パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

2016年10月の記事一覧

10月21日(金)午後4時ごろか。ちょうど四国(愛媛県松山市の百貨店部門の催事)への出張にまさに出発するタイミングで来たFAX。まさか(やっぱり?)の価格改定案内と新プライスリスト。
2か月前のお盆に実施した奈良のパテックフィリップ展でPPJトップから
「各ブランドでの価格改定(値下げ)が相次ぐが、出来る限りやりたくない」と聞かされていたのだが、さすがにここまで円高基調が続いての苦渋の決断だったのだろうか・・・

値下げは販売にフォローなようだが弊害もある。まず第一に直近でご購入いただいたお客様の気分が良かろうはずがない。また販売店にとっては在庫資産の目減りになりかねない。では値上げはどうかというと駆け込み購入があるが、改定後の反動があり販売不振となる。本音で言えば価格改定は無いほうが良い。しかしグローバルな商材は為替変動と無縁では要られないのも現実。
それでも競合ブランドが少ないパテックの場合、為替変動で相対的に小売価格が安くなった国だけを値上げする事で出来るだけ対処してきた様に思う。しかし記憶に新しい昨年1月15日のスイスフランショック(スイス中央銀行の市場介入中止による急激(15%)なスイスフラン高)の際、ティエリー・スターン社長は(恐らく)熟慮の上で世界の各エリア毎に値上げ(日本、ユーロ圏・・)と値下げ(スイス、アジア、アメリカ・・)、据え置き(イギリス)という大胆な荒療治?を2月11日付けで実施した。さらに為替の経過を5か月間観察して、7月1日に再度価格の見直しがなされた。日本に於いては2月、7月のダブル改定となった。
この間の為替変動と価格改定は、2015年1月20日終値超円安の 1CHF=¥136。ドタバタの2月10日に約5%値上。そこから一旦円高で3月16日 ¥120となるも反転し、6月8日には¥134まで円安に戻った。やむ終えず7月再値上げ6%。 ところがこの直後より再度反転しズルズルと円高基調となり今年2016年の年明けには¥120を割り込み本日10月20日にはついに¥105台まで円高が進んだ。これを受けての11月1日より約3%弱の値下げ実施が発表された。
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今回の価格改定は日本以外ではイギリスのみが超の付くポンド安を受けて8月からたったの2か月なのに再値上げとなる様だ。ブレグジットに揺れる英国は仕方が無いとして、我が国の円高も世界的には無視できないのだろう。
でも昨年度2回合計の値上げ幅が11%程度。そこからの為替推移からすれば今回の値下げ幅はずいぶん小さい気がする。今夏に値下げラッシュだったリシュモン系ブランドの約10%(一部25%なんてのもある)と較べてあまりにも格差がある。
ここで冒頭に話は戻る。パテックには1,000万円クラスやそれ以上のモデルが多々ある。10%下げれば100万も下がってしまう。在庫を抱える我々は冷や汗が出る。さらに直前に購入された顧客はブランドに対しての不信感を持ってしまうかもしれない。逆に下がれば新規販売が増えるかというと短期間に繰り返されたりすると様子見が増えたりで、これまた不信感。そう、値下げの弊害はけっこう大きいのである。
今回、意外だったのはつい先日発表されたノーチラス発売40周年記念限定モデルも価格改定対象だった事だ。10月5日の価格発表時点では価格改定は想定外だったのではないか。本当に急遽ドタバタ、そして不本意?な改定だったように思われてしょうがない。

