パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

2020年6月の記事一覧

今年は何もかも異例尽くしだ。見送られていた2020NEW MODELが6月18日にPPJからファックスでやってきて、詳細は公式HPを参考とあって、その結果"来た!見た!驚いた!"と腰を抜かしそうになった。それでなくとも"だまし、だまし"の腰痛爆弾を抱える老体なれば、心尽くしとは言わぬが心配りぐらいの発表プロローグは欲しかった。
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※他の商品画像はPP公式HPでご覧ください
何となく想像していたのは、今春に一旦自粛されたスイス・パテック社発信の公式インスタの公開再開タイミングでのニューモデル発表。実際6月19日(ブランド創業1839年に因み毎月18日スイス時間の18:39にUP)には6007Aをトピックスにしてインスタアップされていたので、これは予想通りではあった。もしかするとこの段取りで毎月同じタイミングでチョットづつ小出しに新製品発表をするのだろうか。それはそれでエキサイティングで楽しみではある。
そして、予想通りお問い合わせの嵐が怒涛のようにやってきて、今度は足をすくわれて溺れそうになる。現在の世界に於ける日本のマーケットシェアは5~10%と想像されるが、その割に今回のカラトラバSS限定Ref.6007A-001の日本入荷予定本数は非常に厳しく、その理由も不明らしい。結果として各正規店の最重要顧客(ベスト ロイヤル カスタマーとでも言えようか)のご要望が優先されそうだが、どの辺りがカットラインになるかは視界不良にして五里霧中という状況の様だ。実機撮影のチャンスも犍陀多(かんだた)になったつもりで蜘蛛の糸を登るが如しである。
一見、限定数1,000本はパテックとしては少なすぎるという事は無さそうだが、記事を書き進める中でまたしても、ああでもない、こうでもない、ひょっとして・・などど千路に乱れる妄想が湧き上がってくるので少しお付き合い願いたい。そもそもこの限定モデルは、2015年から建築が進められていた6番目の生産拠点となる最新工場"PP6"の完成竣工を祝って発表されたものである。サファイアクリスタルのケースバックにある2019は昨年中に既に一部の部署が移転し業務を開始していた為である。勿論コロナ禍が無ければ、4月には新工場のお披露目イベントが開催予定だったので、その際に発表されていた事は想像に難くない。ところでパテックはフィリップ・スターン時代に2度同様のストーリーを持った限定モデルを発表している。
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まず最初が1997年にジュネーブ郊外のプラン・レ・ワット村に社運を掛けて竣工させた新本社工場の落成記念モデル3部作だった。上画像のパゴダ(男女各1モデル)とミニット・リピーターである。これらの紹介は過去記事よりご覧下さい。此処で興味深いのはステンレスモデルが全く無い事である。逆に今回はステンレスしかない。パゴダは上の画像以外にも素材のバリエーション等が有って、全てを合計すれば2750本という事になって今回の3倍弱という随分大盤振る舞いがなされた。当時のフィリップ・スターンが新工場構想にかけた想いの強さがうかがえる。当時と現在を比較すれば、年産数もかなり増えているが、パテックの顧客の増え方はその比ではない。そう考えれば今日の1000本限定数は相対比較をすれば凄く稀少と言える。一方、プラチナ製リピーター5029のたった10本(YGとPGも各10本)なんて直営ブティックでファミリーにごく近い雲上顧客に配給販売されたのだろう。でも、今回はそんな特殊なモデルも無い。異例尽くしと言わずしてなんと表現したら良いのか。
2番目の記念モデルは、1953年から様々な運用をし続けてきたジュネーブ・ローヌ通りのブランドの本丸とも言えるサロン(直営ブティック)を2年の歳月を掛けて2006年に全面改築がなされた際に発表された下の2モデルである。
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記憶違いでなければ合計400本のこれらの限定モデルは、その出自からしてパテック直営のジュネーブサロンのみでの販売であったように思う。ただ(ご本人曰く)ブランドへの貢献度合いの高かったごく一部のパテック社スタッフにも授与では無いが購入が許可されたので、5565Aは時々間近で拝見している。今現在ならいざ知らず、当時に於いて、これは役得だったのか、拒絶不可能な義務だったのかは判断に苦しむところである。
今回の6007Aは過去のコレクションにデザインアーカイブが有るわけではなく、見た事もなく、馴染もなく、個人的にはおよそパテックらしからぬ顔と受け止めていたが、上画像左の5565Aと現行ラインナップからドロップ中のカラトラバ6000系を足して2で割って、さらにこれまで全く採用されてこなかった最近のスイス時計トレンドである"テキスタイル"の切り口をパテック風に解釈しました。ということかもしれない。ただある顧客様曰く
「カーフストラップにテキスタイルパターンを型押しする手法は、既にIWCが実装済みであり、見た目は織物にしか見えないが実際の触感は紛れもなく"皮革"だった」というご意見が有った。
ダイアルセンターのカーボン・パターン装飾もパターンに過ぎず、ギミックが詰め込まれているという点は、知りうる限りパテックの全く新しいアプローチとなる。ただ資産価値を無視して単純かつ純粋に時計として見た場合、かなり評価や好き嫌いは分かれる時計だろう。精神的にはともかくも年齢的に還暦を迎えた自分自身的にはこの時計を腕に巻きたい誘惑は全く無い。IWC云々の顧客様も含め相当数のブランドに渡って、幅広く時計収集されている方にこの傾向は強い。
また自身の計算違いか誤解であってほしいのだが価格設定が微妙なのである。比較すべきモデルは、昨年ディスコンになったカラトラバRef.5296。全く同じエンジンを積む3針センターセコンド・シンプルカレンダー自動巻でピンバックル仕様の18金素材モデル。ところがステンレスの限定6007Aの方が少し高いのである。またエンジンは異なるがデザインソースらしい今年のディスコンモデルRef.6006Gとの比較では、6007Aが10%ほど安いのだが、アリゲーターストラップ+WG製フォールディングバックル仕様の6006Gに対して、カーフストラップ+SS製ピンバックルの6007A。これらを足したり引いたりするとSSの6007A限定モデルはやはりチョッと割高になってしまう。限定だから大目に見て、目くじら立てずにマスクで隠して!と言われても1ロット1000本というのは、パテックの各リファレンスに於いて年産本数のマキシマムに近似と思われ、特別に小ロットとも思い難い。資料を見る限り、この限定モデルにはいわゆる限定シリアルナンバーの刻印が無い事もケースの加工・管理という点でコストが省かれており少し気になる。
重箱と老婆心はさておいて、パテック フィリップの顧客層はこの10数年で非常に若くなったと言われている。実際、当店でも30代前半のカスタマーもニューゲストも増えてきている。この方達には今回の6007Aは直球ド真ん中でノックアウトだろう。この若く新しいニューカマーに対して「しっかり頑張ってパテックを収集する事で、いつかこんな特別モデルを手にしてください」というメッセージがこの特殊なカラトラバには込められているのではないか。勿論、既にコレクションを充実させている若きロイヤルカスタマーにとっては、目の前にある、手を伸ばせば届く現実的な"夢"である。
今は、どうか蜘蛛の糸が切れずに「酒が旨くて♪、ネーちゃんが綺麗な♪♪」天国の撮影スタジオまで登り切れる事を願うばかりである。

