パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

2022秋の新製品-その1

いやいや驚愕の8モデルである。クロノグラフ5型にノーチラス3型がパテックの仕訳けだが、どうしても人気シリーズのノーチラス4型をひと塊としたい。アクアノート・ルーチェのハイジュエリーモデル追加がひとつ。そして2019年初出のウィークリー・カレンダーRef.5212A、2021年の年次カレンダーRef.4947/1Aと年次カレンダー・フライバック・クロノRef.5905/1Aへ地味に続くステンレス素材コンプリケーションの流れにも1モデルが用意された。さらには異なるクロノグラフムーブメントをベースにして同一機能を有するグランド・コンプリケーションの超絶モデルも忘れず2型。この面倒臭い分類がしっくりと腑に落ちやすい。と言う勝手な個人的仕訳けで、まずは取っ付きも良いノーチラス4モデルの画像ファーストインプレッションにお付き合い頂きたい。

5811/1G-001
ついに、やっと、と色んな思いが全てのノーチラスファンにありそうな3針カレンダー・濃青色系ダイアル・銀色のケース&ブレスの復活モデル。2021年2月の定番旧モデルRef.5711/1A-010の生産中止発表から1年8カ月。特別で超レアなワンショット生産だった最終オリーブグリーン文字盤Ref.5711/1A-014と1300A-001やティファニー・ブルーダイアルの流通限定Ref.5711/1A-018等で2021年は常に話題提供がなされた5711だった。個人的にはこのタイミングと18金素材での復活はありありだと思う。しばらくノーチラスへのSS素材投入は無かろうと予想していたからだ。それゆえ後述する5990がSS素材のままダイアルチェンジでリバイバルされたのは少し意外だった。まあこれはあとで・・
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新旧を実機で見較べる(どれだけ運の良い人だろう・・)と言うのが超難関なので、PP公式HPカタログ画像同士を左右で比較してみた。3700/1Aという遺伝子が共通なのでお互いに実によく似ているのは当たり前。でもたった1mmの微妙なケース径の違いは例え実機比較でも難しそうだ。僅か0.1mm違いの厚さはもっと無理だろう。それくらい形状はウリだ。ケースの色目は新作の画像がやたら白っぽい。パテックは大半のWGケースにロジウムの仕上げメッキを施さないので実機はもう少し黄味がかって見えるはずだ。それにしても新作は画像修正が丁寧過ぎてシャドウが殆ど無く平板で高級感に欠けて見えるのは残念だ。文字盤カラーは先代のブラック・ブルーに対し新作はブルーソレイユのブラック・グラデーション。少し暗めで複雑な色目からスッキリした濃青色系になった様に見える。横ボーダーの凹凸部の天地巾はほぼ均等だったが、ニューフェイスでは広い凸部と狭めな凹部へと変更されたように見えるのは気のせいか。明らかに異なるのはブランドロゴ廻りで、2本のボーダー凸部にシンプルに転写プリントされていたのが新作ではロゴプリント専用スペースが設えられている。ただこの仕様は過去の撮影画像を確認してゆくと2016年頃にランニングチェンジされた様である。上の5711/1AのPP画像は初期型と思われる。時分針と18金植字インデックスの蓄光型夜光塗料スーパールミノバの色目はグリーン系の標準的な物から白さが際立つタイプになり、インデックスへの塗布面積も広げられ視認性が向上している。昨今の夜光系塗料の進化によるものだろう。インデックスそのものの形状もごく僅かにずんぐりした印象を受けるが、これも気のせいだろうか。またカレンダー窓も単純な面取り枠無しから高級感の有る18金窓枠付きとなっている。知る限りだがこの仕様は2016年のシリーズ発売40周年の記念限定モデルで初採用されたものだ。尚、昨年の特別な5711最終モデルのオリーブ・グリーンダイアルモデルも窓枠(恐らく18金)仕様が採用されていた。カレンダーの日付フォントも先代初期型とは異なっていて天地が短く若干太文字となって読み取りが良くなった。こちらもノーチラス40周年で採用されたフォントが踏襲されているとの事だ。
ノーチラスの初代は1976年初出の3700/1A。当時としてはケース径40mmの非常に大きい時計で"ジャンボ"と呼ばれた。厚みは色々調べたがどうも判然としない。天才デザイナーのジェンタが採用した2ピース構造のケースで極薄の8mm程度だった様だ。先代5711/1Aもこの初代3700/1Aに近しい風貌が与えられていたが、新作の5811はさらにその意識が強い様だ。それはケース構造を現代的な3ピースから先祖返りの様に2ピースに戻した点にある。かつての3700/1Aもそうであったように2ピース構造ケースには裏蓋が無い。その為にリューズを抜いてムーブメントを裏側から取り出せない。そこでジョイントリューズ(継手巻芯)を採用し、リューズを引っこ抜いて文字盤側から機械を取り出すしかなかった。以前のパテックはこのリューズ構造を採用するモデルが多くて、時刻合わせの際に「引き出そうとしたらリューズが突然抜けてビックリした」というご相談が結構あった。しかし今回の5811は2ピース採用ながらジョイントリューズではなく新たな工夫(特許なので詳細不明)でリューズを安全に外せるらしい。だた努力の2ピース採用がたった0.1mmしか薄さ確保に貢献していないのはチョッと残念。
ムーブメントは先代の5711でも最後期に324 S Cからランニングチェンジで換装されていた最新型自動巻エンジン26-330 S Cが搭載されている。ハック(時刻合わせ時秒針停止)機能と日付早送り操作の禁止時間帯撤廃の両機能を併せ持った非常に実用性の高いパテック自慢の基幹ムーブメントだ。
予想に違わず10/18の日本時間16時にPP公式HPで発表後、SNSでの拡散効果も有ってか新作情報は瞬く間に広がった様で、閉店時間までずっと店の電話は鳴りっぱなしだった。1回線ゆえ多々ご迷惑をおかけした・・はず?。そしてその7~8割の方が5811に強いご興味を示されていた。初日にして需給バランスは大崩れなのであった。素材的に先代5711SSの倍近くする18金素材となっても、このモデルへの渇望感は何ら解決がなされないわけだ。いっその事プラチナでも良かったのではないかとも思うけれど、かつて知る限り定番ノーチラスにプラチナ採用は無かったし、2016年のシリーズ発売40周年に記念限定モデル5711/1P-001がプラチナでリリースされているのでパテックとして素材哲学的なハードルが有るのかもしれない。まあ仮に発表されれば、同じように激しい争奪戦でしょうが・・。パテック随一の"トロフィーウォッチ(説明不要の便利な言い回し、いつ誰が広めた?)"としてこの時計はこれ以上今は掘り下げようも無いので、いづれ実機にて続編としたい。
※今回新作についてはモニター初見印象のみとし、スペックの記載は実機編に譲る事にした。

