
パテック フィリップを代表する複雑機能は何か?これが多すぎて絞りようが無い。無理やり選べばミニット・リピーターと永久カレンダーが代表なんだろうが、今回のワールドタイムもどうしてどうして相当な物であり侮れない。もちろんクロノグラフも・・やっぱり全部か!
ジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏開発による時分針リューズと24時間ディスクの連動操作システムを搭載して1930年代後半には製造が開始されたワールドタイム。都市名(シティ)ディスクについては、当初のグリニッジ標準時固定タイプから始まって、手動で回す回転ベゼル式に移行。さらに1950年代には9時位置に設けた第2リューズでシティディスクをインナーベゼルとして回転操作するように進化した。と、ここまでの記載は多々あるが、話はいきなり1999年の特許取得にジャンプする。この50年代後半から2000年までの40年間、ワールドタイムはまるで冬眠状態。画像も記述も何にも出てこない。ただ当時の初期型ワールドタイムのアンティークピース人気は凄いようだ。何度も腕時計オークションのレコードを書き換えている。
中断の歴史は追々探すとして、2000年発表の新生ワールドタイム5110の画期的な特許技術をPP公式HPより拾って整理してみた。
ワールドタイムの技術革新は3段階。まずホップとして前述のようにルイ・コティエ(1894-1966)の1930年代の発明(時分針リューズと24時間ディスクの連動操作システム)、次のステップが1959年にコティエがパテックの為に開発した特許(9時側の上下2つのプッシャーによって分秒針に影響を与えずに時針のみを12ステップで回転)、さらにジャンプは40年後パテック技術陣がなしとげた1999年の凄い特許(たった一つのプッシャー操作で同時に時針、シティディスク、24時間ディスク、これら全ての表示変更を分秒針に影響を与えることなく12ステップ回転で実現)
で、実際にこのシステムを実機で見てみる。画像左側の東京は17時32分で、シティディスク上のTOKYOが12時位置にある。その真下の24時間ディスクは17時半ごろであって、決して5時半で無いとわかる。ちなみにシティディスク7時ごろにあるLONDONの24時間ディスクは8時半ごろなので、現地は午前8時32分と読める。(なぜロンドン?単純にラグビーWC感激のなせるところ・・)
11時位置のプッシャー操作でロンドン仕様に変更。ワンプッシュで時針は1時間進み、同時にシティディスクと24時間ディスクは1時間反時計に回るので、これを15回繰り返すと右側の状態になってシティディスクの12時はLONDONになり、真下の24時間ディスクは8時半ごろ、時分針は8時32分。
ロンドンは東京より9時間遅れなので時針を9時間分を反時計に回転させたいが、時計回り一方向に進むプッシャーひとつきりなので15時間進めて結果(24ー15=)9時間分の時差を作った事となる。コティエの1959年特許の応用で2ボタン化して両方向へのステップ回転、さらにカレンダー搭載と出来そうだが・・何も考えずにひたすら押してシティディスクの目的都市を12時に合わせるだけというシンプルな使い勝手を優先させたのだろう。やはりパテックはコンプリケーションカテゴリーではどこまでも実用性重視のようだ。

ちなみにサマータイムはどうするか。画像左は先程の朝8時32分ロンドンである。ごく普通にリューズ操作で時計を1時間進めると24時間ディスクのみ連動して1時間反時計回りに回転し、シティディスクのLONDONの真下が9時半ごろに変更される。ただしサマータイムの無い東京は1時間進んだ18時半ごろと表示される。これだけは仕方がない。