Ref.6007A-001 ニュースリリース(日本語)
ケース径:40mm ケース厚:9.07mm(サファイアクリスタル・ガラス~ケースバック) 
※カラトラバ十字と《New Manufacture 2019》と装飾されたサファイアクリスタル・バック
ラグ巾:22mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:SSのみ 
文字盤:真鍮製 ブルーグレー 中央にカーボン模様の浮出し装飾 夜光塗料塗布の18金植字アラビアインデックス
針:夜光塗料塗布の18金バトン形状の白ラッカー着色時分針 白塗装ブロンズ製秒針
ストラップ:ブルーグレー 織物模様がエンボス加工された装飾ステッチ入りカーフスキン


Caliber 324 S C.
センターローター自動巻 センター3針(時分秒) 3時位置
窓表示カレンダー
直径:27.0mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個 受け:6枚

パワーリザーブ:最小35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製) 髭持ち:可動式
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
価格:お問い合わせください。

PATEK PHILIPPE INTERNATONAL MAGAZINE Vol.Ⅰ No.2
文責:乾

「多分、今年はまだ無理だと思いますが駄目モトでエントリーしときましょう」
パテック フィリップのコレクションには購入しにくいモデルが多々あるが、さらに購入方法が一筋縄でゆかない物もある。正直なところ我々販売店にも明確な基準が掴めているわけでも無い。さらに突っ込んで言えば輸入元であるPPJ(パテック フィリップ ジャパン)のスタッフですら、納期は勿論の事、入荷の可否が薄ぼんやりとしか予想出来ない事も間々ある様だ。
判り易いのは通常のカタログに未掲載の限りなくユニークピース(一点もの)や或いはそれに近い一桁しか製作されないレア・ハンドクラフト群。当然時価であり、現物はショーケースのガラス越しに年一回のスイスの展示会(昨年まではバーゼルワールド)の際にパテックのブース内展示を見るしかない。PPJ経由で注文を入れても大半が却下され極少数しか入荷していないようだ。
次がカタログUPされているが価格設定が、時価となっているグランド・コンプリケーション群。ミニット・リピーターとスプリットセコンド・クロノグラフが代表モデルで、永久カレンダーやトゥールビヨンが追加搭載されたハイブリッドな超複雑モデル等も有る。さらには現代に於いては新月の夜を選んで、人跡未踏地まで赴むかねば感動に浸る事すら難しくなった満天の星座達が生み出す一大叙事詩を、手首の上で真昼でも堪能できる"どこでもプラネタリウム!"の様な天文時計が組み合わさったドラえもんウオッチの様なモデル等もそれである。
アレや、コレや、ソレらの時計達は、注文そのものは一応可能だ。ただ経験的に複数のパテック フィリップのタイムピースを購入している実績の有る店舗からのオーダーでないとまず購入の見込みは無いと思われる。では、どの程度の実績が必要か?という事が判然としない。基準と言うものが無い。しかし無い無い尽くしで、取りつく島もなく溺れる人を見捨てる訳にもゆかず、個人的な独断でロープ付きの浮き輪を投げる事とする。
本数的な実績(同一店舗限定)は、8本から10本程度かと思われる。その内には定価設定有りのグランド・コンプリケーションが2本位(永久カレンダーと永久カレンダー・クロノグラフとか)含まれるのが望ましそうだ。さらにはノーチラス&アクアノート比率が半分以下と言う辺りだろうか。さらに言えば理由の如何を問わず、購入品が間を置かずに夜店の屋台などに並んでいたりすると実に面倒で難儀な話になって・・・1970年代のジャンジャン横町のようなラビリンスに迷い込み生還はおぼつかなくなるのである。
