パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

2018年4月の記事一覧

全国のパテック フィリップ正規店で開催されている年数回の展示会。皆様も足を運ばれている事と思う。いつもはどの店頭にも20~30点程度の在庫陳列が、この時はパテック フィリップ ジャパン(PPJ)からの貸出サンプルで、多ければ時計だけで70点以上の展示にもなる。
ところが絶対に並ばないモデルがあって、いわゆるP.O.R.(Price on riquest:価格はお問い合わせください)要するに"時価"モデルは並ばない。そもそもPPJにもサンプルそのものが無い。たぶんスイスパテック社には何セットか知らないが用意されていて普段はジュネーブのローヌ通りの本店サロンでなら場合(人?)によっては見られるのだろう。
一般的に展示会で見られないモデルと言うのは簡単に買えない。少し嫌な言い方をすれば、誰にでも売ってくれない特殊な時計と言える。縁が無いので良くは知らないが、車ではロールスロイス、ブガッティ、マクラーレン、ランボルギーニ、フェラーリ、ポルシェ等でも一部の特殊なモデルはいきなりは買えないと聞く。
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ところでパテック以外にこのような販売制限をしている時計ブランドは他にあるだろうか。
普通にカタログに載っていて、数量限定でもなく買えない時計・・需給バランスの崩れからグレーマーケットでプレミアがつくノーチラスSSやデイトナの様な代物という訳でもなく・・在りそうで思い当たらない。
2018年の新製品記事でも紹介したレアハンドクラフト(希少な手仕事作品)群も普通には買えないのだが、これらは元々カタログアップされないし、通称ワンショット(超少数の生産数を作り切って、また翌年新たに提案)なので、少し性格が異なる。
さて、それではカタログに掲載されていて価格が明記されているモデルなら誰にでも買えるか?ごく一部の例外を除けば買える。今現在の例外とはRef.5131/1P-001ワールドタイムプラチナブレス・クロワゾネで購入は相当難しい。それ以外は人気度合いでいきなりだと厳しかったり、各販売店がVIP顧客のご要望を消化し切れずに結果として一見のお客様にはハードルが高くなっているモデルもある。でも、たったの数点にすぎないと思う。

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今日はずいぶんと前置きが長くなってしまった。今回ご紹介のRef.5235G-001は上記のような各諸事情により買いにくいのではなくて、単純に入荷が極端に少ないモデルだ。当店でもPPコーナーオープンから3年弱で初入荷した。もちろん計画的な入荷予定として案内されたものでは無く、突如打診があってのイレギュラーな仕入だった。
冒頭で触れた展示会用サンプルとして、このモデルは過去一度もやって来た事が無い。PPJスタッフ曰く「あまりにも入荷が少なく不規則なので、下手にご注文をお受け出来ない」
なぜそんな事になるのか?その辺りをつらつらと考えながら本稿を進めたい。

この時計、実に不思議な顔をしている。レギュレーターウオッチと言うのは普通カレンダーが付いている印象が無い。改めて画像検索すると日付カレンダー付と言うのはそこそこあるが、月、曜日を含むトリプルカレンダーと言うのはまず見当たらない。
パテックのこの時計の場合は年次カレンダーをレギュレーター仕様のダイアルレイアウトにしているのでトリカレと言う事になるが、Ref.5205の様に12時側弓状に三つ窓にせずに真反対の6時位置に日付窓としている。時間表示インダイアルのスタート位置に大きな窓を開けたくなかった気分はよくわかる。そしてミニット用の外周レールもユニークで、6時側インダイアルがスモセコ表示なので、似た感じのカラトラバオートマRef.5296のトリプルサークルの様に秒刻みがレールに無く分刻みだけのスッキリ仕様となっている。
そもそもレギュレーターとは日本では"標準時計"と訳される置・掛時計の事であった。祖父の代から時計を商う当家にも機械式の掛け時計で振り子が見えるガラス窓部分には縦書き金文字で"標準時計"と書かれたクロックが実家の居間にはあった。
1969年にセイコーが水晶振動子による正確無比なクォーツ時計を販売するまでの機械式時計主役時代には、時計店は最も正確な掛け時計を標準時計に定め、時計が売れた際にはその時計で時刻合わせをして納品をしていたと聞かされた。現代では電波ソーラーの目覚ましなどがその役を担っている。ちなみに百貨店は電波受信器を持ち込んでいない限り電波は受信できない。GPSはもっと入らない。WiFi接続中のスマホが多分一番正確だろう。