いい機会なので少し長いスパンでスイスフランを見てみよう。ミレニアムイヤーだった2000年の秋に60円というハイパー円高時代があった。取引先百貨店が夏に破綻した年で毎日走り回っていた記憶がある。当然輸出産業大不振の日本丸は大波に揺られており沈没船に乗り合わせていたようなものか。それでも翌年のバーゼルには出張し確か1CHFが70円くらいだったはずで、結構な額を両替した記憶もある。
2008年までは緩やかに円安が進み景気も徐々に回復したが、2009年のリーマンで急激な円高になる。この年も呑気に秋のスペインに新規導入ブランドの絡みで物見遊山。自前旅行じゃなかったので為替メリットの実感なし。東日本大震災を挟み3年間ほど高止まりしていた円が、アベノミクスが始まった2012年から再度円安に景気回復に向かう。そして3年目の2015年夏から反転して今回の円高が始まった。この辺りで安定するのか?まだ上昇か?こればっかりは誰にもわかりません。ただ、円高=値下げ=微妙な景気 だけは避けてほしいナぁ。
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ところで新価格については個々お問い合わせいただくとして数モデルだけその変遷をご紹介。
Ref.5196J 2,120,000円(2015/2/10~) 2,260,000円(2015/7/1~) 2,200,000円(2016/11/1~2.65%↓)
Ref.5396R 5,070,000円(2015/2/10~) 5,390,000円(2015/7/1~) 5,230,000円(2016/11/1~2.97%↓) 
全て税別、まあ実に可愛いものです。

文責:乾

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前々からチョッと気にはなっていたのだが改めて2016カタログを見直して本稿のタイトルに・・種を明かせば同一リファレンスなのに素材が違う事で針やインデックス等が異なり別の顔のモデル。これが在りそうで中々ない。
レクタングラー(長方形)で2針+スモールセコンドのシンプルウオッチは現行ラインナップ中でこのゴンドーロのRef.5124が唯一。2008年のデビュー時からのロングセラーが今回取り上げるシルバリィオパーリン文字盤(銀と言うよりその色目は微妙にアイボリーがかった白?)にトライアングルインデックスを持つイエローゴールドYGタイプ(下右)。その枝番001はデビューモデルである事を示している。
同時に発表されたWGのヴィンテージローズ文字盤に黒色アラビア(算用数字)インデックスRef.5124G-010(下左)が7年を経て昨年ディスコンとなり、入れ替わりに若々しいブルーサンバースト文字盤にエッジの効いたバーインデックスのRef .5214G-011(下中)にモデルチェンジされた。
いつもながら長々と回りくどいが18金の素材違いで全部異なる文字盤デザインがラインナップされてきた変わり種。詳細に言えばWGのヴィンテージローズ文字盤は植字ではなく転写の黒色インデックスであり、時分針2本の形状も現行2モデルのドルフィンに対してリーフハンドだった。そして小秒針(スモールセコンド)デザインについても素材によって異なっている。
※尚、下の画像は当店スタッフ竹山のマジックハンドによるもので、WGアラビア文字盤のデッドストックはありません。
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しかし本当に″ジキル&ハイド"はこのモデルだけなのか?カラトラバのRef.5296のRG、WGにあるトリプルサークルダイアルとノーマルのバーインデックスはどうなる。さらに従来のバーインデックスに今年アップライドアラビア文字盤が追加された年次カレンダーRef.5396のRG、WGはいったいどうなのか。これらはそれぞれの素材に両方のダイアルがあるので双子の兄弟(たとえに無理があるナァ)みたいなものだろうか。
しかしながらRef.5296P-001のプラチナは同一リファレンス中で唯一のアップライドアラビアインデックスかつリーフハンド、さらにスモセコデザインも異なっている見事なジキル氏であった。しかしこの変人ジキル氏は嫌われるどころか結構なお宝。店頭にまず並ばない希少モデルである。結局これら2品番3点しか現行には無いはずなのでやっぱりパテックの″ジキル&ハイド"はレアだ。グランドコンプリケーションなんかはもっと素材違いによる奇人変人がいて良さそうだが中々にコンサバティブである。

この時計、針と時字(アワーマーカー)及び時分針がシャープ極まりない楔形状なのでブラウン及びネイビー系のビジネススーツとの相性は抜群である。イージークリックを活用してストラップを黒にすればグレーからブラック系スーツにももちろんOKである。さらに12時が植字のアラビアインデックスであり、ストラップ(初期設定)が艶無しの少し明るめの茶色。文字盤色も暖か味のある白なので秋から春まではカジュアルシックに合わせたい。個人的にはザックリとした太畝のコーデュロイパンツにバルキーなシェトランドセーター辺りが気分かと・・

