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パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

5712/1A-001ノーチラス プチコン ステンレス

東京に行ったり何やかやとバタバタして久々の商品紹介は、希少ステンレスシリーズ第三弾!こちらも三針5711/1A同様に店頭で順番無関係のご登録のみで、ご予約はお受けしておりません。すみません。
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1976年に新しい腕時計ジャンル"ラグジュアリースポーツ"を確立すべくパテック フィリップが投入したノーチラス。今やパテックコレクションの大黒柱であり、特にステンレスはいづれのモデルも需要に供給が追いつかず飢餓状態が続いている。
しかしこの超人気シリーズが誕生した1970年代というのはスイス時計業界の暗黒時代であり、それまでの腕時計の常識を覆す起死回生の飛び道具として開発されたのではないかと思っている。
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パテック フィリップ最高のテキストPATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)の巻末に掲載されているList of historic Patek Philippe reference numbers(上図)によれば、1970年代というのは極端に生産履歴の記載が少ない。1950年代が140Ref.以上で、60年代はぐっと減って25Ref.。そしてクォーツが世界中を席巻した1970年代はわずかに5Ref.しか掲載がない。
しかもその内2つはクォーツムーブだ。残る3モデルは1974年のゴールデンイリプスとシンプルなWGのカラトラバ。そして1976年のノーチラス。ここで注目すべきは薄く小ぶりでエレガントなイリプスも、大ぶりでスポーティなノーチラスも過去のパテック フィリップの遺産からではなく完全な新規開発だった事である。そしてそのいづれもが短期間に大ヒットし、1980年代半ばからフィリップ・スターン氏が取り掛かったコンプリケーションウオッチの再構築の原資になったのではないか。ちなみに1980年代は10Ref.で複雑機構を備えた機械式モデルも復活し、クォーツの記載は無い。
※訂正補足5/29:ゴールデンイリプスの創始は1968年のRef.3548(ブルーソレイユ文字盤、WG)で正確には70年代ではなかった。自社製の丸形手巻Cal.23-300を搭載し、そのケースサイズはシリーズ誕生40周年で初のプラチナモデルとして2008年に発表され現行でもあるRef.5738P(通称ジャンボ34.5×39.5mm)と同じく(当時として)ラージサイズ(27×32mm?)だった。

70年代は時を知る道具としての時計の価値が枝分かれした時代で、どんどん安価になるクォーツに押されて絶滅の危機を迎えた既存の機械式時計各社がもがき苦しむ中、パテックが活路としたのがスポーツラグジュアリー"ノーチラス"による新しい価値感の提案だった。
Cost for value からCost for luxury への転換であり、デビュー時代の広告(下画像右)のキャッチコピー「世界で最も贅沢な時計のひとつは、スチールでつくられている」がそれを良く表していると思う。
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ノーチラスをデザインしたチャールズ・ジェラルド・ジェンタ氏の時計デザイン上でのポリシーは着用感向上であり、その鍵が"時計の薄さ"であった。ノーチラスでそれを実現するために彼が採用したのが独立した裏蓋が無い特殊な2ピースケース。このケース構造実現の為に設けられたのが3時と9時の両サイドの耳で特徴的なベゼル形状と合わせて全く新しい斬新な時計デザインが誕生した。そしてその薄いケースには、もちろんパテックお得意の薄いムーブメントが積まれた。1976年のノーチラスファーストモデルRef.3700/1に積まれたのはルクルトへ特注した自動巻カレンダー3針ムーブCal.28-255はセンターローター仕様で厚さ3.15mmであった。
それまでに無かったシンプル、実用的、かつラグジュアリーを併せ持ったノーチラスは瞬く間に大ヒットし、ケースサイズ変更やパワーリザーブ表示、レザーストラップ採用、スケルトンバック化、ムーブメント変更などの様々なマイナーチェンジがあった。しかしセンターローター自動巻カレンダー3針という基本スタイルは2005年登場のプチコンRef.3712/1Aまで29年間も変更されなかった。
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ところで2006年シリーズ誕生30周年を控えた前年2005年。ノーチラス初のバリエーションモデルであるプチコンRef.3712/1Aが発表されたった1年で生産中止になっている。顔は今回紹介のRef.5712/1Aとウリである。
これは、翌年のシリーズフルモデルチェンジ発表サプライズに備え、初コンプリケーションバリエの市場反応を伺うテストマーケティングだったと勝手な想像をしている。ちなみに個体数が極めて少ないRef.3712/1Aは今現在中古市場では結構高額で流通されているようだ。
そう考えると当時急速なクロノグラフムーブメントの完全自社生産化も推進していたパテックは、2006年発表された先進的かつ量産型クロノグラフムーブCal.CH28-250を30th.Aniv.新生ノーチラスへ搭載して2種類のコンプリケーションを30周年サプライズの花にする事を早々と計画していたのではないか。その後2010年に年次カレンダーRef.5726、2014年にはトラベルタイムクロノグラフRef.5990。矢継ぎ早にノーチラスコンプリファミリーの充実が図られた上でプチコンはとても重要な役割を担っていたように思える。

