パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

ワールドタイム 一覧

今年は7月が涼し目で8月はお盆迄が酷暑、盆明けはずっと雨ばかりで少し暑さもやわらぎ秋の風情。ところが9月に入って残暑?とは言えない猛暑に逆戻り。世界的にもハリケーンや台風が年々その猛威を増している様で、天候不順を通り越して徐々に住みにくい地球化が進んでいるような気がする。経済、政治、宗教、移民などに端を発する世界各地での諍いにもこの異常気象による人々のいらだちが拍車をかけているのかも知れない。
前回に引き続き紹介するワールドタイムには、そんな世界でのパワーバランスの変遷が反映されてきた歴史が詰まっている。タイムピースであると同時にタイムカプセルの一面を持っている。
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最新の文字盤を装備したRef.7130R-013レディス・ワールドタイム。判り易いターニングポイントはTOKYOとBANGKOKの間に存在する。パテック社が表示都市名の変更を決めたのは昨年度で、よもや変更前の都市が一年以内にアジア最大の政治問題を抱える事になろうとは想像も出来なかっただろう。前回紹介したメンズ同様にセンターギョーシェには透明なエナメル焼結処理の上からSWISS MADEとプリントされるが、なぜなのか文字間隔がかなり開いている(特にM A D E)。気になって他のレディスモデルの実機やカタログを見たが、どうもこのワールドタイムだけの特殊仕様のようだ。
下記画像はModèle 1415 HU(1939)、現在1時間の時差を持つLONDONとPARIS、古くは同じ時間帯を採用してきた。文字表記もLONDRESだったり、東京はTOKIOとなっていて興味深い。
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当時は一つのタイムゾーンに対して2~3都市の表示がざらにあって、デザイン的な座りの良さよりも主要な都市を出来るだけ盛り込む実用性が優先されていたようだ。アラスカとタヒチが同じ時間帯を共有しているという面白い発見も出来る。さしずめ東京と併記されそうなお友達は親日国のパラオだろうか。
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メンズの現代ワールドタイムは第3世代(2000年/第1世代Ref.5110、2006年/第2世代Ref.5130、2016年/第3世代Ref.5230)まで進化している中で、レディスは2011年に初出となっている。どのメンズともペア仕様ではなく、カラトラバの素直なクンロクケースにダイアルはメンズ初代Ref.5110に似た顔が与えられた。針の形状はほぼ同じだ。
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ワールドタイムのほぼ完全なペアモデルとしては2014年の175周年記念としてムーンフェイズ付きの限定モデルが発表されている。もちろん凄まじい争奪戦だった。(上の画像)
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メンズと全く同じ極薄自動巻キャリバー240 HUを搭載するがケースの厚みは8.83mmで紳士用(10.23mm)より1.4mm薄く仕上げてある。ベゼルへのダイヤセッティングは見るからに滑らかで衣類への引っ掛かりを防止するパテックらしい実用的な設計だ。
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ピンバックルにも27個のダイヤが同様にセットされている。ところでレディスにはいわゆるメンズのフォールディングバックル(二つ折りタイプ)が初期設定されているモデルが非常に少ない。ノーチラスやアクアノートのレディスには専用のメンズ同様の両観音バックルが初期設定されているのだが、今回のワールドタイムの様なクラシックなモデルではほぼ全てピンバックル仕様でリリースされている。別売アクセサリーとして11mmや14mmの各素材の二つ折りフォールディングバックルは用意されているし、2014年リリースの175周年記念限定レディスモデルにはフォールディングバックルが初期設定だった。対応は出来るにもかかわらずピンバックル主流はなぜか。
少し前までブライトリングのストラップモデルは男女ともピンバックルとフォールディングバックルを購入時に選択する事が出来た。男性は殆どが少し高くなるフォールディングタイプを選び、女性はほぼ全員がピンタイプを選択した。着脱時の万が一の落下を嫌がる男性、一方女性は見た目同じなら少しでも財布に優しい方が良いという意見だった。パテックの場合は18金素材が圧倒的に多いので両バックルの価格差は結構あるのだが、それがレディスをピン主流にしている理由かどうかは判然としない。個人的には女性は少しでも軽くて、細めの腕にはフォールディングタイプの曲線カーブの形状が個人個人にフィットし辛いからではないかと思っている。