さて現行の5130は2006年に5110からサイズ等のマイナーチェンジを受けたものである。個人的には文字盤に情報がテンコ盛りなので2.5mmのサイズアップは歓迎だし、1930年代のオリジナルに似た地球イメージの時針になって格段に視認性が良くなったと思う。ベースキャリバーが極薄型自動巻240なので、ケース厚9.6mmとパテックらしい薄さも際立つ。サファイアクリスタルのケースバックはスナッチ(こじ開け)ではなくスクリュー(ねじ込み)だ。この開閉仕様の使い分け基準が、いまだに良くわからない。
昨年発表された175周年記念限定モデルにはワールドタイムが2型あって、その合計製造数は1,750個となっている。結構な数を来年1月末までに製造納品と聞いている。ベースムーブメントはレギュラーモデルと同じ240 HUなので今年は極端に定番ワールドタイムの入荷が悪い。同様のことは1,600個の限定クロノグラフモデルに投入されるキャリバーCH28-520 Cで割を食う定番自動巻クロノグラフモデルにもいえるのだが・・
Ref.5130J-001
ケース径:39.5mm ケース厚:9.6mm ラグ×美錠幅:21×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:YGの他にPT,RG,WG
文字盤:ギヨーシェ シルバーリィ サンバースト ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートアリゲーター
価格:税別 4,740,000円(税込 5,119,200円)2015年7月現在
Caliber 240 HU
直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
税別 4,740,000円(税込 5,119,200円)2015年7月現在
税別 4,600,000円(税込 4,968,000円)2016年11月改定(流通残在庫)
PATEK PHILIPPE 公式ページ
乾
2016年2月19日現在
5130J-001 完売しました。5130全素材2016年生産中止決定、手配困難ですがお問合せ下さい。
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当店で一工夫加えた2015最新パテック フィリップ コレクションカタログを店頭にてお渡ししています。
パテックフィリップのカタログは結構見やすい。ほぼ現行モデル全部を統一されたわかり易い原寸大の画像付きで紹介するカタログを、きっちり作っているスイスのメジャーブランドはありそうで・・ない。
しかも毎春のバーゼル会場で、継続品と生産中止を反映した英語版(たぶん主要言語の仏、独あたりもありそう?)が用意されていて受け取れる。さらに6月頃には空輸で若干数の日本語版が先行で、少し遅れで船便カタログも夏前には到着して正規販売店に配布される。新製品のデリバリーが始まるのが早くて例年8月下旬なので物よりカタログが早い。
国産製品に対する日本人の感覚からすれば、この当たり前のスケジュールが、スイスを含めてヨーロッパでは希薄だ。ブランドによっては翌年カタログ配布なんてのも平気だ。
さて、その生真面目で使い勝手の良いカタログにも弱点があって、品番を昇順に並べたプライスリストになぜか新製品が未掲載。商品画像もスペックもあるのに価格が不明なのだ。まあ配布元の正規店に問い合わせが入るようにという配慮なのかもしれないが、やはり少々不満が残る。
そこでカサブランカ オリジナルプライスリストを作成してみた。B4サイズの表面にはページ昇順、裏面は品番昇順で新製品を含むカタログ記載の全モデルを掲載。結果的に我々にとっても大変便利な価格表となった。
こちらを店頭にてカタログと共に配布しております。ご来店の折りに是非お申し付け下さい。
※赤字部を訂正。最新プライスリストには新作価格も掲載済み。それでも負け惜しみで無くて、当社のバージョンを見易さで押したいナァ~(10月1日)
一般的に腕時計の文字盤には商品名やシリーズ名が記されることが多い。ロレックスならSUBMARINER、COSMOGRAPH DEYTONA オメガはSPEEDMASTER、SEAMASTERってな具合に・・・その他にも創業年度やクロノメーター表示等々でテンコ盛りの時計も多々ある。
パテック フィリップはどうか。あくまで知りうる範囲では見た事が無い・・と書きつつ・・ひょっとして・・。1モデルありましたね。限りなくオリジナルに忠実に復刻されたクロノメトロゴンドーロだけは文字盤6時方向にしっかり"CHRONOMETRO GONDOLO"と転写プリントされている。そうなるとゴンドーロの8DAYSは?トゥールビョンの10DAYSはどうなるのか。これは品名というより機能表示に近いのではないか。
ともあれ(ほぼ)見事に文字盤を汚さないパテック。シンプル系は"PATEK PHILIPPE GENEVE"のみ。複雑系も必要最小限の機能表示に抑えられており、装飾性を徹底排除がルールのようだ。ブランドと時計そのものに相当な自信が無いと成立しない厳しいルールだと思う。
前置きが長くなりすぎた。そんなパテックの例外的装飾をノーチラスのストラップ用モデルに発見。
フォールディングバックル(FOLD OVER CLASP)の一番目立つ部分にくっきり大胆なエングレーブ。こうゆう発見?が撮影時や検品時にはある。ちなみにブレスレットモデルにはこの手の記載はございません。18金のお約束刻印4つも整然とまとめてられている。

ちなみに5712のストラップモデルにはラバー?(カタログ表記:sellier)ストラップが付属品としてセットされている。表はヌバック調、裏はスムースで、ともにケミカルな材質ながら普通のラバーではなくて長時間の水没には向かない。ピン状の物はケースサイドに設けられた各種修正プッシュ(5時側デイトカレンダー、7時側ムーンフェーズ)を操作する為のプッシュピンである。ただ我々は爪楊枝オンリーに徹しているが・・