Ref.5712/1A-001
ケース径:40mm(10時ー4時方向) ケース厚:8.52mm
防水:6気圧
ケースバリエーション:SSの他にストラップ18金モデルありWG,RG 
文字盤:ブラック ブルー 夜光付ゴールド植字インデックス
価格:税別 3,740,000円(税込 4,039,200円)2015年7月現在

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搭載キャリバーはパテックを代表するマイクロローター採用の超薄型(2.53mm)自動巻ムーブメント240の派生型。プチコンモジュールを組込んでも3.98mm厚に抑えている。結果ケース厚も8.52mmで、元祖のRef.3700からたった1mmしか太っていない。正面から見た印象と実際の厚みにギャップが大きいノーチラス。ここが他のスポーツラグジュアリーとは一線を画していてジェンタの企みが、今も息づいているようだ。
(過去記事より画像とも転載)
くどい様だがRef.5712/1Aは2006年にノーチラス誕生30周年を記念したフルモデルチェンジで発表されたが、その前身は前年の2005年のRef.3712/1Aである。搭載ムーブメントCal.240PS IRM LUは、1995年に下画像Ref.5015用に開発されたCal.240/152をルーツとする。
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1976年リリースの極薄ムーブメントCal.240のプチコンモジュール搭載にあたり小秒針(スモセコ)5時位置へのオフセンターレイアウト設計もデザイン要因以上に統合ムーブメントの肥大化を少しでも軽減するべくはかられたのだろう。
ところで以前WGのRef.5712G-001紹介の際、現在はスケルトンの裏蓋が外せそうなので3ピース構造へ変更されたと書いた。そしてこの裏蓋一体どうやって開けるのか疑問提示した事がある。この件、先日機会を得て確認が出来た。何と外せそうに見える裏蓋はミドルケースと合体しており、今なお2ピース構造のままだった。では、ムーブへのアクセスはどうやるか?それは・・・書けない。書いてはいけない。店頭では結構おしゃべりなんですが・・・
※5/29訂正PPジャパンサービスセンターに再度聞き取りの結果、すみません!正確にはやっぱり3ピースだった。ついでに他のノーチラスについてもケース構造やそれに関連する防水性能等の興味深い話が聞けたのだが、やはり書けない。書いてはいけないという点でスタンスは変わらない。ただペンにキャップは出来ても、口にチャックは無理だろうナァ・・

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Caliber 240 PS IRM C LU(上画像はWGのRef.5712Gを転用)

直径:31.0mm 厚み:3.98mm 部品点数:265個 石数:29個 
パワーリザーブ:38-48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾
Patek Philippe Internaional Magazine VolⅡ No.8 別冊付録ノーチラスニューコレクション1976-2006:NAUTILUS,THE LEGEND LIVES ON P.4
PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY) P.230 .235

2016年5月20日現在
5712/1A-001 店頭で順番無関係のご登録のみですが、現在チャンスです。
5712G-001 店頭在庫有ります
5712R-001 店頭在庫有ります
(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を実施いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。

※案内状のご希望がございましたら、コチラからお問合せ下さい。





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