パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

トラベルタイム 一覧

一年おきに開催されるオンリーウオッチのオークションはパテックファンにはお馴染みで過去にもご紹介してきた。難病(デュシェンヌ型筋ジストロフィー)の研究費捻出のためにパテックフィリップを始めとする著名ブランドが特別なユニークピース(一点もの)を製作しチャリティーオークションで競られた売上が寄付されるというものだ。
欧州には古くからノブレス・オブリージュなる言葉もあり、富める者は社会貢献の義務を・・と言う土壌がある。アメリカにもドリームを成し遂げた大富豪の莫大な寄付活動は一般的である。我が国にも立派な篤志家もいらっしゃるが金額の桁が比較にならないし、時々有言不実行?の方もいらっしゃる。むしろ災害時に駆け付ける一般庶民のボランティア精神の方が世界に誇れそうである。
オンリーウオッチ以外にもパテックフィリップは1994年からジュネーブに本拠としてChildren Actionなる世界7か国で医療・教育面等での支援活動を支えるために2005年から2年または3年おきにユニークピースを作っていたようだ。公式HPを見ていて最近初めて気がついた。勉強不足甚だしい。今年度の作品は先日紹介したカラトラバパイロットトラベルタイムRef.5524ベースのチタニウム素材モデル。英文のリリースが既に6月に発表されており、5月以降ジュネーブ・香港・ニューヨークで展示下見がなされつい先日ジュネーブのオークションハウス「クリスティーズ」監修で競られ230万スイスフラン(近日レートで約2億5800万円)で落札されている。仮に定番として市販されれば4~500万円?と推測するのでまあ凄まじい。
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公式に詳細説明があるが、過去に5モデル製作実績があり、2009年のRGトゥエンティフォー4920が18万CHF(約2千万円)、2012年のYGワールドタイムクロワゾネ5131が100万CHF、2015年年次カレンダーチタニウム5396Tが100万USDと共に1億円越えでエスカレートの一途だ。
このスペシャルピース、文字盤が変わっていて真鍮に黒色のニッケル仕上げに加えて縦に極細の筋目加工が手仕事でなされている。インデックスは18金WG植字アラビアでスーパールミノバがしっかり塗布されている。時分針は酸化処理で黒くされた鉄針。その(ローカル)時針に
隠されているホーム時針はスケルトンスタイルのスティール製、秒針はアルミニウム製で白黒ラッカー仕上げとある。
ストラップはVintage black calfskinとあって、知る限りパテックのコレクションでは初めてのエイジングトレンドが採用されている。サファイアの裏スケルトンクリスタルにはチャリティーの特別モデルである刻印「Children Action 2018」がエングレーブされている。

比売品なので商品スペック等は割愛いたします。

文責:乾



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パテック フィリップは同一デザインのペアウオッチと言うのが非常に少ないブランドだ。2015年度まではカラトラバのクルドパリベゼルが特徴的な手巻メンズRef.5119をダウンサイジングしたレディスRef.7119というズバリのペアモデルが存在した。そしてここ2年はカップルモデル根絶状態だったが、今年想像もしなかったペアウオッチの提案がなされた。
2015年に発表され、良くも悪くもパテックらしからぬ風貌でバーゼルワールドで最も話題を振りまいたWGのカラトラバ・パイロット・トラベルタイムRef.5524。賛否両論があったこのモデルは結局大人気となり今現在も品不足が続いている。このユニークなコンプリケーションにRGケースが追加素材として今年のバーゼルで発表された。特筆すべきは4.5mmサイズダウンされたパートナーとなるレディスモデルを伴っていたことだ。厳密に言えばローズゴールドの色目がレディスの方が微妙に赤く仕上げられているのだが見た目殆ど判らない。
さて、コンプリケーションとしてのトラベルタイムの歴史は既に60年近く有り、初出は1959年でジュネーブの天才時計師ルイ・コティエ氏が考案しパテックが特許取得した画期的でシンプルで操作性に優れたGMT機構。当時は1950年代に実用化が進んだジェット旅客機が一般化していった時代であり、裕福層旅行者に各ブランドからトラベル用腕時計の提案がなされていた。1957年ロレックスGMTマスター、1958年ブライトリングトランスオーシャン等が有名だが、単純な回転ベゼル機能やデザイン上でのイメージ訴求に過ぎなかった。その点においてパテックのトラベルタイム機構は画期的であったと思われる。1960年代後半から1990年代半ばまではトラベルタイムは殆ど生産されなかったようだが、スイス機械式時計の復活と共に再生産されるようになった。驚くのは初出の頃のシステムを殆どいじる事なしに現代に充分通用している事だ。
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5524カラトラバ・パイロット・トラベルタイムの詳細はホワイトゴールド5524Gの過去記事をご覧頂くとして、従来のトラベルタイムから工夫されているのがローカルタイムを1時間ずつ進みまたは遅らせるプッシュボタンのロック機構である。従来機のアクアノート・トラベルタイム等はこのプッシャー部が大振りである事もあって、時計の脱着時に意図せず押されてしまった結果の時間ずれトラブルがあった。5524ではねじ込みではないが90度回転のロック機構が備わりこのトラブルが解消されている。
顔はパイロット(アビエーション)と言うよりもミリタリー調で、スーパールミノバ(夜光塗料)がタップリと盛られた個性的なアラビアインデックスと太く武骨な時分針が抜群の視認性を生んでいる。6時側サークルの指針制カレンダーも大きくて読み取り易い。日付の調整はリューズでは無くケース外周の6時半辺りにあるコレクター(プッシュボタン)でおこなう。3時9時に振り分けられたホームとローカルタイムの表示窓はさりげない大きさながら文字盤色とのカラーコントラストで判別は容易だ。パテックのコレクションには珍しいカーフ素材のストラップは武骨すぎる事がない絶妙な太さの白いステッチが粗野にならない程度に適度なミリタリー感を醸している。文字盤はホワイトゴールド版の艶消しの均一な仕上げの濃い青とは対照的にセンターからダイアル外周に向かって濃茶にグラデーションする艶有の仕上げでローズゴールドケースの赤味と合わさってしっかり色気がある。両者の価格は同じながら好き嫌いは別にして明らかに高級感はローズにあるように思う。
尚、サイズ違いのペアになるレディースモデルに分類される7234Rは、ケースサイズは異なれども機械は全く同じCal.324が搭載されて約10%もお買い得である。外径37.5mmは小ぶり好みの日本人男性なら充分検討の余地があるサイスだと思う。