天才時計デザイナーのチャールズ・ジェラルド・ジェンタによるラグジュアリースポーツウオッチの傑作ノーチラスは1976年に発表された3700/1。大胆にも世界最高価格のステンレスウオッチという打ち出しだったらしい。
注目すべきはケース厚さわずか7.5mmで、当時としては画期的な120m防水の性能を確保したことだろう。そのマジックの為に採用されたのがユニークな2ピース構造。3時側のリューズガード部(右耳)と9時側の(船窓の窓枠に見立てたベゼルの)ヒンジ部(左耳)とベゼルが一体のアッパーケースで、裏蓋からラグまで含めたもう一つのケースとが左右の耳で噛合ってビス留めされて・・・なんとも文字だけでは表現困難。
その後、いくつかのバリエーションが出つつ誕生30周年記念として2006年に全面的なリニューアルを受ける。今回ご紹介はこの時に発表された通称プチコンと呼ばれる5712のホワイトゴールドのストラップモデル。
この時計の特徴は文字盤上の多針レイアウトが、左右非対称になっている事だと思う。5時位置スモールセコンドでチョッピリ非対称のカラトラバのRef6000(下)を除けば現行ラインナップの中で唯一の存在だ。それほどにパテックフィリップの時計デザインはオーセンティックで保守的なシンメトリック命。

正統派だらけの中でこの非対称は目立つ。このちょいワルっぽいのがどうにも魅力なんだろう。素材にかかわらず異常に人気が持続している。
機能的にはデイトカレンダー、ムーンフェイズ、パワーリザーブにスモセコと本当にプチなコンプリケーション。
残念ながら今回入荷分は、ブログ公開前にご売約となり店頭在庫は現在なし。でも素材違いのステンレスブレスレットモデル税込400万円強が、要望が多すぎて普通に買えない、売れない、予約も困難という特殊な状況下で約120万円少々の追加で手に入る18金モデル。もちろんコチラも常に品薄ながら、ご客注対応がまだ現実的。
Ref.5712G
ケース径:40mm(10時ー4時方向) ケース厚:8.52mm ラグ×美錠幅:25×18mm
防水:6気圧
ケースバリエーション:WGの他に,RG
文字盤:スレートグレー 夜光付ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)ブラックアリゲーター 他にブラックラバー付属
価格:税別 4,750,000円(税込 5,130,000円)2017年8月現在

搭載キャリバーはパテックを代表するマイクロローター採用の超薄型(2.53mm)自動巻ムーブメント240の派生型。プチコンモジュールを組込んでも3.98mm厚に抑えている。結果ケース厚も8.52mmで、元祖の3700からたった1mmしか太っていない。正面から見た印象と実際の厚みにギャップが大きいノーチラス。ここが他のスポーツラグジュアリーとは一線を画していてジェンタの企みが、今も息づいているようだ。

