして何か欠片くらい新作について載って無いか公式HPを訪問すれば、なんと新しくインスタが始まり、つい先日の18日に2018ニューモデル2型をリヴェール(ご紹介)するとあるではないか。
で、早速インスタでPP検索したらメッチャ凝った投稿がアップされていた。従来からあったメンズのカラトラバパイロットトラベルタイムRef.5524G(WG)のローズゴールドバージョン。文字盤カラーはWGの青ではなく茶色。何となく昨今他ブランドで流行っているブロンズっぽい。ただし凄く綺麗でエイジングとは無縁、でもカッコいいRef.5524R-001。
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でもってビックリしまくったのがまんまサイズダウン(37.5mm)したレディスのパイロットトラベルRef.7234R-001。色使いもメンズと全く同じ、センターフルローター自動巻きCal.324(直径27mm)がベースキャリバーなので結構な大きさになってしまう。既に生産中止された品番が近いRef.7134Gは手巻きCal.215(直径21.9mm)にトラベルモジュールを積んで35mmで、WGケースのベゼルはダイア巻き。当時の価格は税別451万円だった。あっ、当店にデッドストック一本有りです。
となると新しいレディスパイロットトラベルの価格が気になる。たぶんメンズは現行のWGモデルと同価格のはず、とすればあんまり変わらないのだろうか。明々後日には彼女に会える。

Ref.7134Gは確か画像は撮ってたはず。記事にする前にディスコンになったのでお蔵入りさせたのをやっと探してアップしようとしたら何故かサーバートラブルのような表示が出て全く貼り付けられない。でも今晩しか価値の無い本稿なので画像無しで投稿。

文責:乾

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「もう駄目なんやろうね」
「う~ん。もう年が明けましたからね。厳しいかもしれません」
年頭にこんな会話をした覚えがある。なんせ世界限定500本。当店のナンバーワンV.I.P.顧客様であっても2年半の購入実績しかない訳で、他店様で長期間ずっとパテックを買い続けてきた顧客様達に割り込めるかどうか?正直なところ昨年初夏の申し込み時点から一抹の不安は二人で共有していた。
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そんなRef.5650G-001アクアノート・アドバンストリサーチが一月下旬に急遽入荷してくることになった。実はタイミングがチョッと悪かった。顧客様は某ブランドブティックのご招待で初めてのSIHHや工場見学からお帰りになられたばかり。当然のことながら、そのブランドへのお付き合いのお買い物をおざなりにされるような方ではない。でも当然この特別なアクアノートの特別感がどの程度のものであるかを十分に理解されていた。お陰様で、無事ご納品がかなった。
「リサーチせなあかんと言う事は、不都合が出るかどうかどんどんプッシュボタンも押しまくった方が良いね?」
本当に嬉しいお言葉を頂いた。その通りである。ややもするとこの手のお宝モデルは手にされることなく未使用保管される事がしばしばである。パテック フィリップ社の狙いはそうではなく、正に使いまくって欲しい訳である。是非、今後もこの顧客様にアドバンストを宜しく・・・

昨年のナショナル・ジオグラフィックのバーゼルワールド取材時にスイス・パテックフィリップ本社のティアリー・スターン社長が次の様に述べている。
「父であるフィリップ・スターン会長から与えられた命題の一つが、トゥールビヨン機構を使わずにそれに匹敵する精度を実現すべし」
これを本当にやってしまったのがこのモデルの1つ目の特長。これまでにも特許取得して採用されてきた髭ゼンマイ外周部の厚みをました《パテック フィリップ・エンドカーブ》に加えて内側の髭玉に近い部分も厚く形成して、ムーブの垂直姿勢時の等時性をさらに向上させることで同社のトゥールビヨン搭載ムーブに匹敵する-1~+2秒というとんでもない精度を実現してしまった。
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2番目の技術革新はトラベルタイム機構を構成するパーツのダイナミックな統合である。上の画像で左右の✖状にクロスしスプリング機能を有するパーツは実は繋がっている。これまでトラベルタイム機構を構成していた内の何と25個のパーツをたった一つに統合してしまっている。下図の従来機構のイラストと見較べて頂きたい。
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具体的にどんな風に作られているかは知らないが、コンピューターで制御される高度な加工能力を有する工作機械が無ければ出来ない部品なのだろう。しかし、この9時位置のオープンワークは現物が凄まじく美しい。先日開催したパテック フィリップ展では顧客様のご厚意で特別出品頂いた。理想的な照明に照らされたショーケース内の5650Gには改めてその美しさを思い知らされた。
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スケルトンバックを通してみるお馴染みのセンターローターCal.324のバックシャン。今回は少しクローズアップ気味に編集してみた。ここまで肉薄してもブルーに着色されたスピロマックス髭ゼンマイは髭持ちの左上にほんの少しだけ見えているだけで、残念ながら外周幾何学形状も確認は出来ない。表のオープンワークが見事なまでに御開帳しているのと対照的である。
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横顔。トラベルタイムモジュール+センターローターの組み合わせでそれなりの厚み(11mm)は有る。ただムーブメント厚はたった4.82mm(リリースより、薄い・・)しかない。従来機はムーブメント厚4.9mm、ケース厚10.2mmなのでケースにわざとボリュームを持たせたのかもしれない。この理由はよく解らない。6時位置のプッシュボタンはカレンダー調整用である。リューズのカラトラバ十字の下側の突起が消えているのは見逃してくだされ。お触りし過ぎるとこんな羽目になる。リューズ上のベゼルサイドの黒い影も消そうと思ったが、あまりにも虚構になるのでノータッチ。

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一昨年のノーチラス40周年記念限定と言い、この限定アクアノートと言いボックスが何故か小ぶりだ。管理し易くて助かるとのお声もある。鑑賞目的の為のオープンワークを楽しんで頂けるようにケース部分もオープンワークのスケルトン仕様になっているのはご愛敬。確かにこのモデルには似つかわしい特別製化粧箱である。


この時計は先週アップしたやはりアクアノート20周年記念レギュラーモデルのRef.5168G-001アクアノート・ジャンボとほぼ同時に入荷し、同時に撮影をして同じフォルダで管理した。どちらもアクアノートなので画像編集時にどっちがどっちか一瞬こんがらがる事もあって少し難儀した。ジャンボ同様に撮影からアップまで一月以上掛かったが、この辺で投稿しないと多分日を置かずに2018年の新作情報が来るはずだ。これをもとに3月22日にはアップされるであろうPP社の公式HPの新作情報を基にスイス訪問前の予習も兼ねてバタバタと記事を書く事になるだろう。まあ例年の事なのだが、さあ出発まであと2週間・・

《Patek Philippe・Advanced Reserch》Aquanaute Travel Time Ref.5650G-001 20th Anniversary Limited Edition
世界限定500個

ケース径:40.8mm(10時ー4時方向)※リューズを含む3時ー9時方向で45.24mm
ケース厚:11mm 
防水:12気圧
ケースバリエーション:WG 
文字盤:真鍮、中央から外周に向かい明暗のグラデーション スーパールミノヴァ蓄光付18金WG植字アラビア数字インデックス
針:バトン型スーパールミノヴァ蓄光付18金WG時(ホーム及びローカル)分針、パーフィル型ホワイト塗装ブロンズ製カウンターウェイト付秒針、バトン型ホワイト塗装18金WG日付針
ストラップ:ナイトブルー・コンポジットバンド バックル:18金WGフォールドオーバークラスプ

Caliber 324 S C FUS
トラベルタイム機能付自動巻ムーブメント
直径:31.0mm 厚み:4.82mm
部品点数:269個(フレキシブル機構により従来機より25個減) 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間 テンプ:ジャイロマックス
髭ゼンマイ:外周と内端にふくらみを持つSpiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

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やっとこの記事に着手出来る。たぶん一ヶ月位もたついてしまった。ノーチラスSSの価格改定騒ぎやら、生産中止情報等々を先んじてアップしたり。3月頭のパテック フィリップ展に加えて急遽同時開催する事になったプレステージウオッチフェアの仕込み作業。3週連ちゃんの東京出張・・
と、ここまで書いたら最近増えつつあるアジアのお客様が2階に上がる足音・・又しても時間を取られる訳で、ブログはサボログ化する。今日中に上げられれば、ぐらいのつもりで無いと駄目だ。そうそうインスタにも結構時間は取られている。時間を牛耳る時計なるものを取り扱っているのに、いつの間にやら時間を取られまくっている。
閑話休題、アクアノート販売20周年を記念して昨年のバーゼルワールドで発表されたRef.5168G-001。その遺伝子であるノーチラス兄貴に与えられた"ジャンボ"の称号を付けたアクア初(知りうる限りだが・・)のホワイトゴールド素材に絶妙な深みのあるブルーカラーの文字盤とコンポジットラバーストラップを纏いレギュラーサイズより1.4mm大きい42.2mmのケースはジャンボと呼ばれる程の大きさを感じる事は無く、どなたの腕にも乗っかるサイズ感である。中身はCal.324で従来機と変わらない。昨年9月にサンプルを撮影して既に一度紹介済みなので時計については実のところあまり書きようがない。

だが、今回関東方面からお問合せいただき、わざわざ日帰り購入でご来店いただいたお客様のご厚意でピンピンの実機撮影がかなった。

実機撮影の件、承知しました。
乾さんのブログに登場できることを、大変うれしく思います。
iphoneで時計の写真を撮っても綺麗に撮れず、いまから乾さんのブログが楽しみです!
ご遠慮なく、ご活用ください。(メール原文引用)

こんな嬉しいお言葉。時計屋冥利なのか?カメラマン冥利なのか? 俺は一体何者? でもプレッシャーでもあって、ご期待に添えたかどうかは疑わしい・・

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この画像秒針が少しブレている。オーナー様から「上手に撮ってください」的なお願いまでされたのにこの様だ。実はこの時初めての黒い牛革を背景と土台に使って撮影した。デジタル一眼レフのモニターというのは厄介で実に綺麗に見えてしまう。でもスマホよりも少し小さ目なのでPCに画像を取り込んでモニターで確認すると"アレッ"と言う事が多々ある。この時もベゼルの8時から10時あたりに掛けて牛革のシボ模様が映り込んでチョッと不気味な状態になっていた。
時すでに遅く時計は入荷検品に入っており、主ゼンマイは全巻きされ、ごく薄い保護フィルムでケース部分はラップされていた。撮影条件として、モデルの殆どにハック機能の無いパテックは、ゼンマイにほぼトルクの無い状態なら時刻合わせポジションで少しだけ逆転させると大抵は希望の位置で秒針を止められる。最初牛革ベース撮影時は、それでピッタリ針留めして撮ったのだが、全巻き状態になった時計のラップを剥がして、何をどうやっってもほんの少しのショックで秒針は動き出してしまう。さらに悪い事にはラバーストラップという素材は空気中を漂う微細な埃をどんどん吸着する性質がある。ジュネーブの(恐らく手術室の様なノンダスト設備下の)ファクトリーで出荷時に真空パックされた状態で手元に納品された時が、最も撮り易いのである。一回撮影して、検品して、ラップしているうちに手袋の埃が結構ついてしまっている2回目のが上の画像。埃の処理にフォトショップで20~30分は掛かってしまった。リューズに関しては画像処理で捻じ込んでいる。
ところでトルクフルな状況で逆回しをしっかりやると秒針は逆進する。これは実に気色悪い感覚だし、直感的だがきっと機械にも良くなさそうなので、良い子は絶対やってはいけません。

ちなみに画像の左右両側のコンポジットラバーストラップは端に行くと少々ボケ感が出ている。これは被写界深度をどちらかと言うと深めにセット(絞りを少し絞って)して、時計には出来るだけピントを合わせつつ背景はボケる様に狙ったからで、具体的な値は、絞りF13、シャッタースピード1/2.5秒である。このかなり遅めのスピードでは秒針がこんなにブレる。ISO(LO-0.3)を上げればいくらでもスピードは稼げるが画像が荒くなるのでこんな針ブレが起こった。実際には1/30秒位になるようにISOを上げても画質的には問題が無かったと思うが、これも撮像確認の甘さである。簡易スタジオは2階の事務所奥の倉庫の一角にあり、PCは一階事務所にあるためこんな事を時々やらかしてしまう。この針ブレ、流石にフォトショップでどうにか出来るものでは無い。
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撮影日はずいぶん前。画像処理に1日、時間にして4時間位。そして本稿を綴り始めて二日目の今日は2月25日。午前から同時に二組のご来店。昼から出社する姐がいないし、スタッフの I 君と二人なので後から来られた若い初来店様を対応する事に。聞けば名古屋市内からお車で遠路はるばるのご来店。お目当てはRef.5711/1A-011白ノーチ3針ステンレス。現在、白に関しては予約から登録に移行するか否か迷っている状態。5712/1A-001プチコンSSノーチもほぼ同じ状況。3針SS黒青は登録のみで予約はご遠慮いただいている。
当店での予約とは製品が製造され続け納品され続ける限り、順番に販売してゆくと言う事。登録はほぼご来店記念の記帳に近く、販売を約束するものでは無い。
国内30店のパテック フィリップ正規販売店でこれらやアクアノートSSのような異常人気モデルをどのように販売するかは店舗に委ねられている。しかし温度差は色々あっても結局は、常日頃から購買をいただきご愛顧頂ける大切なロイヤルカスタマー様を優先せざるを得ない。傲慢と言われようと「結局、長い目で見た抱き合わせ販売・・」と言われようが、売り手としては当たり前の事だと思っている。ロレックスのSSデイトナ等も一緒で正規店でそれらだけを購入しようされる方が大変多いが、現段階では奇跡に近いのでは無いかと思われる。
話を戻そう。結局じっくりと話し込ませて頂いた名古屋のお客様と入れ替わりに当店V.I.P.顧客様のご紹介の初来店様が入店されてご対応をする事に、姐が加わってもたった3名でそれなりにご来店が有れば一日は本当に"あっ!"という間に終わる。既に19時53分で残る2名は高額品を片付け始めている。そう、閉店時間なので今日もブログは完成しない。ちなみに上の画像はかなり触っております。じっくり見るとあり得ないはずと言う事に(拡大せずにですョ!)気づかれる方もいらっしゃるかも・・
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もはやお馴染みのスケルトナイズされたCal.324の後ろ姿。サテンフィニッシュされたサークルの外側の鏡面仕上げサークルの下の方に前述した牛革ベースが写り込んでいる。さすがにこの画像修正は諦めた。手間と時間がかかり過ぎる割に違和感を完全に無くす事はほぼ不可能。もちろんプロにギャラを払えば、いとも簡単なのだろうが・・
何か本稿はカメラ話に終始したが、書き始めてようやく三日目にして投稿できそうだ。Ref.5167Aや5167/1Aのステンレス素材と同様に、WGの5168Gもリリースからまだ一年なので商品調達は非常に難しい状況が続いている。当店も今年は既に難しい状況にある。でもどちら様にも関わりなく来年度分のご予約は店頭受付しております。詳細はお問合せ下さい。

Ref.5168G-001
ケース径:42.2mm(10-4時方向)ケース厚:8.25mm ラグ×美錠幅:22×18mm
防水:120m ねじ込みリューズ仕様
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤:ブルーエンボス ブラックグレデーテッド 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ミッドナイトブルーコンポジット《トロピカル》ストラップ(ラバー)アクアノート フォールドオーバー クラスプ付き 

Caliber 324 SC/393

直径:27mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから

文責:乾

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ここ2年ほど当店では真夏のお盆にパテックフィリップ展を開催してきた。お盆は意外にも皆さん自宅に居て、近場をうろうろするだけだ。とか、ゴルフも暑すぎて行かない。とか、東名名神のような大動脈は混んでるが、阪神高速などはガラガラだ。とかいう諸々の理由付けでそんな時期に開催してきた。実際のところパテック正規販売店としては後発の当店がサンプルを4日間も抑えるのはお盆しかなかったという理由も大きい。
ただ難儀なのはお盆の一週間後の東京都内某有名百貨店のワールドウオッチが毎年新作の一般公開スタートと決まっている。その為に、お盆には会場に新作は飾れないし、事前にモデル指定でキッチリ申し込んで頂かないと新作はご紹介出来ない。実際にはよほどのご常連様以外にお目に掛ける事はなかった。
で、今の時期はどうかというと今年の2018新作が皆さん気になり出す頃なので、全ラインナップがもちろん見れてもナぁ。ということになる。ただパテックフィリップの年度初め(2/1~)なので今年の仕入れ枠がまっさら状態な為、お品物を決めて頂ければ、早目の納品が可能なモデルが多いというメリットはある。さらにパテック フィリップ展(通称PP展)での決定品は通常営業時での客注品よりも早く優先的に納品される傾向がありそうだ。これは経験的にたぶんと言う事である。

2018 CASABLANCA PATEK PHILLIPE EXHIBITION
日時:2018年3月3日(土)・4日(日)の2日間 11:00~19:00
会場:カサブランカ奈良2階パテック フィリップ ショップ イン ショップ コーナー
※この時期の奈良は東大寺修二会のお水取りお松明の行(3/1-14)なので当店行き帰りは時間帯によって混雑が予想されます。
※画像は2017新製品Ref.6006G
6006G_001_PRESS_RVB.jpg
ただ単に展示会をするだけでは無く、当店流の何か"らしさ"を出せないものかと知恵を絞った。
CASABLANCA PRESTAGE WATCH FAIR:昨年以来ずっと導入を検討してきたジャーマンウオッチ"Moritz Grossmann"。実は一本愛用もしている。ただその価格帯的な敷居の高さゆえ最後の一歩の勇気が出ず、悶々とした一年だった。今回パテックと同時ならという無理やりの口実もあって、特別に期間中展示する事になった。どなたかがご成約という事になれば常時取扱いという羽目(では無くて"契約"か)になるだろう。この特別出品は個人的に今回の目玉。スイス時計の至高であるパテック フィリップを志向される方々に、このニッチながらジャーマンの正統性半端ではないドイツ時計は支持されるのであろうか?
そこまでやるなら一階の取扱いブランドにも声掛けして普段目にする事のない、当然在庫にするわけない高級ゾーンの貸し出しをお願いした。結果プレステージフェアと括らせて頂く事になった。クレドール、モンブラン、クエルボイソブリノス、ブライトリング等が対象である。これについてはフェアWEBページを今後作る予定なのでそちらで内容確認ください。
※画像は"アトゥム・エナメル ジャパンリミテッド"WG(税別440万円)、RG(410万円)各7本限定


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カサブランカ奈良ミシュラン:期間中ブランドを問わず税抜き100万円以上ご成約で、当店(乾?)推薦の夜な夜な徘徊店舗のお食事をお楽しみ頂こうという企画。ペアお食事券(3か月間有効)をお渡ししますので、ご都合の宜しいスケジュール(昼夜いずれも可)にてご予約いただきお楽しみいただきます。ただしお飲み物は各自ご負担いただきます。

ご協力店:奈良而今(ナラニコン・茶懐石)、La forme d` eternite(ラ フォルム ド エテルニテ・フレンチ)、Banchetti(バンケッティ・イタリアン)の3店にお願いしております。すべてこの2年以内にオープンしたお店ですが、既に結構予約必須の人気店になっています。


ポルシェの試乗体験:昨年春、近隣のPORSHE CENTER NARA様の試乗イベントにコラボレーションしてパテック フィリップの特別展示を行った。それの逆張りで展示会期間の2日間(12:00~17:00程度?)、当店駐車場に2~3台の試乗車と先方のスタッフが常駐し、試乗体験をしていただこうというコラボレーションイベントである。恐らくマカン、パナメーラ等の4座以上モデルが置かれてそうで、ボクスター、ケイマン等の2座モデルのご希望があれば、ポルシェセンター迄試乗車に同乗頂いてポルシェスタッフが送迎という形を取ります。
※現在ポルシェ本体のイベント承認待ち。時計業界以上にレギュレーションが厳しい輸入車業界デス。

皆様のご来場を心よりお待ちいたしております。予約なんぞは要らない気楽な展示会です。ただどうしても時間限定や見たいモデルに限定が有れば事前にご連絡ください。(ただしノーチラス・アクアノートのステンレスモデルはご勘弁ください)

文責:乾

例年の事である。今年は6日に生産中止予定モデルの追加・変更の通達が来たらしい。"らしい"とはまたええ加減な表現だが、2月は例年恒例の毎週東京詣でなので今朝見た。スタッフの教育できとりまへん。要は社長が甘くてボンクラ。大小問わず、こういう一見些細なことがいずれ致命傷となり企業はご臨終となる。しっかりせんかい!(千回)と自分自身に"活!"を入れる乾です。
変更は、ポケットウオッチRef.972/1J-001の生産中止追加。中止予定だったスプリットセコンドクロノRef.5950R-001の生産継続にての復活。以上2点で大勢に影響はない。何故か懐中時計の画像は既に公式HPには無い。2017ゼネラルカタログには掲載されている。HPに今時点で生産中止発表され未掲載のモデルはこの一点だけ、何ゆえか?実は心当たりがある。でも、チョッと書けないんだナぁ。(以上2/8加筆)

昨日、数時間を掛けてふうふう言いながら書き込みまくった記事が何故か今朝消えていた。
そして実に億劫な書き直しをする前に雑事にかまけている最中に価格改定の続報が来て、そっちが優先となった。アップしたらインスタにも反映し、FBにもついでにとやってるうちに、来客もあってこんな時間になってしまった。ところが書き直し作業を始める段になって昨年の2017生産中止記事をコピーの上で修正作業していた事に気づき・・・ひょっとして、やはり昨年の記事の直上に昨年日付のまま保存されていた。横着は自滅の元になる。いわゆる自業自得(この言葉はおかしい、自分が得して無い)・・自業地獄の方が今の気分。
閑話休題、ともかく助かった。正月二月堂のみくじは"末吉"、氏神様の漢国神社(かんごうじんじゃ)で掟破りの再挑戦も"小吉"。凶が出なかったのでお見捨てだけは免れたようだ。以下、書き直しせずに原文ママアップしますので文脈少し相前後等をご容赦願います。

昨日、異常人気モデルのノーチラスの特別価格改定をお知らせしたばかりの本日、ようやく熱っぽさも取れ始め風邪退治モードに入っていたらまたも熱のぶり返しそうな入荷と通達がパテックフィリップから同時にやって来た!
書きかけの記事やらお触りしかけたイケメン画像なども中途半端にあって、なんせ最近納品した実機撮影をご承諾頂いたモデルなだけに気が急いて・・・

本日入荷品は昨年白文字盤が生産中止になってブラックダイアルとして新たにリリースされた年次カレンダーフライバッククロノグラフRef.5960/1A-010。で、ですよ。やってきた通達が2018生産中止(通称RUNOUT)モデルのご案内で、この着荷ホヤホヤも入っており非常に複雑な心境にならざるを得ない訳です。たった1年でのディスコン決定した新規在庫品の販売に吉と出るか凶と出るか・・・

前年に引き続き、本日は取り合えず画像又は過去記事リンク付きリストのみ。明日以降に徐々に肉付けするかも・・

※当然現在製造仕掛かりの物もあるだろうし、2018年度(2月~2019年1月)中に生産が中止になるリストなので、たちまち全てが一切手配不可という事もないのは昨年同様。時々アレッ!というディスコンモデルの入荷案内というサプライズ仕入というのもパテックにはあるので、皆様のご希望品は精一杯探したい。簡単ではないけれど、あきらめませんの精神で・・・
と書き込んでいる間にいきなり5200-010の入荷案内が飛び込んできて、全く油断も隙も無い。もちろんお宝は即仕入!

斜体太字のRefは今日現在で当店在庫あり。
メンズ

ミニットリピーター
5207/700P-001 5208P-001
スプリットセコンドクロノグラフ
5950R-001 5959R-001
※上記4モデル全て時価(Price on riquest)この辺りのモデルを過去記事リンクできない悲しさをバネにひたすら書き続けるとするか。
永久カレンダー
5139G-010, 5140P-017, 5270R-001, 5940G-010
年次カレンダー
5960/1A-010, 5205G-001, 5205G-010,
クロノグラフ
5170R-001, 5170R-010,
ワールドタイム
5131R-011,
カラトラバ
5116R-001,
ゴンドーロ
5200G-001, 5200G-010,
ゴールデンイリプス
3738/100G-012, 3738/100J-012, 3738/100R-001,

ミニットリピーターに関しては昨年に11Ref.ゴッソリディスコン(生産中止)が今年はわずかに2モデル。しかしこの2モデルは只のグラコンならず究極雲上スーパーグランドコンプリケーションである。もちろんそのまま空席はあり得ない予想をしている。
スプリットは自社クロノキャリバー初出のCH27-525搭載モデル全般にありがちな短期生産中止の流れに乗るもので流通個体を抑える事で将来の希少価値(資産価値とは書きません。いや、書けません!)を狙っているのだろう。
永久カレンダーは個人的に悲しい結果に、好みのワンツーモデル(5139G,5140P)が揃って鬼籍に入ってしまった。さらにクロノを搭載したダブルコンプリの5270Rは昨年のバーゼルワールドでのスイスパテック社のガラディナーパーティーの際、ティエリー・スターン社長自らがご着用されていたモデル。何ぞ狙いが或るのやら無いのやら・・
普通?に販売できないクロワゾネワールドタイム5131Rは、例年なら今年度もダイアルデザイン違いのクロワゾネ仕様で枝番替わりの2018バージョンが出そうなもの。しかしながら昨年プラチナブレス仕様が登場したのでこれは何とも予測付き難し。
カラトラバ5116Rは正直5119Rとの違いが我々プロでも並べぬ限り見分けが付かない。ただ個人的にはこの100人に一人しかわからん様な"実はね"モデルが大好きだ。様は只の時計フェチです。
ゴンドーロの人気モデル8デイズ両落ちには少しビックリ。専用ムーブだけに今後の動向が予測不能ながら何か出てきて欲しい!
イリプスの18金3素材全落ちは予想通りで発売50周年を記念して私見ながら継続となったプラチナ5738P-001と同サイズ34.5×39.5mmで3素材出揃うのではなかろうか。時代はサイズアップトレンドながらも近年はサイズダウンへの見直しもある。でも現行の18金イリプスはあまりにも小さ過ぎた。実を言うと"小ぶりフェチ"でもある自分自身の愛機は最近ブログアップもしたYGのイリプス。まず洋装の時には巻かないが大島紬との相性の良さは抜群だ。
閑話休題、イリプスに関してこのサイズリプレースのみで終わるのか否や?アチラの世界はクォーター(25年)が重視される。となれば50年はもう少しサプライズがあるかもしれない。しかしノーチラスとはベーシックに人気度合いが違うので意外に現実的かも?のティエリー社長はどこまでやるのかやらないのか・・・


レディス
ミニットリピーター
7000R-001(時価Price on riquest)
年次カレンダー
4948G-001
カラトラバ
4895G-001, 4895R-001, 7200/1R-001
ゴンドーロ
4973G-001
昨年同様に豪華なジェムセッティング3型に加えてレディス唯一のグラコンミニットとお別れする事になった。

メンズ、レディスとも今年は少なめの生産中止。メンズスーパーグランドコンプリとレディスの高額ラインについては見直しなのかお見送りなのか。昨年までの世界的腕時計不景気は多少解消しつつあり、特に超の付く高額腕時計は絶好調(日本だけ?)と言われる状況の中なので正直真意は読めません。今年はこの辺りぐらいしかバーゼル詣(3/22-27)の目的が無くなった。確か1300社程度あった出展社が今年は700とも900とも言われているし、会期も2日ほど減るBASELWORLD。ROLEX&OMEGAとバイバイし、毎年ワクワクだったブライトリングも来年からは1月のジュネーブSIHHに移行する。かといって航空券は最低現地滞在5日未満は急に高額になるのでとんぼ返りも出来ない。と言う事はスタッフ不足に早く何とか目途付けて来年のバーゼルはパテック+気が向いたトコだけ挨拶廻りを一日で済ませて、市場調査と称してイギリスのアイラ・ロー&ハイランド等々のディスティラリー巡りでも計画するしかバーゼルに行く理由がなくなりそうだ。とてもこのシーズンにマッターホルン再登を狙える実力は無いし・・

ちなみに今年は年々口煩さがエスカレートしている姐を同行せず、一人気楽な道中の予定。

文責:乾

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ここのところ毎日のようにPPJから通達が来る。日によっては山のように来る。しかも部署が違えば別便で来る。たまに同じ部署でも通達封筒の準備時間のズレなのか?別便で来たりする。恐らく少数精鋭過ぎて梱包しなおしたり、正規店30ドアのトレイをオフィス内の何処かに作り、各部署がほり込んで、集荷30分前にその日の専任担当が一気に梱包するなんて事やってられないのだろう。
お客様を今か?今か?と待ち続けている当店なら三日分位まとめて別店やお取引先に送らないと、ヤマトさんも郵便局さんも値上げラッシュの昨今、私の飲み代が出ません。

で、昨日は久々にたまった実機ブログネタを後回しせざるを得ない、例年恒例の通達をネタに3時間かけて書き上げたものが、ケアレスミス?で跡形も無く消え失せ、今朝から超ブルーな乾です。テンション上げてもう一回書きなおそうかと思っていた矢先、来ました又してもの嫌な予感の宅急便。
中身はたった2日前にFAXで今月26日頃決定通達となっていたノーチラス2モデルの超特急価格決定のご通達。

ノーチラスSS3針モデル
Ref.5711/1A-010&011 3針ブラックブルー及びシルバリィホワイト
ノーチラスSSプチコンプリケーションモデル
Ref.5712/1A-001
※具体的な詳細価格はお問合せ下さい。
値上り率で言えばどちらも約13%程度で一昨日の20%とは大きく乖離している。これは何ゆえか?2月中旬に東京で毎年恒例の正規店の連絡会があるので、その際に理由がわかると予想している。個人的には各国や各エリアで上げ幅の調整があったのではないかと思う。何故かというと日本ほど正規販売店が、お行儀良く売っている国は無いと聞く。とても詳細は書けないが少数のお客様から他国の正規店での信じ難いご体験談を聞く事も有りますので・・

まあバーゼルに行けば少なくともスイスの価格は分かるが、設定価格を本当に知りたい国はアソコやアッコだったりなので・・・


まあ、後半は全くの私見による与太話です。今回は画像も無しの無味乾燥で失礼。

文責:乾

追記、さてこれで我々正規店と本当に所有・愛用を切望しておられる時計愛好者(特にパテックファンで既愛用者)の需給バランスがどれ位改善されるか?完全予測ながら3針は両色とも何ら変わらないと思う。プチコンは多少玄人筋の方々の動きが鈍る程度かと・・

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更新が中々進まない中、他の記事を準備中にエライNEWSがパテックからFAX。
超売れ筋の2モデルノーチラスSS3針Ref.5711/1A-010ブラックブルーダイアル、011シルバリィホワイトダイアル、及びプチコンSSRef.5712/1A-001が3月1日より約20%アップとなる。これはあまりにも加熱し異常化するこれらのモデルを適正な需給バランスに近づけるための世界規模の特別措置。
具体的なプライスは2月26日頃決定される予定。これで需給がそんなに解消されるのか個人的には疑問である。
プチコン5712/1Aについてはある程度は需給解消しるかもしれない。
取り合えずの速報です。文章だけじゃ寂しいので既存画像を一応貼っときます。超人気3兄弟揃って格上げ!!
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文責:乾

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新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお付き合いの程お願い致します。
数年前までは大晦日から正月三が日と休んでいたが、たった一日で一年の埃を落として新年を迎える準備が中途半端な上に、新年の三日間は飲み食いに明け暮れる不健康極まりない生活だった。
ここ数年は年末2日間を掃除(レンジと風呂係)と準備(棒鱈と田作り担当)にあて、元日は東大寺(二月堂、手向け山八幡宮、外から大仏殿)に初詣、昼前から至近に住む親父を交え新年を祝う。屠蘇とお節の後は何故かすき焼きで〆るここ数年。今年はこのワンパターンにて無事に過ごせた事がいつに無くとても嬉しかった。
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2日からの仕事始めは昨年から和服でスタートしている。仕事の邪魔にならないように袖を少し短めに仕立てた大島紬を羽織りとのアンサンブルで着用。時計はまるでこのスタイルに誂えたかのようなゴールデン・エリプスYGのブルーゴールドのサンバーストダイアルモデル。横巾31.1mm✖縦35.6mmは今や化石のようなコンパクトサイズながら和装には抜群のバランス。深いネイビーブルーのストラップも大島にしっくりと馴染む。愛用実機なので撮影すると小傷だらけはご容赦下さい。
厚み5.8mmは現行全コレクション中で最薄モデルとなる。手巻きカラトラバレディスのRef.4897が6.6mmで二番目となるので本当に薄いが寸胴のようなケースサイドなので存在感はあってそこまで薄さを感じない。
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シンプル極まりないバトンハンドの時分針とバーインデックスの組み合わせは実用性が高く日常使いできるドレスウオッチである。尚、ゴールデン・エリプスの楕円形状は古代ギリシャ・ローマの数学者たちが研究した縦横の完璧な黄金比率(1:1.6181)から決定されており、建築や芸術分野に於いて古くから応用されてきた「神聖な比率」がルーツとなっている。
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またパテック フィリップの歴史に於いては1932年発表のカラトラバ以来36年ぶりに発表されたクラシックなシリーズでもある。そしてその後10年間くらいはその青い色目がパテックというブランドそのものを象徴していた時代が確実にあった。
また現行パテックコレクションでは標準仕様となっている裏スケルトンを採用していない希少なモデルでもある。笑ってしまうぐらいシンプルで何にもないサテン筋目仕上げ。この例外的仕様は手巻きカラトラバメンズRef.5196(ポリッシュ仕上げ)と2機種のみしかない。ストラップの装着方法も実にシンプルなピン留めでセンターのスリットに摩擦留め用のリングが入っている。
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バックルもケース形状に合わせた楕円形状の専用ピンバックルが採用されている。
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縁あって愛用している個体は2002年に仕入れており今現在生産されているものと文字盤の仕様が若干異なる。6時のバーインデックス下の白色転写プリントが"σ SWISS σ"となっている。現在生産の個体は"SWISS"のみである。この前後についている"σ"マークはシグママークと言われるものだそうで(ググってみました)文字盤やインデックスに貴金属(金やプラチナ)を使用した証で一種のホールマーク。確かにゴールデンイリプス全4モデルの中で通称パテックブルーともいわれるブルーソレイユカラー文字盤採用のイエローゴールド(3738J)及びプラチナ(5738P)のみが該当する。
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尚3738G、Rのホワイトゴールドとローズゴールドは真鍮製文字盤である。またカタログ表記の文字盤カラー"ブルーゴールド"が商標登録されている事も極めて珍しい。このブルーゴールドはデビュー当時は18金文字盤に放射性物質のコバルトを照射する事で作られていたが、現在は社外秘の安全な手法で作られていて真鍮素材でも発色は可能らしいのだがオリジナルへの拘りから金文字盤が採用され続けている。WG、RGに較べて約20万円安いイエローはお買い得感がある。
さて正月、和服、コーディネイトでエリプスととても無理やり感がありそうだが、実は今年がゴールデン・エリプスのアニバーサリーイヤーとなっている。1968年発表のRef.3548(横巾27mm✖32mm)がエリプスの初出となるが現行よりまだ一回り小さかった。サイズ的には現行の丸形レディスコレクション最小33mm径よりも小さかったのだ。もちろん極薄自動巻きキャリバー240(1977年)以前なので手巻きCal.23-300を搭載していた。
10年前の40周年だった2008年にはサイズアップしたプラチナモデルRef.5738P(現行)が出た。今年は50周年ともっと切りが良いアニバーサリーなので期待は高まる。もしかしてのフルモデルチェンジとか・・
年末にエアとホテル予約を済ませた3月のバーゼル。今年もやはりスイスの春が待ち遠しい。

Ref.3738/100J-012
ケースサイズ:横31.1mm✖縦35.6mm ケース厚:5.8mm ラグ×美錠幅:19×14mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:YGの他、WGRG有り 
文字盤:ブルーゴールド サンバースト 18金植字インデックス 18金製文字盤
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター

Caliber 240

直径:27.5mm 厚み:2.53mm 部品点数:161個 石数:27個
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

2018年1月7日現在 在庫についてはお問合せ下さい。

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今年最後の入荷は年次カレンダー。2010年に年次カレンダーの第3番目の顔としてデビューしたモデル。この斬新なダイアルレイアウト自体は2006年に新規自社開発されたマニュファクチュールキャリバーを搭載して発表された垂直クラッチ方式のフライバッククロノグラフRef.5960にルーツがある。ちなみにこの顔は2011年に超のつくグランドコンプリケーションであるRef.5208Pにも採用されており古典や伝統とは真逆の最先端デザインとして扱われている。ダイアル上部の三つのカレンダー窓、逆ぞりした幅広のベゼル、横から抉り込み又は肉抜き貫通されたラグ、これら3点がデザイン的に共通している。

Ref.5205の顔としてはホワイトゴールドとローズゴールド各2色の計4モデル。WGにはロジウム&シルバリーと称されるライトグレータイプもあって甲乙つけがたい。個人的には今回入荷の濃い目マットブラック&スレートグレーがよりスポーティーでアダンギャルドなこの年次モデルには似つかわしいと思っている。

Ref.5205G-010年次カレンダー
ケース径:40.0mm ケース厚:11.36mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG(別ダイアル有)の他にRG別ダイアル有
文字盤:マットブラックとスレートグレーの2トーン ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)ブラックアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 5,230,000円(税込 5,648,400円)2017年8月現在

搭載キャリバーは21金フルローターを採用したパテックを代表する自動巻きCal324に年次カレンダーモジュールを組込んでいる。
カレンダー系の操作は禁止時間帯等あって気を使うが、パテックの場合は殆どの物が午前6時(例外あり)に時刻を合わせてプッシュ操作を行う。ムーンフェイズはいつもネット検索して確認していたが、パテックHP内にある確認ページが結構便利である。
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Caliber 324 S QA LU 24H/206

直径:32.6mm 厚み:5.78mm 部品点数:356個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
PATEK PHILIPPE 公式ページ

2017年12月25日現在
5205G-010 店頭在庫あります
5205G-001 お問い合わせください
以前の同モデル紹介ページ→コチラ(価格・リンク切れ等ご容赦ください。

年末のバタバタ。今年は特に酷い気がしますが、今回は既に紹介済みモデルと言う事もあって、ほぼ入荷案内ブログになってしまいました。
恐らく今年最後の記事かと・・本年もお付き合いありがとうございました。
どうぞ皆さま良き年をお迎えください。

文責:乾

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ノーチラスシリーズのステンレスモデル人気が相変わらず続いている。3針ステンレスRef.5711のブラックブルーを筆頭にホワイトダイアルもプチコンRef.5712/1Aも需給バランスが全く合わない。今回紹介の年次カレンダーモデルRef.5726Aもブレスレットタイプ共々、少しだけ店頭に並んでは嫁いでゆく人気モデルである。
機械的にはカラトラバケースに身を包むクンロクファミリーRef.5396と全く同じ3針自動巻きCal.324に年次モジュール組み込んだキャリバーが搭載されている。ダイアルレイアウトも同じなのだがラグジュアリースポーツの元祖ともいうべきノーチラスケースに積まれて横ボーダーのノーチラスダイアル仕様になると全く違う時計に見えてしまう。
流石にケース厚は3針の8.3mmに対して11.3mmと厚くなるのだが昨今流行りの大型ラグスポに較べればフィット感を損なう厚みではない。斜めから見ればベゼルの厚みが結構あって機械部分はたったの5.78mmしかないのでボリューム感を出す為のデザイン的な宿命と言える。
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天才時計デザイナーのチャールズ・ジェラルド・ジェンタが3針のノーチラスをデザインし発表したのが1976年、その後パワーリザーブ機能付きになったりサイズが色々と変更されたりバリエーションは多々あったが基本的には3針モデルであり続けた。初めての複雑機能が付加されたのが2005年のRef.3712。マイクロローター搭載の極薄自動巻Cal.240にパワーリザーブ・ムーンフェイズ・カレンダー・スモールセコンドを組み込んだ通称プチコンのステンレスブレスモデル。以前にも書いたが、このモデルたった一年しか生産されなかった希少モデルになってしまった。
2006年に発売30周年を迎えたノーチラスは記念的なフルモデルチェンジを受け一気にファミリーも増えた。その際にプチコンも新たにRef.5712に変更され、クロノグラフも始めてラインナップされる事となった。そして4年後の2010年に今回紹介の年次カレンダー5726のストラップモデルが発表された。ついでに言うとさらに4年後の2014年にはRef.5990トラベルタイム付きクロノグラフがリリースされている。
特に人気のあるステンレスノーチラス(メンズ)に限って言えば、現在のラインナップは3針ブレスが2色、年次カレンダーがストラップで1色ブレスで2色、プチコン1モデル、トラベルタイムクロノ1モデルの7モデル。価格は税抜271万円(3針)~582万円(トラベルクロノ)となっている。ストラップ仕様の5726Aは431万円でちょうど真ん中あたりに位置する。
ちなみにジェラルド・ジェンタはラグスポ系の人気モデルを本当に沢山デザインしているがノーチラスが大のお気に入りだったそうで、亡くなる2年前の2009年に初のレディスノーチラスにもデザイン協力で関わっていたそうである。
年次カレンダーについては過去何度も書いているが、初出は1996年でそれまでの永久カレンダームーブをベースに簡素化するのではなく完全なる新規設計がなされた。当時は徐々にクオーツショックからスイス機械式時計産業が立ち直り始めた頃で超の付く複雑時計(永久カレンダー等)はごく一部のコレクター向けとなっていた。そこでパテックは製造の手間やコストがかかり調整も大変なレバー主体ではなく、実用性が高く信頼性や耐久性も高い歯車を主体に機構を考案し特許を得た。それにしても結構なお値段ではありますが・・
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元々1976年に薄さと当時としては画期的な120mの防水性(=堅牢性)を両立するために考案された特殊な2ピース構造の為に考え出されたケース両サイドの"耳"。当時リーダーシップを受け継ぎつつあったフィリップ・スターン氏(現会長)も厚みとその形状には確信を持てなかったとの記述がある。個人的にも20数年前の初見時のノーチは正直好みとは言えなかった。
美人は3日見れば・・・と同じで超ロングセラーモデルは案外とっつきが大した事が無いのかもしれない。逆に短期的なベストセラーは誰もが一目惚れだったりして。
発売当時は上下の2ピースを微妙な調整しながらセット(すり合わせ)していたのでピース毎の互換性が無かった。40年間の様々な技術革新によって現行モデルでは互換可能な3ピース構造となり裏スケルトン仕様にすらなっている。
尚、ステンレスモデルノーチでストラップ仕様は現在このモデルのみであり、ラバー調のスペアストラップが付属されている。
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Ref.5726A-001

ケース径:40.5mm(10時ー4時方向) ケース厚:11.3mm ラグ×美錠幅:25×18mm 
防水:12気圧
ケースバリエーション:SSのみ 
文字盤:ブラックグラデーテッド 夜光付ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)ブラックアリゲーター 他にブラックラバー付属
価格:お問い合わせください

Caliber 324 S QA LU 24H/303

直径:33.3mm 厚み:5.78mm 部品点数:347個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

在庫状況についてはお問い合わせください。








Georgia on my mind(我が心のジョージア)が下手なカラオケの十八番。絶唱タイプの英語の歌なので聞かされる方はかなり心地悪いだろうなと思いつつ酔いが進むと、ついリクエストしてしてしまう。気分は完全にレイ・チャールズ・・
このジョージア州の州歌にもなっているこの名曲を、個人的にはずっとレイ・チャールズのオリジナルナンバーだと思っていた。だがウイキペディアによれば彼の生まれた1930年に作詞作曲され多くのミュージシャンにカバーされたジャズのスタンダードナンバーとある。レイ・チャールズ自身のカバーは1960年でミリオンセラーの人気を博し、1979年に州歌となり1996年の州都アトランタでのオリンピック開会式では彼が歌唱している。

最新のパテックフィリップマガジンⅣ04号巻末の連載「時計のある人生」には6~7歳の頃に緑内障で全盲になったレイ・チャールズが名声の頂点にいた1963年に時計愛好家のプロデューサーからユニークな時計をプレゼントされた逸話が取り上げられている。パテック フィリップが初めて特別製作したプラチナ製点字腕時計Ref.3482は強力なぜんまいを備える懐中時計用のムーブメントが積まれた。点字時計は時分針を指で触れるために強力なトルクパワーが必要とあり、指での判読を容易にすべくダイアルは当時としては大きな37mm直径であった。掲載イラストでは詳細は不明ながら指先で触るダイヤモンドインデックスが採用され、むき出しの文字盤を守るヒンジ付きのカバーにもダイヤモンドがセッティングされていたラグジュアリーウオッチだったようである。オリジナルのレザーストラップ仕様は彼の常時着用で後にプラチナのメタルブレスに交換されたとある。
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記事を書いているジョン・リアドン氏はレイ・チャールズの息子であるレイ・ジュニア氏に取材の機会を得て、この時計に関する様々なエピソードを文中で紹介している。一文を引用すると
「父親にとって時刻は重要でした。盲目なので、昼夜が分からなかったからです。少なくとも一時間に1回は、軽く時計を叩いてカバーを開き、文字盤の上を優しくなぞり、時計を耳に当てて、リズミカルな音を聞いて微笑みました。その音だけで父は幸せだったのです。(原文のまま)」
調べてみると今は流行りのスマートウオッチタイプの点字腕時計も作られているし、安価なクオーツの物もたくさん作られている。しかしクオーツ以前の1960年代前半にこんな贅沢でしかも実用性もある盲人用時計を常用出来た人は世界中にどれだけいたのだろう。またそのリクエストに答えたパテック社も凄いと思わざるを得ない。勝手な憶測だが恐らくパテックにとってアメリカが特別に重要なマーケットであったかの証ではないかとも思われる。
その関りはブランド創業間もない1854年のアントワーヌ・ノルベール・ド・パテック自らの初訪米にはじまる。1895年にはアメリカに代理店を設立。1900年前半にはよく知られたヘンリー・グレーブス・ジュニア氏とジェームス・ウォード・パッカード氏の超複雑系時計コレクション競争。1940年から1960年代初めにかけては生産本数の約半分がアメリカ人に販売されていた事実(PPマガジンⅣ03)。そしてパテック社による世界初のアンティーク時計展示会を1969年テキサス州ダラスで開催している。新しいところでは今夏ニューヨークで「ウオッチアート・グランド・エキジビション」の一大イベントを開催・・・
あらら、話がずいぶん脱線しましたが、今回はファンのレイ・チャールズがパテックの特殊時計を愛用していたとは、目からうろこの乾でした。

文責:乾

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昨年の2016年にパテックは永久カレンダーの代表的モデルを大胆にチェンジした。37.2mm径のRef.5140(上画像)の18金モデル(プラチナ除く)を全て生産終了し、その後継機として1.8mmサイズアップさせたRef.5327(下画像)を発表。スッキリでシンプルな印象の前作に対して、時分針は武骨目なドーフィンから少し色気を感じるリーフハンドになり、アワーインデックスはバーからブレゲアラビックに変更され、ミニットインデックスも少し大振りになって受けるイメージはかなり変わった。特にホワイトゴールドバージョンは前作のあっさりしたシルバーから昨今流行りの青文字盤と同色の青ストラップの採用で完全に別物の新しい時計になっている。
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ケースサイドは現代パテックの最先端デザインが採用されている。すなわちラグにかけての横っ面の大きなえぐり込みとベゼルの逆ぞりである。このデザイン特徴がこの時計の方向性を示しており、パテックを代表する顔でもある永久カレンダーにも現代流の新しい解釈がなされたように思う。サイズの微妙なアップについてはトレンド的に少し遅い気がする方もいらっしゃるかもしれないが、元の37.2mmが充分に小さいので39mmに大き過ぎ感は全くない。厚みもバランスを取るためか約1mm弱厚くなった。
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搭載エンジンは極薄自動巻きマイクロローターのCal.240に永久モジュールを組み込んだ前作Ref.5410と全く同じである。今年40周年を迎えたこの偉大なムーブメントは、ワールドタイムや超絶クラスのセレスティアルにまで本当に幅広く長きに渡って使われている。例年バーゼルのパテックブースで展示される希少なハンドクラフトとして展示されているクロワゾネなどの装飾文字盤モデル(2針カラトラバクンロクタイプ)もほぼ全てこの極薄キャリバーが積まれている。恐らく様々な装飾による文字盤の厚みがクリア出来て秒針も不要なので最適なエンジンなのだろう。

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Ref.5140Gー001 自動巻永久カレンダー
ケース径:39.0mm ケース厚:9.71mm ラグ×美錠幅:19×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGRGYG 
文字盤: ロイヤルブルー サンバースト ゴールド植字ブレゲ数字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 9,520,000円(税込 10,281,600円)2017年8月現在

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Caliber 240 Q 

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:275個 石数:27個 受けの枚数:8枚
パワーリザーブ:最低38-最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

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文責:乾

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昨年のバーゼルはこのモデルの話題で随分盛り上がった。音系とカレンダーを除いた2大コンプルケーションともいえるワールドタイムとクロノグラフとの夢の組み合わせ。今まで無かったのが不思議だなと発表時には思ったものだが、実は毎日のようにその原型となった時計を見ていたのだった。本ブログのテキスト的存在の「PATEK PHILIPPE GENEVE」HUBER & BANBERY著のブックカバー掲載のRef.1415HUがそれ。手巻きクロノグラフに初期型のワールドタイムを組み合わせたスペシャルオーダーのユニークピース(製造No862 442)。一番外側のシティディスクは手動で、インナーの24時間リングはリューズの時刻調整と連動して操作する形。現代では別々のLONDRES(LONDON)とパリが同じタイムゾーン。東京はTOKIOとされ隔世の感がある。
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ところでこの時計の解説文には30分計クロノグラフとの記載があるが、どう見てもそれらしき機能は見られない。ただこの時計にはパルスメーター(脈拍計)が2系統も用意されている。外側の220-20目盛が15回の脈を数えて1分間の脈泊数を知るレールで24時間計の内側60-10目盛のレールは5回の脈で1分脈拍を読むチョッとずぼらな脈拍計。他ブランド等の手巻きクロノグラフでパルスメーター付を見てみると30回脈で測定するタイプが多い。想像するにこの時計はタイムゾーン移動の多い医療関係者が積算目的ではなく脈拍測定を主な用途としてクロノグラフ機能を特注で附加したのかもしれない。
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翻って現代版にはやや小ぶりな30分積算計が付きパルスメーターは無い。タイムゾーン移動はリューズではなく10時位置のプッシュボタン一つで短針とシティディスク&24時間ディスクを連動して1時間単位で同時に変更できる。これは1959年にジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏が開発・特許化した技術。実に60年近くにわたって使われ続ける実用的な仕組み・・誠に機械式時計の世界は息が長いと言うか何というのか・・
ダイアルセンターは定番ワールドタイムに倣ってギョーシェ装飾が施されている。紋様はシンプルかつ力強くモダンテイスト。ちなみにクロノグラフはパテック最先端の垂直クラッチ搭載のフライバック付き。キャリバーで言えば自動巻CH28-520系なのだが、初見では一瞬手巻きではないかと思ってしまった。それは各プッシュボタンの形状がスクエアかつ上下面がサテン仕上げになっているためだ。この組み合わせは現行ラインナップでは初めてのハズ。まあ30分計が6時位置なのでキャリバーは限られるのだけれど・・
ラグの形状もワールドタイム繋がりでか段差付きのウイングレットラグ。
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尚、クロノ秒針がこの時計では通常秒針として使用可能である。これはパテック開発の優れた垂直クラッチの賜物である。また24時間ディスクとシティディスクの間にある秒スケールは28800振動(4Hz)に合わせて4分の1秒で刻まれている。どうもこの時計、ケース形状はクラシカルながら顔は結構モダンである。
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フルローター自動巻きに垂直クラッチという厚みが出る組合せにワールドタイムモジュールを組み込んでいる。それでもムーブ厚を7.79mmに抑えている。構成部品数343個もあるというのに流石です。実はスペースの都合で30分計の位置がオリジナルから微妙に変更されているらしい。ケース厚さ12.86mmもスクリューバックケースに両面スケルトンなら妥当な厚みか。

Ref.5930G-001 ワールドタイム自動巻フライバッククロノグラフ
ケース径:39.5mm ケース厚:12.86mm ラグ×美錠幅:21×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG
文字盤:ブルーオパーリン ハンドギョーシェ 蓄光塗料付きゴールド植字バーインデックス
ストラップ:マット(艶無し)ネイビーブルーアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 8,040,000円(税込 8,683,200円)2017年8月現在

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チョッと飛び気味になってしまった後ろ姿。

Caliber CH 28-520 HU:ワールドタイム機構付コラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.97mm 部品点数:343個 石数:38個 
パワーリザーブ:最低50時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾
参考:Patek Philippe Internaional Magazine Vol Ⅳ No.2
Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.270