Ref.7130R-013
ケース径:36mm ケース厚:8.83mm 
ラグ×美錠幅:18×14mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:RG,WG
ダイヤセッティング:ベゼル(62個 約0.85ct) ピンバックル(27個 約0.21ct)
文字盤:アイボリー・オパーリン、ハンドギョーシェ ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブリリアント(艶有り)・ダーク・チェスナット手縫いアリゲーター
価格:お問い合わせください
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ケース径36mmもメンズより2.5mm絞られている。手巻きクロノグラフなどもそうだが男女共通のエンジンを積むモデルでは、ケースとムーブのタイト感がレディスの方が勝るので後ろ姿に於いては見返り美人の婦人物に軍配を上げたい。

Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

文責、撮影:乾
参考:Wristwatches Martin Huber & Alan Banbery P.243
2014年刊行-パテック フィリップ創業175周年記念 P.28,29

PATEK PHILIPPE 公式ページ
PATEK PHILIPPE 公式インスタグラム
※毎月19日未明に新規投稿有り(スイス時間18日18:39ブランド創業年度由来)月一投稿なので作り込みスゴイです。
当店インスタグラムアカウントinstagram、投稿はかなりゆっくりですが・・

さすがに何度目かの紹介となると蘊蓄を書く事は難しい。だがインスタ用に取り直した下の画像が結構気に入ってしまって、無理やりしつこい紹介をそのイケメンな造形を切り口に挑戦する事にした。お暇な方はお付き合いください。
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個人的にはとても好印象な2016年デビューのハンサムウオッチ。ただ長男(Ref.5110、2000年発表)と次男(Ref.5130、2006年発表)に備わっていたチョッとボテッとした平たいお餅か饅頭を想像させる親しみやすいケース形状と比べると、凛々しさが災い?してか求める方が少しだけ厳選されている感じがする。このところビジネスシーンでのドレスコードのトレンドは、かなりカジュアルになって来ていてスーツよりジャケパンが主流になって来ている事なども影響しているのかもしれない。
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しかし、自分自信の本性が全く凛々しくなく軟弱なので個人的にはクンロクケースっぽい三男坊の折り目正しさに惹かれてしまう。真正面から見たサイドラインが、長男と次男は柔らかくまるで女性の姿態を思わせるシルエットをラグからリューズにかけての描き(リューズガードのお陰で)凸凹無く反対側のラグまで流れてゆく。対して末っ子はウイングレットラグでまずエッジを効かせリューズもしっかり露出させて、どこまでもメリハリがついている。本当にマッチョで端正なのである。まるで異母兄弟か種違い(下品な表現ですみません!)の様だが、搭載されるエンジンは全く同じであり血統は守られている。ちなみに年子?の2017年リリースのRef.5930ワールドタイムクロノグラフのケース形状も厚さが増すもののほとんど三男と同じである。