Ref.5124J-001
ケース径:33.4×43mm ケース厚:7.38mm ラグ×美錠幅:22×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:YGの他にWG 
文字盤:シルバリィオパーリン ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートブラウンアリゲーター
価格:税別 2,670,000円(税込 2,883,600円)2016年10月現在

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Caliber 25-21 REC PS

ムー ブメントは、2007年復刻モデルとして発表されたトノー型の傑作モデル"クロノメトロゴンドーロ"の為に専用開発された角型手巻の新キャリバー25-21 REC のスモールセコンドバージョンである。さらに遡れば1934年から1967年まで製造されたCal.9-90(下:1951年製)に酷似している。元々の画像は天地が逆、文字が倒立するが上との比較でくるりと回した。でもなぜか最下辺の9-90は上を向いている。(2016/11/13加筆と画像追加)
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面白いのは御本家クロノメトロゴンドーロのキャリバー鑑賞用裏スケルトン窓とトノー形状の裏蓋とのサイズバランスには少し戸惑いを覚えるが、5214ではケースとキャリバー双方の
形とサイズに親和性が高い為に、むしろ専用ムーブ感を強く感じる事である。 いづれにせよ2モデル限定の少量生産希少エンジンゆえに時計のお値段は当然それなりとなります。(転載)

サイズ:24.6×21.5mm 厚み:2.57mm
部品点数:142個 石数:18個 パワーリザーブ:44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製) 振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾 Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.129(2016/11/13加筆)

2017年10月21日 現在
5124J-001 店頭在庫あります
5124G-011 予約対応となっています

(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

ついに発表。今春のバーゼルワールドでティエリー・スターン社長がコメントしていたノーチラスの限定モデル2型が本日?パテックのオフィシャルHPで公開された。PPJからはまだ正式インフォメーションが無いので価格・入荷状況等は不明。詳細判明次第追記予定です。

昨日10月5日に価格の連絡が来ましたので英文のオフィシャルHPから抜粋し、怪しい翻訳でなぞってみます。
Nautilus Ref.5711/1P-001 40th Anniversary Limited Edition 世界700本限定
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品番の"A"が"P"に変わるだけでえらい事に。プラチナのケースもブレスもサイズに関してはSSと全く同じようだ。唯一ベゼルの6時位置にはプラチナ印のダイア0.02ct.が埋め込まれる事を除いては・・
文字盤は18金イエローゴールド、時分針は18金ホワイトゴールド、秒針はロジュウムメッキされたブロンズ(青銅:銅と錫の合金)とケース素材にあわせてバージョンアップされている。インデックスはホワイトゴールドのカップにバゲットダイア(合計0.34ct.)を埋めて植字されているが、ここは好き嫌いが別れそうな気がする。カレンダー窓はわずかに大きくなりホワイトゴールドの窓枠を備えている。6時の上部には文字盤への過剰装飾を嫌うパテックにしては珍しく大胆にも40周年記念のエンボスが結構大きく記されている。
40周年記念モデルがプラチナらしい噂はあったが、ダイアがらみとは全く予想していなかった。ただモニターで見る限りは現行ステンレスモデルにほぼウリなのでこれはこれで・・お値段もそれなりなのだがプラチナは原材料費が高いだけでなく、その粘りっこい素材特性から鍛造・切削・研磨等の加工全般が物凄く大変な素材らしく、ケースのみならずブレスとバックル全てを作ればどうしてもコストがかさむようだ。

ケース径:40.0mm(10時ー4時方向)ケース厚:8.3mm
防水:12気圧
ケースバリエーション:PT950 
文字盤:サンバースト加工にブルーPVD加工 バゲットダイア付ゴールド植字インデックス
搭載キャリバー:324SC→詳細は過去記事
価格:税別 12,740,000円(税込 13,759,200円)