では、皆さんが高い関心を持たれているノーチラス&アクアノートの購入基準はどうか。過去何度かこの難問には触れてきた経緯があるが、コロナがやって来ようが、世界各地でデモの嵐が吹き荒れようが、お問い合わせの電話とメールと来店は引きも切らない。増える一方の狂喜乱舞にして百花繚乱なのである。2015年という微妙な最近にパテックの取り扱いをスタートした当店の最初の2年ぐらいは、今にして思えば"パラダイス"と呼んで差支え無かった。狂喜乱舞の温度が今現在より低温だった事もあるが、運よく知名度の低い天国に辿り着かれた幸運な方がおられた。しかし今は、この2年弱位で天国は、地獄とは言わずとも荒涼な荒野になってしまった。店頭限定での購入希望登録は受け付けているが、過去と将来のパテックご購入実績がお有りの顧客様へ優先的に販売したいので、中々ご登録だけのお客様にまで現在の入荷数では廻らない状況になってしまった。パテック社の方針として生産数を増やす事は考え辛いので、現在の異常人気が落ち着かない限り荒野を襲う嵐の厳しさは増すばかりではなかろうか。ただし、アレやコレやソレやの時価モデルの購入が棒高跳びレベルとすれば、ノーチやアクアはモデルによっては少し高目のハードル程度の高さだと言えなくもない。
毎回の事ながら長い前置きはさておいて、本題に入ろう。前述の棒高跳びレベルにはもう一群あって、定価設定の有るカタログモデルながら、本日冒頭の「駄目モトでエントリーしときましょう」というややこしいモデル。エントリー過程は、もっとややこしい話になるので、僭越な言い方になるが棒高跳びの半分くらいまでよじ登って頂ければご説明申し上げます。そんな意味深な本日の紹介モデルRef.5231J-001YG製ワールドタイム・クロワゾネ文字盤仕様。
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通常の現代ワールドタイム第三世代Ref.5230と何がどう違うのか。結論から言うと品番末尾と見た目が違うだけである。具体的には素材が、5230には設定の無いイエローゴールドである事。次に文字盤センターがギョーシェ装飾ではなくクロワゾネ(有線七宝)と称される特殊なエナメル加工で装飾されている事。最後が時針の形状がパテック特有の穴開き針(Pierced hour hand)では無くてRef.5130(2006~2015年、現代ワールドタイム第二世代)で採用されてファンも多かったアップルハンドが採用されている。分針はリーフハンドでほぼ同じ形状だ。個性的で押出の強いクロワゾネの印象によってレギュラーモデルの5230との相違感が圧倒的で、見落としてしまいそうになるがアップルハンドも特別感の醸成に大きく貢献している。
過去にベースモデルの5230を始め、第2世代5130も紹介してきた。さらにレア・ハンドクラフトの一つであるエナメルも或る程度(完璧に理解出来ているわけでは無いが・・)記述している。まさかの入荷に発注されたお客様同様にビックリして意気込んで撮影し、記事を書き始めたものの、さて一体何を書こうかしらん。
一体全体どうしてこのタイムピースがそれほど希少で追い求められるのか。これは重要な考察になりそうである。思うに幾つかの要素がありそうだ。まずレア・ハンドなのでそもそも年間の製作数が非常に限られる。価格がそこまで高額ではなく、永久カレンダーや手巻クロノグラフより手頃である為に購入を検討をする方が多い。カタログ外のユニークピース・クラスの文字盤全面クロワゾネ2針のシンプル自動巻時計よりも手頃で、購入過程はややハードルが低い(あくまで今回感じた事だが・・コロナが影響したか)。そんなこんな諸事情が有るが、恐らく最大の理由はその歴史に有りそうな気がする。ワールドタイムの父とも言えるジュネーブの時計師ルイ・コティエは、1937年~1965年の間にワールドタイムを400個あまり製作しているのだが、当時製作された世界地図をモチーフにしたクロワゾネ装飾のセンターダイアルを持つヴィンテージな個体が、2000年頃以降のオークションで「そら、もう、なんで?」だったり「・・・・・?」だったりが続いた。いつの世も数寄者のガマ口は、熱気球クラスだという事らしい。