ところで不勉強の故、最近まで気付いていなかったのがギョーシェ装飾におけるフランケエナメルの存在。これはギョーシェの掘り込みが施された上に透明な釉薬(ブルーやグレー・ブルーの金釉)を焼成し、研磨を掛けてギョーシェの美しさを封じ込めると共に透明な平滑面を得る手法である。この手の文字盤をじっくり観察すれば宙に浮くシリコン転写プリント部分によって誰でも簡単にそれを確認できる。
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白色のSWISS MADEの転写プリントはどう見ても平滑面に乗っかっている。さらに文字の影がギョーシェ表面に写っている。もっとダイナミックな以前に紹介済みのレディスカラトラバRef.4897の参考画像をもう一枚。
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勿論パテック フィリップの専売特許では無くて、スイス時計ではよく知られた技法ではある。しかし良好なエナメル焼成を文字盤に施せるのは非常に限られたダイアルサプライヤーに限られており、文字盤に妥協の無いパテックならではと言える。現行ラインナップで同様のギョーシェ文字盤が採用されているモデルは限られておりメンズのワールドタイム系のメンズRef.5230、5930、レディスRef.7130と上記画像のRef.4897のみとなっている。ワールドタイムの歴史、機能や機械については繰り返しとなるので過去紹介記事をご参考されたい。
尚、都市表記が一か所(HONG KONG→BEIJING)に最近変更されている。


Ref.5230G
ケース径:38.5mm ケース厚:10.23mm 
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:WG,RG,
文字盤:ラック・アントラサイト、ハンドギョーシェ ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブリリアント(艶有り)ブラック手縫いアリゲーター
価格:お問い合わせください


キャリバー名Cal.240 HU末尾のHUはHeures Universelles(仏:時間 世界)の頭文字だ。ちなみにパテック社のHP内には用語解説ページがあって時々御厄介になっている。1977年開発の極薄型自動巻キャリバー240(厚さ2.53mm)にワールドタイムモジュールを組み込んだ240 HUは3.88mm。これは厚み的には永久カレンダーキャリバーの240 Qと全く同寸である。たった1.35mmの各モジュールに地球やら100年やらが封じ込められている。
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Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ
PATEK PHILIPPE 公式インスタグラム
※毎月19日未明に新規投稿有り(スイス時間18日18:39ブランド創業年度由来)月一投稿なので作り込みスゴイです。
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【2019パテック フィリップ展のご案内】
とき:2019年8月31日(土)・9月1日(日)11:00-19:00
ところ:カサブランカ奈良 2階パテック フィリップ・コーナー

文責、撮影:乾

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昨年のバーゼルはこのモデルの話題で随分盛り上がった。音系とカレンダーを除いた2大コンプルケーションともいえるワールドタイムとクロノグラフとの夢の組み合わせ。今まで無かったのが不思議だなと発表時には思ったものだが、実は毎日のようにその原型となった時計を見ていたのだった。本ブログのテキスト的存在の「PATEK PHILIPPE GENEVE」HUBER & BANBERY著のブックカバー掲載のRef.1415HUがそれ。手巻きクロノグラフに初期型のワールドタイムを組み合わせたスペシャルオーダーのユニークピース(製造No862 442)。一番外側のシティディスクは手動で、インナーの24時間リングはリューズの時刻調整と連動して操作する形。現代では別々のLONDRES(LONDON)とパリが同じタイムゾーン。東京はTOKIOとされ隔世の感がある。
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ところでこの時計の解説文には30分計クロノグラフとの記載があるが、どう見てもそれらしき機能は見られない。ただこの時計にはパルスメーター(脈拍計)が2系統も用意されている。外側の220-20目盛が15回の脈を数えて1分間の脈泊数を知るレールで24時間計の内側60-10目盛のレールは5回の脈で1分脈拍を読むチョッとずぼらな脈拍計。他ブランド等の手巻きクロノグラフでパルスメーター付を見てみると30回脈で測定するタイプが多い。想像するにこの時計はタイムゾーン移動の多い医療関係者が積算目的ではなく脈拍測定を主な用途としてクロノグラフ機能を特注で附加したのかもしれない。
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翻って現代版にはやや小ぶりな30分積算計が付きパルスメーターは無い。タイムゾーン移動はリューズではなく10時位置のプッシュボタン一つで短針とシティディスク&24時間ディスクを連動して1時間単位で同時に変更できる。これは1959年にジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏が開発・特許化した技術。実に60年近くにわたって使われ続ける実用的な仕組み・・誠に機械式時計の世界は息が長いと言うか何というのか・・
ダイアルセンターは定番ワールドタイムに倣ってギョーシェ装飾が施されている。紋様はシンプルかつ力強くモダンテイスト。ちなみにクロノグラフはパテック最先端の垂直クラッチ搭載のフライバック付き。キャリバーで言えば自動巻CH28-520系なのだが、初見では一瞬手巻きではないかと思ってしまった。それは各プッシュボタンの形状がスクエアかつ上下面がサテン仕上げになっているためだ。この組み合わせは現行ラインナップでは初めてのハズ。まあ30分計が6時位置なのでキャリバーは限られるのだけれど・・
ラグの形状もワールドタイム繋がりでか段差付きのウイングレットラグ。
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尚、クロノ秒針がこの時計では通常秒針として使用可能である。これはパテック開発の優れた垂直クラッチの賜物である。また24時間ディスクとシティディスクの間にある秒スケールは28800振動(4Hz)に合わせて4分の1秒で刻まれている。どうもこの時計、ケース形状はクラシカルながら顔は結構モダンである。
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フルローター自動巻きに垂直クラッチという厚みが出る組合せにワールドタイムモジュールを組み込んでいる。それでもムーブ厚を7.79mmに抑えている。構成部品数343個もあるというのに流石です。実はスペースの都合で30分計の位置がオリジナルから微妙に変更されているらしい。ケース厚さ12.86mmもスクリューバックケースに両面スケルトンなら妥当な厚みか。