尚、当店一階入り口脇には非常に正確な標準時計仕様のエルウィン・サトラ―社(独:ERWIN SATTLER)製の機械式掛け時計を掛けてある。一ヶ月と言う超ロングパワーリザーブで月差数秒という優れもの、気圧変化による振り子の空気抵抗の影響を補正する装置が付いていて本当に正確極まりない。ご来店の際には是非自慢話を聞いてくださいナ。
クロノスイスなどの様にレギュレーターと言う3針(時、分、秒)独立表示を好んで作るブランドもあるが、普通はあまり作られる事は無い。パテックもこの1モデルのみであり、知る限りオークションニュースでも見た記憶は無い。さらにこのモデル変わり者づくめで、まず文字盤のロゴ表示がただ彫っただけで無着色である。上の画像は何気なく撮って、それなりにロゴが読めるが光線の具合によっては殆ど読めない。
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横着して上画像を拡大加工してみた。文字盤表面の天地方向の筋目装飾に対して、単純に彫られただけのロゴマーク底部分の表面感の違いで何とか読み取れるが、光の具合次第で本当に見づらい。入荷時にはひょっとしたら着色忘れの世界に一点のユニークピースが点検漏れで着荷したのかと喜んだが、これが純正仕様だった。おそらくこの不思議な仕様も時刻の読み取りを最優先するのがレギュレーターの使命と考えたパテック流の解釈だろう。個人的にはレール同色の紺色シリコン転写が無難かと・・
カタログ等ではこのロゴはブラックにしか見えない。またサーキュレート(同心円筋目彫り)されたインダイアルと縦筋目彫りされた文字盤とはかなりコントラストが実物にはあるがカタログでは微妙な色差しかなく、この時計は絶対に生で見ないと駄目だ。但しこの顔の好き嫌いはハッキリあるだろう。どちらかと言えば日常用と言うよりはコレクション向きかと・・でも見どころと語りどころはまだある。

不可思議は裏側にも存在する。マイクロローター自動巻きなのでCal.240?と思うが、少し見慣れた方なら妙な違和感を感じるハズだ。そう受けの形状がかなり違うのだ。その前にムーブメントそのものが240より大きい。下に画像(12時上)を加工して並べてみたら他にも相違点は沢山あって22金ローター自体のサイズは同じようだが輪列、テンプ、ローターと全てレイアウトが違っていて当然受けもかなり異なっている。まあCal.240は構造的に小秒針が5時位置にしか付けられないので正統なレギュレーター仕様である6時スモセコにはならない。さらに通常センターに置かれる時針を12時側にインダイアル表示させる必要もあってパテックの開発陣はCal.240の良さを残しつつ完全にニューキャリバーを数年かけて開発した。

