パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

ゴンドーロ 一覧

気付けば2月以来商品紹介が出来ていない。この時期はバーゼルワールドを始めとして生産中止情報や2017新作ダイジェストなど話題はそこそこにある。反面、例年2月から夏場にかけては本年の新作入荷がまずないので商品情報はどうしても少な目である。しばらくは緩やかな更新でご容赦下さい。
_DSC8457.jpg
パテック フィリップの七不思議に生産終了品のヒョッコリ入荷というものがある。最終生産ロット品がゆっくり出荷されたのか。最近何かの理由で再生産されたのか。パテックからの明確な答えは無い。今回は今年生産中止発表されたクロノメトロゴンドーロの多分最終生産ロットだと思われるローズゴールドモデルRef.5098Rのご紹介。
1920年代頃にブラジルの高級時計宝飾品店のゴンドーロ・ラブリオ社の求めに応じて納入されていたのはイエローゴールド製。(下画像:良く紹介されている1925年製イエローゴールドモデル)
5098R-original.jpg
色目的にはローズは大変近い。ただ文字盤上に特徴的な楕円形のインデックス表示部分とPATEK PHILLIPE GENEVEやCHRONOMETRO GONDOLO、SWISS MADEの文字表記部分については金色(PP社表現はハニーブラウン)の平滑面になっていてギョーシェ装飾が施されたシルバーカラー部とくっきりとしたツートンカラー仕様になっている。2007年にローズに先駆けて復刻発表されたプラチナモデルRef.5098Pも1920年代のオリジナル同様に全体がシルバーで統一されていた。ツートン仕様は2009年発表の現代復刻モデルのローズバージョンでの新規採用となる。これは好みの別れるところで個人的には甲乙付け難い。
_DSC8459.jpg
何といってもこのモデルの魅力の第一は18金素材の文字盤にビッシリと施された手作業によるギョーシェ(波状の微細な彫装飾)だ。調べればこれまた18世紀の天才時計師アブラアン・ルイ・ブレゲ考案らしい。手作業とは言ってもギョーシェ専用のマシンに文字盤をセットして人の手で操作しながら複雑なパターンを掘り出すスタイル。バイトと呼ばれる鏨(のみ)を使ってムーブメント構成パーツである地板や受けにフリーハンドで施されるエングレーブ(彫金)とは異なる。またモノトーンのプラチナモデルと異なり装飾後の色付け工程も一手間増えていそうだ。
_DSC8481.jpg
誠に優美かつ正当なトノーシェイプのケース形状も魅力的だ。全体が曲線で構成されており色気漂う女性のグラマラスな姿態を想像させられる。表裏両面のサファイアクリスタルもケース同様緩やかにカーブしている。普通此処まで曲面だと鏡代わりに顔をうつすと歪んだりするのだが、パテックレベルになると冷間鍛造とポリッシュの技術が凄い為一切ゆがまない。ラグは紳士用腕時計黎明期に採用された貫通ピンをねじ止めしたオフィサー(将校)タイプ。画像は無いがもちろんピンタイプのバックルもオフィサー仕様となっている。
2月に紹介したRef.5205R-010を現代セクシー系とするとRef.5098Rはクラシカルな色香が漂うどこかアンティークっぽいモデル。昨今あまりにもハイテク化が進む現代車の反動なのか、アナログなヴィンテージカ―の静かなブームが起きそうな気配がある。そんなクラシックな出で立ちにこそ着けてみたい魅力的タイムピースだ。

Ref.5098R-001

ケース径:32×42mm ケース厚:8.9mm ラグ×美錠幅:17×14mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:RGの他にPT いづれも製造中止
文字盤:ギヨーシェ装飾18金製 ツートーン
ストラップ:マット(艶無)ダークブラウンアリゲーター
価格:税別3,930,000円(税込 4,244,400円)2016年11月現在 


