パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

Ref.5296G-001 クンロクトリプルサークル

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本日の紹介モデルは、通称トリプルサークルの名称で親しまれている個性的な顔を持つユニークなタイムピースだ。最大の特徴であるこのダイアルデザインはパテック フィリップ独特のデザインで、知りうる限り他ブランドには全く見られず一目でパテックと判別が可能だ。紹介のホワイトゴールドに加えてローズゴールドでも同デザインのダイアル展開がある。面白いのはいづれもRef.の枝番が001で、これまたそれぞれに設定があるプレインなソリッド文字盤の方が枝番010である事。つまりこのモデルに関しては灰汁の強いトリプルサークルダイアルが基本で、シンプルな文字盤がサブ的な扱いとなっている訳だ。
このダイアルデザインのルーツを探してみた結果、恐らくPATEK PHILIPPE GENEVE(Martin Huber & Alan Banbery)P.118の右下掲載の1934年製204 468と思われる。元の画質がかなり厳しいので画像は荒れている。
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商品説明によればRef.96とあり1932年が同リファレンスのデビュー年なのでクンロク黎明期に生まれた非常に由緒正しき正統派の変わり文字盤と言える。エボーシュはルクルトで中央秒針付き15石の12リーニュ(Ligne:2.2558291mm)で約27mm径キャリバーとなる。パテックの当時のメインチューナーであったF.V.Piguetがフィニッシュワークを担当している。もちろん手巻き時代のお話だ。それにしてもリューズがデカい。
ところが上述のテキストブックにはこの一点きりしか掲載が無い。しかたがないのでパテック フィリップ インターナショナルマガジンのバックナンバーを繰ってゆくと前々回の記事を触発してくれたクロワゾネ特集なんかが先に見つかってえらい目に合った。結局Vol.ⅢのNo.03の文字盤の変遷についての特集記事内25ページで下の画像を発見。左端が上の画像と同じ1934年発表のアール・デコ様式の伝説的な96モデルとある。ほぼ同じモデルと思われるが下の個体には6時側に SOMAZZI LUGANO とプリントが入っている。ルガノはイタリア国境にほど近いスイスイタリア語圏のリゾート地で美しい湖があったハズ。ソマズィ?(恐らくイタリア語)はたぶん時計店の名前でいわゆるダブルネームウオッチだろう。
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ついでに真ん中は本稿のメインディッシュのRef.5296G-001で2005年発表とあり今日迄11年間の継続はパテックのコレクションとしてはとても長寿だ。右は2010年に生産中止発表になったRef.5396Rで発表が2006年なのでこちらはけっこう短命。際立った白色使いと12時位置の太目の二本線を配置したトリプルサークル、加えてダブルギッシェ、さらにムーンフェイズ+24時間サークルは賑やかに過ぎるが、個人的には結構好きな顔だった。しかし今見直してみると確かにチョッとうるさくて暑苦しい気もする。逆にシンプルな3針の長寿Ref.5296Gのバランスが秀逸なのかもしれない。スターンファミリーが実質的経営権を握って直後の1934年が出自のオリジナルモデル、次世代へのバトンタッチ(2006年クリスマスに息子のティエリーへ次期社長就任通告)への移行期直前にあった2005年にフィリップ・スターンが採用した復刻文字盤デザインには何かしら特別な思い入れがあったのかもしれない。

上述の転載画像と比較の為、正面画像も撮ってみた。
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チョイとピンが甘いですナぁ。1934年のオリジナル(文字盤焼けかも)より多少白っぽいが、実に忠実な復刻ぶりである。パテックのアーカイブはとてつもなくぶ厚いし、特にダイアルはスターン家の稼業だったのでニューモデルクリエイトの引き出しは無限と言うほどあるはずだ。実際幾多のモデルがさりげなくアーカイブからヒントとエッセンスを得てリリースされ続けている。ただ昨2015年の話題の新作Ref.5524Gカラトラバ・パイロットトラベルタイムのようにニュースリリースのコメントが無いとオリジナルモデル不詳と言うものの方が、むしろ多いように思う。ところがこのクンロクに関しては1934年の初出以来文献上では復刻実績が見当たらないにも関わらず、初見でいかにもなパテックの顔と意識せざるを得ない。さらにオリジナルと見比べれば完全に瓜・・と言うよりも、もはやCOPYであってデイトカレンダーの有無ぐらいしか違いが無い。