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28年間で400個は平均年産数は約14個。『パテック フィリップ正史』によれば、アンリ・スターンが社長就任した1959年の年産が6,000個とあるので、わずか2.3%に過ぎない。その中でクロワゾネ技法による地球装飾バージョンはどの程度あったのかは判然としない。さらに上図の中央は北米大陸であり、左はユーラシア大陸とアフリカ、さらにオセアニアまでが広く描かれたバージョンとなっていて図柄にはかなりバリエーションがある。現代よりはクロワゾネに携わる職人が多かったと思われるが、手仕事ゆえ量産は利かなかっただろうからモチーフ毎の個体数は限定的と想像される。
単純比較は出来ないが6月1日の為替レート(1CHF≒112円)として、左の1415の売価が約219,000円。49年後の落札額が約3億840万円で単純計算では1,400倍。中央の2523は売価不明ながら1989年にCHF36万(4千万円強)で落札された経緯を持ち、その後23年で約3億1千万円に大化けしている。
2000年に40年以上の時を経て復刻された現代ワールドタイムのRef.5110にはクロワゾネバージョンが用意されなかった。2006年にその第2世代としてRef.5130がデビュー。さらに2年後の2008年に待望の現代版クロワゾネダイアル・バージョン(上画像右端)が蘇った。大西洋を中心に両側にヨーロッパ・アフリカ大陸と南北アメリカ大陸が描かれている。今回紹介の5231とほぼ図柄は重なるが、使用されている七宝釉薬の多彩さでは5231の方が上回っている様に見られる。同モデルでは他にWG・PT素材も製作された。図柄は全て異なっており、PTはメタルブレス仕様で今現在も継続生産販売されているが入手の困難度合いは、やはり棒高跳びの世界となっている。
生産中止YGモデル5131Jの市場価格だが、個体によって非常にばらつきがある様だ。OSVALDO PATRIZZI他の資料では上記の60万ユーロ(約7,400万円)等というとんでもない見積もりもあるが、一方で18,000ユーロ(220万円余り)と言うにわかに信じがたい見積もりもある。ネット検索での国内2次マーケットでは税込1,100~1,200万円辺りが多いようだ。現代ワールドタイムもクロワゾネ仕様になるとプレミア価格にはなっている。ただ、なってはいるもののノーチラスSSの様な狂乱相場ではない。これはやはり実用性の延長にある時計として捉えられるばかりでは無く、嗜好、趣味、鑑賞といった芸術的側面を有している事で、良くも悪くも対象顧客が絞り込まれてしまうからだろう。平たく言えばニッチマーケットの稀少モデルなのであろう。
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さて、クロワゾネ(仏:cloisonné、有線七宝)等のエナメル技法について書きだすとキリがない。そしてまた何度も繰り返しになるが、製作現場をおのれのマナコで確と見た事も無いので資料を探してきて、ふわふわと書き綴っているに過ぎない。上画像の左右を較べると右側で有線の何たるかが何となく判るだろうか。
久々のエナメル紹介なので、製作工程のおさらいを少し。まず文字盤素材(大体18金)
に図柄を描いて(鉛筆なのかペンなのか、良く知らない)、高さ0.5mmの金線(銀、銅の事も)をスケッチに従って、辛気臭く曲げながら接着剤で文字盤に貼り付けてゆく。次にフォンダンと呼ばれる透明の釉薬(粉状ガラスの水溶液)を塗布し摂氏750~800度辺りの決められた温度に熱した窯で焼く。時間は極めて短い様だ。焼結の状態を常に目視して焼き過ぎを防ぐ。この際に文字盤裏側にも透明釉薬の捨て焼をする。これは表側の塗布・焼成を繰り返す事で表裏の膨張率が異なって文字盤が反る事を防止するためである。金線で囲まれた部分に様々な色の釉薬を焼成後の色滲みを想像しながら塗布してゆく。これを焼成するが、釉薬は焼成で目減りするので、何度も塗布と焼成を繰り返して金線の高さまで焼成面を盛り上げてゆく。勿論、この時点で表面は凸凹なので金線もろとも全体を均一にポリッシュ(恐らく砥石と水)する。平滑になったら最後にフォンダン(透明釉薬)を塗布焼成し保護膜を作って完成。
15分、30分等のクォーターインデックスはかなり早い段階で植字されていると思われる。時分針用のセンターの針穴は元々開いているだろうが、焼結後にエナメル層を穿って開け直す必要があるはずだが、クラックが入るリスクがある。その他にも焼成時のトラブルもあるので、エナメル文字盤は歩留まりがとても悪い。ゆえに生産数が限られてしまう。幾多の艱難辛苦を乗り越えて完成した良品文字盤にPATEK PHILIPPE GENEVEのブランドロゴをシリコン転写してお疲れさまとなる。かなり書き込んだ過去記事はコチラから。
日本に於いてシルクロードから伝わった七宝が盛んに作られるようになったのは17世紀と割に遅い。さらに有線七宝は、明治時代になってから急速に技術発展したが、現在は後継者難もあり存続が危ぶまれている。
愛知県には2010年まで七宝町という町があって、現在も僅かに数軒が七宝を製作している。前から信州に行くときにでもどちらかの窯元?さんを訪問して、見学したいものだと思いつつ未だ実現できていない。彼の地の若き有線七宝職人達の挑戦が紹介された動画が有ったのでご興味のある方はコチラから。スイスのクロワゾネダイアルそのものの製作工程動画は、残念ながら適当なものが見つからなかった。