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いまやカラトラバの定番の顔として定着している6000番系。元々はRef.5000として1991年にスタートしたカラトラバファミリーの一員。
搭載キャリバーCal.240の構造上の要因でセンター秒針や6時側スモールセコンドではなく4時位置辺りに小秒針がオフセットしてレイアウトされたパテックのコレクションとしては数少ないアシンメトリー(左右非対称)なモデル。さらにそれまでのパテックには見られなかったスポーティなアラビアインデックスと言う事もあってデビュー当時は賛否両論があったように記憶している。
個人的には若干の違和感を感じていたのだが、最近のRef.5000の再販相場を見ていると結構なお値段になっている。どうも思っていた以上に流通量も少なく人気のカラトラバコレクションになっている。
寿命も非常に長くて初代のRef.5000は発売14年後の2005年に2代目Ref.6000に引き継がれた。新たにポインターデイトというこれまたパテックでは超レアなカレンダー機構を備えてより一層華やかな体育会系の顔になった。
そして12年を経て今年、搭載キャリバー240の40周年を記念して顔はほぼ同じで2mmサイズアップされてRef.6006が発表された。6000はグレーや青や茶と言うカラフルな文字盤が続いたが今回はWGケースに黒文字盤の採用で渋く仕上がっている。ポインターデイト針先の赤色も黒を背景によく効いている。

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ベゼル部は少しだけ盛り上がっているが、ケースサイドは武骨な印象でクンロク系のカラトラバ血流を感じさせる。ただ2mm大きくなった分、緩やかにカーブを描きながら下がってゆくラグ形状で腕なじみを良くしているようだ。
手巻きで薄いRef.5196などはほぼ横一直線(下画像)でラグ先端部分でチョコっと下げられているのと対照的だ。
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裏蓋はスクリューバックの捻じ込み式でサファイアクリスタルバックとなっている。フルローターと違って、沈胴式のマイクロローターはテンプのパフォーマンスを常に楽しませてくれる。
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ダイアルカラーがシックな無彩色のブラックになり色目を気にすることなくスーツはもちろん、スポーティーなインデックスデザインはカジュアルにも幅広くマッチする。使い回しが効くとても実用的なデイリーパテックが登場した。

Ref.6006G-001
ケース径:39.0mm ケース厚:8.86mm ラグ×美錠幅:22×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤:エボニーブラック サンバースト&しルバリィグレイ ホワイト&ブラックの転写
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター
価格:税別 3,340,000円(税込 3,607,200円)2017年8月現在

Caliber 240 PS C

直径:30mm 厚み:3.43mm 部品点数:191個 石数:27個
パワーリザーブ:最低38時間ー最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

2017年10月13日現在 ご予約可能、お問合せ下さい。

パテック フィリップの公式ホームページがリニューアルされた。ジャパンからの説明によれば1997年にスタートした公式ページは5回の更新がなされ今回がバージョン6。よりスマートフォン寄りで、製品をより魅力的に見せながらお気に入りモデルが検索しやすくなっている。でも残念なのは歴史が詳細な年表スタイルから非常に完結で解りやすい2本の動画(しかも英語字幕)になったことでブログ作成の参考にはしづらくなってしまった。こんな事なら全部ダウンロードしておくべきだった。幸いなことに個々の商品ページのアドレスは変更が無く過去記事のリンク切れにならなくて済んだ。でも技術解説などで一部リンクが当て外れにはなっているようだが全部は未チェック。確かに見やすくなり誰にでも取りつきやすくなった半面、突っ込んだコンテンツが少し整理されてカジュアルになった印象だ。
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さて本日のご紹介は本年新作の中でも人気急上昇の永久カレンダーRef.5320G-001。パテックのシンプル系永久カレンダー(クロノグラフ等の追加機能無し)の代表作は極薄自動巻キャリバー240ベースの三つ目タイプ。そしてフルローター自動巻キャリバー324にレトログレードデイトを組み合わせたタイプの二つ。5320Gはこのいづれでもない新規の顔ながらダブルギッシェの年次カレンダーRef.5396にはソックリ。でも年次カレンダーが無かった1960年までの機械式時計黄金時代におけるパテックの永久カレンダーと言えばこの顔に決まっていた(下画像Ref.1526)。だから凄く既視感があるしリリースにも″コンテンポラリー・ビンテージ・スタイル"と表現されている。ただ当時は無かった7時半にある昼夜表示窓や4時半のうるう年表示の便利機能が盛り込まれている。
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そしてこの新製品の特長的なラグは1945年製作のRef.2405(下画像)が参考にされた。
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ポリッシャー泣かせの3次元なラグ形状である。
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立体的なボックス型のサファイアクリスタルは文字盤周辺に全くひずみが見られない。現代ならではの高度な加工がなされたクリスタルを特殊な手法でケースにはめ込む事で完璧な視認性を確保したと聞いた。アラビアインデックスもいにしえのRef.1526同様に立体的かつ正対書体の植字タイプで蓄光塗料を塗り込んで実用性を高めている。暖か味のあるクリーム色文字盤はラッカー仕様ながら記憶にない新色で今年の新作ミニットリピーターRef.50785178のエナメル仕様のクリームと酷似している。インデックスを含めダイアルはビンテージ感を非常に意識したカラーリングとなっている。

さて、このモデルの最大の魅力はその価格設定ではないかと思う。税別902万円(税込9,741,600円)はパテック永久カレンダー中で最もこなれた価格である。現行モデルではRef.5139Gの税別926万円より20万以上お求めやすい。共通のCal.324ベースのレトログラード永久Ref.5496Rが約20万高の税別927万なのだけれどもオーソドックスなクンロクケース。それに対して5320の凝ったラグを持つケースは横から見ても充分に高級感があるし文字盤・サファイアクリスタルも完成度が高い。少々不思議なこの値付け、そりゃ人気モデルになりますよ!
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Ref.5320Gー001 自動巻永久カレンダー
ケース径:40mm ケース厚:11.13mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤: クリーム ラッカー 蓄光塗料塗布ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)チョコレートブラウンアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 9,020,000円(税込 9,741,600円)2017年8月現在

Caliber 324 S Q

直径:32mm 厚み:4.97mm 部品点数:367個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

パテック社の製品リリース
PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾



永久カレンダークロノグラフRef.5270の記事でも触れたがパテック フィリップは100年以上にわたるクロノグラフタイムピースの輝かしい歴史を持っている。その一方で厳密に言えばこの分野ではマニュファクチュール(完全自社設計開発生産)のキャリバーを持たずについ最近(2004年)までエボーシュより専用のエンジン供給を受けてきた。1900年代前半にはジュ―渓谷ル・サンティエのヴィクトラン・ピゲ、1929年以降はバルジュー、1986年からはヌーベル・レマニアがサプライヤーの重責を果たしてきた。
しかし2000年代に入るとスオッチグループ傘下のレマニアからの安定供給に危険信号が燈るようになりクロノグラフキャリバーのマニュファクチュール化プロジェクトが進められた。で、最も難しそうな手巻スプリットセコンドクロノグラフを1920年代のエボーシュキャリバーを手本に開発し2005年にRef.5959を発表した。ただしこのキャリバーCal.CH27-525は昔ながらの工房内で限られた熟練職人の手作業によって全工程を2度組される伝統的な製作手法によるため極端に生産数が少なくかつ非常に高額なエンジンである。翌2006年には同じクロノグラフでも非常に現代的である程度の量産が可能ないわゆる″シリーズ生産"型の自動巻クロノグラフCal.CH28-520が開発された。さらに2009年に古典的な美観を備えた手巻シンプルクロノグラフCal.CH29-535が発表されパテックのクロノグラフ自社化は完結した。
今回紹介のRef.5960はこの2番目に開発発表されたCH28-520を始搭載したデビューモデル。発表年2006年のバーゼルはこの画期的なクロノグラフの話題で持ちきりだった。垂直クラッチを備えた自動巻きクロノというベースキャリバー開発だけでも話題性充分なのにパテックはいきなりパワーリザーブと年次カレンダーのモジュールを追加し、プラチナケースに搭載してきた。このモデルはケース形状やダイアルデザイン共にクラシックと対極の現代パテックのモダンテイストで仕上げられた。逆ぞりのベゼル、12時側に弓状に並ぶカレンダー表示窓、30分と12時間のクロノグラフ積算計の同軸表示。さらにはカラーリングもスポーティなレッドやブルーを差し色にする事でそれまでになかったパテックの新しいイメージが打ち出された。
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当初プラチナ以外の素材ではリリースしないと言われていた5960Pは2014年にベストセラーかつ希少モデルのまま生産が中止され、ドロップリンクブレスレットを備えたステンレスモデルの後継機Ref.5960/1Aにそのモテモテ人気も一緒に引き継がれた。そして今春のバーゼルでそのステンレス白文字盤は生産中止となり今回紹介の後継モデル2型がラインナップされた。
まずステンレス新ダイアルの黒文字盤Ref.5960/1A-010。赤針2本以外の針色、カレンダー窓枠、インデックス、文字盤ベース・・見事にまで反転液晶のごとく白が黒に、黒が白に逆転されている。傾向として従来の白が良いとの評価もあるが、個人的には好みの問題で優劣を感じてはいない。
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上画像では針やインデックス等の鏡面部がブラックアウトしているが、実際の色目は下のようになっている。
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で、さらに5960としては3番目の素材WGが追加された。色目はトレンドのブルー。色使いは上のステンレスの黒が青にこれまた忠実に置き換わっている。ただしメタルブレス仕様ではなくどこかで見た事のある明るめのブラウンカーフストラップに個性的なピンバックル(Clevis prong buckle)が装備されている。明らかに文字盤カラーも含めて2015年発表のカラトラバ パイロット トラベルタイムRef.5524Gの流れを汲んでいる。
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こちらもSS黒文字盤同様にインデックス等がブラックアウトしてるので現物と見た目感はかなり異なり視認性は充分にある。バーゼルでの初見の印象は正直「売れるのか?売れないのか?よくわからない」。この点でも5524パイロットトラベルと同類なのだった。価格差は税別717万円と約200万円パイロットより高額である。いづれにしても好き嫌いのハッキリ別れそうな個性的な意欲作だと思う。

Ref.5960/1A-010 年次カレンダー自動巻きクロノグラフ
ケース径:40.5mm ケース厚:13.53mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:SS
文字盤:エボニーブラックオパーリン ゴールド植字バーインデックス
ブレスレット:両観音クラスプ付きステンレス5連ブレス 抜き打ちピン調節タイプ 
尚、参考の商品リリースはコチラから
価格:税別 5,560,000円(税込 6,004,800円)2017年8月現在

Ref.5960/01G-001 年次カレンダー自動巻きクロノグラフ
ケース径:40.5mm ケース厚:13.53mm ラグ×美錠幅:21×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG
文字盤:ブルーバーニッシュド ゴールド植字バーインデックス
ストラップ:ヴィンテージ ブラウン カーフレザー クレビスプロングバックル付きブレスレット 
尚、参考の商品リリースはコチラから
価格:税別 7,170,000円(税込 7,743,600円)2017年8月現在

※以下過去記事より転載
冒頭でも触れたキャリバーCal.CH28-520は、それまで頑なに手巻きの水平クラッチに拘っていたパテックのクロノグラフ史を2006年に塗り替えたエポックメイキングなエンジンである。前年発表の完全自社クロノキャリバーCal.CHR27-525は確かに最初の100%自社製造ではあったが、それまでの伝統的製造手法でコツコツと工房で少量生産される手作り的エンジンであり、搭載されるタイムピースも商品というより作品と呼ばれるのがふさわしいユニークピースばかりだ。対してCal.CH28-520は"シリーズ生産"と呼ばれる或る程度の工場量産をにらんだ商業的エンジンであり、パテックフィリップが新しいクロノグラフの歴史を刻み込むために満を持して誕生させた自信作なのだろう。
パテックの自社クロノキャリバー3兄弟の価格は、その搭載機能や構成部品点数に比例せず、どれだけの手仕事が盛り込まれているかで決定される。金銭感覚抜群で働き者の次男CH28-520 C(自動巻、垂直クラッチ、フライバック、部品点数327点)、次がクラシックだけどハイカラな3男坊のCH29-535 PS(手巻き、水平クラッチ、部品点数269点)、そして金に糸目をつけない同楽な長男CHR27-525 PS(手巻き、水平クラッチ、ラトラパンテ、部品点数252点)の順となる。
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上記画像でローターで隠された部分は3枚の受けがあるが、この部分はどの派生キャリバーもほぼ変化が無い。それに対してテンプ左のPPシールの有る受け、さらに左の複雑なレバー類がレイアウトされた空間は派生キャリバー毎にけっこう異なる。必要なミッションに応じて搭載モジュールがダイアル側で単純にチェンジされるだけでなく裏蓋側の基幹ムーブメントへもアレコレと手が入れられている。

Caliber CH 28-520 IRM QA 24H:年次カレンダー機構付きコラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.68mm 部品点数:456個 石数:40個 受け:14枚 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾

今年の新作にはどうも昨年のノーチラス発売40周年記念モデルからインスパイアされたものが多いように思う。先日紹介した手巻クロノグラフRef.5170Pの深い紺色の文字盤とバゲットダイアモンドインデックス。この組み合わせは年次カレンダーRef.5396Rの新色追加モデルにも採用されている。そして発売20周年を迎えたアクアノートの新作Ref.5168GにはWG+サイズアップ+ダークブルーダイアルというやはり40周年記念ノーチのフライバッククロノグラフモデルRef.5976Gの骨組みが与えられた気がする。
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パッと見て、今まで無かったという感じがしない。誤解を恐れず言えば目新しさは無い。それくらい濃紺(青?)の文字盤とトロピカルストラップがしっくりし過ぎている。単独で見れば大きさも全く違和感が無い。人気品薄のステンレス3針Ref.5167Aも手元にある訳がないので同じくサンプルで来ていたローズゴールドRef.5167Rと並べて撮ってみた。
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相当長く地方巡業をしてきたのだろう。ローズゴールドサンプルのトロピカルラバーには良い感じ?の半光沢が出て艶っぽくなっている点はご勘弁ください。一見するとそんなにケースと文字盤のサイズ感の違いを感じないかもしれないが、サテン仕上げされたベゼルのドーナツ部分の幅が両者で同じなのにWGがずいぶん細く感じるのがサイズ違いの証。プレスリリースではこの従来サイズを1.4mm大きくした42.2mmと言うサイズは"ジャンボ"と愛称がついた1976年初出の初代ノーチラスRef.3700へのオマージュとされている。
3月のバーゼルパテックブースで初見時の印象は「なんで今まで無かったの?」と言う既視感だった。それほどサイズアップに違和感が無かったし、色目もあって当然の定番かつトレンドカラー。ただ他ブランドなら18金ではなくステンレスで発表してイージーな売上貢献を狙うのだろうが、流石にゴールドスミスのパテックはどちらで出してもエンジンの配給的に生産数が同じようなものになるのだろう。実際結構なお値段(税込4,536,000円)にもかかわらず注文が殺到して店頭にはしばらく並ばない状態と聞いている。この飢餓感がさらに人気を生むというブランドにとっての"好循環?"・・
実際に腕に乗っけてみると、やはり大きさをしっかり感じる。下の画像の様に大きくなれどノーチ&アクア兄弟の真骨頂であるケースの薄さ(8.25mm)はほぼ保たれているので余計に裏蓋の面積を感じてしまう。自身の腕廻りは平均より太目なので問題無く乗っかったが、正直細めや丸い目の腕廻りの方には座りが悪いかもしれない。まあ最近のデカ厚時計をサイズ関係なしにガンガン着用される方には全然大丈夫で、むしろ着け心地の良いデカ薄時計?。
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Ref.5168G-001
ケース径:42.2mm(10-4時方向)ケース厚:8.25mm ラグ×美錠幅:22×18mm
防水:120m ねじ込みリューズ仕様
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤:ブルーエンボス ブラックグレデーテッド 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ミッドナイトブルーコンポジット《トロピカル》ストラップ(ラバー)アクアノート フォールドオーバー クラスプ付き 
価格:税別 4,200,000円(税込 4,536,000円)2017年8月現在

120m防水を生むスクリューバックの裏蓋のサファイアクリスタルバックからは入念に仕上げられたムーブメントを鑑賞する事が出来る。実用性最重視であってもゼンマイ心を忘れないパテック流のおもてなし。フルローター自動巻の裏スケルトンは半分しかムーブメントが可視できないので無理やり感があるのだがパテック フィリップは21金ローターそのものを主役にすべく見事な仕上げを施している。
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※上の画像は手抜きのトラベルタイムRef.5164Aを転用

Caliber 324 SC/393

直径:27mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2017年9月17日現在
Ref.5168G-001 ご予約いただけます

店頭に中々在庫が持てないグランドコンプリケーションクラス。皆さんご存知だとは思うけれど時価(価格表でPrice on request表示のもの)となっているモデルは100%客注対応でほぼ受注生産に近く、サンプルすら日本には常備されていない。価格設定されているモデルでも生産数が極端に少なくて人気の高い数モデルについては、ある程度の購買実績を積み上げて、手続きを経ないと購入できない。例えばワールドタイムクロワゾネモデルRef.5131や永久カレンダースプリットセコンドクロノグラフRef.5204などがそれにあたり、もちろん在庫することは不可能だ。これら特別なタイムピースは撮影のチャンスもまず無いし、手に取ってじっくり見る事すら叶わないので、掘り下げたご紹介も難しい。このように閉鎖的とも見える現在の販売手法には批判的なご意見もあるが、あくまで個人的とお断りして色んな意味で″仕方がない"と思う部分と下駄履き絶対お断りというメゾン系ブランドが時計業界に一つ位はあっても良いように思っている。
結局グラコンで在庫したり紹介出来たりするのは永久カレンダーか今回紹介の永久カレンダークロノグラフあたりに限られてしまう。それでも前者が1,000万円前後、後者は約1800万円なので気軽にストックは出来る代物ではない。今回も展示会にやってきたサンプルをドタバタと撮影した。
以前にも書いたがパテックを代表する顔はたくさんあるが、手巻きの永久カレンダークロノグラフもその一つだと思う。パテック フィリップ マガジン各号のオークションニュースでは常連のように出品が多い。

まずシリーズ生産された最初の永久カレンダークロノグラフモデルは1941年~1951年(たぶん?)に281個製作されたRef.1518。画像は1943年製作のタイムピースで極めて希少性が高くイエローゴールドの時計としてのオークションレコードCHF6,259,000(=約7億千3百万円余り)で2010年にジュネーブで落札されている。
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ちなみに昨年11月に腕時計の世界最高落札価格は更新されている。これまたRef.1518(下)で、わずか4個体しか確認されていないステンレススチール製である。価格はCHF11,002,000(約12億5400万円余り)ヴィンテージウオッチの価値においては、希少性が材質や機能性をしばしば凌駕するようだ。尚、それまでのレコードホルダーはやはりパテック。ただしヴィンテージではなく2015年にオンリーウォッチ・チャリティー・オークションの為に1点製作されたやはりステンレス仕様のRef.5016Aだった。パテックだけがパテックを超えてゆく状態はいつまで続くのやら・・
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1951年以降は1518と同じレマニアのキャリバー13'''を搭載したRef.2499が登場した。インデックスはアラビア数字からバーになり、6時のカレンダーサークルが力強く大き目になった。2499は85年まで34年間の長きにわたって製作された。生産終了時には記念のプラチナ仕様が2個だけ1987年に製作され、1989年にパテック フィリップ創業150周年にオークション出品された。当時の落札価格がCHF24万(=約2,736万円)だったが2012年に14倍の価格CHF344万(=3億9千万円強)で落札されたのは著名なロックギタリストのエリック・クラプトンが長期間所有していたからである。尚、残るもう一つのプラチナモデルはパテック社のミュージアムピースとして収蔵されている。

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1986年からはレマニアの新しいクロノグラフキャリバーCH27-70系を採用したRef.3970がスタートした。それまでのCal.13'''と異なりうるう年表示と24時間表示がインダイアルに追加された。そんなに古いものではないのに画像が荒くて恐縮です。
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Ref.3970は18年間のロングセラーの後、2004年に後継機種Ref.5970にバトンを渡す。キャリバーCH27-70Qはヌーベルレマニアエボーシュの最後のエンジンとしてそのまま引き継がれたが、ケース形状についてはクラシカルとモダンの融合への挑戦がなされた。まずウイングレットと呼ばれる翼を模した段差付きのラグ形状は1942年発表のRef.1561からインスパイアされたとある。またクロノグラフプッシャー形状も華奢なラウンドから1518時代に採用が多かった少し武骨で大振りなスクエアボタンとなった。ボタン上下面のサテン仕上げが実に渋い。それらとは裏腹に内反りしたベゼルは知る限り2000年代になってからチャレンジングなモデルに共通して採用されている現代パテックの特徴的なデザインである。
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そして2011年、今回紹介のRef. 5270がようやく登場となる。このモデルチェンジではウイングレットラグやコンケーブベゼル等のケースデザインが5970からほぼ継承されたが、エンジンはパテック初の完全自社設計製造のマニュファクチュール度100%の新開発手巻きクロノグラフCal.CH29-535をベースとして永久カレンダーモジュールが組み込まれて搭載された。新キャリバーはポストレマニア時代を背負う自社開発クロノキャリバー3部作の最終発表の集大成キャリバーとして高い完成度を有していると思われる。新エンジンよって文字盤には若干の変更が加えらている。3時と9時のインダイアルがセンター針と横一線ではなくて少し6時側方向に下がった事で、4時のインデックスが歴代モデルで採用されていた短めのバーからピラミッドになった。うるう年が3時の指針から4時半の小窓の数字表示となり、24時間表示も9時の指針から7時半の窓表示された。結果的にインダイアルがすっきりし、視認性が格段に向上した。
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現行のRef.5270の詳細。まずウイングレットラグ。サンプルなので小キズや埃はご勘弁と言う事で・・
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サイドは当然それなりの貫禄。と言っても12.4mmはマザーキャリバーCH29-535PSを積んだRef. 5170(10.9mm厚)に加えること1.5mmで、ムーブメントの厚さ比較でも1.65mm差となっている。ただラグも含めてグラマラスなケースデザインからは数字以上の存在感を受ける。
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スクリュー(捻じ込み)構造のトランスペアレンシイのケースバックからは機械式時計一番の男前?正統派手巻きクロノグラフが堪能できる。各プッシャーと連動して正確無比に動作するレバー類のパフォーマンスは見飽きる事が無い。
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ご多聞に漏れずRef. 2499時代に迎えたスイス機械式時計暗黒時代1960年~80年代前半にはかなり生産数が絞られたようだが、1941年以来絶えることなく生産され続けているパテックの永久カレンダークロノグラフ。日常的に愛用されるシンプルな時刻表示機能に特化した腕時計がその時々の時代背景で様々な表情の流行り廃りを経験するのとは対照的に、贅沢かつ趣味性が強く蒐集指向もある為なのか殆ど顔が変わらずに脈々と作り続けられている永久カレンダークロノはやっぱり安心してお勧めできるパテック フィリップの代表格だと思う。

Ref.5270R-001

ケース径:41mm ケース厚:12.4mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:RGのみ
文字盤:シルバーリィ オパーリン、ゴールド植字バーインデックス
ストラップ:手縫いマット(艶無)・ダークブラウン・アリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 17,920,000円(税込 19,353,600円)2017年8月現在

Caliber CH 29-535 PS Q:手巻クロノグラフ永久カレンダームーブメント
瞬時運針式30分計、昼夜表示、コラムホイール搭載
直径:32mm 厚み:7mm 部品点数:456個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低65時間(クロノグラフ非作動時)クロノグラフ作動中は58時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:ブレゲ巻上ヒゲ
振動数:28,800振動

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

2017年9月12日現在 ご予約対応となります。

文責:乾

Patek Philippe Internaional Magazine Vol.Ⅱ No.5 P.66 VolⅢ No.3 P.68 No.8 P.70 Vol.Ⅳ No.3 P.68
Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.305

パテックよりイレギュラーなプチ製品追加情報が来た。こうゆう「突然お邪魔します!」的なモデル発表はいつも可哀そうだと思ってしまう。拙ブログで毎年一番アクセスが多いのがバーゼル訪問前後の新製品紹介編。2番目がそれに先立つ生産中止情報編。それほど時計ファンにとってお気に入りブランドの継続・廃番・新作は気になってしょうがないところ。昨年のノーチラス発売40周年記念限定モデルの様にストーリーが有ってそれだけで盛り上がれるタイムピースは良い。むしろブランドにとって貴重な別アカウントでの商戦作りも出来よう。だからこそ中々周知されにくいであろうプチ情報も丹念にお伝えしてゆきたい。けっして流行らない(流行り過ぎた?)寿司屋のようにネタが尽きたという訳では・・・

レディスの年次カレンダーは2005年にメンズ2代目Ref.5056と似た顔Ref.4936で発表された。女性向けにマザーオブパール(MOP)文字盤が採用され、WGにはタヒチ産黒蝶貝、YGとRGにはバリ産白蝶貝が使われていた。ベゼルには二重巻きでダイアモンドセットされていた。パワリザはゼンマイ臭いのが敬遠されてか省かれていた。翌年の2006年には豪華仕様のケースサイド及びラグにもダイアジェムセットがなされたRef.4937が追加されている。なぜかWG仕様はインデックスは斜体のかかったアラビアで転写となっていた。

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4936&4937のコンビは結構ロングセラーとなり2014年まで生産されたが、2015年発表の現行モデルRef.4947&4948に引き継がれた。二世代目の主な変更点はベゼルのみダイアの4947はダイアルがMOPからソリッド通常文字盤になり、ケースサイドとラグまでダイア装飾の入った4948のみがMOP文字盤とされて住み分けが図られた。インデックスは全て正体のアラビア植字となりケース径が1mmUPした。少し若返った印象だろうか。いづれにしても美人姉妹のような関係が続いている。
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で、いつもどおり前置きが終わって、今回の新色は豪華仕様の姉のWG素材の文字盤変更である。画像は質感が出ていないが資料には真珠母貝とある。我々もスイスパテック社のHP上の画像確認だけなので判然としないがアラビアインデックスのみが鏡面シルバー色(下画像とはかなり違うが?)でレールや曜日、月等のディスプレイはブラックのようだ。でもこの顔どっかで見た既視感があると思ったら、今年バーゼルでレディス永久カレンダーRef.7140に素材追加されたWGのスペアストラップ(シャイニーグリーンターコイズアリゲーター)仕様とか、妹分の年次Ref.4947Gに文字盤追加されたシルバリィ バーティカル アンド ホリゾンタル サテンフィニッシュド ダイアル(長っ!)とか。
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ともかく最近のパテックのトレンドなのだろうレディスはブルー系やグリーン、パープル、ピンクなど明るいビビッドカラーのアリゲーターストラップの採用がラッシュだ。

Ref.4948G-010 レディス年次カレンダー

ケース径:38.0mm ケース厚:11mm ラグ×美錠幅:19×14mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション: WG(別ダイアル有
文字盤:バリ産ホワイト マザー オブ パール、ゴールド植字インデックス
ストラップ: 青緑系アリゲーター ※カラー名称不明、パテックHP記載のブリリアント・ミンクグレーは誤植と思われる為
バックル:ピンバックル(Prong buckle)
ダイアモンド:ケース347個~2.65ct リューズ14個~0.06ct バックル27個~0.21ct 合計388個~2.92ct
価格:税別 7,670,000円(税込 8,283,600円)2017年9月現在
9月よりデリバリー予定

Caliber 324 S QA LU
直径:30mm 厚み:5.32mm 部品点数:328個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

パテック フィリップのブランドの歴史を集大成した豪華な書籍「PATEK PHILIPPE THE AUTHORIZED BIOGRAPHY」が届いた。
相当な重量物なので梱包も頑丈。捨てるのが惜しい立派な輸送用梱包箱
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まるで上質なチョコか菓子折りの様に金色のカラトラバ十字がモノグラム紋様に刷り込まれた薄紙で丁寧に包み込まれている本体
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ついにご本尊を拝むことが・・
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数か月前に前もって届けられた専用のブックスタンドに乗っけてみた。スタンドがあまりにも早く来ていたので、自分を含めて誰かが到着した本尊を間違って紛失したのではないかと一時は疑心暗鬼に駆られることも・・ご尊顔を拝見できてホッ!
中身は全て英語なので画像を眺めてどうしても気になる部分は妖しいリーディングをするしかない。パテックは書籍を結構発行していて中身的には過去に使われた画像が大半であり、アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックとフランソワ・チャペックそしてジャンーアドリアン・フィリップ各氏のブランド黎明期から始まるストーリーも従来の物がなぞられている。当然いまさらの新事実が出てくる方がおかしい。ただ全25章からなるストーリーは、これまで色々な書籍で取り上げられてきたエピソードやエポックメイキングな時計紹介を時間軸で追いかけ順序だてて構成しなおされた初めての文献だと思う。特に1932年以降の経営権を受け継いだスターンファミリー4世代(現代パテックと呼びたい)の我々にとってなじみ深い8章以降のストーリーが全体の7割程度なので親しみやすい。

P128-129 左が1900年代前半にアメリカで大成功した高級自動車パッカード社の創業者ジェームズ・ウォード・パッカード(James Ward Packard )氏の為に1923年に、右は同時期に活躍した銀行家ヘンリー・グレーブス・ジュニア (Henry Graves Jr. ) 氏用に1927年に製作された永久カレンダー付テーブルクロック。
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P326-327 スターンファミリー2代目アンリ氏夫妻の日本初訪問は1963年。クォーツショック真っ最中!背景はどうやら金閣寺?この訪問時に日本で初の展示会(左下)が東京で開催された。カラー写真は1967年に3代目フィリップ氏(初来日)と父親のアンリ氏。宴席を設けたのは日本にパテックブランド導入をされた一新時計創業者の西村隆之氏(故人、後列右から二人目)のようだ。告別式に会葬した記憶が・・DSC_8827[1].jpg
P.304-305 1976年に始まるノーチラスヒストリー。初代Ref.3700/1Aから2016年の発売40周年記念限定モデルまで主要モデル全30型が掲載されている。面白いのは30周年の2006年までが11モデルでその後の10年間で19モデル掲載というバランスの悪さだ。これはノーチラスの薄さと強靭な防水性能を両立させていた特徴的な2ピース構造が、2006年にフルモデルチェンジと言える3ピース構造に変更された事によって搭載可能なムーブメントのバリエーションが増え、一気にノーチラスコレクションが多彩になった事を示している。
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554ページの極厚本でズシリと存在感のある豪華本。店頭でいつでもご覧いただけます。ご希望の方には販売も可能です。税別定価24,200円は立派な装丁とボリュームからしてかなりパテック社が持ち出しをした特別価格と思われますナァ。

文責:乾

気がつけばもう8月も後半。今夏は梅雨明け以降で湿気がひどく寝苦しい夜が続いた。ところが盆を過ぎてからは夜が急に涼しくなり早朝足が攣ったり鼻かぜ気味になったりと体調管理が難しく厳しい夏だ。このやけに過ごしにくい粘着質の暑さはまだまだ続きそうなのだが・・皆様いかがお過ごしでしょうか。
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本日紹介は今年の新製品として初紹介となるRef.5170P-001。2010年にパテック フィリップ完全自社開発製造となる初の手巻クロノグラフムーブメントCH29-535PSを搭載してイエローゴールドのメンズモデルとして発売以来ホワイトゴールド、ローズゴールドとバリエーションが発表され今年初のプラチナ素材でのローンチとなった。この顔には既視感をお持ちの方も多いと思う。ケース形状は全く違うが昨年秋に発表されたノーチラス40周年限定モデルとして発表されたWGクロノグラフモデルとプラチナ3針モデルで採用された濃青色にバゲットダイアインデックスのコンビネーション。
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ノーチラスの文字盤には特徴的な横縞ボーダー柄があり、微妙な光の当たり加減によって作り出される魅惑的で多彩な表情に悩殺されっぱなしのノーチラスファンが跡を絶たない。5170PのダイアルはBlue sunburst black gradated 放射状の微細な刷毛目紋様の上に文字盤中心の青から円周部の黒へとグラデーションしている。手法は微妙に違うのだが色目の印象が非常に近くて派生モデルっぽく見える。
一般的に言ってメンズウオッチへのダイアモンド装飾はギラギラ感が押し出され過ぎる事が多く、好きな方はそれが魅力で着けておられる。パテックにおいてもベゼルへのダイアセッティイングモデルは存在感タップリで何処にも誰にも負けない立派なものです。ただ一連のノーチラスと言い、5170Pにしてもじっくり見ないと綺麗なバーインデックスに見えてしまったりする。これが押し出しは要らないが自分で満足できる特別感は欲しい時計ファン、パテックファンの背中を押したようだ。個人的にもベゼルダイアは一生腕に巻く事は無さそうだが、この手のモデルは躊躇なく着用可能だ。
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ダイアインデックスを包み込みダイアルにセットしているWGのホルダー。ショーピースを慌てての撮影なのであまり鮮明ではない。万が一の脱落を防ぐためか天地の爪がガッシリしている。ファセット面が非常に少ないのもキラキラ感を抑えている要因であろう。
今年の新製品で一番気になったこのモデル。バーゼルで始めて見てその文字盤の美しさに吸い込まれそうになった。先日久々にサンプルを見直してもその思いは変わらない。漆黒の艶っぽいアリゲーターストラップもダイアとの相性がすこぶる宜しい。
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ケース厚は10.9mmは薄すぎず暑すぎずバランスが良く端正で完成されたカラトラバクンロクケースに仕上がっている。スクエアのプッシュボタンは安定感があり、リセットボタンの押し加減は風の様に軽やかで癖になりそうな独特のフィーリングを持っている。
パテック社の商品分類ではグランド(超複雑)ではなく普通のコンプリケーション(複雑)に分類されている手巻クロノグラフ。しかしその製造方法はいわゆる″二度組"と言われるグランドコンプリケーションレベルと同じであり、時としてパテック社の関係者もグラコンと勘違いをしていることすらあって、価格的にもCH29系クロノはグラコン扱いで良いように思う。巷ではヌーベル・レマニア社のパテック向け専用手巻きクロノグラフキャリバーCH27-70が搭載された自社製化直前のRef.5070、それもプラチナ(ダイアルは確か濃い目のブルー)の人気が今日でもまだまだ高いそうだ。今回の5170のプラチナも将来そんな伝説のモデルに化ける可能性が有るかもしれない。

Ref.5170P-001

ケース径:39.4mm ケース厚:10.9mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:PT、RG(ブラック010ホワイト001
文字盤:ブルー サンバースト ブラック グラデーテッド バゲットダイアモンドアワーマーカーインデックス(~0.23ct)
ストラップ:手縫いシャイニー(艶有)ブリリアントブラックアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格、在庫:お問い合わせください

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以下過去記事より転載
搭載キャリバーは何度見ても惚れ惚れする美人ムーブのCH 29-535 PS。古典的と言われる水平クラッチ(キャリングアーム方式)は美観に優れ、クロノ操作を見る楽しみを与えてくれる。ところがクロノグラフスタート時にドライビングホイール(A、クロノグラフ出車)と常に咬み合っているトランスミッションホイール(B、中間車)が、水平移動してクロノグラフホイール(C、クロノ秒針車)と噛み合う際に、タイミングによって歯先同士がぶつかるとクロノ秒針が針飛びや後退を起こす弱点がキャリングアームにはある。これを解消するためにパテック社ではクロノグラフ輪列(前述のA~C)に特許による新しい歯型曲線を採用している。その他にもコラムホイールカバー(D、偏心シャポー)やレバーやらハンマー等々あっちゃこっちゃに、これでもかと特許技術を投入することで、古典的美観はそのままに時代を先んずる革新的かつ独創的な手巻クロノグラフキャリバーを完成させている。
※パテック社によるCH29-535の解説は→コチラから
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Caliber CH 29-535 PS:コラムホイール搭載手巻クロノグラフムーブメント

直径:29.6mm 厚み:5.35mm 部品点数:269個 石数:33個 受け:11枚 
パワーリザーブ:最低65時間(クロノグラフ非作動時)クロノグラフ作動中は58時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:ブレゲ巻上ヒゲ
振動数:28,800振動

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文責:乾

このモデル(リファレンス)を取り上げるのは実に4回目である。なにせこのモデルとの付き合い初めが個人的にあまりにも大事件だったのでどうしても思い入れてしまう。機械的な紹介はほぼダブってしまうのだが・・
永久カレンダーを複雑機構の看板にし続けてきたパテック フィリップが現代的で実用性の高い年次カレンダーを開発し特許を得たのが1996年。その際に永久カレンダーの簡素化で対応するのではなく、全く一から設計開発し極力レバーやカムなどの大振りなパーツを採用せず、出来る限り歯車輪列にて対応する事で文字盤レイアウトに自由度が与えられた。ただこの方式は輪列の増加による負荷の増大というデメリットがあった。これに対応するためパテックは徹底した歯車の設計の見直しと他ブランドでは真似のできない歯車の研磨仕上げでエネルギーロスをともかく低減させた。さらにトルクがしっかりしたベースムーブCal.324を搭載する事で安定した駆動を実現したとしている。
おさらいをさっと済ませて実機を撮影。
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パテックフィリップのリファレンス番号の後ろに付く枝番は知る限り001がニューモデルの初出の文字盤。元々2006年にカラトラバケースに年次カレンダーを搭載したRef.5396の枝番001はトリプルサークルと言われる個性的な文字盤仕様。パテックではよくある常套手段でお初ものには歌舞伎の隈取りよろしくファンの耳目を集めるべく厚化粧気味のニューフェースでスタートされる事が多い。
そして4年後の2010年にトリプルサークルは生産中止となり、今回紹介のソリッドな文字盤の枝番011が発表された。文字盤モチーフとしてのトリプルサークルそのものは年次カレンダーRef.5396に一年先立つ前年の2005年に発表された自動巻き3針カレンダーのカラトラバRef.5296G-001で採用されている。そしてこの自動巻クンロクでもソリッドなノーマルダイアルが010枝番で発表されている。
この年次カレンダーモデルは既に何度も紹介しているローズゴールドと常にセットで文字盤の発表や廃番がなされている。これは昨年の新作アラビアインデックス文字盤でも同様である。ただ今年はローズのみに新たなブルーダイアルがインデックス違いで2モデル追加された。ソリッドゴールドのバーインデックス5396R-014とバゲットダイアのバーインデックス5396R-015である。イエローゴールドはデビュー時から設定が無い。
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鏡面仕上げの横顔がカラトラバのクンロク(96)ケースの遺伝子を最も印象づけている。ケース厚さ11.2mmはフルローター自動巻きベースムーブメントに年次カレンダーモジュールを積み込んでなので充分に厚みは抑えられている。
パテックを代表する顔であるダブルギッシェ年次カレンダーRef.5396全6リファレンスで最もおとなしく上品な顔が今回紹介のモデル。個人的には機械式時計黄金期1920年頃~1960年頃の雰囲気が良く出ている一本かと・・

Ref.5396G-011年次カレンダー
ケース径:38.5mm ケース厚:11.2mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG別ダイアル有)、RG別ダイアル1

文字盤:シルバーオパーリン ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
在庫、価格:お問い合わせください

以下過去記事より転載
搭載キャリバーは21金フルローターを採用したパテックを代表する自動巻きCal324に年次カレンダーモジュールを組込んでいる。
カレンダー系の操作は禁止時間帯等あって気を使うが、パテックの場合は殆どの物が午前6時(例外あり)に時刻を合わせてプッシュ操作を行う。ムーンフェイズはいつもネット検索して確認していたが、パテックHP内にある確認ページが結構便利である。
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個人的にフルローター自動巻きの裏スケルトンには一抹の気色悪さをいつも感じてしまう。ただパテックの場合はローターの仕上げが尋常でなく美しい。撮影の度に改めてそれを感じる。PCモニター画像ではそれを表現しきれていない。連日の猛暑で目も腕もなまくらになった事にしておこう。

Caliber 324 S QA LU 24H/303

直径:33.3mm 厚み:5.78mm 部品点数:347個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

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文責:乾

昨年度に引き続き今年もお盆に「パテック フィリップ展」を開催いたします。
カサブランカ奈良『2017パテック フィリップ展』
日時:8月11日(金・祝)~13日(日) 3日間 11002000
場所:当店2階パテック フィリップ・コーナーにて

普段店頭ではご覧いただけないグランドコンプリケーションを始め、通常はショーケースに並ばない希少なモデルやレディスコレクションまでほぼ現行モデルのフルラインナップをご覧いただけます。同一モデルの素材違いや文字盤違い、またご興味のある複数のモデルを同時に並べて見較べられる事もパテック フィリップ展の魅力です。またカフリンクス等のアクセサリーについても多数展示致します。
世界最高峰の時計ブランド"パテック フィリップ"の様々なモデルが一堂に集う特別な3日間。ぜひこの機会にご来場いただけますようスタッフ一同心よりお待ちしております。

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昨年度に引き続き今年もお盆に「パテック フィリップ展」を開催いたします。

カサブランカ奈良『2017パテック フィリップ展』
日時:8月11日(金・祝)~13日(日) 3日間 11002000
場所:当店2階パテック フィリップ・コーナーにて

普段店頭ではご覧いただけないグランドコンプリケーションを始め、通常はショーケースに並ばない希少なモデルやレディスコレクションまでほぼ現行モデルのフルラインナップをご覧いただけます。同一モデルの素材違いや文字盤違い、またご興味のある複数のモデルを同時に並べて見較べられる事もパテック フィリップ展の魅力です。またカフリンクス等のアクセサリーについても多数展示致します。
世界最高峰の時計ブランド"パテック フィリップ"の様々なモデルが一堂に集う特別な3日間。ぜひこの機会にご来場いただけますようスタッフ一同心よりお待ちしております。



パテック フィリップのメタルブレスの種類はあまり多くない。そもそもメタルブレスモデルラインナップ自体が少ない。2017カタログ掲載モデル数195本の内47本が金属ブレスモデル。その内26本は人気シリーズのノーチラス(全32本)で、大半を占めている。ノーチラスシリーズだけはブレスレットウオッチのイメージが先行している。今回はこの印象的なブレスレットネタで・・
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ノーチラスのブレスレットはサテン(艶無し)で中央リンクがポリッシュ(艶)のコンビネーション。面積比では地味なサテンが大半だがイメージは大変艶っぽい。あまりにも特徴的で一目でノーチと判る。このブレスはともかく薄い。特に3針は時計そのものが薄い(8.3mm)ので時計側からクラスプ側までずっと薄さ一定のままだ。現行モデルの一つ前のRef.5711旧バージョンでは実は微妙にブレスの厚さを確保してネジ留形式が採用されていたのだが、着け心地を最優先して現在はピン留めに戻されて薄いブレスが復活している。
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前置きは此処までで、この着け心地が命のノーチラスの着用にあたってとても大切なサイズ調整の裏技をご紹介したい。一見、何駒取るかだけの単純な調整しかないようだけれど実は半駒単位の調整が可能である。この話、もちろん知ってる人は知ってるが、実はあまり知られていない気がして取り上げてみた次第。一般的な時計ブレスレットでは製品出荷状態で通常の駒と少数ながらその半分程度の半駒と呼ばれる短い駒で構成される事が多く、どちらの駒をどれだけ取るかの組み合わせで微妙な調整が可能だ。もちろんノーチラスの様に通常駒のみで構成されるブレスも多々見られる。代表的なのはロレックス。ただし一駒が長いスポーツタイプのオイスターブレス採用モデルはクラスプで微調整が出来るようになっている。ノーチラスの両観音クラスプにその機能は無い。着用感を高めるため極めて単純でこれまた薄く作られている。
ではどうするか?パテックは実にユニークな発想で1.5駒と言う長駒を別売で用意している。
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先日、実際に装着させて頂いた顧客様のお許しを得て画像取り。6時と12時側双方から各1駒で2つ取って、12時側に1.5駒を着けさせて頂いた。結果6時側は1駒分短くなり、12時側は半駒分長くなっている。かなり6時側を短めに調整させて頂いた。もちろん単純に6時側を2駒外して1.5駒に変える調整も可能で、オーナー様のリストを拝見してお好みも伺ってその都度やり方を決める事になる。
でもなぜ半駒対応にしなかったのか?パテックの回答は「1.5駒の方が半駒よりも通常駒との違いが目立ちにくいから・・」との事だった。ただノーチラスブレスの場合、センターリンクのピッチを変えでもしないと半駒は作れそうな気がしない。結果1.5駒にするしかなかったのではないだろうか。
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気になるお値段ですがステンレスで1.5駒は税別23,000円。結構リーズナブルではなかろうか。ちなみに通常駒1駒が税別20,000円とあまり変わらない。
アクアノートやトゥエンティ―4などの他の形状のブレスレットはどうか?やはり同じように1.5駒が用意されている。例外はコレクターズアイテムで入手困難なスケルトンウオッチのRef.5180の1モデルのみが半駒対応となっていた。但し価格は通常駒と同額である。link-price2.gif
面白いのは他ブランドだとブレスレットタイプが異なれば駒価格も異なる事が殆どなのにパテックはどのブレスレットも同価格と言うのがアバウトなのか?太っ腹なのか?
ともかくメタルブレスモデルの着け心地がしっくり来ない方は是非ご相談ください。

文責:乾

前回に続いてディスコン(生産中止)の銘品紹介シリーズ。レディスコンプリケーションのトラベルタイムRef.7134G。天才時計師ルイ・コティエ氏によって考案されたトラベルタイム機構の特許をパテックが取り製造を始めたのは50年以上も前の1959年。その後クォーツ全盛期時代に製造は一旦途切れている。スイスの機械式時計がようやく復活した1990年代後半になって現代のトラベルタイムの製造が再開した。
今回紹介のRef.7134Gは2013年に発表され2016年にディスコンされた少し短命なモデル。或る意味製造個数も少ないはずで希少性は高い。
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実はこのモデルの生産中止で現在レディスのトラベルタイムコレクションのラインナップが無くなっている。個人的には1997年から再開された現代トラベルタイムのレディスでは一番お洒落で良い顔をしていると思う。何が良いって文字盤の色目が表現の仕様が無い微妙な薄めのブラウン。同色のアリゲーターストラップのカラー名称がシャイニー トープ(Shiny taupe)。そう、某有名ブランドE社の中々買えない超人気レディースバッグにも採用されている有名な色目。いわゆる旬のお色。
全ての針と6時側のスモールセコンドインダイアルと12時側のホームタイムと連動した24時間インダイアル、パテック フィリップのロゴ等の情報一切が白色でまとめられておりスッキリと締まった表情になっている。18金製のアラビアインデックスはポリッシュされており少々視認性に難がありそうだが、オフィスや屋外など光量がしっかりある環境なら充分見易い。逆に少しトーンダウンしたレストランのディナー席などではインデックスが変に悪目立ちしないのでラグジュアリーなドレスウオッチとなる。ベゼルにはトップウェルセットンのダイアモンド112個(~0.59ct)が丁寧にセッティングされている。パテックのダイアセットはその時計作りのポリシー同様に実用性を高めるため衣類の袖口が引っかかったりしないよう滑らかさを最優先した手法を採用している。海外を舞台に働くキャリアウーマンにはうってつけの一本と言えそうだ。

Ref.7134G-001
ケース径:35mm ケース厚:9.2mm ラグ×美錠幅:18×14mm 防水:3気圧
112個のダイヤ付ベゼル(~0.59カラット)
ケースバリエーション:WG 
文字盤:ブラウン サンバースト 18金植字アラビアインデックス
ストラップ:シャイニー トープ アリゲーターストラップ
価格:税別 4,510,000円(税込 4,870,800円)2016年11月現在
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Caliber:215 PS FUS 24H
この時計手巻きである。実用性からすれば極薄自動巻きCal.240にトラベルタイムモジュールを積めば良さそうだが、たぶん文字盤レイアウトに無理があって手巻きの名キャリバー215が採用されている。ビックリするのはトラベルタイムモジュールの薄さだ。ベースキャリバー215の素の厚みが2.55mmで部品点数130個なのでモジュールは厚さ0.8mmに48点のパーツで構成されている事になる。他のメンズのトラベルタイムと違ってホームとローカルタイムの昼夜表示が無いにしても凄い部品密度である。ケースの厚みは9.2mmと意外にある。たぶんトラベルタイム操作プッシャーを組み込む為にある程度の厚みが必要なのだろう。

直径:21.9mm 厚み:3.35mm 部品点数:178個 石数:18個
パワーリザーブ:最短44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動

尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2017年6月9日現在 店頭在庫有ります

気付けば2月以来商品紹介が出来ていない。この時期はバーゼルワールドを始めとして生産中止情報や2017新作ダイジェストなど話題はそこそこにある。反面、例年2月から夏場にかけては本年の新作入荷がまずないので商品情報はどうしても少な目である。しばらくは緩やかな更新でご容赦下さい。
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パテック フィリップの七不思議に生産終了品のヒョッコリ入荷というものがある。最終生産ロット品がゆっくり出荷されたのか。最近何かの理由で再生産されたのか。パテックからの明確な答えは無い。今回は今年生産中止発表されたクロノメトロゴンドーロの多分最終生産ロットだと思われるローズゴールドモデルRef.5098Rのご紹介。
1920年代頃にブラジルの高級時計宝飾品店のゴンドーロ・ラブリオ社の求めに応じて納入されていたのはイエローゴールド製。(下画像:良く紹介されている1925年製イエローゴールドモデル)
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色目的にはローズは大変近い。ただ文字盤上に特徴的な楕円形のインデックス表示部分とPATEK PHILLIPE GENEVEやCHRONOMETRO GONDOLO、SWISS MADEの文字表記部分については金色(PP社表現はハニーブラウン)の平滑面になっていてギョーシェ装飾が施されたシルバーカラー部とくっきりとしたツートンカラー仕様になっている。2007年にローズに先駆けて復刻発表されたプラチナモデルRef.5098Pも1920年代のオリジナル同様に全体がシルバーで統一されていた。ツートン仕様は2009年発表の現代復刻モデルのローズバージョンでの新規採用となる。これは好みの別れるところで個人的には甲乙付け難い。
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何といってもこのモデルの魅力の第一は18金素材の文字盤にビッシリと施された手作業によるギョーシェ(波状の微細な彫装飾)だ。調べればこれまた18世紀の天才時計師アブラアン・ルイ・ブレゲ考案らしい。手作業とは言ってもギョーシェ専用のマシンに文字盤をセットして人の手で操作しながら複雑なパターンを掘り出すスタイル。バイトと呼ばれる鏨(のみ)を使ってムーブメント構成パーツである地板や受けにフリーハンドで施されるエングレーブ(彫金)とは異なる。またモノトーンのプラチナモデルと異なり装飾後の色付け工程も一手間増えていそうだ。
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誠に優美かつ正当なトノーシェイプのケース形状も魅力的だ。全体が曲線で構成されており色気漂う女性のグラマラスな姿態を想像させられる。表裏両面のサファイアクリスタルもケース同様緩やかにカーブしている。普通此処まで曲面だと鏡代わりに顔をうつすと歪んだりするのだが、パテックレベルになると冷間鍛造とポリッシュの技術が凄い為一切ゆがまない。ラグは紳士用腕時計黎明期に採用された貫通ピンをねじ止めしたオフィサー(将校)タイプ。画像は無いがもちろんピンタイプのバックルもオフィサー仕様となっている。
2月に紹介したRef.5205R-010を現代セクシー系とするとRef.5098Rはクラシカルな色香が漂うどこかアンティークっぽいモデル。昨今あまりにもハイテク化が進む現代車の反動なのか、アナログなヴィンテージカ―の静かなブームが起きそうな気配がある。そんなクラシックな出で立ちにこそ着けてみたい魅力的タイムピースだ。

Ref.5098R-001

ケース径:32×42mm ケース厚:8.9mm ラグ×美錠幅:17×14mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:RGの他にPT いづれも製造中止
文字盤:ギヨーシェ装飾18金製 ツートーン
ストラップ:マット(艶無)ダークブラウンアリゲーター
価格:税別3,930,000円(税込 4,244,400円)2016年11月現在 


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1900年代のオリジナルクロノメトロゴンドーロのムーブメントは当時パテック社の主要エボーシュであったルクルト社製の丸型キャリバー12"'が搭載されていた。2007年のモデル復刻にあたってパテックはケース形状にふさわしい角型の専用新キャリバー25-21RECを開発した。同社にとって1934年に開発した名キャリバーCal.9"'-90(上)以来の73年ぶりの自社角形ムーブメントと言われており、明らかに意識したレイアウトが採用されている。往年の名キャリバーへの強烈なオマージュと言えそうだ。
尚、Ref.5098が全て生産中止になった今、同じくゴンドーロシリーズのレクタングラーシェイプのRef.5124のWGYGにのみこのキャリバーが搭載されている。
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Caliber 25-21 REC(手巻き)
サイズ:24.6×21.5mm 厚み:2.57mm
部品点数:142個 石数:18個 パワーリザーブ:最低44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製) 振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

文責:乾

2017年6月2日現在
5098R-001 店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

ARCHIVEを英和辞書で引くとアーカイブ(英:古文書、古文書、保管所・・)等と出てくる。実は自身でも概念を把握せぬまま日常茶飯時に気がつくと使っている事が多い。年甲斐もない知ったかぶりほどぶざま極まりないと自覚しているのだが・・
しかし、日本の辞書を引くと(重要記録を保存・活用し、未来に伝達することをいう。日本では一般的に書庫保存記録と訳されることが多い)とある。
さてパテック フィリップにおけるアーカイブも後者の意味合いが強いように思う。他ブランドでは対応している例を聞かないが、過去の販売履歴をジュネーブで一元管理しているパテック フィリップでは有料でこの台帳(Archive)の抄本?(Extract)を発行している。何らかの理由で手元にやってきた個体の品番、キャリバー、ケースNo.とムーブNo. 製造年度と販売の年度と月、さらにケースとストラップ(ブレスレット)の素材を確認する事が出来る。まずまず本物か否かの証明にはなるが、さすがに今現在の時計のコンディションや構成部品、素材の信憑性までは責任の範疇ではない。
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画像は昨年秋に当店に発行依頼のあったお父様から譲り受けられた時計のアーカイブ。ご了解を得てスキャンさせて頂いたが固有番号はダミーである。1969年製の手巻きカラトラバで18金イエローゴールド製ケースとブレス。
発行手数料は税別13,000円で9月頭に預かって2か月弱期間を要した。この個体はスイスまで行かずに東京のパテックのオフィスで申請用の画像撮影等がなされている。このシステムどこまで知られているのか良くわからないのでご紹介をした。ご希望が有ればどうぞお持ち込み下さい。

