パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

2016年8月の記事一覧

第一回パテックフィリップ展には多数ご来場をいただき誠にありがとうございました。準備、実施、片付けとバタバタし久々の更新となった。早いものでブログも立ち上げから1年が過ぎた。本稿が49番目の記事となる。早いのか、遅いのか?

さて今日は先の展示会で開催したトークイベントからネタをいただいて、当日の質疑応答のあったパテックの時計製造方式について少しご紹介したい。
話のきっかけは2005年から始まった完全自社製クロノグラフキャリバー3部作の開発順番の解説だった。なぜ最初に古典的な形式ながらスプリットセコンドを一体として組み込んだ手巻きキャリバーだったのか。これは出来るだけ薄い手巻きスプリットを作れ!というフィリップ スターン会長(当時社長)の厳命に対して、全く新しい設計を起こすのではなく1900年代前半の基幹エボーシュであったヴィクトラン・ピゲによるスプリットセコンドクロノキャリバーを手本に薄さを追求した復刻設計で対応した。結果短期間(数年)で完成したのがCal.CHR27-525である。
下左:Ref.130(1930年)ヴィクトラン・ピゲ製(未記載?)スプリットセコンドクロノグラフ
下右:Cal.CH27-525PS(2005年発表)
確かに似ているがウリと言うわけでもなさそうな・・
Vp022_01.jpg
翌2006年、対照的な革新性あふれる自動巻フライバッククロノグラフCal.CH28-520(下左)が発表された。年次カレンダーモジュールを積みパワーリザーブ表示を備えた拡張キャリバーもいきなりデビューさせたのはよほどこのムーブに自信があったのだろう。高度な垂直クラッチ技術によってクロノ秒針のセンターセコンド利用を可能にし、瞬時日送りカレンダーを採用するなど最先端技術はすべて詰め込まれている。
CH28-29023修正.jpg
2009年、一番後発の手巻シンプルクロノグラフがCal.CH29-535(上右)。前者2点と比べて最も簡単でシンプルなムーブメントに見えるが、開発に一番時間が掛けられた。これは自社化直前まで基幹の手巻クロノエボーシュであったヌーベルレマニア社のCH27-70の人気が圧倒的であった為、これを決して真似ることなく圧倒的に凌駕する骨太な自社キャリバーを水平クラッチ等の伝統的な匂いは残しつつ開発するという実に難儀なミッションだったからである。

以上の自社製クロノの開発ストーリーを復習?をした上でやっと本題。
ところで「手巻きのシンプルクロノが自動巻き年次カレンダー付きフライバッククロノより高いのはなぜか」よく聞かれる質問である。部品点数だって高い方が少ないのだから当然の疑問である。この答えが今回の本題であるパテックの2つの製造方式の違いを説明する事と重なる。
自動巻CH28-520は通称"シリーズ生産"と呼ばれる方式で生産される。組み立てには多数の時計師が携わっており、組み立てる部品をその場で仕上げや調整の手を加えることなく製造される。当然パーツが完璧な状態で時計師の手元に届く前提である。あくまで組み立ては手仕事だが分業によるライン生産方式なので効率的な生産が可能でコストパフォーマンスが良い。

これに対して2つの手巻きムーブメントはグランドコンプリケーションコレクションに対してパテックが現在採用している製造方式にて組み上げられている。シリーズ生産と異なるのは一人の時計師が最初から最後まで責任を持って全て組み上げている。シリーズ生産されるものよりバネ系部品が多用されるために組み立て時に微妙な調整が欠かせないらしい。正に高度な技で組み上げてゆき、一旦組みあがったら完全にバラして再度組み上げる"二度組み"を実施している。もちろんこれが出来る時計師も限られているし、モデルによってはほんの数人しか組めないので年間製造数も限られてくる。この手間暇がコストに反映してそれなりのお値段となる。
尚、手巻きクロノのRef.5170はカタログ上でコンプリケーション扱いながら製造は"二度組み"をするチームグラコン扱いとなっている。
すみません。本日は夏休みボケのようなブログになってしまいました。本人の備忘録という事で勘弁ください。

