パテック フィリップの公式ホームページがリニューアルされた。ジャパンからの説明によれば1997年にスタートした公式ページは5回の更新がなされ今回がバージョン6。よりスマートフォン寄りで、製品をより魅力的に見せながらお気に入りモデルが検索しやすくなっている。でも残念なのは歴史が詳細な年表スタイルから非常に完結で解りやすい2本の動画(しかも英語字幕)になったことでブログ作成の参考にはしづらくなってしまった。こんな事なら全部ダウンロードしておくべきだった。幸いなことに個々の商品ページのアドレスは変更が無く過去記事のリンク切れにならなくて済んだ。でも技術解説などで一部リンクが当て外れにはなっているようだが全部は未チェック。確かに見やすくなり誰にでも取りつきやすくなった半面、突っ込んだコンテンツが少し整理されてカジュアルになった印象だ。
さて本日のご紹介は本年新作の中でも人気急上昇の永久カレンダーRef.5320G-001。パテックのシンプル系永久カレンダー(クロノグラフ等の追加機能無し)の代表作は極薄自動巻キャリバー240ベースの三つ目タイプ。そしてフルローター自動巻キャリバー324にレトログレードデイトを組み合わせたタイプの二つ。5320Gはこのいづれでもない新規の顔ながらダブルギッシェの年次カレンダーRef.5396にはソックリ。でも年次カレンダーが無かった1960年までの機械式時計黄金時代におけるパテックの永久カレンダーと言えばこの顔に決まっていた(下画像Ref.1526)。だから凄く既視感があるしリリースにも″コンテンポラリー・ビンテージ・スタイル"と表現されている。ただ当時は無かった7時半にある昼夜表示窓や4時半のうるう年表示の便利機能が盛り込まれている。
そしてこの新製品の特長的なラグは1945年製作のRef.2405(下画像)が参考にされた。
ポリッシャー泣かせの3次元なラグ形状である。
立体的なボックス型のサファイアクリスタルは文字盤周辺に全くひずみが見られない。現代ならではの高度な加工がなされたクリスタルを特殊な手法でケースにはめ込む事で完璧な視認性を確保したと聞いた。アラビアインデックスもいにしえのRef.1526同様に立体的かつ正対書体の植字タイプで蓄光塗料を塗り込んで実用性を高めている。暖か味のあるクリーム色文字盤はラッカー仕様ながら記憶にない新色で今年の新作ミニットリピーターRef.5078や5178のエナメル仕様のクリームと酷似している。インデックスを含めダイアルはビンテージ感を非常に意識したカラーリングとなっている。
さて、このモデルの最大の魅力はその価格設定ではないかと思う。税別902万円(税込9,741,600円)はパテック永久カレンダー中で最もこなれた価格である。現行モデルではRef.5139Gの税別926万円より20万以上お求めやすい。共通のCal.324ベースのレトログラード永久Ref.5496Rが約20万高の税別927万なのだけれどもオーソドックスなクンロクケース。それに対して5320の凝ったラグを持つケースは横から見ても充分に高級感があるし文字盤・サファイアクリスタルも完成度が高い。少々不思議なこの値付け、そりゃ人気モデルになりますよ!
Ref.5320Gー001 自動巻永久カレンダー
ケース径:40mm ケース厚:11.13mm ラグ×美錠幅:20×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGのみ
文字盤: クリーム ラッカー 蓄光塗料塗布ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有)チョコレートブラウンアリゲーター
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 9,020,000円(税込 9,741,600円)2017年8月現在
Caliber 324 S Q
直径:32mm 厚み:4.97mm 部品点数:367個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
パテック社の製品リリース
PATEK PHILIPPE 公式ページ
文責:乾
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