チョッとこっぱずかしいのだが″JAPANESE KIMONO COUPLE"のお披露目!4年前にパテックのガラパーティにて着物で大ブレークした姐。フランス語発音で″ダンシング ケモノガール"と一躍注目の人となり、その後毎年のように「今年は彼女は来ないのか?」と言われ続け、それならばと今年は″つがい"の着物で乗り込んだ次第。早速、パーティ会場エントランスでの恒例行事であるスターンファミリー出迎えコーナーで歓迎を受け、いきなり記念撮影を請われたワンショット。
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今年で御年79歳のはずのフィリップ スターン名誉会長はしっかり健在。今も週に一回ペースで出社され、それ以外はべったりとミュージアムに入り浸りで、コレクションのケアにいそしんで居られるとか。ともかく時計が好きでしょうが無いらしい。現社長ティエリーはこの日グランドコンプリケーションの手巻永久カレンダークロノグラフRef.5270Rを巻いていた。聞けば自身で初めてデザインを手がけ、思い入れがある一本との事。小生は長い事当社で行かず後家(在庫期間最長パテック)になっていたゴールデンイリプスYGにカミーユ特注のネイビーストラップを合わせ、紺大島のアンサンブルに祖父譲りの50年物の各帯を締めてみた。姐は今回新調した合わせで地模様にはカラトラバ十字と見まがう紋様があしらってある。しかしまあなんともヨーロッパドイツ語圏の背景色ではある。
さて今回着物でバーゼルを一日過ごして実感したのが、今のヨーロッパがえらい日本ブームと言う事だった。二十年ほど前に初めて訪れた頃とは雲泥の感がある。5年ほど前からその感触はあったのだが、女性以上に珍しい男性の着物姿は強烈だったようで街中を含め先々で賛辞があり、撮影を求められた。ガラパーティでは姐ともども同性異性を問わずお声が掛かり、写真とダンスを請われっぱなしだった。もちろんカップルで出席というのも彼の地ではとても重要。世界で最も素晴らしい民族衣装と言われる日本の着物は我々大和民族の最終兵器と心得るべし。

翌日はスイス4番目の人口約14万人の首都であるベルンの休日。オオトシヘッピリバ~ンと国会議事堂隣のホテル ベルビューパレスから徒歩で美しい川岸まで坂を下る。
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古都を取り囲むように屈曲してゆったり流れるアーレ川はアイガー山麓から流れ出してベルンを経由しロレックスやオメガの本拠地ビエンヌが湖畔にあるビール湖に流れ注ぐ結構な大河である。スイス晴れの元、血流障害児のヘッピリバ~ンも体調が良さそうでニコニコと川岸の遊歩道を満喫している。平日昼前と言うのに次々とジョガーが色とりどりのランニングウェアに身を包んで追い越してゆく。
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河畔には老若男女がそこ此処でくつろぎ水鳥と交流したりなんかしている。実にのどかで平和な風景である。
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ベルン州紋章のキャラクターである熊が愛嬌を振りまく熊公園たもとのニーデック橋界隈には中世の家並みがそのまま残存している。世界遺産らしい風景を眺めながら庭園が美しいバラ公園へ坂を上ってゆく。
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日本から寄贈されたソメイヨシノが植樹されたバラ公園は、桜はまだ早かったが既にもう春の装い。テラスで生ビールを頂きながら紫煙をくゆらしまったりと・・流石にバーゼル会場やホテル、レストランは禁煙なのだが、スイスの煙草事情は実に緩やかで基本まだ街中は全て喫煙OKだ。興味深いのは日本で大流行の加熱式煙草アイコスをデザインした国なのに見事に誰も使っていないようだ。バーゼル会場でもパテックのパーティ会場の喫煙所でも日本人利用者しか見かけなかった。テラスからはベルンの主要部が一望にする事が出来る。春霞で残念ながらヨーロッパアルプスは楽しめなかった。
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あてもなく住宅街をうろつく。日本よりやや大振りのレンギョウ、紫モクレン、割と控えめな桜が満開見頃だった。どうもスイスの方が今年は春が早かったようだ。
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一旦ホテルに戻り、今度は買い物ツアーへ。近場におしゃれな煙草屋を見つけパイプを物色。トラムで数駅の登山用品店でマムートのクライミングパンツ(一体いつ穿くねん?)と姐のこれまたいつ担ぐねん?のザックを購入。で、いきなり購入物をザックに詰めて中心街に戻って姐御用達ストッキングのフォーガルのブティックに向かうが、どこをどう探しても見つからない。スマホでググってみると既に閉店しており近隣の百貨店内でのコーナー展開に変わっていた。8年前にマッターホルン登攀用のアイゼンやウェアーを購入した超専門店的な山屋も無くなったようだしスイスの古都でも拘りの店舗が生き残っていけないようで寂しい限りだ。
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5階のジュニアスイートのからの眺め、眼下のアーレ川が美しい。滞在中とうとうアルプスが見えなかったのがとても残念。でもこのホテル ベルビュー パレスは各国の要人が泊まるからかヨーロッパでは考えられないくらいスタッフが優秀だ。ルームサービスも″廊下で待ってたんかい!"という素早さ。朝食もおいしいしサイドディッシュに頼む卵料理や野菜サラダもスピーディこの上ない。料金もそれなりにするがバーゼルはもちろんチューリッヒよりは少しお得感がある。入出国日のチューリッヒ空港までのアクセス時間と費用がチョッとネックだけれども・・
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こちらはレセプション横に掛けられているパテックのワールドタイム。下のプレート内容が読み取れなかったので貸し出されたものなのか寄贈なのか判然としないがスイスのホテルで初めて見た。2世代前のRef.5110J(2000-2006)の顔なので10年以上前の代物のはずだ。
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この他にもロビーにはスイスの5つ星ホテルによく見られる近隣時計宝飾店のプロモーションディスプレイが常設されている。出来れば2020年に当店一軒隣に開業するJ.W.マリオットにも置けないものかしらん。こりゃ政治力が問われるなァ~

文責:乾

3月26日、日曜日は会期一週間のバーゼルワールド期間中で最も込み合う日だ。時計好きのスイス人達が全国からモーターショーのノリでこの国境の地に今年の新製品をひやかしにやって来る。入場料は一日券で約5,000円と安くないが一般人も会場には入れる。もちろん各ブランドのブース内には入れないが特殊な商材を除いて各ブース外回りのショーウインドウでニューモデルや通常ラインナップがじっくり鑑賞可能だ。1月にジュネーブで開催されているSIHH(通称ジュネーブサロン)も今年から一般客の入場を認めるようになったそうでその分賑わいが増したそうだ。

本日は朝からびっしりのスケジュール。列車とトラムで会場入りし11時からブライトリングでスタート。各ブランドが新製品を絞っている中でブライトリングは1時間で見切れないニューモデルラッシュ。元気である。特に日本市場限定モデルのクロノマットJSP(ジャパンスペシャル)は一世代前の人気モデルだったクロノマットエボリューションを彷彿とさせるベゼルとバーインデックスダイアルに自社クロノムーブB01を搭載してオールステンレス製で税別83万円と見事に頑張ってきた。

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宣伝モデルの黒文字盤よりも個人的にはシルバーダイアルが秀逸か。興味深いのが新しくセラミックベゼル化されたスーパーオーシャンヘリテージⅡシリーズの42mmと46mmの3針モデル。同社のスーパーオーシャン発売60周年記念を祝してリリースされたものだ。
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税別予価40万円後半のコチラのエンジンはなんと大御所ロレックスのデフュージョンブランド日本未展開″チュードル"仕様。心臓部のテンプ等はブライトリング特製となるが門外不出だったロレックスグループのキャリバーが初めて社外のそれもスウオッチ傘下のムーブメントメーカーETA社と良好な関係にあると言われていたブライトリングに積まれるとは驚愕である。またバーター的にブライトリングのフラッグシップ自社クロノグラフキャリバーB01が今後チュードルのクロノに積まれるらしい。現在チュードルの既存クロノグラフモデルが邦貨換算で60万円程度。チュードルB01クロノが一体どのくらいの値付けをされるのか?興味津々である。

ブライトリングのお後はチョッと内緒のブランド2か所とセイコーとカシオの4ブースを視察し、いよいよ今年もバーゼル最終はパテックに乗り込む事に・・
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世界限定500本のパテック フィリップ アドバンスドリサーチモデルRef.5650G税別予価643万円。機能的にはこれまであったアクアノートSS及びRGのトラベルタイムと何ら変わりません。プッシュボタンの感触もほぼ同じらしい。ほぼパテック技術陣のマスターベーションとも言えるコチラ。パテック初?のコレでもか!の無理やりっぽいオープンワークから覗くトラベルタイム新モジュール。従来モジュールがレバーや爪類を含め37点の部品から構成されていた代物を特徴的な4つの十文字型に交差する板バネを新規採用することでわずか12点の部品で構成する事に成功した。上の画像で4か所の十文字板バネとそれに連なる大きな弓状のステンレスパーツは全部一体のもので1個のパーツとなっている。よくもこんなバカでかい部品を作ったものだ。もう一か所このアドバンスには秘密があって、調速パーツである髭ゼンマイが単なる従来型のシリコン製スピロマックス製ではなくゼンマイの内端側に膨らみを持たせる事で精度の重力姿勢差を画期的に緩和することに成功している。パテックの見解では少々大げさながら?トゥールビヨンの発明に匹敵する技術革新としており、従来のパテックの精度基準であった平均日差―3秒~+2秒(トゥールビヨン搭載機ではさらに日差3秒以内)を―1秒~+2秒以内への調整が可能としている。ただ4月14日現在このアドバンスドリサーチモデルの販売方法は未発表である。どなたが幸運にも手にされるかわからないが、全くの新機構ゆえ初期トラブルは覚悟と言う事で・・
そして今年の一押し新製品Ref.5170P。このモデルとしては初のプラチナ製であり昨年のノーチラス発売40周年記念限定で採用されたバゲットダイアインデックスが採用されている。ともかく美しいのは漆黒の外周部から中心に向かって実に良い具合に濃紺へとグラデーションしている文字盤だ。パテックの関係者も含め一押しの声が多い。ほぼ同じ文字盤装飾が施された年次カレンダーRef.5396R-015もカタログや画像では全く伝わって来ない色男顔である。そしてこの年次カレンダーモデルに採用されているダブルギッシェスタイルの永久カレンダーRef.5320も魅力的だ。元々この左右寄り目の顔は1950年代半ばに盛んに同社を代表する永久カレンダーに使用されていたので久しぶりの復活ダイアルモデルである。浮き上がったようなアラビアインデックスがユニーク。ブースで現物を目にしPPJのN氏から説明を受けるまで解らなかったのがボックス型のサファイアガラスのベゼルへのセッティング方式。通常はベゼル下側からセットされるが、特殊な方法でこの時計は上側から押し込むセット方式が取られておりダイアル外周部が非常に美しい仕上がりとなっている。言葉での説明が難しいので現物を見て頂くしかないのだが・・
冒頭で取り上げたアドバンスドリサーチモデルのアクアノートと共にアクアノート販売20周年記念モデルとしてラインナップされてきたRef.5168G。初のホワイトゴールド素材のアクアの3針モデルは、かつて大振りのノーチラスで命名された″ジャンボ"の呼称が与えられた42.2mmのサイズアップモデル。トロピカルラバーストラップとダイアルが共に深いブルーで統一されすっきりした印象の逸品。ただ筆者の若干太目の腕元に乗せると少しラグが浮いてしまうデカさがあり、アクア3針モデルの最大の魅力である着け心地の良さが少しスポイルされてしまう。かなり体格のある方向けには迫力があってピッタリかと思う。レディスにも20周年にふさわしいゴージャスなダイア使いが素晴らしい2型のローズゴールドのアクアノートが追加された。
今年は細かいアニバーサリーの年で1977年に搭載が始まったパテックの名キャリバーであるマイクロローター採用の極薄型自動巻Cal.240の40周年と言う事でローズゴールドのスケルトンモデルRef.5180/1Rに加えてカラトラバRef.6000の後継機で2mmサイズアップされたRef.6006も発表された。単なる大型化ではなくドーナツ状の同心円サークライン(ヘアライン仕上げ)が新たに加えられ格段に高級感が増している。
最後に生産中止ニュースを悲しんでいた年次カレンダーフライバッククロノグラフRef.5960はステンレスの後継機で色違いの黒文字盤Ref.5960/1A-010が出された。個人的にはディスコンとなった白に後ろ髪が引かれるナァ。併せて初のWG素材のカーフストラップモデルRef.5960Gも追加された。文字盤の少しマットな青に加えてパラシュートのバックルデザインからインスパイアされたクレビス プロング バックルにヴィンテージブラウンのカーフストラップの組み合わせは、人気品薄モデルのカラトラバパイロットトラベルタイムRef.5524の良いトコ取りなのだが、正直に言ってこの時計の評価は個人的には全く未知数だ。趣味ではないのだが売れそうな感触も充分あってバイヤーとしては悩みの一点である。まあ元祖のRef.5960Pが2006年に自社製ニューキャリバーを搭載して発表された時も、2014年にオールステンの5960(白文字盤)が出た時も個人的には?だったのに市場では直ぐに奪い合いになった経緯があったので今回もコイツだけは予測がつかない。
まとめると今年のパテックはアドバンスのアクアノートトラベルを除いて特別に飛び道具が用意されていないが、安定感のある品揃えをしてきた。素材的にはプラチナとローズが目立ちイエローは皆無だった。文字盤は青優勢で黒は控えめ。で、やっぱり個人的に欲しい一本は手巻クロノRef.5170Pなのである。

出展ブランド数は判然としないのだけれども今年のバーゼルワールドは、会場費の高さと昨今の世界景気の関係からか本年から出展を見合わせたブランドも結構あったそうで、ユリス・ナルダンやジラール・ペルゴ等がジュネーブサロンに移動した事などでブースのレイアウトが今年は少し変更されていた。結果カシオが良い場所に移りブースも格段に見やすくなった。またラジュー・ペレ(プロサーホールディングス)に加えフレデリック・コンスタントも買収したシチズンが傘下のスイスブランド(フレデリック、アーノルド・サン、ブローバ、もう一つ・・たしか自社のカンパノラだったか?)をまとめて1ブースにて出展するという荒技?に出た。シチズンと言う会社は本当に地味で目立たない。国内での製品販売もセイコーやカシオにやられっぱなし感が否めないが、どっこい財務体質は非常に良いようだ。ミヨタ等のクォーツムーブメント製造子会社などで海外へのムーブメント販売が大きく、また携帯電話向けの電子デバイス部品にも強いので資金は潤沢なのだろう。でも従来精力的な営業活動でエドックスとともにフレデリックの日本市場開拓を推し進めてきたGMインターナショナルからフレデリックのセールスを今夏引き継ぐらしいのだが、正直大丈夫なのかチョッと心配している。ともかく国内市場への製品広告が異常に少ない企業だし、セールスさんは生真面目一本でとてもファッションビジネスに向いているとは思えないしで・・

気になる懸念材料は明らかにバーゼルへの入場者数が減っている事だ。出展ブランドの減少に加えて数年前まで我が物顔で会場内を闊歩していた中国系のバイヤーやメディア達が激減していた。込み合う日曜日にメイン会場のホール1の中央通路を普通に行き来できるなんて隔世の感がある。日本の比ではないインバウンドが高級時計を買い漁っていたヨーロッパ時計市場の凋落は一昨年あたりから半端ではないらしい。でも出会うヨーロッパ人達の表情に暗さがあまり感じられないのが救いか。ともかく明らかにリーマンショック後それなりに活況を呈してきた世界の時計ビジネスは明らかに曲がり角に来ていると思う。今年の各社の新製品にも色濃くそれは反映されており、昔日の人気モデルへの回帰と抑制の効いた価格設定が目立った。しかしこの数年の時計価格の異常な高騰が見直されたとも言え本当の時計好きには歓迎すべき傾向なのかもしれない。そして我々時計屋ももうひたすらブランドを追い求め、寄らば大樹ブランドの言いなりになる時代が終わり、経営者の指向性をブランド選択に反映して、金太郎飴的な店づくりから脱却して個性的な品揃え提案で消費者に行きつけの住み分けをして貰う覚悟が求められる時代が来ているように思う。マスからニッチに、ラグジュアリーからオーセンティックに・・

文責:乾

今年も会場のブース内ではあまり積極的に写真は撮らなかった。どうしてもライティング環境が悪い上にコンデジで短時間となれば、画像に限界があってメモ代わりにはなっても製品の魅力の写し込みに満足が出来ないためだ。製品入荷時にしっかり頑張りたいと思っとります。ハイ!

今年もやってきた。横に常に口うるさい相棒が一緒と言うのが厄介なのだが・・
雨女の面目躍如なのか、奈良から関空は小雨交じりの微妙な空模様。KLMカウンターでビジネスへのアップグレードを申し出るも満席で、予約済みのエコノミーEIXT ROW席(非常口横の足元楽ちん、離着時に正面に美人?アテンダント鑑賞可能席)にてアムステルダム経由チューリッヒ。国鉄で約1時間強でベルン到着。午前8時に自宅を出て、宿到着が現地同日午後9時頃なので、時差8時間を加えて19時間の旅程である。
今年の宿は、姐ともどもお気に入りのスイス首都ベルンのBELLEVUE PALACE BERN。国会議事堂横の各国要人も利用する憧れの宿だった。姐の着物姿か、はたまた超特大のグローブトロッターが効いたのかは定かで無いが、予約のデラックスダブルが最上階のスイスアルプスビューサイドのジュニアスイートに無言でアップグレードされており幸先良し。ただ自宅マンションの倍以上の専有面積にはちと面食らったが、滞在中部屋にいる時間だけで結構脚力が鍛えられた。

翌日は出来ればのんびりベルン滞在希望だったのだが、某ブランド日本法人トップとの夕食が入り、商談時間調整が困難だった2ブランド視察を夕刻に盛り込んで3時ごろバーゼルまで列車1時間移動。トラム(路面電車)で通いなれたMESSE PLATSに。まずは毎年恒例のロレックスブースのショーウインドウで新作をチェック。シードウェラーのセラクロムベゼルモデル、レディースオイスターパーペチュアルの小ぶりサイズ復活モデルなど地味な印象。他ブランドもチラチラ眺めつつ最初の商談はHALL 2のクエルボ イ ソブリノス。
今年135周年を迎えた同ブランド。例年何か面白い新機軸を出して来るのだが、今年はかなり抑えた印象で、お値段も昨年までと比べれば実にリーズナブル。個人的には135周年関連モデルよりも1940年代復刻デザインのトラディッション自動巻限定882本(創業年1882年から)税別予価39万円也(画像下)が良い感じだった。
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お次は、会場エントランス直近のラマダホテル内にブースを設けたセンチュリーに向かう。このホテル、バーゼル期間中はバカ高くなるのだが毎年お昼ご飯を頂いている。なんせ野菜不足のスイス飯なので山盛りのサラダでビタミン補給が恒例行事なのだが今年はブースに直行。
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上のような新製品をチョコっとだけ拝見して、今年初企画の硬度8のサファイヤガラスのファセット面カッティング体験コーナーに座り、硬度10のダイヤモンドダスト付きバフでおっかなビックリ取り合えず面取りしてみる。
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荒砥してからさらに細かいバフで仕上げる。一見簡単そうなのだが実際には下のような超細密な多面ファセットを指定の角度を守りながら絶対に削り過ぎ禁止で仕上げてゆく実に集中力と根気のいる地味な作業なのだ。全て手仕事と言う事を考えればセンチュリーの値付けは高くない。
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7時の待ち合わせ前にパテックブースを外からガラス越しに新製品チェック。この初見というのが一番大事で手巻クロノグラフRef.5170の新素材プラチナモデルが絶妙な仕上がり。話題をさらいそうなアドバンスドリサーチモデルのアクアノートトラベルタイムRef.5650Gもしっかりチェック。パテック初ではないかのオープンワークは何とも微妙な窓で、初見では無理やり感が否めなかった。まあ世界限定500本なので顔の好き嫌いに関係なく完売は間違い無いのだろうが・・
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夕食はバーゼル東方郊外のシャトーフレンチレストランで絶品シャンパンなどいただきタクシーでベルンのホテルまで約50分。たまたまメルセデスSで快適な100kmなのだがお代は約460Sfr(5万円強)といまさらながらスイスの物価高を再確認。でもこの時間帯(午後10時以降)電車はあるがバーゼル駅まで行ってベルン駅からまたタクシーとなると2時間半、一等利用ならたぶん250~300Sfrなのでどっちもどっちなのである。
姐とナイトキャップをしっかり頂いて爆睡zzzzzzz

翌日その2に続く

文責:今年は時差緩めの乾



昨年は3月21日の木曜に書いていた。加齢とともにCPUもメモリーも衰えまくりだ。一昨年までのバーゼル現地で実機サンプルを見るまで溢れる事前情報に振り回されない贅沢な日々は、今は昔なのである。
今年も不本意ながら、PP社公式HPの2017NEW MODELSから出発前の予習を兼ねてまとめてみた。今記事も加筆・修正だらけになりそうな・・

品番頭の●の色はザックリながら、完全な新商品、新素材投入、新文字盤追加 ※品番お尻には予価を税別1,000円単位をコッソリ記載。POR:時価対象モデル
メンズ
ミニットリピーター
5078G-001(POR)、5178G-001(カセドラルゴング、POR)、5316P-001(レトログラード永久カレンダー付、POR)
スプリットセコンドクロノグラフ
5372P-001(永久カレンダー付、POR)、5372-010(永久カレンダー付、POR)
永久カレンダー
5320G-001[9,020]、5940R-001[9,520]、
クロノグラフ
5170P-001[10,500]、or?5960/01G-001(フライバッククロノ年次カレンダー付)[7,170]、5960/1A-010(フライバッククロノ年次カレンダー付)[5,560]
スケルトン
5180/1R-001(自動巻です!)[10,750]
ワールドタイム
5131/1P-001[9,520]
年次カレンダー
5396R-014[5,230]、5396R-015[5,810]
カラトラバ
6006G-001[3,090]
アクアノート
5168G-001[4,200]、5650G-001[6,430]※限定モデルの為かカタログ画像未掲載の為、無理やりリリースにリンク
メンズは全17型。昨年の大量23型から絞られた印象だが、グラコン(昨年14型、今年5型)を除けば、昨年より3つ多い12型あって2017年は豊作である。またその内の完全新作が昨年度のたった3型から倍増の6モデルとなっており、明々後日の初対面が楽しみだ。
ミニットリピーターの3型は意外に少ないリリース。このところ年次カレンダーのみに採用されていた伝統のダブルギッシェの顔が永久カレンダーRef.5320に用意されたのはチョッとビックリ。さらに年次にもこの顔の追加文字盤が2つ発表され人気のほどがうかがえる。
発売20周年を迎えたアクアノートには記念碑として、現代解釈の名作"ジャンボRef.5168"と最先端技術開発を盛り込んだ限定500本のアドバンスドリサーチモデルRef.5650が用意されていた。チョッと地味だが機械式時計暗黒時代真っ最中の1977年にパテック社オーナーの大英断で開発製造された極薄型自動巻Cal.240も40周年を迎えておりスケルトンRef.5180、ワールドタイムRef.5131、カラトラバRef.6006の3モデルに搭載されアピールをしている。後述するレディスでもワールドタイムRef.7130とハイジュエリーRef.4899の2型がラインナップされている。
このところずっと気になっているSS年次クロノRef.5960はアッサリ黒文字盤が後継機種とされた。さらにカラトラバパイロットトラベルRef.5524にしか採用されていないカーフスキンストラップを装着した初のWG素材モデルRef.5650が新規投入された。この二つは実機を見ないと画像だけでは判然としない印象だ。

レディス
永久カレンダー
7140G-001[10,130]
ワールドタイム
7130G-014[5,560]
年次カレンダー
4947G-010[5,450]
カラトラバ ハイジュエリー
4899/900G-001(自動巻です!)[11,120]
ノーチラス
7118/1A-010[2,710]、7118/1A-011[2,710]
アクアノート
5062/450R-001(ダイア、ダイア、ダイアです!)[20,380]、5072R-001[9,520]
昨年の続きのようなジュエリー攻勢が健在で特にアクアノートのRef.5062の2000万円越えはあっぱれ!ノーチラスのSS3針Ref.7118は好調な様でベーシックな文字盤カラーが追加された。個人的にはグレー文字盤が早く見たい。しかし今年も昨年に続きTwenty-4追加一切無し。

面白いのは昨年あたりから品番中のスラッシュ/記号が必ずしもブレス仕様とされぬようになって少々混乱している。一昨日の予想記事でも"あれれっ!"を結構書いてしまった。尚、例年現地のパテックブース一階に展示されているレアハンドクラフトのユニークピースのクロワゾネモデルやドームクロックが今年は早くも動画で紹介されている。是非ご一読?を。
そんな事はさておき、やっぱり今年もパテックの見どころはタップリ用意されていた。明日から4年ぶりに珍道中する姐との無事では済まないはずの「時計と酒と喧嘩!!」の日々が綴れれば・・・

文責:乾

3月18日加筆です。やはり5960/1A-001は生産中止の決定連絡が来ました。そしてダイアル違いのニューモデルが来週のバーゼルワールドで発表されます。001の今年度最終入荷はご予約いただければ可能性があります。そして気になる新文字盤!気になる方は是非来週後半パテックの公式サイトでニューフェースをご確認の上、旧文字盤を狙うな否やのご決断をいただく事になります。各正規店最終入荷分がすぐに予約で埋まる事もありますので綱渡りでお願いします。
レディスワールドタイム7130Rは未だ最終結論が来ておりません。時間切れバーゼル突入でしょうか?

先日の記事でSS年次カレンダークロノグラフRef.5960/1A-001が追加でコッソリ生産中止になる旨をご紹介した。PPJの確認済みでのUPだったのだが、正式なレターがスイスサイドから未着との事で情報ペンディングの依頼が来た。
微妙な事になってしまった。継続とも言えず、RUNOUTともはっきり言えないのである。
いづれにしても来週木曜からのスイスの2017バーゼルワールドで、はっきり決着がつくだろう。それまでしばしお待ちいただきたい。
ちなみに同時紹介のレディスワールドタイムRef.7130Rも同じ扱いとなります。ご承知おきください。

文責:乾

特別コラボレーションイベントのお知らせ
≪ポルシェ試乗会&パテック フィリップ展示試着会≫
日時:3月18日・19日・20日(土日月)10時~19時
場所:ポルシェセンター奈良 奈良市三条大路3-1-51 TEL:0742-32-0911(番号が!)
   ※当店より一直線、お車で約3分。歩きは15分か?

当日は時計以上(異常?)に車にうるさい当店スタッフ岩田が会場に常駐予定です。乾は店と会場を行ったり来たりでしょうか?
どちら狙いでも、もちろん両方狙いでも大歓迎です。チョイ乗せ(時計)は当然、たぶんチョイ乗りも大丈夫かと・・おあとは知りませんが・・
ご来場とご来店を心よりお待ちしております。

昭和7年生まれ、当年満で84歳となる親父。年々弱くなる聴力に加え昨年は加齢黄斑変性を両目に患い右は絶望的、左はかろうじて小康状態にある。恐ろしい事に白眼部分に注射する事、両目で8回ほどか?好きなゴルフTV観戦も相撲の取り組みも勝敗判れどもプレーヤーと力士の見極めは出来ない。そのくせ週に何度かの外食晩餐時には、さほどこぼす事もなくスピーディに完食しつつ、ワインも負けそうなくらいの鯨飲ぶりだ。どうなっとんねんこのジジイ??
先日のポルシェコラボイベント告知記事内で触れたフレンチブルCITOROEN 2CV(ドゥセーヴェー、ドゥセーヴォーとも)車格は最上位のチャールストン。姐が10年間恋い焦がれたこのフランスの貴婦人が3月1日についに納車された。
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敢えて新ナンバーとせず1983年初年度登録のまま今は無き″奈"に続き2桁を引き継がせていただいた。そう!この宝物は買いきった物でもなく、所有も出来得ない引き継ぎ物なのだ。大事に大事に預かって、やがてふさわしき時期が来れば次代に引き継いでいただくまで、手を掛け目を掛けつづける。まさにそれはパテック社が標榜とするジェネレーションの精神で・・
前オーナーは学園前在住のお方、なんと御年84歳は親父と同年のお生まれ。奇遇はさらに続き、この個体は奈良の正規シトロエンディーラー庄田自動車の本拠地大和高田のショールームで約一年強おねんねしていた。彼の地はおふくろのお里、今もご先祖様の菩提が曽我川の土手墓地に祭られている超個人的な聖地なのだ。ここまで役者が揃えばお預かりするしかないと無理くり自分で自分の背中を押してみた次第。

さて、この1980年代というのはパテック フィリップにとってどのような時代であったのか。無理やりブログアップするに際しては、考察をせねばなるまい。言うまでもなくスイス時計産業にとって、我が国の最高峰マニュファクチュールSEIKOが1969年に市販化を実現したクォーツに席捲され続けていた暗黒時代でしかなかった。時のパテック社オーナーはスターンファミリー2代目アンリ・スターン氏。3代目フィリップは同社のアメリカ地区子会社での修行を終えて、1977年には専務となり徐々に経営中枢に参画し始めた頃であった。1968年ゴールデンエリプス、1976年にはノーチラスが発表されて、新たなパテックブランドの中興の祖として育った事により80年代中頃から一旦瀕死状態にあった機械式複雑時計復活作戦が展開された。
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その象徴が1989年の同社創業150周年記念として開発発表された世界一複雑な携帯時計キャリバー89であり、同じく最も複雑な腕時計で永久カレンダー・ミニットリピーターCal.R27Q搭載のRef.3974であった。この両者は現代パテックの真のマイルスト―ンであり、現在のパテック フィリップ機械式時計王国のルーツである事は論を待たない。
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それゆえに乗車時には親父から略奪した150周年記念モデルRef.3960YGのオフィサーケースを着用し両手にパテックの白手袋、ギャザータック付き白シャツに黒蝶タイを締めてジレ(仏:チョッキ)には銀色のカラトラバピンバッジを刺し、決め手は運転手キャップか?はたまたブラックシルクハットか?そうなれば助手席にはプラチナブロンドのカンカン娘に真っ赤なビスチエとレースたっぷりのショーツを穿かせて、黒いガーター&ストッキングで決めてもらう事になるな。なぜか現実はジャパニーズケモノガールの指定席なのだが・・

文責:いささか暴走気味の乾でした

特別コラボレーションイベントのお知らせ
≪ポルシェ試乗会&パテック フィリップ展示試着会≫
日時:3月18日・19日・20日(土日月)10時~19時
場所:ポルシェセンター奈良 奈良市三条大路3-1-51 TEL:0742-32-0911(番号が!)
   ※当店より一直線、お車で約3分。歩きは15分か?

当日は時計以上(異常?)に車にうるさい当店スタッフ岩田が会場に常駐予定です。乾は店と会場を行ったり来たりでしょうか?
どちら狙いでも、もちろん両方狙いでも大歓迎です。チョイ乗せ(時計)は当然、たぶんチョイ乗りも大丈夫かと・・おあとは知りませんが・・
ご来場とご来店を心よりお待ちしております。



来る3月18日・19日(土日)の2日間、当店西側大阪寄りのポルシェセンター奈良にて、パテック フィリップとポルシェのコラボレーションイベントの開催が決まりました。

ポルシェセンター奈良では、これに先立つ一週前の土日にフルモデルチェンジを受けた新型パナメーラの展示発表会が開催され、18日と19日は試乗会で実際にそのパフォーマンスを体感いただくという趣向。かねてからパテックの繋がりでご縁を頂いたポルシェセンター奈良所長M氏と一方的に意気投合した不肖″乾"が出張ってしまったというわけです。
何度か打ち合わせや現地視察でお邪魔すれば、嫌でもお車も拝見することになる。911カレラ4Sのリアビューからの姿態には、この前取り上げた年次カレンダーRef.5205のボディラインに通じるエロスを感じるし、ブレーキキャリパーのアクセントレッドは年次クロノグラフRef.5960/1Aのクロノ秒針を彷彿とさせるしで、メロメロとボディーブローをくらってしまう。姐が10年間恋い焦がれて買ったシトロエン2CVチャ―ルストン(近日画像掲載予定)が納車間近だというのに・・やばい、やばい・・ミイラ取りがミイラになってゆきそうで・・怖い!

個人的には、またも買っときゃ良かったシリーズのフルモデルチェンジ前の自然吸気ボクスターのマニュアル。カラーはシルバーに近いグレーと言うかポルシェによくある定番ボディカラーにパテックブラウンと見まがう焦げ茶のキャンバストップを組み合わせたい。
しかし、兄弟車であるケイマンも捨てがたい。同じなのに全く別のイメージで、ボクスターのオーセンティック&クラッシックほんのりお色気に対して、ケイマンはアバンギャルドで都会的で超セクシーだ。
とっても911には手が出ないけれど旧タイプのマニュアルボクスターでカラーと程度が良ければマジやばい。現行に関しては小排気量×ターボ×多段PDKが時代遅れの親父を踏みとどまらせている今日この頃なんですよ。これはイベントが終わるまで治らない″はしか"のようですョ。

特別コラボレーションイベントのお知らせ
≪ポルシェ試乗会&パテック フィリップ展示試着会≫
日時:3月18日・19日・20日(土日月)10時~19時
場所:ポルシェセンター奈良 奈良市三条大路3-1-51 TEL:0742-32-0911(番号が!)
   ※当店より一直線、お車で約3分。歩きは15分か?

当日は時計以上(異常?)に車にうるさい当店スタッフ岩田が会場に常駐予定です。乾は店と会場を行ったり来たりでしょうか?
どちら狙いでも、もちろん両方狙いでも大歓迎です。チョイ乗せ(時計)は当然、たぶんチョイ乗りも大丈夫かと・・おあとは知りませんが・・
ご来場とご来店を心よりお待ちしております。

文責:最近やんちゃな乾

明日ブログアップ予定の3月中旬のパテックイベントの仕込み中にPPJから来たサンプル貸出しリストを見て、かなりビックリ!衝撃的な生産中止モデルが追加されていた。
Ref.5960/1A-001、2014年に発表されたステンレスケース&ブレスレット年次カレンダーフライバッククロノグラフ。それまでのプラチナケースを全廃し、鳴り物入り(ミニットでは無いが・・)で投入されるや一気に人気希少モデルとなり、最近でこそ多少落ち着いてきたがステンゆえの価格のこなれが手の届く限りなくグラコンに近いコンプリケーションだった。パテック新参の当店でもパテック通の方が2本目や3本目パテックとしてさりげなくゲットされる人気アイテムだったのに・・
恐らく、今後の入荷はほぼ絶望的で可能性はご決定客注で申請してどうなるかレベルである。個人的には今年のRUNOUTS達の中で一番寂しいニュースである。
もう一点はレディスコンプリのワールドタイムで、昨年2016年の発表からたった一年で追加ディスコンとされたRef.7130R-010(リンクいつ切れるやら?)である。これは同じく2016年のメンズの第3世代ワールドタイムRef.5230発表時にシティディスクの都市名が一転二転したどさくさで、とばっちりを受けた格好でプチマイナーチェンジを受けたモデル。WGは先日公式発表リストにUPされていたので正に片手落ちだろう。ただ、現時点で一旦レディスのワールドタイムはラインナップ上から完全に姿をくらませる事になる。これはひょっとすると目前に迫った2017バーゼルワールド(3/23-3/30スイス)でフルモデルチェンジのレディスワールドタイムRef.7230??のWGとRGが出て来そうな気配ありありだ。楽しみっ!
以上、2月28日加筆


前年に引き続き今年の生産中止情報が本日届きましたので取り急ぎご紹介・・・本日は取り合えず画像リンク付きリストのみ。明日以降に徐々に肉付け?予定

斜体太字のRefは今日現在で当店在庫あり。
※当然現在製造仕掛かりの物もあるだろうし、2017年度(2月~2018年1月)中に生産が中止になるリストなので、たちまち全てが一切手配不可という事もないのは昨年同様。ご希望品は前回以上に精一杯探したい。やっぱり簡単ではないけれど・・・
※急ぎやっつけ仕事なのでケアレスミスの可能性も有りアリです。

メンズ
ミニットリピーター
5078P-001 5078P-010 5078R-001 5539G-001 5073R-001 5073P-001
5073P-010 5213G-010 5216R-001 5216P-001 5307P-001
スプリットセコンドクロノグラフ
5950R-010
セレスティアル
6104G-001
永久カレンダー
5140P-013 5270G-019 5270G-018
年次カレンダー
5396/1R-010 5396/1G-010
クロノグラフ
5170G-010
スケルトン
5180/1G-010
カラトラバ
5120J-001 5120G-001 6000G-012 6000R-001 5298P-012
ゴンドーロ
5098R-001
ノーチラス
5719/1G-001

2016年度に全19モデルで構成されていたパテックのミニット・リピーター王国の11Ref.ゴッソリディスコン(生産中止)にビックリ!2014年のブランド創立175周年の各種イベント以来このジャンルに力を入れてきた様に思える中での大量廃番は、2017BASELで新たなミニット旋風が巻き起こるのか?
2016新製品のスプリットセコンドクロノRef.5950R-010、クロノグラフRef.5170R-010は1年の短命、一体何本の個体数なのか?パテックお得意の超レア作戦。
永久カレンダークロノグラフRef.5270G2色廃番は新文字盤ではなくマイナーチェンジ新モデル登場を期待出来そうだ。
スケルトンは昨年のレディスに続きメンズも無くなりラインナップされなくなった。新らしい企画が進行中なのか、否か?
カラトラバベーシックモデルの小ぶりな自動巻きRef.5120JとGのディスコンはモデルそのものが生産中止。ニューフェースを考えるのが難しいシンプル顔なのでお蔵入りの可能性大。当店店頭の希少なWGの最終在庫品はいつ頃にどなたに嫁ぐことやら・・
同じくCal.240を積むRef.6000の2色もモデル廃番。チョッとアバンギャルドなこちらのお顔、何となくもうお目にかかれない気が・・
大好きなクロノメトロ ゴンドーロがついに完全鬼籍、さみしい限りで今年度の入荷を心待ちにしていたのに・・でも、ひょっとして・・

レディス
ワールドタイム
7130G-013(リンクページ危うし!)
クロノグラフ
7071G-001 7071G-011 7071G-010 7071R-001 7071R-010
アクアノートルーチェ
5069G-001 5069G-011 5069R-001 5072G-001
2010年にブランド初の完全自社設計開発製造されたCal.29-535を積んでメンズに先駆けて発表されたレディス ファースト クロノグラフRef.7071が品番完全廃番になった。7年間の貴重なお勤めご苦労様でした。

メンズのセレスティアル、カラトラバ、レディスのアクアノート等のゴテゴテのダイア仕様ゴージャスラインに大ナタが振るわれたのは、昨今の世界的不景気の影響と思われる。
昨年の大量60Ref.に対して今年は32Ref.のディスコン。ほぼ半減の例年並みとなった。改めて2017BASEL発表モデルを考察するにミニット・リピーターの新機軸は必ずありそうだが、世界の景気状況からして例年よりも今年は静かなのかもしれない。健闘組のパテックですらこうなのだから、他ブランドは押して知るべしという気がしている。まあ久々に口うるさい姐と珍道中予定の今年スイスはゆっくり、じっくり少数の逸品を拝みに行く事になりそうだ。さてさて・・

文責:乾

近々、恐らく2月中に現在公開中の当店HP内のパテック フィリップ製品カタログページを一旦閉鎖致します。
これはスイス パテック社の方針に従うもので、今後は同社の用意したI-FLAMEという世界共通カタログページが当店HPパテックページに埋め込まれます。
厳選された全25点を静止画で紙芝居的にご紹介する新カタログは冒頭2モデルが同社の指名打者とご指名の人気嬢。残り23モデルが当店一押しの強力打線となっており4名の厳選ウグイス嬢を含みます。各モデルの詳細はPP社公式HP内のカタログページにリンクされている。

これ悪い事ばかりでもないけれど、公式HPの最大の不満は生産中止モデルが掲載されていない事。正規店の各店頭にはまだまだお宝のBOODBYE BOYS & GIRLSが多々残っているし、先日に一本そしてこれからも入荷してきたりするわけで、何しろ拙ブログにはセピアを一杯ちりばめて紹介しているだけに大変困る。

取り合えずブログ内紹介の現行モデルリンクは公式HPカタログに地道に少しずつリンクさせるしかないわけですョ!鬼籍入りのご先祖様方は画像とスペックをいちいち貼るしかないのかなぁ・・・とほほ

皆様には大変お見苦しくご不便をおかけいたしますが、ブランドビジネスのさがに苦しむカサブランカ奈良を優しく見守ってやってください。
以上、緊急(いつもながら大げさなやっちゃナぁ~)報告でした。

文責:乾

ともかく例年2月は異常に忙しい。ともかく出張が多すぎる。商売はニッパチと言うぐらいで奈良も松山の百貨店も暇だ。全国的にどの時計家業の親方(社長)連中も本業は暇なはず。そこを狙って各ブランドのビジネスミーティングやら展示会、受注ミーティングが目白押しでやってくる。それも決まって各店舗の定休日が多い水曜日指定が圧倒的だ。正直今月はパーソナルな休みは全滅状態である。
超個人的(正確には法人的?)に奈良・松山とも人事面で減員があり、その後始末も重なって精神はともかく肉体的にはトータル2000キロ以上の移動をこなして限界に近い。とうとうパテックのブログの更新も″奈良で見つける・・"同様にサボログとなり果てている。

意を決して、本日(既に書き始めから13日経過してるが・・)は久しぶりに一度WGでご紹介済みの年次カレンダーで最もLEONっぽい?Ref.5205のローズゴールド素材に漆黒DIALのセクシーモデルを撮り書き下ろす事に・・
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昨年末で敏腕レタッチャーだったスタッフが退職したので画像一枚仕上げるのに数時間かかる。あっ!あんまり見つめないで、ボロが至る所に・・
これはもうセクシーダイナマイトとしか言いようのない色気ぷんぷんな時計。パテック随一ではないか?艶、艶、艶、でお汁溢れそうですナァ。
正面も良いが色男は横顔にさらにゾクッとするものがあったりする。
_DSC8449tiff修正.jpg
えぐれ、くびれ、のたうつボディラインが堪りません。※リューズ押し込み処理省略は、ご勘弁ください。
この時計に余計な講釈や解説は不要。どうしても必要なお方は拙ブログ過去記事Ref.5205G-010をご覧ください。
一応、粋な背中も撮ってみた。
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こちら実はトリミングのみの久々の完全無修正画像。もちろんリューズも出ベソそのままで、少しだけ明るくしてコントラストも上げようかと一瞬迷ったが、たまには写虚ならぬ写真が良かろうと致した次第。

ここまで書いて本日これまで、そろそろ悪い友達が飲みに行こうと誘いに来る時間。続きは後日でご容赦願います。

文責:乾

遅ればせ過ぎながら、1月末と言うのに・・・謹賀新年、本年も超しつこい瞑想(迷走?)ブログよろしくお願いします。
年始からバタバタ、バタバタと超多忙で昨年中に書き溜めていた下書きが月末までアップできない忙しさのカサブランカ年初でした。目の回る忙しさの割に金額はさほどでも無い。何とも不思議、不思議・・そりゃそうや!今年は酉年、バタバタ貧乏なる言葉有りますがなぁ!

現在、年次カレンダーの顔は3つ。すなわち初代の流れを汲むRef.5146系の2つ目サブダイアル針表示タイプ。前回記事紹介の12時側に弧を描く3つ窓表示のRef.5205の弓窓タイプ。1940年~50年代に盛んに永久カレンダーに採用されたインライン2つ窓表示のRef.5396系のダブルギッシェタイプである。
年次カレンダー発売20周年を迎えた2016年に記念モデルとして発表されたのが、唯一過去の偉大なレジェンドからインスパイアされたRef.5396であったのはごく自然な流れだったのかもしれない。
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従来のバーからブレゲアラビア数字にインデックスの変更だけながら、WGケースだけは文字盤ベースカラーが従来無かったダークなチャコールグレイに変更されている。改めてこの顔とブレゲ数字の組み合わせアーカイブを探すもコレと言うのが見当たらず、偶数時間(12,2,4,8,10)のみ正体ゴシックアラビアタイプ(下画像:1941年Model1526)が幾つか見つかった。もちろんシンプルウオッチならカラトラバRef.96ケースにブレゲ書体のフルアラビアインデックスは珍しい事も無く様々な年代で使われているのだが・・

1526.jpg
PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY) P.282
どうも2016年の新製品にはブレゲアラビア数字のインデックスが多用された気がする。永久カレンダーRef.5327、永久カレンダーミニットリピーターRef.5374R等々・・
たぶんこの流れで記念モデルのRef.5396もブレゲアラビアのインデックス採用となったのだろうか。部分変更ながら受ける印象は全く違う。凛としたクールな印象のバーに対して何となく優し気で暖かいイメージがある。好き嫌いはハッキリと別れそうだ。下衆ながらコスト面では時間毎に異なるアラビア植字が絶対に高いハズだ。個人的には斬新なイメージのニューカラーダイアルのWGの渋さにヤラれた。
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正面からは膨らんだドットにしか見えない秒インデックス。実は真逆に彫り込まれて凹んでいる。完全な目の錯覚なのだが、この手法かなりの割合で現行パテックコレクションで採用されている。印刷物や普通のモニター画像ではまず解らないので愛機や店頭の実機をルーペでご覧になってください。初めて見ると目からウロコですので是非おススメ致します。
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もっと鮮明に撮りたかったがこれが限界。微妙な曜日(SAT)と月(MAR)の段差。いわゆるダブルギッシェの2枚のディスクは少し重なってしまうため月が曜日ディスクの下側にセットされている。所有機(Ref.5396R-011)を1年半愛用していてもマクロレンズから覗いて初めて気付かされたミクロ決死圏(古っつ!)だった。

Ref.5396G-014年次カレンダー
ケース径:38.5mm ケース厚:11.2mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG別ダイアル有)、RG別ダイアル有
文字盤:チャコールグレイサンバースト ゴールド植字インデックス ブレゲ数字インデックス
ストラップ:マット(艶無)ブラックアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 5,230,000円(税込 5,648,400円)2016年11月現在

以下過去記事より転載
搭載キャリバーは21金フルローターを採用したパテックを代表する自動巻きCal324に年次カレンダーモジュールを組込んでいる。
カレンダー系の操作は禁止時間帯等あって気を使うが、パテックの場合は殆どの物が午前6時(例外あり)に時刻を合わせてプッシュ操作を行う。ムーンフェイズはいつもネット検索して確認していたが、パテックHP内にある確認ページが結構便利である。
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個人的にフルローター自動巻きの裏スケルトンには一抹の気色悪さをいつも感じてしまう。ただパテックの場合はローターの仕上げが尋常でなく美しい。接写しながら改めてそれを感じた。PCモニター画像ではそれを表現しきれていない。デジ一眼のモニター画面では惚れ惚れする輝きと色気があったのだが・・・
上が1年以上前掲載の愛機の背中、下が昨年に展示会サンプルを急ぎ取りした裏スケなのだが少々愛情不足なのは否めないかナァ~

Caliber 324 S QA LU 24H/303

直径:33.3mm 厚み:5.78mm 部品点数:347個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2017年1月31日現在
5396G-014 お問い合わせください
5396R-012 お問い合わせください
5396G-011 店頭在庫有ります
5396R-011 お問い合わせください
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

※年末年始にスタッフが新天地に旅立ちましたので当分の間、かなり不定期な更新になりそうです。只今、時計屋希望者募っております。安月給で良ければパテックと至福の日々が過ごせます。

≪イベントのお知らせ≫
新年早々、1月末に下記展示会の開催をいたします。皆様お気軽にお越しください。
『パテック フィリップ年次カレンダー展示会』
日時:2017年1月20日(金)21日(土)22日(日) 11:00~20:00
会場:店舗2階パテック フィリップ コーナー
詳細はコチラからどうぞ

今回紹介のRef.5905Pは2015年に超人気モデルRef.5960Pの後継機として発表された。
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2016年はパテックにとって話題がてんこ盛りだった。まずノーチラス発売30周年でのシリーズフルモデルチェンジ。そしてパテック フィリップ ブランド史上初めての完全自社開発製造の自動巻クロノグラフムーブメント搭載モデルの発表。フライバック機能を備えクロノグラフ駆動時のトルクロスを押さえ込んだ画期的な垂直クラッチを採用したCal.28-520には最初から2つの派生ムーブメントが用意された。

シンプルなクロノグラフムーブは新生ノーチラスRef.5280に搭載され外装マテリアルを変更しながら現行のRef.5980/1R等で継続している。今秋話題のノーチラス40周年記念限定のWGクロノグラフも同キャリバーが積まれている。
もう一つが年次カレンダーモジュールを積んで非常に先鋭的な顔で発表されたRef.5960Pである。
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この時計も当時まだ奈良の店舗でパテックを触っておらず不勉強だった事もあり、直感的に"好きにはなれない"デザインだった。それまでのパテックにはないスポーティなレイアウトと色遣いの文字盤。恐らくティアリー現社長の好みが相当盛り込まれたと想像できた。プラチナケースだけでも高いのにクロノを積んで900万円近い価格。なんぼパテックでも遊びすぎのダイアルはオイタが過ぎてはしないかと密かに思ったものだ。
ところがいざ市場投入されるや瞬く間に超の付く人気希少モデルになった。その状態が5年は続き、高額商品にもかかわらず2次マーケットではプレミアがつき投資目的買いが正規市場では問題視された。
そして2014年に突然プラチナ製のRef.5960は全て生産中止となり、意表を突く同リファレンスのステンレスモデルがブレス仕様で発表された。このRef.5960/1Aも大変スポーティな文字盤ながら、個人的にはSS素材ならでは生きる元気一杯のダイアルデザインが好印象なモデルだ。
一年ブランクを経て2015年、装いを改め復活したプラチナ製後継機が今回のRef.5905P。デザイン的には2010年に年次カレンダーの新しい顔として登場したRef.5205との共通点が多く、明らかに発展デザインである。具体的には長目のバーインデックスに外周円と内周円で描く古典的なセクター(Section)ダイアルやケースサイドの長細い抉り込み等である。ただRef.5205自体が12時側に弓状に弧を描く″曜日"、″日付"、″月"を表示するRef.5960Pの分家デザインでもあるが・・
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その他初代のRef.5960Pとの違いはPPロゴ直上のパワーリザーブの不採用。6時側の同軸積算計の12時間計を省き単純な60分計のみにする事で視認性が高まりクールでエレガントな二枚目に仕上がっている。クロノグラフのプッシュボタン形状がクラッシックなスクエアに変更され珍しく上下面がポリッシュ仕様となっている。時分針もリーフから少し太目のドーフィンになった。全般としてアバンギャルドなイメージが払拭されてオーソドックスで落ち着いた印象に衣替えされた。その分厚み0.53mm、ケース径で1.5mmサイズアップして押し出しを増しバランスを取っている。どちらが良いかは個人の好みだろう。ただ2011年発表のベゼルダイア仕様の派生モデルRef.5961の文字盤が単色使いなった事から初代の奇抜さは少々やり過ぎとの反省があったと推測している。
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ベゼルの逆ぞり(コンケーブ)とケース横っ面の抉り(手作業と聞いた記憶が・・なぜ機械で出来ないのかずっと疑問。機会が有ればぜひ確認)が現代パテックの最先端モデルである事の証・・・ではあるのだが複雑な曲面がケース全体を覆ってくれて本当にカメラマン泣かせだ。画像ではなく絶対に実機をご覧にいれたい。

Ref.5905P-001 年次カレンダークロノグラフ

ケース径:42mm ケース厚:14.03mm ラグ×美錠幅:22×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:PT(別ダイアル有)
文字盤:ブルーサンバースト ゴールド植字バーインデックス
ストラップ:マット(艶無)ネイビーブルー アリゲーター 
価格:税別 85,300,000円(税込 9,212,400円)2016年11月現在