Ref.5524R-001 カラトラバ パイロット トラベルタイム
ケース径:42mm(10-4時方向)ケース厚:10.78mm ラグ×美錠幅:21×18mm 防水:30m 
ケースバリエーション:RG, WG 
文字盤:ブラウン サンバースト、ブラックグラデーテッド 夜光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ヴィンテージ ブラウン カーフレザー クレビスプロングバックル付き 
価格:お問合せ下さい

Caliber 324 SC FUS

直径:31.0mm 厚み:4.9mm 部品点数:294個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 拘束角51°
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

在庫:お問合せ下さい




気付いている方が圧倒的に多いと思われる新しいパテックフィリップの公式インスタグラム
明日は朝から公式HPを見て新作のブログを書く予定だった。ひょっとして何か欠片くらい新作について載って無いか公式HPを訪問すれば、なんと新しくインスタが始まり、つい先日の18日に2018ニューモデル2型をリヴェール(ご紹介)するとあるではないか。
で、早速インスタでPP検索したらメッチャ凝った投稿がアップされていた。従来からあったメンズのカラトラバパイロットトラベルタイムRef.5524G(WG)のローズゴールドバージョン。文字盤カラーはWGの青ではなく茶色。何となく昨今他ブランドで流行っているブロンズっぽい。ただし凄く綺麗でエイジングとは無縁、でもカッコいいRef.5524R-001。
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でもってビックリしまくったのがまんまサイズダウン(37.5mm)したレディスのパイロットトラベルRef.7234R-001。色使いもメンズと全く同じ、センターフルローター自動巻きCal.324(直径27mm)がベースキャリバーなので結構な大きさになってしまう。既に生産中止された品番が近いRef.7134Gは手巻きCal.215(直径21.9mm)にトラベルモジュールを積んで35mmで、WGケースのベゼルはダイア巻き。当時の価格は税別451万円だった。あっ、当店にデッドストック一本有りです。
となると新しいレディスパイロットトラベルの価格が気になる。たぶんメンズは現行のWGモデルと同価格のはず、とすればあんまり変わらないのだろうか。明々後日には彼女に会える。

Ref.7134Gは確か画像は撮ってたはず。記事にする前にディスコンになったのでお蔵入りさせたのをやっと探してアップしようとしたら何故かサーバートラブルのような表示が出て全く貼り付けられない。でも今晩しか価値の無い本稿なので画像無しで投稿。

文責:乾

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「もう駄目なんやろうね」
「う~ん。もう年が明けましたからね。厳しいかもしれません」
年頭にこんな会話をした覚えがある。なんせ世界限定500本。当店のナンバーワンV.I.P.顧客様であっても2年半の購入実績しかない訳で、他店様で長期間ずっとパテックを買い続けてきた顧客様達に割り込めるかどうか?正直なところ昨年初夏の申し込み時点から一抹の不安は二人で共有していた。
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そんなRef.5650G-001アクアノート・アドバンストリサーチが一月下旬に急遽入荷してくることになった。実はタイミングがチョッと悪かった。顧客様は某ブランドブティックのご招待で初めてのSIHHや工場見学からお帰りになられたばかり。当然のことながら、そのブランドへのお付き合いのお買い物をおざなりにされるような方ではない。でも当然この特別なアクアノートの特別感がどの程度のものであるかを十分に理解されていた。お陰様で、無事ご納品がかなった。
「リサーチせなあかんと言う事は、不都合が出るかどうかどんどんプッシュボタンも押しまくった方が良いね?」
本当に嬉しいお言葉を頂いた。その通りである。ややもするとこの手のお宝モデルは手にされることなく未使用保管される事がしばしばである。パテック フィリップ社の狙いはそうではなく、正に使いまくって欲しい訳である。是非、今後もこの顧客様にアドバンストを宜しく・・・

