パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

2016年12月の記事一覧

≪イベントのお知らせ≫
新年早々、1月末に下記展示会の開催をいたします。皆様お気軽にお越しください。
『パテック フィリップ年次カレンダー展示会』
日時:2017年1月20日(金)21日(土)22日(日) 11:00~20:00
会場:店舗2階パテック フィリップ コーナー
詳細はコチラからどうぞ

今回紹介のRef.5905Pは2015年に超人気モデルRef.5960Pの後継機として発表された。
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2006年はパテックにとって話題がてんこ盛りだった。まずノーチラス発売30周年でのシリーズフルモデルチェンジ。そしてパテック フィリップ ブランド史上初めての完全自社開発製造の自動巻クロノグラフムーブメント搭載モデルの発表。フライバック機能を備えクロノグラフ駆動時のトルクロスを押さえ込んだ画期的な垂直クラッチを採用したCal.28-520には最初から2つの派生ムーブメントが用意された。

シンプルなクロノグラフムーブは新生ノーチラスRef.5280に搭載され外装マテリアルを変更しながら現行のRef.5980/1R等で継続している。今秋話題のノーチラス40周年記念限定のWGクロノグラフも同キャリバーが積まれている。
もう一つが年次カレンダーモジュールを積んで非常に先鋭的な顔で発表されたRef.5960Pである。
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この時計も当時まだ奈良の店舗でパテックを触っておらず不勉強だった事もあり、直感的に"好きにはなれない"デザインだった。それまでのパテックにはないスポーティなレイアウトと色遣いの文字盤。恐らくティアリー現社長の好みが相当盛り込まれたと想像できた。プラチナケースだけでも高いのにクロノを積んで900万円近い価格。なんぼパテックでも遊びすぎのダイアルはオイタが過ぎてはしないかと密かに思ったものだ。
ところがいざ市場投入されるや瞬く間に超の付く人気希少モデルになった。その状態が5年は続き、高額商品にもかかわらず2次マーケットではプレミアがつき投資目的買いが正規市場では問題視された。
そして2014年に突然プラチナ製のRef.5960は全て生産中止となり、意表を突く同リファレンスのステンレスモデルがブレス仕様で発表された。このRef.5960/1Aも大変スポーティな文字盤ながら、個人的にはSS素材ならでは生きる元気一杯のダイアルデザインが好印象なモデルだ。
一年ブランクを経て2015年、装いを改め復活したプラチナ製後継機が今回のRef.5905P。デザイン的には2010年に年次カレンダーの新しい顔として登場したRef.5205との共通点が多く、明らかに発展デザインである。具体的には長目のバーインデックスに外周円と内周円で描く古典的なセクター(Section)ダイアルやケースサイドの長細い抉り込み等である。ただRef.5205自体が12時側に弓状に弧を描く″曜日"、″日付"、″月"を表示するRef.5960Pの分家デザインでもあるが・・
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その他初代のRef.5960Pとの違いはPPロゴ直上のパワーリザーブの不採用。6時側の同軸積算計の12時間計を省き単純な60分計のみにする事で視認性が高まりクールでエレガントな二枚目に仕上がっている。クロノグラフのプッシュボタン形状がクラッシックなスクエアに変更され珍しく上下面がポリッシュ仕様となっている。時分針もリーフから少し太目のドーフィンになった。全般としてアバンギャルドなイメージが払拭されてオーソドックスで落ち着いた印象に衣替えされた。その分厚み0.53mm、ケース径で1.5mmサイズアップして押し出しを増しバランスを取っている。どちらが良いかは個人の好みだろう。ただ2011年発表のベゼルダイア仕様の派生モデルRef.5961の文字盤が単色使いなった事から初代の奇抜さは少々やり過ぎとの反省があったと推測している。
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ベゼルの逆ぞり(コンケーブ)とケース横っ面の抉り(手作業と聞いた記憶が・・なぜ機械で出来ないのかずっと疑問。機会が有ればぜひ確認)が現代パテックの最先端モデルである事の証・・・ではあるのだが複雑な曲面がケース全体を覆ってくれて本当にカメラマン泣かせだ。画像ではなく絶対に実機をご覧にいれたい。