Ref.5231J-001
ケース径:38.5mm ケース厚:10.23mm 
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:YGのみ
文字盤:18金文字盤、クロワゾネエナメル(中央にヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸)
ストラップ:ブリリアント(艶有り)チョコレートブラウン手縫いアリゲーター
バックル:18金YGフォールドオーバークラスプ
価格:お問い合わせください

マイクロローター採用の極薄自動巻Cal.240をもう何度撮影した事だろう。でもこの角度から捉えたのは初めての気がする。初見でどうという事なく、必要な仕上げをぬかりなく極めてまじめに、そう必要にして充分に施されているのはパテックのエンジン全てに共通である。奇をてらっておらず、飽きが来ないのは表の顔だけじゃなくパテックのデザイン哲学の土台なのだろう。
世の中に彼女にしたい美人時計は一杯あるが、雨の日も、晴れの日も、健やかなる時も、病める時も、絶品の糠漬けを作り続けてくれる愛妻時計の趣を持っているのがパテック フィリップの最大の魅力だと思う。
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Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE INTERNATONAL MAGAZINE Vol.Ⅱ No.01
PATEK PHILIPPE INTERNATONAL MAGAZINE Vol.Ⅲ No.07
PATEK PHILIPPE THE AUTHORIZED BIOGRAPHY パテック フィリップ正史(Nicholas Foulkes ニコラス・フォークス)
COLLECTING NAUTILUS AND MODERN PATEK PHILIPPE Vol.Ⅲ(Osvaldo Patrizzi他)

文責・撮影:乾 画像提供:PATEK PHILIPPE S.A.

ようやく峠を超えた感がある新型コロナ禍。何も良い事が無かった様だが、パテック フィリップの2020年新作発表が、一旦見送られた事で個人的には助かった事が一つ。昨年秋から今春に渡って悪戦苦闘して連続投稿してきた『パテック フィリップ正史』の為に遅れてしまった2019の新作モデルを今頃でも紹介が出来る。まあコロナのデメリットと拙ブログのメリットでは全く勘定は合わないのだけれど・・・