時計選びで最も重要なのは、見かけだと思っている。そして人から見られた時の見え感も大事ながら自分自身で見る腕元上での見え方が何よりも大事だと思う。十年、二十年と見続けても惚れ惚れする見かけが維持されていると想像出来るかにかかっている。もちろん昨今、幾多のブランドから"今の一瞬"を切り取った尖がったトレンディなタイムピースも発表されている。たった数年後でさえ陳腐化するリスクと背中合わせで腕にする勇気・豪気が無ければ絶対に手が出せない飛び道具。車に例えればランボルギーニかブガッティ。良くも悪くも刹那を生きる潔さがたまらない魅力なんだろうと思う。
パテック フィリップは対極にある。これは良し悪しでなくブランドはそれぞれの哲学を貫こうとしているだけだ。ただパテックが他ブランドと比べた時に高次元でそれを実現できている最大の理由は"メゾン"であることに尽きる。それも形だけの傀儡メゾンではなく100%自己ファミリー資本というバックボーンが無ければ実現不可能だろう。

今回の紹介モデルはパテックを代表する機能である永久カレンダー。既に同じ機械を搭載したRef.5940J、Ref.5140Pを紹介済みなので画像中心のご紹介。で、なんでしつこくこのモデルか?単純に見かけ。さすがに容易に買える価格帯ではないのだが、個人的には現行パテック永久ラインナップにあって一押しの男前モデル。2番目は2016新作として発表されたRef.5140P-017。ただし気を付けないといけないのはデザインに多少の緩さがあるのがパテックの良さ、それがT,P,O,をあまり選ばず着けられる長所に繋がっている。
ところが時計は男前になればなるほどドレスコードが正装に寄りがちで巾も狭くなって来る。特徴的な"Clous de Paris"(クルドパリ 仏語 意:パリの爪または鋲釘、英語表現では"hobnail pattern(ホブネイルパターン)"で靴底用の鋲釘文様のベゼル装飾を有するファミリー(Ref.5116、5119、5120)には全てその傾向があるのだが、なぜか特にこのRef.5139に強く感じてしまう。三つ目玉のコンプリ顔なのでドレス系と言うよりゼンマイ系でジャケパンぐらいは許して貰いたいが、シックかつドレッシイな濃色系スーツと合わせて夕刻以降のデートや会食にお供をさせたい一本だ。時計の格からしてスーツは最低でエルメネジルド ゼニア、本来はジョルジョ アルマーニかブリオーニクラスを合わせるのかナァ!
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銘キャリバーCal.240に組み込まれた永久カレンダーモジュールは現代パテックの黄金コンビで、ともかく薄い仕上がりを実現している。
ちょうど9時位置には曜日調整ボタンがある。
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そして12時側には左から月(閏年サイクルも含めて)調整ボタン、右側は日付調整となる。
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反対の6時側センターのボタンでムーンフェイズ(月齢)を調整する。
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以前にも書いたが欧米での大振りモデルへの要望から、今年は長らく永久カレンダーの主役定番モデルであったRef.5140(径37.2mm)がプラチナ以外全て生産中止になり、少し大ぶりな後継定番としてRef.5327(径39.0mm)が発表された。Ref.5139はその中間の38mm径で、個人的にはこのサイズ感が大層気に入っている。尚価格はRef.5140G(生産中止)と同じで新作Ref.5327Gより税別で30万弱お手頃となっている。
初出は2008年に白文字盤でデビューしたが、1年で生産中止となり現行の黒ダイアルに切り替わって既に7年はロングセラーな二枚目モデルである。

Ref.5139Gー010 自動巻永久カレンダー
ケース径:38.0mm ケース厚:8.7mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤: ブラック ラッカー ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 9,540,000円(税込 10,303,200円)2015年7月現在

Caliber 240 Q 

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:275個 石数:27個 受けの枚数:8枚
パワーリザーブ:最低38-最長48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
cal.240-1985b.jpg
上が1985年製、下は41年後のCal.240。一見殆ど変化無し、原設計完成度の高さに脱帽!
_DSC8008.jpg

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾

2016年8月5日現在
Ref.5139G-010 店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
お盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を開催いたします。
展示会期間中の土日13日14日の両日午後2時から「パテックフィリップに夢中」と題してライブトークイベントを実施いたします。正規輸入元のパテック フィリップ ジャパンからの特別ゲストを迎えて、突っ込みどころ満載のパテック フィリップの謎に乾はじめ当店スタッフががぶり寄ってゆきます。参加ご希望の場合は席(※本音は寄集めの椅子の都合で)に限りがありますので案内状送付希望を下記からいただき申し込み用紙にお名前等ご記入の上、FAX・お電話にてお申込み下さい。
また今年度の新製品はパテック社の方針で展示が出来ません。ただ事前予約いただければ個別にご紹介が可能です。詳しくはコチラ『パテック フィリップ展』からご覧ください。

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