昨年のナショナル・ジオグラフィックのバーゼルワールド取材時にスイス・パテックフィリップ本社のティアリー・スターン社長が次の様に述べている。
「父であるフィリップ・スターン会長から与えられた命題の一つが、トゥールビヨン機構を使わずにそれに匹敵する精度を実現すべし」
これを本当にやってしまったのがこのモデルの1つ目の特長。これまでにも特許取得して採用されてきた髭ゼンマイ外周部の厚みをました《パテック フィリップ・エンドカーブ》に加えて内側の髭玉に近い部分も厚く形成して、ムーブの垂直姿勢時の等時性をさらに向上させることで同社のトゥールビヨン搭載ムーブに匹敵する-1~+2秒というとんでもない精度を実現してしまった。
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2番目の技術革新はトラベルタイム機構を構成するパーツのダイナミックな統合である。上の画像で左右の✖状にクロスしスプリング機能を有するパーツは実は繋がっている。これまでトラベルタイム機構を構成していた内の何と25個のパーツをたった一つに統合してしまっている。下図の従来機構のイラストと見較べて頂きたい。
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具体的にどんな風に作られているかは知らないが、コンピューターで制御される高度な加工能力を有する工作機械が無ければ出来ない部品なのだろう。しかし、この9時位置のオープンワークは現物が凄まじく美しい。先日開催したパテック フィリップ展では顧客様のご厚意で特別出品頂いた。理想的な照明に照らされたショーケース内の5650Gには改めてその美しさを思い知らされた。
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スケルトンバックを通してみるお馴染みのセンターローターCal.324のバックシャン。今回は少しクローズアップ気味に編集してみた。ここまで肉薄してもブルーに着色されたスピロマックス髭ゼンマイは髭持ちの左上にほんの少しだけ見えているだけで、残念ながら外周幾何学形状も確認は出来ない。表のオープンワークが見事なまでに御開帳しているのと対照的である。
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横顔。トラベルタイムモジュール+センターローターの組み合わせでそれなりの厚み(11mm)は有る。ただムーブメント厚はたった4.82mm(リリースより、薄い・・)しかない。従来機はムーブメント厚4.9mm、ケース厚10.2mmなのでケースにわざとボリュームを持たせたのかもしれない。この理由はよく解らない。6時位置のプッシュボタンはカレンダー調整用である。リューズのカラトラバ十字の下側の突起が消えているのは見逃してくだされ。お触りし過ぎるとこんな羽目になる。リューズ上のベゼルサイドの黒い影も消そうと思ったが、あまりにも虚構になるのでノータッチ。

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一昨年のノーチラス40周年記念限定と言い、この限定アクアノートと言いボックスが何故か小ぶりだ。管理し易くて助かるとのお声もある。鑑賞目的の為のオープンワークを楽しんで頂けるようにケース部分もオープンワークのスケルトン仕様になっているのはご愛敬。確かにこのモデルには似つかわしい特別製化粧箱である。


この時計は先週アップしたやはりアクアノート20周年記念レギュラーモデルのRef.5168G-001アクアノート・ジャンボとほぼ同時に入荷し、同時に撮影をして同じフォルダで管理した。どちらもアクアノートなので画像編集時にどっちがどっちか一瞬こんがらがる事もあって少し難儀した。ジャンボ同様に撮影からアップまで一月以上掛かったが、この辺で投稿しないと多分日を置かずに2018年の新作情報が来るはずだ。これをもとに3月22日にはアップされるであろうPP社の公式HPの新作情報を基にスイス訪問前の予習も兼ねてバタバタと記事を書く事になるだろう。まあ例年の事なのだが、さあ出発まであと2週間・・

《Patek Philippe・Advanced Reserch》Aquanaute Travel Time Ref.5650G-001 20th Anniversary Limited Edition
世界限定500個

ケース径:40.8mm(10時ー4時方向)※リューズを含む3時ー9時方向で45.24mm
ケース厚:11mm 
防水:12気圧
ケースバリエーション:WG 
文字盤:真鍮、中央から外周に向かい明暗のグラデーション スーパールミノヴァ蓄光付18金WG植字アラビア数字インデックス
針:バトン型スーパールミノヴァ蓄光付18金WG時(ホーム及びローカル)分針、パーフィル型ホワイト塗装ブロンズ製カウンターウェイト付秒針、バトン型ホワイト塗装18金WG日付針
ストラップ:ナイトブルー・コンポジットバンド バックル:18金WGフォールドオーバークラスプ

Caliber 324 S C FUS
トラベルタイム機能付自動巻ムーブメント
直径:31.0mm 厚み:4.82mm
部品点数:269個(フレキシブル機構により従来機より25個減) 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間 テンプ:ジャイロマックス
髭ゼンマイ:外周と内端にふくらみを持つSpiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