本日のご紹介は、とてもユニークなカラトラバ・ウィークリー・カレンダーRef.5212A-001。2015年に良くも悪くもパテックらしくないと話題を振りまいたカラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524G-001初見時の驚愕と同じ様なファーストインプレッションを覚えた。ただパイロット・トラベルがパテック フィリップ・ジャパンのトップN氏から「ハミルトンじゃありません」と紹介され、巷では"ゼニス?"と噂されたようにパテックらしくないが、何処かで見たような既視感が有り過ぎたのに対して、ウィークリー・カレンダーは中期出張者向けのレンタルマンションカテゴリーの様な既聴感は何処となく感じたが、それまで全く見た事の無い顔をしていた。
これはパテックを始めあらゆるブランドのタイムピースに於いて既視感が全く無いという事であった。しかしながら伝統に則った正統カラトラバケースの品の良さから来るのか個人的には"今迄に見た事も無いパテックなのだが、とてもパテックらしい"と言うパラドクシカルな好印象を初見から抱かせた時計だった。
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ラグは最近のパテックで好んで採用される段差付ラグ。永久カレンダーRef.5320Gや手巻クロノグラフのRef.5172G等は2段仕立てだが、ウィークリー・カレンダーに採用されたスッキリ一段仕様も、この時計の全体から来るカジュアル感には好もしい様な気がする。尚、このラグ形状はPPマガジン(Vol.Ⅳ No.6)のRef.5320紹介記事に記載が有り、PATEK PHILIPPE GENEVE Wristwatchesに掲載されている下画像左のRef.2405(1945年)に辿り着く。1960年代にも結構採用されたデザインで下画像右のシリーズ生産されたらしいクロワゾネ(有線七宝)モデルで顕著なようだ。
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ストラップも最近のパテックお好みのカーフ、しかも明るめのオレンジっぽいギリギリのライトブラウン系統のお色目。少し太めの白っぽくラフなステッチ。アクアとノーチ以外のシリーズではチョッとお久のステンレス素材仕様。と全てのお膳立てはカジュアルだ。
機能は大きく異なるが、ステンレスモデルの前任者とは年次カレンダー・フライバック・クロノグラフRef.5960/1Aの白文字盤(2014-2017)・黒文字盤(2017単年度)の2モデルになる。
しかし、このモデルは元々2006年に画期的にして現代的なパテック社自社開発設計・製作のマニュファクチュール・フライバック・クロノグラフ・キャリバーCal.CH 28-520系を初搭載しプラチナケースを纏ってセンセーショナルなデビューを果たしたRef.5960Pの素材違い・ストラップ仕様違いであって完全なオリジナルモデルとしてステンレス素材で唐突いきなりリリースされたわけでは無かった。しかし素材を問わず5960は売れに売れたクロノグラフモデルだった。特に初期のプラチナモデルは結構長期間に渡りプレミア価格が2次マーケットで発生した。個人的にはそれまでのプレミアパテックというのはアンティーク市場を除いて、現行モデルではノーチラスSS3針Ref.5711/1Aにほぼ絞られていたが、このプラチナ・クロノグラフが今日のプレミアパテック一杯状態の引き金になった印象がある。そう強烈な印象がある。

そういう意味ではラグジュアリースポーツ系でも無く、素材バリエでも無く、SSにもかかわらず限定モデルでも無いウィークリー・カレンダーは現行パテックラインナップに於ける異端児である。発表資料によればRef.5212と言う品番にはルーツがあるとされ、1955年製作のユニークピース(世界に唯一つ)Ref.2512の品番数字順の入替がリファレンスに反映されたとある。このルーツモデルは現在ジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアムに所蔵されている。後述するがルーツモデルの品番2512には1952年製と言うのもあって、1955年製モデルの資料が乏しく画像もすぐ見つからず、ミュージアムの資料にも見当たらない。
一体どちらがウィークリー・カレンダーの原点なのか判然としなかった。最終的にPPJからアドバイスで昨年秋発行のPPマガジンVol.Ⅳ No.7の現代ウィークリー・カレンダー紹介記事にて下のルーツモデル画像(左)を得た。既読の記事でありインデックスを貼ってPPマガジン記事まとめエクセルにも書き込んでいるのにこの様だ。コロナで自宅での早飲み・深酒がアルチューハイマ―を進行させたのかもしれない。ともかく色々と厄介でお騒がせな奴だ。
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正確なリファレンスは2512/1となっている。現行パテックの品番概念なら"/1"が末尾に付くと金属ブレスモデルをまず想定するのだけど、何ともシックなストラップ付のドレスウォッチだ。文字盤も漆黒なのでYG製にしては地味な仕上がりでウィークリー・カレンダーRef.5212Aとの類似点は、我が家には未着のアベノマスクの様な小さな段差付きラグが一段仕様になっている点とベゼルがミドルケースに合体する部分が巻き込まれた様な個性的なデザインとなっているケース形状にある。PATEK PHILIPPE GENEVE Wristwatchesの巻末資料にある1952年?製ラージラウンドケースに手巻センターセコンドCal.27 SC搭載モデルの記載があり年号は違うがこのモデルと思われる。過去のタイムピースにまつわる蘊蓄話の年号のあやふやさと言うのは良くある話で、過去ファミリー継承がたったの一度しか無く、資料の散逸が少なかったであろうパテック社ですら避けられぬのだから、他のブランドは推して知るべきだろう。
しかし驚かされるのが時計ケース径で46mmもある。当時の時計としては馬鹿でかいのでユニークピースという事からして、当時の何処ぞの超セレブリティからの特注品だったのかもしれない。尚、PPマガジンVol.Ⅲ No.8のオークションページに、この個体の落札記事(右側画像)が有る。事前見積りを6倍上回る962,500USドル(2020/6/1レートで1億を少し超える!当時のレートでも9千万超)。
ところで、各種資料で簡単に確認できる2512は、YG製スプリットセコンドクロノグラフ(Cal.13''')であり、ダイアルは黒でアラビアインデックス。ミュージアム資料によれば1952年製とあり、1998年に発表された超人気大振り手巻クロノグラフモデルRef.5070のルーツとも記載があり、こちらの説は確かに頷ける。