ところがである。注意深い皆様はもうお気づきかもしれないがもう一箇所重要な相違点がある。現代クンロクRef.5296はPATEK PHILIPPE GENEVE のロゴである。1934年の初代は2点とも PATEK PHILIPPE の後に & Co とあり、改行して GENEVE は同様である。実は初代発表前年の1933年に経営権を掌握したスターン兄弟が社名変更を実施し、それまでのAncienne Manufacture d'horlogerie Patek Philippe & Cie,Société Anonyme(株式会社 伝統ある時計メーカー パテック, フィリップ社)からPATEK PHILIPPE & Cie,S.A.(株式会社 パテック, フィリップ社)になった。そりゃ変えるでしょう。なんぼ何でも社名が長過ぎ!る。
スターンファミリーはその後2回さらなる社名変更をしている。1966年に社長8年目を迎えたアンリ スターンが社史上もっとも簡略なPatek, Phillipe S.A.(株式会社 パテック フィリップ)に変更している。恐らくそのきっかけは後継者フィリップがこの年に入社しており、来たるべき息子の時代を周知させる為であったのだろう。
そして直近の2009年にはPATEK PHILLIPE SA GENEVE(株式会社 パテック フィリップ ジュネーブ)と43年ぶりの変更があった。この年のトピックは言うまでもなくティエリー スターンの社長就任であり、ジュネーブシールとの決別、新たなPPシールのスタートイヤーでもあった。
社名変更脱線ストーリーをもう少しオフィシャルHPから拾うと1839年のPatek, Czapek & Cie - Fabicants à Genève(パテック, チャペック社 - ジュネーブ所在メーカー)以降実に良く変更がなされていて1845年(アドリアン フィリップとの共同経営スタート、チャペックとの分社化)、1851年(アドリアン フィリップ名の社名取入)、1876年、1883年、1901年・・実に1933年のスターン家の事業継承までの96年間に5回も社名変更がなされている。面白いのは現社名に久々にGenèveがついているが創業期(1839~1876年)以来133年のブランクを経ての採用である。一体何が彼ら(フィリップ & ティエリー両氏)にそうさせたのか?これはお盆に聞きたいリスト追加かなァ。
さて話を文字盤へのブランド名称表示スタイルに戻す。現行の PATEK PHILIPPE GENEVE の出現をテキストで追いかけると1937年からの様だ。ただ1940年代前半までは PATEK PHILIPPE & Co GENEVE と混在している。推測だが37年以前からの継続モデルには敢えて仕様を変えなかったのかもしれない。ただ結論づけると1933年のスターン兄弟による社名変更とダイアルへのブランド名称表示変更時期は少し異なって(遅れて)いた。

薄い!やっぱり薄い。横っ面は何度も見ているし、撮ってもいる。それでも改めて見る度にその薄さに驚く。センター軸のフルローターセルフワインディングを収めて厚さ8.43mm。
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Ref.5296G-001
ケース径:38mm ケース厚:8.43mm ラグ×美錠幅:21×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:WG別ダイアル有)の他にRG別ダイアル有) 
文字盤:ツートーン シルバーリィグレイ, ブルートランスファー プリンテッド アワーマーカース
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター
価格:税別 3,040,000円(税込 3,283,200円)2016年7月現在

Caliber 324 S C/390(過去記事Ref.5296G-010より画像とも転載)

ムーブメントはパテックを代表する自動巻キャリバー324系のベースキャリバーだ。かつては315、330と同系列のキャリバーが搭載されていたモデルにも現在はこの最新型キャリバーが積まれている。汎用性が非常にあるようで、年次カレンダーとトラベルタイムの大半に加えて、グランドコンプリケーションでも日付がレトログレードするタイプの永久カレンダーはこの派生キャリバーを積んでいる。実用性重視のキャリバーなので頻繁に手が加えられ、その都度キャリバーナンバーが変わったものと思われる。
PATEK PHILIPPE GENEVE Wristwatches(M.Huber & A.Banbery)230ページのCaliber28-255(1970-1980)を両方向巻上タイプの最終機として、次世代新設計の片方向巻上のCaliber310(225・226ページ、1981年?~)が開発されている。どうやらこれが324系のルーツと思われ、瞬時日送りカレンダー機能も付加されている。実機への搭載はCal.335Cとして誕生5年目のノーチラスの2代目ムーブとして1981年に積まれたようだ。とすれば熟成期間すでに30年以上か・・・
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直径:27.0mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個 受け:6枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年7月29日現在
5296G-001 店頭在庫有ります
5296G-010  店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
いつの間にかもう二週間たらずのお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を開催いたします。
展示会期間中の土日13日14日の両日午後2時から「パテックフィリップに夢中」と題してライブトークイベントを実施いたします。正規輸入元のパテック フィリップ ジャパンからの特別ゲストを迎えて、突っ込みどころ満載のパテック フィリップの謎に乾はじめ当店スタッフががぶり寄ってゆきます。参加ご希望の場合は席(※本音は寄集めの椅子の都合で)に限りがありますので案内状送付希望を下記からいただき申し込み用紙にお名前等ご記入の上、FAX・お電話にてお申込み下さい。
また今年度の新製品はパテック社の方針で展示が出来ません。ただ事前予約いただければ個別にご紹介が可能です。詳しくはコチラ『パテック フィリップ展』からご覧ください。

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