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パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

2017バーゼルワールド その2

3月26日、日曜日は会期一週間のバーゼルワールド期間中で最も込み合う日だ。時計好きのスイス人達が全国からモーターショーのノリでこの国境の地に今年の新製品をひやかしにやって来る。入場料は一日券で約5,000円と安くないが一般人も会場には入れる。もちろん各ブランドのブース内には入れないが特殊な商材を除いて各ブース外回りのショーウインドウでニューモデルや通常ラインナップがじっくり鑑賞可能だ。1月にジュネーブで開催されているSIHH(通称ジュネーブサロン)も今年から一般客の入場を認めるようになったそうでその分賑わいが増したそうだ。

本日は朝からびっしりのスケジュール。列車とトラムで会場入りし11時からブライトリングでスタート。各ブランドが新製品を絞っている中でブライトリングは1時間で見切れないニューモデルラッシュ。元気である。特に日本市場限定モデルのクロノマットJSP(ジャパンスペシャル)は一世代前の人気モデルだったクロノマットエボリューションを彷彿とさせるベゼルとバーインデックスダイアルに自社クロノムーブB01を搭載してオールステンレス製で税別83万円と見事に頑張ってきた。

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宣伝モデルの黒文字盤よりも個人的にはシルバーダイアルが秀逸か。興味深いのが新しくセラミックベゼル化されたスーパーオーシャンヘリテージⅡシリーズの42mmと46mmの3針モデル。同社のスーパーオーシャン発売60周年記念を祝してリリースされたものだ。
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税別予価40万円後半のコチラのエンジンはなんと大御所ロレックスのデフュージョンブランド日本未展開″チュードル"仕様。心臓部のテンプ等はブライトリング特製となるが門外不出だったロレックスグループのキャリバーが初めて社外のそれもスウオッチ傘下のムーブメントメーカーETA社と良好な関係にあると言われていたブライトリングに積まれるとは驚愕である。またバーター的にブライトリングのフラッグシップ自社クロノグラフキャリバーB01が今後チュードルのクロノに積まれるらしい。現在チュードルの既存クロノグラフモデルが邦貨換算で60万円程度。チュードルB01クロノが一体どのくらいの値付けをされるのか?興味津々である。

ブライトリングのお後はチョッと内緒のブランド2か所とセイコーとカシオの4ブースを視察し、いよいよ今年もバーゼル最終はパテックに乗り込む事に・・
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世界限定500本のパテック フィリップ アドバンスドリサーチモデルRef.5650G税別予価643万円。機能的にはこれまであったアクアノートSS及びRGのトラベルタイムと何ら変わりません。プッシュボタンの感触もほぼ同じらしい。ほぼパテック技術陣のマスターベーションとも言えるコチラ。パテック初?のコレでもか!の無理やりっぽいオープンワークから覗くトラベルタイム新モジュール。従来モジュールがレバーや爪類を含め37点の部品から構成されていた代物を特徴的な4つの十文字型に交差する板バネを新規採用することでわずか12点の部品で構成する事に成功した。上の画像で4か所の十文字板バネとそれに連なる大きな弓状のステンレスパーツは全部一体のもので1個のパーツとなっている。よくもこんなバカでかい部品を作ったものだ。もう一か所このアドバンスには秘密があって、調速パーツである髭ゼンマイが単なる従来型のシリコン製スピロマックス製ではなくゼンマイの内端側に膨らみを持たせる事で精度の重力姿勢差を画期的に緩和することに成功している。パテックの見解では少々大げさながら?トゥールビヨンの発明に匹敵する技術革新としており、従来のパテックの精度基準であった平均日差―3秒~+2秒(トゥールビヨン搭載機ではさらに日差3秒以内)を―1秒~+2秒以内への調整が可能としている。ただ4月14日現在このアドバンスドリサーチモデルの販売方法は未発表である。どなたが幸運にも手にされるかわからないが、全くの新機構ゆえ初期トラブルは覚悟と言う事で・・
そして今年の一押し新製品Ref.5170P。このモデルとしては初のプラチナ製であり昨年のノーチラス発売40周年記念限定で採用されたバゲットダイアインデックスが採用されている。ともかく美しいのは漆黒の外周部から中心に向かって実に良い具合に濃紺へとグラデーションしている文字盤だ。パテックの関係者も含め一押しの声が多い。ほぼ同じ文字盤装飾が施された年次カレンダーRef.5396R-015もカタログや画像では全く伝わって来ない色男顔である。そしてこの年次カレンダーモデルに採用されているダブルギッシェスタイルの永久カレンダーRef.5320も魅力的だ。元々この左右寄り目の顔は1950年代半ばに盛んに同社を代表する永久カレンダーに使用されていたので久しぶりの復活ダイアルモデルである。浮き上がったようなアラビアインデックスがユニーク。ブースで現物を目にしPPJのN氏から説明を受けるまで解らなかったのがボックス型のサファイアガラスのベゼルへのセッティング方式。通常はベゼル下側からセットされるが、特殊な方法でこの時計は上側から押し込むセット方式が取られておりダイアル外周部が非常に美しい仕上がりとなっている。言葉での説明が難しいので現物を見て頂くしかないのだが・・
冒頭で取り上げたアドバンスドリサーチモデルのアクアノートと共にアクアノート販売20周年記念モデルとしてラインナップされてきたRef.5168G。初のホワイトゴールド素材のアクアの3針モデルは、かつて大振りのノーチラスで命名された″ジャンボ"の呼称が与えられた42.2mmのサイズアップモデル。トロピカルラバーストラップとダイアルが共に深いブルーで統一されすっきりした印象の逸品。ただ筆者の若干太目の腕元に乗せると少しラグが浮いてしまうデカさがあり、アクア3針モデルの最大の魅力である着け心地の良さが少しスポイルされてしまう。かなり体格のある方向けには迫力があってピッタリかと思う。レディスにも20周年にふさわしいゴージャスなダイア使いが素晴らしい2型のローズゴールドのアクアノートが追加された。
今年は細かいアニバーサリーの年で1977年に搭載が始まったパテックの名キャリバーであるマイクロローター採用の極薄型自動巻Cal.240の40周年と言う事でローズゴールドのスケルトンモデルRef.5180/1Rに加えてカラトラバRef.6000の後継機で2mmサイズアップされたRef.6006も発表された。単なる大型化ではなくドーナツ状の同心円サークライン(ヘアライン仕上げ)が新たに加えられ格段に高級感が増している。
最後に生産中止ニュースを悲しんでいた年次カレンダーフライバッククロノグラフRef.5960はステンレスの後継機で色違いの黒文字盤Ref.5960/1A-010が出された。個人的にはディスコンとなった白に後ろ髪が引かれるナァ。併せて初のWG素材のカーフストラップモデルRef.5960Gも追加された。文字盤の少しマットな青に加えてパラシュートのバックルデザインからインスパイアされたクレビス プロング バックルにヴィンテージブラウンのカーフストラップの組み合わせは、人気品薄モデルのカラトラバパイロットトラベルタイムRef.5524の良いトコ取りなのだが、正直に言ってこの時計の評価は個人的には全く未知数だ。趣味ではないのだが売れそうな感触も充分あってバイヤーとしては悩みの一点である。まあ元祖のRef.5960Pが2006年に自社製ニューキャリバーを搭載して発表された時も、2014年にオールステンの5960(白文字盤)が出た時も個人的には?だったのに市場では直ぐに奪い合いになった経緯があったので今回もコイツだけは予測がつかない。
まとめると今年のパテックはアドバンスのアクアノートトラベルを除いて特別に飛び道具が用意されていないが、安定感のある品揃えをしてきた。素材的にはプラチナとローズが目立ちイエローは皆無だった。文字盤は青優勢で黒は控えめ。で、やっぱり個人的に欲しい一本は手巻クロノRef.5170Pなのである。

