パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

5116R-001 貴重なEMAILが着信 またもや!中編の続編

そう、またもやである。実は実機編はほぼ完成している。アップを待つだけ状態にある。ところがPPJapanから次の入荷案内があったRef.5296-001について早々の下調べ中に見つけんでもいいものを・・
Patek Pilippe International Magazine Vol.Ⅱ N0.11(2008,Autum)のP.78-85にクロワゾネを中心とした七宝技法が特集されている。見つけたものはしょうがない。今回は手短にお手柔らかでご勘弁を
ドームクロックカット.jpg
何度も紹介しているがバーゼルワールドのPPブース一階にはこんなドーム・テーブル・クロックも展示されている。まさに鑑賞するにふさわしい作品ながら立派な売り物である。ちなみに機械式である。ただゼンマイを鍵等で巻き上げるのではなく、電池+モーターで巻くとの事。このハイブリッド?楽ではあるが、個人的には微妙だ。全面に見事なクロワゾネが施されている。しかし、一体どうやって釉薬を曲面に流し込み平らに焼結させるのか?残念ながらその答えは文中には無い。結局、工房に潜入し、こっそり絵付け焼き入れの真似事などせねばわからんのやろうな。想像するに塗り付ける釉薬が結構粘度が高いのではないか・・アホでも考える事ですが
文章中には唸らされる発見がそこ此処にある。以下抜粋しながら転載(抜粋、修正あり)させていただく

クロワゾネ七宝においては、着色されたガラスが地となる金属に施される。金属表面はちょうど鏡のようにガラスを通して光を反射する。釉薬(酸化金属を混ぜて着色したガラス質の粉末)は、炉の中で摂氏約800度に数分間過熱され、溶融して金属表面にガラス層を形成する。釉薬は何層にもわたって施され、その都度過熱されるが、短時間で均一に溶融するよう、一層の厚さは極めて薄い。
七宝(エナメル)の語源は、古フランク語(7世紀以前の古代フランク人の言語)で「溶融した」を意味する「smalt」に由来する。イタリア語の「smalto」、フランス語の「émail」、ドイツ語の「Email」または「Emaille」はすべて同じ語源である。

七宝そのものの歴史は古いが時計製作の世界に登場するのは16世紀以降で卓上時計・携帯時計(懐中)の文字盤やケース装飾に、ステンドグラスを模した色彩と意匠が最初は使われた。ジュネーブは七宝装飾卓上時計の中心地となり、職人の家系によって世代から世代へと受け継がれた。20世紀初頭に至り、アール・ヌーボーの勃興と共にブームを迎える。そして腕時計の時代が到来した。
今日、伝統的クラフトマンシップを貴重な遺産として保護育成するパテック フィリップのようなマニュファクチュールの努力がなければ、七宝は過去の芸術になっていたかもしれない。