9-90.jpg
1900年代のオリジナルクロノメトロゴンドーロのムーブメントは当時パテック社の主要エボーシュであったルクルト社製の丸型キャリバー12"'が搭載されていた。2007年のモデル復刻にあたってパテックはケース形状にふさわしい角型の専用新キャリバー25-21RECを開発した。同社にとって1934年に開発した名キャリバーCal.9"'-90(上)以来の73年ぶりの自社角形ムーブメントと言われており、明らかに意識したレイアウトが採用されている。往年の名キャリバーへの強烈なオマージュと言えそうだ。
尚、Ref.5098が全て生産中止になった今、同じくゴンドーロシリーズのレクタングラーシェイプのRef.5124のWGYGにのみこのキャリバーが搭載されている。
_DSC8461.jpg

Caliber 25-21 REC(手巻き)
サイズ:24.6×21.5mm 厚み:2.57mm
部品点数:142個 石数:18個 パワーリザーブ:最低44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製) 振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

文責:乾

2017年6月2日現在
5098R-001 店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

_DSC8166 (3).jpg
2013年バーゼルワールドのパテック フィリップ最大の話題作エイトデイズRef.5200G。画像では時分針をお約束の10時10分ではなく、8時20分としてブランドロゴを見せるようにした。さてスイスの時計業界には数年から10年くらいの期間で何かしらテーマというか流行があって、ロングパワーリザーブは2010年頃から現在も続くロングなトレンドである。どちらかというと保守的なデザイン性からパテック フィリップは何事も奥手のように思われるが、実際には新進気鋭の先物取りが多い。このロングパワーリザーブもミレニアムイヤーの2000年に3000個限定で発表された10-Day Ref.5100モデルにその遺伝子は遡る。もちろん当時腕時計では最もロングパワーリザーブで主ゼンマイを収めた香箱を2個積んだCal.28-20/220を搭載していた。このキャリバーはパテック社のR&D(研究開発)スタッフ35名をして開発に3年を要した大プロジェクトだったようだ。
※画像はPATEK PHILIPPE INTERNATINAL MAGAZINE No.7より
5100G.jpg
ちなみにチョッとビックリしたのだがパワーリザーブ表示機構というのもクロノスさんの記事によれば20年ほど前にパテックが初めて装備したらしい。時期からして1998年のノーチラスRef.3710が最初らしいのだが調べきれなかった。
※下画像はWRISTREVIEWさんより借用
Nautilus_3710_a.jpg
勉強不足だったがこのパワリザ機構というのは結構複雑でリスクもあるようで歯車の設計と磨き上げに絶対の自信を持つパテックならではの開発だったような。
もう少し前置きを書くと2003年にはこのCal.28-20/220にトゥールビヨンキャリッジを組み込んだCal.28-20/222が開発されて10 Day Tourbilon Ref.5101がプラチナケース(2012年YGケースで再発表)で発表されている。
※画像はPATEK PHILIPPE INTERNATINAL MAGAZINE Vol.Ⅱ No.1より、ムーブメントイラストの余計な線は元原稿の解説用の引き込み線。