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前回に続いてディスコン(生産中止)の銘品紹介シリーズ。レディスコンプリケーションのトラベルタイムRef.7134G。天才時計師ルイ・コティエ氏によって考案されたトラベルタイム機構の特許をパテックが取り製造を始めたのは50年以上も前の1959年。その後クォーツ全盛期時代に製造は一旦途切れている。スイスの機械式時計がようやく復活した1990年代後半になって現代のトラベルタイムの製造が再開した。
今回紹介のRef.7134Gは2013年に発表され2016年にディスコンされた少し短命なモデル。或る意味製造個数も少ないはずで希少性は高い。
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実はこのモデルの生産中止で現在レディスのトラベルタイムコレクションのラインナップが無くなっている。個人的には1997年から再開された現代トラベルタイムのレディスでは一番お洒落で良い顔をしていると思う。何が良いって文字盤の色目が表現の仕様が無い微妙な薄めのブラウン。同色のアリゲーターストラップのカラー名称がシャイニー トープ(Shiny taupe)。そう、某有名ブランドE社の中々買えない超人気レディースバッグにも採用されている有名な色目。いわゆる旬のお色。
全ての針と6時側のスモールセコンドインダイアルと12時側のホームタイムと連動した24時間インダイアル、パテック フィリップのロゴ等の情報一切が白色でまとめられておりスッキリと締まった表情になっている。18金製のアラビアインデックスはポリッシュされており少々視認性に難がありそうだが、オフィスや屋外など光量がしっかりある環境なら充分見易い。逆に少しトーンダウンしたレストランのディナー席などではインデックスが変に悪目立ちしないのでラグジュアリーなドレスウオッチとなる。ベゼルにはトップウェルセットンのダイアモンド112個(~0.59ct)が丁寧にセッティングされている。パテックのダイアセットはその時計作りのポリシー同様に実用性を高めるため衣類の袖口が引っかかったりしないよう滑らかさを最優先した手法を採用している。海外を舞台に働くキャリアウーマンにはうってつけの一本と言えそうだ。

Ref.7134G-001
ケース径:35mm ケース厚:9.2mm ラグ×美錠幅:18×14mm 防水:3気圧
112個のダイヤ付ベゼル(~0.59カラット)
ケースバリエーション:WG 
文字盤:ブラウン サンバースト 18金植字アラビアインデックス
ストラップ:シャイニー トープ アリゲーターストラップ
価格:税別 4,510,000円(税込 4,870,800円)2016年11月現在
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Caliber:215 PS FUS 24H
この時計手巻きである。実用性からすれば極薄自動巻きCal.240にトラベルタイムモジュールを積めば良さそうだが、たぶん文字盤レイアウトに無理があって手巻きの名キャリバー215が採用されている。ビックリするのはトラベルタイムモジュールの薄さだ。ベースキャリバー215の素の厚みが2.55mmで部品点数130個なのでモジュールは厚さ0.8mmに48点のパーツで構成されている事になる。他のメンズのトラベルタイムと違ってホームとローカルタイムの昼夜表示が無いにしても凄い部品密度である。ケースの厚みは9.2mmと意外にある。たぶんトラベルタイム操作プッシャーを組み込む為にある程度の厚みが必要なのだろう。

直径:21.9mm 厚み:3.35mm 部品点数:178個 石数:18個
パワーリザーブ:最短44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動

尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2017年6月9日現在 店頭在庫有ります

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さて、ほぼ全モデルがいつでも人気品薄のノーチラスは発売30周年を迎えた2006年にフルモデルチェンジがなされている。この再デビュー時ラインナップは3針、プチコン、クロノグラフの3種類が用意された。2010年に年次カレンダーが追加され、2014年発表の5990トラベルタイム クロノグラフがモデル的にも機能的にも最新の製品となる。偶然なのか4年毎に新機軸が発表されている。