クロワゾネ七宝装飾の製作工程を簡単に紹介する。まずモチーフの輪郭にしたがい、厚さ約0.5mmの扁平な純金(銀、銅の場合もある)の線を曲げてゆく。この際には双眼顕微鏡が多用される。次に特殊な接着剤でこの金線を金属表面に固定。最終的には金属表面を埋め尽くす金線が、地金の上に多数の囲い(フランス語の「cloisons」←原文ママ「cloisonné」?)を作り上げる。クロワゾネ七宝の名はこれに由来とある。やっと、たどり着いた感アリ!
次は釉薬注入で、囲いの中に均一に広げるために釉薬を水または油に溶かし細い筆で塗布を施す。まず最初はフォンダンと呼ばれる透明な釉薬を全体にさらには地金裏面にも塗る。これは「contre-émail」と呼ばれ過熱過程で金属とガラスの膨張率の違いによる地金の反りを防止する為の技だ。透明な釉薬を施された地金は、炉で摂氏800度に加熱される。接着剤と液体はすぐに跡を残さず昇華・蒸発し、釉薬が溶融し始める。数回に及ぶ加熱工程で失敗と成功を分けるのは炉から取り出すタイミングだという。釉薬が完全に溶融してからだと失敗らしい。此処までが下準備で、それぞれの囲いに異なった色の釉薬を施す創造的な工程に進む。一層ごとに加熱されるが、粉末の釉薬は溶融するにしたがって色合いが変化するので、あらかじめ別の金属表面で色の出方を確認するサンプル(下画像)を作っておくのだそうだ。何層にも重なったガラス層が金線の高さ(0.5mmという事か?)に達したら全体を均一にポリッシュし、最後にもフォンダン(透明釉薬)を塗って出来上がり。
colorsample.jpg
シャンルベとクロワゾネの見分け方の記述もあって、線状の区切りであってもクロワゾネは線の太さが一定であるのに対してシャンルベでは一定ではない。またモチーフが離れている装飾がシャンルベでは可能なので文字盤よりも大きい時計ケース(例えば裏蓋)などに良く採用される。
七宝工程2.jpg
また両技法において半透明な釉薬を採用し地金に施された彫りのモチーフを浮き出させる手法が良く使われるらしい。特にギヨシェ装飾(手動式機械で施された同心円状の規則性のあある模様)を浮き出させたものをフランケ七宝と呼ぶ。上の画像の鳥の羽部に粗い筋目彫りがある。下の画像では取り付け中の金線のすぐ下側に葉脈が細かく彫り込まれた葉っぱが穿たれている。前回記事で平安の貴婦人の持つ扇の緑色波状部等はこの手法と思われる。
七宝工程1.jpg
また重なった薄いガラス層の層と層の間に金箔でできた装飾小片(パイヨンと呼ぶ)を配置するとまるで浮遊しているように見える技法があり、花、渦、小鳥、昆虫などがモチーフとして古くから用いられてきた様だ。平安貴婦人で掘り残したのではないかと想像していた金色の花型モチーフはきっとこの技法が使われたのだろう。透明な仕上げ層フォンダンの前にアラビアゴムなどで金箔を固定し、フォンダンを掛ける事で金箔は保護されつつ美しく光り輝くとある。
パヨイン010.jpg
結構書くのも大変だが、お付き合いいただく皆様もお疲れかと・・まだミニュアチュール(七宝細密画)のくだりがあるのだがやめときます。最後に上記工程画像とは異なるが共通的なモチーフであろう"極楽鳥"を見ていただいて本稿終了。
7/12加筆:ちなみに知る限りではこの手のタイムピースはセンター2針で極薄自動巻Cal.240が積まれている。価格は時価で複雑さに比例するも最低で800~900万円。まあ1,000万円からと思った方が良さそうだ。同一キャリバーを積むカラトラバRef.5120Gが税別284万、スモセコタイプのRef.6000Gが税別315万なので恐らく時計代で300万程度として文字盤の加工費が最低で500万以上という事になる。あぁ!ナルダンうらめしゃ~
極楽鳥013.jpg
今回は総てスキャン画像ゆえお見苦しい点ご容赦願います。なんか忘れてると思ったら七宝職人の工房にある仕事机の画像だった。沢山の釉薬のビンと双眼顕微鏡、そのすぐ右下には色見本(前述画像)の丸と角の金属片が見られる。
七宝工房011.jpg

文責:乾

『第一回パテック フィリップ展』のご案内
だいぶ先になりますが・・と言っていたが、いつの間にかもう一か月後となった今夏のお盆真最中8月11日(木・山の日)~15日(月)に当店初の『パテック フィリップ展』を開催いたします。カサブランカ流の"何か"が違う展示会イベントに出来ないかと日々無い知恵をしぼっております。是非ご期待下さい。詳細等が詰まりましたら順次ご案内申し上げます。
展示会期間中の土日13日14日の両日午後2時から「パテックフィリップに夢中」と題してライブトークイベントを実施いたします。正規輸入元のパテック フィリップ ジャパンからの特別ゲストを迎えて、突っ込みどころ満載のパテック フィリップの謎に乾はじめ当店スタッフががぶり寄ってゆきます。参加ご希望の場合は席(※本音は寄集めの椅子の都合で)に限りがありますので案内状送付希望を下記からいただき申し込み用紙にお名前等ご記入の上、FAXにてお申込み下さい。

※案内状(7月下旬発送予定)のご希望がございましたら、コチラからお問合せ下さい。

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