冒頭でも触れたキャリバーCal.CH28-520は、それまで頑なに手巻きの水平クラッチに拘っていたパテックのクロノグラフ史を2006年に塗り替えたエポックメイキングなエンジンである。前年発表の完全自社クロノキャリバーCal.CHR27-525は確かに最初の100%自社製造ではあったが、それまでの伝統的製造手法でコツコツと工房で少量生産される手作り的エンジンであり、搭載されるタイムピースも商品というより作品と呼ばれるのがふさわしいユニークピースばかりだ。対してCal.CH28-520は"シリーズ生産"と呼ばれる或る程度の工場量産をにらんだ商業的エンジンであり、パテックフィリップが新しいクロノグラフの歴史を刻み込むために満を持して誕生させた自信作なのだろう。
パテックの自社クロノキャリバー3兄弟の価格は、その搭載機能や構成部品点数に比例せず、どれだけの手仕事が盛り込まれているかで決定される。金銭感覚抜群で働き者の次男CH28-520 C(自動巻、垂直クラッチ、フライバック、部品点数327点)、次がクラシックだけどハイカラな3男坊のCH29-535 PS(手巻き、水平クラッチ、部品点数269点)、そして金に糸目をつけない同楽な長男CHR27-525 PS(手巻き、水平クラッチ、ラトラパンテ、部品点数252点)の順にお勘定は大変な事になってゆく。
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上記画像でローターで隠された部分は3枚の受けがあるが、この部分はどの派生キャリバーもほぼ変化が無い。それに対してテンプ左のPPシールの有る受け、さらに左の複雑なレバー類がレイアウトされた空間は派生キャリバー毎にけっこう異なる。必要なミッションに応じて搭載モジュールがダイアル側で単純にチェンジされるだけでなく裏蓋側の基幹ムーブメントへもアレコレと手が入れられている。(ほぼ全て過去記事から転載・画像再撮影だが・・ぜんぜんあきまへんナァ~)

Caliber CH 28-520 QA 24H:年次カレンダー機構付きコラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.68mm 部品点数:402個 石数:37個 受け:14枚 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾
参考:Patek Philippe Internaional Magazine VolⅡ No.7

≪イベントのお知らせ≫
新年早々、1月末に下記展示会の開催が決まりました。皆様お気軽にお越しください。
『パテック フィリップ年次カレンダー展示会』
日時:2017年1月20日(金)21日(土)22日(日) 11:00~20:00
会場:店舗2階パテック フィリップ コーナー
詳細はコチラからどうぞ

ということで数回にわたって年次カレンダーモデルを集中的に掘り下げます。
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年次カレンダーダーの元祖は1996年発表のRef.5035である。この全く新しいパテックのカレンダーの発表までは機械式腕時計のカレンダー機構は大小の月さえ乗り越えられぬシンプルカレンダーか、いきなり2100年までノータッチで突き進む永久カレンダーかの両極端しか無かった。前者は実用性に難があり、後者は機構の複雑さから高額で顧客が限られ一般的ではなかった。そのためか特許を取得した革新的かつ有用な年次カレンダーはデビュー年のスイス時計専門誌モルトン・パッション誌の「ウォッチ・オブ・ザ・イヤー」に審査員全員一致で選ばれている。

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このほとんど"発明"とも言えそうな快挙は1991年、パテックが創造的な産学協同の一環としてジュネーブ州立技師学校の或る学生に卒業研究課題を提示した事に始まったそうだ。この研究に携わった学生さんはその後パテック社に入社し現在も在籍中との事である。
開発の方向性は、カム、ラック、コハゼ、ジャンパー等で構成される既存の永久カレンダーの簡素化ではなく、シンプルカレンダーからスタートした洗練かつ独創的な輪列が採用された。主要な歯車には新たに設計された高精度の歯形曲線が採用されてエネルギーロスが低減した。その結果カレンダーディスクはほとんど機械的抵抗なしに回転出来るようになったらしい。年次の開発=歯車の進化というようなことらしい。
年次に関して調べるとあくまで永久の簡素版でなく、"新規開発のなめらか歯車輪列機構である"との上述のようなくだりにいつも出くわす。ではなぜ永久の簡素版では駄目だったのか。それは永久カレンダーで採用されている大型レバー等は組立時にデリケートかつ高コストの調整手作業が必須となり、一人の職人が全工程を組み上げるグランドコンプリケーションスタイルなら可能だが、或る程度の量産を行う"シリーズ生産"モデルにはなじまないと言う理由があったようだ。調整が容易で信頼性と耐久性を上げつつコストを下げるには白紙からの新規開発しか無かったのだろう。この難問をパテックの開発陣は5年かけて解決した。
デビュー2年後の1998年にはムーンフェイズとパテックが業界で初装備をしたパワーリザーブ表示をそれぞれ独立輪列で追加搭載したRef.5036/1が出る。顔的に今回紹介のRef.5146のルーツと言えるモデルで専用に新規設計され現在ドロップ・リンク・ブレスレットと呼ばれるメタルブレス仕様で発表された。さらに1999年には5036/1の姉妹モデルで現社長ティアリー・スターン氏が創作したプラチナケース+ストラップ仕様のRef.5056が追加発表される。ここまでは全て21600振動の48時間駆動のCal.315 Sをベースムーブとして搭載した37mm径ケースの仕様であった。5036-5056.jpg

大ベストセラーとなったRef.50系年次カレンダーは2005年にRef.5146にフルモデルチェンジされる。ケース径が2mmアップされ39mmとなり文字盤レイアウトはRef.5036そのままとされたがインデックスはそれまでのローマンから12・3・9アラビア+バーの組合せになった。ムーブメントもCal.315から高振動の28800振動・45時間駆動で4本アームに4個の慣性ウェイトからなる新設計のジャイロマックス・テンプを組み込んだCal.324に積み替えられた。
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画像は素材違いのYGモデルである。これは実機サンプルで最上段画像も昨夏の展示会に借用したサンプルを撮っている。その為カレンダーが3月18日土曜日になっている。時計の各ブランドは何故かサンプルの日付を統一する傾向が有る。皆それぞれが一番バランスが良い見た目を選んでいるらしい。で、各ブランドほぼ全部バラバラなのはなんで?・・
ちなみにRef.5146は実はYGのグレーダイアルがとても良い。カタログから想像がつかないくらいケースと文字盤の相性がよろしい。是非現物を見る価値がある。ただ上の撮影画像は時間の制約もあって・・・
Ref.5146のメタルブレスの採用時期は調べきれなかったが取り合えずサンプルがあったので一応撮影し画像アップした。このブレス装着感の良さも是非機会があればお試し価値は絶対にあり。

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さて2005年には合わせて初代Ref.5035のイメージが色濃く残された37mmサイズ・パワーリザーブ表示無し・フルローマンインデックスのRef.4936がレディース初の年次カレンダーモデルとして発表された。
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この年には先端テクノロジーを追求する「パテック フィリップ アドバンストリサーチ」第一弾の年次カレンダーモデルRef.5250Gが限定100個で発表された、Ref.5146と外見は同じながら従来型のCal.315ベースの年次キャリバーにシリコン系素材であるSilinvar®製ガンギ車を搭載していた。さらに翌2006年にアドバンストリサーチ第2弾としてローズゴールド仕様の年次Ref.5350Rが300個限定で発表されている。エンジンはCal.324に変更され、ガンギ車に加えてSilinvar®製のSpiromax®髭ゼンマイが採用された。2008年にはアドバンストリサーチの完結編として年次Ref.5450Pがプラチナ限定300個で製作された。このモデルの脱進機はPulsomax®脱進機と呼ばれアンクル素材もSilinvar®製となった。

ところでアドバンストリサーチそのものは機械式時計の心臓部である調速機構の最重要パーツである髭ゼンマイ及び脱進機を構成するガンギ車とアンクルのシリコン化プロジェクトである。必ずしも時計は年次カレンダーである必然性はなかったはずだ。それを敢えてフルモデルチェンジをした第二世代年次カレンダーRef.5146のデビューに花を添えるという演出をしたパテック フィリップは中々の役者である。
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実を言うと個人的にこの第2世代の年次カレンダーはノーチラスと同様で最初あまり印象が良くなかった。もっと正確に言えばRef.5146の顔が何とも緩くてもっちゃりした印象しかなかったからだ。きっとバーゼルでも悪態をつき、短寿命モデルと予想した記憶がある。ところが今年で満12歳もの長寿モデルとなってしまった。初代Ref.5035(10年)より長期政権でロングかつベストセラーなのだ。そして兄弟姉妹的モデルが15型もある大家族構成でもある。時々パテックにはこうゆう大穴というか裏をかかれるモデルが出てくる。気張らずに普段感覚で着けられる気楽さ、それでいて世界最高峰の満足感が同居するのが人気の秘密なのか。さらに言えばパワリザーブ機能無しの分家モデルのRef.53965205と比較して求めやすい価格もRef.5146の魅力なのだろう。

厚みは11.23mmでクラシカルデザインRef.5396の11.2mm、前衛デザインRef.5205の11.36mmとほぼ同じで決して装着感を損なう厚みではなくええ感じの存在感だ。
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今回撮影中にRef.5146のムーンフェイズのプリント仕様が他のモデルと微妙に異なっている事に初めて気付いた。普通は月も星も単純な塗装と思われるのだが、Ref.5146の星は周囲が盛り上がった凝った仕上げがなされている。他モデルにもあるかもなので今後注意を払いたい。尚、RGの文字盤はYGのラッカー塗装と異なりSlate gray sunburstで全く印象別物なのだが・・個人的には実に実に美しい。1月の年次展示会にはWG素材サンプルのSlate gray sunburstとの見比べも楽しみだ。
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下はRG素材のクリームのラッカー塗装の月齢表示部
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Ref.5146R-001 年次カレンダー

ケース径:39.0mm ケース厚:11.23mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:RG WG(別ダイアル有YG(別ダイアル有) PT ※別途ブレスレットモデル有り
文字盤:クリームラッカー、ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートブラウンアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 4,520,000円(税込 4,881,600円)2016年11月現在
※WGは同額、YG、PT及びブレスレットタイプの価格はお問い合わせください。


搭載キャリバーは21金フルローターを採用したパテックを代表する自動巻きCal324に年次カレンダーモジュールを組込んでいる。
カレンダー系の操作は禁止時間帯等あって気を使うが、パテックの場合は殆どの物が午前6時(例外あり)に時刻を合わせてプッシュ操作を行う。ムーンフェイズはいつもネット検索して確認していたが、パテックHP内にある確認ページが結構便利である。
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画像は都合でYGを撮影。裏蓋はスケルトンでスクリューバック仕様。これも少し不思議でほぼ同じ厚みの年次兄弟モデルのRef.5396と5205はスナッチ(抉じ開け)が採用されているのだ。ところで撮影時に惚れ込んだYGモデルはサンプルとして余程人気があるのかお勤めがずいぶん長いようで懐かしいホールマークを久々に見つけてしまった。

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Caliber 324 S IRM QA LU

直径:30mm 厚み:5.32mm 部品点数:355個 石数:36個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2017年12月20日現在
5146J-001 お問い合わせください。その他はご予約対応となります。

(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)


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今年も秒読み態勢、"夢中で"駆け抜けた一年、お付き合いありがとうございました。
さて新年早々、1月末に下記展示会の開催が決まりました。皆様お気軽にお越しください。
※ご予約等不要です。

『パテック フィリップ年次カレンダー展示会』
日時:2017年1月20日(金)21日(土)22日(日) 11:00~20:00
会場:店舗2階パテック フィリップ コーナー
出品内容:年次カレンダー現行モデルのほぼフルラインナップ27点 

出展予定モデル(12月13日現在 ※変更もあります) 
年次一覧_01_追加分.jpg
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※あくまで現時点の予定で変更もあります。開催直前に確定のリストアップが出来ればと思っております。
※ほとんどがサンプル出品です。ご成約時は一部を除いて入荷をお待ちいただく事になります。
※年次カレンダー以外でご覧になりたいモデルがございましたらお早めにお問い合わせください。

2016年はパテック フィリップにとって幾つものアニバーサリーイヤーだった。まずはノーチラス発売40周年。そして年次カレンダーの発売、プラン レ ワットの新工場への移転、パテック フィリップ インターナショナル マガジンの創刊年が全て1996年だったのでそろって20周年を迎えた。
1985年から始まる複雑機械式時計復活の狼煙。1989年のブランド創立150周年を重要な通過点とし、機械式時計の新時代がスタートしたのが1996年ではないか。そしてその象徴的タイムピースが年次カレンダーであり、20年後のラインナップの充実ぶりは見事にその役割を果たしたと言える。
2016年現在の年次カレンダーコレクションは全部で34点なのでカタログ掲載モデル全209点からシンプルウオッチ(2針、3針)91点を除いた何らかの機能が付いたタイムピース118点の内29%となり、3本強に1本は年次カレンダーとなる。ちなみに永久カレンダーは2016年度にゴッソリ13点も製造中止になったが、それでも33点(ビックリ・・)もある。パテックは正にカレンダー時計王国だ。


年次カレンダ―モデルの紹介記事はコチラから




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257グラム!そうか、プラチナが軽いのか。312gもあった紹介済みのWGクロノの82%である。幸運にも日を置かず疑問が解け、プラチナも実機撮影の機会を得た。しかし比重に優るプラチナは素直にポーズを取らせてくれず撮影には難儀をした。
当店の商いは貴金属地金に縁がなく全くのド素人。ちょうど良い?機会なので金とプラチナの相場というものを調べてみてビックリした。12月6日付け田中貴金属の1グラムの税抜小売価格は金4,668円、に対してプラチナが何と3,812円で断然安い。気色悪いので過去15年間の年間平均値(税抜小売価格/グラム)を比べてみた。
AuPt15.gif2007年ぐらいまではプラチナが金のほぼ2倍だが徐々にその差が詰まって2012年に逆転している。その後2年は再逆転するも2015年からまたも金が逆転している。金・プラチナいづれも需給バランスの崩れが原因で金はずっと高騰し続けており、プラチナはここ数年下落気味で逆転されている。それにしても15年でプラチナは2倍に、金は4倍にもなっている。そりゃ高級時計も高くなるハズである。
まあ時計の金は18金なので現在の相場4,668円に75%を掛ければ3,501円となるが25%混ぜる銀や銅だってコストは掛かる訳でノーチラスの40周年モデルに関して言えば重量差からしてWGクロノの方が素材コストは少し高いかもしれない。ムーブメントはどう考えてもプラチナ用の部品点数213点のシンプル3針自動巻よりも327点のパーツで組まれるフライバック垂直クラッチクロノグラフが高コストだろう。ただしダイヤモンドはベゼル6時下にプラチナモデルアイコンのラウンドダイアが埋め込まれ、3時以外全てバゲットダイアインデックスのプラチナモデルの合計0.36ct.に対して、WGクロノモデルは一部ラウンドダイアインデックス等になり合計0.29ct.と若干少ない。
またWGクロノグラフは過去に全くなかった最大サイズのノーチラスなので冷間鍛造用の金型も一から新規設計製造しているはず。片やプラチナ3針は過去何度か特殊なユニークピースとして販売実績があり、金型もステンレスや18金モデルと基本同じ5711型である。製造本数はプラチナがほぼ半分で割高となる。
このように見てゆくとWGクロノが何となく割安に思えてくるが、何度も繰り返してきたがプラチナ特有の粘りっこい素材特性は鍛造・切削・研磨のどれを取っても18金の何倍ものコストがかかるらしい。特にノーチラスブレスはリンクの細かさが着用感を高めているが、当然パーツ数が増えるためにそれだけ製造には手間が係るはずだ。
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6時側に2段組みされた1976-40-2016のアニバーサリーエンボスは12時側にレイアウトされたWGクロノグラフ同様に目立たない。画像ではライティングの微妙な差で異なって見える文字盤のブルーの色目は全く同じである。ただインデックスのバゲットダイアのサイズは同じだと思われるのだが文字盤面積の違いからかWGクロノの方が微妙に幅広に見える気がするのは目の錯覚か、それとも単なる老眼の進行か?
5711_p-a_02高解像度.jpg
左のステンレスモデルRef.5711/1Aと並べてじっくり視ると微妙な違いがある。まず6時位置の生産国表示がSSはSWISSと40th記念のSWISS MADE。ただこれは現行モデルでもバラバラで無表記のものも存在する。カレンダーについてはWGクロノRef.5976Gの記事で18K窓枠以外の違いは解らないとしたが、数字のフォントが異なっており少し太字にもなっている。恐らくカレンダーディスクそのものはPTとWG共通部品と思われる。
12時側のブランドロゴがSSではエンボスの上から4番目の凸部にPATEK PHILIPPE、5番目にGENEVEと転写されている。ところがPTでは転写部分全体を凸部にしてスペースを作りロゴ位置も少し下側にずれてレイアウトされている。これは6時側に配置された三角形の40・1976-2016の記念エンボス位置とのシンメトリーを意識して微妙なデザインワークがなされたようだ。
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プラチナモデルお約束のベゼル6時への隠しダイアモンドは天地巾の制約からか0.02ctとかなり小さい。プラチナケースと言えどもしっかり見えている無愛想でぶ厚い真っ黒けの防水パッキンのすぐ上にセットされるプレシャスなダイアモンド。う~ん!洒落が効いてますナァ。
元々は現会長フィリップ・スターン氏が自分のコレクションに入れてみたところスタッフに好評だった事から採用された仕様だと聞いた記憶がある。そして2000年のミレニアムを記念して限定生産された10日巻きのRef.5100のWGとPT(下画像)を区別するためにスターン氏の指示でセットされたのが始まりとなり現在に続く慣行となった。それにしても最初のダイアはチョッと大振りだったような・・・PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE No.7 P.32
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Nautilus Ref.5711/1P-001 40th Anniversary Limited Edition 世界700本限定
ケース径:40.0mm(10時ー4時方向) ケース厚:8.3mm 防水:12気圧
ケースバリエーション:PT950 
文字盤:サンバースト加工にブルーPVD加工 バゲットダイア付ゴールド植字インデックス
価格:税別 12,360,000円(税込 13,348,800円) 
2016年11月1日現在

SSと全く同じになるのでキャリバー撮影は悩んだが敢えて上下に並べてみた。下のプラチナにはラグ部4か所に貴金属ホールマークが有り、画像右端中央にA384で始まる良く似たじブレスレット品番刻印がある以外は、表面が少しクリームっぽい仕上がりのWGと違ってPTは完璧な銀色なのでSSと完全に見た目は同じである。
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Caliber 324 S C/386)
直径:27.0mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個 受け:6枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾
PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY) P.231

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今年の新作で最も期待値が大きかったのがワールドタイム。今春早々に超希少品で少々特殊なクロワゾネ(有線七宝)文字盤のローズゴールドケース1品番を除き全てが生産中止発表になった人気のRef.5130。当然後継モデルが出て当然なのだがローズとホワイトのレザーストラップタイプのみの2本限りは個人的には肩透かしされた感じ。
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恐らくプラチナはそのうち追加されるのではないか。ただイエローゴールドはどうなのか?今年の新作でイエロー素材は新しい永久カレンダーRef.5327Jの一点きりである。ちなみにローズは12点もあって、あまりにも差が激しい。
ここで少し脱線して、いくつかの時計ブランドを調べると、はたしてイエローゴールドケースは絶滅危惧種状態である。そんな中で今年APのロイヤルオークが新たにYGをラインナップし直してきたのはニュースですらある。パテックも随分と偏ってきているが、ド定番モデルにはほぼイエローが踏みとどまってる。2016カタログを素材別に追っかけたのが下表。
注:ノーチラスクロノRG/SSコンビ1点はSSとした。
素材分析表.gifプラチナがグラコンで最多の素材であり、全体でもステンレスと同数なのは流石にパテックならではだが、ここまでRGが多いとは正直ビックリ。特にレディースでYG貧弱化が顕著で、YG全14Ref.中でRef.7121Jのブレスストラップの2型のみしかない。断捨離好きなのに妙に物持ちが良い姐がたまたま取っていた今や貴重な2000年のカタログを開く。
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いやぁ~まあイエローだらけ真っ黄色だ。掲載モデルの7割弱がYG。右端には今回紹介の現代ワールドタイムの初代Ref.5110のプラチナとローズが居るがYG・WGが見当たらないので全モデルは掲載されていない。カタログと言っても縦30横70cmの薄手のコート紙の裏表という実に簡便な印刷物で現行カタログとは隔世の感がある。ネプチューンなど今はもう無いシリーズもあったりするので取り合えず別刷りのプライスリストから素材別に拾って見たのが下表。
注:ゴンドーロガブリオレRG/WG1型はWG、ノーチラスとネプチューンのYG/SS2型はSSとした。
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全リファレンス数はほぼ同じ。圧倒的なYGにRGを加えて金色系115Ref.(55%)と半分を超えている。この16年で激減したYGの大半はRGとなり一部PT、SSにもシェアを明け渡し、2016年現在はプラチナ・ステンレスが共に約1割でWGと合わせれば銀色系が115Ref(56%)と逆転している。

本題に戻って、ワールドタイム。2016年に生産中止発表となったRef.5130の紹介と多少重複するがおさらいをする。1930年代後半からジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏により製作が始まったワールドタイムは前期型として時分針リューズと24時間ディスクの連動操作システムを搭載してスタート。シティディスクは今日の回転ベゼルの様に手動で回していた。その11時ごろに現在時差ありのLONDRES(ロンドン)とPARISがあって当時は同一時間帯に属していた。3時半ごろにはTOKIOとあって中々面白い。下画像:Modèle1415HU(1939)
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1950年台に入っても基本は同じでシティディスクを9時位置に設けた第2リューズで回すように若干進化した後期型(1953年~)が作られるようになった。東京はTOKYOとなり、ロンドンもLONDONとなっているがパリとはまだお友達だ。下画像のModèle2523(1955)は今回紹介するRef.5230のデザインソースとされている。
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しかしワールドタイムは50年代中頃に生産が終了される。理由は調べたが判然としない。1950年代というのはそれまでのプロペラ機に代わってジェット旅客機が登場し、飛行機輸送が飛躍的に進化していった時代である。ブライトリングナビタイマーが1952年、ロレックスGMTマスターは1957年に登場している。そんな中で1959年にパテック フィリップはルイ・コティエ氏が開発した現在トラベルタイムと呼んでいる画期的な2ボタンによるローカル時針のアップダウンシステムを備えたモデルを発表している。下画像:Réf.2597(左1959,右1962)
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個人的想像だがジェット旅客機による航空新時代の到来にふさわしい全く新しいトラベルウオッチを模索していたのがパテックの1950年代後半だったのではないだろうか。そして1969年初代セイコーアストロンで始まるクォーツショックによる約20年間のスイス機械式時計暗黒時代。ようやく1990年頃からの機械式復活期を経て40数年ぶりに2000年にワールドタイム現代版は復刻される。ロンドンとパリには温度差!ではなくて1時間の時差が生じている。画像が荒くてつぶれているが文字盤センターには複雑で美しい格子状のギョーシェが刻まれている。デザイン的には1900年代半ばのオールドワールドタイムに似るがトラベルタイム機構を転用した短針、シティディスクと24時間リングの3者を10時位置のプッシュボタンで連動操作する画期的なシステムを備えるように進化している。詳しくは過去記事を参照。
※画像はPATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE Vol.Ⅲ No.01よりRef.5110 PT,YG
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人気を博したRef.5110は2006年にエンジンはそのままに時代の要請?から2.5mmのサイズアップを受けRef.5130へとマイナーチェンジされる。外観上の違いはダイアルのギョーシェが放射状の力強いものになり、時針はアップルハンドに分針はドーフィンハンドになった。サイズが大きくなってシティデスクの表示にはユッタリ感が出た。※下画像
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そして今年、現代版ワールドタイムとしては第3世代となるRef.5230が発表された。ムーブメントは初代からずっと同じCal.240 HUである。ケースデザインは大きく変更され1940年~50年代に流行したウイングレット(小翼)ラグ(前述の左右にリューズのあるModèle2523参照)を控えめに備え、ベゼルはそれまでの丸味を帯びたものから平面的でエッジの効いた形状となった。さらに好みの分かれるところだがリューズガードが廃止された。ケース径とラグ巾ともに1mm絞られ厚みは逆に0.63mm増して筋肉質で引き締まった印象になった。
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ダイアルセンターの手作業のギョーシェはパテック フィリップ ミュージアムの資料を参考に一新され同心円状に様々なサイズのリップ(波状)が大小交互に刻まれており複雑さでは過去一番である。
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下画像ではWGが少し白っぽく写ってしまったが、どう見てもWGとRGでセンターギョーシェも含めてインデックスを除く文字盤ベースは全く共通だ。その為にWGモデルはグレイッシュなギョーシェ部に針とインデックスの色目が同化しやすく視認性に少し難がある。時針は非常に特殊な形状だがパテック特有の穴開き針(Pierced hour hand:ピアス針)と紹介されている。分針は第1世代Ref.5110の物にほぼ先祖返りした印象だ。
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Ref.5230G-001、5230R-001
ケース径:38.5mm ケース厚:10.23mm 
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:WG,RG,

文字盤:チャコールグレーラッカー、ハンドギョーシェ ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有り)アリゲーター ブラック(WG)/チョコレートブラウン(RG)
価格:税別 5,190,000円(税込 5,605,200円)2016年11月現在

キャリバー名Cal.240 HU末尾のHUはHeures Universelles(仏:時間 世界)の頭文字だ。ちなみにパテック社のHP内には用語解説ページがあって時々御厄介になっている。1977年開発の極薄型自動巻キャリバー240(厚さ2.53mm)にワールドタイムモジュールを組み込んだ240 HUは3.88mm。これは厚み的には永久カレンダーキャリバーの240 Qと全く同寸である。たった1.35mmの各モジュールに地球やら100年やらが封じ込められている。
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Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)P.238、242、243

PATEK PHILIPPE 公式ページ

2016年11月29日現在
5230G-001 ご予約対応となっております。
5230R-001 ご予約対応となっております。

(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

パテック フィリップには馴染まない印象があるような分割支払。ところがどっこい!ご提案をすると結構なニーズがある。どうも正規販売店に百貨店が多いせいか支払方法の選択岐としてあまり市民権を得ていないようだ。
ご利用いただく方はほぼ二手に分かれる。まずパテックともなると数百万決済なので手元に一括資金が無いけれども、レアモデルと出会って、今!何とかしたいというお客様。当然というかお若い方が大半。
そして意外に高級時計を既に多数コレクションされ手元資金も豊富なご様子ながら「時計以外にも色々あって・・」と何かと物入りなご様子の方のご利用も結構多い。
ただ他の取り扱いブランドと異なり分割手数料(いわゆる金利)はお客様にご負担いただいている。この金利はクレジット会社の資金調達金利と連動したり、クレジット各社が競り合ったりで結構頻繁に変わる。ただ当店はエリア的な要因なのか、かなり美味しい条件とのコメントをいただくことが多い。
ご利用が未経験の方は是非一度ご検討いただきたい。手続きは簡単で大体ひと月当たりのお引き落とし額を決めていただければご負担金利が決まり、各月支払額が計算される。あとはショッピングクレジット申込書に必要事項をご記入いただき、身分証明書(大半が免許証)とともにクレジット会社にFAXで申請。20分~30分程度の審査の後、不都合が無ければ電話でご本人様の確認を取って手続き終了。
引き落とし口座情報と銀行印も必要だが、用紙お持ち帰りの上で後日郵送が可能。ともかく免許証等の身分証明書だけあれば手続き可能である。
で、気になる分割金利だが、前述のように変動もするしクレジット各社の思惑もあって、具体的に書けないのが残念。でもたぶん皆様のご想像以上にお得感ありかと・・・

仮に支払総額500万円だとして単純に84回で分割すればひと月あたり59,500円と数%(10%未満と書くのが限界?)の金利となる。もちろんもっと短くても可能だし、逆に最長100回まで分割可能。8年4カ月は長いようだが時計の寿命は車と違って非常に長い。実際当店の一階では100万円前後のブライトリングで84回分割(こちらは無金利)は日常茶飯事である。またお手元に頭金があれば負担金利は当然減るし、ボーナス時増額なども可能で、様々な設計が可能である。
どうです意外に使い勝手良くありませんか?是非お気軽にご相談下さい。 
 

5月に腕時計最高額を塗り替えて落札されたパテックフィリップのオークション記事を紹介したが、早くもこのハンマープライスが11月12日ジュネーブのオークションで塗り替えられた。1943年製造ステンレスの永久カレンダークロノグラフRef.1518が12億円。
ひょっとしたらのこんなサプライズもパテックならではのオーナーのお楽しみ。今回紹介はそんな可能性を秘めた最新のお宝限定モデル。先日の速報記事でも予想はしていたがまさかこんなに早い入荷とは・・・
パテック フィリップの取り扱い期間が浅い当店にとってめったに発表されないお宝限定は実はハードルがとても高い。実績顧客に限るという販売条件でお客さんまで限定扱いとなる事が多いからだ。でも今回は大変ありがたい事に速やかにご注文を頂き先日入荷。
心待ちにされていたオーナー様にご来店いただき検品前に真空パッケージを開封いただいた。さらにご了解を得て納品前に実機撮影の機会を得た。あぁもう少し立派な鋏を用意しておくべきだった・・
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オーナー様、当店スタッフを含めての第一印象は"重い!"そして期待たがわずカッコよろしい。発注時に現物が見られない不安感を一掃する好印象で正直「ホッ」とした。
まずブルーの色が良い。PP社のHPでの印象はかなり明るめで若々しい印象があったが、落ち着いた深みのある色目。もちろんRef.5711/1A-010ブラック・ブルーほど渋く色気が漂うわけではなく上品な青色だ。
次に賛否両論あった文字盤センター上部の40thアニバーサリーの刻印(エンボス)。これもHPではやたら目立つイメージがあったが、凝視しない限り何となくの模様であって主張は全くしてこない。プレスリリースではカレンダーが少し大ぶりになるとあったが、それの違いはよく分からない。新たに18KWGで用意されたカレンダー窓枠は高級感があって特別なモデルにふさわしい。6時側の同軸クロノグラフ積算計ももちろんダイアルのサイズアップに合わせてリサイズされているが微妙なデザインマジックで間延びが無く落ち着いた仕上がりとなっている。18KWGに縁どられたダイアインデックスも良い意味で主張しすぎず日常での着用をためらわせるものではない。特にバゲットダイアからなる9個のバーインデックスは、既存モデルRef.5724Gのそれよりも長めでバランスが良く好印象である。
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サイズはさすがノーチラス史上最大ケース径44mmなので確かに大きい。ただ並べてみればの話で単独で見ていれば抑えの効いたパテックらしいデカ厚かと・・
横に並べるとトラベルタイムクロノRef.5990/1Aケース径40.5、厚さ12.53mm)が小さく見えてくるのはご愛嬌か。5976の厚さ12.16mmは5990より僅かに薄いのだが、ケース径では3.5mm大きいのでむしろバランスが良く着用感は上回るかもしれない。面白いのは大きくなってもベゼル巾が従来モデルと同寸(約5mm)の為にこの特別なノーチラス号の窓枠は凄くスマートに見える。
しかし重量級だ。プラチナではないかと思うほどヘビーである。全駒状態でなんと312gもある。参考までにノーチラスの主要なブレスモデルを量ってみた。

7118/1A SSレディスノーチラス3針 106g
5711/1A SSメンズノーチラス3針 123g
5990/1A SSトラベルタイムクロノグラフ 162g
5711/1R RGメンズノーチラス3針 191g

残念ながら紹介モデルに最も近似のRef.5980/1Rは手元になく重量不明。尚パテックは各モデルの重量をプレスリリースやカタログ等で明らかにしていないが実は厳重に管理されており、製造工程最終段階では総重量が必ず計量され、ケースやパーツ等に誤素材の混入が無いかチェックしている。さて未入荷の3針プラチナ限定モデルはどのくらい重いのだろうか。素材の比重からすればPTがWGクロノより重そうだが、ケース厚で3.86mm薄いしブレス厚もかなり違うので結構良い勝負?するかも・・
厚み比較画像:左5976WG、右5711SSう~んやっぱり重いのはプラチナか
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1976年オリジナルノーチラス発売時に採用されたコルク製の特別ボックスが忠実に復刻されている。ビックリしたのは現行モデルの通常コレクションボックスよりかなり小ぶり(巾15cm奥行15cm高さ8.2cm)かつ軽量でずいぶんカジュアルな印象。但しヒンジで連結された上下部とも厚さ4.1cm以上のコルク無垢材から削り出された贅沢仕様だ。
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特に通しの限定シリアルは付けられておらず通常通りムーブメントNo.とケースNo.で管理されている。ただ1300本限定の1本である事を保証する限定証明書が発行添付されている。画像では解りにくいがRef.NoやCal.Noなど主要部分はダイアルカラーに通じるメタリックブルー箔押しの難い演出がされている。
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今回ご発注を頂いた顧客様より1976年と2016年が御家族(お二人)それぞれのアニバーサリーイヤーである事を伺った。感慨深いストーリーに浸りながら撮影をさせていただいた。

Nautilus Chronograph Ref.5976/1G-001 40th Anniversary Limited Edition
世界限定1300本

ケース径:44mm(10時ー4時方向)※リューズを含む3時ー9時方向で49.25mm
ケース厚:12.16mm 
防水:12気圧
ケースバリエーション:WG 
文字盤:サンバースト加工にブルーPVD加工 バゲット及びプリンセスダイア付ゴールド植字インデックス
価格:税別 10,510,000円(税込11,350,800円) 2016年11月1日時点

キャリバーは2006年にノーチラス発売30周年を記念して発表されたシリーズ初のクロノグラフモデルRef.5980/1Aに初搭載されたCal.28-520Cを積んでいる。同キャリバーはパテック社初の完全自社開発製造の自動巻きクロノグラフキャリバーで垂直クラッチを採用し、フライバック機能を備えた前衛的なムーブメントである。主時計の秒針は敢えて備えずに駆動時に殆ど主ゼンマイのトルクをロスしないパテックご自慢の垂直クラッチ方式によりクロノ秒針が主秒針として転用可能である。
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Caliber CH 28-520 C フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント コラムホイール、垂直クラッチ採用
直径:30mm 厚み:6.63mm(ベースキャリバー5.2mm、カレンダーモジュール1.43mm)
部品点数:327個 石数:35個 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾

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2013年バーゼルワールドのパテック フィリップ最大の話題作エイトデイズRef.5200G。画像では時分針をお約束の10時10分ではなく、8時20分としてブランドロゴを見せるようにした。さてスイスの時計業界には数年から10年くらいの期間で何かしらテーマというか流行があって、ロングパワーリザーブは2010年頃から現在も続くロングなトレンドである。どちらかというと保守的なデザイン性からパテック フィリップは何事も奥手のように思われるが、実際には新進気鋭の先物取りが多い。このロングパワーリザーブもミレニアムイヤーの2000年に3000個限定で発表された10-Day Ref.5100モデルにその遺伝子は遡る。もちろん当時腕時計では最もロングパワーリザーブで主ゼンマイを収めた香箱を2個積んだCal.28-20/220を搭載していた。このキャリバーはパテック社のR&D(研究開発)スタッフ35名をして開発に3年を要した大プロジェクトだったようだ。
※画像はPATEK PHILIPPE INTERNATINAL MAGAZINE No.7より
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ちなみにチョッとビックリしたのだがパワーリザーブ表示機構というのもクロノスさんの記事によれば20年ほど前にパテックが初めて装備したらしい。時期からして1998年のノーチラスRef.3710が最初らしいのだが調べきれなかった。
※下画像はWRISTREVIEWさんより借用
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勉強不足だったがこのパワリザ機構というのは結構複雑でリスクもあるようで歯車の設計と磨き上げに絶対の自信を持つパテックならではの開発だったような。
もう少し前置きを書くと2003年にはこのCal.28-20/220にトゥールビヨンキャリッジを組み込んだCal.28-20/222が開発されて10 Day Tourbilon Ref.5101がプラチナケース(2012年YGケースで再発表)で発表されている。
※画像はPATEK PHILIPPE INTERNATINAL MAGAZINE Vol.Ⅱ No.1より、ムーブメントイラストの余計な線は元原稿の解説用の引き込み線。

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今回本題のRef5200Gと長ったらしい前置きの2モデルとの大きな違いはデイデイトカレンダーの搭載である。しかも瞬時日送り式というのがポイントで、真夜中の0時(あたり)に0.003秒で変更される。パテック社のリリース特集記事によればこの画期的なカレンダー機構搭載はゼンマイのトルクをかなり消費するために10デイズの2日間分のパワーリザーブを献上?することで実現されている。さらに2005年~2008年にPP社アドバンスドリサーチ部門により開発された最新鋭のPulsomax®脱進機とSpiromax®髭ぜんまいが積まれたことによる時計精度の向上と持続時間の延長がはかられた事も大きく寄与している。しかし発売当初は異常に入荷が少なく安定供給まで1年以上掛かった記憶があり、製造技術的にはハードルが高かったようである。
デザイン的には10 Day Tourbilon Ref.5101とシンプルなレクタンゴンドーロのRef.5124をミックスした印象。よく天地の長さ(46.9mm)による腕への座りを心配される方が多いが、緩やかなカーブでなじみは非常に良い。またラグを除いた時計部の天地は35mm以下でけっして大振りな時計ではない。
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ケースのフォルムはRef.5124Gに似るがケース巾とラグ巾は8DAYSが狭いので、天地左右のバランスは10Day Tourbilon Ref.5101に近い。両者の良い所取りとなっている。撮影時に気が付いたのだがこの文字盤はスノーマンダイアルと名付けたらどうだろうか。そのひょうきんさは本来上下にくっついているPATEK PHILIPPEとGENEVEの文字が大きく上下に離れている事も一因している。そして10時10分になると雪ダルマは完璧な両腕を持つ。顔の真ん中には8日分のパワーリザーブインジケーターがありガス欠状態の真っ赤な9日目も一応は正常に動くはずとなっている。実際に巻き上げるとさすがにロングで135回で全巻きを示すが巻き止まりが無いままずっと巻ける。取説では″20回余分に巻いて終わり"となっているのでどうも巻き止まりがない設計のようだ。さすがにそれ以上は怖くて巻き続ける気になれなかった。お腹の同軸内側が秒針、外が日付。真上の窓に曜日ディスク。取説には瞬時日送りが深夜0時とあるが実機の手動運針では0時数分過ぎだったので結構巾がありそうだ。ピカピカの鏡面仕上げの18金ドーフィンハンド(時分)とエッジの効いたバーインデックスはパテックお得意の組み合わせ。

ケースの厚みは11.63mmとけっこうあるが優美なカーブにより1cmを超えている印象は無い。リューズに並ぶコレクター(プッシュボタン)は左が曜日、右が日付調整用である。
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Ref.5200G-001
ケース径:32.4×46.9mm ケース厚:11.63mm
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧

ケースバリエーション:WG別ダイアル有のみ 
文字盤:マットブルーサンバースト ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター
価格:税別 6,030,000円(税込 6,512,400円)2016年11月現在

長ったらしいキャリバー名Caliber 28-20 REC 8J PS IRM C Jは、天地ー左右サイズが28✖20mmでRectangular(仏英:長方形)・8Jour(仏:日)=8日巻き・Petit Seconde(仏:小さい秒)=小秒針(英:Small Second=通称スモセコ)さらにIndicateur de réserve de marche(仏:パワーリザーブ表示)最後のC JはCalendrier Jour(仏:カレンダー 日、英:Date Day)の頭文字の短縮表現。仏語Calibreの意味は″口径"なので従来多くのムーブメントは、その直径(mm、古くはリーニュ)で簡潔に命名されていたものが、2000年以降のどこかから覚え難いが解りやすい名称になってきた。冒頭のおさらいになるが原点と言える2000年の10DAYSのCal.28-20/220は移行途上の名付けだろうか。2003年の10Day Tourbilon Ref.5101搭載の派生キャリバーCal.28-20/222(プレスリリース記載並びに地板刻印)はバーゼルより数か月後発行のゼネラルカタログではCal.TO 28-20 REC 10J PS IRMと記載されており、正にこの年辺りで移行されたと推測している。出来れば3つのムーブを並べ比較したかったが適当な画像が無かった。どれもが美しいが個人的には最新の8DAYSのキャリバーの装飾性が最も高いと思う。一見3本の別れた地板のように見える部分は実は剛性の高い一枚物に凝った化粧が施されている。
注:Ref.5101のCaliber名称については最初どちらの表現が正しいのか判然としなかったが最近入手したパテックマガジンのバックナンバーと2012ゼネラルカタログから混在していたことが解った。(11/17追記)
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Ref.5124の記事でも触れたが8DAYSでもケースとキャリバー双方の形とサイズに親和性が高くて完全な専用ムーブである事の特別感を感じさせてくれる。ビスポークエンジンゆえにコストに反映されるのだが、その割には結構頑張った価格設定ではないか。
最新鋭のPulsomax®脱進機とSpiromax®髭ぜんまいに迫ってみた下の画像。一番左の穴石(赤い人口ルビー)の下方に見える黒っぽい(実際は青っぽい)歯車がシリコン素材をベースとしたSilinver®製のガンギ車。同素材のアンクルは他のパーツに隠され見えない。パテックはこれら脱進機2パーツをディープ反応性イオンエッチング(DRIE)製法と呼ばれる技術で従来の機械的製法の最大10倍の精度で作り上げている。難解すぎて良く理解はできないがセイコーが採用しているメムス(MEMS)に似た化学的な手法で写真の現像焼き付けのイメージで非常に高精度なパーツが製作されているようだ。テンプの上側に黒くグルグルっと巻かれているのが同じ素材のSpiromax®髭ぜんまい。ピンぼけご容赦!_DSC8176.jpg

Caliber 28-20 REC 8J PS IRM C J
デイデイトカレンダー、パワーリザーブインジケーター搭載8日巻き手巻ムーブメント
サイズ:28×20mm 厚み:5.05mm 部品点数:235個 石数:28個
パワーリザーブ:最大192時間(8日間) 
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年11月12日 現在
5200G-001 ご相談ください
5200G-010 ご予約対応となります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)



2016年新作レディスモデルのテーマの一つが"ダイア"。既存モデルをベースにしたダイアモンドデコレーションバージョンの追加であった。圧巻はダイアモンドリボンのメレダイア文字盤敷き詰め+ラグダイアモデルRef.4968/400R-001。全くの新作としか思えないほど原型を留めていない。その一方で一体何が変わったの?間違い探しですか。というモデルがRef.4897/300G-001。その原型が下のロングセラーRef.4897G-001。
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現物ではその違いがはっきりするのだけれどもモニター画像の比較では実に解りにくい。従来72個のラウンドブリリアントカット(約0.47カラット)のダイアモンドで飾られていたベゼル。これがバージョンアップされて48個のバゲットダイア(約1.21カラット)がセットされ、さらに美錠(ストラップバックル)にも6個のこれまたバゲットダイア(約0.19カラット)が埋め込まれた。で、気になるこれらダイアモンドのお値段比較ですが、従来品Ref.4897G-001が税別314万円に対して、結構瓜二つのラグジュアリー版のRef.4897/300G-001はほぼ50%UPの同470万円ナリ。特別にモデル名も"LADIES CALATORAVA JOAILLERIE"と与えられた。
この価格差と見た目差をどう捉えるか。枕で紹介したホントに姉妹?のダイアモンドリボンでは(姉に較べれば)清楚な妹が税別594万円に対して、ゴージャス極まりない姉(但しバゲットは一切無し)が同742万円で約25%UP。こちらにもモデル名に″JOAILLERIE"の名が追加されている。種明かしすればバゲットダイアはとても高価なものなんです「チャンチャン!」と言う事なのだけれども・・・
個人的には今回紹介するRef.4897G-001はかなりお買い得ではないかと思う。ダイアのあしらわれ方もむしろラウンドの方が清楚で好感が持てるという意見もある。特に日本人女性にはこちらの方がバランスが良さそうである。

このモデルは2009年に見た目を変えずに微妙なモデルチェンジを受けているが、初代は女性用ウルトラシン(極薄)のメカニカルとして2006年にデビューしたRef.4896Gである。
今この時計をボーイズ扱いで小柄な男性にお薦めしようとは思わないが、2006年の初見時は真剣にそれを考えたし、実際に百貨店部門で男性向けの販売実績もあった。逆に言えばデビュー時には日本の女性市場では少々大振り感があった。たったの10年で我々プロのサイズ感も大きく変わっている事に我ながら愕然とする。しかしいつもながらのパテック フィリップのケースの薄さ(たった6.6mm裏スケ、初代は6.35mmでノーマルケースバック)で装着感は実に良さそうだ。
さて、この時計の最大の魅力は文字盤。妖しいまでのミステリアスなサンレイパターンを表現するギョーシェ(細かい連続パターンの筋目彫り)加工を施し、ミッドナイトブルーラッカーを塗って焼いて磨いての12工程で大層な手間をかけて仕上げている。その上から転写プリント手法で最終銀粉をまぶしたアローシェイプインデックスとブランドロゴの化粧。ルーペで見ると下地ギョーシェの影響を全く受けていないブランドロゴと楔上のアワーマーカーが少し浮き上がって見える。実は2012年の秋にスイスのダイアル工場で実際にこの転写プリントの現場を見ているのでこの時計は個人的にとても思い入れが深い。是非店頭でその吸い込まれそうな文字盤をご覧いただきたい。
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さらにロゴ廻りに肉薄すると・・ なぜか浮いているように見えるのは私だけでしょうか?
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この時計はいわゆるココイチ時計でデイリーユースにはあまりにシックで色の個性も強い。ではいわゆるパーティーウオッチかというとインデックス及び18金のドーフィンハンドの片面がサテン調(ロジウムメッキ仕上げ)なので視認性がとっても良く実用性は高いのでバリキャリ向け・・・少しオーナーとTPOを選んでしまう上級?な一本。ただ色目の違いによって印象が大きく異なるモデルでもあり、素材違いのローズゴールドを含めてカラーバリエーションが全4色用意されており、薄色2色はデイリーユースにも向いている。まあ妖艶な美人は懐もずいぶん深いと言う事なのか。

Ref.4897G-001
ケース径:33mm ケース厚:6.6mm ラグ×美錠幅:17×14mm 防水:3気圧
72個のダイヤ付ベゼル(約0.47カラット)
ケースバリエーション:WG(別ダイアル有)の他にRG(別ダイアル有) 
文字盤:ギョーシェ彫装飾のナイトブルー、18金パウダー転写インデックス
ストラップ:ミッドナイトブルーサテンストラップ
価格:税別 3,140,000円(税込 3,391,200円)2016年11月現在
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Caliber:215

ムーブメントはパテックを代表する手巻キャリバー215。シンプル極まりない2針なので超薄仕様だ。2006年に発表されたシリコン系素材Silinvar®「シリンバー」採用の革新的なSpiromax®スピロマックスひげゼンマイが搭載されたことで耐磁性と耐衝撃性が格段に向上している。まさにパテック フィリップの哲学"伝統と革新"を体現した頼もしいエンジンが搭載されている。

直径:21.9mm 厚み:2.55mm 部品点数:130個 石数:18個 
パワーリザーブ:最短44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年11月3日現在
4897G-001   店頭在庫有ります
色違い、素材違いはご予約対応となります。
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)
関連ブログ:着物でパテックフィリップ、ショパール(2016/4/30記事)

10月21日(金)午後4時ごろか。ちょうど四国(愛媛県松山市の百貨店部門の催事)への出張にまさに出発するタイミングで来たFAX。まさか(やっぱり?)の価格改定案内と新プライスリスト。
2か月前のお盆に実施した奈良のパテックフィリップ展でPPJトップから
「各ブランドでの価格改定(値下げ)が相次ぐが、出来る限りやりたくない」と聞かされていたのだが、さすがにここまで円高基調が続いての苦渋の決断だったのだろうか・・・

値下げは販売にフォローなようだが弊害もある。まず第一に直近でご購入いただいたお客様の気分が良かろうはずがない。また販売店にとっては在庫資産の目減りになりかねない。では値上げはどうかというと駆け込み購入があるが、改定後の反動があり販売不振となる。本音で言えば価格改定は無いほうが良い。しかしグローバルな商材は為替変動と無縁では要られないのも現実。
それでも競合ブランドが少ないパテックの場合、為替変動で相対的に小売価格が安くなった国だけを値上げする事で出来るだけ対処してきた様に思う。しかし記憶に新しい昨年1月15日のスイスフランショック(スイス中央銀行の市場介入中止による急激(15%)なスイスフラン高)の際、ティエリー・スターン社長は(恐らく)熟慮の上で世界の各エリア毎に値上げ(日本、ユーロ圏・・)と値下げ(スイス、アジア、アメリカ・・)、据え置き(イギリス)という大胆な荒療治?を2月11日付けで実施した。さらに為替の経過を5か月間観察して、7月1日に再度価格の見直しがなされた。日本に於いては2月、7月のダブル改定となった。
この間の為替変動と価格改定は、2015年1月20日終値超円安の 1CHF=¥136。ドタバタの2月10日に約5%値上。そこから一旦円高で3月16日 ¥120となるも反転し、6月8日には¥134まで円安に戻った。やむ終えず7月再値上げ6%。 ところがこの直後より再度反転しズルズルと円高基調となり今年2016年の年明けには¥120を割り込み本日10月20日にはついに¥105台まで円高が進んだ。これを受けての11月1日より約3%弱の値下げ実施が発表された。
3念推移.gif
今回の価格改定は日本以外ではイギリスのみが超の付くポンド安を受けて8月からたったの2か月なのに再値上げとなる様だ。ブレグジットに揺れる英国は仕方が無いとして、我が国の円高も世界的には無視できないのだろう。
でも昨年度2回合計の値上げ幅が11%程度。そこからの為替推移からすれば今回の値下げ幅はずいぶん小さい気がする。今夏に値下げラッシュだったリシュモン系ブランドの約10%(一部25%なんてのもある)と較べてあまりにも格差がある。
ここで冒頭に話は戻る。パテックには1,000万円クラスやそれ以上のモデルが多々ある。10%下げれば100万も下がってしまう。在庫を抱える我々は冷や汗が出る。さらに直前に購入された顧客はブランドに対しての不信感を持ってしまうかもしれない。逆に下がれば新規販売が増えるかというと短期間に繰り返されたりすると様子見が増えたりで、これまた不信感。そう、値下げの弊害はけっこう大きいのである。
今回、意外だったのはつい先日発表されたノーチラス発売40周年記念限定モデルも価格改定対象だった事だ。10月5日の価格発表時点では価格改定は想定外だったのではないか。本当に急遽ドタバタ、そして不本意?な改定だったように思われてしょうがない。

いい機会なので少し長いスパンでスイスフランを見てみよう。ミレニアムイヤーだった2000年の秋に60円というハイパー円高時代があった。取引先百貨店が夏に破綻した年で毎日走り回っていた記憶がある。当然輸出産業大不振の日本丸は大波に揺られており沈没船に乗り合わせていたようなものか。それでも翌年のバーゼルには出張し確か1CHFが70円くらいだったはずで、結構な額を両替した記憶もある。
2008年までは緩やかに円安が進み景気も徐々に回復したが、2009年のリーマンで急激な円高になる。この年も呑気に秋のスペインに新規導入ブランドの絡みで物見遊山。自前旅行じゃなかったので為替メリットの実感なし。東日本大震災を挟み3年間ほど高止まりしていた円が、アベノミクスが始まった2012年から再度円安に景気回復に向かう。そして3年目の2015年夏から反転して今回の円高が始まった。この辺りで安定するのか?まだ上昇か?こればっかりは誰にもわかりません。ただ、円高=値下げ=微妙な景気 だけは避けてほしいナぁ。
CHFJPY.gif

ところで新価格については個々お問い合わせいただくとして数モデルだけその変遷をご紹介。
Ref.5196J 2,120,000円(2015/2/10~) 2,260,000円(2015/7/1~) 2,200,000円(2016/11/1~2.65%↓)
Ref.5396R 5,070,000円(2015/2/10~) 5,390,000円(2015/7/1~) 5,230,000円(2016/11/1~2.97%↓) 
全て税別、まあ実に可愛いものです。

文責:乾

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前々からチョッと気にはなっていたのだが改めて2016カタログを見直して本稿のタイトルに・・種を明かせば同一リファレンスなのに素材が違う事で針やインデックス等が異なり別の顔のモデル。これが在りそうで中々ない。
レクタングラー(長方形)で2針+スモールセコンドのシンプルウオッチは現行ラインナップ中でこのゴンドーロのRef.5124が唯一。2008年のデビュー時からのロングセラーが今回取り上げるシルバリィオパーリン文字盤(銀と言うよりその色目は微妙にアイボリーがかった白?)にトライアングルインデックスを持つイエローゴールドYGタイプ(下右)。その枝番001はデビューモデルである事を示している。
同時に発表されたWGのヴィンテージローズ文字盤に黒色アラビア(算用数字)インデックスRef.5124G-010(下左)が7年を経て昨年ディスコンとなり、入れ替わりに若々しいブルーサンバースト文字盤にエッジの効いたバーインデックスのRef .5214G-011(下中)にモデルチェンジされた。
いつもながら長々と回りくどいが18金の素材違いで全部異なる文字盤デザインがラインナップされてきた変わり種。詳細に言えばWGのヴィンテージローズ文字盤は植字ではなく転写の黒色インデックスであり、時分針2本の形状も現行2モデルのドルフィンに対してリーフハンドだった。そして小秒針(スモールセコンド)デザインについても素材によって異なっている。
※尚、下の画像は当店スタッフ竹山のマジックハンドによるもので、WGアラビア文字盤のデッドストックはありません。
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しかし本当に″ジキル&ハイド"はこのモデルだけなのか?カラトラバのRef.5296のRG、WGにあるトリプルサークルダイアルとノーマルのバーインデックスはどうなる。さらに従来のバーインデックスに今年アップライドアラビア文字盤が追加された年次カレンダーRef.5396のRG、WGはいったいどうなのか。これらはそれぞれの素材に両方のダイアルがあるので双子の兄弟(たとえに無理があるナァ)みたいなものだろうか。
しかしながらRef.5296P-001のプラチナは同一リファレンス中で唯一のアップライドアラビアインデックスかつリーフハンド、さらにスモセコデザインも異なっている見事なジキル氏であった。しかしこの変人ジキル氏は嫌われるどころか結構なお宝。店頭にまず並ばない希少モデルである。結局これら2品番3点しか現行には無いはずなのでやっぱりパテックの″ジキル&ハイド"はレアだ。グランドコンプリケーションなんかはもっと素材違いによる奇人変人がいて良さそうだが中々にコンサバティブである。