Ref.5905P-001 年次カレンダークロノグラフ

ケース径:42mm ケース厚:14.03mm ラグ×美錠幅:22×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:PT(別ダイアル有)
文字盤:ブルーサンバースト ゴールド植字バーインデックス
ストラップ:マット(艶無)ネイビーブルー アリゲーター 
価格:税別 85,300,000円(税込 9,212,400円)2016年11月現在


冒頭でも触れたキャリバーCal.CH28-520は、それまで頑なに手巻きの水平クラッチに拘っていたパテックのクロノグラフ史を2006年に塗り替えたエポックメイキングなエンジンである。前年発表の完全自社クロノキャリバーCal.CHR27-525は確かに最初の100%自社製造ではあったが、それまでの伝統的製造手法でコツコツと工房で少量生産される手作り的エンジンであり、搭載されるタイムピースも商品というより作品と呼ばれるのがふさわしいユニークピースばかりだ。対してCal.CH28-520は"シリーズ生産"と呼ばれる或る程度の工場量産をにらんだ商業的エンジンであり、パテックフィリップが新しいクロノグラフの歴史を刻み込むために満を持して誕生させた自信作なのだろう。
パテックの自社クロノキャリバー3兄弟の価格は、その搭載機能や構成部品点数に比例せず、どれだけの手仕事が盛り込まれているかで決定される。金銭感覚抜群で働き者の次男CH28-520 C(自動巻、垂直クラッチ、フライバック、部品点数327点)、次がクラシックだけどハイカラな3男坊のCH29-535 PS(手巻き、水平クラッチ、部品点数269点)、そして金に糸目をつけない同楽な長男CHR27-525 PS(手巻き、水平クラッチ、ラトラパンテ、部品点数252点)の順にお勘定は大変な事になってゆく。
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上記画像でローターで隠された部分は3枚の受けがあるが、この部分はどの派生キャリバーもほぼ変化が無い。それに対してテンプ左のPPシールの有る受け、さらに左の複雑なレバー類がレイアウトされた空間は派生キャリバー毎にけっこう異なる。必要なミッションに応じて搭載モジュールがダイアル側で単純にチェンジされるだけでなく裏蓋側の基幹ムーブメントへもアレコレと手が入れられている。(ほぼ全て過去記事から転載・画像再撮影だが・・ぜんぜんあきまへんナァ~)

Caliber CH 28-520 QA 24H:年次カレンダー機構付きコラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.68mm 部品点数:402個 石数:37個 受け:14枚 
パワーリザーブ:最低45時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
又スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾
参考:Patek Philippe Internaional Magazine VolⅡ No.7

≪イベントのお知らせ≫
新年早々、1月末に下記展示会の開催が決まりました。皆様お気軽にお越しください。
『パテック フィリップ年次カレンダー展示会』
日時:2017年1月20日(金)21日(土)22日(日) 11:00~20:00
会場:店舗2階パテック フィリップ コーナー
詳細はコチラからどうぞ

ということで数回にわたって年次カレンダーモデルを集中的に掘り下げます。
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年次カレンダーダーの元祖は1996年発表のRef.5035である。この全く新しいパテックのカレンダーの発表までは機械式腕時計のカレンダー機構は大小の月さえ乗り越えられぬシンプルカレンダーか、いきなり2100年までノータッチで突き進む永久カレンダーかの両極端しか無かった。前者は実用性に難があり、後者は機構の複雑さから高額で顧客が限られ一般的ではなかった。そのためか特許を取得した革新的かつ有用な年次カレンダーはデビュー年のスイス時計専門誌モルトン・パッション誌の「ウォッチ・オブ・ザ・イヤー」に審査員全員一致で選ばれている。