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この新規ムーブメントの最大の注目点は前衛的なPalsomax®脱進機の搭載である。パテック社の技術革新のフィールドテストモデルであるアドバンストリサーチプロジェクト3部作(2005~2008年)で完成された髭ゼンマイ、アンクルとガンギ車の全てにシリコン素材のSilinvar®が採用されている事だ。そして3.2Hz(23,040振動)という実にけったいな振動数は、理屈は解らないがこれら新素材によってもたらされたものだ。またマイクロローターのベアリング素材も微小なジルコン・ボールに変更されている。さらに輪列のエネルギー伝達での摩擦ロスをたったの3%に抑えるため歯車には全く新しい歯型曲線が開発採用されている。これらの相乗効果がこのムーブの耐久性を高め、結果的にはメンテナンス期間の長期化をもたらしている。さらに通常パテックが盛り込まないハック(秒針停止)機能が、レギュレーターならではの必要性から搭載されている。
尚、上のムーブメント画像でそれぞれの厚みは年次カレンダーと永久カレンダーのモジュールを含めての厚みである。実際のベースキャリバー厚はそれぞれ2.6mmと2.53mmでたったの0.07mmの違いしか無く、この厚みもローターを若干厚くした事に由来するので新規開発のCal31-260は充分に極薄自動巻キャリバーでありながら非常に先進的で意欲的なエンジンであると言える。恐らくこの特殊で唯一無二のムーブメントの製造が小ロットで気まぐれ?な為に入荷がイレギュラーで滅多にお目にかかれない原因だと思っている。
hallclock_600.pngレギュレーターが必要とされたのは18世紀初めに遡る。当時は大航海時代で安全な航海には高精度な航海用時計(マリンクロノメーター)が欠かせなかった。この時計つくりには当時イギリスがリードしていたが、その製造やメンテナンスの為に非常に正確で安定した精度を出せる基準時計=レギュレーターが必須であったのだ。かつて1900年代前半にはパテックでもレギュレータ―の懐中時計が存在したが、腕時計としては2011年のこのRef.5235Gまでアーカイブが無い。ただホールクロック(床置き時計)タイプはパテック社内で普通に利用されていたようであり、実際名誉会長フィリップ・スターン氏の執務室に置かれていたレギュレーターホールクロック(左)から今回のタイムピース5235はインスパイアされている。ただクロックタイプの標準時計は秒針が12時側にあって、時針インダイアルは6時側にレイアウトされているものが大半である。腕時計ではRef.5235を含めブランドを問わずレイアウトが逆転し秒針は6時側となっている。ちなみに左のクロック文字盤には PATEK PHILIPPE & Cie. GENÈVE とあるが、どこかのクロック専業メーカーにオーダーしたものか自社製なのかは記載がなく不明である。
ケースサイドは文字盤同様のヘアラインのサテン仕上げで時計そのものを渋くクールな印象にしている。厚みはマイクロローターのおかげで通常の年次カレンダーより若干薄い10mmとなっている。
レギュレーター表示を邪魔するだけなので他の年次カレンダーモデルには標準仕様の月齢カレンダーが、このモデルには無い。結果的にカレンダー調整用のプッシュボタンは一つ減って3個である。その為に一般的な年次カレンダーでは4個のボタンをケース両サイドに2個ずつ振り分けているが、Ref.5235では9時側サイドに3個まとめて収められている。下画像で一番左の"月"は良いとして真ん中が"日付け"で右が"曜日"が紛らわしい。人間工学的には文字盤のディスプレイ通りに真ん中が曜日で右が日付だととても使い勝手が良いのだが・・さすがに メイド イン ヨーロッパ ですナァ
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最後にバックルも普通ではなく、特別なエングレーブ仕様になっている。レディスの装飾性の強いモデル等でPP銘入りバックルはたまにあるが、シンプルなカラトラバケース仕立てのメンズモデルでは極めて異例である。
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個性的ではあっても正統で奇をてらわないデザインでありつつ人と違ってかぶらないパテックを望まれる方にはピッタリな1本だと思う。

Ref.5235G-001年次カレンダー(レギュレーター)
ケース径:40.5mm ケース厚:10mm ラグ×美錠幅:20×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:WGのみ
文字盤:ツートーン シルバリィ バーティカル サテンフィニッシュド、青転写インディケーション
ストラップ:シャイニー(艶有)ネイビーブルーアリゲーター 
バックル:PP エングレーブド ピンバックル

Caliber 31-260 REG QA
直径:33mm 厚み:5.08mm 部品点数:313個 石数:31個 受け:10枚
パワーリザーブ:最低38時間~最大48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
脱進機:パルソマックスPalsomax® アンクル、ガンギ車共にSilinvar®製
振動数:3.2Hz 23,040振動
ローター:22金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

文責:乾

在庫:4月24日現在 店頭在庫あります。

参考:Patek Philippe Internaional Magazine Vol Ⅲ No.4 P.18-23

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今春から始めたインスタグラム。これも忙しさにかまけていると投稿が滞りすぐ忘却されそうになる。人材募集に応募してくれる若い人が勤務初日からみんな結構いい感じで記事をUPしてくれるのだが中々長続きせず寸暇を惜しんでやる羽目になっている。
それでもノイズレベルに過ぎないヨチヨチインスタを見て大阪からわざわざ近鉄電車と徒歩でやってきた中国と韓国の国際結婚カップルが当店初のパテックのインバウンド販売となったのだから馬鹿に出来ない。ちなみにインバウンドは英語らしいが彼らには全く通じなかった。