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右画像のRef.2512は、ミュージアム公式ブックには1950-1952年(ユニークピースなので2年かけて一個作った?)とあり、左のRef.5070のデザインモチーフになったと記載がある。さらにアンティーク資料(OSVALDO PATRIZZI著)によれば1950年に製作され1952年7月14日にイタリア・トリノの時計店ASTRUA&C.,にて販売されたとある。
枝葉末節はさておき上画像の両者は瓜二つと言って良い。しかし5070の42mmもミレニアム前後頃には充分に大きかったのだが、50年代当時の45mmって異様にでかい。OSVALDO著のキャプションにはAVIATOR'S WRISTWATCHとあってパイロット仕様ならではという事か。尚、30分計の針形状が凝ってますナァ。
脱線ついでに全くの個人的戯れとして想像するに、近似の品番、YGケース+黒文字盤、一段の段付きラグ、ほぼ同寸の巨大なサイズ、製作年代も同じとくれば、相当恰幅の良いイタリアはトリノの大旦那が地元の贔屓時計店を通じて同時、或いは前後して発注された時計達ではないのかと思うのは穿ち過ぎだろうか。まあ、あれやこれや気の済むまで妄想を膨らませる事が出来るのもコロナのメリットと言うべきなのか。
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最近の新製品に採用が多い段付きラグとケース。冷間鍛造で鍛えられたケースを自社で切削加工し全面に複雑なポリッシュ仕上げがなされている。ボックス・タイプのサファイア・ガラスが"風防"を彷彿とさせてヴィンテージテイストを与えている。
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暖かみのあるクリーム系の文字盤色はパテックお得意で、他ブランドがこの系統の色目使いで成功する事があまり無い様に思われる。しかし何と言ってもこのダイアルの最大の特徴は個性タップリの手書き文字に或る。勿論製造過程はシリコンスタンプによる転写方式によるが、原稿は全てパテック社所属デザイナーの描き起しだ。彼の地の人々の手書き文字と言うのは我々日本人から見ると殆ど謎解き象形文字にしか見えない。しかしこの新規描き起こし文字は素晴らしく読みやすく暖か味に溢れている。ヨーロッパ人によるアラビア数字とアルファベットの楷書体?と言えばよいのか。
我らアジア人には年間を50数週で表現したり把握したりはなじみが薄いが、例えばコロナ自粛が一段と緩和されそうな6月1日は23週目となって、文字盤上の26分辺りを指針する。見ようによっては今年も早くも半分間近と焦らせられるという塩梅である。意外に便利なのか、ストレスフルなのか。因みに5~6年に一度53週目の有る年がやってくるらしい(詳細は面倒で不明)が、2020年の本年がそれにあたるらしいので縁あってご購入された方は年末に是非ともお確かめあれ。
そして、個人的にこの文字盤で出色は読み取りの良さである。カレンダーの要素は内側から、曜日、週、月と3本の針表示が有り、3時位置にはノーマルな日付窓表示。さらに時分針とセンター秒針もあって、針は全部で5本ある。これだけのプリント表示と針が有りながら決して視認性は悪くない。これはバトン型アワーインデックスとドフィーヌ形状の時分針(いづれもWG製)両者が酸化処理でマットな漆黒に仕上げられている事と、残るPfinodal(銅合金の一種)製の3針もロジウム・プレート加工されており、非常に文字盤のベースカラーとのコントラストが良好な事による。また各針の長さ設定が絶妙である事も大きく視認性に寄与している。

