パテック フィリップのメタルブレスの種類はあまり多くない。そもそもメタルブレスモデルラインナップ自体が少ない。2017カタログ掲載モデル数195本の内47本が金属ブレスモデル。その内26本は人気シリーズのノーチラス(全32本)で、大半を占めている。ノーチラスシリーズだけはブレスレットウオッチのイメージが先行している。今回はこの印象的なブレスレットネタで・・
ノーチラスのブレスレットはサテン(艶無し)で中央リンクがポリッシュ(艶)のコンビネーション。面積比では地味なサテンが大半だがイメージは大変艶っぽい。あまりにも特徴的で一目でノーチと判る。このブレスはともかく薄い。特に3針は時計そのものが薄い(8.3mm)ので時計側からクラスプ側までずっと薄さ一定のままだ。現行モデルの一つ前のRef.5711旧バージョンでは実は微妙にブレスの厚さを確保してネジ留形式が採用されていたのだが、着け心地を最優先して現在はピン留めに戻されて薄いブレスが復活している。
前置きは此処までで、この着け心地が命のノーチラスの着用にあたってとても大切なサイズ調整の裏技をご紹介したい。一見、何駒取るかだけの単純な調整しかないようだけれど実は半駒単位の調整が可能である。この話、もちろん知ってる人は知ってるが、実はあまり知られていない気がして取り上げてみた次第。一般的な時計ブレスレットでは製品出荷状態で通常の駒と少数ながらその半分程度の半駒と呼ばれる短い駒で構成される事が多く、どちらの駒をどれだけ取るかの組み合わせで微妙な調整が可能だ。もちろんノーチラスの様に通常駒のみで構成されるブレスも多々見られる。代表的なのはロレックス。ただし一駒が長いスポーツタイプのオイスターブレス採用モデルはクラスプで微調整が出来るようになっている。ノーチラスの両観音クラスプにその機能は無い。着用感を高めるため極めて単純でこれまた薄く作られている。
ではどうするか?パテックは実にユニークな発想で1.5駒と言う長駒を別売で用意している。
先日、実際に装着させて頂いた顧客様のお許しを得て画像取り。6時と12時側双方から各1駒で2つ取って、12時側に1.5駒を着けさせて頂いた。結果6時側は1駒分短くなり、12時側は半駒分長くなっている。かなり6時側を短めに調整させて頂いた。もちろん単純に6時側を2駒外して1.5駒に変える調整も可能で、オーナー様のリストを拝見してお好みも伺ってその都度やり方を決める事になる。
でもなぜ半駒対応にしなかったのか?パテックの回答は「1.5駒の方が半駒よりも通常駒との違いが目立ちにくいから・・」との事だった。ただノーチラスブレスの場合、センターリンクのピッチを変えでもしないと半駒は作れそうな気がしない。結果1.5駒にするしかなかったのではないだろうか。
気になるお値段ですがステンレスで1.5駒は税別23,000円。結構リーズナブルではなかろうか。ちなみに通常駒1駒が税別20,000円とあまり変わらない。
アクアノートやトゥエンティ―4などの他の形状のブレスレットはどうか?やはり同じように1.5駒が用意されている。例外はコレクターズアイテムで入手困難なスケルトンウオッチのRef.5180の1モデルのみが半駒対応となっていた。但し価格は通常駒と同額である。
面白いのは他ブランドだとブレスレットタイプが異なれば駒価格も異なる事が殆どなのにパテックはどのブレスレットも同価格と言うのがアバウトなのか?太っ腹なのか?
ともかくメタルブレスモデルの着け心地がしっくり来ない方は是非ご相談ください。
文責:乾