このモデル(リファレンス)を取り上げるのは実に4回目である。なにせこのモデルとの付き合い初めが個人的にあまりにも大事件だったのでどうしても思い入れてしまう。機械的な紹介はほぼダブってしまうのだが・・
永久カレンダーを複雑機構の看板にし続けてきたパテック フィリップが現代的で実用性の高い年次カレンダーを開発し特許を得たのが1996年。その際に永久カレンダーの簡素化で対応するのではなく、全く一から設計開発し極力レバーやカムなどの大振りなパーツを採用せず、出来る限り歯車輪列にて対応する事で文字盤レイアウトに自由度が与えられた。ただこの方式は輪列の増加による負荷の増大というデメリットがあった。これに対応するためパテックは徹底した歯車の設計の見直しと他ブランドでは真似のできない歯車の研磨仕上げでエネルギーロスをともかく低減させた。さらにトルクがしっかりしたベースムーブCal.324を搭載する事で安定した駆動を実現したとしている。
おさらいをさっと済ませて実機を撮影。
パテックフィリップのリファレンス番号の後ろに付く枝番は知る限り001がニューモデルの初出の文字盤。元々2006年にカラトラバケースに年次カレンダーを搭載したRef.5396の枝番001はトリプルサークルと言われる個性的な文字盤仕様。パテックではよくある常套手段でお初ものには歌舞伎の隈取りよろしくファンの耳目を集めるべく厚化粧気味のニューフェースでスタートされる事が多い。
そして4年後の2010年にトリプルサークルは生産中止となり、今回紹介のソリッドな文字盤の枝番011が発表された。文字盤モチーフとしてのトリプルサークルそのものは年次カレンダーRef.5396に一年先立つ前年の2005年に発表された自動巻き3針カレンダーのカラトラバRef.5296G-001で採用されている。そしてこの自動巻クンロクでもソリッドなノーマルダイアルが010枝番で発表されている。
この年次カレンダーモデルは既に何度も紹介しているローズゴールドと常にセットで文字盤の発表や廃番がなされている。これは昨年の新作アラビアインデックス文字盤でも同様である。ただ今年はローズのみに新たなブルーダイアルがインデックス違いで2モデル追加された。ソリッドゴールドのバーインデックス5396R-014とバゲットダイアのバーインデックス5396R-015である。イエローゴールドはデビュー時から設定が無い。
鏡面仕上げの横顔がカラトラバのクンロク(96)ケースの遺伝子を最も印象づけている。ケース厚さ11.2mmはフルローター自動巻きベースムーブメントに年次カレンダーモジュールを積み込んでなので充分に厚みは抑えられている。
パテックを代表する顔であるダブルギッシェ年次カレンダーRef.5396全6リファレンスで最もおとなしく上品な顔が今回紹介のモデル。個人的には機械式時計黄金期1920年頃~1960年頃の雰囲気が良く出ている一本かと・・
Ref.5396G-011年次カレンダー
ケース径:38.5mm ケース厚:11.2mm ラグ×美錠幅:21×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG(別ダイアル有)、RG(別ダイアル1、2,3)
文字盤:シルバーオパーリン ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)ブラックアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
在庫、価格:お問い合わせください
以下過去記事より転載
搭載キャリバーは21金フルローターを採用したパテックを代表する自動巻きCal324に年次カレンダーモジュールを組込んでいる。
カレンダー系の操作は禁止時間帯等あって気を使うが、パテックの場合は殆どの物が午前6時(例外あり)に時刻を合わせてプッシュ操作を行う。ムーンフェイズはいつもネット検索して確認していたが、パテックHP内にある確認ページが結構便利である。
個人的にフルローター自動巻きの裏スケルトンには一抹の気色悪さをいつも感じてしまう。ただパテックの場合はローターの仕上げが尋常でなく美しい。撮影の度に改めてそれを感じる。PCモニター画像ではそれを表現しきれていない。連日の猛暑で目も腕もなまくらになった事にしておこう。
Caliber 324 S QA LU 24H/303
直径:33.3mm 厚み:5.78mm 部品点数:347個 石数:34個 受け:10枚
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから
PATEK PHILIPPE 公式ページ
文責:乾
昨年度に引き続き今年もお盆に「パテック フィリップ展」を開催いたします。
カサブランカ奈良『2017パテック フィリップ展』
日時:8月11日(金・祝)~13日(日) 3日間 11:00~20:00
場所:当店2階パテック フィリップ・コーナーにて
普段店頭ではご覧いただけないグランドコンプリケーションを始め、通常はショーケースに並ばない希少なモデルやレディスコレクションまでほぼ現行モデルのフルラインナップをご覧いただけます。同一モデルの素材違いや文字盤違い、またご興味のある複数のモデルを同時に並べて見較べられる事もパテック フィリップ展の魅力です。またカフリンクス等のアクセサリーについても多数展示致します。
世界最高峰の時計ブランド"パテック フィリップ"の様々なモデルが一堂に集う特別な3日間。ぜひこの機会にご来場いただけますようスタッフ一同心よりお待ちしております。