出展ブランド数は判然としないのだけれども今年のバーゼルワールドは、会場費の高さと昨今の世界景気の関係からか本年から出展を見合わせたブランドも結構あったそうで、ユリス・ナルダンやジラール・ペルゴ等がジュネーブサロンに移動した事などでブースのレイアウトが今年は少し変更されていた。結果カシオが良い場所に移りブースも格段に見やすくなった。またラジュー・ペレ(プロサーホールディングス)に加えフレデリック・コンスタントも買収したシチズンが傘下のスイスブランド(フレデリック、アーノルド・サン、ブローバ、もう一つ・・たしか自社のカンパノラだったか?)をまとめて1ブースにて出展するという荒技?に出た。シチズンと言う会社は本当に地味で目立たない。国内での製品販売もセイコーやカシオにやられっぱなし感が否めないが、どっこい財務体質は非常に良いようだ。ミヨタ等のクォーツムーブメント製造子会社などで海外へのムーブメント販売が大きく、また携帯電話向けの電子デバイス部品にも強いので資金は潤沢なのだろう。でも従来精力的な営業活動でエドックスとともにフレデリックの日本市場開拓を推し進めてきたGMインターナショナルからフレデリックのセールスを今夏引き継ぐらしいのだが、正直大丈夫なのかチョッと心配している。ともかく国内市場への製品広告が異常に少ない企業だし、セールスさんは生真面目一本でとてもファッションビジネスに向いているとは思えないしで・・

気になる懸念材料は明らかにバーゼルへの入場者数が減っている事だ。出展ブランドの減少に加えて数年前まで我が物顔で会場内を闊歩していた中国系のバイヤーやメディア達が激減していた。込み合う日曜日にメイン会場のホール1の中央通路を普通に行き来できるなんて隔世の感がある。日本の比ではないインバウンドが高級時計を買い漁っていたヨーロッパ時計市場の凋落は一昨年あたりから半端ではないらしい。でも出会うヨーロッパ人達の表情に暗さがあまり感じられないのが救いか。ともかく明らかにリーマンショック後それなりに活況を呈してきた世界の時計ビジネスは明らかに曲がり角に来ていると思う。今年の各社の新製品にも色濃くそれは反映されており、昔日の人気モデルへの回帰と抑制の効いた価格設定が目立った。しかしこの数年の時計価格の異常な高騰が見直されたとも言え本当の時計好きには歓迎すべき傾向なのかもしれない。そして我々時計屋ももうひたすらブランドを追い求め、寄らば大樹ブランドの言いなりになる時代が終わり、経営者の指向性をブランド選択に反映して、金太郎飴的な店づくりから脱却して個性的な品揃え提案で消費者に行きつけの住み分けをして貰う覚悟が求められる時代が来ているように思う。マスからニッチに、ラグジュアリーからオーセンティックに・・

文責:乾

今年も会場のブース内ではあまり積極的に写真は撮らなかった。どうしてもライティング環境が悪い上にコンデジで短時間となれば、画像に限界があってメモ代わりにはなっても製品の魅力の写し込みに満足が出来ないためだ。製品入荷時にしっかり頑張りたいと思っとります。ハイ!

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