11月7日追記:海外サイト「MONOCHROME」中に1981年に1点限定で生産されたユニークピースRef.3700/1P(控えめなポイントダイアインデックス付き)の2013年オークション情報が掲載されていた。そのハンマープライスは783,750スイスフラン!11/7のレートが1Sfr=107円なので・・
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Nautilus Chronograph Ref.5976/1G
-001 40th Anniversary Limited Edition
世界限定1300本
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バーゼルの段階で2モデル出るらしいと言われていた。3針モデルは妥当としてあと一型は、ミニットかトゥールビヨンあたり・・はたまたクロノならCHR29系のスプリットでいづれも極少量生産かと思っていたら大外れで量産型のクロノグラフムーブCH28-520を積むことで意外に量産?1300本での発表となった。品番はノーチラスデビューの1976年にちなんでの5976。2年前のブランド175周年の限定各モデルの品番(末尾175や75)と発想が似ている。
ノーチラス最大サイズとなる44mmはレギュラーモデルより3.5~4.0mm大きい。厚さ12.16mmは同一ムーブ搭載のRef.5980よりも0.84mm薄いので腕なじみは案外良いかもしれない。大型化に伴って6時側の積算計サークルも大きくレイアウトしなおされている。
こちらの文字盤素材は真鍮。インデックスは3針モデル同様WGでダイアを包んでいるが3か所はプリンセスカットになって総カラットは3針モデルより少ない0.29ct.。時分針はWGにスーパールミノバと3針同様ながら、クロノ秒針はロジウムメッキの鉄針。クロノグラフ積算の60分と12時間計の時分針はホワイトラッカー仕上げの真鍮製。カレンダー窓も3針と同様にWGの窓枠付きで視認性に優れた大き目のレイアウト。40周年記念エンボスはスペースに余裕がある12時側に横長に配置されている。
現行モデルにプラチナブレスタイプが無いので価格の情報を貰う前は、3針プラチナとクロノグラフWGのいづれが高いのかよくわからなかった。ノーチラスにはローズゴールドのブレス仕様で3針(税別5,730,000円)とクロノグラフ(同9,550,000円)がある。単純比較はできないが3針のプラチナのケース&ブレスの製造コストが相当に高いと想像される。

ケース径:44mm(10時ー4時方向)※リューズを含む3時ー9時方向で49.25mm
ケース厚:12.16mm 
防水:12気圧
ケースバリエーション:WG 
文字盤:サンバースト加工にブルーPVD加工 バゲット及びプリンセスダイア付ゴールド植字インデックス
搭載キャリバー:CH28-520 C 自動巻フライバッククロノグラフムーブメント コラムホイール 垂直クラッチ採用
価格:税別 10,830,000円(税込11,696,400円)

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いづれのモデルもブラウンナチュラルコルク製の記念ボックスに収められる。コルクの質感は一見奇抜な印象を受けるが、リリースの説明では1976年のデビュー時のボックスをかなり忠実に復刻したレプリカボックスとしている。
11月7日追記:海外サイト「MONOCHROME」さんよりオリジナルRef.3700の箱画像拝借。サイズバランスは異なる様だがディティールまでほぼウリ。
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納期はまだはっきりしないが、そんなに先にはならないような気がする。とにもかくにも早く現物を見たい。

10月25日追記
10月14日に販売ルールの案内があった。ご購入実績店舗のみで12月末までに購入予約可能となっており、仮に予約が無ければ我々も実物を見る事すら出来ない。また受注可能本数も店舗ごとに決められているので本当に限られた方のみが購入可能となっている。


文責:乾

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さて、ほぼ全モデルがいつでも人気品薄のノーチラスは発売30周年を迎えた2006年にフルモデルチェンジがなされている。この再デビュー時ラインナップは3針、プチコン、クロノグラフの3種類が用意された。2010年に年次カレンダーが追加され、2014年発表の5990トラベルタイム クロノグラフがモデル的にも機能的にも最新の製品となる。偶然なのか4年毎に新機軸が発表されている。