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このほとんど"発明"とも言えそうな快挙は1991年、パテックが創造的な産学協同の一環としてジュネーブ州立技師学校の或る学生に卒業研究課題を提示した事に始まったそうだ。この研究に携わった学生さんはその後パテック社に入社し現在も在籍中との事である。
開発の方向性は、カム、ラック、コハゼ、ジャンパー等で構成される既存の永久カレンダーの簡素化ではなく、シンプルカレンダーからスタートした洗練かつ独創的な輪列が採用された。主要な歯車には新たに設計された高精度の歯形曲線が採用されてエネルギーロスが低減した。その結果カレンダーディスクはほとんど機械的抵抗なしに回転出来るようになったらしい。年次の開発=歯車の進化というようなことらしい。
年次に関して調べるとあくまで永久の簡素版でなく、"新規開発のなめらか歯車輪列機構である"との上述のようなくだりにいつも出くわす。ではなぜ永久の簡素版では駄目だったのか。それは永久カレンダーで採用されている大型レバー等は組立時にデリケートかつ高コストの調整手作業が必須となり、一人の職人が全工程を組み上げるグランドコンプリケーションスタイルなら可能だが、或る程度の量産を行う"シリーズ生産"モデルにはなじまないと言う理由があったようだ。調整が容易で信頼性と耐久性を上げつつコストを下げるには白紙からの新規開発しか無かったのだろう。この難問をパテックの開発陣は5年かけて解決した。
デビュー2年後の1998年にはムーンフェイズとパテックが業界で初装備をしたパワーリザーブ表示をそれぞれ独立輪列で追加搭載したRef.5036/1が出る。顔的に今回紹介のRef.5146のルーツと言えるモデルで専用に新規設計され現在ドロップ・リンク・ブレスレットと呼ばれるメタルブレス仕様で発表された。さらに1999年には5036/1の姉妹モデルで現社長ティアリー・スターン氏が創作したプラチナケース+ストラップ仕様のRef.5056が追加発表される。ここまでは全て21600振動の48時間駆動のCal.315 Sをベースムーブとして搭載した37mm径ケースの仕様であった。5036-5056.jpg

大ベストセラーとなったRef.50系年次カレンダーは2005年にRef.5146にフルモデルチェンジされる。ケース径が2mmアップされ39mmとなり文字盤レイアウトはRef.5036そのままとされたがインデックスはそれまでのローマンから12・3・9アラビア+バーの組合せになった。ムーブメントもCal.315から高振動の28800振動・45時間駆動で4本アームに4個の慣性ウェイトからなる新設計のジャイロマックス・テンプを組み込んだCal.324に積み替えられた。
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画像は素材違いのYGモデルである。これは実機サンプルで最上段画像も昨夏の展示会に借用したサンプルを撮っている。その為カレンダーが3月18日土曜日になっている。時計の各ブランドは何故かサンプルの日付を統一する傾向が有る。皆それぞれが一番バランスが良い見た目を選んでいるらしい。で、各ブランドほぼ全部バラバラなのはなんで?・・
ちなみにRef.5146は実はYGのグレーダイアルがとても良い。カタログから想像がつかないくらいケースと文字盤の相性がよろしい。是非現物を見る価値がある。ただ上の撮影画像は時間の制約もあって・・・
Ref.5146のメタルブレスの採用時期は調べきれなかったが取り合えずサンプルがあったので一応撮影し画像アップした。このブレス装着感の良さも是非機会があればお試し価値は絶対にあり。

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さて2005年には合わせて初代Ref.5035のイメージが色濃く残された37mmサイズ・パワーリザーブ表示無し・フルローマンインデックスのRef.4936がレディース初の年次カレンダーモデルとして発表された。
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この年には先端テクノロジーを追求する「パテック フィリップ アドバンストリサーチ」第一弾の年次カレンダーモデルRef.5250Gが限定100個で発表された、Ref.5146と外見は同じながら従来型のCal.315ベースの年次キャリバーにシリコン系素材であるSilinvar®製ガンギ車を搭載していた。さらに翌2006年にアドバンストリサーチ第2弾としてローズゴールド仕様の年次Ref.5350Rが300個限定で発表されている。エンジンはCal.324に変更され、ガンギ車に加えてSilinvar®製のSpiromax®髭ゼンマイが採用された。2008年にはアドバンストリサーチの完結編として年次Ref.5450Pがプラチナ限定300個で製作された。このモデルの脱進機はPulsomax®脱進機と呼ばれアンクル素材もSilinvar®製となった。