この時計、針と時字(アワーマーカー)及び時分針がシャープ極まりない楔形状なのでブラウン及びネイビー系のビジネススーツとの相性は抜群である。イージークリックを活用してストラップを黒にすればグレーからブラック系スーツにももちろんOKである。さらに12時が植字のアラビアインデックスであり、ストラップ(初期設定)が艶無しの少し明るめの茶色。文字盤色も暖か味のある白なので秋から春まではカジュアルシックに合わせたい。個人的にはザックリとした太畝のコーデュロイパンツにバルキーなシェトランドセーター辺りが気分かと・・

Ref.5124J-001
ケース径:33.4×43mm ケース厚:7.38mm ラグ×美錠幅:22×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:YGの他にWG 
文字盤:シルバリィオパーリン ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートブラウンアリゲーター
価格:税別 2,670,000円(税込 2,883,600円)2016年10月現在

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Caliber 25-21 REC PS

ムー ブメントは、2007年復刻モデルとして発表されたトノー型の傑作モデル"クロノメトロゴンドーロ"の為に専用開発された角型手巻の新キャリバー25-21 REC のスモールセコンドバージョンである。さらに遡れば1934年から1967年まで製造されたCal.9-90(下:1951年製)に酷似している。元々の画像は天地が逆、文字が倒立するが上との比較でくるりと回した。でもなぜか最下辺の9-90は上を向いている。(2016/11/13加筆と画像追加)
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面白いのは御本家クロノメトロゴンドーロのキャリバー鑑賞用裏スケルトン窓とトノー形状の裏蓋とのサイズバランスには少し戸惑いを覚えるが、5214ではケースとキャリバー双方の
形とサイズに親和性が高い為に、むしろ専用ムーブ感を強く感じる事である。 いづれにせよ2モデル限定の少量生産希少エンジンゆえに時計のお値段は当然それなりとなります。(転載)

サイズ:24.6×21.5mm 厚み:2.57mm
部品点数:142個 石数:18個 パワーリザーブ:44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製) 振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾 Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.129(2016/11/13加筆)

2017年10月21日 現在
5124J-001 店頭在庫あります
5124G-011 予約対応となっています

(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

ついに発表。今春のバーゼルワールドでティエリー・スターン社長がコメントしていたノーチラスの限定モデル2型が本日?パテックのオフィシャルHPで公開された。PPJからはまだ正式インフォメーションが無いので価格・入荷状況等は不明。詳細判明次第追記予定です。

昨日10月5日に価格の連絡が来ましたので英文のオフィシャルHPから抜粋し、怪しい翻訳でなぞってみます。
Nautilus Ref.5711/1P-001 40th Anniversary Limited Edition 世界700本限定
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品番の"A"が"P"に変わるだけでえらい事に。プラチナのケースもブレスもサイズに関してはSSと全く同じようだ。唯一ベゼルの6時位置にはプラチナ印のダイア0.02ct.が埋め込まれる事を除いては・・
文字盤は18金イエローゴールド、時分針は18金ホワイトゴールド、秒針はロジュウムメッキされたブロンズ(青銅:銅と錫の合金)とケース素材にあわせてバージョンアップされている。インデックスはホワイトゴールドのカップにバゲットダイア(合計0.34ct.)を埋めて植字されているが、ここは好き嫌いが別れそうな気がする。カレンダー窓はわずかに大きくなりホワイトゴールドの窓枠を備えている。6時の上部には文字盤への過剰装飾を嫌うパテックにしては珍しく大胆にも40周年記念のエンボスが結構大きく記されている。
40周年記念モデルがプラチナらしい噂はあったが、ダイアがらみとは全く予想していなかった。ただモニターで見る限りは現行ステンレスモデルにほぼウリなのでこれはこれで・・お値段もそれなりなのだがプラチナは原材料費が高いだけでなく、その粘りっこい素材特性から鍛造・切削・研磨等の加工全般が物凄く大変な素材らしく、ケースのみならずブレスとバックル全てを作ればどうしてもコストがかさむようだ。

ケース径:40.0mm(10時ー4時方向)ケース厚:8.3mm
防水:12気圧
ケースバリエーション:PT950 
文字盤:サンバースト加工にブルーPVD加工 バゲットダイア付ゴールド植字インデックス
搭載キャリバー:324SC→詳細は過去記事
価格:税別 12,740,000円(税込 13,759,200円)

11月7日追記:海外サイト「MONOCHROME」中に1981年に1点限定で生産されたユニークピースRef.3700/1P(控えめなポイントダイアインデックス付き)の2013年オークション情報が掲載されていた。そのハンマープライスは783,750スイスフラン!11/7のレートが1Sfr=107円なので・・
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Nautilus Chronograph Ref.5976/1G
-001 40th Anniversary Limited Edition
世界限定1300本
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バーゼルの段階で2モデル出るらしいと言われていた。3針モデルは妥当としてあと一型は、ミニットかトゥールビヨンあたり・・はたまたクロノならCHR29系のスプリットでいづれも極少量生産かと思っていたら大外れで量産型のクロノグラフムーブCH28-520を積むことで意外に量産?1300本での発表となった。品番はノーチラスデビューの1976年にちなんでの5976。2年前のブランド175周年の限定各モデルの品番(末尾175や75)と発想が似ている。
ノーチラス最大サイズとなる44mmはレギュラーモデルより3.5~4.0mm大きい。厚さ12.16mmは同一ムーブ搭載のRef.5980よりも0.84mm薄いので腕なじみは案外良いかもしれない。大型化に伴って6時側の積算計サークルも大きくレイアウトしなおされている。
こちらの文字盤素材は真鍮。インデックスは3針モデル同様WGでダイアを包んでいるが3か所はプリンセスカットになって総カラットは3針モデルより少ない0.29ct.。時分針はWGにスーパールミノバと3針同様ながら、クロノ秒針はロジウムメッキの鉄針。クロノグラフ積算の60分と12時間計の時分針はホワイトラッカー仕上げの真鍮製。カレンダー窓も3針と同様にWGの窓枠付きで視認性に優れた大き目のレイアウト。40周年記念エンボスはスペースに余裕がある12時側に横長に配置されている。
現行モデルにプラチナブレスタイプが無いので価格の情報を貰う前は、3針プラチナとクロノグラフWGのいづれが高いのかよくわからなかった。ノーチラスにはローズゴールドのブレス仕様で3針(税別5,730,000円)とクロノグラフ(同9,550,000円)がある。単純比較はできないが3針のプラチナのケース&ブレスの製造コストが相当に高いと想像される。

ケース径:44mm(10時ー4時方向)※リューズを含む3時ー9時方向で49.25mm
ケース厚:12.16mm 
防水:12気圧
ケースバリエーション:WG 
文字盤:サンバースト加工にブルーPVD加工 バゲット及びプリンセスダイア付ゴールド植字インデックス
搭載キャリバー:CH28-520 C 自動巻フライバッククロノグラフムーブメント コラムホイール 垂直クラッチ採用
価格:税別 10,830,000円(税込11,696,400円)

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いづれのモデルもブラウンナチュラルコルク製の記念ボックスに収められる。コルクの質感は一見奇抜な印象を受けるが、リリースの説明では1976年のデビュー時のボックスをかなり忠実に復刻したレプリカボックスとしている。
11月7日追記:海外サイト「MONOCHROME」さんよりオリジナルRef.3700の箱画像拝借。サイズバランスは異なる様だがディティールまでほぼウリ。
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納期はまだはっきりしないが、そんなに先にはならないような気がする。とにもかくにも早く現物を見たい。

10月25日追記
10月14日に販売ルールの案内があった。ご購入実績店舗のみで12月末までに購入予約可能となっており、仮に予約が無ければ我々も実物を見る事すら出来ない。また受注可能本数も店舗ごとに決められているので本当に限られた方のみが購入可能となっている。


文責:乾

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さて、ほぼ全モデルがいつでも人気品薄のノーチラスは発売30周年を迎えた2006年にフルモデルチェンジがなされている。この再デビュー時ラインナップは3針、プチコン、クロノグラフの3種類が用意された。2010年に年次カレンダーが追加され、2014年発表の5990トラベルタイム クロノグラフがモデル的にも機能的にも最新の製品となる。偶然なのか4年毎に新機軸が発表されている。

ノーチラスは見た目より相当薄く感じる時計であると以前に書いた。確かにフルローター自動巻Cal.324(3.3mm厚)の3針モデルRef.5117やマイクロローター自動巻Cal.240(3.98mm厚)をベースキャリバーとするプチコンRef.5712は本当に薄くて手首へのフィット感の良さは無類と言える。ただフルローターに加えて垂直クラッチを採用したクロノグラフCal.28-520にトラベルタイムのモジュール積むとムーブ厚で7mm近くなりケーシングされればそれなりの厚みが出て来る。ケース厚12.53mmはノーチラス最厚モデルである。
顔はどこまでもモノクロームの世界である。トラベルタイムの昼夜表示2箇所の窓に夜間わずかに濃紺が出て来るのみである。同じようなグレーベース文字盤のプチコンWGや年次カレンダーには月齢ディスクのネイビーやカレンダー等に部分的刺し色として赤が使われているのに対して、あまりにもメカメカしい。ノーチラスの中で最も質実剛健な印象である。
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文字盤上部のサークルは針表示のカレンダー。下部のサークルはクロノグラフ連動の60分積算計。8時位置のスケルトン針がホームタイムを指す。4時位置のHOME窓の紺色夜表示とあわせて午後8時を示している。通常時針は8時のLOCAL窓と合わせ午前10時と読む。このローカル用時針は9時位置のヒンジ(耳)形状の上下に分割されたボタンで1時間単位での前進と後退が可能である。リューズガードを兼ねた3時のヒンジ部分の上側ボタンがクロノグラフのスタート&ストップ。下がリセットボタンだが、クロノグラフ運針中に押せば瞬時に帰零(リセット)し、放せば(リリース)即時再スタートさせられるフライバック機能の制御ボタンでもある。
このフライバックは元々軍用目的に開発された。例えば戦闘チームが分かれて多方面から戦闘任務を遂行する際に、フライバックを利用して簡単に共通の経過時間を共有する為に使われたのである。
では平時の現代においてどう使うかであるが、この時計に関しては極めて正確な秒針として利用する事が可能である。大抵のクロノグラフにはスモールセコンド形式で時計秒針が備えられている。しかしこのRef.5990には時計秒針は見当たらない。パテックが誇る最先端クロノグラフキャリバーCal.CH28-520の垂直クラッチが優れもので、クロノグラフ作動時のエネルギーロスがほとんど無い為に、クロノグラフ秒針を回しっ放しにして通常秒針として使用する事が出来るからだ。その秒針運針時にフライバックを使って秒針をゼロリセットさせれば簡単に秒単位での時刻合わせが可能となる。

細かいことながらRef.5990は他のノーチラスとケース構造が決定的に異なっている。3針のシンプルなRef.5711を始め普通は捻じ込み式の裏スケルトン仕様の裏蓋、本体を構成するミドルケース、このミドルケースとヒンジ(耳)部分で噛み合ってビス留めされるベゼルの3ピース構造となっている。Ref.5990とほぼ同じ12mm強のケース厚が有って同系列のクロノキャリバーCal.CH28-520 Cを積むRef.5980ですらこのスタイルは変わらない。そしてベゼルとミドルケースの隙間には黒くて分厚い防水パッキンがしっかり確認できる。ジェラルド・ジェンタ考案のユニークだがシンプルな構造だ。下画像はRef.5711/1A
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ところがトラベルタイムの2つのボタンを9時側のヒンジ(耳)部にレイアウトする大胆な発想でスタイリッシュなデザインに仕上げられたRef.5990では必然的にヒンジ(耳)を利用したミドルケースとベゼルの固定が不可能となった。そこで3時のリューズ側のヒンジ(耳)部分はベゼルではなくミドルケース側に成形される複雑な構造になっている。2つのクロノグラフプッシュボタンもビスが無いのに便乗して?ヒンジ(耳)寄りに配置されておりシンプルクロノグラフのRef.5980よりも操作性が向上している。通常可視できる前述のパッキンも見えずよりエレガンスな新種のノーチラスと言えそうだ。
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ついでながらノーチラスで最薄のRef.5711と最厚のRef.5990の断面画像を比較。5711ではブレスレットの各駒の厚みがすべて均一だが、5990はケースの厚みとのバランスを取るためにケース本体に向かって段階的に駒が厚くなっている。
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この微妙な駒の厚みでケース寄りのブレス部分は良い意味で若干バングルっぽい剛性感があり、5990の大き目で重たいケース本体をしっかりホールドしている。
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店頭のトラベルタイムのラインナップが充実してゆく。アクアノート トラベルタイムRef.5164がステンレスと今年素材追加されたローズゴールドの2本。2015バーゼルワールドで話題をさらった5524G-001カラトラバ パイロット トラベル タイム。そして今回ご紹介のトラベルタイムクロノのノーチラス。レディス唯一のトラベルタイムRef.7134G(未紹介・2016生産中止)のお宝在庫とあわせるとパテックのトラベルタイムコレクション全7モデルの内5モデルが揃った事になる。在庫切れはRef.5175グランドマスターチャイム(175周年記念限定品・下画像)と2016新作のRef.6300Gだが、これらは残念ながら永久に在庫にならないので暫定でフルラインナップという事になる。
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この原稿は2月の初旬の初入荷時に書き始めたのだが、8ヶ月間アップすることが出来なかった。実は入荷検品で機能的に初期不良を疑わせる症状が見られたために何度かのやり取りを経て、最終的にはスイスパテック社の見解付きで今回の入荷となった。誤解を避けるためにそのいわくつきの詳細は店頭でご説明させていただきたい。

Ref.5990/1A-001 ノーチラストラベルタイムクロノグラフ
ケース径:40.5mm(10-4時) ケース厚:12.53mm 防水:12気圧
ケースバリエーション:SSのみ
文字盤:ブラックグラデーテッド 夜行付ゴールド植字インデックス
ブレスレット:両観音クラスプ付きステンレス3連ブレス 抜き打ちピン調節タイプ 
尚、2014BASEL発表の商品リリースはコチラから
価格:税別 5,990,000円(税込 6,469,200円)2016年7月現在


搭載されるムーブのベースキャリバーCal.CH28-520は、それまで頑なに手巻きの水平クラッチに拘っていたパテックのクロノグラフ史を2006年に塗り替えたエポックメイキングなエンジンである。前年発表の完全自社クロノキャリバーCal.CHR27-525は確かに最初の100%自社製造ではあったが、それまでの伝統的製造手法でコツコツと工房で少量生産される手作り的エンジンであり、搭載されるタイムピースも商品というより作品と呼ばれるのがふさわしいユニークピースばかりだ。対してCal.CH28-520は"シリーズ生産"と呼ばれる或る程度の工場量産をにらんだ商業的エンジンであり、パテックフィリップが新しいクロノグラフの歴史を刻み込むために満を持して誕生させた自信作なのだろう。
パテックの自社クロノキャリバー3兄弟の価格は、その搭載機能や構成部品点数に比例せず、どれだけの手仕事が盛り込まれているかで決定される。金銭感覚抜群で働き者の次男CH28-520 C(自動巻、垂直クラッチ、フライバック、部品点数327点)、次がクラシックだけどハイカラな3男坊のCH29-535 PS(手巻き、水平クラッチ、部品点数269点)、そして金に糸目をつけない同楽な長男CHR27-525 PS(手巻き、水平クラッチ、ラトラパンテ、部品点数252点)の順となる。(5960/1A-001記事より転載)

下画像:本機に積まれるトラベルタイム搭載のCal.CH28-520 C FUS
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下画像:従来型の年次カレンダー搭載Cal.CH28-520 IRM QA 24H

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上記2枚の画像でローターで隠された部分は3枚の受けがあるが、この部分はどの派生キャリバーもほぼ変化が無い。それに対してテンプ左のPPシールの有る受け、さらに左の複雑なレバー類がレイアウトされた空間は派生キャリバー毎にけっこう異なる。必要なミッションに応じて搭載モジュールがダイアル側で単純にチェンジされるだけでなく裏蓋側の基幹ムーブメントへもアレコレと手が入れられている(5960/1A-001記事より転載)

Caliber CH 28-520 C FUS トラベルタイム機構付きコラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:31mm 厚み:6.95mm 部品点数:370個 石数:34個 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾

2016年10月2日現在
5990/1A-001 店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田




時計ブランドの紋章(シンボルマーク)と言うのは興味深いところがある。大抵の時計ブランドで指定フォントでの名称(例PATEK PHILIPPE)に加えてシンボルマーク(紋章?)がある。パテック フィリップの場合は言わずと知れたカラトラバ十字。中世12世紀からイベリア半島(現在のスペイン)でイスラム教徒の侵略者ムーア人とカラトラバ砦などをめぐるレコンキスタの攻防があり、4つの百合がデザインされたカラトラバ十字は勇猛なそのキリスト教騎士団の紋章。
ヴァシュロンはマルタ十字、ロレックスには職人の手のひらからインスパイアされた王冠マーク、ブライトリングは翼と碇の組み合わせ、オメガはそのまんまギリシャ文字、グランドセイコーは獅子、もちろんマーク無し名称ロゴだけのショパールやカルティエのような例も多々ある。どうもジュエラー系にこの手が多いような気がする。
興味深いのはロゴ+紋章の組み合わせタイプでは時計文字盤に両者がセットで転写や植字で表示される事が圧倒的である。ところがパテックは文字盤にカラトラバ十字が記された例を知らない。時代によってPATEK PHILIPPEの後ろに"& Co"が付く事もあったが基本的にはブランド名+GENEVEとしか記されて来なかった。

パテックがこのカラトラバ十字をどのようなプロセスでブランドエンブレム化したかは知らないが、PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)のP.94には英文で″Calatorava Cross"の記述が有る。大半が"カラトラバ十字の歴史"とのタイトルでスペインに於ける12世紀から15世紀に掛けての4つの勲爵士団についての説明が延々とあるが、英文も難解なのでパス。ただページ冒頭15行の序文?を以下駄訳すれば
「20世紀始めに著作権の制約が無く珍しくて魅力的なデザインの″カラトラバ十字"をパテック フィリップ社はブランドを象徴するシンボルとして採用した。しかし長らくそのエンブレムの使用には定まったルールもなく、世界規模での宣伝広告にも製品にも有意義なメッセージとして活用されては来なかった。
それにもかかわらず1970年代までには18金リューズの頭と時計ケースの裏蓋にこの魅力的でユニークな意匠が施されるようになった。さらに次の20年間(1990年代迄)でカラトラバ十字は大きく市民権を得て、パテック フィリップ製品をイメージさせる認識を世界的に獲得した。
そして今日ではほぼすべてのリューズと裏蓋(注)、さらには販売促進物(コレクションボックス、カタログ等・・)にもカラトラバ十字が施されるようになった」
(注):資料の発行年2002年当時はノーマルケースバックのコレクションまだまだ多かったと思われる。
※パテック社のカラトラバ十字の使用については19世紀末ごろとのブログ記事もあったが確認できなかった為、上記原文にあった"beginning of the 20th.century."を採用した。


で、結局カラトラバ十字が文字盤に表示されぬ理由はよくわからない。創業期からエンブレム採用まで期間が長かったので途中から追加するキッカケが無かったままでスターンファミリーが1932年に事業を引き継いだ後は、元々の文字盤製造のプロとしてダイアルへは極力必要最小限の表記に抑える主義が貫かれたのかもしれない。にもかかわらずこのマークをブランドのアイコンとして活用し、象徴として認知させたのはスターンファミリーの功績と言えるだろう。1932年に最初のカラトラバシリーズとして初代Ref.96を発表したのも決して偶然では無い気がする。現在カタログ上のカラトラバはシンプルな時刻表示と日付カレンダー機能までのラウンドケースに限定されているが、昨年発表されコンプリケーションカテゴリーに分類されているRef.5524Gにはカラトラバ パイロットトラベルタイムの名称が与えられている。その意味では機能にかかわらずパテックのラウンドケース(真円文字盤系)タイムピース全般をカラトラバデザインと括れるかもしれない。

そんな、こんなカラトラバが、現在店頭で充実しております。独断と偏見で一部コンプリも仲間に引き吊りこんで・・
Ref.5119J-001 YG 税別 2,220,000円(税込 2,397,600円)
Ref.5119G-001 WG 税別 2,420,000円(税込 2,613,600円)参照記事 
特徴的なクルドパリベゼル+ローマンインデックスを持つ手巻きシンプルウオッチ の傑作、 以外に新しい出自で1985年のRef.3919がルーツ。
Ref.5116R-001 RG 税別 2,930,000円(税込 3,164,400円)参照記事
一見はRef.5119ながら希少なホワイトエナメル文字盤モデル。通好みの一本。
Ref.5196J-001 YG 税別 2,260,000円(税込 2,440,800円)参照記事
Ref.5196G-001 WG 税別 2,470,000円(税込 2,667,600円)
ブランドを代表する歴史的タイムピースである1932年発表のRef.96(クンロク)の遺伝子を脈々と引く現行モデル。手巻き+ノーマルケースバック。
Ref.5296G-010 WG 税別 3,040,000円(税込 3,283,200円)参照記事
Ref.5296G-001 WG 税別 3,040,000円(税込 3,283,200円)参照記事
クンロクケースの日付付き自動巻きモデル。枝番001はトリプルサークルタイプの復刻文字盤を採用。
Ref.5123R-001 RG 税別 2,810,000円(税込 3,034,800円)参照記事
手巻き、シンプルこの上ないスモールセコンドの顔ながら、特徴的なケース形状によるユニークな一本。
Ref.5227R-001 RG 税別 3,900,000円(税込 4,212,000円)参照記事
インビジブルヒンジと呼ばれる巧妙な隠し蝶番で裏スケルトンを覆い隠す裏蓋が開閉できるハンター構造の自動巻きモデル。ケースへの手間の掛け方が凄い。
Ref.5153R-001 RG 税別 3,890,000円(税込 4,201,200円)参照記事
5227とは好対照をなす古き良き懐中時計のハンター様式を正当に引き継ぐハンターケースの自動巻き
Ref.5524G-001 WG 税別 5,350,000円(税込 5,778,000円)参照記事
コンプリケーションカテゴリーながらモデル名が・・巷では希少モデルの噂ですが店頭にございます。
Ref.5396G-001 WG 税別 5,390,000円(税込 5,821,200円)参照記事(素材違い)
同じくコンプリから"クンロク"繋がりということで、こちらもパテックを代表するアイコンウオッチ
9/25追記
Ref.4897G-001 WG 税別 3,230,000円(税込 3,488,400円)
レディスをすっかり忘れ物。サンレイパターンのギョシェにエッジの効いたインデックス、シャープな針、上品オーラが凄い。今年ベゼルのラウンドがバケットダイアになったニューモデルが追加発表。
※価格は2016年7月現在

今回は画像手抜きです。ご容赦ください。

文責:乾

 

異常人気のステンレスノーチラス3針Ref.5711/1A-010。先月のパテック フィリップ展のトークイベント質疑でも「なぜ手に入らないのか?飢餓状況を敢えて作っているのか?」との素朴なご指摘があった。
「決して調整しているわけではなく、実は全リファレンスの中で最も製造数は多いが、需要が多すぎてご迷惑をお掛けしている」との回答で意図的な生産調整等は無いが、他モデルの生産を減らしても売れる物を増産し結果的に短命なヒットで終わらせないのはヨーロッパの伝統的な物作り哲学かと・・

スイスの伝統的機械式時計が壊滅的状況下の1976年に、それまでには無かった"ラグジュアリースポーツ"という新機軸として発表されたノーチラス。デビューから今日に至るまでずっとステンレスにスポットライトが当てられ続けてきた。しかし最初からケースバリエーションとして18金ソリッドゴールドもステンレス&18金のコンビネーションモデルも作られていたようである。(下画像のコメント参照)
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10年以上も前になるが、スイス南部の地方都市シヨン(SION)郊外でゴルフをする機会があった。ローカルかつ天然なゴルフ場に集っている紳士淑女は常連のシニアからシルバー世代で微笑ましい老カップルが多かった。そのクラスの高そうな方々が即興・即席のパーティを組んでスコアカードも持たずセルフでカートを引き、思い思いにスタートする実にのどかなスタイル。
おしゃべりが主目的なのかクラブハウスのテラス席で談笑するそんな彼ら彼女らの腕にはパテックのノーチラスを始めラグジュアリースポーツウオッチが多数見られたが、ほとんどがゴールドのモデルだった。
やたらステンレス素材の印象がノーチラスには強いが、現行メンズラインナップ16型の内でコンビ1型ゴールド8型、残る8型がステンレスで構成比率は半々だ。
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そんなことで引き続き今回も18金モデル。ローズゴールド3針モデルRef.5711/1R-001は昨年2015年の発表。税別5,730,000円はステンレスモデルの2倍チョッとだ。ちなみに前稿紹介のアクアノート トラベルタイムのローズ5164R-001とは同価格である。トラベルタイムモジュールと18金ブレスがほぼトントンは皆さんの印象や如何に?個人的にはこのブラウンのダイアルカラーとローズの組み合わせは大いに気に入っている。健康的に焼けた手首に是非巻いていただきたい1本。
素材が変わっても薄さはそのままで、この時計最大の魅力に変わりはない。ケースの薄さのままブレスレット全体が仕上げられているのがわかる。金無垢の重量感はもちろんあるが、抜群のフィット感がそれを快感にしてしまう。
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6時側のサイズ調整用の駒が3個で12時側より1個少ない。腕元の時計を見た時に時計ケース本体が手前側(6時側)に寄っていた方が見易いので6時側を短めにするのはサイズ調整の基本。ただ最近スタッフの岩田がバックルや時計ケース形状、また駒の大きさ等の要因で、両側のバランスは都度検討した方が良いと言っている。確かに人の手首断面の形は千差万別なので場合によっては敢えて12側を短くが正解という事もある。時計と付き合う上で着け心地は本当に大事な大事なポイントなので出来うる限り慎重に見極めて調整したいと思っている。

さらなる魅力については既に紹介済みのステンレス2モデルの下記記事をご参考下さい。
5711/1A-010あぁノーチラス、されどノーチラス5711/1A-011ノーチラスSS白 判官びいき?

Ref.5711/1R-001
ケース径:40.0mm(10時ー4時方向) ケース厚:8.3mm
防水:12気圧
ケースバリエーション:RGの他にSS(別文字盤有) 
文字盤:ライト/ダークブラウン グラデーテッド 夜光付ゴールド植字インデックス
価格:税別 5,730,000円(税込 6,188,400円)2016年7月現在


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Caliber 324 S C/386)
直径:27.0mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個 受け:6枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾
PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY) P.231

2016年9月15日現在
5711/1R-001RGブレス 在庫有です。
5711/1A-011SS白 店頭にてご予約いただけます。
5711/1A-010SS青 店頭で順番無関係のご登録のみです。ご予約はご容赦ください。
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

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パテックの18金は時々ややこしい。上はイエローっぽいがローズゴールド。共通しているのは優しい色目。某有名ブランドR・・のイエローとはり異なりかなりマイルド。
皆さまご存知を承知で18金のおさらい。元素記号Au原子番号79の純度99.99%以上が純金いわゆる24金であり、万年筆のペン先等に使われているが柔らかく変形しやすいので時計のケースやジュエリーとして硬さを保ちつつ加工性を持たせるために主に銀と銅を純金に混ぜた合金が18金である。その際の純金度合が75%つまり24分の18となる事が名称の由来だ。21,22金もその合金度合を表現している。
混ぜ込む25%の内容で出来上がりの色目が異なり、一般的なイエローゴールドは銀と銅が半々だがブランドで6-4、4-6の巾があるようでパテックはたぶん銅多めかと思われる。逆にローズゴールドは赤味を抑えるために銅を少し控えている気がするが、だいたい各ブランドともそのレシピは社外秘なのであくまで憶測だ。
いづれにせよパテックのイエローとローズの色目は控えめで我々黄色人種の肌との親和性が良い。店頭で時計だけ見ているとどうしても18金="ハデ!"の印象なのだが、騙されたと思って是非手首に載せると、その馴染みの良さに驚かれる事しばしである。

今回のモデルはステンレス(Ref.5164A-001)では紹介済みのアクアノートトラベルタイムのローズバージョンで2016年新作モデルである。上画像はわざと昼10時のホームタイム時針と夜10時のローカルタイム時針を重ねた状態で、先月メダルラッシュだったリオデジャネイロと日本の関係にしてある。
ゴージャスなゴールド素材はどうしても派手さが先に立って着用がためらわれがちだが、前述のようにパテックのローズの色目が元々嫌味が無い上に、文字盤とトロピカル(ラバー)ストラップがローズと同系色のブラウンなので、黒と銀のコントラストがきついステンレスモデルよりも着け易いかもしれない。同じ時計ながら両者の印象はそれぐらい違う。
トラベルタイムの機能やモデルの詳細説明はステンレスモデルRef.5164A-001の紹介でしっかり書きましたのでそちらをご覧ください。

Ref.5164R-001
ケース径:40.8mm(10-4時方向)ケース厚:10.2mm ラグ×美錠幅:21×18mm
防水:120m ねじ込みリューズ仕様
ケースバリエーション:RG、他にSS 
文字盤:ブラウンエンボス 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブラウンコンポジット《トロピカル》ストラップ(ラバー)アクアノート フォールドオーバー クラスプ付き 
価格:税別 5,730,000円(税込 6,188,400円)2016年7月現在

さて、ケースバックの仕様もステンレス同様の裏スケルトン。ムーブメントも全く同じなのだがケースとローターが同色系なのでシルバーカラーの地板等のムーブメントに目立っている。ラグ4か所には18金製を表現するホールマークの刻印。
撮影時に気づいたがステンレスモデルのブラックラバーではあまり意識しなかったカラトラバ十字のエンボスがブラウンになるとやたらと存在感が出てくる。ローズゴールド?のバネ棒も目立っておりますが、これはあんまり触りたくないナァ・・
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Caliber 324 SC FUS

直径:31.0mm 厚み:4.9mm 部品点数:294個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年9月4日現在
5164R-001 5164A-001 共に店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

第一回パテックフィリップ展には多数ご来場をいただき誠にありがとうございました。準備、実施、片付けとバタバタし久々の更新となった。早いものでブログも立ち上げから1年が過ぎた。本稿が49番目の記事となる。早いのか、遅いのか?

さて今日は先の展示会で開催したトークイベントからネタをいただいて、当日の質疑応答のあったパテックの時計製造方式について少しご紹介したい。
話のきっかけは2005年から始まった完全自社製クロノグラフキャリバー3部作の開発順番の解説だった。なぜ最初に古典的な形式ながらスプリットセコンドを一体として組み込んだ手巻きキャリバーだったのか。これは出来るだけ薄い手巻きスプリットを作れ!というフィリップ スターン会長(当時社長)の厳命に対して、全く新しい設計を起こすのではなく1900年代前半の基幹エボーシュであったヴィクトラン・ピゲによるスプリットセコンドクロノキャリバーを手本に薄さを追求した復刻設計で対応した。結果短期間(数年)で完成したのがCal.CHR27-525である。
下左:Ref.130(1930年)ヴィクトラン・ピゲ製(未記載?)スプリットセコンドクロノグラフ
下右:Cal.CH27-525PS(2005年発表)
確かに似ているがウリと言うわけでもなさそうな・・
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翌2006年、対照的な革新性あふれる自動巻フライバッククロノグラフCal.CH28-520(下左)が発表された。年次カレンダーモジュールを積みパワーリザーブ表示を備えた拡張キャリバーもいきなりデビューさせたのはよほどこのムーブに自信があったのだろう。高度な垂直クラッチ技術によってクロノ秒針のセンターセコンド利用を可能にし、瞬時日送りカレンダーを採用するなど最先端技術はすべて詰め込まれている。
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2009年、一番後発の手巻シンプルクロノグラフがCal.CH29-535(上右)。前者2点と比べて最も簡単でシンプルなムーブメントに見えるが、開発に一番時間が掛けられた。これは自社化直前まで基幹の手巻クロノエボーシュであったヌーベルレマニア社のCH27-70の人気が圧倒的であった為、これを決して真似ることなく圧倒的に凌駕する骨太な自社キャリバーを水平クラッチ等の伝統的な匂いは残しつつ開発するという実に難儀なミッションだったからである。

以上の自社製クロノの開発ストーリーを復習?をした上でやっと本題。
ところで「手巻きのシンプルクロノが自動巻き年次カレンダー付きフライバッククロノより高いのはなぜか」よく聞かれる質問である。部品点数だって高い方が少ないのだから当然の疑問である。この答えが今回の本題であるパテックの2つの製造方式の違いを説明する事と重なる。
自動巻CH28-520は通称"シリーズ生産"と呼ばれる方式で生産される。組み立てには多数の時計師が携わっており、組み立てる部品をその場で仕上げや調整の手を加えることなく製造される。当然パーツが完璧な状態で時計師の手元に届く前提である。あくまで組み立ては手仕事だが分業によるライン生産方式なので効率的な生産が可能でコストパフォーマンスが良い。

これに対して2つの手巻きムーブメントはグランドコンプリケーションコレクションに対してパテックが現在採用している製造方式にて組み上げられている。シリーズ生産と異なるのは一人の時計師が最初から最後まで責任を持って全て組み上げている。シリーズ生産されるものよりバネ系部品が多用されるために組み立て時に微妙な調整が欠かせないらしい。正に高度な技で組み上げてゆき、一旦組みあがったら完全にバラして再度組み上げる"二度組み"を実施している。もちろんこれが出来る時計師も限られているし、モデルによってはほんの数人しか組めないので年間製造数も限られてくる。この手間暇がコストに反映してそれなりのお値段となる。
尚、手巻きクロノのRef.5170はカタログ上でコンプリケーション扱いながら製造は"二度組み"をするチームグラコン扱いとなっている。
すみません。本日は夏休みボケのようなブログになってしまいました。本人の備忘録という事で勘弁ください。

時計選びで最も重要なのは、見かけだと思っている。そして人から見られた時の見え感も大事ながら自分自身で見る腕元上での見え方が何よりも大事だと思う。十年、二十年と見続けても惚れ惚れする見かけが維持されていると想像出来るかにかかっている。もちろん昨今、幾多のブランドから"今の一瞬"を切り取った尖がったトレンディなタイムピースも発表されている。たった数年後でさえ陳腐化するリスクと背中合わせで腕にする勇気・豪気が無ければ絶対に手が出せない飛び道具。車に例えればランボルギーニかブガッティ。良くも悪くも刹那を生きる潔さがたまらない魅力なんだろうと思う。
パテック フィリップは対極にある。これは良し悪しでなくブランドはそれぞれの哲学を貫こうとしているだけだ。ただパテックが他ブランドと比べた時に高次元でそれを実現できている最大の理由は"メゾン"であることに尽きる。それも形だけの傀儡メゾンではなく100%自己ファミリー資本というバックボーンが無ければ実現不可能だろう。

今回の紹介モデルはパテックを代表する機能である永久カレンダー。既に同じ機械を搭載したRef.5940J、Ref.5140Pを紹介済みなので画像中心のご紹介。で、なんでしつこくこのモデルか?単純に見かけ。さすがに容易に買える価格帯ではないのだが、個人的には現行パテック永久ラインナップにあって一押しの男前モデル。2番目は2016新作として発表されたRef.5140P-017。ただし気を付けないといけないのはデザインに多少の緩さがあるのがパテックの良さ、それがT,P,O,をあまり選ばず着けられる長所に繋がっている。
ところが時計は男前になればなるほどドレスコードが正装に寄りがちで巾も狭くなって来る。特徴的な"Clous de Paris"(クルドパリ 仏語 意:パリの爪または鋲釘、英語表現では"hobnail pattern(ホブネイルパターン)"で靴底用の鋲釘文様のベゼル装飾を有するファミリー(Ref.5116、5119、5120)には全てその傾向があるのだが、なぜか特にこのRef.5139に強く感じてしまう。三つ目玉のコンプリ顔なのでドレス系と言うよりゼンマイ系でジャケパンぐらいは許して貰いたいが、シックかつドレッシイな濃色系スーツと合わせて夕刻以降のデートや会食にお供をさせたい一本だ。時計の格からしてスーツは最低でエルメネジルド ゼニア、本来はジョルジョ アルマーニかブリオーニクラスを合わせるのかナァ!
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銘キャリバーCal.240に組み込まれた永久カレンダーモジュールは現代パテックの黄金コンビで、ともかく薄い仕上がりを実現している。
ちょうど9時位置には曜日調整ボタンがある。
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そして12時側には左から月(閏年サイクルも含めて)調整ボタン、右側は日付調整となる。
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反対の6時側センターのボタンでムーンフェイズ(月齢)を調整する。
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以前にも書いたが欧米での大振りモデルへの要望から、今年は長らく永久カレンダーの主役定番モデルであったRef.5140(径37.2mm)がプラチナ以外全て生産中止になり、少し大ぶりな後継定番としてRef.5327(径39.0mm)が発表された。Ref.5139はその中間の38mm径で、個人的にはこのサイズ感が大層気に入っている。尚価格はRef.5140G(生産中止)と同じで新作Ref.5327Gより税別で30万弱お手頃となっている。
初出は2008年に白文字盤でデビューしたが、1年で生産中止となり現行の黒ダイアルに切り替わって既に7年はロングセラーな二枚目モデルである。

Ref.5139Gー010 自動巻永久カレンダー
ケース径:38.0mm ケース厚:8.7mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤: ブラック ラッカー ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 9,540,000円(税込 10,303,200円)2015年7月現在

Caliber 240 Q 

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:275個 石数:27個 受けの枚数:8枚
パワーリザーブ:最低38-最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
cal.240-1985b.jpg
上が1985年製、下は41年後のCal.240。一見殆ど変化無し、原設計完成度の高さに脱帽!
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PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾

2016年8月5日現在
Ref.5139G-010 店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
お盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を開催いたします。
展示会期間中の土日13日14日の両日午後2時から「パテックフィリップに夢中」と題してライブトークイベントを実施いたします。正規輸入元のパテック フィリップ ジャパンからの特別ゲストを迎えて、突っ込みどころ満載のパテック フィリップの謎に乾はじめ当店スタッフががぶり寄ってゆきます。参加ご希望の場合は席(※本音は寄集めの椅子の都合で)に限りがありますので案内状送付希望を下記からいただき申し込み用紙にお名前等ご記入の上、FAX・お電話にてお申込み下さい。
また今年度の新製品はパテック社の方針で展示が出来ません。ただ事前予約いただければ個別にご紹介が可能です。詳しくはコチラ『パテック フィリップ展』からご覧ください。

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本日の紹介モデルは、通称トリプルサークルの名称で親しまれている個性的な顔を持つユニークなタイムピースだ。最大の特徴であるこのダイアルデザインはパテック フィリップ独特のデザインで、知りうる限り他ブランドには全く見られず一目でパテックと判別が可能だ。紹介のホワイトゴールドに加えてローズゴールドでも同デザインのダイアル展開がある。面白いのはいづれもRef.の枝番が001で、これまたそれぞれに設定があるプレインなソリッド文字盤の方が枝番010である事。つまりこのモデルに関しては灰汁の強いトリプルサークルダイアルが基本で、シンプルな文字盤がサブ的な扱いとなっている訳だ。
このダイアルデザインのルーツを探してみた結果、恐らくPATEK PHILIPPE GENEVE(Martin Huber & Alan Banbery)P.118の右下掲載の1934年製204 468と思われる。元の画質がかなり厳しいので画像は荒れている。
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商品説明によればRef.96とあり1932年が同リファレンスのデビュー年なのでクンロク黎明期に生まれた非常に由緒正しき正統派の変わり文字盤と言える。エボーシュはルクルトで中央秒針付き15石の12リーニュ(Ligne:2.2558291mm)で約27mm径キャリバーとなる。パテックの当時のメインチューナーであったF.V.Piguetがフィニッシュワークを担当している。もちろん手巻き時代のお話だ。それにしてもリューズがデカい。
ところが上述のテキストブックにはこの一点きりしか掲載が無い。しかたがないのでパテック フィリップ インターナショナルマガジンのバックナンバーを繰ってゆくと前々回の記事を触発してくれたクロワゾネ特集なんかが先に見つかってえらい目に合った。結局Vol.ⅢのNo.03の文字盤の変遷についての特集記事内25ページで下の画像を発見。左端が上の画像と同じ1934年発表のアール・デコ様式の伝説的な96モデルとある。ほぼ同じモデルと思われるが下の個体には6時側に SOMAZZI LUGANO とプリントが入っている。ルガノはイタリア国境にほど近いスイスイタリア語圏のリゾート地で美しい湖があったハズ。ソマズィ?(恐らくイタリア語)はたぶん時計店の名前でいわゆるダブルネームウオッチだろう。
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ついでに真ん中は本稿のメインディッシュのRef.5296G-001で2005年発表とあり今日迄11年間の継続はパテックのコレクションとしてはとても長寿だ。右は2010年に生産中止発表になったRef.5396Rで発表が2006年なのでこちらはけっこう短命。際立った白色使いと12時位置の太目の二本線を配置したトリプルサークル、加えてダブルギッシェ、さらにムーンフェイズ+24時間サークルは賑やかに過ぎるが、個人的には結構好きな顔だった。しかし今見直してみると確かにチョッとうるさくて暑苦しい気もする。逆にシンプルな3針の長寿Ref.5296Gのバランスが秀逸なのかもしれない。スターンファミリーが実質的経営権を握って直後の1934年が出自のオリジナルモデル、次世代へのバトンタッチ(2006年クリスマスに息子のティエリーへ次期社長就任通告)への移行期直前にあった2005年にフィリップ・スターンが採用した復刻文字盤デザインには何かしら特別な思い入れがあったのかもしれない。

上述の転載画像と比較の為、正面画像も撮ってみた。
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チョイとピンが甘いですナぁ。1934年のオリジナル(文字盤焼けかも)より多少白っぽいが、実に忠実な復刻ぶりである。パテックのアーカイブはとてつもなくぶ厚いし、特にダイアルはスターン家の稼業だったのでニューモデルクリエイトの引き出しは無限と言うほどあるはずだ。実際幾多のモデルがさりげなくアーカイブからヒントとエッセンスを得てリリースされ続けている。ただ昨2015年の話題の新作Ref.5524Gカラトラバ・パイロットトラベルタイムのようにニュースリリースのコメントが無いとオリジナルモデル不詳と言うものの方が、むしろ多いように思う。ところがこのクンロクに関しては1934年の初出以来文献上では復刻実績が見当たらないにも関わらず、初見でいかにもなパテックの顔と意識せざるを得ない。さらにオリジナルと見比べれば完全に瓜・・と言うよりも、もはやCOPYであってデイトカレンダーの有無ぐらいしか違いが無い。

ところがである。注意深い皆様はもうお気づきかもしれないがもう一箇所重要な相違点がある。現代クンロクRef.5296はPATEK PHILIPPE GENEVE のロゴである。1934年の初代は2点とも PATEK PHILIPPE の後に & Co とあり、改行して GENEVE は同様である。実は初代発表前年の1933年に経営権を掌握したスターン兄弟が社名変更を実施し、それまでのAncienne Manufacture d'horlogerie Patek Philippe & Cie,Société Anonyme(株式会社 伝統ある時計メーカー パテック, フィリップ社)からPATEK PHILIPPE & Cie,S.A.(株式会社 パテック, フィリップ社)になった。そりゃ変えるでしょう。なんぼ何でも社名が長過ぎ!る。
スターンファミリーはその後2回さらなる社名変更をしている。1966年に社長8年目を迎えたアンリ スターンが社史上もっとも簡略なPatek, Phillipe S.A.(株式会社 パテック フィリップ)に変更している。恐らくそのきっかけは後継者フィリップがこの年に入社しており、来たるべき息子の時代を周知させる為であったのだろう。
そして直近の2009年にはPATEK PHILLIPE SA GENEVE(株式会社 パテック フィリップ ジュネーブ)と43年ぶりの変更があった。この年のトピックは言うまでもなくティエリー スターンの社長就任であり、ジュネーブシールとの決別、新たなPPシールのスタートイヤーでもあった。
社名変更脱線ストーリーをもう少しオフィシャルHPから拾うと1839年のPatek, Czapek & Cie - Fabicants à Genève(パテック, チャペック社 - ジュネーブ所在メーカー)以降実に良く変更がなされていて1845年(アドリアン フィリップとの共同経営スタート、チャペックとの分社化)、1851年(アドリアン フィリップ名の社名取入)、1876年、1883年、1901年・・実に1933年のスターン家の事業継承までの96年間に5回も社名変更がなされている。面白いのは現社名に久々にGenèveがついているが創業期(1839~1876年)以来133年のブランクを経ての採用である。一体何が彼ら(フィリップ & ティエリー両氏)にそうさせたのか?これはお盆に聞きたいリスト追加かなァ。
さて話を文字盤へのブランド名称表示スタイルに戻す。現行の PATEK PHILIPPE GENEVE の出現をテキストで追いかけると1937年からの様だ。ただ1940年代前半までは PATEK PHILIPPE & Co GENEVE と混在している。推測だが37年以前からの継続モデルには敢えて仕様を変えなかったのかもしれない。ただ結論づけると1933年のスターン兄弟による社名変更とダイアルへのブランド名称表示変更時期は少し異なって(遅れて)いた。

薄い!やっぱり薄い。横っ面は何度も見ているし、撮ってもいる。それでも改めて見る度にその薄さに驚く。センター軸のフルローターセルフワインディングを収めて厚さ8.43mm。
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Ref.5296G-001
ケース径:38mm ケース厚:8.43mm ラグ×美錠幅:21×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:WG別ダイアル有)の他にRG別ダイアル有) 
文字盤:ツートーン シルバーリィグレイ, ブルートランスファー プリンテッド アワーマーカース
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター
価格:税別 3,040,000円(税込 3,283,200円)2016年7月現在

Caliber 324 S C/390(過去記事Ref.5296G-010より画像とも転載)

ムーブメントはパテックを代表する自動巻キャリバー324系のベースキャリバーだ。かつては315、330と同系列のキャリバーが搭載されていたモデルにも現在はこの最新型キャリバーが積まれている。汎用性が非常にあるようで、年次カレンダーとトラベルタイムの大半に加えて、グランドコンプリケーションでも日付がレトログレードするタイプの永久カレンダーはこの派生キャリバーを積んでいる。実用性重視のキャリバーなので頻繁に手が加えられ、その都度キャリバーナンバーが変わったものと思われる。
PATEK PHILIPPE GENEVE Wristwatches(M.Huber & A.Banbery)230ページのCaliber28-255(1970-1980)を両方向巻上タイプの最終機として、次世代新設計の片方向巻上のCaliber310(225・226ページ、1981年?~)が開発されている。どうやらこれが324系のルーツと思われ、瞬時日送りカレンダー機能も付加されている。実機への搭載はCal.335Cとして誕生5年目のノーチラスの2代目ムーブとして1981年に積まれたようだ。とすれば熟成期間すでに30年以上か・・・
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直径:27.0mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個 受け:6枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年7月29日現在
5296G-001 店頭在庫有ります
5296G-010  店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
いつの間にかもう二週間たらずのお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を開催いたします。
展示会期間中の土日13日14日の両日午後2時から「パテックフィリップに夢中」と題してライブトークイベントを実施いたします。正規輸入元のパテック フィリップ ジャパンからの特別ゲストを迎えて、突っ込みどころ満載のパテック フィリップの謎に乾はじめ当店スタッフががぶり寄ってゆきます。参加ご希望の場合は席(※本音は寄集めの椅子の都合で)に限りがありますので案内状送付希望を下記からいただき申し込み用紙にお名前等ご記入の上、FAX・お電話にてお申込み下さい。
また今年度の新製品はパテック社の方針で展示が出来ません。ただ事前予約いただければ個別にご紹介が可能です。詳しくはコチラ『パテック フィリップ展』からご覧ください。

2016PP展5712_02.jpg
当店"カサブランカ奈良"ではパテック フィリップ導入一周年を記念し、初の"パテックフィリップ展"を開催させて頂くこととなりました。是非ご来場賜りたくご案内申し上げます。本記事は各種メディア(新聞、ウェブ媒体、ラジオ等)での展示会イベント告知のランディングページを兼ねておりますので、読者の皆様にとって(他人行儀なデスマス調の)多少きしょく悪い表現もありますがご了承ください。また既に前回までの記事経由で案内状希望済みの方は改めての案内状請求手続きは不要です。

パテック フィリップは1839年の創業以来、時計業界を技術面・装飾面でリードし、常に世界最高峰の高級時計ブランドで在り続けています。またムーブメント(機械)はもとより文字盤や針などほぼ総ての構成部品を自社内で製造する真のマニュファクチュールです。そのため年間製造本数が限られ、取扱う店舗も厳選されています。日本では現在わずか29店舗のみの展開です。奈良県では当店が唯一かつ、パテック フィリップ・ ショップ イン ショップ形態として近畿地区で最大級の正規販売店です。

初開催の今回は、現行ラインナップの豊富な展示約90点に加え、2016年新製品サンプル約20点もあらかじめご予約いただければ個別でご紹介させていただきます。ご予約方法詳細は下記をご覧ください。 是非この機会をご利用いただけますようスタッフ一同心よりお待ちしております。

※パテック フィリップのブランド詳細は同ブランドオフィシャルHP、または現在ご覧のブランド紹介ブログ『「パテック フィリップに夢中」のアーカイブを御笑読いただければ幸いです。

カサブランカ奈良『第一回パテック フィリップ展』
811()815() 11002000 ※最終15日のみ1700閉場となります
店舗2階パテック フィリップ ショップ イン ショップ コーナーにて
※いつでも、どなたさまでもご芳名帳にご記名いただければご入場はいただけますが、製品紹介はご予約のお客様優先とさせていただきます。

カサブランカ奈良流のおもてなし
その一、見たいモデルのご予約を承ります(2016年の新製品を含む)
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2016PP展5930T_02.jpg
既存モデルならびに2016年の新製品をゆっくり、じっくりご覧いただく為に、日時と希望モデルのご予約を受け承ります。こちらの申込FAX用紙をプリントアウトいただき必要事項ご記入の上、当店宛てFAX(0742-32-5561)下さい。誠に勝手ながら7月末までに当店宛てお願いいたします。ご希望の時間と商品サンプルの確保の可否につきましてはお電話・メール等でご返事申し上げます。

※なお既存モデル・2016新製品ともご対応できないモデルがあります。
 特にカタログ価格表でPRICE ON REQUEST(問合せ対応)の商品は一切ご対応が出来かねます。予めご了承下さい。
※分割ローンをご希望の際の金利はお客様負担となります。詳しくはお問い合わせ下さい。
※ご来場にて"パテック フィリップ時計拭き"を、さらにご成約で"パテック フィリップオリジナルノベルティ"をプレゼント致します。無くなり次第終了します。

その二、特別イベント開催決定!「パテック フィリップに夢中」ライブトーク
日 時:8月13日()14日() 両日とも午後2時より3時半迄
会 場:店舗2階にて 
参加費:無料ですが、お席確保のため上述の申込FAX用紙からご予約下さい。お電話でも承ります。

カサブランカ奈良店長の乾が、商品ブログ『パテック フィリップに夢中』を書き綴る中で、日々次々と湧きおこる疑問点や不明点などをパテック フィリップ ジャパンより来場のゲストに突っ込みます。なごやかに進行するのか、はたまた丁々発止となるのやら・・ ご期待ください。全体を質疑形式にするか、前半は何かテーマを設けてセミナー風にするか日々悩んでおります。当日をご期待ください。展示会もトークイベントも皆様多数のご参加、ご予約をスタッフ共々心待ちにしております。是非よろしくお願い申し上げます。

※イベント開催中は他のスタッフも運営に参加しますので、展示商品の接客商談は出来かねます。あらかじめご了承ください。
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問合せ先:カサブランカ奈良 0742-32-5555 奈良市三条大路1-1-90
E-mail:staff@tokeinara.com