5712/1R-001
通称"プチコン"は、SSブレス仕様と18金WGとRGにストラップ仕様の計3モデル展開が現行ラインナップだ。このRGモデルに同色系色目違いのダイアル(ブラウン・ソレイユ&ブラック・グラデーション)を採用しメタルブレス仕様としたバリエーションモデルが今新作だ。でもね、モニターの文字盤色は2021年に鬼籍入りした3針のRG素材5711/1R(ブラック・ブラウン)に似ているし、8mm台の薄いケース厚のゴールドブレス仕様のノーチラスが今新作のみとなるので、5711/1R買いそびれ組の受け皿モデルにもなりそうな気がする。
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昨年3針の5711のディスコンが発表されて以来、5712/1AプチコンSSの連鎖?廃番の噂が絶えないが、パテックサイドからは一切そんな話は出ていない。でも今回RGブレス仕様が追加ラインナップされて勝手な憶測をするに来春のSS生産中止とWGブレス仕様追加の発表はあるのかもしれない。
この新作も予想を遥かに上回るご希望がある。ずっと日本市場では銀色系が金色より人気だったが、各ブランドでイエローゴールドからローズ(ピンクやレッドも含めて)ゴールドへの置換が進んでからは、18金素材の人気に於いてローズがホワイトを上回ってきている感がある。伸展著しかった巨大マーケットの中国本土攻略の為に赤味系18金素材投入を各ブランドがこぞって競った結果のトレンドかもしれない。
この新作モデルは完全なコスメティックチェンジの為、さらなる詳細は実機でご紹介したい。