ところでアドバンストリサーチそのものは機械式時計の心臓部である調速機構の最重要パーツである髭ゼンマイ及び脱進機を構成するガンギ車とアンクルのシリコン化プロジェクトである。必ずしも時計は年次カレンダーである必然性はなかったはずだ。それを敢えてフルモデルチェンジをした第二世代年次カレンダーRef.5146のデビューに花を添えるという演出をしたパテック フィリップは中々の役者である。

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実を言うと個人的にこの第2世代の年次カレンダーはノーチラスと同様で最初あまり印象が良くなかった。もっと正確に言えばRef.5146の顔が何とも緩くてもっちゃりした印象しかなかったからだ。きっとバーゼルでも悪態をつき、短寿命モデルと予想した記憶がある。ところが今年で満12歳もの長寿モデルとなってしまった。初代Ref.5035(10年)より長期政権でロングかつベストセラーなのだ。そして兄弟姉妹的モデルが15型もある大家族構成でもある。時々パテックにはこうゆう大穴というか裏をかかれるモデルが出てくる。気張らずに普段感覚で着けられる気楽さ、それでいて世界最高峰の満足感が同居するのが人気の秘密なのか。さらに言えばパワリザーブ機能無しの分家モデルのRef.53965205と比較して求めやすい価格もRef.5146の魅力なのだろう。

厚みは11.23mmでクラシカルデザインRef.5396の11.2mm、前衛デザインRef.5205の11.36mmとほぼ同じで決して装着感を損なう厚みではなくええ感じの存在感だ。
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今回撮影中にRef.5146のムーンフェイズのプリント仕様が他のモデルと微妙に異なっている事に初めて気付いた。普通は月も星も単純な塗装と思われるのだが、Ref.5146の星は周囲が盛り上がった凝った仕上げがなされている。他モデルにもあるかもなので今後注意を払いたい。尚、RGの文字盤はYGのラッカー塗装と異なりSlate gray sunburstで全く印象別物なのだが・・個人的には実に実に美しい。1月の年次展示会にはWG素材サンプルのSlate gray sunburstとの見比べも楽しみだ。
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下はRG素材のクリームのラッカー塗装の月齢表示部
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Ref.5146R-001 年次カレンダー

ケース径:39.0mm ケース厚:11.23mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:RG WG(別ダイアル有YG(別ダイアル有) PT ※別途ブレスレットモデル有り
文字盤:クリームラッカー、ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートブラウンアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 4,520,000円(税込 4,881,600円)2016年11月現在
※WGは同額、YG、PT及びブレスレットタイプの価格はお問い合わせください。


搭載キャリバーは21金フルローターを採用したパテックを代表する自動巻きCal324に年次カレンダーモジュールを組込んでいる。
カレンダー系の操作は禁止時間帯等あって気を使うが、パテックの場合は殆どの物が午前6時(例外あり)に時刻を合わせてプッシュ操作を行う。ムーンフェイズはいつもネット検索して確認していたが、パテックHP内にある確認ページが結構便利である。
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画像は都合でYGを撮影。裏蓋はスケルトンでスクリューバック仕様。これも少し不思議でほぼ同じ厚みの年次兄弟モデルのRef.5396と5205はスナッチ(抉じ開け)が採用されているのだ。ところで撮影時に惚れ込んだYGモデルはサンプルとして余程人気があるのかお勤めがずいぶん長いようで懐かしいホールマークを久々に見つけてしまった。

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Caliber 324 S IRM QA LU

直径:30mm 厚み:5.32mm 部品点数:355個 石数:36個 受け:10枚 
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動 
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