ノーチラスは見た目より相当薄く感じる時計であると以前に書いた。確かにフルローター自動巻Cal.324(3.3mm厚)の3針モデルRef.5117やマイクロローター自動巻Cal.240(3.98mm厚)をベースキャリバーとするプチコンRef.5712は本当に薄くて手首へのフィット感の良さは無類と言える。ただフルローターに加えて垂直クラッチを採用したクロノグラフCal.28-520にトラベルタイムのモジュール積むとムーブ厚で7mm近くなりケーシングされればそれなりの厚みが出て来る。ケース厚12.53mmはノーチラス最厚モデルである。
顔はどこまでもモノクロームの世界である。トラベルタイムの昼夜表示2箇所の窓に夜間わずかに濃紺が出て来るのみである。同じようなグレーベース文字盤のプチコンWGや年次カレンダーには月齢ディスクのネイビーやカレンダー等に部分的刺し色として赤が使われているのに対して、あまりにもメカメカしい。ノーチラスの中で最も質実剛健な印象である。
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文字盤上部のサークルは針表示のカレンダー。下部のサークルはクロノグラフ連動の60分積算計。8時位置のスケルトン針がホームタイムを指す。4時位置のHOME窓の紺色夜表示とあわせて午後8時を示している。通常時針は8時のLOCAL窓と合わせ午前10時と読む。このローカル用時針は9時位置のヒンジ(耳)形状の上下に分割されたボタンで1時間単位での前進と後退が可能である。リューズガードを兼ねた3時のヒンジ部分の上側ボタンがクロノグラフのスタート&ストップ。下がリセットボタンだが、クロノグラフ運針中に押せば瞬時に帰零(リセット)し、放せば(リリース)即時再スタートさせられるフライバック機能の制御ボタンでもある。
このフライバックは元々軍用目的に開発された。例えば戦闘チームが分かれて多方面から戦闘任務を遂行する際に、フライバックを利用して簡単に共通の経過時間を共有する為に使われたのである。
では平時の現代においてどう使うかであるが、この時計に関しては極めて正確な秒針として利用する事が可能である。大抵のクロノグラフにはスモールセコンド形式で時計秒針が備えられている。しかしこのRef.5990には時計秒針は見当たらない。パテックが誇る最先端クロノグラフキャリバーCal.CH28-520の垂直クラッチが優れもので、クロノグラフ作動時のエネルギーロスがほとんど無い為に、クロノグラフ秒針を回しっ放しにして通常秒針として使用する事が出来るからだ。その秒針運針時にフライバックを使って秒針をゼロリセットさせれば簡単に秒単位での時刻合わせが可能となる。

細かいことながらRef.5990は他のノーチラスとケース構造が決定的に異なっている。3針のシンプルなRef.5711を始め普通は捻じ込み式の裏スケルトン仕様の裏蓋、本体を構成するミドルケース、このミドルケースとヒンジ(耳)部分で噛み合ってビス留めされるベゼルの3ピース構造となっている。Ref.5990とほぼ同じ12mm強のケース厚が有って同系列のクロノキャリバーCal.CH28-520 Cを積むRef.5980ですらこのスタイルは変わらない。そしてベゼルとミドルケースの隙間には黒くて分厚い防水パッキンがしっかり確認できる。ジェラルド・ジェンタ考案のユニークだがシンプルな構造だ。下画像はRef.5711/1A
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ところがトラベルタイムの2つのボタンを9時側のヒンジ(耳)部にレイアウトする大胆な発想でスタイリッシュなデザインに仕上げられたRef.5990では必然的にヒンジ(耳)を利用したミドルケースとベゼルの固定が不可能となった。そこで3時のリューズ側のヒンジ(耳)部分はベゼルではなくミドルケース側に成形される複雑な構造になっている。2つのクロノグラフプッシュボタンもビスが無いのに便乗して?ヒンジ(耳)寄りに配置されておりシンプルクロノグラフのRef.5980よりも操作性が向上している。通常可視できる前述のパッキンも見えずよりエレガンスな新種のノーチラスと言えそうだ。
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ついでながらノーチラスで最薄のRef.5711と最厚のRef.5990の断面画像を比較。5711ではブレスレットの各駒の厚みがすべて均一だが、5990はケースの厚みとのバランスを取るためにケース本体に向かって段階的に駒が厚くなっている。
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この微妙な駒の厚みでケース寄りのブレス部分は良い意味で若干バングルっぽい剛性感があり、5990の大き目で重たいケース本体をしっかりホールドしている。
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店頭のトラベルタイムのラインナップが充実してゆく。アクアノート トラベルタイムRef.5164がステンレスと今年素材追加されたローズゴールドの2本。2015バーゼルワールドで話題をさらった5524G-001カラトラバ パイロット トラベル タイム。そして今回ご紹介のトラベルタイムクロノのノーチラス。レディス唯一のトラベルタイムRef.7134G(未紹介・2016生産中止)のお宝在庫とあわせるとパテックのトラベルタイムコレクション全7モデルの内5モデルが揃った事になる。在庫切れはRef.5175グランドマスターチャイム(175周年記念限定品・下画像)と2016新作のRef.6300Gだが、これらは残念ながら永久に在庫にならないので暫定でフルラインナップという事になる。
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この原稿は2月の初旬の初入荷時に書き始めたのだが、8ヶ月間アップすることが出来なかった。実は入荷検品で機能的に初期不良を疑わせる症状が見られたために何度かのやり取りを経て、最終的にはスイスパテック社の見解付きで今回の入荷となった。誤解を避けるためにそのいわくつきの詳細は店頭でご説明させていただきたい。

Ref.5990/1A-001 ノーチラストラベルタイムクロノグラフ
ケース径:40.5mm(10-4時) ケース厚:12.53mm 防水:12気圧
ケースバリエーション:SSのみ
文字盤:ブラックグラデーテッド 夜行付ゴールド植字インデックス
ブレスレット:両観音クラスプ付きステンレス3連ブレス 抜き打ちピン調節タイプ 
尚、2014BASEL発表の商品リリースはコチラから
価格:税別 5,990,000円(税込 6,469,200円)2016年7月現在