5101P.jpg
今回本題のRef5200Gと長ったらしい前置きの2モデルとの大きな違いはデイデイトカレンダーの搭載である。しかも瞬時日送り式というのがポイントで、真夜中の0時(あたり)に0.003秒で変更される。パテック社のリリース特集記事によればこの画期的なカレンダー機構搭載はゼンマイのトルクをかなり消費するために10デイズの2日間分のパワーリザーブを献上?することで実現されている。さらに2005年~2008年にPP社アドバンスドリサーチ部門により開発された最新鋭のPulsomax®脱進機とSpiromax®髭ぜんまいが積まれたことによる時計精度の向上と持続時間の延長がはかられた事も大きく寄与している。しかし発売当初は異常に入荷が少なく安定供給まで1年以上掛かった記憶があり、製造技術的にはハードルが高かったようである。
デザイン的には10 Day Tourbilon Ref.5101とシンプルなレクタンゴンドーロのRef.5124をミックスした印象。よく天地の長さ(46.9mm)による腕への座りを心配される方が多いが、緩やかなカーブでなじみは非常に良い。またラグを除いた時計部の天地は35mm以下でけっして大振りな時計ではない。
_DSC8157.jpg
ケースのフォルムはRef.5124Gに似るがケース巾とラグ巾は8DAYSが狭いので、天地左右のバランスは10Day Tourbilon Ref.5101に近い。両者の良い所取りとなっている。撮影時に気が付いたのだがこの文字盤はスノーマンダイアルと名付けたらどうだろうか。そのひょうきんさは本来上下にくっついているPATEK PHILIPPEとGENEVEの文字が大きく上下に離れている事も一因している。そして10時10分になると雪ダルマは完璧な両腕を持つ。顔の真ん中には8日分のパワーリザーブインジケーターがありガス欠状態の真っ赤な9日目も一応は正常に動くはずとなっている。実際に巻き上げるとさすがにロングで135回で全巻きを示すが巻き止まりが無いままずっと巻ける。取説では″20回余分に巻いて終わり"となっているのでどうも巻き止まりがない設計のようだ。さすがにそれ以上は怖くて巻き続ける気になれなかった。お腹の同軸内側が秒針、外が日付。真上の窓に曜日ディスク。取説には瞬時日送りが深夜0時とあるが実機の手動運針では0時数分過ぎだったので結構巾がありそうだ。ピカピカの鏡面仕上げの18金ドーフィンハンド(時分)とエッジの効いたバーインデックスはパテックお得意の組み合わせ。

ケースの厚みは11.63mmとけっこうあるが優美なカーブにより1cmを超えている印象は無い。リューズに並ぶコレクター(プッシュボタン)は左が曜日、右が日付調整用である。
_DSC6951.jpg

Ref.5200G-001
ケース径:32.4×46.9mm ケース厚:11.63mm
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧

ケースバリエーション:WG別ダイアル有のみ 
文字盤:マットブルーサンバースト ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター
価格:税別 6,030,000円(税込 6,512,400円)2016年11月現在

長ったらしいキャリバー名Caliber 28-20 REC 8J PS IRM C Jは、天地ー左右サイズが28✖20mmでRectangular(仏英:長方形)・8Jour(仏:日)=8日巻き・Petit Seconde(仏:小さい秒)=小秒針(英:Small Second=通称スモセコ)さらにIndicateur de réserve de marche(仏:パワーリザーブ表示)最後のC JはCalendrier Jour(仏:カレンダー 日、英:Date Day)の頭文字の短縮表現。仏語Calibreの意味は″口径"なので従来多くのムーブメントは、その直径(mm、古くはリーニュ)で簡潔に命名されていたものが、2000年以降のどこかから覚え難いが解りやすい名称になってきた。冒頭のおさらいになるが原点と言える2000年の10DAYSのCal.28-20/220は移行途上の名付けだろうか。2003年の10Day Tourbilon Ref.5101搭載の派生キャリバーCal.28-20/222(プレスリリース記載並びに地板刻印)はバーゼルより数か月後発行のゼネラルカタログではCal.TO 28-20 REC 10J PS IRMと記載されており、正にこの年辺りで移行されたと推測している。出来れば3つのムーブを並べ比較したかったが適当な画像が無かった。どれもが美しいが個人的には最新の8DAYSのキャリバーの装飾性が最も高いと思う。一見3本の別れた地板のように見える部分は実は剛性の高い一枚物に凝った化粧が施されている。
注:Ref.5101のCaliber名称については最初どちらの表現が正しいのか判然としなかったが最近入手したパテックマガジンのバックナンバーと2012ゼネラルカタログから混在していたことが解った。(11/17追記)
_DSC8169.jpg
Ref.5124の記事でも触れたが8DAYSでもケースとキャリバー双方の形とサイズに親和性が高くて完全な専用ムーブである事の特別感を感じさせてくれる。ビスポークエンジンゆえにコストに反映されるのだが、その割には結構頑張った価格設定ではないか。
最新鋭のPulsomax®脱進機とSpiromax®髭ぜんまいに迫ってみた下の画像。一番左の穴石(赤い人口ルビー)の下方に見える黒っぽい(実際は青っぽい)歯車がシリコン素材をベースとしたSilinver®製のガンギ車。同素材のアンクルは他のパーツに隠され見えない。パテックはこれら脱進機2パーツをディープ反応性イオンエッチング(DRIE)製法と呼ばれる技術で従来の機械的製法の最大10倍の精度で作り上げている。難解すぎて良く理解はできないがセイコーが採用しているメムス(MEMS)に似た化学的な手法で写真の現像焼き付けのイメージで非常に高精度なパーツが製作されているようだ。テンプの上側に黒くグルグルっと巻かれているのが同じ素材のSpiromax®髭ぜんまい。ピンぼけご容赦!_DSC8176.jpg