2017年12月20日現在
5146J-001 お問い合わせください。その他はご予約対応となります。

(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)


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今年も秒読み態勢、"夢中で"駆け抜けた一年、お付き合いありがとうございました。
さて新年早々、1月末に下記展示会の開催が決まりました。皆様お気軽にお越しください。
※ご予約等不要です。

『パテック フィリップ年次カレンダー展示会』
日時:2017年1月20日(金)21日(土)22日(日) 11:00~20:00
会場:店舗2階パテック フィリップ コーナー
出品内容:年次カレンダー現行モデルのほぼフルラインナップ27点 

出展予定モデル(12月13日現在 ※変更もあります) 
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※あくまで現時点の予定で変更もあります。開催直前に確定のリストアップが出来ればと思っております。
※ほとんどがサンプル出品です。ご成約時は一部を除いて入荷をお待ちいただく事になります。
※年次カレンダー以外でご覧になりたいモデルがございましたらお早めにお問い合わせください。

2016年はパテック フィリップにとって幾つものアニバーサリーイヤーだった。まずはノーチラス発売40周年。そして年次カレンダーの発売、プラン レ ワットの新工場への移転、パテック フィリップ インターナショナル マガジンの創刊年が全て1996年だったのでそろって20周年を迎えた。
1985年から始まる複雑機械式時計復活の狼煙。1989年のブランド創立150周年を重要な通過点とし、機械式時計の新時代がスタートしたのが1996年ではないか。そしてその象徴的タイムピースが年次カレンダーであり、20年後のラインナップの充実ぶりは見事にその役割を果たしたと言える。
2016年現在の年次カレンダーコレクションは全部で34点なのでカタログ掲載モデル全209点からシンプルウオッチ(2針、3針)91点を除いた何らかの機能が付いたタイムピース118点の内29%となり、3本強に1本は年次カレンダーとなる。ちなみに永久カレンダーは2016年度にゴッソリ13点も製造中止になったが、それでも33点(ビックリ・・)もある。パテックは正にカレンダー時計王国だ。