搭載されるムーブのベースキャリバーCal.CH28-520は、それまで頑なに手巻きの水平クラッチに拘っていたパテックのクロノグラフ史を2006年に塗り替えたエポックメイキングなエンジンである。前年発表の完全自社クロノキャリバーCal.CHR27-525は確かに最初の100%自社製造ではあったが、それまでの伝統的製造手法でコツコツと工房で少量生産される手作り的エンジンであり、搭載されるタイムピースも商品というより作品と呼ばれるのがふさわしいユニークピースばかりだ。対してCal.CH28-520は"シリーズ生産"と呼ばれる或る程度の工場量産をにらんだ商業的エンジンであり、パテックフィリップが新しいクロノグラフの歴史を刻み込むために満を持して誕生させた自信作なのだろう。
パテックの自社クロノキャリバー3兄弟の価格は、その搭載機能や構成部品点数に比例せず、どれだけの手仕事が盛り込まれているかで決定される。金銭感覚抜群で働き者の次男CH28-520 C(自動巻、垂直クラッチ、フライバック、部品点数327点)、次がクラシックだけどハイカラな3男坊のCH29-535 PS(手巻き、水平クラッチ、部品点数269点)、そして金に糸目をつけない同楽な長男CHR27-525 PS(手巻き、水平クラッチ、ラトラパンテ、部品点数252点)の順となる。(5960/1A-001記事より転載)

下画像:本機に積まれるトラベルタイム搭載のCal.CH28-520 C FUS
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下画像:従来型の年次カレンダー搭載Cal.CH28-520 IRM QA 24H

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上記2枚の画像でローターで隠された部分は3枚の受けがあるが、この部分はどの派生キャリバーもほぼ変化が無い。それに対してテンプ左のPPシールの有る受け、さらに左の複雑なレバー類がレイアウトされた空間は派生キャリバー毎にけっこう異なる。必要なミッションに応じて搭載モジュールがダイアル側で単純にチェンジされるだけでなく裏蓋側の基幹ムーブメントへもアレコレと手が入れられている(5960/1A-001記事より転載)

Caliber CH 28-520 C FUS トラベルタイム機構付きコラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:31mm 厚み:6.95mm 部品点数:370個 石数:34個 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾

2016年10月2日現在
5990/1A-001 店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田




2015パテック フィリップのニューモデルで最も注目されたRef.5524カラトラバ パイロット トラベルタイム.。昨年のバーゼル全体でも大きな話題を集めて"Watch of the Basel World 2015"的な扱いだった異色?のモデル。良くも悪くもパテックらしくないルックスに賛否両論がバーゼル訪問前からチラチラ聞こえていた。数年前から先入観を持って現物を初見する弊害が嫌で、一切の事前情報を"見ざる聞かざる"で商談テーブルに就いた。

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PPJのN氏から「ハミルトンじゃありません!」と眼前に出されたRef.5524。その独特な風貌に様々なご意見とご感想が寄せられたことが想像できるジャブのようなコメントに苦笑しながら初見の印象は"これはこれで有り"だった。マット調の落ち着いた紺に近いブルーダイアル、同系色の蓄光塗料(スーパールミノバ)が塗布された時分針と無骨なアラビアインデックス、秒針(一部分)も青で統一されている。面白いのは他のトラベルタイム同様に2箇所の昼夜表示のディスクの夜部分が紺色なのだが文字盤と同色の為に夜間は完全に埋もれてしまう。6時位置のカレンダー表示サークルは3日飛ばしでなのでスッキリとした印象。ノーチラスプチコンRef.5712同様に1日だけレッド表示となっている。ケース径42mm、厚さ10.78mmはパテックとしてはデカ厚だがミリタリーテイストのこのタイムピースにはほど良いサイズ感だ。
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当初、全くルーツを持たない新機軸モデルと誤解されがちだったが、名称にカラトラバがついていることからも想像できるが遺伝子は1936年にの"Hour-angle" Wristwatch:時角腕時計(サイデロメーター)に遡る。1927年大西洋単独無着陸飛行(チャールズ・リンドバーグ)がなされるなど航空機の急速な発展期に、パイロットが夜間に正確な現在地を知る手立てとして恒星時(サイデラル・タイム)を基準とした正確な時角腕時計が求められた。これらの詳細はパテック社のプレスリリース(難解長文)を参照されたい。

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尚、画像上はPATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)P.252に掲載されているリリースの説明モデルNo.170 383(1936年)である。一番短い針が300°チョイ、分針様の長針が7と8の間、秒針風が34とあり307度34分と読むらしい。時間表示に換算も出来て20時30分16秒となるようだ。ちなみに搭載エボーシュはルクルト製の19リーニュ(約43mm)の大型キャリバーでヴィクトラン・ピゲが手を加えている。