Ref.5930G-001 ワールドタイム自動巻フライバッククロノグラフ
ケース径:39.5mm ケース厚:12.86mm ラグ×美錠幅:21×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG
文字盤:ブルーオパーリン ハンドギョーシェ 蓄光塗料付きゴールド植字バーインデックス
ストラップ:マット(艶無し)ネイビーブルーアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 8,040,000円(税込 8,683,200円)2017年8月現在

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チョッと飛び気味になってしまった後ろ姿。

Caliber CH 28-520 HU:ワールドタイム機構付コラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.97mm 部品点数:343個 石数:38個 
パワーリザーブ:最低50時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾
参考:Patek Philippe Internaional Magazine Vol Ⅳ No.2
Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.270




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今年の新作で最も期待値が大きかったのがワールドタイム。今春早々に超希少品で少々特殊なクロワゾネ(有線七宝)文字盤のローズゴールドケース1品番を除き全てが生産中止発表になった人気のRef.5130。当然後継モデルが出て当然なのだがローズとホワイトのレザーストラップタイプのみの2本限りは個人的には肩透かしされた感じ。
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恐らくプラチナはそのうち追加されるのではないか。ただイエローゴールドはどうなのか?今年の新作でイエロー素材は新しい永久カレンダーRef.5327Jの一点きりである。ちなみにローズは12点もあって、あまりにも差が激しい。
ここで少し脱線して、いくつかの時計ブランドを調べると、はたしてイエローゴールドケースは絶滅危惧種状態である。そんな中で今年APのロイヤルオークが新たにYGをラインナップし直してきたのはニュースですらある。パテックも随分と偏ってきているが、ド定番モデルにはほぼイエローが踏みとどまってる。2016カタログを素材別に追っかけたのが下表。
注:ノーチラスクロノRG/SSコンビ1点はSSとした。
素材分析表.gifプラチナがグラコンで最多の素材であり、全体でもステンレスと同数なのは流石にパテックならではだが、ここまでRGが多いとは正直ビックリ。特にレディースでYG貧弱化が顕著で、YG全14Ref.中でRef.7121Jのブレスストラップの2型のみしかない。断捨離好きなのに妙に物持ちが良い姐がたまたま取っていた今や貴重な2000年のカタログを開く。
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いやぁ~まあイエローだらけ真っ黄色だ。掲載モデルの7割弱がYG。右端には今回紹介の現代ワールドタイムの初代Ref.5110のプラチナとローズが居るがYG・WGが見当たらないので全モデルは掲載されていない。カタログと言っても縦30横70cmの薄手のコート紙の裏表という実に簡便な印刷物で現行カタログとは隔世の感がある。ネプチューンなど今はもう無いシリーズもあったりするので取り合えず別刷りのプライスリストから素材別に拾って見たのが下表。
注:ゴンドーロガブリオレRG/WG1型はWG、ノーチラスとネプチューンのYG/SS2型はSSとした。
素材分析表2000修正.gif
全リファレンス数はほぼ同じ。圧倒的なYGにRGを加えて金色系115Ref.(55%)と半分を超えている。この16年で激減したYGの大半はRGとなり一部PT、SSにもシェアを明け渡し、2016年現在はプラチナ・ステンレスが共に約1割でWGと合わせれば銀色系が115Ref(56%)と逆転している。