今回は斜めからムーブに肉薄。数ミリの限られたスペースに立体的に組み込まれた輪列。2ピースだった元祖とは異なり、もはやトランスペアレンシイのケースバックが、ケースと一体ではなく全3ピース構造になっているようだが、この裏蓋どうやって外すのだろうか。パテックフィリップは謎が多い。いづれ判明したら追記予定。
Caliber 240 PS IRM C LU
直径:31.0mm 厚み:3.98mm 部品点数:265個 石数:29個
パワーリザーブ:38-48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
PATEK PHILIPPE 公式ページ
→その2(後半)につづく
文責:乾
2017年9月12日現在
5712G-001 ご予約いただけます
5712R-001 ご相談ください
5126Jの回でパテック フィリップが裏スケルトン仕様の導入にも非常に腰が重かった件に触れたが、時計に限らず大御所と言われる家や人や物は、腰が重い→なかなか揺るがない→だから大御所 という事になっている。
というわけで大御所パテックには、今時この仕様ですか???が、いくつもある。
筆頭はハッキング機能(秒針停止機能)が殆んどのモデルに備わっていない。
さらに無反射コーティングが施されていない・・・かどうかPPJに確かめてみたら・・実はありましたヨ。
ノーチラス、アクアノート等で個体によって有ったり無かったりするらしい。徐々にコーティングタイプ化されているわけでも無いらしい。またスポーツモデルに限定でも無くてカラトラバの5227や5296にも稀に出没するらしい。個人的には未だ気づいたことが無いので、こうなると俄然見たくなる希少な個体。ちなみにコーティングは物理的な剥離を嫌って内側のみ塗布されているらしい。
で、今回はヘボなアマチュアにとってパテックの撮影ほど難しいものは無い、という撮影話。
まずハックが無いので自動巻きは針が止められない。10時10分にセットした時計の秒針の美しい位置は20秒から40秒辺りの20秒間なので、1分間に多くて2回ぐらいしかシャッターが切れない。実際にはライティングをしてから10時6分頃に合せて埃をぬぐって撮影台に位置決めしていると2分ぐらいすぐ経過する。最初の1分で試し撮りし、次の1分で微修正し、3分目で本番撮って と実に忙しくて煩わしい。
さらに無反射コーティングがまず無いので、当たり前ながらガラス表面が反射しやすい。具体的には白っぽく霞がかかったように写ってしまい易い。光源の照射角、カメラの光軸と時計ガラス面、それら3者の微妙な角度の組み合わせで乗り切るが、追い打ちをかける様に文字盤に装飾物が少なくプレーンで単色なタイプが多いので平板に写ってしまって、画像になると高級感が出しづらい。
誤解なき様に断るが、あくまでヘボカメラマン泣かせということであって、実機を肉眼で見れば無反射コートが無い事で視認性が損なわれているとは感じないし、平板な文字盤でありながら高級感をしっかり感じさせる完成度はいつ見ても凄いと思う。人と同じで時計にも写真うつりの良し悪しが有るようだ。
当店のHPの時計画像は、ほぼ総てメーカーや輸入元からの提供を受けている。そして各ブランドのオフィシャルカタログでもその画像が使われている。パテックフィリップも例外ではない。
様々な製作物や広告に於いて時間とお金の節約がデジタル画像の普及で急速に進んだ。最近は雑誌も自前の撮影より提供画像そのままが大半となってきた。良い事である反面、デジタルな加工処理が行き過ぎて、もはや写真と言うより、限りなくイラストに近づいて写実感をどんどん失っている。
"解り易いが、伝わり難い!"のがデジタル画像の特徴ではないだろうか。
オンラインショップ等が拡大急成長すればするほど、実店舗で実機を手に取って確認する必然性が出てきている気がする。その行為は意志、時間そして手間を伴うだけに、ある種の贅沢とも言えよう。それはそれで我々には追い風?かもしれない・・・
そんなこんな時代だからこそ、下手くそでも出来るだけアナログな画像(カメラはデジタル一眼ですが・・)で少しでも写実感というか実物が発するリアリティをお伝え出来ればと思っている。
文責:乾

175周年記念の精力的なコレクション群を発表した翌年になる2015年、パテックは寡作との下馬評があった。ところが蓋を開ければ今年度バーゼル会場の話題をさらった感のあったパイロットウオッチに始まり、多種多様な新作で大豊作の年であった。生産数量に限りがあるし当店の拘りと・・・台所事情など複雑に絡み合った発注分が、9月頃から5か月位かけて順次納品されてくる。
で、当店の一本目としてゴンドーロ手巻スモセコの5124のWGの青ダイアルが先日入荷。2008年にニューモデルとして発表されたヴィンテージローズ文字盤が、7年を経て新色ダイアルにチェンジされイメージ一新となった。パッと見た感じは2013年新作の人気モデル8日巻ゴンドーロ5200Gの青文字盤のシンプル盤と言う印象。ちなみに価格は半分弱である。
さてゴンドーロの名前の由来は良く知られていて1900年台前半にブラジルの高級時計宝飾店ゴンドーロ&ラブリオ社向けに多種多数の時計を"CHRONOMETRO GONDOLO"と称して製造納入していたことから来ている。此処までは良く書きこまれるエピソード。
次に触れられることの多いデザインとアールデコのご関係が微妙に曖昧。今年頂いた"コレクション・ブック パテック フィリップ"から引用すれば
「ゴンドーロは、レクタングラー型、トノー型、クッション型など、ラウンド型以外のパテック フィリップのタイムピースのコレクションです。厳密な幾何学図形、ピュアなライン、時を超越したスタイル・・・により、ゴンドーロ・コレクションはパテック フィリップの歴史上重要なアール・デコの精神を現代に蘇らせるモデルとなって・・」となっている。
まずデザイン的にラウンド以外となっているが、ゴールデンイエリプスやノーチラス、アクアノート、T4は恐らく過去のアーカイブデザインでは無いので例外別枠という事なのか。
で、次にアールデコを色々調べてみたが芸術音痴にはサッパリ合点がいかない。代表的な建築物はニューヨークの摩天楼(エンパイアステートビルやロックフェラーセンター等)、日本なら最近取り壊しと保存で話題な大阪心斎橋大丸本店ビル等らしいのだが、その関連性について上手く説明が叶わない。
しかたがないので6月のグランドオープンの装飾(もとい蔵書?)として購入したPATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A.BANREY)を開く。まず現代版クロノメトロゴンドーロ5098のオリジナルらしき物が1920年代で出てくる。さらに5124タイプの原型っぽいのも1929年とかに出現。但しゴンドーロ社向けではなさそうである。本質は置いといて想像するに、アール・デコ様式全盛期に採用されてヒットしたデザインを起源に持つ特徴的な不滅のスタイルがゴンドーロという事にしておこう。
注:興味深い参考画像のスキャン転載についてはパクリンピックの時節柄、遠慮しときます。
Ref.5124G-011
ケース径:33.4×43mm ケース厚:7.38mm ラグ×美錠幅:22×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:WGの他にYG
文字盤:ブルーサンバースト ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター
価格:税別 2,970,000円(税込 3,207,600円)2017年8月現在