ノーチラスは見た目より相当薄く感じる時計であると以前に書いた。確かにフルローター自動巻Cal.324(3.3mm厚)の3針モデルRef.5117やマイクロローター自動巻Cal.240(3.98mm厚)をベースキャリバーとするプチコンRef.5712は本当に薄くて手首へのフィット感の良さは無類と言える。ただフルローターに加えて垂直クラッチを採用したクロノグラフCal.28-520にトラベルタイムのモジュール積むとムーブ厚で7mm近くなりケーシングされればそれなりの厚みが出て来る。ケース厚12.53mmはノーチラス最厚モデルである。
顔はどこまでもモノクロームの世界である。トラベルタイムの昼夜表示2箇所の窓に夜間わずかに濃紺が出て来るのみである。同じようなグレーベース文字盤のプチコンWGや年次カレンダーには月齢ディスクのネイビーやカレンダー等に部分的刺し色として赤が使われているのに対して、あまりにもメカメカしい。ノーチラスの中で最も質実剛健な印象である。
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文字盤上部のサークルは針表示のカレンダー。下部のサークルはクロノグラフ連動の60分積算計。8時位置のスケルトン針がホームタイムを指す。4時位置のHOME窓の紺色夜表示とあわせて午後8時を示している。通常時針は8時のLOCAL窓と合わせ午前10時と読む。このローカル用時針は9時位置のヒンジ(耳)形状の上下に分割されたボタンで1時間単位での前進と後退が可能である。リューズガードを兼ねた3時のヒンジ部分の上側ボタンがクロノグラフのスタート&ストップ。下がリセットボタンだが、クロノグラフ運針中に押せば瞬時に帰零(リセット)し、放せば(リリース)即時再スタートさせられるフライバック機能の制御ボタンでもある。
このフライバックは元々軍用目的に開発された。例えば戦闘チームが分かれて多方面から戦闘任務を遂行する際に、フライバックを利用して簡単に共通の経過時間を共有する為に使われたのである。
では平時の現代においてどう使うかであるが、この時計に関しては極めて正確な秒針として利用する事が可能である。大抵のクロノグラフにはスモールセコンド形式で時計秒針が備えられている。しかしこのRef.5990には時計秒針は見当たらない。パテックが誇る最先端クロノグラフキャリバーCal.CH28-520の垂直クラッチが優れもので、クロノグラフ作動時のエネルギーロスがほとんど無い為に、クロノグラフ秒針を回しっ放しにして通常秒針として使用する事が出来るからだ。その秒針運針時にフライバックを使って秒針をゼロリセットさせれば簡単に秒単位での時刻合わせが可能となる。

細かいことながらRef.5990は他のノーチラスとケース構造が決定的に異なっている。3針のシンプルなRef.5711を始め普通は捻じ込み式の裏スケルトン仕様の裏蓋、本体を構成するミドルケース、このミドルケースとヒンジ(耳)部分で噛み合ってビス留めされるベゼルの3ピース構造となっている。Ref.5990とほぼ同じ12mm強のケース厚が有って同系列のクロノキャリバーCal.CH28-520 Cを積むRef.5980ですらこのスタイルは変わらない。そしてベゼルとミドルケースの隙間には黒くて分厚い防水パッキンがしっかり確認できる。ジェラルド・ジェンタ考案のユニークだがシンプルな構造だ。下画像はRef.5711/1A
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ところがトラベルタイムの2つのボタンを9時側のヒンジ(耳)部にレイアウトする大胆な発想でスタイリッシュなデザインに仕上げられたRef.5990では必然的にヒンジ(耳)を利用したミドルケースとベゼルの固定が不可能となった。そこで3時のリューズ側のヒンジ(耳)部分はベゼルではなくミドルケース側に成形される複雑な構造になっている。2つのクロノグラフプッシュボタンもビスが無いのに便乗して?ヒンジ(耳)寄りに配置されておりシンプルクロノグラフのRef.5980よりも操作性が向上している。通常可視できる前述のパッキンも見えずよりエレガンスな新種のノーチラスと言えそうだ。
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ついでながらノーチラスで最薄のRef.5711と最厚のRef.5990の断面画像を比較。5711ではブレスレットの各駒の厚みがすべて均一だが、5990はケースの厚みとのバランスを取るためにケース本体に向かって段階的に駒が厚くなっている。
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この微妙な駒の厚みでケース寄りのブレス部分は良い意味で若干バングルっぽい剛性感があり、5990の大き目で重たいケース本体をしっかりホールドしている。
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店頭のトラベルタイムのラインナップが充実してゆく。アクアノート トラベルタイムRef.5164がステンレスと今年素材追加されたローズゴールドの2本。2015バーゼルワールドで話題をさらった5524G-001カラトラバ パイロット トラベル タイム。そして今回ご紹介のトラベルタイムクロノのノーチラス。レディス唯一のトラベルタイムRef.7134G(未紹介・2016生産中止)のお宝在庫とあわせるとパテックのトラベルタイムコレクション全7モデルの内5モデルが揃った事になる。在庫切れはRef.5175グランドマスターチャイム(175周年記念限定品・下画像)と2016新作のRef.6300Gだが、これらは残念ながら永久に在庫にならないので暫定でフルラインナップという事になる。
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この原稿は2月の初旬の初入荷時に書き始めたのだが、8ヶ月間アップすることが出来なかった。実は入荷検品で機能的に初期不良を疑わせる症状が見られたために何度かのやり取りを経て、最終的にはスイスパテック社の見解付きで今回の入荷となった。誤解を避けるためにそのいわくつきの詳細は店頭でご説明させていただきたい。