ようやくの実機編である。さすがに書き疲れた感が漂っているが、そんな時の特効薬は画像の見直しに尽きる。特に今回は白七宝焼文字盤の表面テクスチャーの表現が総てであって、誰の目にも違いが明らかになる捉え方を撮影力として求められた。と言うか自ら求めて自虐的に七転八倒して苦悶を味わってしまった。それでも何とか当初の目的は達成出来た様に勝手に思う。一方で、もう一度おんなじ撮影再現が困難な"危ういナァ技術レベル"を自覚させられる結果ともなってしまった。ともあれ画像を・・
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パテックのブランドロゴの盛り上がりが凄い。12時辺りのインデックスも肉厚な感じがする。ただ文字盤表面にエナメル感が無い。そうこれはRef.5116Rに似て非なるRef.5119JのWhite lacquered, black Roman numerals 白ラッカー塗り、黒ローマン文字(クラッシックなシリコン転写技法による)である。そうラッカーの盛り上がりはそれなりにしっかりとある。あって当たり前で、もし薄すぎれば下地の白が透けて最悪グレィッシュで不気味な黒になってしまう。漆黒にするにはこれぐらいの盛りが必要なのだろう。確か以前にどこかの時計雑誌で誰かが他ブランドに比べてパテックの転写文字の厚み(盛り)は非常に薄くエレガントに仕上げてあるウンヌン・・という記事があったが、一体他ブランドはどのくらい盛っているのか一度検証せねばならない。下はライティングを少し変えて同じくRef.5119J。文字盤表面はどこまでも平滑かつ均一である。
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そして次がいよいよ真打Ref.5116Rの御登場となる。まず画像をご覧召され・・
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う~ん、ようわからんノゥ!やたら汚いのはサファイアクリスタルを拭く余裕が無かったのですよ。でもパテックのロゴが明らかに転写プリントのRef.5119Jのそれとは異なってかなり薄い。それでいて下地の白が透ける気配が無いのは、焼結が塗りとは彩色においての性格が根本的に違うからだと思っている。そして恐らく不透明な釉薬を用いているのではないだろうか。
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少しライティングを変えた1枚。上と同じようだが2時から3時辺りにエナメル独特の表面感が見られる。ローマンインデックスもかなり焼かれて荒れた仕上がり感が見てとれる。しかしロゴもインデックスもあまりにも整然と描かれており、人が細密用の筆で書いたものとは思えない。たぶん黒い釉薬を転写手法で塗り付けたのではと想像している。で、さらにアレコレといじくっている内に次のような画像が撮れてしまった(注:"撮った"では無いのが残念!)。
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写真としては明度がおかしいし順光でも逆光でもない変てこな画像なのだがエナメルの表面感をほぼ全体で捉えた貴重なカット。この環境下で比較するために、Ref.5119Jを同様に撮りたかったのだが残念ながらどうやってみても叶わなかった。
仮に、皆様がどちらかの店頭で運良く白の塗りと焼きの文字盤を見る機会があっても肉眼ではほぼ絶対と言って良いほどその違いは判らないだろう。その場にルーペ(キズミ)があったらどうか?黒ならそれなりに見えるかもしれない。でも白文字盤の場合まず見えないが、上の画像のような表面状態に対する既視感を持っていれば光の当て具合の工夫である程度は見えるかもしれない。
最近の女優が4K画質の環境を「毛穴まで一体どうやって隠せというの・・」と嫌うような撮影を今回はやった。その意味ではこの荒れたエナメル文字盤を美しいと見るかどうかは意見が分かれるかもしれない。生身の人肌とアンドロイドの合成の肌をマクロレベルで較べてどっちが良いのか問われているようなもので答えようが無い問題かもしれない。ただ歩留まりの悪さ(結果、高額)とは反して陶磁器ゆえの圧倒的な耐光性が半永久的に文字盤変色を防いでくれる。此処に関しては塗りは全く歯が立たない。

エナメル文字盤の歴史を振り返ると一般的には1900年代前半の1920年代から1930年代の比較的短い期間に多数の高級時計ブランドが採用していたようだ。しかしその後は簡単で歩留まりの良い塗り文字盤が主流になる。そして1990年代になって機械式時計が徐々に復活してゆく中で、前回記事でも少し触れたユリス・ナルダンやヴァシュロン コンスタンタンなどが徐々に生産を復活し始める。
ところがパテックは1960年代から1970年代前半のスイス製機械式時計暗黒の時代にかなり生産数を減少させた以外は1900年代を通じてずっと精力的に各種エナメルダイアルを作り続けてきた。1950年代のアンティーククロワゾネワールドタイムが各オークションハウスで非常な高額で落札され続けているのも当時はパテックしか伝統の技を継承していなかった事が由縁の一つかもしれない。なぜにパテック フィリップは生産効率が悪く当時は市場性が疑われたような高難度の文字盤製作に拘り続けたのか?
それは明らかにスターンファミリーの出自に直結していると思っている。1932年、Ref.96(クンロク)がデビューしたまさにその年に現社長のティアリー氏から三代前(曾祖父)に遡ったジャン及びシャルルのフィリップ家の兄弟が同社の株主(実質経営者)となり、翌年の1933年にはPatek, Philippe & Cie S.A.(株式会社パテック, フィリップ社)が登記され創業家からの経営移譲が終了した。このスターン家は元々パテックにダイアルを供給してきたジュネーブの高級文字盤製作会社(スターン兄弟文字盤製作所)を営んでいたという経緯があった為にダイアルへの拘り方が半端では無い。
下画像はパテック フィリップ インターナショナルマガジンVol.ⅢNo.02 P.16-17に掲載されているスターン家4代である。左のモノクロは45歳のアンリ・スターン(1911-2002)、左下がその父シャルルで右下は叔父のジャン。右のカラー写真、上から当時専務だった42歳のフィリップ(1938‐)、社長アンリ71歳、そして現社長ティエリー(1970-)はたった10歳。
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シャルル・スターンの息子アンリ・スターンが1958年社長に就任し、その息子であるフィリップ・スターンは1993年にその役を継承した。そして2009年に現社長ティエリー・スターンがその任に着いている。時計のプロである前に彼らには文字盤命の遺伝子が受け継がれており、常に他ブランドとは一線を画したダイアルを求め続けるのだろう。恐らくこれからも・・

文字盤以外のRef.5116Rの特徴や詳細は紹介済みのRef.5119G-001とほぼ共通なのでそちらをご覧いただきたい。最後に一応は撮った裏蓋側の絵もご覧いただいて本稿を終了したい。
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Ref.5116R-001
ケース径:36mm ケース厚:7.93mm ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:RGのみ 
文字盤:本白七宝文字盤(Authentic white enamel)
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター
価格:税別 2,930,000円(税込 3,164,400円)2016年7月現在

Caliber:215PS

ムーブメントはパテックを代表する手巻キャリバー215PS。構成部品たった130個の完全熟成の名機に2006年に発表されたシリコン系素材Silinvar®「シリンバー」採用の革新的なSpiromax®スピロマックスひげゼンマイが搭載されたことで耐磁性と耐衝撃性が格段に向上している。まさにパテック フィリップの哲学"伝統と革新"を体現した頼もしいエンジンである。

直径:21.9mm 厚み:2.55mm 部品点数:130個 石数:18個 パワーリザーブ:44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

※最終画像以下のスペック等は過去記事のコピペ+修正なのだが、修正時に気づいたのがケース厚がRef.5119よりも0.5mmも厚くなっている事だ。インデックスとブランドロゴ部分は明らかにラッカーの塗りの方が厚く見えるので、結論として下地となる本白七宝そのものが塗りよりも分厚いという事になる。
これは前稿で触れたように0.5mmの金線の高さがベースの白七宝の厚みとされているのか、または反り返り防止策としての文字盤裏への捨てエナメル焼結による厚み増加なのか、あるいは焼結による真鍮文字盤自体の歪み防止の為に厚みそのものをうんと持たせているのか?実にエナメルの世界は深い。まだまだその扉を開けかけたぐらいなのか・・そのうちに焼きの現場を見れんもんかいノォ

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが・・と言っていたが、いつの間にかもう一か月後となった今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を開催いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。
展示会期間中の土日13日14日の両日午後2時から「パテックフィリップに夢中」と題してライブトークイベントを実施いたします。正規輸入元のパテック フィリップ ジャパンからの特別ゲストを迎えて、突っ込みどころ満載のパテック フィリップの謎に乾はじめ当店スタッフががぶり寄ってゆきます。参加ご希望の場合は席(※本音は寄集めの椅子の都合で)に限りがありますので案内状送付希望を下記からいただき申し込み用紙にお名前等ご記入の上、FAXにてお申込み下さい。

※案内状(7月下旬発送予定)のご希望がございましたら、コチラからお問合せ下さい。


2016年7月17日現在 5116R-001 店頭在庫あります。
(パテック フィリップ在庫管理担当)岡田

そう、またもやである。実は実機編はほぼ完成している。アップを待つだけ状態にある。ところがPPJapanから次の入荷案内があったRef.5296-001について早々の下調べ中に見つけんでもいいものを・・
Patek Pilippe International Magazine Vol.Ⅱ N0.11(2008,Autum)のP.78-85にクロワゾネを中心とした七宝技法が特集されている。見つけたものはしょうがない。今回は手短にお手柔らかでご勘弁を
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何度も紹介しているがバーゼルワールドのPPブース一階にはこんなドーム・テーブル・クロックも展示されている。まさに鑑賞するにふさわしい作品ながら立派な売り物である。ちなみに機械式である。ただゼンマイを鍵等で巻き上げるのではなく、電池+モーターで巻くとの事。このハイブリッド?楽ではあるが、個人的には微妙だ。全面に見事なクロワゾネが施されている。しかし、一体どうやって釉薬を曲面に流し込み平らに焼結させるのか?残念ながらその答えは文中には無い。結局、工房に潜入し、こっそり絵付け焼き入れの真似事などせねばわからんのやろうな。想像するに塗り付ける釉薬が結構粘度が高いのではないか・・アホでも考える事ですが
文章中には唸らされる発見がそこ此処にある。以下抜粋しながら転載(抜粋、修正あり)させていただく

クロワゾネ七宝においては、着色されたガラスが地となる金属に施される。金属表面はちょうど鏡のようにガラスを通して光を反射する。釉薬(酸化金属を混ぜて着色したガラス質の粉末)は、炉の中で摂氏約800度に数分間過熱され、溶融して金属表面にガラス層を形成する。釉薬は何層にもわたって施され、その都度過熱されるが、短時間で均一に溶融するよう、一層の厚さは極めて薄い。
七宝(エナメル)の語源は、古フランク語(7世紀以前の古代フランク人の言語)で「溶融した」を意味する「smalt」に由来する。イタリア語の「smalto」、フランス語の「émail」、ドイツ語の「Email」または「Emaille」はすべて同じ語源である。

七宝そのものの歴史は古いが時計製作の世界に登場するのは16世紀以降で卓上時計・携帯時計(懐中)の文字盤やケース装飾に、ステンドグラスを模した色彩と意匠が最初は使われた。ジュネーブは七宝装飾卓上時計の中心地となり、職人の家系によって世代から世代へと受け継がれた。20世紀初頭に至り、アール・ヌーボーの勃興と共にブームを迎える。そして腕時計の時代が到来した。
今日、伝統的クラフトマンシップを貴重な遺産として保護育成するパテック フィリップのようなマニュファクチュールの努力がなければ、七宝は過去の芸術になっていたかもしれない。

クロワゾネ七宝装飾の製作工程を簡単に紹介する。まずモチーフの輪郭にしたがい、厚さ約0.5mmの扁平な純金(銀、銅の場合もある)の線を曲げてゆく。この際には双眼顕微鏡が多用される。次に特殊な接着剤でこの金線を金属表面に固定。最終的には金属表面を埋め尽くす金線が、地金の上に多数の囲い(フランス語の「cloisons」←原文ママ「cloisonné」?)を作り上げる。クロワゾネ七宝の名はこれに由来とある。やっと、たどり着いた感アリ!
次は釉薬注入で、囲いの中に均一に広げるために釉薬を水または油に溶かし細い筆で塗布を施す。まず最初はフォンダンと呼ばれる透明な釉薬を全体にさらには地金裏面にも塗る。これは「contre-émail」と呼ばれ過熱過程で金属とガラスの膨張率の違いによる地金の反りを防止する為の技だ。透明な釉薬を施された地金は、炉で摂氏800度に加熱される。接着剤と液体はすぐに跡を残さず昇華・蒸発し、釉薬が溶融し始める。数回に及ぶ加熱工程で失敗と成功を分けるのは炉から取り出すタイミングだという。釉薬が完全に溶融してからだと失敗らしい。此処までが下準備で、それぞれの囲いに異なった色の釉薬を施す創造的な工程に進む。一層ごとに加熱されるが、粉末の釉薬は溶融するにしたがって色合いが変化するので、あらかじめ別の金属表面で色の出方を確認するサンプル(下画像)を作っておくのだそうだ。何層にも重なったガラス層が金線の高さ(0.5mmという事か?)に達したら全体を均一にポリッシュし、最後にもフォンダン(透明釉薬)を塗って出来上がり。
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シャンルベとクロワゾネの見分け方の記述もあって、線状の区切りであってもクロワゾネは線の太さが一定であるのに対してシャンルベでは一定ではない。またモチーフが離れている装飾がシャンルベでは可能なので文字盤よりも大きい時計ケース(例えば裏蓋)などに良く採用される。
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また両技法において半透明な釉薬を採用し地金に施された彫りのモチーフを浮き出させる手法が良く使われるらしい。特にギヨシェ装飾(手動式機械で施された同心円状の規則性のあある模様)を浮き出させたものをフランケ七宝と呼ぶ。上の画像の鳥の羽部に粗い筋目彫りがある。下の画像では取り付け中の金線のすぐ下側に葉脈が細かく彫り込まれた葉っぱが穿たれている。前回記事で平安の貴婦人の持つ扇の緑色波状部等はこの手法と思われる。
七宝工程1.jpg
また重なった薄いガラス層の層と層の間に金箔でできた装飾小片(パイヨンと呼ぶ)を配置するとまるで浮遊しているように見える技法があり、花、渦、小鳥、昆虫などがモチーフとして古くから用いられてきた様だ。平安貴婦人で掘り残したのではないかと想像していた金色の花型モチーフはきっとこの技法が使われたのだろう。透明な仕上げ層フォンダンの前にアラビアゴムなどで金箔を固定し、フォンダンを掛ける事で金箔は保護されつつ美しく光り輝くとある。
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結構書くのも大変だが、お付き合いいただく皆様もお疲れかと・・まだミニュアチュール(七宝細密画)のくだりがあるのだがやめときます。最後に上記工程画像とは異なるが共通的なモチーフであろう"極楽鳥"を見ていただいて本稿終了。
7/12加筆:ちなみに知る限りではこの手のタイムピースはセンター2針で極薄自動巻Cal.240が積まれている。価格は時価で複雑さに比例するも最低で800~900万円。まあ1,000万円からと思った方が良さそうだ。同一キャリバーを積むカラトラバRef.5120Gが税別284万、スモセコタイプのRef.6000Gが税別315万なので恐らく時計代で300万程度として文字盤の加工費が最低で500万以上という事になる。あぁ!ナルダンうらめしゃ~
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今回は総てスキャン画像ゆえお見苦しい点ご容赦願います。なんか忘れてると思ったら七宝職人の工房にある仕事机の画像だった。沢山の釉薬のビンと双眼顕微鏡、そのすぐ右下には色見本(前述画像)の丸と角の金属片が見られる。
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文責:乾

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが・・と言っていたが、いつの間にかもう一か月後となった今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を開催いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。
展示会期間中の土日13日14日の両日午後2時から「パテックフィリップに夢中」と題してライブトークイベントを実施いたします。正規輸入元のパテック フィリップ ジャパンからの特別ゲストを迎えて、突っ込みどころ満載のパテック フィリップの謎に乾はじめ当店スタッフががぶり寄ってゆきます。参加ご希望の場合は席(※本音は寄集めの椅子の都合で)に限りがありますので案内状送付希望を下記からいただき申し込み用紙にお名前等ご記入の上、FAXにてお申込み下さい。

※案内状(7月下旬発送予定)のご希望がございましたら、コチラからお問合せ下さい。

前回記事の予告では、今回はエナメル文字盤の希少モデルRef.5116Rの実機紹介の予定だった。ところがあまりにも"このタイミングって!"という掲載雑誌がパテック フィリップジャパン(PPJ)から届いた。アメリカンエキスプレスカードのプラチナ会員および最上位のセンチュリオン(通称ブラックカードホルダー)会員向けに発行されている"デパーチャー"と"センチュリオン"の2誌に挟み込まれる腕時計情報付録パンフレット「WATCHES」。最初はセンチュリオンって何や?状態からググって、人によっては戦車やロケットまで買えてしまう危険なカード(入会金54万円、年会費37万8千円とプラチナの約3倍)らしい。
要するに裕福層と超裕福層向けマガジンの付録「WATCHES」が、パテックフィリップの紹介の中でまずフォーカスしているのがレアハンドピース(希少な手作り時計)でクロワゾネやらシャンルベ等々の各種エナメル技法がてんこ盛りの為、急遽この"中編"の起稿となったわけだ。実機から脱線し、またぞろラビリンス(迷宮)に足を踏み入れる勇気を奮い立たせて・・
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今回は縦長画像ばかりでお見苦しい点はご容赦をお願いして、上は同誌17Pパテックフィリップ紹介扉ページ。左の懐中時計はクロワゾネ(有線七宝)で前回記事紹介済みの鳥モチーフの腕時計文字盤と同じ技法が採用されている。右のモデル名"平安の貴婦人"はチョッとややこしい。運良くPPJ経由で画像が入手出来たので拡大して詳細に睨み倒す。記事中の説明文にはクロワゾネとシャンルベ両技法の組み合わせとあるが、どこがシャンルベで何処がクロワゾネなのか判然としない。問合せるもお互い想像の域を出ず、完全に把握するにはスイスパテック社の職人に聞くしかないとの結論に至った。
そうなると本稿が終わってしまうので間違い覚悟で恥を忍ばず無理やり乾流解説でご勘弁ください。
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明らかに判り易いシャンルベは女性の左上と扇の右のひし形のモチーフが繰り返す部分で、ひし形の枠は明らかに元の18金裏蓋が掘り残されたものである。一個一個のひし形の中は花形、さらにその内側には〇が有線(クロワゾネ)で仕切られていて、外からうぐいす色のバックに花弁は多少緑っぽい青色で中央丸形の花芯部は女性の顔と同じ肌色である。"花芯"が肌色?とは瀬戸内先生が喜びそうやナぁ・・
あと扇の緑色の部分や十二単の袖部分のベースになっている薄桃色の両方とも凹んでいるというか一段レベルが低い状態になっている。此処はえぐり込まれた跡に釉薬を流し焼結させたシャンルベではないかと思っている。そして恐らく扇の緑色部の波状の細かい模様は彫り込む際につけられた模様で深い彫り跡は濃い緑に、浅い部分は薄く焼き上がるのではないか。
そして女性の顔と首の肌色部分は非常に平滑であり明らかにクロワゾネ技法である。ただ眉と目の黒は肌色釉薬焼結と同時に焼かれて微妙な滲みがあるが、唇の紅色は全く滲んでおらず此処だけは焼結後に細密筆で描き焼かれたミニュアチュールであろう。なお扇の黄土色部分やその右上のワインレッド色部等に見られる丸形や花形の金箔状の装飾は一体どんな技法なのか?全体がシャンルベで金箔部を掘り残して焼結後に花形部などはさらに内部を細かくエングレーブかなあ。確かに下側のワインレッドベース部の網目紋様?も先程の扇緑波型部同様に深彫り網目をすれば濃く焼き上がってこう仕上がるのではないか。
さらに聞けていないが数度に及ぶ焼結の工程で釉薬が塗られていない生身の18金素材表面部分は酸化して茶色く変色する?はずで、最終焼結後に手間をかけて丁寧な研磨を受けるのだろうか。この装飾工程全部で一体どの位の時間がかかり、何人位の熟練職人が関わるのだろうか?全く見当もつかない。
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何とも豪勢なノーチラスである。此処までやれば男のダイヤモンドも"あっぱれ!"で有りかなと思ってしまう。文字盤からベゼルにかけての装飾のモチーフは実にカラフルな不死鳥。彫り物と言いたくなるように技法は絵に描いたような(洒落では無い!)判り易いシャンルベである。ただ平安の貴婦人のように深彫りによる高低差を付けずに実に平滑に仕上げられている。そして一旦焼かれた上からさらに細密画法(ミニュアチュール)で羽根のディティールを表現した茶や青の線が描かれ再度焼かれているようだ。3針が金色と言うのがこれまた何とも濃~い!気になるお値段は時価となっている。さあ皆さん、こちら、HOW MUCH?
このタイムピースであと語るとすればビッシリと敷き詰められたダイヤモンドのセッティングなのだろうが、すみませんそちらは全く不勉強な生粋の時計屋ですのでご勘弁を・・
何となく尻切れトンボのような今回の幕切れ、いよいよ次回は実機紹介をお盆の初パテック フィリップ展詳細ご案内より先に出来そうかなぁ

7月9日追記:今回紹介のタイムピースも前回の鳥モチーフのクロワゾネダイアル腕時計と同様に今年のバーゼルワールド・パテック フィリップブース1階のレアハンドクラフトタイムピースコーナーに展示され、一応発注も可能ということになっていた。懐中時計の"平安の貴婦人"なんかは上から吊るされてゆっくり回転して表裏両面を魅せる演出付きであった。
出来上がりが微妙に異なるゆえ、全ての個体をユニークピースと見て良いのだが、Ref.毎にくくっても生産数は恐ろしく少ないはずで、注文してもまず入荷しないと言われている。ただ今年は世界(特にヨーロッパと中国)的に景気が怪しいために例年と比較して入荷の可能性が高いとの案内を受けた。
実際に当社百貨店部門では数点発注を掛けたが今のところ受注OK等は受けていない。もっとも通常の新製品ですら早くて8月下旬各正規店にデリバリー開始が通常スケジュールなので、正式な返事はまだまだとして首を長~くして、財布のひもをしっかり握って待ち続けたい。要するに皆さん顧客様とおんなじ心理なのですョ 我々も・・

文責:乾

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが・・と言っていたが、いつの間にかもう一か月後となった今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を開催いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。
展示会期間中の土日13日14日の両日午後2時から「パテックフィリップに夢中」と題してライブトークイベントを実施いたします。正規輸入元のパテック フィリップ ジャパンからの特別ゲストを迎えて、突っ込みどころ満載のパテック フィリップの謎に乾はじめ当店スタッフががぶり寄ってゆきます。参加ご希望の場合は席(※本音は寄集めの椅子の都合で)に限りがありますので案内状送付希望を下記からいただき申し込み用紙にお名前等ご記入の上、FAXにてお申込み下さい。

※案内状(7月下旬発送予定)のご希望がございましたら、コチラからお問合せ下さい。

どう読んでも"イーメール"e-mail"としか読めない。何年やっても初級から抜け出せないフランス語かぶれの姐に言わせると仏語の読みは"エマーユ"となるそうだ。ただ厳密にフランス語表記するならば"ÉMAIL"とEの上にラテン系言語に特有のアクセンテギューをつけなければならないはずだ。今回これに気づかされて長年のもやもやが吹っ切れた。そう、英語っぽくしか見えないのはアクセンテギューが無いからだったのだ。ティエリー社長頼むからちゃんと付けて下さいよ。
重箱の隅はほっといて、パテック フィリップのタイムピースにおいて6時位置にインデックスの巾にほぼ合わせて極小で描かれるこの5文字は、水戸黄門の印籠級の扱いがなされている。しかし総てのモデルで6時位置に5文字表記があって、この違いは教えられないと気づかずに見過ごしてしまう方が多い。その非"EMAIL"モデルの5文字表記は"SWISS"となっている。しかしながらこのRef.5116に限らず、今やパテック フィリップのエナメル文字盤モデルは総てが超レアなので店頭で見比べる機会はまず皆無だろう。画像では上がRef.5116のエナメル焼き文字盤、下がRef.5119のホワイトラッカー塗り文字盤。インデックスの黒っぽさに微妙な違いがあるのがわかる程度で文字盤の表面感は全く同じとしか思えない。

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エマーユは日本語では"七宝"。七つの宝なのでとても貴重で高い価値を持っている事になる。でも普段使いする鍋やマグカップの表面処理に多用されている琺瑯(ホウロウ:この漢字は絶対書けませんナァ)も原理は同じ・・らしい。
また当店一階で扱っているエントリークラスのボールウオッチのクラシカルな白文字盤が魅力なキャノンボールⅡにはコールドエナメルなる手法がなされている。かくのごとくエナメルは多様性があり根本から勉強をしなければならぬ次第となった。コールドエナメルの良い記事を見つけたので貼っときまして説明は省略御免です。

まず、ウイキペディアでエナメルを引いてみると英語表記は"ENAMEL"であり、陶磁器の釉薬("ゆうやく"よりも"うわぐすり"が解りやすいでんナぁ)とある。正確ににはポーセリン エナメル(porcelain enamel)と言う。そして原材料の名称に留まらず金属表面をその材料で加工する行為もエナメルであり、美術的技法を七宝焼き(仏:Cloisonné:クロワゾネ)と言い、工業的な製法としては琺瑯と呼び一応区別されている。その他にもこれら本来のエナメル特有の光沢感を連想させる塗料やカバン、靴・・等々なんやかやとあって定義が好き勝手に拡大している感があるが、本稿では時計文字盤に限って自ら学びつつ掘り下げての紹介が出来ればと思っている。

ここのところ更新が間延びしたが、公私とも色々あった以上にこのエナメルという奴は奥が実に深そうで取っつきにくかったのが延び延びの原因・・これはやっぱり言い訳やナぁ。
ブログ遅延の為に店頭に出せない金庫のRef5116Rにストレスを抱えながら10日程経った頃に大阪のホテルでパテック フィリップの本黒七宝焼文字盤を拝見する貴重な機会を得た。しかも単純なキズミ(時計師用ルーペ)ではなく、どちらかというと宝石用の照明(通常ライトと蛍光確認用のブラックライト)を備えたカール・ツァイス仕様のレンズ搭載の超高級ルーペを拝借してというおまけつきだった。価格数十万と聞いたこのルーペが凄いのは普通のキズミがレンズ中央部分にのみにしか焦点が合わないのだがレンズ全面に焦点が合ってしまって笑らけるくらい見易かった。正直購入を検討し、色々とググってみるが何とも見当たっていない。どなたかご存知の方おられれば是非ご紹介下され。
たぶん過去にもバーゼルのパテックブース等で黒エナメルは見ているはずなのだが、なんせ頭の中がエナメル、エナメル、エナメル・・状態で見なければ初見と同じだったという事で。
閑話休題、このルーペでみたブラックエナメルダイアルは見事に凹凸や気泡跡などまさしく焼きの痕跡がしっかりあって、これをラッカー(塗り)と見間違える事はド素人でもまず有り得ないだろう。ちなみにこの見分けやすい黒の七宝文字盤の方が白七宝よりも製作が非常に困難との理由で現在はパテック フィリップのほぼ独占状態になっているらしい。パテックHP内の参考記事はコチラ

次に"七宝焼き"をググれば、かなり色々と詳しく出てきた。ママ引用(文字)すると以下である。
七宝焼(しっぽうやき)とは金属工芸の一種で伝統工芸技法のひとつ。青銅などの金属製の下地の上に釉薬(ゆうやく:クリスタル、鉱物質の微粉末をフノリでペースト状にしたもの)を乗せたものを摂氏800度前後の高温で焼成することによって、融けた釉薬によるガラス様あるいはエナメル様の美しい彩色を施すもの。日本国内では、鉄に釉薬を施したものを、主に琺瑯(ほうろう)と呼ぶ。中国では琺瑯(ほうろう/読み:ファーラン)という。英語では、enamelエナメル)という。七宝焼の名称の由来には、宝石を材料にして作られるためという説と、桃山時代前後に法華経の七宝ほどに美しい焼き物であるとしてつけられたという説がある。
歴史的には紀元前から始まって発祥は中近東。シルクロードから中国経由で飛鳥時代には日本へやってきていたようだ。ウイキペディアによれば日本、中国そしてヨーロッパにそれぞれ多種の技法があって近似のものも多い。全部紹介出来ないし、したところで引用だらけになるので時計に関するヨーロッパ系のものだけ以下引用する。

ペイントエナメル(painted enamel)

あらかじめ単色で焼き付けたエナメルを下地とし、その上に、筆を使ってさらにエナメル画を描き、焼き付ける技法。人物や植物を描いたミニアチュールが例として挙げられる。
時計文字盤でのミニュアチュールは細密画と言われる手法だったはず。数年前のバーゼル会場のブランパンブースのエントランスにあるイベントスペースで女性細密画師のデモンストレーションを拝見した記憶がある。

シャンルヴェ
(champlevé)
土台の金属を彫りこんで、できたくぼみをエナメルで埋めて装飾する技法。初期の頃は、輪郭線の部分をライン状に彫りこんでいた。技術の発達につれて、逆に、面になる部分を彫りこんでエナメルで装飾し、彫り残した金属部分を輪郭線とするようになった。
日本の象嵌七宝に近いらしい。時計文字盤ではたまに見るかナぁ、前述のペイントエナメルや後述するクロワゾネ手法の際に部分的に採用されていた記憶があるような気も・・

クロワゾネ(cloisonné)
土台となる金属の上に、さらに金属線を貼り付けて輪郭線を描き、できた枠内をエナメルで埋めて装飾する技法。シャンルヴェよりさらに細かい表現が可能になる。日本の有線七宝はここに属する。
時計のエナメル文字盤装飾で最も多用されている技法ではないかと思う。忘れられないのは1990年代に奈良の百貨店テナント時代に盛んに販売していたユリスナルダン。数年間にわたり毎年限定でサンマルコというラウンドケース時計の文字盤に往時の天才クロワゾネ職人ミッシェル・ベルモー氏が焼き上げていた風景や海戦(シーバトル)シリーズの限定モデルだ。当然のことながら製作数が少なく各5~50個程度でYG、WGが主でPtもわずかにあったかもしれない。18Kでアリゲーターストラップ仕様で確か200万円前後だったはず。価格については隔世の感あり。これも何で買っとけへんかってん、どアホでんな~
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画像が綺麗だったもので、アンティーウオッチマンさんのホームページより借用加工させていただきました。事後承諾ご容赦下さい。そして下は今年のバーゼルのパテックブース一階(あちら風に言えばグランドフロアまたは単に"G"?か)に希少なハンドクラフトとしてショーケースの中に飾られてたクロワゾネのユニークピース。NIKONのコンデジでノーフラッシュだから当然ASA上げてほぼ絞り解放でシャッタースピード稼いで撮った一枚。敏腕レタッチャーの竹山が明日からのスイス出張の為、成田前泊に先程出発した為にディスプレイ用のウオッチリングやら背景やらをフォトショップでにわかレタッチ親父自らが怪しげに加工しております。それゆえ今回は文字盤だけご注目という事でご勘弁ください。

クロワゾネどころかエナメルそのものもド素人とまずお断りした上で、この上下の文字盤は随分印象が異なる。ナルダンのこのピースはたぶん後期型でミッシェル・ベルモさん自身ではなく彼の娘さん(お名前失念)の作と思われるのだが、一個一個の有線(金製)で囲まれた部分がほぼ単色である。ベネチアの観光名所リマト橋下の運河の薄黄緑色の部分と空のもう少し濃い黄緑の2箇所だけは濃い目の緑が塊状に散りばめられて焼結されている。その他は単色のみで彩色の異なりは総て有線で区切る事でなされている。いわば単色の布切れをパッチワークした状態。
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それに対してパテックは有線の区切りそのものが非常に少ない。鳥の顔の目の下のパート(区切り)では中央部分が白いが顎はコバルトブルーでその境界は微妙にグラデーションしている。例えば全く同じ文字盤二枚に有線を全く同じ位置に配置できたとしても2色の釉薬を同位置に塗り分ける事はまず不可能だろうし、焼結工程での混ざり合う具合など神のみぞ知る世界ではないのか。もちろんこの顔パートだけではなく殆どの区切りで2色、いや3色もありそうだ。この着色の技法の違いが両者を全く違うクロワゾネエナメルダイアルにしている。パテックの手法では絶対に同じ文字盤が世界に一枚しか存在しない。つまり究極のユニークピースたる由縁が此処にある・・としておこう、ふぅ~なんせ素人ですから断定は禁物。再来月のパテック展でのライブトークイベントも決まった事だし、この辺の推測の整合性を突っ込んでみる事としよう。そうそうなぜ七宝文字盤は黒や濃色の方が白色よりも製造が困難なのかも聞かなあかんしなぁ あぁしんど!
やはり予想通り大長編の気配が漂ってきた。後編では実機紹介となるがこれまた撮影が滅茶苦茶厄介だった。白色の七宝なのでルーペでさえラッカーとの違いは見慣れないとまず無理。はたしてマクロレンズで捉えきれるのか?次回に斯うご期待。

文責:乾

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を実施いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。
展示会期間中の土日13日14日の両日午後2時から「パテックフィリップに夢中」と題してライブトークイベントを実施いたします。正規輸入元のパテック フィリップ ジャパンからの特別ゲストスタッフを迎えて、突っ込みどころ満載のパテック フィリップの謎に乾はじめ当店スタッフががぶり寄ってゆきます。参加ご希望の場合は席(※本音は寄集めの椅子の都合で)に限りがありますので案内状送付希望を下記からいただき申し込み用紙にお名前等ご記入の上、FAXにてお申込み下さい。

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これほどダイアルカラーで人気度合が異なる時計は初めてだ。
ノーチラスステンレス3針カレンダー5711/1Aは2006年フルモデルチェンジで誕生したのだが、過去Ref.に遡ってそれぞれの色目の初出は何時か?これが何をどう見てもサッパリわからない。過去の資料に記載されている画像はことごとく青(青黒)または一部黒文字盤と濃色一辺倒だ。ひょっとして文字盤カラーを表す枝番011から図って、2006年フルモデルチェンジデビューの5711/1A-001が後年ブレスの仕様変更(駒ネジ→ピン)で010になった際に追加カラーとして淡色として初お目見えと推測した。確認の為に関係各方面問合せの結果、答えは大外れであった。

順を追ってゆくとまずRef.5711/1Aは2006年にノーチラス誕生30周年記念フルモデルチェンジのベーシック3針モデルとして、人気実績のある青黒(枝番001)のみで発表された。
しばらくして枝番チェンジ無しでブレス駒連結方式が駒ネジからピン仕様に経過変更(ランニングチェンジ)された。そして2010年春に文字盤の厚み変更(厚くなった)にともない枝番が010へ変更された。相前後してエンボス横縞パターンも微妙に経過変更された。
見かけ変更なしで枝番が変わり、見た目変わっっても枝番いじらずか・・まぁ 謎めいている方が時計も女性も魅力的ということで・・
話が脱線している。結局枝番011のシルバリィホワイトは2012年単純に追加カラーとして発表されていた。ではそれより過去の淡色モデルはあったのか?アッサリと答えが得られ
「例えば1980年代の第2世代のRef.3800/1A-011とか"枝番011"で普通にありました」
なんかだかナァ・・完全に拍子抜け状態・・何のサプライズもなし!

さほどにこのホワイトダイアルの情報は希薄だ。兄貴分の青黒があまりにも語られ過ぎ、ファンを超えた病的?なストーカー(失礼)まで多々いらっしゃるというのに何という格差だろう。依怙贔屓もここまでくると判官びいきしたくなる。で、まずは撮ってみました。
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全国PP正規店29店舗(2016/5/29時点)に青黒は毎年最低1本は入荷している気がするが、白はどうなんだろうか。明らかに青黒との人気度合が違い過ぎて生産数量も絶対に差が有って、極端に入荷数が少ないはずだ。当店にとっても大変貴重な撮影チャンスである。
青黒とは随分と印象が違う。スーパールミノバが塗布された時分針とアワーマーカーの外周部が黒に近い濃紺に塗装(恐らくラッカー)されている。その部分と文字盤が強烈なコントラストを生むため視認性が恐ろしく良い。

兄貴分ブルーブラックの魔性の気配すら漂う文字盤の豊か過ぎる表情変化については近々ノーチラス年次カレンダーRef.5726紹介内で書くつもりだが、この色違い兄弟の決定的な違いは単純なる色違いという事ではなく、おもてうらの無い竹を割ったようなうぶな少年が弟の白、酸いも甘いも知り尽くし様々な顔を併せ持つ渋さが滲む兄貴が青黒。
ただ上の画像ではわからないが、この白は単純な白ではなくパールホワイトと表現したい高級感が漂っている。また横ボーダー柄のエンボスも青黒に比べ陰影が弱めになるためか、細目の横線が単純に等間隔で走っている印象(上画像参照)を受ける。この点もあくまで好みの問題なのだが、それよりも個人的には、色目の違いだけで此処まで印象ががらりと変わることに驚愕している。
並べて比べてみるとこれは全く別の時計にしか見えない。良くも悪くもノーチラスらしくないし、左右の腕に巻き較べれば(あァ~贅沢に懺悔多々)明らかにホワイトが膨張色効果でデカく見えて、どうもジェンタのおつゆ(遺伝子)たっぷりの別モデルに錯覚しそうにすら思えてくる。
事実とある顧客様の言葉として「ひょっとしたらホワイトは、見た人がノーチラスと思わないのではないか?」
それくらいに違うのだ。もし個人的に着用するなら元々図体がデカいし、お客様始め周りや同業者・社員の目を指す青黒010はチョッと・・となってホワイト011の選択しかない。どうしても青黒となれば、ウーンこの手しかないナァ
それにしても、たった一つの染色体の違いで運命が大きく分かれた色白で見かけ大柄やけど爽やかあふれる弟も俺は好きだなァ
そこまで見かけ違えどももちろん同じRef.なので、ご興味あれば詳細はコチラの青黒記事でご確認ください。

Ref.5711/1A-011
ケース径:40.0mm(10時ー4時方向) ケース厚:8.3mm
防水:12気圧
ケースバリエーション:SS(別文字盤有)の他にRG 
文字盤:シルバリィホワイト 夜光付ゴールド植字インデックス
価格:税別 2,790,000円(税込 3,013,200円)2015年7月現在

ブレスタイプの裏蓋は本当に撮り辛い。出来れば避けたいのでレディスノーチラスRef.7118/1Aの画像流用の予定だったが上述にて見た目が違い過ぎる為これより撮り下ろしマス。(010記事転載、画像とも)
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Caliber 324 S C/386)
直径:27.0mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個 受け:6枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年5月30日現在
5711/1A-011SS白 店頭在庫有ります
5711/1A-010SS青 店頭で順番無関係のご登録のみです。ご予約はご容赦ください。
5711/1R-001RGブレス お問い合わせください
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を実施いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。

※案内状のご希望がございましたら、コチラからお問合せ下さい。

東京に行ったり何やかやとバタバタして久々の商品紹介は、希少ステンレスシリーズ第三弾!こちらも三針5711/1A同様に店頭で順番無関係のご登録のみで、ご予約はお受けしておりません。すみません。
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1976年に新しい腕時計ジャンル"ラグジュアリースポーツ"を確立すべくパテック フィリップが投入したノーチラス。今やパテックコレクションの大黒柱であり、特にステンレスはいづれのモデルも需要に供給が追いつかず飢餓状態が続いている。
しかしこの超人気シリーズが誕生した1970年代というのはスイス時計業界の暗黒時代であり、それまでの腕時計の常識を覆す起死回生の飛び道具として開発されたのではないかと思っている。
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パテック フィリップ最高のテキストPATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)の巻末に掲載されているList of historic Patek Philippe reference numbers(上図)によれば、1970年代というのは極端に生産履歴の記載が少ない。1950年代が140Ref.以上で、60年代はぐっと減って25Ref.。そしてクォーツが世界中を席巻した1970年代はわずかに5Ref.しか掲載がない。
しかもその内2つはクォーツムーブだ。残る3モデルは1974年のゴールデンイリプスとシンプルなWGのカラトラバ。そして1976年のノーチラス。ここで注目すべきは薄く小ぶりでエレガントなイリプスも、大ぶりでスポーティなノーチラスも過去のパテック フィリップの遺産からではなく完全な新規開発だった事である。そしてそのいづれもが短期間に大ヒットし、1980年代半ばからフィリップ・スターン氏が取り掛かったコンプリケーションウオッチの再構築の原資になったのではないか。ちなみに1980年代は10Ref.で複雑機構を備えた機械式モデルも復活し、クォーツの記載は無い。
※訂正補足5/29:ゴールデンイリプスの創始は1968年のRef.3548(ブルーソレイユ文字盤、WG)で正確には70年代ではなかった。自社製の丸形手巻Cal.23-300を搭載し、そのケースサイズはシリーズ誕生40周年で初のプラチナモデルとして2008年に発表され現行でもあるRef.5738P(通称ジャンボ34.5×39.5mm)と同じく(当時として)ラージサイズ(27×32mm?)だった。

70年代は時を知る道具としての時計の価値が枝分かれした時代で、どんどん安価になるクォーツに押されて絶滅の危機を迎えた既存の機械式時計各社がもがき苦しむ中、パテックが活路としたのがスポーツラグジュアリー"ノーチラス"による新しい価値感の提案だった。
Cost for value からCost for luxury への転換であり、デビュー時代の広告(下画像右)のキャッチコピー「世界で最も贅沢な時計のひとつは、スチールでつくられている」がそれを良く表していると思う。
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ノーチラスをデザインしたチャールズ・ジェラルド・ジェンタ氏の時計デザイン上でのポリシーは着用感向上であり、その鍵が"時計の薄さ"であった。ノーチラスでそれを実現するために彼が採用したのが独立した裏蓋が無い特殊な2ピースケース。このケース構造実現の為に設けられたのが3時と9時の両サイドの耳で特徴的なベゼル形状と合わせて全く新しい斬新な時計デザインが誕生した。そしてその薄いケースには、もちろんパテックお得意の薄いムーブメントが積まれた。1976年のノーチラスファーストモデルRef.3700/1に積まれたのはルクルトへ特注した自動巻カレンダー3針ムーブCal.28-255はセンターローター仕様で厚さ3.15mmであった。
それまでに無かったシンプル、実用的、かつラグジュアリーを併せ持ったノーチラスは瞬く間に大ヒットし、ケースサイズ変更やパワーリザーブ表示、レザーストラップ採用、スケルトンバック化、ムーブメント変更などの様々なマイナーチェンジがあった。しかしセンターローター自動巻カレンダー3針という基本スタイルは2005年登場のプチコンRef.3712/1Aまで29年間も変更されなかった。
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ところで2006年シリーズ誕生30周年を控えた前年2005年。ノーチラス初のバリエーションモデルであるプチコンRef.3712/1Aが発表されたった1年で生産中止になっている。顔は今回紹介のRef.5712/1Aとウリである。
これは、翌年のシリーズフルモデルチェンジ発表サプライズに備え、初コンプリケーションバリエの市場反応を伺うテストマーケティングだったと勝手な想像をしている。ちなみに個体数が極めて少ないRef.3712/1Aは今現在中古市場では結構高額で流通されているようだ。
そう考えると当時急速なクロノグラフムーブメントの完全自社生産化も推進していたパテックは、2006年発表された先進的かつ量産型クロノグラフムーブCal.CH28-250を30th.Aniv.新生ノーチラスへ搭載して2種類のコンプリケーションを30周年サプライズの花にする事を早々と計画していたのではないか。その後2010年に年次カレンダーRef.5726、2014年にはトラベルタイムクロノグラフRef.5990。矢継ぎ早にノーチラスコンプリファミリーの充実が図られた上でプチコンはとても重要な役割を担っていたように思える。

Ref.5712/1A-001
ケース径:40mm(10時ー4時方向) ケース厚:8.52mm
防水:6気圧
ケースバリエーション:SSの他にストラップ18金モデルありWG,RG 
文字盤:ブラック ブルー 夜光付ゴールド植字インデックス
価格:税別 3,740,000円(税込 4,039,200円)2015年7月現在

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搭載キャリバーはパテックを代表するマイクロローター採用の超薄型(2.53mm)自動巻ムーブメント240の派生型。プチコンモジュールを組込んでも3.98mm厚に抑えている。結果ケース厚も8.52mmで、元祖のRef.3700からたった1mmしか太っていない。正面から見た印象と実際の厚みにギャップが大きいノーチラス。ここが他のスポーツラグジュアリーとは一線を画していてジェンタの企みが、今も息づいているようだ。
(過去記事より画像とも転載)
くどい様だがRef.5712/1Aは2006年にノーチラス誕生30周年を記念したフルモデルチェンジで発表されたが、その前身は前年の2005年のRef.3712/1Aである。搭載ムーブメントCal.240PS IRM LUは、1995年に下画像Ref.5015用に開発されたCal.240/152をルーツとする。
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1976年リリースの極薄ムーブメントCal.240のプチコンモジュール搭載にあたり小秒針(スモセコ)5時位置へのオフセンターレイアウト設計もデザイン要因以上に統合ムーブメントの肥大化を少しでも軽減するべくはかられたのだろう。
ところで以前WGのRef.5712G-001紹介の際、現在はスケルトンの裏蓋が外せそうなので3ピース構造へ変更されたと書いた。そしてこの裏蓋一体どうやって開けるのか疑問提示した事がある。この件、先日機会を得て確認が出来た。何と外せそうに見える裏蓋はミドルケースと合体しており、今なお2ピース構造のままだった。では、ムーブへのアクセスはどうやるか?それは・・・書けない。書いてはいけない。店頭では結構おしゃべりなんですが・・・
※5/29訂正PPジャパンサービスセンターに再度聞き取りの結果、すみません!正確にはやっぱり3ピースだった。ついでに他のノーチラスについてもケース構造やそれに関連する防水性能等の興味深い話が聞けたのだが、やはり書けない。書いてはいけないという点でスタンスは変わらない。ただペンにキャップは出来ても、口にチャックは無理だろうナァ・・

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Caliber 240 PS IRM C LU(上画像はWGのRef.5712Gを転用)

直径:31.0mm 厚み:3.98mm 部品点数:265個 石数:29個 
パワーリザーブ:38-48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾
Patek Philippe Internaional Magazine VolⅡ No.8 別冊付録ノーチラスニューコレクション1976-2006:NAUTILUS,THE LEGEND LIVES ON P.4
PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY) P.230 .235

2016年5月20日現在
5712/1A-001 店頭で順番無関係のご登録のみですが、現在チャンスです。
5712G-001 店頭在庫有ります
5712R-001 店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を実施いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。

※案内状のご希望がございましたら、コチラからお問合せ下さい。





さてパテック フィリップ インターナショナルマガジンにはまだ掲載されていないが、実は昨年11月に腕時計ジャンルのハンマープライスのレコードは書き換えられている。
新チャンピオンはやはりパテック フィリップだがアンティーク時計ではない。
難病治療のためのチャリティーオークション"ONLY WATCH"に出品されたRef.5016Aステンレス製のデイトレトログラード永久カレンダーミニットリピーターという超絶時計で、もちろん1点もの。
この怪物時計を7,300,000CHF(約8億3,200万円)で落札した豪傑は映画俳優のブラッド・ピット氏。奥様のアンジョリーナ・ジョリーから貰ったアンティークパテック(下画像)へのお返しというのが憎すぎる。
元々 アンジョリーナが結婚記念にプレゼントしたのは、プラチナ製スモセコ付き2針手巻のRef.2458。2012年11月にジュネーブのクリスティーズでシンプルウオッチ部門としては過去最高額3,779,000CHF(約4億3,100万円)で落札された代物。
この個体はマガジンでも何度か掲載されていて、アメリカの著名弁護士J.B.チャンピオン氏が天文台精度コンクールで入賞した特定のムーブメントの搭載を切望し、1952年に特別に製作された我儘な超レアピース。
但し、2012年の落札者は、どうもアンジーではなさそうだ。J.B.チャンピオンの時計についてWEB上で検索すると関連記事が複数あって、アンジーの購入は2014年に200 万USドル(2億2,000万円)との記事がある。この時間と価格の差は調べるも全く判然としなかった。どなたかご存じないでしょうか。ま、どっちにしても彼らセレブの金銭感覚は庶民と"0"の感覚が最低でも2つ~3つは違っている。
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著名なミュージシャンにもパテックフィリップのファンは多い。2012年に天才ロックギタリストのエリック・クラプトン愛用品の高額落札も当時話題になった。モデルはオークション常連の永久カレンダークロノグラフRef.2499/100のプラチナ製。2499の製造中止を記念して1987年に製作され、1989年の創業150周年記念オークション「パテックフィリップの芸術」に出品され240,000CHF(約2,736万円)で販売された。現在パテックフィリップミュージアム所蔵の1本と合わせてたったの2本しか現存が知られていない代物だ。最初の落札者がクラプトンだったのかは記載がないが、彼の所有を経て2012年にジュネーブのクリスティーズで3,443,000CHF(約3億9,250万円)で落札。たった23年間で14倍ものプレミアを生んでいる。
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人気のワールドタイムで最も多く出品されているのがRef.2523である。1950年代前半に天才時計師ルイ・コティエ氏によって製作されたこの名作は、彼が1959年に開発特許取得する画期的なタイムゾーン・ウオッチの機構は未搭載で、9時位置の第2リューズでシティディスクを操作する必要があった。
24時間サークルの内側は個体によってクロワゾネ(有線七宝)の地図、ブルー(大洋)エナメルやギョーシェ細工等が施されており、現行モデルにもその装飾理念は受け継がれている。下画像は1953年製作の個体だがブルーエナメル部にイタリアの高級時計店"GOBBI MILANO"の銘がある。いわゆるダブルネームも落札金額を過熱させるようで2,675,000CHF(約3億500万円)で2010年11月にクリスティーズ・ジュネーブで落札された。ローズゴールドのこのモデルは30年間でわずか2個しか出品が無かった超希少品だ。
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しかし、なぜパテックフィリップのタイムピースがこうも高額になったのであろうか。マガジンによれば次の3点となる。
①1989年に創業150周年を記念したキャリバー89が320万ドル(約3億5,200万円)という空前の価格で落札された事が引き金となった。
②1990年代になって湾岸戦争不動産バブル崩壊等の社会不安により資産の安全な逃避先とされた。
③2001年、現名誉会長フィリップ・スターン氏が膨大な時間と情熱を傾けて収集した歴史的コレクションを展示した高級時計製作の殿堂パテックフィリップミュージアムを設立。ヴィンテージパテックのコレクションがしっかりと体系付けられた事で価値感のバックボーンが出来た。

しかし異常なまでの資産価値の膨張とは裏腹に、マガジンの記事中には何度も繰り返し提言されている重要なフレーズ(問答)がある。
「パテックフィリップのどの時計に投資をするのが賢いのでしょうか?」という問いがあり。
「あなたが惚れ込める時計に投資をすべきです」の答えがある。
これは現行モデルを購入する際にもそっくりそのまま当てはまる名言だと思う。子や孫の代の資産価値を予測することはあまり意味がなく、好きな時計と時間を共有する事を最大の楽しみにすべきであり、結果としての資産価値はあくまで副次的な産物(オマケ)として捉えるべきなのだろう。
結局どれをどう好きに選んでもお宝になる夢を見つつ、決して大きく価値を失う可能性が非常に低いのがパテック フィリップの魅力なのだろう。敢えて人気モデルを製造中止にしたり、こまめに仕様変更する事で常に希少性の醸成に配慮出来るスターン家の家族経営のなせる技も大きい。

注:日本円への換算は直近のレート(1CHF=114円)を採用した。マガジンの記事中やWEB上の様々な過去記事は当時のレートが基準となっているので必ずしも一致しない。また未蔵書の為、マガジンバックナンバーVol.Ⅰシリーズについては検証外である。

文責:乾

Patek Philippe Internaional Magazine VolⅡ No.1~Vol.Ⅲ No.12
PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を実施いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。

パテック フィリップのオーナーに年2回春と秋に届けられる"パテック フィリップ インターナショナルマガジン" 掲載記事はタイムピースに留まらずアート、建築、人物、旅、自然・・・と多岐に渡っている。「世界で最も美しいマガジン」というコンセプトで確か1996年の創刊だったと思う。早20周年!
そのコンテンツ中で唯一の連載コラムが本稿タイトルのオークションニュースである。その落札金額たるや数千万は当たり前、数億もゴロゴロあって腕時計での十億越えもそんなに遠くないかと思わせる程に相場は上昇一方である。
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豊富なアンティークピースの知識があれば何倍も楽しめるのだろうが、この手の物は商売と同じで売買に手を染めないと実力が絶対に身につかない。かなりの確率で儲かるだろうが最低でも10年は寝かす我慢が必要で、上場株式などのように短期決戦はありえないので相当な資産家でなければとても足を踏み入れる事は出来ない。
でも以前からお勉強がてら何か概略的なものでも書けないかと思っていた。ド素人ゆえ多分に間違いや勘違いでコレクターの方々には失笑ものだと思いつつ・・
まず手元に揃っているマガジンバックナンバーVol.ⅡNo.1(2003春)号~Vol.ⅢNo.12(2015秋)号まで24冊の各号オークションニュースを読み返しつつ落札1億円以上と記念碑的落札を独断と偏見で拾ってみた。結果として93点、総落札金額合計217億9千万円あまりで、1点平均は2億3千4百万円あまりとなった。すご過ぎて現実感がない気もするが・・
最高落札は1999年にサザビーズニューヨークで16,151,670スイスフラン(以下CHF)現在のレート(1CHF=114円)なら約18億4000万円となるYG製の複雑懐中時計(下画像)。通称スーパーコンプリケーションと呼ばれパテック著名コレクターのヘンリー・グレーブス・Jr(米:銀行家)の為に1933年製作された1点もの。24もの機能が盛り込まれ世界で最も複雑な時計として長らく君臨し続けたが、1989年にキャリバー89をパテックが開発し、複雑度ではチャンピオンの座を明け渡したが落札価格は破られていない。
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腕時計に限ればジュネーブのアンティコルムで2002年に6,603,500CHF(7億5千万円強)で落札された1946年製の一見何の変哲もないプラチナのワールドタイムRef.1415HUである。1950年に2,258CHF(約257,000円)で販売されたこのタイムピースがなぜ大化けしたのかは、正直なところ勉強不足で全く想像が出来ない。
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腕時計次点は2010年5月ジュネーブのクリスティーズで6,259,000CHF(約7億1,300万円)で落とされたYGの永久カレンダークロノグラフRef.1518。アンティーク素人としては、このわかり易いパテックを代表する顔が出てくると安心できる。現行モデルRef.5270の直系元祖となる。
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登場する時計は様々ながらも傾向があって、スモールセコンド+2針はそこそこあるが、中3針自動巻カレンダーのシンプルで典型的な腕時計は殆ど無い。実用的ゆえに着用頻度が多くて良いコンディションの個体がすくないからか。或いは単純に評価が低いのか。やはり何らかの複雑機能を備えた手巻のタイムピースが圧倒的に多い。無理やり分類すると