Ref.5212A-001
ケース径:40mm ケース厚:10.79mm ラグ幅:20mm
防水:30m サファイアクリスタル・バック
ケースバリエーション:SSのみ 
文字盤:シルバー・オパーリン文字盤、転写によるブラック手書き書体
インデックス:4面ファセット酸化ブラック仕上18金WGインデックス
時分針:2面ファセット酸化ブラック仕上18金WGドフィーヌハンド
曜日、週、月の各指針:赤い塗装先端を備えたロジウムプレートPfinodalハンマー型表示針
ストラップ:ハンドステッチ・ライトブラウン・カーフスキン
クラスプ:ステンレス素材のピンバックル

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解像度一杯いっぱい、愛機Nikon D300ではこれが限界。ウィークリー・カレンダーの売りの一つがこの新キャリバーCal.26-330 S C J SEだ。全くの新設計では無く現行の主力フルローター自動巻エンジンであるCal.324系を徹底的に改良している。大きな改良ポイントは2つ。まずはサファイアクリスタル・バック越しに目を奪われる上記画像の中心部の金色のムカデっぽい奇妙な3番車。従来は4番車(秒針)に付く秒カナをベリリウム製のバネで抑える事で秒針の挙動安定を図っていたが、LIGA製法(独語:X線を利用したフォトリソグラフィ、電解めっき形成での微細加工)によって製造されたバックラッシュ防止機能を持った画期的な歯車を3番車に採用している。歯車一つ一つがバネ構造になっている為にこの歯車には従来のアガキ(微細な隙間)が無い。
Cal.26_330_th_image_b.pngもう一つが自動巻機構の見直し。従来の巻上げシステムの中に新たなクラッチ機構を加え、さらに手巻時に於ける自動巻上げ機構へのダメージを緩和する減速歯車が導入されている。元々熟成度合いが高かったCal.324は信頼度と耐久性、さらにメンテナンス性も高められた。またこれまで採用に積極的でなかったハック(時刻合わせ時の秒針停止機能)が採用されている。携帯精度が恐ろしく良いムーブメントなのでこれは嬉しい。さらに新規のウィークリー・カレンダーは瞬時では無いがトルクをため込んでの半瞬時日送り式が採用されている。尚、リューズ操作で行う日付調整は禁止時間帯の無いエブリタイムストレスフリーとなっている。これら全てが相まって324の派生キャリバー名では無く、Cal.26-330系として新たな名称を与えられた。でも、26.6mmの直径と3.3mmの厚さからの命名発想そのものは1960年頃までパテック社で日常的に採用されていたわけだから"温故知新キャリバー"と言えそうだ。ただこの秀逸新エンジンにも唯一残念があって、何度も触れているが現代自動巻としてはパワーリザーブが少々短い。せめて72時間を近い将来のマイナーチェンジで実現される事を切に願う。
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Caliber 26-330 S C J SE
自動巻ムーブメント センターセコンド、日付、曜日、週番号表示
直径:27mm 厚み:4.82mm 部品点数:304個 石数:50個
※ケーシング径:26.6mm
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE INTERNATONAL MAGAZINE Vol.Ⅲ No.8
PATEK PHILIPPE INTERNATONAL MAGAZINE Vol.Ⅳ No.7
PATEK PHILIPPE GENEVE Wristwatches (Martin Huber & Alan Banbery)
COLLECTING PATEK PHILIPPE Vol.1(Osvaldo Patrizzi)
文責・撮影:乾 画像提供:PATEK PHILIPPE S.A.

※似たような内容で重複も有りますが、参考ブログ記事はコチラ 

【お知らせ】
最後までお読みいただきまして有難うございます。
先日、パテック社より気になる情報が来ましたのでご紹介いたします。
日本を含め世界に於いて、コロナ禍を悪用した詐欺まがいの悪徳な販売提案事例が散見されているとの事です。特に入手が困難なモデルを餌に、あたかも正規ルートであるかのようなドメインを使用して販売代金をだまし取る手口の様です。疑わしき事案に遭遇されましたら下記あてご確認をされる事をお勧め致します。

パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター:03-3255-8109

【お詫びと訂正】2020/6/13
本文中のラグの仕様説明について誤りがありました。当初記載のウイングレットラグでは無く、段差付きラグ(特に固有名称無し)が本モデルラグの仕様となります。6/13付にて訂正加筆致しました。

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