本題に戻って、ワールドタイム。2016年に生産中止発表となったRef.5130の紹介と多少重複するがおさらいをする。1930年代後半からジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏により製作が始まったワールドタイムは前期型として時分針リューズと24時間ディスクの連動操作システムを搭載してスタート。シティディスクは今日の回転ベゼルの様に手動で回していた。その11時ごろに現在時差ありのLONDRES(ロンドン)とPARISがあって当時は同一時間帯に属していた。3時半ごろにはTOKIOとあって中々面白い。下画像:Modèle1415HU(1939)
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1950年台に入っても基本は同じでシティディスクを9時位置に設けた第2リューズで回すように若干進化した後期型(1953年~)が作られるようになった。東京はTOKYOとなり、ロンドンもLONDONとなっているがパリとはまだお友達だ。下画像のModèle2523(1955)は今回紹介するRef.5230のデザインソースとされている。
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しかしワールドタイムは50年代中頃に生産が終了される。理由は調べたが判然としない。1950年代というのはそれまでのプロペラ機に代わってジェット旅客機が登場し、飛行機輸送が飛躍的に進化していった時代である。ブライトリングナビタイマーが1952年、ロレックスGMTマスターは1957年に登場している。そんな中で1959年にパテック フィリップはルイ・コティエ氏が開発した現在トラベルタイムと呼んでいる画期的な2ボタンによるローカル時針のアップダウンシステムを備えたモデルを発表している。下画像:Réf.2597(左1959,右1962)
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個人的想像だがジェット旅客機による航空新時代の到来にふさわしい全く新しいトラベルウオッチを模索していたのがパテックの1950年代後半だったのではないだろうか。そして1969年初代セイコーアストロンで始まるクォーツショックによる約20年間のスイス機械式時計暗黒時代。ようやく1990年頃からの機械式復活期を経て40数年ぶりに2000年にワールドタイム現代版は復刻される。ロンドンとパリには温度差!ではなくて1時間の時差が生じている。画像が荒くてつぶれているが文字盤センターには複雑で美しい格子状のギョーシェが刻まれている。デザイン的には1900年代半ばのオールドワールドタイムに似るがトラベルタイム機構を転用した短針、シティディスクと24時間リングの3者を10時位置のプッシュボタンで連動操作する画期的なシステムを備えるように進化している。詳しくは過去記事を参照。
※画像はPATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE Vol.Ⅲ No.01よりRef.5110 PT,YG
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人気を博したRef.5110は2006年にエンジンはそのままに時代の要請?から2.5mmのサイズアップを受けRef.5130へとマイナーチェンジされる。外観上の違いはダイアルのギョーシェが放射状の力強いものになり、時針はアップルハンドに分針はドーフィンハンドになった。サイズが大きくなってシティデスクの表示にはユッタリ感が出た。※下画像
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そして今年、現代版ワールドタイムとしては第3世代となるRef.5230が発表された。ムーブメントは初代からずっと同じCal.240 HUである。ケースデザインは大きく変更され1940年~50年代に流行したウイングレット(小翼)ラグ(前述の左右にリューズのあるModèle2523参照)を控えめに備え、ベゼルはそれまでの丸味を帯びたものから平面的でエッジの効いた形状となった。さらに好みの分かれるところだがリューズガードが廃止された。ケース径とラグ巾ともに1mm絞られ厚みは逆に0.63mm増して筋肉質で引き締まった印象になった。
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ダイアルセンターの手作業のギョーシェはパテック フィリップ ミュージアムの資料を参考に一新され同心円状に様々なサイズのリップ(波状)が大小交互に刻まれており複雑さでは過去一番である。
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下画像ではWGが少し白っぽく写ってしまったが、どう見てもWGとRGでセンターギョーシェも含めてインデックスを除く文字盤ベースは全く共通だ。その為にWGモデルはグレイッシュなギョーシェ部に針とインデックスの色目が同化しやすく視認性に少し難がある。時針は非常に特殊な形状だがパテック特有の穴開き針(Pierced hour hand:ピアス針)と紹介されている。分針は第1世代Ref.5110の物にほぼ先祖返りした印象だ。
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Ref.5230G-001、5230R-001
ケース径:38.5mm ケース厚:10.23mm 
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:WG,RG,