手巻クロノグラフ 16点(内スプリットセコンド3点)
永久カレンダークロノグラフ 15点
永久カレンダー 13点
シングルプッシュクロノグラフ 11点(内スプリットセコンド4点)
シンプルウオッチ 11点(2針スモセコ等)
ワールドタイム 10点(内クロワゾネ又は七宝7点、クロノグラフ1点)
ミニットリピーター 5点(内永久カレンダー3点)
懐中時計 7点(内クロック1点)
トリプルカレンダー 3点
その他 2点(スカイムーントゥールビヨンRef.5002、サイデロメーター:パイロットトラベルRef.5524の原型)

クロノグラフが合計43点と突出している。総てが100%自社製造以前のエボーシュ時代のものだが、非常に高評価で人気があるようだ。モデル的に一部重複するが永久関連28点は、やはりパテックの顔である事を再確認。

登場メンバー(品番)の常連を見てゆくと
永久カレンダークロノグラフRef.2499 10点
ワールドタイムRef.2523 HU 6点
手巻クロノグラフRef.130 6点
永久カレンダーRef.2497 5点
永久カレンダークロノグラフRef.1518 4点
手巻クロノグラフRef.1579 4点
この後は3モデルが3点で並ぶ
手巻クロノグラフRef.530、同Ref.1463 ワールドタイムRef.1415 HU

やはりクロノグラフ、永久カレンダー、ワールドタイムの御三家の人気が高い結果となっている。
舞台となるオークションハウスにも流行があるようで2000年代中頃まではアンティコルムが非常に多く登場する。それ以降はクリスティーズが増えてくる。次いでサザビーズ、ぐっと減ってフィリップスとなる。場所は圧倒的にジュネーブが多くて、ニューヨークが僅かに混ざる。

具体的に掘り下げて紹介したいタイムピースもあるのだが、久々にかなり長くなりそうなので後日の後編で・・

注:日本円への換算は直近のレート(1CHF=114円)を採用した。マガジンの記事中やWEB上の様々な過去記事は当時のレートが基準となっているので一致しない。また未蔵書のマガジンバックナンバーVol.Ⅰの掲載については検証外である。

文責:乾

Patek Philippe Internaional Magazine VolⅡ No.1~Vol.Ⅲ No.12
PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を実施いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。

永久カレンダーはパテック フィリップの定番商品である。まあ他にも定番は一杯有りすぎるが・・
昨今は年次カレンダーがその人気の高まりと共にカレンダー系看板商品の座を脅かそうとしている。そんな中で2016年の今年、永久カレンダーラインナップに大胆な見直しが行われた。
主力のラウンドケースRef.5140とクッションケースのRef.5940で5型整理、1型追加。日付がレトログラードするセンターセコンドタイプ6型の内、2型が文字盤変更や素材変更を受けた。ニューフェースとして少し大ぶりでモダンなラウンドケースのRef.5327が3色発表され、昨年14型あった永久カレンダー(他の複雑機構が無い)は、選手交代しながら今年度13モデルとなった。他の高級ブランドでは一番多いAPでも7モデル、バシュロンやブレゲ等それ以外では数モデルしか無い。パテックの充実ぶりは突出している。
バーゼル商談時のヒアリングでは欧米は新しい39mm径の新型5327が人気で、日本は逆に小ぶりな従来の37.2mmのRef.5140及び5940の大量ディスコンが惜しまれ、貴重なプラチナモデルの追加ダイアルが好評だったらしい。確かにチャコールグレーサンバーストと命名された新文字盤には得も言われぬ魅力を感じた。

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しかし、首の皮一枚で残留した上のRef.5140P-013エボニーブラックのダイヤモデルには捨てがたい魅力がある。まずパテックはレディスも含めてコレクション全体でダイヤインデックスが殆ど無い。メンズに限れば2型(52975298)あるがどちらもベゼルがダイヤであり、純粋なインデックスダイヤのみは、意外な事に2014年発表のこのモデルだけである。
で、この10個のプリンセスダイヤと12時位置のバゲットダイヤ2個のお値段がジェムセット代含めて、計算上でたったの税込216,000円なのである。パテックのダイヤモンドはクラリティーがIF(インターナリィフローレス:内部無傷)以上でカラーはG以上、カットもベリーグッド以上に厳選されているので、これはお買い得と言わざるを得ない。小ぶりなケース直径は女性の腕にも充分乗っかるだろう。

永久カレンダーに関しては既に一度Ref.5940で取り上げ、その輝かしい生い立ち始め一通り紹介済みであるので、本稿ではその際紹介が手薄であった1930年代から現代に至る中での記念碑的タイムピースに関して文字盤デザインを切り口として見てゆきたい。
まず最初が1937年発表のRef.96(No.860 182:下画像)は日付が一箇月でレトログラードする機構を備えており現行の永久ラインナップにも多数この顔があるが、クンロクの系譜に連なるRef.5496(2011年にプラチナで発表)がその遺伝子を最も強く受け継いでいる。
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そしてパテックの永久カレンダー腕時計史上の最も代表的な顔であるダブルギッシェスタイルの元祖が1941年誕生のRef.1526(下画像)である。このモデルはパテックで初めて"シリーズ生産"された永久カレンダーでもある。この顔は後述の1985年に永久カレンダーの新時代を切り開く事になるRef.3940が登場するまで、クォーツショックによるスイス機械式時計の暗黒時代をも乗り越えて40年以上も採用され続けるアイコニックフェースとなった。その貴重なデザイン遺伝子は実用カレンダーの大黒柱である年次カレンダーのRef.5396に脈々と息づいている。尚、初代Ref.1526はブレゲ数字ではない正対書体のアラビア数字インデックスが12,2,4,8,10時に植字されており、今年5396にブレゲインデックスで文字盤追加されたRGWGの原点とも取れるが、両者の印象はかなり異なる。
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スイスの高級機械式時計復活の狼煙とも言える極薄型自動巻き永久カレンダーが1985年発表のRef.3940である。搭載キャリバーは1977年にわずか6ヶ月で開発された22金偏心マイクロローター採用のベースムーブ厚2.53mmのCal.240。
ダイアルデザインはクラシックテイストながら意外にも過去のアーカイブに依らない全く新しいオリジナルフェースが与えられた。すなわち3時位置に同軸で月と閏年、9時に同軸の曜日と24時間表示、そして6時位置には日付に加えて月齢がまとめられた三つ目玉のレイアウト。キャリバーの特性上5時のオフセット位置にしか配置出来ない秒針は省略された。
ところでチューリッヒのブランドブティックが立ち並ぶショッピングストリート"バーンホーフシュトラーセ(駅前通り)"には1760年創業の老舗時計店の"BEYER"がある。同店は1985年に創業225年(実に中途半端なアニバーサリー)の記念限定としてRef.3940の初出荷分25ピースをダブルネームに加えてパテックでは極めて稀な限定シリアルが文字盤にプリントされたユニークピースを販売している(Mov.No.770001-770025)。ちなみにNo.1(下画像)はチューリッヒの同店地下にある時計博物館に展示されている。このミュージアムは時計好きとりわけパテック愛好家には実に楽しい施設である。またコンパクトなスペースに日時計や水時計といった原始的タイムピースから機械式時計はもちろん現代の電気的時計まで順を追って展示されており初心者も楽しめるので同地を訪れられる際には是非覗かれる事をお勧めする。
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脱線から話を戻す。20年の長きに渡って製造されたRef.3940も2006年に現行のRef.5140へと移行された。ケース径は37.2mmと1.2mm拡大されたがダイアルデザインはほぼ踏襲された。これ以降Cal.240+永久カレンダーの組み合わせで派生兄弟姉妹モデルとしてクルドパリRef.5139(2008年)、クッション5940とレディス7140(共に2012年)がラインナップされた。今やパテックを代表するこの顔は今年新たにRef.5327が発表されたことから見て、鉄板顔として永久?に継続されそうだ。
昨今、有名無名を問わずETA社のエボーシュ供給制限対策、或いはそれに乗じたかのドサクサ作戦感もある自称マニュファクチュールの乱立で、様々な新しいムーブメントの百出状況にある。そんな中パテックは手巻Cal.215と極薄自動巻Cal.240に1985年から40年以上の熟成を重ねており、ダイアルデザインも本当に長寿命である。保有コレクションを陳腐化させないこのポリシーが王道であるが、歴史と重厚すぎるブランドのアーカイブを有するパテックの様なメゾンでなければその実現は困難だ。
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パテックのプラチナモデルはWGや時にはSSと見分けがつくように通常ケースの6時位置に小粒なラウンドダイヤモンドが埋められている。6時側の理由は着用しているオーナーからは視認出来ても対面する相手には見せないという奥ゆかしい紳士的な配慮からだ。ところが上画像の様にこの永久プラチナでは6時位置にムーンフェイズ調整コレクターが有ってダイヤが見当たらない。
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お恥ずかしい事に撮影するまで気付かなかったが、ケース12時側のセンターにダイア、その左には日付、右には月の各調整コレクターが配置されている。まあ文字盤のダイアを隠せないのでどちら側でも良いのだろうが・・・
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そして薄さが際立つ9時側ケースサイドセンターには曜日調整コレクターが陣取っている。

Ref.5140Pー013 自動巻永久カレンダー
ケース径:37.2mm ケース厚:8.8mm ラグ×美錠幅:19×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:PTのみ(別文字盤有) 
文字盤: エボニー ブラック サンバースト 2個のバゲットカットと10個のプリンセスカットのダイヤモンドインデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
裏蓋:サファイアクリスタルバックにて出荷 ノーマルケースバック付属
価格:税別 12,100,000円(税込 13,068,000円)2015年7月現在

Caliber 240 Q 

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:275個 石数:27個 受けの枚数:8枚
パワーリザーブ:最低38-最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
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上が1985年製、下は41年後のCal.240。一見殆ど変化無し、原設計完成度の高さに脱帽!
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ビブロ実測値(精度・振り角・ビートエラー)
文字盤上:+6~+9 298°~305° 0.0
 3時下:-3~+1 252°~263° 0.1

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾

Patek Philippe Internaional Magazine VolⅢ No.1 及び12
PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)P.281、283、292、294

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を実施いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。

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パテックフィリップは節目で必ずサプライズを用意する。今回紹介のRef.5960もパテックのクロノグラフ完全自社生産移行への第二弾として、2006年に発表された画期的な自動巻クロノグラフキャリバーCal.CH28-520のデビューを飾る為にそれまでのパテックには無かった恐ろしく斬新な装いを纏って登場した。同年のバーゼル会場の話題はコイツに完全にさらわれた感があった。
パテックが上手なのは当時競合各社もこぞって発表した垂直クラッチ(我が国が誇るセイコーが世界初の実用化に成功)方式を採用しただけでなくフライバックを備え時分双方の積算計を6時位置に同軸化してレイアウトした事だろう。此処まででも他社にアドバンテージだが、さらに突き放すのがパテック流でお得意の実用複雑機構である年次カレンダーモジュールを重ねてきた。
当初プラチナケースにアリゲーターストラップで発表され、様々な追加文字盤の変遷を経て、2014年に潔く全モデル生産中止が発表された。そして同年のバーゼルでまさかのサプライズ、さらに実用的なステンレスケース&ブレスで発表されたのが今回紹介のRef.5960/1A-001である。
この初代のプラチナモデルについてはフィリップ スターン会長が別素材での展開をしないと公言していた事もあってか、ともかく再三の価格改定にも関わらず2次マーケットで常にプレミアのつく大ヒットモデルとなった事は記憶に新しい。

この時計の最大の魅力である実用性を列挙すると
①最大55時間のパワリザ付き自動巻き
②垂直クラッチが実現したクロノ秒針の時計秒針使用
③フライバック機能の秒針ゼロリセットで毎分毎に秒レベル調整可能
④当たり前に年次カレンダーは便利
⑤SSモデルには初採用のドロップリンクのメタルブレスで恒常的連続着用実現
てなあたりでしょうか。
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シリーズ初となる淡色系ダイアルは指し色の黒と赤が効いていてこの上なくスポーティだ。文字盤上部に弓上に並ぶ曜日、日付、月の表示は革新系モデルでおなじみの形式でその窓枠ならびにアワーインデックスと時分針には18金素材に多面的なファセットが与えられ、さらに酸化処理でブラックに仕上げられている。この光沢たっぷりな表面感はポリッシュというよりもむしろセラミック系の艶っぽさがある。クロノ(通常秒針兼用)秒針とクロノ積算分針は真っ赤。毎月1日もレッドプリント("赤字"なんて指が裂けても書けません!)となっている凝りようだ。クロノ積算時針とスケルトン(見落としそう!)仕様になったパワーリザーブ表示針も通常時分針とほぼ同じブラックの仕様と思われる。
文字盤面は平滑なシルバーだが6時位置の大ぶりなクロノ積算インダイアル部は外周部の盛り上がりや、一段下がった内側のサークル状エングレーブ(写せておりません)、パテックにしては肉厚気味な転写プリント等の凝った作りである。
尚プラチナからSSへの移行の最大の改良点は時分積算カウンターの内外(時と分サークル)の入れ替えであるが、他にもインデックスや積算カウンターサークル、曜日と月の窓枠追加等々でプラチナより高級感が与えられる結果となってしまった。
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ケースサイドから望むとさすがにコンプリ✖コンプリはそれなりの厚みを感じる。ケース厚13.5mmは意外にもノーチラスシリーズで最厚のトラベルクロノRef.5990を0.57mm上回るが、個人的に腕時計は15mmまでは十分着用可能な厚みと考えている。
ちなみに愛機の中で最厚はボールウオッチの18.9mm。さすがにチタン製だが存在感はステン並みにある。そして最薄はゴールデン・エリプスRef.3738の5.8mmだろうか。ちなみにエリプスは手巻ではなく偏心ローター採用の自動巻極薄Cal.240を搭載し、パテックの現行全コレクション中でも最薄のはず。
良い機会なので2015総合カタログでケース厚13.5mm超を調べてみた。ダイヤベゼルの兄弟機Ref.5961は同じく13.5mm、意外に厚い手巻ラトラパンテRef.5370は13.56mm、逆に意外に薄いのがミニット、永久、トゥールビヨンRef.5207で13.81mm、同ベゼルダイヤRef.5307が13.96mm、少々厚い印象の永久ラトラパンテRef.5204は14.3mm、えっ!わざと厚くしたの?年次クロノRef.5905が14.3mm、そろそろ着用限界か?永久ミニットクロノRef.5208になると15.7mm、そして今年リニューアルされたレトグラ永久ミニット天体系のスカイムーントゥールビヨンRef.6002の17.35mmは彫り物もあってほぼ鑑賞用?
当然最厚は今年市販化モデルとして発表されたグランドマスターチャイムのはずが・・・どっこいまさかのRef.6300はなんと16.1mm。結果的に最厚となるRef.6002はスカイムーン機能が厚さの原因でもなさそうで、単純スカイのセレスティアルRef.6102はたったの10.58mm(薄さに唖然!)しかない。どうやら憶測ながらRef.6002は装飾を生かすために厚めに作られた気配が濃厚だ。いづれにせよ15mm越えがたったの3Ref.しかない複雑時計王国パテックはやはり薄さの追求で群を抜いている。
尚、ムーンフェイズ表示が無いのでカレンダー関連の調整プッシュ(CORRECTER)は3つ。左から月、日付、曜日の順番はダイアル上部の三つ窓レイアウト通りでとても解り良い。

ベゼルはこれまた革新系パテック意匠でおなじみのコンケーブ(逆ゾり)形状が採用されている。ブレスは従来から18金のコンプリケーションウオッチで多用されているドロップリンク5連のしなやかなタイプ。冒頭の全身画像でブレス部をじっくり見ると微妙なしなりが見て取れる。まるでキャタピラのようにしなやかなブレスは短めの弓管のすぐ外から真下にストンと曲がれる構造と相まって装着感が抜群によろしい。

Ref.5960/1A-001 年次カレンダー自動巻きクロノグラフ

ケース径:40.5mm ケース厚:13.5mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:SSのみ
文字盤:シルバリィ ホワイト ゴールド植字酸化黒色仕上げバーインデックス
ブレスレット:両観音クラスプ付きステンレス5連ブレス 抜き打ちピン調節タイプ 
尚、2014BASEL発表の商品リリースはコチラから
価格:お問い合わせください。

冒頭でも触れたキャリバーCal.CH28-520は、それまで頑なに手巻きの水平クラッチに拘っていたパテックのクロノグラフ史を2006年に塗り替えたエポックメイキングなエンジンである。前年発表の完全自社クロノキャリバーCal.CHR27-525は確かに最初の100%自社製造ではあったが、それまでの伝統的製造手法でコツコツと工房で少量生産される手作り的エンジンであり、搭載されるタイムピースも商品というより作品と呼ばれるのがふさわしいユニークピースばかりだ。対してCal.CH28-520は"シリーズ生産"と呼ばれる或る程度の工場量産をにらんだ商業的エンジンであり、パテックフィリップが新しいクロノグラフの歴史を刻み込むために満を持して誕生させた自信作なのだろう。
パテックの自社クロノキャリバー3兄弟の価格は、その搭載機能や構成部品点数に比例せず、どれだけの手仕事が盛り込まれているかで決定される。金銭感覚抜群で働き者の次男CH28-520 C(自動巻、垂直クラッチ、フライバック、部品点数327点)、次がクラシックだけどハイカラな3男坊のCH29-535 PS(手巻き、水平クラッチ、部品点数269点)、そして金に糸目をつけない同楽な長男CHR27-525 PS(手巻き、水平クラッチ、ラトラパンテ、部品点数252点)の順となる。
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上記画像でローターで隠された部分は3枚の受けがあるが、この部分はどの派生キャリバーもほぼ変化が無い。それに対してテンプ左のPPシールの有る受け、さらに左の複雑なレバー類がレイアウトされた空間は派生キャリバー毎にけっこう異なる。必要なミッションに応じて搭載モジュールがダイアル側で単純にチェンジされるだけでなく裏蓋側の基幹ムーブメントへもアレコレと手が入れられている。

Caliber CH 28-520 IRM QA 24H:年次カレンダー機構付きコラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.68mm 部品点数:456個 石数:40個 受け:14枚 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

ビブロ実測値(精度・振り角・ビートエラー)
文字盤上:+1~+2 320°~327° 0.1
 3時下:-3~-1 287°~292° 0.0
検品担当の岩田いわく「クロノ作動時でも精度はもちろん振り角、ビートエラー総てに殆ど変化がありません。他社の垂直クラッチとは別物です」

運針確認時間:58時間運針(クロノグラフ非作動)

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾
Patek Philippe Internaional Magazine VolⅡ No.8 VolⅢ No.6 及び11

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を実施いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。

画像掲載はよそうと思っていたが、ブース廻りの紹介ぐらいはさせていただこうかと・・
パテック フィリップのブースはバーゼルワールドのメイン会場である1号館のエントランスを入って一区画進んだ右手にある。一等場所でお向かいはROLEX。エントランス直近にはブイブイと資金力に物を言わせた?LVMHグループが最近常駐するようになった。右手にタグホイヤーとゼニス、左手にはブルガリとウブロが陣取る。ご本家ルイ・ヴィトンは全世界でブティック展開のみなので出展していない。画像は今年タグホイヤー製?エンジンを積むレッドブルの実車がブースの壁面にディスプレイされている様子。
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パテックの先はショパールとメゾンが続く。ロレックス側は弟ブランドのチュードルがあって此処までで1号館の約三分の一。
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次の三分の一が巨大時計コングロマリットであるオメガを筆頭にしたスウオッチグループが占拠している。まさに占拠という言葉がふさわしくメインの中央通路さえプライベートな空間に設えられているので、スウオッチの敷地を通らないと先に進めない構造になっている。最後の三分の一にはブライトリング、オリス、シャネル、等々がある。なぜかSIHHジュネーブサロン出展しているジラールペルゴ&ジャンリシャールが重複してバーゼルのホール1.0(最高家賃でも人気ゆえに出展困難)にあるのか。チョッと不思議だ。セイコーとシチズンは2階にカシオは3階。画像はやはりレッドブル?(金持ちやナァ~)ならぬトロロッソでエンジンはフェラーリ製で、今年からカシオがさっきのレッドブルから乗り換えてスポンサードしている。ええぃ!ややこしい!詳細は当店の岩田にお聞きください。
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最近始まった新興ブランド(グリソゴノ等)やファッションが遺伝子なディオールやエルメスも2階組。でも1号館(ホール1)なら主流ブランドと認知される。あとのホール2と5等はブランド的にはマイナー度が増してゆく。ただユニークなブランドや掛時計、ホールクロックさらにはベルジョン等の修理道具屋などなどもあって時間が許せば、見ているだけで楽しい。今回のアルバムを見れば結構な数の車画像。やはり時計と車は切れない縁がある。
まず最初はラテンブランド"クエルボ イ ソブリノス"オーナーにして著名ヴィンテージカーコレクターとして公道レースをも主催しているマルツィオ・ヴィラ氏の愛車ドライエ(仏の往年の高級車メーカー1884年創業~1954年)。ホール2の一階ながら毎年異なる車が展示されている。
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メインのホール1とホール2の間の通路にはブランドが宣伝用にデコレートした超高級車が並ぶ。パーティー招待客の移動とかにも使われている。上から順に毎年鎮座のブランパン✖ランボルギーニ、続いてブランドの格とテイストがどうなのか?メカニケベローチェ✖ロールスロイスファントム、バーゼルワールド公式ハイヤー?のマセラッティ・・
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車話は置いといて、少しパテックフィリップ ブースのご紹介。パテックのブース展示は本当にユーザーフレンドリーだと思う。ディーラーとプレス等関係者しか入場できない1月のリシュモングループ主催のSIHH(通称ジュネーブサロン)と異なり、バーゼルは入場料(結構お高くて一日券で60Sfr.通し券だと150Sfrもするが・・)さえ覚悟すれば誰でも入場可能だ。我々は面の皮の厚さでブランドからチケットを毎年せしめている。各ブースとも温度差とポリシーの違いは有るが何らかの展示をショーウインドーで見せている。終日人だかりが絶えないのが買える買えないは別にしてパテックフィリップと向かい合ったロレックスの2ブランド。で、パテックは製品の展示(今年はブレスやストラップを装着しない丸裸のケース状態)だけでなくブレスを解剖状態で見せたりとそこまで見せるの!の大盤振る舞いだった。さらに嬉しいのは超絶も含めて総てのムーブメントを展示し、画像の様に詳細をモニターで確認する事も出来る。
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WGで市販(氏販?)化されたRef.6300グランドマスターチャイムも普通に展示されている。逆にこのP.O.R.クラスはブース内商談室にサンプルがなく、手に取れない点で一般入場者と我々も平等である。20もの複雑機能を備えたムーブメントCal.300 GS AL 36-750 QIS FUS IRM(長い~!)もしっかり裏表両面を見せる親切設計。でも可笑しいのが左側の西暦の千年ディスクがちゃんと0から9まで対応している事だ。来年あたりパテックはタイムマシン付きグラコン越えのウルトラコンプリケーションを発表するらしい。

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さて、では何もかも総てがブース外で見れるのかと言うとそうはいかない。"希少なハンドクラフト"と言われる究極の手仕事が注ぎ込まれたユニークピース(製作数は10点未満、1点のみもある)だけはブース1階の待合コーナーの一角に展示されている。今年は"鳥"がモチーフに多用されていた。下3点は全て有線七宝(クロワゾネ)。手作業が多すぎて仮に10点製作されても誰が見てもレベルで全部異なる為に1点モノに限りなく近い。
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バーゼル会場のみで発注可能だが必ず発注数が製作予定数を大幅に上回るので、運なのか?実績なのか?コネなのか?仕入れのハードルは高い。PP社発表動画で主要作品をチェック可能で、やっぱりユーザーフレンドリー。最後にブース外の巨大モニターには2016新製品紹介動画が流されている。
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ここら辺りで今年のスイス話はネタが付きたので次稿からは、また通常の商品紹介を再開予定。時差ボケも微妙に残っており少々疲れました。お付きあいありがとうございました。

文責:乾

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが今夏(お盆頃)当店初の『パテック フィリップ展』を計画中です。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。日程・詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。

メインのパテックフィリップ新作話の前に少し他ブランドのさわりをイントロしたい。今回は晴れ男2人組なので、当たり前に連日快晴のバーゼル。現地2日日程で初日の土曜は例年恒例のブライトリングからスタート。

ブライトリングとしては初挑戦であろうまるでパテックのアドバンスドリサーチのような税込予価約500万円(PPとゼロ一つ違い!)の特殊モデルのスーパオーシャンヘリテージ クロノワークを除けば、お堅い色使いで手堅くまとめられた今年のブライトリング。今やバーゼル名物になった巨大水槽の今年のゲストは3色のジェリーフィッシュ(くらげ)だった。いつもこの演出にはほんとに癒される。
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ショパールは発売20周年のアニバーサリーを迎えたL.U.C.から魅力的なステンレスモデルをラインナップしてきた。かつてのマークⅢやクロノワンのSSのように限定扱いではなく、定番での投入が味噌である。初のワールドタイムもいきなりSSが含まれている。
タグホイヤーはさすがに天才ビバー氏が本腰を入れてきているだろう。自社ムーブCal.01搭載のスケルトン系カレラクロノグラフがデビュー当時のHUBLOTを彷彿とさせる出来映えだった。
カシオはバーゼル発表限定モデルも当たり前に良いのだが、今年初?の試みとして特殊なアーティステックな投光と可動する幻想的なライティングオブジェを組み合わせたインスタレーション(空間プレゼンテーション)が数年前にバーゼルの話題をさらったシチズンの地板の空間演出のように人々の目を奪っていた。
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前置きはさておいて、気になる肝心のパテックフィリップの2016新作。全てを褒めちぎるは流石にありえないので、その辺りはご来店にて口を滑らす事とさせて頂いて、順不同で幾つかの印象をご紹介。
まずRef.5930ワールドタイムクロノグラフは予想通り以上に今年の筆頭家老だった。前稿でこの2つの複雑機構の組み合わせはパテック初と書いたが1930年代のタイムピースにヒントとのコメントが有り帰国後に※要再確認だ。尚、PPJプレゼンターのN氏をしてスモセコがオフセンターしているCal.240ベースに積み上げている既存のワールドタイムモジュールでは、現行のクロノキャリバー3兄弟(CH27,28,29)に搭載する事は困難と予想していたそうだ。 この予想を見事に裏切ったパテックの開発陣は、ベースムーブCal.CH28-520に手を加えると供にワールドタイムモジュールを新規開発。
手の込んだダイアルセンターのギョーシェも高級感があってWEB上のモニターでの印象も素敵に裏切ってくれた大ヒットモデルと予想する。
※3月24日訂正:確かに1940年にRef.1415/1当時のメインクロノエボーシュCal.13'''(Valjoux23vz)23石に天才時計師ルイ・コティエ氏開発のワールドタイムモジュールが組み込まれた代物で、下記参考文献の装丁カバーにも採用されて始終目にしていたタイムピース。詳細はRef.5930G実機入荷の際に画像も含め紹介したい。取り急ぎ訂正してお詫び申し上げます。
参考:Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.270、346
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加筆:書き忘れていた大事なコンプリケーションがニューワールドタイムRef.5230のWGRG、いづれも税込予価は5,778,000円。色んな意見が百出しているだろうが、あくまで個人的にはベゼルにエッジを効かせたケース形状になりカラトラバのクンロク系の印象が良ろしい。たった1mmのケース径ダイエットなのに、このケースデザイン変更で実寸以上にシャープな印象となった。またラグ(ホーンの方がしっくり?)はグラコン永久クロノRef.5270等に採用されている付け根部がチョイ張出しスタイル(これも未来志向モダン意匠か?)が控えめに採用された。これまた個人的にはこの控えめ度合いが "いとよろし!" 書き忘れたが上述のRef.5930のケースも同デザインが採用されている。
※7月17日追記と画像追加:このラグ形状にもアーカイブがあって1940年~50年代に流行したウイングレットラグと言うらしい。
左:1950年製Model2482 右:1956年製Model2525/1 12リーニュのミニットリピーター Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.205、317より。
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さてRef.5230に話を戻して、時分針は好みが別れるところだろう。超薄型自動巻Cal.240 HUを採用して2000年デビューの初代Ref.5110に戻った感をどう評価するか。実機サンプルを見るまでは2代目Ref.5130のアップルハンド残留に未練があったのだが、上述のケース&ホーンのシャープ化作戦をアシストするにはコッチの方が良い形状。アッサリ宗旨替えをいたします。

新しい永久カレンダーRef.5327は大半がディスコンになったRef.5140から微妙にサイズアップ。さらに昨今のモダンテイストパテックのケースサイド意匠であるRef.52275205等に採用されている手仕事の長楕円彫り込みが施され、伝統のCal.240 Qエンジンはそのままに次世代のパーペチュアルの在り方を提案してきた。個人的にはかつてのRef.5140のプラチナに設定されていたブルーダイアルの再来をおもわせるWG素材の青文字盤にやられてしまった。税込予価WGRGが10,314,000円、YGで10,044,000円

ところで絶滅危惧種のRef.5140に突然変異のアルビノ?のように発表された希少なプラチナのバーインデックスダイアルモデルRef.5140-017、税込予価12,852,000円は既存のダイアポイント文字盤からすればチョッとお高い印象もあって、初見迄はあまり気にも留めていなかった。しかしである人も時計も会わなきゃわからないもので、このアンソラサイト・ソレイユと命名されたグレイッシュな文字盤が素晴らしい別嬪上玉にして今年度唯一のプラチナモデルである。

ローズとホワイトで此処まで印象が変わるのか?パテック正規店新参には無縁としか思えなかったこのデコラティブオーバーな高額タイムピースRef.5160R改め新作5160Gは別物になっていた。この税別予価20,628,000円は、超絶系フェイスからすれば大いにお買い得感?有りではないか。ファンクションはレトログレード永久カレンダーのみながらハンターケース仕立てに加えて、何よりも175周年記念限定の雲上ピースRef.5175グランドマスターチャイムを彷彿とさせるハンドエングレービングはパテックフィリップ現行ラインナップ中Ref.6002に次ぐハンドクラフトであり、今年のビッグサプライズモデルであるRef.6300Gグランドマスターチャイムの上質ながら控えめとも言えるクルドパリ装飾を凌いでいる。
同様の印象は、これまたローズからホワイトへ乗り替わった超絶系Ref.6002 スカイムーントゥールビョンにも共通していた。
ちなみに 時価で二億数千万円とされる市販版?グランドマスターチャイムRef.6300にはバーゼル開催4日目にして日本の正規店からオーダーが既に複数入っているとか・・時計も人も超絶系辞書に不況の文字は無いのだナァ。

さて訪問前の疑問であったレディスアクアノートRef.5067Aの間違い探し。ディスコンカラー白(枝番011)からニューカラー白?(同024) はモニターや印刷物では絶対に識別不可能な代物(白物!)だった。PPJのN氏の解釈が絶妙でマット系の純粋な旧型の白が、車のボディーカラーで昨今多々採用されるいわゆるパールホワイトへの変更だった。新色は見方によって燻んだ印象も受けるが、 旧タイプより汚れ難いのは明らかで地味ながら気の利いた改良だ。パールエフェクトが加わっても価格変更は無し。

尚、例年バーゼルで判明するマイナーチェンジに伴う、事前発表の無い追加?生産中止モデル。今年はメンズのニューワールドタイムRef.5230とのペア感を醸成すべくシティディスクに"間違い探しですか?"レベルで微修正が施されたレディスワールドタイムRef.7130G7130Rがカタログ上は新製品扱いをされずに枝番(Gが010から013へ、Rは001が010へと)のみコッソリ?変更されている。
ところが個人的にご贔屓モデルのレディスカラトラバRef.4897Gもベゼルのダイア使いがバージョンアップ(ラウンドからバゲット)された事で 枝番が001税込3,488,400円から300G-001税込予価5,227,200円へとてっきりチェンジだろうと思いきや、どっこい上品な従来のラウンドダイアモデルも残留継続され贅沢な選択技が与えられる結果となった。

明日というか、もう今日なのだがチューリッヒ現在午前2時過ぎ。昼前のフライトでアムステルダム経由にて早くも帰国である。無事帰れば日本はお彼岸。帰り道には御礼を込めてお墓詣りを帰店前にしてゆこう。週末には桜?続いてワラビ、山椒、筍・・やっぱり日本が最高。当たり前ながらそれを再認識する為の毎春のスイス詣でなのだろう。

文責:乾

体質的に時差ボケたっぷりなので、さらに大事なトピックが抜け落ちていた。バーゼル期間中の日曜日(今回20日)は例年VSOP(古いナァ~)のパテックのスターンファミリー主催のガラディナー(パーティー)が有って、世界中のパテックショップのオーナーが大集合する。会場での受付直前に手渡された招待状にはテーマは"1970年代"とある。さらにいつもティエリー・スターン社長が挨拶する演台の背景ボードにも70年代風にアンディ・ウォーホール色調で、果たせるかなノーチラスのデコレーションが施されていた。ようやく始まった恒例の挨拶スピーチには、ヒアリングの達人数名に聞き及んだ結果、どうやら秋頃に40周年記念のノーチラスにサプライズが有るらしい事が判明。シャンパンばっかり飲んどる場合では無かったのだナァ。でもティエリーの英語の聞き取りはいつも本当に苦手なのだ。

3月21日 チューリッヒ空港にて修正加筆(慣れないiPadは本当に・・)
3月22日 関空からの帰路に墓参りを済ませた後、奈良店/岩田リコメンドのビッグジョー羽曳野本店で380gハンバーグを頂き帰店後再々修正加筆

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バーゼル出発前ゆえ、本稿については現地から?または帰国後?追記更新予定

今年のニューモデルは堅実なラインナップながら、新機軸(素材、文字盤等々の追加)だらけで買手からすると"迷い箸"しそうな涎たっぷり、実に美味しそうな2016年新モデル。
昨年までのバーゼルワールドでは当社がテナント運営する百貨店部門(いよてつ髙島屋:愛媛県松山市)の商談に同席していたので、パテック フィリップファンの一人として事前情報による先入観を持たずに初見で新製品とご対面していた。
だが奈良で日々パテックを商うようになった今年は状況が異なる。既にPATEK PHILIPPE OFFICIAL HPに2016NEW MODELがUPされ、商談予定の土曜日までに各正規店から現場で撮影された生々しい画像と情報も届けられるだろう。本意ではないのだが・・乗り遅れるわけにもゆかず・・・取り敢えず新製品をラインナップ紹介し、現地?あるいは帰国後すみやかに印象など追加してゆきたい。
価格は敢えて載せておりません。予価になりますがお電話・コメント・メール等でお問合せください。ご返事は帰国後になりますが・・・
3月23日加筆:様々なブログで予価掲載有り。本稿にも各品番の最後に税別1,000円単位で参考追記

メンズ 
品番頭●の色はザックリながら、完全な新商品、新素材投入、新文字盤追加 POR:時価対象モデル
グランドマスターチャイム
6300G-001(POR)
ミニットリピーター
6002G-010(スカイムーントゥールビヨン、POR.)、5539G-010(POR) 、5374P-001(永久カレンダー付、POR)
永久カレンダー
5140P-017[11,900]、5160/500G-001[19,100]、5327J-001[9,550]、5327G-001[9,810]、5327R-001[9,810]、5496P-015[12,100]
スプリットセコンドクロノグラフ
5204R-001(永久カレンダー付)[31,830]、5950R-001(シルバー系文字盤、POR)、5950R-010(ローズ系?文字盤、POR)、5959R-001(POR)
クロノグラフ
5930G-001(ワールドタイム付)[8,280]5170R-001[9,110]、5170R-010[9,110]、5961R-010(年次カレンダー付)[15,030]
年次カレンダー
5396G-014[5,390]、5396R-012[5,390]
ワールドタイム
5230G-001[5,350]、5230R-001[5,350]
アクアノート
5164R-001[5,730]
生産中止がドッサリだったグランドコンプリケーションはメンズ全体(23型)の6割にあたる14モデルもの大量投入である。グランドマスターチャイムの市販?モデルは"まさか!"だったが、Ref.6002G、5204R、ラトラパンテCal.CH27-525系の新素材版など超絶価格帯は賑やかだ。永久カレンダー系も新作Ref.5327の発表も含め大豊作だ。
コンプリケーションのRef.5930はパテック フィリップ※史上初ワールドタイム付きクロノグラフ。ワールドタイムは予想通り第3世代となる新型が発表された。その他は人気の中軸既存モデルにニューフェイスや素材追加が16Ref.と堅実なバランスも取られている。いづれも購買の選択技を広げる顧客優先の新作ばかりである。少々意外なのが発売40周年を迎えたノーチラスの三振空振りだろうか。
※3月23日訂正:次稿で触れるがPPJより前例有の指摘があった。確かに1940年にRef.1415/1(当時のメインクロノエボーシュCal.13'''(Valjoux23vz)23石に天才時計師ルイ・コティエ氏開発のワールドタイムモジュールが組み込まれた代物である。詳細はRef.5930G実機入荷の際に画像も含め紹介したい。取り急ぎ訂正してお詫び申し上げます。
参考:Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P270、346

レディス 完全な新商品、新素材投入、新文字盤追加、●ジェムセットアレンジ
ダイアモンドリボン
4968/400R-001[7,640]
ワールドタイム
7130G-013[5,730]、7130R-010[5,730]
カラトラバ
4897/300G-001[4,840]、7122/200G-001[3,060]、7122/200R-001[3,060]、7200/200R-001[4,460]
アクアノート
5067A-024[1,830]
完全ニューモデルRef.7122も含めダイヤモンド攻勢のレディス。Ref.4897、7200RはベゼルにRef.4968は文字盤へのダイヤモンド新機軸が登場。ディスコンを逃れたワールドタイムにもニューフェイスが追加されたが間違い探しのようなシティディスクの変更なのでたぶん既存2Ref.は追加ディスコンかと・・アクアノートの新色は例年のお約束だが生産中止発表の白文字盤との違いが不明。これはバーゼルで確認か。あれだけバッサリだったTwenty-4追加無しは意外。

明日はパリ経由でチューリッヒへ、久々のエアフランスでシャルル・ドゴール空港利用だが、テロの影響なのか今回初めてメールでの事前個人情報送信登録を去る18日に求められた。人災は忘れた頃にやって来るかもしれないし、ロストバゲッジも頻繁だし、客室乗務員の質だって最高?なエアフランス。無事、現地からサンプル初見後のインプレッションをレポート出来れば良いのだが・・・
※悩んだがクオリティを追及出来ない商談テーブルでのサンプル撮影は今回敢えてアップしない事に、夏以降の実機入荷時に紹介ブログの掲載画像を撮り込みたい。

パテック フィリップの2016NEW MODEL動画
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初見編につづく

文責:乾

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先月あわてて書いた年次カレンダーRef.5396。そう!今年はうるう年なので色々あって、2月〆の販売や財務管理でのエクセルワークも昨年データーをコピペしていると不都合が間々起こる。でもって当然ながら夏季オリンピックイヤーである。ところでブラジル大会は大丈夫なんだろうか。競技施設、陸海の環境やら治安等・・参加されるアスリートに微妙に今から同情を禁じ得ない。
さてオリンピックの記憶で最も印象深かった事は何か?皆さんそれぞれだろうが、個人的に直近で言えばシドニー五輪(2000年:永久カレンダー調整不要のミレニアムイヤー)の高橋尚子選手の女子マラソン金メダルではないだろうか。日本女子陸上競技史上初のゴールドメダリスト"Qちゃん"。もう16年もたったとはとても思えない。個人的には、取引先百貨店の経営破たんがあり生涯忘れられない特別すぎる年でもあった。

前置きが長すぎた。Qちゃんの金にはアスリートとして初の国民栄誉賞が授与されたが、副賞として高橋選手自らの希望で選ばれたのがパテック フィリップのアクアノートのステンレスモデルであった。具体的なRef.が何をどうググっても判然としないが、たぶん1998年発表のRef.4960Aではないかと思われる。ご存知の方はぜひコメント下さい。
1997年にノーチラスの派生モデルとしてスポーツエレガンスをテーマにデビューしたアクアノート。これネーミングが勝利しております。初出Ref.5060はケース径38mmのセンターローター自動巻Cal.330搭載でノーマルケースバックであったが、翌年にはスケルトンバックへマイナーチェンジしRef.5066と改められた。こいつのサイズも判然としないが38mm強のボーイズ的サイズと思われる。大ぶりなRef.5065(Cal.315/324)41.5mmやそれぞれ18金バリエーションもあった。レディスには2004年にルーチェ(伊:ひかり)のサブネームを冠したダイヤモンドベゼル仕様モデルが追加された。ともかく発売早々から人気シリーズであった。ロングセラーとなったメンズの核モデルRef.5066は、2007年に今回紹介する現行のRef.5167へとバトンタッチされた。
このマイナーチェンジでは個性的であった文字盤の彫り込みが緩和され筋目状となりより一層エレガントな印象となった。≪トロピカル≫と名付けられたラバーストラップの升目状の凹凸パターンも同様にマイルドな意匠に変更された。レディスはダイアル・ストラップとも旧タイプのまま継続されている。サイズは若干アップの40.8mmとなったが実に良いサイズである。ノーチラスRef.5711が40mmだが左右の耳の張り出しがない分アクアの方が小ぶりに見える。ケース厚は8.1mmとノーチの8.3mmより薄いがシースルーバックはノーチ同様捻じ込まれている。この厚差0.2mmはノーチラス最大のデザイン特徴である左右の耳の存在がその理由なのか。ともかくカラトラバも真っ青の薄さだ。
いづれにせよこのパテックも正面からの立体感・存在感を大いに裏切ってくれる薄さとラグに延長するかの様に心地良くアールがつけられたトロピカルストラップ形状が相まって素晴らしい装着感に仕上がっている。そして当たり前ながら軽い。パテック フィリップ全ラインナップの中で実用性においてはNo.1モデルではないか。
尚、実に良く出来た両観音バックルについては紹介済みのアクアノートトラベルタイムRef.5164Aの稿を参考にされたい。
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ステンレス✖3針はノーチラス同様に超のつく人気希少モデル。今回紹介分も行き先が・・奇跡的に決まっていない。来週バーゼルから戻るまで店頭にあるか心配で入荷当日即アップとなった。

Ref.5167A-001
ケース径:40.8mm(10-4時方向)ケース厚:8.1mm ラグ×美錠幅:21×18mm
防水:120m ねじ込みリューズ仕様
ケースバリエーション:SSRG 
文字盤:ブラックエンボス 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブラックコンポジット《トロピカル》ストラップ(ラバー)アクアノート フォールドオーバー クラスプ付き 
価格:税別 2,130,000円(税込 2,300,400円)2015年7月現在

120m防水を生むスクリューバックの裏蓋のサファイアクリスタルバックからは入念に仕上げられたムーブメントを鑑賞する事が出来る。実用性最重視であってもゼンマイ心を忘れないパテック流のおもてなし。フルローター自動巻の裏スケルトンは半分しかムーブメントが可視できないので無理やり感があるのだがパテック フィリップは21金ローターそのものを主役にすべく見事な仕上げを施している。
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※上の画像は手抜きのトラベルタイムRef.5164Aを転用

Caliber 324 SC/393

直径:27mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

ビブロ実測値(精度・振り角・ビートエラー)
文字盤上:+1~-1 295°~305° 0.1
 3時下:+1~-2 265°~270° 0.0
運針確認時間:現在測定中(3/17加筆:測定終了を待たずに旅立って・・)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年3月15日現在
Ref.5164A-001  店頭在庫有ります
(パテック フィリプ在庫管理担当 岡田
3月17日早々と嫁いで行きました。(3/17加筆)



まず最初にお断りしておきますが、このステンレス人気希少モデルの対応についてはパテック フィリップ正規販売店各々が個別にルールを設けており、PPJ(パテック フィリップ ジャパン)からの決まりごとはありません。
で、当店カサブランカでは人数を限定し、店頭予約制で、今現在は規定人数に達し新たなご予約をお受けしておりません。ご納品毎に1名追加予約を受けておりました。しかしパテック取扱いから半年以上を経て諸般の事情で方針変更をいたします。
今後はご来店の上、店頭にて登録制と致します。ただしこれは予約ではありません。あくまでもご購入希望の登録です。商品が入荷した際には当店の判断でご登録リストより誠に僭越ながらご購入者様を選ばせていただきます。ですので登録すればいつかは購入出来るという保証はございません。尚、今現在既にご予約済みのお客様分は納期は掛かっても何とかご納品したいと考えております。

この異常なまでの特殊モデルをご紹介するべきか否か?ロレックスのデイトナSS以上に正規店の店頭に並ぶことがありえない。予約も取りすぎれば収拾がつかなくなる。入荷即売り上げはもちろん有難い。しかしながらも販売プロセスはほぼ無く、決済・サイズ調整・納品・・以上終わり!プロのお仕入れ筋の方々からのコンタクトも多々あり、うれしくて少しむなしいRef.5711/1A-010。

なぜ、こんな面倒くさい話をわざわざするのか。それはロレックスデイトナSSと同じ疑問を抱えたから。どの正規店でも見た事も、もちろん触ったり腕に試着したりしたこともないまぼろしモデルを予約したり抽選会にのぞんだりするしかない状況。これは明らかにおかしい。デイトナにネガティブ意見は無いが、カレンダーは無いし個人的にはあまり好きな文字盤ではない。カサブランカではデイトナに関して常に白・黒を各1本店頭展示し物を確認して貰ってから抽選申込を受けたり、予約を取ったりしてきた。実物を見て他のロレックスや別のブランドを買われた方も多数いらした。
ノーチラスSSブラックブルーも同じやり方をしたいが、同一リファレンスを複数在庫することが困難なパテックの現状では個人所有物を借りるぐらいしかサンプル確保が難しい。運良く縁にも恵まれて今回の紹介ピースは販売不可能ながら、しばらく店頭で確認(透明保護シール付)が可能な特殊なタイムピース。今のところ保有期間は未定です。
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ノーチラスシリーズはRef.5712Gでプチコンを7118/1Aでレディス3針を紹介してきた。Ref.5711/1Aも基本Cal.324のセンターローター自動巻きを積む7118のサイズアップなので時計そのものの紹介は多少は繰り返しになるがご容赦願いたい。
天才時計デザイナー"チャールズ・ジェラルド・ジェンタ"がオーディマ ピゲのロイヤルオークのデザインを1970年(製造は1972年)にたった一日で考案したのは有名な逸話。そして1976年にパテックのノーチラスファーストモデルRef.3700/1Aデザイン(下画像)を生み出した。
決して3点は色違いの超レアのアンティークピースではない。だがすべて同一モデル。スキャニング元資料の違いでこれだけ差がある。時分針とハイライトとシャドウ部分の違いから元々の画像そのものが異なるようだ。個体差については判然としない。
やはり時計は現物をおのれのマナコで見て、我が手で触り、腕に載せて、出来れば室外の太陽光でも確認せねば本当の得心とは行かない。だから面白くて奥深いと日々思う。
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左)PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY) P.231
中)Patek Philippe Internaional Magazine VolⅢ No.10 P.27
右)Patek Philippe Internaional Magazine VolⅡ No.8 別冊付録ノーチラスニューコレクション1976-2006:NAUTILUS,THE LEGEND LIVES ON P.2

ファッション雑誌"GQ"のWEB上の記事によればジェンタ以前は時計デザインとはトータルで一人のデザイナーがするものではなく、ケースや針、ブレス、文字盤それぞれが別々にデザインされていたらしい。ジェンタは元々ジュエリーが専攻だったが、時計においては着け心地を良くすることを優先事項にしていた。その具体策として彼はケースとブレスに薄さを求めたが、エレガントかつ実用的な"ラグジュアリースポーツ"という腕時計の新ジャンル確立にはしっかりした防水性確保も課題であった。ロレックスのように裏蓋を捻じ込むスタイルだと厚みが出てしまう。ジェンタはケース構造に工夫を凝らす事で初出のロイヤルオークに50m、満を持してさらに構想が練られたノーチラスには画期的な120mもの防水性を与える事に成功した。このあたりの天才ぶりに各有名時計メゾンがこぞって彼のデザインを採用した理由があるのだろう。

現行のメンズノーチラスシリーズの防水性能はスケルトンバックで裏蓋が捻じ込み式になって120mを確保しているが、唯一プチコンを積むRef.5712系のみはスケルトンバック+スナッチバック仕様の為に60mとなっている。レディスは全モデルがスナッチバック仕様の60m防水でメカがスケルトン、クォーツがノーマルケースバックとなっている。メンズに話を戻すとセンターフルローターの多機能モデルは全てケース厚が1cmを超えている。最厚はトラベルタイムクロノグラフ5990/1Aの12.53mmだが他ブランドのデカ厚に比べればまだまだ余裕がある。薄さを求めてマイクロローター搭載のCal.240を積んだRef.5712系だけは設計思想上敢えてスナッチにする事でケース厚8.52mmの薄さを獲得した。

3針モデルのデビュー作3700/1の搭載ムーブメントはパテック、オーディマ(Cal.K2121)、ヴァシュロン(Cal.1120)の3社が共同開発しルクルト社に製造させたと言われるCal.28-255C。センターフルローターながらカレンダー機構を搭載して厚さ3.15mmと実に薄かった。現行Ref.5711に搭載のCal.324 S C(3.3mm)よりも薄かったのだ。直径は前者28mm、後者27mm。ジェンタは画期的な裏蓋を独立させない2ピース構造で8mmの薄さと120m防水を両立したが、2006年に30年を経てフルモデルチェンジした現行モデルRef.5711はスケルトンバックをスクリューインする3ピースながら8.3mmと頑張っている。やはり30年間のケース製造における進化に負うところが大きいのだろうか。一体どの程度のネジ山が切られているのか是非見てみたいものだ。
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正直に言えば1990年代初めの頃、新米時計屋が初めて見たノーチラスの印象はあまり良くなかった。実はロイヤルオークもあまり好きでなく、ジェンタデザインアレルギーがあったのかもしれないし、30代前半の自分にはエレガント過ぎる印象もあった。50代になった今はどうか?お財布を無視できれば昨年発表のローズゴールドブレス3針のRef.5711/1R-001(税別5,730,000円)には興味がある。デビュー作Ref.3700でイタリア向けに10本のみ製造された幻のローズゴールドバージョンにはならないだろうが・・・
愛用されているお客様が異口同音に「ケースとブレスの薄さが着け心地そのもの」とその着用感を絶賛される。実は現行にマイナーチェンジする前のRef.5711/1A-001では駒がネジ止めだった為に微妙な厚みがあった(らしい)。通常この価格帯でのピン止めは見た目の高級感からはありえない。見た目より実を取るパテック。耐久性では明らかにハンディになるが、"装着感の為には維持のコストで対処下さいもパテック流だ。" やはりガンガン使い倒せるロレックスとは世界が違いすぎる。
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しかしながら010(ブラックブルー)とリファレンス最後の枝番違い011(シルバリィホワイト)とで人気に極端に温度差があるのも不思議だ。その違いはデイトナの比ではない。恐らくデビューモデルRef.3700に最初から採用された魅惑的なまでのあの色味・・深い青でもあり、グレーがかった紺にも見え、青味を帯びた黒とも言えるあの掴み処の無い微妙な色と横ボーダー柄にメロメロにされてしまうのだろう。ロレックスデイトナのように購入後のダイアルチェンジが可能なら少しは状況も好転するのに・・・

Ref.5711/1A-010
ケース径:40.0mm(10時ー4時方向) ケース厚:8.3mm
防水:12気圧
ケースバリエーション:SS(別文字盤有)の他にRG 
文字盤:ブラックブルー 夜光付ゴールド植字インデックス
価格:税別 2,790,000円(税込 3,013,200円)2015年7月現在

ブレスタイプの裏蓋は本当に撮り辛い。出来れば避けたいのでレディスノーチラスRef.7118/1Aの画像流用の予定だったが上述にて見た目が違い過ぎる為これより撮り下ろしマス。
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Caliber 324 S C/386)
直径:27.0mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個 受け:6枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

5月31日訂正加筆

昨日、昨年のパテック フィリップのSIS(ショップイン ショップ) オープン以来既に年次カレンダー系を2本お買い上げのご常連顧客様から初の2月末を迎えるにあたって
「この2月末はうるう年なので29日の次はどうなるのでしょう?」
愛用のRef.5396も初2末なので答えられない。同席のスタッフ岩田も・・・
(変な言い回しだが)仕方がないので愛機をひたすら時刻調整ポジションでリューズ運針してみた。パテックの運針ギヤ比は結構ローギヤなので焦らず・慌てず・丁寧に・・
もちろん何年もご愛用の方はお判りでしょうが一体どうなるのか

2月29日の次は?
1、2月30日となり日付調整プッシュボタンで2日分進めて3月1日にする
2、2月30日となるが日付調整プッシュボタンで1日進めれば2日分進んで3月1日になる
3、3月1日になる
4、2月30日となりリューズ運針の場合は2日分進めて3月1日にする
5、2月30日となりリューズ運針の場合は1日分進めれば2日分進んで3月1日になる