Ref.5990/1A-001 ノーチラストラベルタイムクロノグラフ
ケース径:40.5mm(10-4時) ケース厚:12.53mm 防水:12気圧
ケースバリエーション:SSのみ
文字盤:ブラックグラデーテッド 夜行付ゴールド植字インデックス
ブレスレット:両観音クラスプ付きステンレス3連ブレス 抜き打ちピン調節タイプ 
尚、2014BASEL発表の商品リリースはコチラから
価格:税別 5,990,000円(税込 6,469,200円)2016年7月現在


搭載されるムーブのベースキャリバーCal.CH28-520は、それまで頑なに手巻きの水平クラッチに拘っていたパテックのクロノグラフ史を2006年に塗り替えたエポックメイキングなエンジンである。前年発表の完全自社クロノキャリバーCal.CHR27-525は確かに最初の100%自社製造ではあったが、それまでの伝統的製造手法でコツコツと工房で少量生産される手作り的エンジンであり、搭載されるタイムピースも商品というより作品と呼ばれるのがふさわしいユニークピースばかりだ。対してCal.CH28-520は"シリーズ生産"と呼ばれる或る程度の工場量産をにらんだ商業的エンジンであり、パテックフィリップが新しいクロノグラフの歴史を刻み込むために満を持して誕生させた自信作なのだろう。
パテックの自社クロノキャリバー3兄弟の価格は、その搭載機能や構成部品点数に比例せず、どれだけの手仕事が盛り込まれているかで決定される。金銭感覚抜群で働き者の次男CH28-520 C(自動巻、垂直クラッチ、フライバック、部品点数327点)、次がクラシックだけどハイカラな3男坊のCH29-535 PS(手巻き、水平クラッチ、部品点数269点)、そして金に糸目をつけない同楽な長男CHR27-525 PS(手巻き、水平クラッチ、ラトラパンテ、部品点数252点)の順となる。(5960/1A-001記事より転載)

下画像:本機に積まれるトラベルタイム搭載のCal.CH28-520 C FUS
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下画像:従来型の年次カレンダー搭載Cal.CH28-520 IRM QA 24H

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上記2枚の画像でローターで隠された部分は3枚の受けがあるが、この部分はどの派生キャリバーもほぼ変化が無い。それに対してテンプ左のPPシールの有る受け、さらに左の複雑なレバー類がレイアウトされた空間は派生キャリバー毎にけっこう異なる。必要なミッションに応じて搭載モジュールがダイアル側で単純にチェンジされるだけでなく裏蓋側の基幹ムーブメントへもアレコレと手が入れられている(5960/1A-001記事より転載)

Caliber CH 28-520 C FUS トラベルタイム機構付きコラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:31mm 厚み:6.95mm 部品点数:370個 石数:34個 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾

2016年10月2日現在
5990/1A-001 店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田




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カサブランカ奈良

〒630-8013 奈良市三条大路1-1-90-101
営業時間 / AM11:00~PM8:00
定休日 / 水曜日 TEL / 0742-32-5555
ホームページ / http://www.tokeinara.com/

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