文字盤:チャコールグレーラッカー、ハンドギョーシェ ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有り)アリゲーター ブラック(WG)/チョコレートブラウン(RG)
価格:税別 5,190,000円(税込 5,605,200円)2016年11月現在

キャリバー名Cal.240 HU末尾のHUはHeures Universelles(仏:時間 世界)の頭文字だ。ちなみにパテック社のHP内には用語解説ページがあって時々御厄介になっている。1977年開発の極薄型自動巻キャリバー240(厚さ2.53mm)にワールドタイムモジュールを組み込んだ240 HUは3.88mm。これは厚み的には永久カレンダーキャリバーの240 Qと全く同寸である。たった1.35mmの各モジュールに地球やら100年やらが封じ込められている。
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Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)P.238、242、243

PATEK PHILIPPE 公式ページ

2016年11月29日現在
5230G-001 ご予約対応となっております。
5230R-001 ご予約対応となっております。

(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

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パテック フィリップを代表する複雑機能は何か?これが多すぎて絞りようが無い。無理やり選べばミニット・リピーターと永久カレンダーが代表なんだろうが、今回のワールドタイムもどうしてどうして相当な物であり侮れない。もちろんクロノグラフも・・やっぱり全部か!

ジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏開発による時分針リューズと24時間ディスクの連動操作システムを搭載して1930年代後半には製造が開始されたワールドタイム。都市名(シティ)ディスクについては、当初のグリニッジ標準時固定タイプから始まって、手動で回す回転ベゼル式に移行。さらに1950年代には9時位置に設けた第2リューズでシティディスクをインナーベゼルとして回転操作するように進化した。と、ここまでの記載は多々あるが、話はいきなり1999年の特許取得にジャンプする。この50年代後半から2000年までの40年間、ワールドタイムはまるで冬眠状態。画像も記述も何にも出てこない。ただ当時の初期型ワールドタイムのアンティークピース人気は凄いようだ。何度も腕時計オークションのレコードを書き換えている。
中断の歴史は追々探すとして、2000年発表の新生ワールドタイム5110の画期的な特許技術をPP公式HPより拾って整理してみた。
ワールドタイムの技術革新は3段階。まずホップとして前述のようにルイ・コティエ(1894-1966)の1930年代の発明(時分針リューズと24時間ディスクの連動操作システム)、次のステップが1959年にコティエがパテックの為に開発した特許(9時側の上下2つのプッシャーによって分秒針に影響を与えずに時針のみを12ステップで回転)、さらにジャンプは40年後パテック技術陣がなしとげた1999年の凄い特許(たった一つのプッシャー操作で同時に時針、シティディスク、24時間ディスク、これら全ての表示変更を分秒針に影響を与えることなく12ステップ回転で実現)