さて、前回に引き続き新製品ネタながら一般にはあまり取り上げられないレアハンドクラフトという手作業による伝統的な装飾が施された時計達を紹介したい。
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この4点は全てミニットリピーターでオフィシャルページ上の動画にも全く登場しない為に現場に足を運ばないと絶対に見られない代物。左2点はクロワゾネ(有線七宝)、右2点は手動の機械を用いて彫られた規則性のある同心円状のエングレーブの上から釉薬を掛けたフランケと呼ばれる技法。さらに花と枝の部分は木象嵌も使われているようだ。素材確認は失念したが時価価格は恐らく5000万円以上はするだろう。右2点はもっとする。
今画像を見直して興味深いのは針のポジション。普通パテックのサンプルピースは、10時10分に針止めがお約束なのに見事にバラバラである。右2枚を見れば描かれたモチーフに合わせているという訳でもなさそうだ。ひょっとしたら針止めをしていない実機なのかもしれない。
下の左2枚は動画でも紹介されているクロワゾネのポンテベッキオ橋(レディスとメンズモデル)。右は木象嵌のゴールドフィンチ(ごしきひわ)。右端はその象嵌に使用される着色木片の微細なパーツ。
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ポンテベッキオ橋の2枚はアルノの川面の色とブランドロゴカラーが決定的に替えてあるが、その他はほぼ同じ色目で仕上げてある。これらも針のポジションの統一感は無い。木象嵌は右の破片をジグソーパズルのようにはめ込んでゆくのだろうが、あまりにも細かすぎて工程が想像できない。
全て視認性を上げるために、ムーブメントは秒針省略の二針仕様がお得意なマイクロローター採用の極薄自動巻Cal.240が積まれる。価格は採用技法で異なるだろうが、この木象嵌で1200~1400万円程度らしい。同じムーブを積むシンプルカラトラバのRef.6006Gが税別334万円なのでハンドクラフトだけで1000万円前後と言う事になる。かなり高い気がするが、パテック社の内製ではなく今や本当に少なくなった個人職人への外注なので致し方無いのだろう。ちなみにこの辺りの作品の製造個数は数点から数十点のユニークピース。注文を出しても来ることもあれば来ない事もあるらしい。購入する店を絞って、ストーリー性に富んだ購入実績を相当重ねて、初めて購買の可能性が出てくるらしい。正直明確な基準が良く分からない。

これらのユニークで工芸色豊かな特殊時計がすべてのパテックファンに人気があるわけではない。正直なところ機械式時計に加えて絵画や陶芸方面に趣味の有る方でないと飛びつかれると言う事は無い。実際腕にするというよりは鑑賞用であり、ずっと将来にその希少性ゆえ資産価値を生む可能性はありそうだ。
お好きな方どうですか?とお勧めしたくとも分厚いご購入実績という高いハードルがあるので、今の所は当店が販売する可能性は限りなく薄い。でも、いつかは売りたいなァ・・