5990/1A-011
2つ目の紹介を上述のプチコンRGブレスとどっちを先にするか迷ったのが、同じく完全なコスメティックチェンジモデルのSSノーチラス5990。この復活モデルは完全に予想外だった。
2014年にブランド初組合せのフライバック・クロノグラフ&トラベルタイムのダブルコンプリケーションを搭載して発表された。デカ厚時計ブームのトレンドともマッチして瞬く間に人気を博した。特に本年春の生産中止に向けてここ数年尻上がりに人気が高騰し大量の注文残を抱えて鬼籍入りした。現在は2021年に素材違いで投入されたローズゴールドのブレスレットモデル5990/1Rが唯一のラインナップだった。今回半年のブランクを挟みダイアルを初代のグレー系からブルー系へと変更してSS素材で再登板となった。
5990_1A_011_001_b.png
左が今回の新作、右が初代のディスコンモデル。お間違いなく。と言ううくらいダイアル周りは微細な変更が無さそうだ。両画像とも出典はPP公式カタログだが、前述の3針モデル同様にケースとブレス部分への画像修正度合いはかなり異なっている。此処だけ見較べれば別モデルにしか見えない。個人的には立体感を感じる右の初代画像が好みだ。そんな事はどうでも良いがブラック・グラデーションのブルーソレイユ(新作011)かブラック・グラデーション(初代001)かは実に悩ましい。一般的にノーチラスの青系ダイアルは鉄板人気なので新作に軍配が上がりそうだが、それに乗っかるパテックはチョッとずるい気もする。
前述したようにあまりにも高騰しすぎている人気を考慮すれば5811の様に今後ノーチラスにSS素材は敢えて投入しないのでは無いかと予想していた。それ故の2021年度の5990RGモデル発表と理解していた。しかし今新作には見事に裏切られたわけだ。自信がグラついているが、ひょっとしたら今後も価格がかなり高額になる複雑機能モデルはステンレス素材でもラインナップが続くのかもしれない。そう考えれば前段のプチコン5712ステンモデルの廃番が現実味を帯びてくる。それにしても税込600万円を超える充分高額な時計なのだが・・。
そしてこの高額な5990SS新作にもご希望は殺到している。当店の場合、新作メンズノーチラスの人気順は5811/1G、5990/1A、5712/1Rとなるがあまり大差がない。そしてどれもが供給が追い付かず潤沢に販売できない事も共通している。

7118/1300R-001
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今回発表のノーチラスの紅一点。既存ラインナップの自動巻3針カレンダーモデルのベゼルとインデックスに貴石をジェムセットしたコスメティックチェンジの新作。ジュエリーには疎いので初見はサファイアかトルマリン系の石かと思ったが、スペックにはガーネット科(属がしっくりかなァ)のスペサルタイトなる聞き始めの宝石とある。多彩な色目が有るようで、ルビー様の黒味を帯びた赤色を《コニャック》、シトリン様の文字通り《シャンパン》カラーを両端にしてベゼルは68個のバゲットカットによるダブルのグラデーションから構成されている。インデックスは濃色側の《コニャック》カラーのスペサルタイトを単なるバゲットでは無く"オジーブ"型なる縦長の樽型にカットし、18金の土台に天地留めしてセッティングされている。オジーブ型をググれば、ゴシック建築における特徴的な様式デザインで仏語で尖塔アーチとある。形状的にはロケットや口紅の様なトンガリらしいがわかったようで良く判らない。スペサルタイトはドイツ・バイエルン州シュペッサルト郡での発見が石名の由来。スペサルティンガーネットとも呼ばれ様々なオレンジカラーが有り、黄色味が強い(聞いた事が有りそうな)マンダリンガーネットなども含まれるとある。尚、ガーネットの和名は柘榴(ザクロ)石であり、インデックスや12・6時部のベゼルにセットされている《コニャック》色部はさもありなんである。
ソリッドベゼルやブリリアントダイヤベゼルの7118レギュラーモデルと時計スペックは共通で、搭載ムーブメントはCal.324 S C。なぜか新型換装エンジンCal.26-330 S Cへの積替えがレディス・ノーチラスはのんびりの様だ。リューズは捻じ込みと勘違いしがちだが、非捻じ込みで6気圧防水。少しでもリューズ操作を簡単にという配慮なのだろう。ケース厚は8.62mmでなぜかメンズの3針5711&5811(8.3&8.2mm)、プチコン5712(8.52mm)や永久カレンダー5740(8.42mm)よりも若干ながら厚い。妹分のレディスノーチラス・クォーツモデル7010系がたったの6.9mmなのだから自動巻も頑張って8mmチョイに仕上げて欲しい。
さすがにメンズの新作3兄弟?の熱狂ぶりは無いけれども、予想以上にお問い合わせはある。そしてこの手の時計は入荷が非常に少ない傾向があるのでコンスタントな納品が難しい気がする。ガーネットは比較的手頃な宝石だとしてもグラデーション表現の為の色合わせが必須の調達は簡単では無いだろう。これは次回紹介予定のアクアノート・ルーチェのレインボーでも同じことが言えそうだ。