で、実際にこのシステムを実機で見てみる。画像左側の東京は17時32分で、シティディスク上のTOKYOが12時位置にある。その真下の24時間ディスクは17時半ごろであって、決して5時半で無いとわかる。ちなみにシティディスク7時ごろにあるLONDONの24時間ディスクは8時半ごろなので、現地は午前8時32分と読める。(なぜロンドン?単純にラグビーWC感激のなせるところ・・)
11時位置のプッシャー操作でロンドン仕様に変更。ワンプッシュで時針は1時間進み、同時にシティディスクと24時間ディスクは1時間反時計に回るので、これを15回繰り返すと右側の状態になってシティディスクの12時はLONDONになり、真下の24時間ディスクは8時半ごろ、時分針は8時32分。
ロンドンは東京より9時間遅れなので時針を9時間分を反時計に回転させたいが、時計回り一方向に進むプッシャーひとつきりなので15時間進めて結果(24ー15=)9時間分の時差を作った事となる。コティエの1959年特許の応用で2ボタン化して両方向へのステップ回転、さらにカレンダー搭載と出来そうだが・・何も考えずにひたすら押してシティディスクの目的都市を12時に合わせるだけというシンプルな使い勝手を優先させたのだろう。やはりパテックはコンプリケーションカテゴリーではどこまでも実用性重視のようだ。
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ちなみにサマータイムはどうするか。画像左は先程の朝8時32分ロンドンである。ごく普通にリューズ操作で時計を1時間進めると24時間ディスクのみ連動して1時間反時計回りに回転し、シティディスクのLONDONの真下が9時半ごろに変更される。ただしサマータイムの無い東京は1時間進んだ18時半ごろと表示される。これだけは仕方がない。
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さて現行の5130は2006年に5110からサイズ等のマイナーチェンジを受けたものである。個人的には文字盤に情報がテンコ盛りなので2.5mmのサイズアップは歓迎だし、1930年代のオリジナルに似た地球イメージの時針になって格段に視認性が良くなったと思う。ベースキャリバーが極薄型自動巻240なので、ケース厚9.6mmとパテックらしい薄さも際立つ。サファイアクリスタルのケースバックはスナッチ(こじ開け)ではなくスクリュー(ねじ込み)だ。この開閉仕様の使い分け基準が、いまだに良くわからない。
_DSC6693.jpg昨年発表された175周年記念限定モデルにはワールドタイムが2型あって、その合計製造数は1,750個となっている。結構な数を来年1月末までに製造納品と聞いている。ベースムーブメントはレギュラーモデルと同じ240 HUなので今年は極端に定番ワールドタイムの入荷が悪い。同様のことは1,600個の限定クロノグラフモデルに投入されるキャリバーCH28-520 Cで割を食う定番自動巻クロノグラフモデルにもいえるのだが・・

Ref.5130J-001
ケース径:39.5mm ケース厚:9.6mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:YGの他にPT,RG,WG 
文字盤:ギヨーシェ シルバーリィ サンバースト ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートアリゲーター
価格:税別 4,740,000円(税込 5,119,200円)2015年7月現在

Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

税別 4,740,000円(税込 5,119,200円)2015年7月現在
税別 4,600,000円(税込 4,968,000円)2016年11月改定(流通残在庫)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

2016年2月19日現在
5130J-001 完売しました。5130全素材2016年生産中止決定、手配困難ですがお問合せ下さい。




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カサブランカ奈良

〒630-8013 奈良市三条大路1-1-90-101
営業時間 / AM11:00~PM8:00
定休日 / 水曜日・第一木曜日
TEL / 0742-32-5555
> ホームページ / http://www.tokeinara.com/

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