Caliber 28-20 REC 8J PS IRM C J
デイデイトカレンダー、パワーリザーブインジケーター搭載8日巻き手巻ムーブメント
サイズ:28×20mm 厚み:5.05mm 部品点数:235個 石数:28個
パワーリザーブ:最大192時間(8日間) 
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2016年11月12日 現在
5200G-001 ご相談ください
5200G-010 ご予約対応となります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)



_DSC8117_修正.jpg
前々からチョッと気にはなっていたのだが改めて2016カタログを見直して本稿のタイトルに・・種を明かせば同一リファレンスなのに素材が違う事で針やインデックス等が異なり別の顔のモデル。これが在りそうで中々ない。
レクタングラー(長方形)で2針+スモールセコンドのシンプルウオッチは現行ラインナップ中でこのゴンドーロのRef.5124が唯一。2008年のデビュー時からのロングセラーが今回取り上げるシルバリィオパーリン文字盤(銀と言うよりその色目は微妙にアイボリーがかった白?)にトライアングルインデックスを持つイエローゴールドYGタイプ(下右)。その枝番001はデビューモデルである事を示している。
同時に発表されたWGのヴィンテージローズ文字盤に黒色アラビア(算用数字)インデックスRef.5124G-010(下左)が7年を経て昨年ディスコンとなり、入れ替わりに若々しいブルーサンバースト文字盤にエッジの効いたバーインデックスのRef .5214G-011(下中)にモデルチェンジされた。
いつもながら長々と回りくどいが18金の素材違いで全部異なる文字盤デザインがラインナップされてきた変わり種。詳細に言えばWGのヴィンテージローズ文字盤は植字ではなく転写の黒色インデックスであり、時分針2本の形状も現行2モデルのドルフィンに対してリーフハンドだった。そして小秒針(スモールセコンド)デザインについても素材によって異なっている。
※尚、下の画像は当店スタッフ竹山のマジックハンドによるもので、WGアラビア文字盤のデッドストックはありません。
5124_3.jpg
しかし本当に″ジキル&ハイド"はこのモデルだけなのか?カラトラバのRef.5296のRG、WGにあるトリプルサークルダイアルとノーマルのバーインデックスはどうなる。さらに従来のバーインデックスに今年アップライドアラビア文字盤が追加された年次カレンダーRef.5396のRG、WGはいったいどうなのか。これらはそれぞれの素材に両方のダイアルがあるので双子の兄弟(たとえに無理があるナァ)みたいなものだろうか。
しかしながらRef.5296P-001のプラチナは同一リファレンス中で唯一のアップライドアラビアインデックスかつリーフハンド、さらにスモセコデザインも異なっている見事なジキル氏であった。しかしこの変人ジキル氏は嫌われるどころか結構なお宝。店頭にまず並ばない希少モデルである。結局これら2品番3点しか現行には無いはずなのでやっぱりパテックの″ジキル&ハイド"はレアだ。グランドコンプリケーションなんかはもっと素材違いによる奇人変人がいて良さそうだが中々にコンサバティブである。