年次カレンダ―モデルの紹介記事はコチラから




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257グラム!そうか、プラチナが軽いのか。312gもあった紹介済みのWGクロノの82%である。幸運にも日を置かず疑問が解け、プラチナも実機撮影の機会を得た。しかし比重に優るプラチナは素直にポーズを取らせてくれず撮影には難儀をした。
当店の商いは貴金属地金に縁がなく全くのド素人。ちょうど良い?機会なので金とプラチナの相場というものを調べてみてビックリした。12月6日付け田中貴金属の1グラムの税抜小売価格は金4,668円、に対してプラチナが何と3,812円で断然安い。気色悪いので過去15年間の年間平均値(税抜小売価格/グラム)を比べてみた。
AuPt15.gif2007年ぐらいまではプラチナが金のほぼ2倍だが徐々にその差が詰まって2012年に逆転している。その後2年は再逆転するも2015年からまたも金が逆転している。金・プラチナいづれも需給バランスの崩れが原因で金はずっと高騰し続けており、プラチナはここ数年下落気味で逆転されている。それにしても15年でプラチナは2倍に、金は4倍にもなっている。そりゃ高級時計も高くなるハズである。
まあ時計の金は18金なので現在の相場4,668円に75%を掛ければ3,501円となるが25%混ぜる銀や銅だってコストは掛かる訳でノーチラスの40周年モデルに関して言えば重量差からしてWGクロノの方が素材コストは少し高いかもしれない。ムーブメントはどう考えてもプラチナ用の部品点数213点のシンプル3針自動巻よりも327点のパーツで組まれるフライバック垂直クラッチクロノグラフが高コストだろう。ただしダイヤモンドはベゼル6時下にプラチナモデルアイコンのラウンドダイアが埋め込まれ、3時以外全てバゲットダイアインデックスのプラチナモデルの合計0.36ct.に対して、WGクロノモデルは一部ラウンドダイアインデックス等になり合計0.29ct.と若干少ない。
またWGクロノグラフは過去に全くなかった最大サイズのノーチラスなので冷間鍛造用の金型も一から新規設計製造しているはず。片やプラチナ3針は過去何度か特殊なユニークピースとして販売実績があり、金型もステンレスや18金モデルと基本同じ5711型である。製造本数はプラチナがほぼ半分で割高となる。
このように見てゆくとWGクロノが何となく割安に思えてくるが、何度も繰り返してきたがプラチナ特有の粘りっこい素材特性は鍛造・切削・研磨のどれを取っても18金の何倍ものコストがかかるらしい。特にノーチラスブレスはリンクの細かさが着用感を高めているが、当然パーツ数が増えるためにそれだけ製造には手間が係るはずだ。
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6時側に2段組みされた1976-40-2016のアニバーサリーエンボスは12時側にレイアウトされたWGクロノグラフ同様に目立たない。画像ではライティングの微妙な差で異なって見える文字盤のブルーの色目は全く同じである。ただインデックスのバゲットダイアのサイズは同じだと思われるのだが文字盤面積の違いからかWGクロノの方が微妙に幅広に見える気がするのは目の錯覚か、それとも単なる老眼の進行か?
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左のステンレスモデルRef.5711/1Aと並べてじっくり視ると微妙な違いがある。まず6時位置の生産国表示がSSはSWISSと40th記念のSWISS MADE。ただこれは現行モデルでもバラバラで無表記のものも存在する。カレンダーについてはWGクロノRef.5976Gの記事で18K窓枠以外の違いは解らないとしたが、数字のフォントが異なっており少し太字にもなっている。恐らくカレンダーディスクそのものはPTとWG共通部品と思われる。
12時側のブランドロゴがSSではエンボスの上から4番目の凸部にPATEK PHILIPPE、5番目にGENEVEと転写されている。ところがPTでは転写部分全体を凸部にしてスペースを作りロゴ位置も少し下側にずれてレイアウトされている。これは6時側に配置された三角形の40・1976-2016の記念エンボス位置とのシンメトリーを意識して微妙なデザインワークがなされたようだ。
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プラチナモデルお約束のベゼル6時への隠しダイアモンドは天地巾の制約からか0.02ctとかなり小さい。プラチナケースと言えどもしっかり見えている無愛想でぶ厚い真っ黒けの防水パッキンのすぐ上にセットされるプレシャスなダイアモンド。う~ん!洒落が効いてますナァ。
元々は現会長フィリップ・スターン氏が自分のコレクションに入れてみたところスタッフに好評だった事から採用された仕様だと聞いた記憶がある。そして2000年のミレニアムを記念して限定生産された10日巻きのRef.5100のWGとPT(下画像)を区別するためにスターン氏の指示でセットされたのが始まりとなり現在に続く慣行となった。それにしても最初のダイアはチョッと大振りだったような・・・PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE No.7 P.32
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Nautilus Ref.5711/1P-001 40th Anniversary Limited Edition 世界700本限定
ケース径:40.0mm(10時ー4時方向) ケース厚:8.3mm 防水:12気圧
ケースバリエーション:PT950 
文字盤:サンバースト加工にブルーPVD加工 バゲットダイア付ゴールド植字インデックス
価格:税別 12,360,000円(税込 13,348,800円) 
2016年11月1日現在

SSと全く同じになるのでキャリバー撮影は悩んだが敢えて上下に並べてみた。下のプラチナにはラグ部4か所に貴金属ホールマークが有り、画像右端中央にA384で始まる良く似たじブレスレット品番刻印がある以外は、表面が少しクリームっぽい仕上がりのWGと違ってPTは完璧な銀色なのでSSと完全に見た目は同じである。
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Caliber 324 S C/386)
直径:27.0mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個 受け:6枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾
PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY) P.231

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カサブランカ奈良

〒630-8013 奈良市三条大路1-1-90-101
営業時間 / AM11:00~PM7:00
定休日 / 水曜日・第一木曜日
TEL / 0742-32-5555
> ホームページ / http://www.tokeinara.com/

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