しかしいつも思うのだが時計と天体や天文学との結びつきとはかくも強いものかと・・最も古くは日時計だろうし、大航海時代におけるマリンクロノメーター開発競争等があった。時代が下ってもキャリバー89やスターキャリバー2000、セレスティアルなどなど実用性とはほぼ無縁ながらその機能開発は今なお留まるところを知らないようだ。作り手も買い手も男はマジでロマンチストですナァ・・
最近キャリバー89製作(コチラは楽しい)に関するパテック社の興味深い動画を見たが、その中でも天文知識の学習の重要性が語られている。
その後の技術革新で時角腕時計の出番は急速に無くなってしまうのだが当初はあくまでもアビエーター(飛行機野郎たち)の為の計器(道具)だった。その遺伝子を受け継いだ5524にはパイロットの名が冠されているが、あくまでもオマージュと理解すべきで現代においてはパッセンジャー(搭乗者)の時計としてトラベルタイム機能が与えられている。
ところで5524は顔的には上記の時角腕時計とは似ても似つかぬ顔をしている。むしろP.100掲載の下記左No.169 248(1918年)や右のNo.177 548(1925年)辺りからインスパイアされている様な気がする。分針の形状なども酷似している。恐らく当時の最先端技術開発の花形であったアビエーションワールドのストーリー性豊かなエピソードに連なる"Hour-angle" Wristwatch"を着想のコンセプトに、同時代のミリタリー顔をデザインソースにしたのでは・・
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従来のトラベルタイムとの大きな違いはローカルタイムの変更ボタンに特許取得されたロック機構が備わったことだ。一見刻みの入ったボタンなので捻じ込み?っぽいが単純に4分の1周回すことでプッシュ操作可能状態となる。元々この上下2ボタンは押し心地がソフトタッチで時計脱着の際などに気づかぬ内に時刻変更状態になってしまうとの指摘があった。右腕に着用されるレフティーの方は着用中に手首の返りで"あら!不思議?"てなことも起こりえた。Ref.5524ではこの手の不安がスマートに解消されている。
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ストラップは青系と相性のよいブラウンのマットカーフレザーにアイボリーステッチとどこまでもアヴィエータースタイルに徹している。極めつけは18金WGのクレビスプロングバックル(Clevis prong buckle:U字型のボルトピン付き連結器具に突き刺すピンで止めるバックル?)と名付けられた新設計のピンバックルでリリースによればパイロットが装着するパラシュート等を固定するハーネスの金具より着想を得ているそうだ。ちなみにこのバックル、通常のピンバックルと同価格なので結構お得感あり。※ストラップ価格は現在スイスに確認中だが別売エクストラサイズ対応は可能なようだ。
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Ref.5524G-001 カラトラバ パイロット トラベルタイム
ケース径:42mm(10-4時方向)ケース厚:10.78mm ラグ×美錠幅:21×18mm 防水:30m 
ケースバリエーション:WGのみ 
文字盤:ブルー バーニッシュド 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ヴィンテージ ブラウン カーフレザー クレビスプロングバックル付き 
価格:税別 5,350,000円(税込 5,778,000円)2015年7月現在

スクリューバックの裏蓋のサファイアクリスタルバックからは入念に仕上げられたムーブメントを鑑賞する事が出来る。フルローター自動巻の裏スケルトンは半分しかムーブメントが可視できないので無理やり感があるのだがパテック フィリップは21金ローターそのものを主役にすべく見事な仕上げを施している。
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撮影当日は少々風邪気味(早朝登山サボリ過ぎ?)で後半画像はボロボロでんナァ~

Caliber 324 SC FUS

直径:31.0mm 厚み:4.9mm 部品点数:294個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 拘束角51°
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

ビブロ実測値(精度・振り角・ビートエラー)
文字盤上:+2~-5 288°~305° 0.1
 3時下:+1~-8 263°~284° 0.0
運針確認時間:58時間30分

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾



ディスコン発表のあったワールドタイムRef.5130の紹介時にも触れた1959年特許取得されたタイムゾーン・ウオッチ。天才時計師ルイ・コティエ氏によって考案されたこの画期的機構をベースに開発されたのが1997年発表のトラベルタイム。現行ライナップはメンズが今回紹介のアクアノートRef.5164とノーチラスステンレスRef.5990の2型に、昨年の2015バーゼルワールドで話題を集めた大型新人カラトラバ パイロット トラベルタイムRef.5524がメンバー入り。レディスはカラトラバRef.7134の1型だったが残念ながらこちらは2016年製造中止リスト入りした。

タイムゾーン機構搭載モデルとしては特許取得年の1959年に製造が始まったメンズカラトラバRef.2597HSからその歴史が始まっている。
左が1959年、右1962年で左右個体違いらしい。らしいとはまた無責任な・・・英文読解力不足ゆえご容赦下さい。左の4時を指す母国時間表示時針は変色しているが元々青焼(ブルースティール)仕様で18金針とそれは美しいコントラストをなしていた事だろう。
2/5追記ー最近発行されたジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアム完全カタログ英語版によれば左右品番は同じながら左の個体にはホームタイムを示す第二の時針が無く、単純に通常時針をローカルタイムに上下プッシュボタンで調整する初期型であることがわかった。
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大きく時代は下って1997年にトラベルタイムの新名称でこの機構を備えたモデルがメンズRef.5034(-2000?)、レディスRef.4864(-2005)がペアデザインで発表された。その後モダンなデザインのRef.5134(2001-2009)なども展開するが一旦シリーズは全廃となる。個人的にはこれら第一世代トラベル系のケース及びダイアルデザインには正直かなり戸惑いを感じていた。今画像で見直してもその違和感は変わっていないので敢えて画像は載せません。機能が独創的かつ操作性に優れていただけに少々残念ではあった。