文責:乾

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スイスからは火曜日27日に帰国した。興奮冷めやらぬと言うほど豊作では無かったが、各ブランド共手堅く冒険はあまりせずという2018だった。出発前にインプレッションを書いたパテック フィリップニューモデル。実機を初見して、想像通りも多かったが意外なりも結構あった。年々物忘れが酷くなる一方なのでとっとと書き上げてしまおう。
個人的に好きでコレクションしたい(金額は無視)のがプラチナケースの永久カレンダークロノグラフRef.5270P。今年の一押しモデルだ。あくまで個人的にデス。
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2017年時点でローズゴールドのストラップのみになっていた5270。2016年まではWG(白と青の2文字盤)があったので一年ぶりに銀色のケースが復活したのだけど、いかにもパテックなヴィンテージローズカラーに正体ゴシック文字のアラビアインデックス(恐らくWG?)と針が酸化処理のマットブラックへと化粧仕上げされており、ため息が出るくらい美しい。実を言うとこれまでの5270はWGもRGもあまり個人的には趣味で無かった。今年黒文字盤のメタルブレス仕様でリリースされた新しいRGもその意味では同じだ。でもプラチナは何故か全く新しいリファレンスの印象が強い。
今年の撮影は悩みに悩んだが、結局新規購入したミラーレス一眼SONY α5100に単焦点マクロレンズ(E3.5/30)をミニ三脚を使わず手持ちでサンプル実機撮影とした。ズームレンズなら三脚を使って絞り込んでスローシャッターにするがズーム無しの単焦点レンズなので手でカメラをズーミングするしかなかった。ただ単焦点は描写力がズームをかなり上回る・・と思う。具体的な撮影条件はシャッタースピード優先モード1/80秒 絞りオート ISO/5000 ホワイトバランスは各ブランドの商談テーブル上でマニュアルセットした。
難儀なのはブース廻りやショーケース内に展示されている時計や、バーゼル会場のイメージカットを撮るときに、その都度レンズ交換なんてしてられないので、全てフルオートのiPhone7に任せた。
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コチラがiPhone7画像。敢えて生画像で一切お触りなしとした。ガラス越しの実機まで30cm以上はあるので、かなりアップして撮っている。よくもあんな、けな気なレンズでここまで撮れるとは凄いノゥ。
次に各バイヤーから人気が高かったモデルとしてアクアノートの初クロノ、それもフライバッククロノグラフムーブCH28-520Cを搭載したRef.5968A-001。ステンレスアクアのコンプリ系には既にトラベルタイムRef.5164Aあるが、フライバッククロノにエンジンを積み替えたスポーツウオッチが誕生した。色んなインスタ等でオレンジカラーのラバーストラップバージョンが時折出ており、セットなのか、別売なのか、今まで無かった提案で現場に行くまで把握できなかった。この時計の工場出荷時のストラップはブラックでオレンジは付属セットとなっている。但し、注文でスイス入荷待ちの場合にオレンジが希望であれば、黒が予備となって入荷するらしい。確かに売れそうな顔をしております。現物が想像以上に良かった。
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賛否両論がありそうなノーチラス初の永久カレンダーRef.5740/1G-001。そもそもノーチのホワイトゴールドブレスは珍しい。現行モデルでは5719/1Gという全身にダイアを纏った特殊モデルのみである。一昨年にはシリーズ発売40周年記念として1300本の限定モデルとしてWGブレスの大振りサイズでフライバッククロノRef.5976/1Gが出たのみだ。
ノーチのグランドコンプリケーション(永久カレンダー以上の複雑時計)というのも多分初めてのはず。この時計相当に薄い。ケース厚たったの8.42mmしかない。比較されそうなモデルでは、アクア3針が8.1mm、ノーチ3針が8.3mm。同じマイクロローター搭載Cal.240Qを積んだ永久3モデルでは、Ref.5139(生産中止)が8.7mm、Ref.5140(生産中止)が8.8mmで唯一の現行モデルRef.5327は9.71mmもある。全ての永久カレンダーコレクションの中で最も薄いのは新参のノーチラスであり、極上のフィット感を誇る3針モデル5711の厚みをたったの0.12mmしか上回らない。防水性能は6気圧で同じくCal.240搭載のプチコンRef.5712に並んでいる。参考までにAPのロイヤルオーク永久カレンダーをネット検索すると厚さは9.5mmで2気圧防水である。但し、今年の新作であるエクストラシンの永久カレンダーはセンターローター採用で6.3mmケース厚と驚異的である。ただ耐久性については今後のフィールドテストを待たなければ何とも言えないだろう。

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文字盤の青の色目は現物を見るまで少し心配をしていたが、紺では決してない凄く良い青である。この青は大変評判の良かった40周年記念限定の前述したWGクロノグラフ及びプラチナ3針と全く同じ青である。今回この青のカフスも新規リリースされた。12時側にプリントされる PATEK PHILIPPE GENEVE のロゴ部の仕様も従来の横縞ボーダーの凸部にではなくロゴスペース全体を凸状態にした40周年と全く同じ仕様にされている。細かく見てゆくと40周年を買いそびれた方にも是非ご検討を頂きたいモデルでもある。上の画像で4時40分あたりの延長線上に月齢表示の調整コレクターボタンがある。通常は6時位置に配置されるが、ケースの構造上無理なので特殊な伝達方式で此処にレイアウトされた。同様に日付及び月のコレクターも大きく配置換えがなされている。
さて、前述のアクアノートステンレスクロノグラフもこのノーチラス永久カレンダーにも共通して取り入れられたのが新方式を採用したフォールディングバックルである。
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上図でバックル中央のPPロゴの下の横面に2か所の四角の薄い突起が見える。この部分が折り込まれてくる両側のクラスプとかみ合って固定される。従来のバックルが下の画像(懐かしの2年前撮影)である。同じように片側2か所、合計4か所で止める発想は同じだが新方式はより長期間にわたって緩るむ事無く使い続けられるらしい。個人的にはZ型を思わせるスケルトンチックで何処か色気を感じる従来のスタイルが好みではあるが・・
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さて、実際に手に取って見れたモデルが少ないので、その中から印象に特に残った3点を駆け足でご紹介した。少々長くなったので第一弾として一旦休憩。次回はバーゼルの会場でしか見る事の出来ない、いわゆるレアハンドクラフトと呼ばれるユニークピースの一団などをご紹介したいと思う。

文責:乾

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