この時計、針と時字(アワーマーカー)及び時分針がシャープ極まりない楔形状なのでブラウン及びネイビー系のビジネススーツとの相性は抜群である。イージークリックを活用してストラップを黒にすればグレーからブラック系スーツにももちろんOKである。さらに12時が植字のアラビアインデックスであり、ストラップ(初期設定)が艶無しの少し明るめの茶色。文字盤色も暖か味のある白なので秋から春まではカジュアルシックに合わせたい。個人的にはザックリとした太畝のコーデュロイパンツにバルキーなシェトランドセーター辺りが気分かと・・

Ref.5124J-001
ケース径:33.4×43mm ケース厚:7.38mm ラグ×美錠幅:22×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:YGの他にWG 
文字盤:シルバリィオパーリン ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートブラウンアリゲーター
価格:税別 2,670,000円(税込 2,883,600円)2016年10月現在

_DSC8136.jpg
Caliber 25-21 REC PS

ムー ブメントは、2007年復刻モデルとして発表されたトノー型の傑作モデル"クロノメトロゴンドーロ"の為に専用開発された角型手巻の新キャリバー25-21 REC のスモールセコンドバージョンである。さらに遡れば1934年から1967年まで製造されたCal.9-90(下:1951年製)に酷似している。元々の画像は天地が逆、文字が倒立するが上との比較でくるりと回した。でもなぜか最下辺の9-90は上を向いている。(2016/11/13加筆と画像追加)
img002.jpg
面白いのは御本家クロノメトロゴンドーロのキャリバー鑑賞用裏スケルトン窓とトノー形状の裏蓋とのサイズバランスには少し戸惑いを覚えるが、5214ではケースとキャリバー双方の
形とサイズに親和性が高い為に、むしろ専用ムーブ感を強く感じる事である。 いづれにせよ2モデル限定の少量生産希少エンジンゆえに時計のお値段は当然それなりとなります。(転載)

サイズ:24.6×21.5mm 厚み:2.57mm
部品点数:142個 石数:18個 パワーリザーブ:44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製) 振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾 Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.129(2016/11/13加筆)

2017年10月21日 現在
5124J-001 店頭在庫あります
5124G-011 予約対応となっています

(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

_DSC6797.jpg
2007年にこの時計が発表された時の感動は忘れられない。バーゼルに同行していたK君とパテックブース1階外周にある展示回廊に飾られていた1920年代のYGオリジナルモデルを何度も何度も見に行き、新旧いづれも譲らぬギョーシェの美しさに魅了された。
この時パテックがまずプラチナケースで復刻させた事が印象深かった。個人的にはイエローがイメージで初見のプラチナは若干の違和感があったが、数年間は店頭に並ばぬ人気モデルとなった。その後ローズゴールドが追加され、2015年の今年プラチナは製造中止となったことで希少お宝コレクションの仲間入りをした。
良く紹介されるオリジナルモデルは1925年製のYGケースにシルバーカラーのギョーシェ細工がなされた文字盤に青焼きのスペード針のモデル。
block_10.gifところが手元のバイブル化しているPATEK PHILIPPE GENEVE Wristwatches(M.Huber & A.Banbery)になぜかズバリの掲載が無い。1920年の物が酷似するが針が金色のアルファシェイプとなっている。ムーブはルクルト製で丸型のCalber12となっている。復刻クロノメトロゴンドーロ5098用に開発された新キャリバー25-21RECのお手本とおぼしきレクタングラーシェイプのCaliber9-90(パテック自社製)が登場するのはゴンドーロ・ラブリオ社への納入終了(1927年)後の1934年である。忠実に復刻された文字盤と異なり搭載エンジンは裏スケルトンの見栄えを意図して別腹を参考にしたようだ。
5124Gの項にも書いたがパテックの現コレクション中で、モデル名が文字盤に書き込まれた唯一の時計がクロノメトロ・ゴンドーロ。たぶん当時のパテック社にとってゴンドーロ・ラブリオ社(ブラジル)が超優良顧客であったのだろう。ただ1900年代前半はロレックス等もダブルネームウオッチは結構製造していたので、今よりずっと小売店主導の(古き良き)時代だったのかも・・・複雑な心境・・・