2年の冬眠期間を経て、新生トラベルタイム Ref.5164が2011年に発表された。ステンレスケース、コンポジット《トロピカル》(ラバー)ストラップに加えて12気圧防水とタイムゾーン機能の組み合わせは実用面で相性抜群であり、海外を日々飛び回る現代のビジネスマンに最強のデイリーユースパテックを提供した。
何よりも素晴らしいのは1997年に誕生するや一躍人気シリーズとなったアクアノートの顔が与えられた事である。コンポジット《トロピカル》ストラップ表面パターンと呼応するかの文字盤上の浮かし彫り(エンボス)パターン、さらに6時位置のカレンダーサークル内の掘り紋様が地球儀の経線っぽくてタイムゾーン機能を謳うこの時計にはこの上なくピッタリである。申し分のない機能と実用性に加えてデザインそのものも人気のベストセラーモデルとなっている。シンプルな3針モデルも人気があって良いけれどアクアノートはトラベルタイムの顔を断然お勧めしたい。
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既に紹介したワールドタイムとトラベルタイムはまるで双子のようである。いづれも1960年代のどこか辺りから生産された気配が無くなりスイス機械式時計の暗黒期30数年(まるでタイムトンネルのようだ!)を隔てた1997年にトラベルタイムがまず復活。この技術をさらに進化させた1999年の特許を基に2000年には現代版ワールドタイムRef.5110が登場している。時系列でみるとトラベルは新生ワールド誕生の伏線(準備体操?)だったのかもしれない。

使い方はいたって簡単。左側の時針(ローカル)の下には隠されたホームタイム時針があるが今現在はどちらも日本時間の19日の午前1時状態。4時と8時あたりにある小窓がともに濃紺で夜を示している。10時位置のプッシュを8回押すと時針(ローカル)が反時計回りに進み右の表示となる。スケルトンになったホームタイム時針が午前1時に残ったまま時針(ローカル)は5時を指し左側の小窓が左上隅に濃紺をわずかに残して白くなり昼間を表現している。日付も1日戻って18日夕方5時のスイス時間となっている。日付変更線を跨がない限りは西方向は10時プッシュで遅らせ、東方向は8時プッシュで進めるだけだ。
では問題です。日本と12時間の時差があるチリにアメリカ経由で飛んだ場合の操作は?またその時の表示は?
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パテックフィリップマガジン掲載のデュアルタイムゾーン機構の展開図。2個のプッシュボタンに連動するのは10時ごろにある現地時刻表示時針(ローカル)、左側の現地昼夜表示ディスク及びカレンダーの3者であるが、ムーブメントの動きからは切り離されているので分・秒の精度には一切影響が及ばない。
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横っ面は質実剛健そのものでパテックの全シリーズの中で最も無骨ではないか。ベゼル上面と同様に小傷の目立ちにくいサテンフニッシュが採用された実用性重視設計である。左側のプッシュはカレンダーの早送り調整ボタンで時針(ローカル)が午後10時から翌朝午前2時までの4時間が操作禁止時間帯となっている。
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バックルは独特な両観音開きとなっている。大抵のブランドが単純なバネを使った構造で耐久性と信頼感に今一つ不安がある中で、パテック フィリップは頑丈な本体そのものをバネとして利用し相互にしっかり凹凸が咬み合う非常に秀逸な方式を採用している。ストラップ調整は潔くカットするので伸ばす場合は新規購入となる。心理的なメタボ抑制効果が・・
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Ref.5164A-001
ケース径:40.8mm(10-4時方向)ケース厚:10.2mm ラグ×美錠幅:21×18mm
防水:120m ねじ込みリューズ仕様
ケースバリエーション:SSのみ 
文字盤:ブラックエンボス 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブラックコンポジット《トロピカル》ストラップ(ラバー)アクアノート フォールドオーバー クラスプ付き 
価格:税別 3,820,000円(税込 4,125,600円)2015年7月現在

120m防水を生むスクリューバックの裏蓋のサファイアクリスタルバックからは入念に仕上げられたムーブメントを鑑賞する事が出来る。実用性最重視であってもゼンマイ心を忘れないパテック流のおもてなし。フルローター自動巻の裏スケルトンは半分しかムーブメントが可視できないので無理やり感があるのだがパテック フィリップは21金ローターそのものを主役にすべく見事な仕上げを施している。
_DSC7444.jpg
Caliber 324 SC FUS

直径:31.0mm 厚み:4.9mm 部品点数:294個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾
PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE Vol.Ⅲ No.6
PATEK PHILIPPE GENEVE (M.Huber & A.Banbery)

2016年3月12日現在
5164A-001  店頭在庫有ります
(パテック フィリプ在庫管理担当 岡田)


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