ところで新作メンズ3型のバックルは刷新されている。正確にはバックルそのものではなくてバックルに連なるブレスレット末端部の駒に仕込まれたエクステンション構造が新たに備わったのだ。駒の裏側の微妙な出っ張りを押して2mm引き出せるので両側で4mmまでワンタッチで調整可能となった。
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画像の右側が未調整で出っ張りはプッシュされていない。左側はプッシュして2mm引き出した状態だ。縮める際はただ単に押し込むだけで大丈夫だ。実に簡単である。でも時計脱着時に間違って延ばしたり、意図せず縮めたりは大丈夫なのだろうか。オンラインショッピングの普及と共にエンドユーザー自身によるサイズ調整やストラップ脱着交換を可能にするシステム開発・搭載が様々なブランドで試みられている。カルティエのサントスブレス等はその代表例だろう。パテックはメタルブレスの微調整用に1.5駒のエキストラサイズリンクを別売で用意している。古い考え方かも知れぬがこれだけ高額のラグジュアリーでエレガントな時計はリアル店舗で調整もなんもかんも任せて頂きたいのだ。新機構はあくまで大汗をかいた時に引っ張って緩めるエマージェンシーとして使ってもらいたいのだ。
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表側とサイドビューも撮って見た。お断りしておくが新作ノーチラスはまだ入荷していない。ごく最近入荷の従来品ノーチラスモデルに既に換装搭載されて初入荷したものをタイミング良く気付いて撮影したというわけだ。チラリと覗けるムーブメントをヒントにリファレンスを2つに絞れたアナタは正当かつ深刻なパテックホリックで御同輩と呼ばせて頂きたい。バックル近辺と言うのは普通は自分以外まず見えない。でも自分自身は結構よく目にする部分だ。好き嫌いと断りつつも個人的にはこの見え様はいただけない。さらに言えば汚れゴミの付着が気になり、隙間から構造内部への侵入での不具合を心配してしまう。さらに画像右側のサイドビューからはエクステンション部を仕込んだエンドピースの結構な厚みが確認できる。続きの2駒目はテーパー状となって厚いエンドピースと薄いレギュラー駒の橋渡しをしている。しっかり特許の両側プッシュの新型クラスプ部そのものも旧型より微妙に厚く中央部が少し膨らんでごつくなった感がある。これまた新旧のバックルの着け心地を較べられるオーナーはとても限られるだろうが、ケースだけでなくブレスの薄さもノーチラスの大事な持ち味なのでガチガチに固めてゆくのもナァと思ってしまう。スポーツロレックスのオイスターブレス・バックルも同じ変遷をたどってはいるが・・。

先日読んだクロノス日本版最新号(2022 no.103 P.27)に、来日した世界的に著名な時計評論家ギズベルト.L.ブルーナー氏と広田編集長の対談記事があり、興味深い下りが有った。原文のまま記すと「・・かつて、パテック フィリップのフィリップ・スターンにこう聞かれたよ。ノーチラスがまったく売れないのでどうすればいいのかと。ロイヤルオークにしたって、かつては値引の対象だった」。現在のラグジュアリースポーツの2大巨頭のファンの方の殆どが、2000年以降に興味を持ち始められた50代半ば迄の世代となっている。その方々には想像も出来ないかも知れないが最強トロフィーウオッチ達にも不遇の時代が存在し、結構長く続いていたのだ。1990年代初めに時計業界入りした頃、ロイヤルオークは常時委託で貸出しされ日々目にしていた。ノーチラスでさえも始終開催していた自前の展示販売会に当時の輸入元が無造作に持ち込んでいた。ただ当時もステンレス3針の3800/1Aだけは滅多に入荷しない稀少モデルだった。SSデイトナも同じ状況で、この二つのリファレンスだけが例外的に特殊であり、今から考えればのんびりまったりと実に平和な時代だった。

本稿もいつも通り長文で脱線しばしとなった。お宝ノーチラスが一気に4型ゆえにお赦しいただきたい。次回は残る複雑系中心に残る4モデルをサクッと紹介してみたい。

画像:パテック フィリップ
文責、撮影:乾



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