詳細を見てゆこう。ケース形状は3次元の見事なトノーシェイプ(樽型)である。サファイアガラスが相当な削り込みによって大胆にラウンドしている。文字盤も12時・6時の両方が緩やかに反っている。インデックス内側のギョーシェ部分はほぼ平面のようで、さすがに針までは曲げられていない。
_DSC6804.jpg
裏蓋全体も緩やかにカーブしていて腕への座りは抜群だ。こちらのサファイアも丁寧に削って微妙なコンケーブ(内反り)に仕上げられている。ガラス右側に見えている観覧席のような銀色の重なりは、原因不明の虚像?でたぶんサファイアガラスの屈折かカメラの光学的要因の産物かと・・・(肉眼では見えない)
ストラップはいわゆるオフィサータイプに見られるラグ貫通の両ビス留め方式(店頭でのストラップ交換はご勘弁願いたいナァ)になるのでプラチナ製のノーマル型のバックルも両ビスタイプとなっている。
_DSC6821.jpg
復刻に当たって専用にムーブ開発されたのにケースとの大きさと形の親和性が今一つと以前にも書いたが、オリジナルに搭載されていたルクルト製ムーブが丸型だった事からすれば良く熟考された上での設計なのだろう。不思議なもので今回じっくりと見ていると、これはコレでアリかと・・・
それよりも4本のビスで留められた裏蓋の内側に興味は深々。専用ケースに専用エンジンなので改めてスペーサーを用意しているのかどうか?仮にそうだとすれば、異素材を使ってのコストダウン狙いしかない。しかし手に伝わってくる存在感からは恐らくプラチナの無垢の塊からムーブメント収納部分のみ切削されている様な気がする。疑問と宿題は増えるばかりである。でも人と同じでどこかにミステリアスな部分があってこそ興味は尽きないのだ。
_DSC6802.jpg

Ref.5098P-001
ケース径:32×42mm ケース厚:8.9mm ラグ×美錠幅:17×14mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:PT(製造中止)の他にRG 
文字盤:ギヨーシェ装飾18金製
ストラップ:マット(艶無)ブラックアリゲーター
価格:税別 5,530,000円(税込 5,972,400円)2015年7月現在
   税別 5,370,000円(税込 5,799,600円)2016年11月改定  

Caliber 25-21 REC(手巻き) ※コチラも参考ください。
サイズ:24.6×21.5mm 厚み:2.57mm
部品点数:142個 石数:18個 パワーリザーブ:最低44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製) 振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2017年9月12日現在
5098P-001 完売いたしました
5098R-001 デッドストック店頭在庫あります

5124Gface800_02.jpg
175周年記念の精力的なコレクション群を発表した翌年になる2015年、パテックは寡作との下馬評があった。ところが蓋を開ければ今年度バーゼル会場の話題をさらった感のあったパイロットウオッチに始まり、多種多様な新作で大豊作の年であった。生産数量に限りがあるし当店の拘りと・・・台所事情など複雑に絡み合った発注分が、9月頃から5か月位かけて順次納品されてくる。
で、当店の一本目としてゴンドーロ手巻スモセコの5124のWGの青ダイアルが先日入荷。2008年にニューモデルとして発表されたヴィンテージローズ文字盤が、7年を経て新色ダイアルにチェンジされイメージ一新となった。パッと見た感じは2013年新作の人気モデル8日巻ゴンドーロ5200Gの青文字盤のシンプル盤と言う印象。ちなみに価格は半分弱である。