Caliber 25-21 REC PS
ムー ブメントは、2007年復刻モデルとして発表されたトノー型の傑作モデル"クロノメトロゴンドーロ"の為に専用開発された角型手巻の新キャリバー25-21 REC のスモールセコンドバージョンである。さらに遡れば1934年から1967年まで製造されたCal.9-90(下:1951年製)に酷似している。元々の画像は天地が逆、文字が倒立するが上との比較でくるりと回した。でもなぜか最下辺の9-90は上を向いている。(2016/11/13加筆と画像追加)

面白いのは御本家クロノメトロゴンドーロのキャリバー鑑賞用裏スケルトン窓とトノー形状の裏蓋とのサイズバランスには少し戸惑いを覚えるが、5214ではケースとキャリバー双方の形とサイズに親和性が高い為に、むしろ専用ムーブ感を強く感じる事である。
ところで本稿を書きながら気づいたのだが2番車受けの刻印。これまで"FIVE POSITIONS(5姿勢)"しか撮っていないのだが、"SIX POSITIONS"とある。これは全在庫をチェックですね。結果は次回にでも・・
いづれにせよ2モデル限定の少量生産希少エンジンゆえに時計のお値段は当然・・・それなり・・・・となります。
サイズ:24.6×21.5mm 厚み:2.57mm
部品点数:142個 石数:18個 パワーリザーブ:44時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製) 振動数:28,800振動
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
PATEK PHILIPPE 公式ページ
文責:乾 Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.129(2016/11/13加筆)
2017年9月12日 現在
5124G-011 予約対応となっています
5124J-001 店頭在庫あります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

5196の詳細を少しだけ。ケースサイド9時側から見る。やはりこれ以上は無いシンプルなデザインが際立っている。小傷が目立ちやすい横っ面のアッサリサテン仕上げは、この手の形状のケースではパテックの基本ルールになっている。作り手はココイチのよそ行きでは無くて、実用時計としてデイリーに使われる想定をしている。左下の透明の舌状のものはパテックには珍しい裏蓋保護シールで、数少ないノーマルケースバックモデルゆえに貼られている。なお大部分を占める裏スケルトン仕様モデルは本当にスッポンポンで総てが剥き出し。ロレックスとは対極だ。クンロクは無骨な見かけで厚みを感じるが、実際にはケース厚さ7.68mmで手首への収まりもフィット感も抜群に良い。
4本のラグ裏側にはそれぞれ18金製品にちなむ刻印(ホールマーク)。まずは2時位置には"750"一番解り易い。他モデルでAu750という表記も見られる。

5時位置は5119でも紹介した"セントバーナード犬のマーク" かなり拡大しても良く判らない。

続いて7時位置にはパテック フィリップ社製を現わす"PPCo"

最後に10時、"天秤マーク" 横に連続する二重円枠の中に750の数字と天秤の絵の組み合わせ

2番目と4番目の刻印は時代に応じて変更されており、アンティークモデルでは製造年代特定の手掛かりになるらしい。現行モデルをザッと見る限りラグ裏にスペースが確保できる場合は、ほぼこのパターンで刻印されているようだ。
搭載ムーブは5119で紹介済みの215PS→参考ページ"5119その2"
文責:乾