昨日は部分的に答えが出てはいたのだが、再確認して後ほど別記事にする。または追加加筆することも考えたが、月末目前なので取り敢えず公開!しながら更新、更新で
まあ3はありえないのだが、答えは1、が正解。最初は5が個人的にはお勧めだった。昨日の商談時もそれで決着させてしまっていた。
しかし運針だと曜日と月齢も連動して進むために、30日の次が2日分まとめてジャンプするのが日付のみなので結果的に月齢・曜日とも一日分進みすぎる。今年の場合なら3月1日(火)が水曜日となってしまう。ちなみに30日から31日には22時頃から変わり始め~23時頃に変更され、31日から3月1日には24時頃~1時30分頃に実にゆっくり変更される。曜日は23時40分頃~24時頃と結構短時間でチェンジ。月は24時頃~1時頃とのんびりだ。
訂正3月8日:冒頭の顧客様が昨日来店され大正解を教えていただいた。今更ながら取説を確認すれば詳細説明は全く無いが"3月1日に日付修正せよ"とあるではないか!そうなのである。2月29日の次は2月30日(現実3月1日)となるのでここで何とかしたいセッカチナ大阪生まれは2PUSHと答えたが、座して動かず1日待てば自然運針で3月1日(現実3月2日)となるので1PUSHで事足りる。まだまだ修業が足りませんナァ~

A 2月30?日22:38頃 6時位置のカレンダー窓は30と31の真ん中の"0 3"の表示
B 23:00頃 日付変更1時間前にして既に"31"に
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C 0:50頃 0:10頃からこんな感じで窓枠左側に31の"1 "だけ微妙に覗いている。曜日は水曜に変更され、この時点でゲームオーバー! 月はFEBからMERに変更真最中
D 1:21頃 やっとのことで" 1 "となり3月1日に、ただ曜日は水曜そのままで木曜とはならないが・・
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結論として一旦止めてしまった年次カレンダーのリューズ運針操作は2~3日のことなら3箇所プッシュより簡単だが、2月末だけは日付プッシュ(通常年3回、閏年2回)が絶対必要となる。ちなみにパテックのカレンダー系プッシュはAM6時(一部例外有り)だがRef.5396のように6時位置に月齢表示がある場合は月齢のみAM7:05にてプッシュ調整となる。念の為ご用心いただければ・・
修正:3月1日になるまで待った場合は日付プッシュは通常年2回、閏年1回となる

ところで全く余談ながら今回調整ボタン操作を嫌になるほどやった。パテック純正のプッシュピンは金属なので我々は普段から爪楊枝オンリーだったが、たまたま女性スタッフ岡田が持っていたネイルケア用品のウッドスティックなるものを使ったがすこぶる使い勝手が良かった。今後は常用することになるだろう。
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※正規パテック フィリプの考え方は純正プッシュピンの使用が基本。カサブランカ流はあくまでも自己責任ということになります。

付録
縁?あって半年愛用したRef.5396。どうしても12時側に時計が逃げ易いので6時側ストラップにエクストラホールを開けてみた。取り敢えずの装着感はかなり改善。ご希望があればご相談下さい。画像のレベルには大体あけられます。
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※今回も画像があまくてすみません。なんせ急ぎましたので・・

文責:乾

2015パテック フィリップのニューモデルで最も注目されたRef.5524カラトラバ パイロット トラベルタイム.。昨年のバーゼル全体でも大きな話題を集めて"Watch of the Basel World 2015"的な扱いだった異色?のモデル。良くも悪くもパテックらしくないルックスに賛否両論がバーゼル訪問前からチラチラ聞こえていた。数年前から先入観を持って現物を初見する弊害が嫌で、一切の事前情報を"見ざる聞かざる"で商談テーブルに就いた。

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PPJのN氏から「ハミルトンじゃありません!」と眼前に出されたRef.5524。その独特な風貌に様々なご意見とご感想が寄せられたことが想像できるジャブのようなコメントに苦笑しながら初見の印象は"これはこれで有り"だった。マット調の落ち着いた紺に近いブルーダイアル、同系色の蓄光塗料(スーパールミノバ)が塗布された時分針と無骨なアラビアインデックス、秒針(一部分)も青で統一されている。面白いのは他のトラベルタイム同様に2箇所の昼夜表示のディスクの夜部分が紺色なのだが文字盤と同色の為に夜間は完全に埋もれてしまう。6時位置のカレンダー表示サークルは3日飛ばしでなのでスッキリとした印象。ノーチラスプチコンRef.5712同様に1日だけレッド表示となっている。ケース径42mm、厚さ10.78mmはパテックとしてはデカ厚だがミリタリーテイストのこのタイムピースにはほど良いサイズ感だ。
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当初、全くルーツを持たない新機軸モデルと誤解されがちだったが、名称にカラトラバがついていることからも想像できるが遺伝子は1936年にの"Hour-angle" Wristwatch:時角腕時計(サイデロメーター)に遡る。1927年大西洋単独無着陸飛行(チャールズ・リンドバーグ)がなされるなど航空機の急速な発展期に、パイロットが夜間に正確な現在地を知る手立てとして恒星時(サイデラル・タイム)を基準とした正確な時角腕時計が求められた。これらの詳細はパテック社のプレスリリース(難解長文)を参照されたい。

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尚、画像上はPATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)P.252に掲載されているリリースの説明モデルNo.170 383(1936年)である。一番短い針が300°チョイ、分針様の長針が7と8の間、秒針風が34とあり307度34分と読むらしい。時間表示に換算も出来て20時30分16秒となるようだ。ちなみに搭載エボーシュはルクルト製の19リーニュ(約43mm)の大型キャリバーでヴィクトラン・ピゲが手を加えている。

しかしいつも思うのだが時計と天体や天文学との結びつきとはかくも強いものかと・・最も古くは日時計だろうし、大航海時代におけるマリンクロノメーター開発競争等があった。時代が下ってもキャリバー89やスターキャリバー2000、セレスティアルなどなど実用性とはほぼ無縁ながらその機能開発は今なお留まるところを知らないようだ。作り手も買い手も男はマジでロマンチストですナァ・・
最近キャリバー89製作(コチラは楽しい)に関するパテック社の興味深い動画を見たが、その中でも天文知識の学習の重要性が語られている。
その後の技術革新で時角腕時計の出番は急速に無くなってしまうのだが当初はあくまでもアビエーター(飛行機野郎たち)の為の計器(道具)だった。その遺伝子を受け継いだ5524にはパイロットの名が冠されているが、あくまでもオマージュと理解すべきで現代においてはパッセンジャー(搭乗者)の時計としてトラベルタイム機能が与えられている。
ところで5524は顔的には上記の時角腕時計とは似ても似つかぬ顔をしている。むしろP.100掲載の下記左No.169 248(1918年)や右のNo.177 548(1925年)辺りからインスパイアされている様な気がする。分針の形状なども酷似している。恐らく当時の最先端技術開発の花形であったアビエーションワールドのストーリー性豊かなエピソードに連なる"Hour-angle" Wristwatch"を着想のコンセプトに、同時代のミリタリー顔をデザインソースにしたのでは・・
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従来のトラベルタイムとの大きな違いはローカルタイムの変更ボタンに特許取得されたロック機構が備わったことだ。一見刻みの入ったボタンなので捻じ込み?っぽいが単純に4分の1周回すことでプッシュ操作可能状態となる。元々この上下2ボタンは押し心地がソフトタッチで時計脱着の際などに気づかぬ内に時刻変更状態になってしまうとの指摘があった。右腕に着用されるレフティーの方は着用中に手首の返りで"あら!不思議?"てなことも起こりえた。Ref.5524ではこの手の不安がスマートに解消されている。
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ストラップは青系と相性のよいブラウンのマットカーフレザーにアイボリーステッチとどこまでもアヴィエータースタイルに徹している。極めつけは18金WGのクレビスプロングバックル(Clevis prong buckle:U字型のボルトピン付き連結器具に突き刺すピンで止めるバックル?)と名付けられた新設計のピンバックルでリリースによればパイロットが装着するパラシュート等を固定するハーネスの金具より着想を得ているそうだ。ちなみにこのバックル、通常のピンバックルと同価格なので結構お得感あり。※ストラップ価格は現在スイスに確認中だが別売エクストラサイズ対応は可能なようだ。
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Ref.5524G-001 カラトラバ パイロット トラベルタイム
ケース径:42mm(10-4時方向)ケース厚:10.78mm ラグ×美錠幅:21×18mm 防水:30m 
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤:ブルー バーニッシュド 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ヴィンテージ ブラウン カーフレザー クレビスプロングバックル付き 
価格:税別 5,350,000円(税込 5,778,000円)2015年7月現在

スクリューバックの裏蓋のサファイアクリスタルバックからは入念に仕上げられたムーブメントを鑑賞する事が出来る。フルローター自動巻の裏スケルトンは半分しかムーブメントが可視できないので無理やり感があるのだがパテック フィリップは21金ローターそのものを主役にすべく見事な仕上げを施している。
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撮影当日は少々風邪気味(早朝登山サボリ過ぎ?)で後半画像はボロボロでんナァ~

Caliber 324 SC FUS

直径:31.0mm 厚み:4.9mm 部品点数:294個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 拘束角51°
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

ビブロ実測値(精度・振り角・ビートエラー)
文字盤上:+2~-5 288°~305° 0.1
 3時下:+1~-8 263°~284° 0.0
運針確認時間:58時間30分

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾



ディスコン発表のあったワールドタイムRef.5130の紹介時にも触れた1959年特許取得されたタイムゾーン・ウオッチ。天才時計師ルイ・コティエ氏によって考案されたこの画期的機構をベースに開発されたのが1997年発表のトラベルタイム。現行ライナップはメンズが今回紹介のアクアノートRef.5164とノーチラスステンレスRef.5990の2型に、昨年の2015バーゼルワールドで話題を集めた大型新人カラトラバ パイロット トラベルタイムRef.5524がメンバー入り。レディスはカラトラバRef.7134の1型だったが残念ながらこちらは2016年製造中止リスト入りした。

タイムゾーン機構搭載モデルとしては特許取得年の1959年に製造が始まったメンズカラトラバRef.2597HSからその歴史が始まっている。
左が1959年、右1962年で左右個体違いらしい。らしいとはまた無責任な・・・英文読解力不足ゆえご容赦下さい。左の4時を指す母国時間表示時針は変色しているが元々青焼(ブルースティール)仕様で18金針とそれは美しいコントラストをなしていた事だろう。
2/5追記ー最近発行されたジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアム完全カタログ英語版によれば左右品番は同じながら左の個体にはホームタイムを示す第二の時針が無く、単純に通常時針をローカルタイムに上下プッシュボタンで調整する初期型であることがわかった。
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大きく時代は下って1997年にトラベルタイムの新名称でこの機構を備えたモデルがメンズRef.5034(-2000?)、レディスRef.4864(-2005)がペアデザインで発表された。その後モダンなデザインのRef.5134(2001-2009)なども展開するが一旦シリーズは全廃となる。個人的にはこれら第一世代トラベル系のケース及びダイアルデザインには正直かなり戸惑いを感じていた。今画像で見直してもその違和感は変わっていないので敢えて画像は載せません。機能が独創的かつ操作性に優れていただけに少々残念ではあった。

2年の冬眠期間を経て、新生トラベルタイム Ref.5164が2011年に発表された。ステンレスケース、コンポジット《トロピカル》(ラバー)ストラップに加えて12気圧防水とタイムゾーン機能の組み合わせは実用面で相性抜群であり、海外を日々飛び回る現代のビジネスマンに最強のデイリーユースパテックを提供した。
何よりも素晴らしいのは1997年に誕生するや一躍人気シリーズとなったアクアノートの顔が与えられた事である。コンポジット《トロピカル》ストラップ表面パターンと呼応するかの文字盤上の浮かし彫り(エンボス)パターン、さらに6時位置のカレンダーサークル内の掘り紋様が地球儀の経線っぽくてタイムゾーン機能を謳うこの時計にはこの上なくピッタリである。申し分のない機能と実用性に加えてデザインそのものも人気のベストセラーモデルとなっている。シンプルな3針モデルも人気があって良いけれどアクアノートはトラベルタイムの顔を断然お勧めしたい。
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既に紹介したワールドタイムとトラベルタイムはまるで双子のようである。いづれも1960年代のどこか辺りから生産された気配が無くなりスイス機械式時計の暗黒期30数年(まるでタイムトンネルのようだ!)を隔てた1997年にトラベルタイムがまず復活。この技術をさらに進化させた1999年の特許を基に2000年には現代版ワールドタイムRef.5110が登場している。時系列でみるとトラベルは新生ワールド誕生の伏線(準備体操?)だったのかもしれない。

使い方はいたって簡単。左側の時針(ローカル)の下には隠されたホームタイム時針があるが今現在はどちらも日本時間の19日の午前1時状態。4時と8時あたりにある小窓がともに濃紺で夜を示している。10時位置のプッシュを8回押すと時針(ローカル)が反時計回りに進み右の表示となる。スケルトンになったホームタイム時針が午前1時に残ったまま時針(ローカル)は5時を指し左側の小窓が左上隅に濃紺をわずかに残して白くなり昼間を表現している。日付も1日戻って18日夕方5時のスイス時間となっている。日付変更線を跨がない限りは西方向は10時プッシュで遅らせ、東方向は8時プッシュで進めるだけだ。
では問題です。日本と12時間の時差があるチリにアメリカ経由で飛んだ場合の操作は?またその時の表示は?
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パテックフィリップマガジン掲載のデュアルタイムゾーン機構の展開図。2個のプッシュボタンに連動するのは10時ごろにある現地時刻表示時針(ローカル)、左側の現地昼夜表示ディスク及びカレンダーの3者であるが、ムーブメントの動きからは切り離されているので分・秒の精度には一切影響が及ばない。
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横っ面は質実剛健そのものでパテックの全シリーズの中で最も無骨ではないか。ベゼル上面と同様に小傷の目立ちにくいサテンフニッシュが採用された実用性重視設計である。左側のプッシュはカレンダーの早送り調整ボタンで時針(ローカル)が午後10時から翌朝午前2時までの4時間が操作禁止時間帯となっている。
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バックルは独特な両観音開きとなっている。大抵のブランドが単純なバネを使った構造で耐久性と信頼感に今一つ不安がある中で、パテック フィリップは頑丈な本体そのものをバネとして利用し相互にしっかり凹凸が咬み合う非常に秀逸な方式を採用している。ストラップ調整は潔くカットするので伸ばす場合は新規購入となる。心理的なメタボ抑制効果が・・
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Ref.5164A-001
ケース径:40.8mm(10-4時方向)ケース厚:10.2mm ラグ×美錠幅:21×18mm
防水:120m ねじ込みリューズ仕様
ケースバリエーション:SSのみ 
文字盤:ブラックエンボス 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブラックコンポジット《トロピカル》ストラップ(ラバー)アクアノート フォールドオーバー クラスプ付き 
価格:税別 3,820,000円(税込 4,125,600円)2015年7月現在

120m防水を生むスクリューバックの裏蓋のサファイアクリスタルバックからは入念に仕上げられたムーブメントを鑑賞する事が出来る。実用性最重視であってもゼンマイ心を忘れないパテック流のおもてなし。フルローター自動巻の裏スケルトンは半分しかムーブメントが可視できないので無理やり感があるのだがパテック フィリップは21金ローターそのものを主役にすべく見事な仕上げを施している。
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Caliber 324 SC FUS

直径:31.0mm 厚み:4.9mm 部品点数:294個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾
PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE Vol.Ⅲ No.6
PATEK PHILIPPE GENEVE (M.Huber & A.Banbery)

2016年3月12日現在
5164A-001  店頭在庫有ります
(パテック フィリプ在庫管理担当 岡田)


前回のエントリー(2016生産中止情報)で手巻ラトラパンテクロノCal.CHR27-525搭載モデルの絶滅について、世界最薄ムーブの一斉ディスコンはなんで?? と書いたが、パテックフィリップマガジンをさらに読み返してみると行間に隠されているただならぬご事情があったような無かったような・・
※今回は相当なゼンマイ話です。憶測だらけでもあります。お暇な方だけお付き合いください。

2001年にスタートしたクロノグラフムーブメントの自社内製化の開発プロジェクトで、当時社長であったフィリップ・スターン氏が下したミッションは2つ。出来るだけ薄いコラムホイール式スプリット秒針クロノグラフ及びブランド初の自動巻クロノグラフを同時並行で開発する事であった。あくまでも全く新しいムーブメント2種類の開発であり、けっしてレマニアの手巻クロノグラフエボーシュCH27-70の後継機種開発ではなかった。
いづれは供給不足に陥るであろう手巻のシンプルクロノグラフをまず作って、スプリット秒針機能のモジュールを乗っけるのが普通の流れなのに・・・

ここからは相当勝手な憶測。頭からスプリット秒針機能ありきで2005年に完成された少量生産のコレクター向けのCHR27-525はひょっとしたら、より生産効率が高く付加機能の拡張性も有って意匠的美観など全てにおいて名機レマニアCH27-70を上回るスーパーキャリバー(CH29-535)を確実に開発するための試金石だったのではないか。
恐らく2006年に発表されたモダンでスポーティな垂直クラッチ方式+フライバック機能を持つ自動巻クロノグラフムーブCH28-520開発過程さえも追い肥とした事で待望の手巻クロノキャリバーCH29-535は2009年に完成した。派生キャリバーとして2011年に永久カレンダーが組み込まれ、2012年にはさらにスプリットセコンドを組みこんだCHR29-535PS Qを搭載したRef.5204が発表された。結果的には高い次元の完成度を与えられたCH29-535が、モジュール方式であってもより進化したスプリットセコンド機能を備える事になった。
パテック社の参考記事は→コチラ
昨年バーゼルでスプリット機能のみに特化したCHR29-535PS搭載のRef.5730が発表された時点で一種のアドバンスドリサーチ的?だった自社キャリバーCHR27-525はその役割を全うしたのか・・
これまた目的(完璧な完成度の追及)の為には手段(遠回り)をいとわないパテックのこだわりだったのかもしれない。

でも仮に総生産数もかなり少量であったCHR27-525(2005-2015?)が今後再登場しなければ、搭載モデルのバリエーションが結構あったし、マイナーチェンジも頻繁だっただけにリファレンス毎の個体数は極端に少ないはず。実際1Ref.に付き10個生産とか聞いた記憶もある。
もちろん販売価格(時価)も半端ではなかったはずだが、将来のプレミア価格はもっとヤバい事になりそうだ。しかしこれらを敢えて限定としなかったのがパテック流なのか・・

2009年発表の古典的な水平クラッチ コラムホィール手巻クロノグラフキャリバーのエンジンCH29-535 PSは、同年まずメンズに先駆けて婦人向けコンプリケーションRef.7071に搭載されデビューした。その名も"レディス ファースト クロノグラフ"。同モデルを皮切りにパテックは矢継ぎ早にレディス ファーストの名を冠した婦人用コンプリケーションを発表してゆく。このレディス複雑時計開発ストーリーは別の機会にぜひまた紹介したい。
新たなレディスマーケット開拓のマイルストーンとなったCH29-535 PSは、翌2010年にメンズモデルRef.5170に積み込まれ、まずはYG素材で発表。さらに3年後の2013年にはWG素材の白文字盤、昨年2015年には今回の紹介実機である同WG素材でダイアルデザイン違いの黒文字盤が登場した。
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この文字盤変更でパルスメーター(脈拍測定計)が無くなり、針の形状と色使いが微妙に変更されスッキリした。漆黒を背景にブレゲ数字インデックス、クロノ秒針を除く4本の針全てが鏡面仕上げされている為にブラックアウトした際は、真っ白のクロノ秒針と外周秒レールとサイズアップされた2カウンターのみが強烈に浮き出るインパクトたっぷりのスポーティな顔に仕上がっている。
同時に発表されたクロノ秒針がもう一本多いスプリットセコンドクロノグラフRef.5370Pと似通った色使い、サブダイアル比率、リーフの針形状、さらにベースキャリバーまで同じと来れば、下世話ながらお代は三分の一弱の血を分けた兄弟分と言えないだろうか・・・

運良く撮影がかなった白文字盤。イメージがかなり異なるので好き嫌いは、はっきり別れるところかも知れない。当店のスタッフでも若手になるほど黒人気となっている。個人的にはオーソドックスで落ち着いた印象のホワイトに惹かれ気味。どっちにしても贅沢な悩みには違いない。
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ホワイトダイアルはインデックスとペンシル形状の時分針と小秒針が鏡面、クロノ関連のセンター秒針と30分針が黒でまとめられている。よってブラックアウトになると下のように全部が暗転する。
ところで以前に掲載画像についてはデジタル処理を避けたい意向を表明した。しかし最近は誤解を招きそうな画像には必要に応じて修正を加えている。実は上画像のオリジナルは下である。文字盤の色目を確保した為にブラックアウト状態にしか写せなかった。
しかし実際の仕様と異なって見えるのは困る。そこでコンピューターにめっぽう強い当店スタッフの竹山のゴッドハンド?でたちまち下写真が上の写虚!となった。ちなみに珍しくハック機能が付いていたリューズにも手品?がチョッピリ・・・ ネタバレついでに黒文字盤も竹山謹製である。
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ちなみに必殺検品担当の岩田は、スクエア形状のプッシャー上下面が鏡面では無くヘアライン仕立てな事とリセットプッシャーの押し心地にすっかりやられてしまった様だ。
※本稿の作成中に2016年生産中止予定リストが届き、シルバリィホワイトダイアルのディスコンが決まった。残念だ!

Ref.5170G

ケース径:39.4mm ケース厚:10.9mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG(ブラック010ホワイト001
文字盤:エボニィ ブラック オパーリン010、シルバリィ ホワイト001 ゴールド植字ブレゲ数字インデックス
ストラップ:手縫いシャイニー(艶有)ブリリアントブラックアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 9,110,000円(税込 9,838,800円)2015年7月現在

搭載キャリバーは何度見ても惚れ惚れする美人ムーブのCH 29-535 PS。古典的と言われる水平クラッチ(キャリングアーム方式)は美観に優れ、クロノ操作を見る楽しみを与えてくれる。ところがクロノグラフスタート時にドライビングホイール(A、クロノグラフ出車)と常に咬み合っているトランスミッションホイール(B、中間車)が、水平移動してクロノグラフホイール(C、クロノ秒針車)と噛み合う際に、タイミングによって歯先同士がぶつかるとクロノ秒針が針飛びや後退を起こす弱点がキャリングアームにはある。これを解消するためにパテック社ではクロノグラフ輪列(前述のA~C)に特許による新しい歯型曲線を採用している。その他にもコラムホイールカバー(D、偏心シャポー)やレバーやらハンマー等々あっちゃこっちゃに、これでもかと特許技術を投入することで、古典的美観はそのままに時代を先んずる革新的かつ独創的な手巻クロノグラフキャリバーを完成させている。
※パテック社によるCH29-535の解説は→コチラから
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Caliber CH 29-535 PS:コラムホイール搭載手巻クロノグラフムーブメント

直径:29.6mm 厚み:5.35mm 部品点数:269個 石数:33個 受け:11枚 
パワーリザーブ:最低65時間(クロノグラフ非作動時)クロノグラフ作動中は58時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:ブレゲ巻上ヒゲ
振動数:28,800振動

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾
Patek Philippe Internaional Magazine VolⅢ No.6 及び11

2016年3月12日現在
 5170G-010 店頭在庫あります
 5170G-001 お問合せ下さい
(パテック フィリップ在庫管理担当  岡田)

前回の続編クロノグラフ実機編を書いている最中にニュースが届いたので割り込みで取り急ぎご紹介・・・徐々に肉付け?予定
斜体太字のRefは今日現在で当店在庫あり。
※当然現在製造仕掛かりの物もあるだろうし、2016年度(2月~2017年1月)中に生産が中止になるリストなので、たちまち全てが一切手配不可という事もないらしい。ご希望品は精一杯探したい。もちろん簡単ではないけれど・・・

メンズ
ミニットリピーター
5074R-001,012 5074P-001 5217P-001 6002G-001 5207R-001 5207P-001
スプリットセコンドクロノグラフ
5959P-001,011 5950/1A-012,013 5951/500P-001
永久カレンダー
5140G-001 5140J-001 5140R-011 5940G-001 5940J-001 5496P-014 5160R-001
ワールドタイム
5130R-018 5130J-001 5130G-019 5130P-020 5130/1R-011 5130/1G-011
クロノグラフ
5170G-001
カラトラバ
5153G-001 5123R-001

今年は例年になく廃番が大量だが、中でもいわゆる超絶系が目立つ。特にスプリットセコンドクロノは、直前のエントリーでも紹介した2005年に初めて完全自社開発・製造された世界最薄コラムホイール割剣クロノキャリバーCHR27-525系搭載全モデルがごっそりディスコンとなった。
後年開発の手巻キャリバーをスプリットへ拡張化させたCHR29-535系があるのだが、直径が29.5mm(Ref.5370)と27-525系27.3mm(Ref.5959)より2.2mm大きい。ひょっとしたら時代の要請として少し大ぶりなクラシカルデザインのスプリットクロノがラインナップされるのであろうか。
つい先日撮影したばかりで、近日アップ予定の手巻クロノの5170G-001(シルバーリィホワイトアラビック)の廃番もさみしい限り。
慢性品不足のワールドタイムが超希少なクロワゾネRef.5131を除いてバッサリ製造中止もちょっとビックリだ。スタッフの中には175周年記念限定ワールドタイム同様にムーンフェイズが付加された新型を予想する者もいて、想像は膨らむばかりだ。

レディス
スプリットセコンドクロノグラフ
7059R-001
年次カレンダー
4936G-001 4936J-001 4936R-001 4937R-001 4937G-001
スケルトン
7180/1G-001
ダイアモンドリボン
4968G-001
トラベルタイム
7134G-001
カラトラバ
7119J-010 7119G-010 7120R-001 7120G-001
ノーチラス
7010G-011, 012 7010/1G-011,012
アクアノートルーチェ
5067A-011
トエンティフォー(Twenty~4)
4908/11R-010 , 011 4908/101G-001 4908/101R-001 4908/200G-001 , 011 4909/50R-001 4909/50G-001 4910R-001 4910G-001 4910/52G-001 4911G-001 4920G-001 , 010


レディスの年次カレンダーは予想通り。ただカラトラバは予想外でRef.7119はパテック フィリップ唯一のペアモデルだったのに・・ノーチラスで最も人気があったRef.7010Gも心残りだ。
Twenty~4は22Ref.の内、半数以上の14Ref.がドロップ。売れ筋ステンレス4色文字盤とローズゴールド18Kのブレスとサテンストラップそれぞれ各2色文字盤のみへと大ナタが振るわれ、超の付くゴージャスラインが大掃除された。次なる一手に興味津々だ。

いつものことながらパテックの廃番はサプライズありすぎ!しかしこれだけ(60ref.)いさぎ良ければ、逆にニューコレクションの大豊作が期待できる。こうなればテロリストと一戦交えても俄然バーゼルへ行く気満々になってきた。まるでカンフル剤のような今回のリスト。いやいや3月が待ち遠しい。

文責:乾

新年あけましておめでとうございます。2016年頭のブログは書こう書こうと思いつつ半年前のパテックスタート後、相次いで早々と皆嫁いでしまったクロノグラフ達。昨年末に久々に入荷したのが心待ちにしていた手巻のシンプルクロノグラフ。きっと書き出せばきりが無い事になりそうだが・・・

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パシャ、パシャ・・いつのまにかスマホの撮影会になってしまった年末のカサブランカ。しかも文字盤ではなく裏蓋側。スタッフ全員が見惚れてしまう。それほどに美しいパテック フィリップの手巻クロノグラフムーブメント。初入荷のRef.5170は今年発表のWGニューダイアルである漆黒2カウンターの実にシンプルな顔である。スタートストップのプッシャーの感触はしっかり感を保ったしっとり系、リセットは触れれば戻るという春風のように柔らかいタッチである。

意外な事にマニュファクチュールのキングであるパテック フィリップは正確に言えば自社製クロノグラフムーブメントをつい最近まで持たずエボーシュ(素材ムーブメントサプライヤー)を自社の高度な技術で仕上げるスタイルを採用してきた。
まず最初のエボーシュとして1900年代前半にクロノグラフを含む大量のベースムーブメントをパテックに供給していたジュー渓谷ル・サンティエの"ヴィクトラン・ピゲ"が、同社の腕時計黎明期に非常に大きな役割を果たしてきた。著名コレクターのグレイブス氏やパッカード氏の特注複雑時計もピゲ家三代(創業者ヴィクトラン、息子ジャン、孫アンリ・ダニエル)の時計師が中心になって作り上げている。

今回は実機の紹介の前にパテック フィリップの輝かしいクロノグラフの歴史について100年を超えるエボーシュの時代と、近年急速に進められた完全マニュファクチュール化について記しておきたい。
1929年以降のクロノグラフエボーシュはバルジュー社のValjoux23vzに変更され、1941年に記念碑的タイムピースとなる永久カレンダー・ムーンフェイズ・クロノグラフRef.1518が誕生した。その後継モデルRef.2499も伝説的モデルとして人気を博したが、Valjoux23vzのパテック社におけるストックが尽きた1985年に生産終了となった。
次に後続キャリバーの役目をになったのが最終エボーシュとなったヌーベル・レマニア社のパテック専用に特別生産されたキャリバーCH27-70である。1986年発表の永久カレンダークロノグラフRef.3970に初搭載されたヌーベル・レマニアの名キャリバーCH27-70は、様々な派生キャリバーを伴って最終2011年まで26年間活躍する伝説的エボーシュとなった。
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少し画像が見辛いが手巻クロノグラフキャリバーというのはどれも良く似ている。そして美しい。機械式時計に初めて接する人でも見惚れてしまう魅力を放っている。これは他エボーシュにも共通だ。ただパテックに特徴的なのは最も古いヴィクトラン・ピゲ時代からずっとコラムホイールをカバー付で採用し続けている事である。

2005年にパテックのクロノグラフは転機を迎える。完全自社開発・製造(マニュファクチュール)の世界最薄コラムホイール式スプリット秒針クロノグラフキャリバーCHR27-525PSを搭載したRef.5959Pが発表される。完全自社化の背景にはヌーベル・レマニア社を傘下に置くスウォッチグループのグループ外企業へのムーブメント供給制限方針があった。元々スプリット秒針クロノグラフ機構をはじめ複雑機構を自社生産していたパテック社にとってエボーシュ調達方式から完全自社生産への切り替えに困難は無かったとフィリップ・スターン名誉会長は語っている。
自社化2年目の2006年には全く趣の異なる自動巻+垂直クラッチの自社製クロノグラフ・キャリバーCH28-520を発表。さらに2009年には前述のレマニア製人気キャリバーCH27-70の後継機として自社製化したCH29-535(冒頭の画像)を発表して自社クロノ3部作をわずか4年で完成。その後は毎年のようにこれらの派生キャリバーを発表し製品化がなされ2012年からは全クロノグラフモデルが自社製となっている。

今回も長々となり実機は後日第2部でご紹介に。それにつけても5170の源流ともいえるレマニア時代の手巻クロノRef.5070、初出の1998年の価格が確か500万円弱だった記憶があり、個人的に販売実績もあった思い入れのあるモデル。借金してでも愛機にしておくべきだった・・・後の祭りはいつもむなしい

実機編(後半)につづく

文責:乾
主な出典
Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery
Patek Philippe International Magazine Volume Ⅲ Number 9

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このレディスモデルには特別な思い出がある。2012年晩秋にお招き頂いたパテック フィリップ視察ツアー。全国のパテック フィリップ正規販売店の経営者を対象に実施されたこのツアーではジュネーブの本社工場をはじめ主要な生産設備の見学と本店サロン訪問、パテック フィリップミュージアム見学などに加えてスイスの首脳陣との食事会等もあって、二度と経験できない貴重な体験をさせていただいた。
この時の工場見学で今回紹介するレディスコンプリケーション"ダイヤモンドリボン"の神技のようなジェムセット工程を見る事が出来た。0.6~1.4mmの9種類のサイズからなる273個のトップウェッセルトン・ダイヤモンド(クラリティIF及びFLのみ)合計約2.12カラットが約30時間かけて両眼顕微鏡を使用してセットされる。この際隣り合うダイアのテーブル面の高さと上から見た軸方向が揃っていなければならず、しかも最初は小粒のダイアモンドでスタートし徐々にサイズアップして新体操のリボンの様にスパイラルして終焉に向かってダウンサイジングしてゆく。このデリケート極まりない作業がこともなげに淡々とこなされてゆく。
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前々回紹介した同い年(2012年)生まれの異色のメンズカラトラバ5123Rにも書いたが、時計裏側の見た目が両者は良く似ている。特に短い角状の特徴的なラグが酷似するが、ダイアセッティングの流れを生かす為に裏蓋に巧妙な切削で設けられている。この点は5123とは異なり、むしろクルドパリ装飾の定番カラトラバ5119や7119のラグ形状に近い。
もちろん4968の為にだけ開発されたオリジナルケースであり、目的(連続的ジェムセット)の為には手段(開発コスト)を選ばない、いやいや厭わないと言うか恐れないパテック フィリップの製品哲学がこのモデルにも惜しみなく注がれている。
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バックルは通常のピンバックルだが上面とサイドがそれぞれ8個、左右で合計32個約0.25カラットのダイアモンドがセットされている。
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マザー・オブ・パール製の文字盤にもリボンをイメージした渦巻模様が施されている。6時位置にはスモールセコンドと同軸でムーンフェイズが備わっているのでシンプルな顔ながらコンプリケーションに分類される。しかしパテック フィリップマガジン Vol.ⅢNo.7の同モデル取材記事中にある「このような高度なダイアモンド・セッティング技術は、(その事自体が)コンプリケーション機能のひとつ・・」との記載に全く同感である。
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このモデルへのもう一つの思い入れは、阪神高速東大阪線長田料金所近隣の屋外看板をはじめ奈良県内数か所のロードサイド看板のモチーフで使用しており当店自慢の超べっぴん"看板娘!"でございます。

Ref.4968R-001 ダイヤモンド リボン ムーンフェイズ
ケース径:33.3mm ケース厚:7.98mm ラグ×美錠幅:16×14mm 防水:3気圧
      273個のグラデーションサイズのダイヤ付ベゼルとケース(約2.12カラット)
      32個のダイヤ付ピンバックル(約0.25カラット)
ケースバリエーション:RGの他にWG(別ダイアル有) 
文字盤:白蝶貝(ホワイト マザー オブ パール)、渦巻状の彫装飾、18金植字インデックス
ストラップ:ハンドステッチのシャイニー(艶有)トープアリゲーター
価格:税別 6,120,000円(税込 6,609,600円)2015年7月現在
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Caliber:215 PS LU

ムーブメントはパテックを代表する手巻キャリバー215にスモールセコンドとムーンフェイズを組込んでいる。2006年に発表されたシリコン系素材Silinvar®「シリンバー」採用の革新的なSpiromax®スピロマックスひげゼンマイが搭載されたことで耐磁性と耐衝撃性が格段に向上している。まさにパテック フィリップの哲学"伝統と革新"を体現した頼もしいエンジンが搭載されている。

直径:21.9mm 厚み:3.00mm 部品点数:157個 石数:18個 
パワーリザーブ:最短39時間-最長44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年3月12日現在
4968R-001   店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)
関連ブログ:着物でパテックフィリップ、ショパール(2016/6/21記事)

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2010年に人気の年次カレンダーに追加された5205は、敢えてANNUAL CALENDERと英名で呼びたいくらいコンテンポラリーでとんがったテイストを持っている。
DAY(曜日)DATE(日付)MONTH(月)がダイアル上部の10時から2時にかけて弓状レイアウトパターンのスタートは、年次カレンダーとしてはトノーシェイプのゴンドーロカレンダリオ5135(2004-2009年)が始まりだ。2006年には年次カレンダークロノグラフ5960に、2008年発表の永久カレンダートゥールビヨンミニットリピーター5207、さらに超絶グラコン5208にもこのデザインが採用されている。
どうやらカレンダーがらみで新キャリバー搭載などの革新的なモデルの定番の顔になっているようだ。
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今回撮影するまで5205の3か所の窓にはすべて窓枠があるものと思い込んでいた。しかし画像を見ると12時窓にのみ枠付きでしかもバーインデックス同様に山形に切り子仕様の凝った作りになっている。10時と2時の窓は枠が無いがそれぞれインデックスと3方向を囲む筋目によってあたかも枠があるようなギミックが施されている。まったく油断も隙もありゃしないのだ。
さらに秒インデックスの12時には2個、6時には1個の特別なピラミッド状インデックス仕様になっている。当店の必殺検品スタッフ岩田も気づかなかっただまし絵。ひょっとするとまだ未知の特別仕様が、何か出てきそうな気配のミステリアスな5205。たぶん穴が開くほど鑑賞するオーナー以外は気づかない宝探しか。
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ケース構造は普通に2ピースだがその形状は思いっきりユニークだ。以前紹介した革新的ハンターケース5227にも緩やかに取り入れられているケースサイドのホーンまで伸びる手作業による彫り込み、ベゼルと裏蓋周囲の土手部の逆ゾリ。それらが大胆に強調されていてクラシックな過去のパテックにはない新しい現代スタイルが確立されている。
特にサイドの彫り込みは肉抜き貫通状のアグレッシブなもので5205以外では超絶グラコン5208にしか穿たれていない。この特別な造形にもかかわらずケース厚は11.36mmで兄弟モデルともいえそうなクンロク系年次5396と0.16mmしか変わらない。ただクンロクが同価格でフォールディングクラスプなのとは対照的に5205はノーマルなピンバックル(尾錠)なのはケースの作り込みコストの違いによるものだろう。
さらに言えば特殊なケースサイド形状の為に4箇所のカレンダー等の調整ボタンが、かなり中央に寄せて配置された事もコストアップ要因かもしれない。
最近パテックのタイムピースを見ていて思い始めたのは、価格設定の考え方が他ブランドと少し違うのではないかという事だ。一般的には使用素材、搭載機能、ブランディングの優劣などから積み上げた価格が市場性を伴わなければ、コスト構造を見直して価格調整がなされるハズ。ところがパテックにはこの調整という発想がどうもなさそうだ。ある意味正直に積み上げた必要なコストをそのまま価格に反映している感じがする。一見首をかしげる高い値付けに思えてもじっくり子細を見てゆくと納得がいく事が多い。
ただ納得はいっても、その贅沢極まりないコストのかけ方には驚くしかないのだが・・・

Ref.5205G-010年次カレンダー
ケース径:40.0mm ケース厚:11.36mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG(別ダイアル有)の他にRG別ダイアル有
文字盤:マットブラックとスレートグレーの2トーン ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)ブラックアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 5,390,000円(税込 5,821,200円)2015年7月現在

搭載キャリバーは21金フルローターを採用したパテックを代表する自動巻きCal324に年次カレンダーモジュールを組込んでいる。
カレンダー系の操作は禁止時間帯等あって気を使うが、パテックの場合は殆どの物が午前6時(例外あり)に時刻を合わせてプッシュ操作を行う。ムーンフェイズはいつもネット検索して確認していたが、パテックHP内にある確認ページが結構便利である。
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画像では良く解らないが裏スケルトンのサファイアガラス周りの土手部分は表面のベゼル同様に逆ゾリになっていて、とんでもないあさっての方角が写り込んでとても撮影が厄介だ。

Caliber 324 S QA LU 24H/206

直径:32.6mm 厚み:5.78mm 部品点数:356個 石数:34個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年3月12日現在
5205G-010 店頭在庫あります
5205G-001 お問い合わせください
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)



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1932年、初カラトラバのRef.96誕生から80年を経た2012年、カラトラバの基本コンセプト"form must follow function(時間表示という機能を追求する事でデザインは生まれる)"を再確認するように生まれたユニークな手巻メンズが今回紹介の5123Rである。
確か同年のバーゼルでプレゼン頂いた際に "このモデルは製品化がほぼ見送られるはずだったものが、フィリップ スターン名誉会長の鶴の一声で、急遽日の目を見ることになった" との逸話を聞いた記憶がある。
そっけない?ほどの十文字のスモールセコンドが、手巻カラトラバの代表である5196同様にシンプル極まりない顔を作る一方で、この時計は独創的な個性にも溢れている。
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ストラップを折り曲げて畳み正面から見るとラグというものが殆ど見えない。ケースの構造に秘密があり、5119に似た3ピース構造だがベゼル部のアッパーケースと裏スケになった裏蓋のローワーケースに挟まれたミドルケースに一体成型の特徴的な形状のラグがある。
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このラグから伸びたストラップはまるで時計から直接生えているように見える。実はよく似た見せ方をしているモデルが、同じく2012年に発表されたレディスの4968通称ダイヤモンドリボンである。ただ真横から見たケース形状は実によく似ているが、ラグは裏蓋と一緒になっておりミドルケースが無い上下2ピース構造となっている。
もう一つの特徴がスリムな幅17mmのストラップである。通常より低い位置に細身で付くストラップの効果で、着用時にはスレンダーなベゼルが浮き上がった様に見える。華奢なストラップであってもカラトラバとしては大ぶりなケース径38.2mmに文字盤が大き目にレイアウトされて決して優男の印象は無い。むしろ敢えてのアンバランスが、不思議なエレガンスを生み出している。
昨今はやりの超絶系腕時計のマッチョな外見とは対極にあるカラトラバのミニマルでピュアなシンプルさは必要条件ながら、人と被らないさりげない個性的主張も欲しい。一見矛盾するそんな我が儘を叶えてくれる可能性が5123の魅力である。

Ref.5123R
ケース径:38.2mm ケース厚:8.0mm ラグ×美錠幅:17×14mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:RGのみ 
文字盤:シルバーオパーリン ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)ダークブラウンアリゲーター
価格:税別 2,810,000円(税込 3,034,800円)2015年7月現在

Caliber:215 PS

ムーブメントはパテックを代表する手巻キャリバー215PS。構成部品たった130個の完全熟成の名機に2006年に発表されたシリコン系素材Silinvar®「シリンバー」採用の革新的なSpiromax®スピロマックスひげゼンマイが搭載されたことで耐磁性と耐衝撃性が格段に向上している。まさにパテック フィリップの哲学"伝統と革新"を体現した頼もしいエンジンである。
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直径:21.9mm 厚み:2.55mm 部品点数:130個 石数:18個 パワーリザーブ:44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年3月12日現在
5123R-001  店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当岡田)

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やっと入荷!嫁ぎ先未定!店頭展示中!早い者勝ち! 
いやいや早とちりしてはいけない。画像は決して幻の希少モデル5711/1Aではない。今年新たなサイズとして追加されたケース径35.2mmのノーチラスのニューフェイス。
名称はLadies Automatic Nautilusとなっているがバーゼルでの初見はボーイズサイズ登場の印象だった。
それにしても御婦人はノーチラス3針モデルに関して優遇されている。まずクォーツで32mm、自動巻で既に33.6mmないし33.5mmの様々な素材、ストラップ&ブレスがあり、文字盤バリエーションも多彩だ。今回のニューフェイスはローズゴールドのブレスレットでもダイアル違いで2モデル用意されており全18種類(全て3針)から選び放題だ。ただ画像のステンレス1型を例外として最低でもベゼルにはダイア装飾が施されており、スポーツに徹したソリッドなレディスノーチラスは初お目見えだ。
文字盤の青もこれまでに無かった色目でメンズSSの青のようなグレーイッシュなブルーではなく少し明る目。バーインデックスと12時のアラビア書体、針とウェーブ状の文字盤の地模様は現行モデルを完全に踏襲している。
物はためしと手のひらサイズ27.5cmの大男が試着してみた。どうにか手のひらを通過しバックルも普通に留まる。ただ痛くはないが1コマ足しが良いかもしれない感じだ。標準体格までの男性なら着用についてはまずまず可能と思われる。但し、35.2mmというカタログ表記よりも印象は小さ目なので、サイズバランスが取れる男性に限ってならば是非お勧めだ。ちなみに当店男性スタッフ竹山の細腕には誂えたようにピッタリだった。
女性ならば、敢えてダイアレス仕様でマニッシュに着けたいが「ロレックスはチョット・・」という方にお勧めしたい。ただし、メンズの5711と違ってリューズは捻じ込み仕様では無いので水没は厳禁である。尚、ムーブメントはメンズと同じCal.324SC系(関連記事コチラ)をスケルトンバックで積んでおり、価格も5711/1Aと全く同じである。
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Ref.7118/1A-001
ケース径:35.2mm(10時ー4時方向) ケース厚:8.62mm
防水:6気圧
ケースバリエーション:SSの他にRG(別文字盤有) 
文字盤:ブルーオパーリン 夜光付ゴールド植字インデックス
価格:お問い合わせください。

Caliber 324 S C/386
直径:27.0mm 厚み:3.57mm 部品点数:217個 石数:29個 受け:6枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾
※時間に追われ余裕無く、画像に心模様が見事に写ってしまいますナア・・・

2016年3月12日現在
7118/1A-001  店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

1985年にパテックの永久カレンダーは大きな転換点を迎えた。それまで50年弱続けられてきた伝統のダブルギッシェスタイルから針表示の三つ目インダイアルスタイルに文字盤レイアウトが大胆にチェンジされ、搭載エンジンも極薄型自動巻240Qに全面刷新されたRef.3940(下図)がデビューをした。この新世代の画期的な定番永久カレンダーの優秀な遺伝子は、30年後の現行ラインナップに忠実に受け継がれている。
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まず少し大柄な長兄Ref.5140(2006年)、もうチョット大柄でクルー・ド・パリで化粧した次兄Ref.5139(2008年)と待望の初の女系Ref.7140(2012年)までいて、全て丸顔の賑やかな家族構成となっている。
今回紹介する2012年に発表された永久カレンダーRef.5940も同じ血族ながら、唯一ラウンドではなく"TVスクリーン"とも言われる1910年~30年代にも良く採用されていたクッションケースを纏っている。
ところでパテックの現行メンズコレクションの座布団顔は希少品種で、超絶系の割剣クロノRef.5950(SS)と、割剣クロノ+永久カレンダー+ハンドエングレーブのRef.5951(Pt)のたった2モデル(いづれも時価)のみにしか採用されていない。さらにこの2モデルは年度毎に顔が一新されたりしてほぼユニークピースに近い。それほどにクッションケースの扱いは今日のパテック フィリップにとって特別なものではなかろうか。
ダイアルは優しげなリーフハンドと遺産に忠実なブレゲ数字インデックス、日付や曜日他のインダイアルを飾る書体も微妙なボリュームがあって、血統書でも付けたい様な正統パテック顔だ。
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1977年開発の極薄型自動巻キャリバー240(厚さ2.53mm)に永久カレンダーモジュールを組み込んだ240Qが3.88mm。たった1.35mmに100年が封じ込められている。ケースに収まっての8.48mmは4兄弟中で最も薄く仕上げられており、コンパクトなケース径と相まって贅肉の無いアスリート系クッションケースとなっている。
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一般的な最近の傾向としてローズ(ピンクやレッドとも)ゴールド人気が相変わらず続いている。しかしながらパテックに限って言えば、当店ではイエローの人気が高い。特にクラシックな顔のカラトラバのシンプル系で顕著である。個人的には5940に関してもその風貌からイエローが最もふさわしい色目ではないかと思っている。

Ref.5940J-001
ケース径:37.0×44.6mm ケース厚:8.48mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:YGの他にWG別文字盤有) 
文字盤: シルバーリィ グレインド ゴールド植字ブレゲ数字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートブラウンアリゲーター
価格:税別 9,550,000円(税込 10,314,000円)2015年7月現在

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Caliber 240Q

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:275個 石数:27個 受けの枚数:8枚 
パワーリザーブ:最低38-最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年3月12日現在
5940J-001    店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

パテック フィリップを紹介する上で、絶対に外せないのが総本山とも言えるグランドコンプリケーション。これをすべて、調べてまとめてブログに書く、となれば全集にでもなりそうだが、取り敢えず店頭に在庫がある(在庫可能な?)永久カレンダーからのご紹介なんだか、自習なんだか・・・
※本日の内容は正直かなりオタク系、ご不要な方はleap(飛ばし)願います。

永久カレンダーは1795年に天才時計師ブレゲがその基本を発明したとされている。もちろん当時は懐中時計時代で、パテック初(世界初)の腕時計永久カレンダーは1925年の97975(ムーブNo?)となっている。ただこの時計は1898年9月に女性用のペンダント時計として作られ、紳士用腕時計に1925年に改造された奇妙な履歴を持っている。
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ところで愛用するブライトリングにナビタイマー1461というセミパーペチュアルウオッチがある。うるう年は超えられないので4年間=1461日修正不要という事が名前の由来。一年で一周するカムが普通の2月末を乗り切る役目を果たしているはずである。
これが永久カレンダー(perpetual calender)になると48箇月毎にやってくるうるう年のイレギュラーな2月末を乗り切るために48箇月で一周する複雑なカムがさらに組み込まれる。しかし100年に一度やってくる例外的非うるう年の2100、2200、2300年は、越えられない運命だ。
これを乗り切る為に100年で一周するカムを組込んだモダンな懐中時計(下図)を1970年代初頭にパテックは製作販売している。
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しつこいように暦(グレゴリオ暦)の例外はさらに上があって、400年に一度(前は2000年で次は2400年)はうるう年。これを超えるには400年で一回転するカム・・・
気の遠くなるような話だが、パテックはこれを1986年に特許登録し、1989年にはかの"キャリバー89(世界一複雑な時計)"に搭載して現実のものとしてしまった。正直、笑けてきますナァ。
ちなみにこれらの尋常でないオーバースペックの永久時計はTrue perpetual (secular) calendar(世紀永久カレンダー) と称されるらしい。全ては1年を365.2425日にした事に端を発した協奏曲である。
直線的に話が走りすぎたが、普通(なにが普通?)の永久カレンダー時計は非うるう年の2100年2月28日の翌日は3月にはなれないで29日になるので要修正。気づかず過ぎてしまったが15年前のミレニアムイヤーは修正無しで普通の永久が2月末を超えられた4世紀(見方によっては8世紀)に一度の希少な年だったのだ。
実機の紹介前にもう少し歴史のお勉強。1925年に腕時計デビューした永久カレンダーには現代の様にリープイヤー表示が無い。どうやら1970年に自動巻Cal.27-460Qにその表示は初めて組込まれたようだ(下図)。
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さて、現代の永久5940の取説を見ると月を送る調整プッシュボタンを押すと連動して閏年表示も進むので2015年の今年なら"3"に合わせることになる。簡単である。最大でも47回押せば良い。残りの調整ボタンは"曜日、日付、ムーンフェイズ"でボタンは合計4個ある。
ところが前世代の永久はこのボタンが一個足りない。恐ろしい事に 月送りが無い!おまけにリープの表示も無いのだ。一体どうやってカレンダーを合わせるのか?関係各方面に問い合わせた結果
「まず果てしなく日送り(最大364回ボタンプッシュ)をしまして2月27日にしてから、リューズ操作で針送りして28日の次が29日になれば閏年、ならなければ再度364回プッシュで次年度を確認。ひたすらこれを繰り返して年次確認後現在の月日に調整を致します」
仮に閏年の3月1日に、たまたま3月2日状態(不幸な事に偶然閏年の3月)の時計を渡されるとする。この場合364×4=1456回のプッシュが必要となる。ボタンの耐久性大丈夫ですか?
現実的にはカレンダー調整済み状態で納品されたはずだから、止めてしまっても、遅れている日付分進めて当日に調整すれば良いだけなので、そんなには困らなかったと思われるが・・・
参考:PATEK PHILIPPE GENEVE (M.Huber & A.Banbery)
あまりにもの長文、正直疲れましたので、実機紹介は後日に致します。

実機編(後半)につづく

※ブログ作成後に届いたオーナー向けマガジン最新号に偶然永久カレンダー特集があった。参考にして加筆しようかと迷ったが、切り口がかなり異なるのでそれはそれで別の機会に・・



前回のオフィサーの神髄5153が、伝統に忠実な保守系ハンターすると、対照的な革新系ハンターとでも言うべきモデルが2013年発表の5227だ。
グラコンでも、コンプリでもないシンプル極まりない中3針のこのカラトラバウオッチに、パテックは唯一無二の造形のINVISIBLE HINGE(見えない蝶番)を与えている。いわゆる"依怙贔屓"という奴ですヨ!
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実際に5227は上の画像の様にダイアルを正面から見る着用状態では、本人ですらヒンジを見ることができない。下の様に裏蓋側から注意深く見てようやくその存在がわかるという代物。
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パテック フィリップオーナー向けマガジン Vol.Ⅲ No.9 P15に逸話がある。現社長ティエリー・スターンが2年の開発期間を経て完成したこのモデルを、父の名誉会長フィリップ・スターンに見せた際に、フィリップをしてハンターケースと一瞥で見抜けなかったらしい。
不思議なのは5153では裏蓋内側に隠されていた18金ホールマーク4種セットが、5227では通常モデルのルールに則ってラグ裏4箇所刻印されている。ご丁寧なことに裏蓋外側の仕上げがヘアラインサテンって!おいおい!ひょっとして!ティエリー社長やってくれまんナァ・・
尚、下の画像で裏蓋内側にも蝶番が有るように見えるが映り込みである。刻印等一切なく見事な鏡面(ミラー)仕上げが