さてゴンドーロの名前の由来は良く知られていて1900年台前半にブラジルの高級時計宝飾店ゴンドーロ&ラブリオ社向けに多種多数の時計を"CHRONOMETRO GONDOLO"と称して製造納入していたことから来ている。此処までは良く書きこまれるエピソード。
次に触れられることの多いデザインとアールデコのご関係が微妙に曖昧。今年頂いた"コレクション・ブック パテック フィリップ"から引用すれば
「ゴンドーロは、レクタングラー型、トノー型、クッション型など、ラウンド型以外のパテック フィリップのタイムピースのコレクションです。厳密な幾何学図形、ピュアなライン、時を超越したスタイル・・・により、ゴンドーロ・コレクションはパテック フィリップの歴史上重要なアール・デコの精神を現代に蘇らせるモデルとなって・・」となっている。
まずデザイン的にラウンド以外となっているが、ゴールデンイエリプスやノーチラス、アクアノート、T4は恐らく過去のアーカイブデザインでは無いので例外別枠という事なのか。
で、次にアールデコを色々調べてみたが芸術音痴にはサッパリ合点がいかない。代表的な建築物はニューヨークの摩天楼(エンパイアステートビルやロックフェラーセンター等)、日本なら最近取り壊しと保存で話題な大阪心斎橋大丸本店ビル等らしいのだが、その関連性について上手く説明が叶わない。
しかたがないので6月のグランドオープンの装飾(もとい蔵書?)として購入したPATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A.BANREY)を開く。まず現代版クロノメトロゴンドーロ5098のオリジナルらしき物が1920年代で出てくる。さらに5124タイプの原型っぽいのも1929年とかに出現。但しゴンドーロ社向けではなさそうである。本質は置いといて想像するに、アール・デコ様式全盛期に採用されてヒットしたデザインを起源に持つ特徴的な不滅のスタイルがゴンドーロという事にしておこう。
注:興味深い参考画像のスキャン転載についてはパクリンピックの時節柄、遠慮しときます。

Ref.5124G-011
ケース径:33.4×43mm ケース厚:7.38mm ラグ×美錠幅:22×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:WGの他にYG 
文字盤:ブルーサンバースト ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター
価格:税別 2,970,000円(税込 3,207,600円)2017年8月現在


5124caseback.jpg
Caliber 25-21 REC PS

ムー ブメントは、2007年復刻モデルとして発表されたトノー型の傑作モデル"クロノメトロゴンドーロ"の為に専用開発された角型手巻の新キャリバー25-21 REC のスモールセコンドバージョンである。さらに遡れば1934年から1967年まで製造されたCal.9-90(下:1951年製)に酷似している。元々の画像は天地が逆、文字が倒立するが上との比較でくるりと回した。でもなぜか最下辺の9-90は上を向いている。(2016/11/13加筆と画像追加)
img002.jpg
面白いのは御本家クロノメトロゴンドーロの
キャリバー鑑賞用裏スケルトン窓とトノー形状の裏蓋とのサイズバランスには少し戸惑いを覚えるが、5214ではケースとキャリバー双方の形とサイズに親和性が高い為に、むしろ専用ムーブ感を強く感じる事である。
ところで本稿を書きながら気づいたのだが2番車受けの刻印。これまで"FIVE POSITIONS(5姿勢)"しか撮っていないのだが、"SIX POSITIONS"とある。これは全在庫をチェックですね。結果は次回にでも・・
いづれにせよ2モデル限定の少量生産希少エンジンゆえに時計の
お値段は当然・・・それなり・・・・となります。

サイズ:24.6×21.5mm 厚み:2.57mm
部品点数:142個 石数:18個 パワーリザーブ:44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製) 振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾 Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.129(2016/11/13加筆)

2017年9月12日 現在
5124G-011 予約対応となっています
5124J-001 店頭在庫あります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

Pagetop

カサブランカ奈良

〒630-8013 奈良市三条大路1-1-90-101
営業時間 / AM11:00~PM8:00
定休日 / 水曜日 TEL / 0742-32-5555
ホームページ / http://www.tokeinara.com/

サイト内検索