パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

ご愛読、ありがとうございました

元日から悲しいニュースの連続で始まった今年。当店自身にもとても残念なお知らせがある。実は今月末(2024年1月31日)にて誠に遺憾ながらパテック フィリップのブランド取扱いが終了する。まあ人生だけでなく商売もいろいろとあって、その理由は大人の事情とだけにしておこう。さらに"ついでに"と言うには少々シリアスなのだが、その他諸般の事情や個人的な訳もそこそこ有って、ひと月後の2月末日をもって店舗の営業自体も完全に手仕舞いをする事にした。
ご購入顧客様の愛用時計に関する今後のアフターサービスは、誠に申し訳ないのだがパテック フィリップも含めて各ブランド本体のアフターサービス部門或いは他の正規販売店にご相談頂く様にお願いしたい。で、このブログはどうするか。1月末までのあと数日で非公開はさすがに少しさびしい。出来うる範囲では公開継続できればと願っているが・・

と言う顛末で、本稿が当ブログの最終回となり、このまま此処で「Adieu(Au revoirではなく)、Auf Wiedersehen、Good bye、さようなら」として幕引きするのが正しいのだろうが、商品紹介用に撮り貯めておいた画像がそこそこ有って、忍び難くを偲ぶには胸中に辛いものがある。とは言え各モデルを単独記事として起稿するのは、時間とパッションの面で別の辛さがある。そのような心神喪失というか優柔不断な心根から出た折衷案として、各モデルの抜粋画像と短文コメントで紹介を試みたい。最初で最後のスタイルなのだが、はてさてどうなりますことやら・・

5811/1G-001
過去に何度か触れているがノーチラスという時計はともかく写真写りがすこぶる良い。ケースとメタルブレス全体に写り込みの悩みが無いサテンフィニッシュ(艶消し)が圧倒的でありながら、ポリッシュ(艶有り・鏡面)仕上げがメリハリ量程度に心地よく効いている。さらに針とインデックスに明るい色目の夜光塗料(蓄光タイプのスーパールミノバ)が塗布されていて、鏡面仕上げの針のように撮影時にブラックアウトする恐れが無い。惜しまれつつ生産中止となったステンレス素材モデルRef.5711/1Aの後継モデル的に発表された18金ホワイトゴールド製Ref.5811/1。よりプレシャスな高級素材であっても少々武骨感の漂うスポーティーな表面仕上げは不変で、サクサクのフォトセッションだった。
5811_a.png
だからいつも撮影の腕前が上った様に勘違いする。いわゆる写真写りにおいては抜群にハンサムで間違いないのだが、純粋にイケメンかというと個人的には少々疑問だ。ケース形状は八角形と表現されるが、若干角っぽさが残る掴みどころの無いクッション形状である。さらにバーティカルサテンフィニッシュ(縦筋目仕上げ)の幅広なベゼルを見る度にナマズや鯉の分厚い唇を想像してしまうのは私だけであろうか。見慣れてしまって気にならなくなった左右の"耳"も金運に繋がる福耳かもしれないが、およそスタイリッシュには思えない。ブレスレットデザインは好き嫌いの別れるところか。

5990/1A-011
5990_1A_-011.png
1976年にジェラルド・ジェンタが生み出したノーチラス。特殊なケース構造の採用でたった8mm強の薄いケース厚と当時としては画期的な120mもの防水性能の両立は、前者のラグジュアリーテイストと後者のスポーツ機能がハイブリッドされ文字通り"ラグジュアリースポーツ(通称ラグスポ)"の元祖となった。腕時計が誕生して以来、このラグスポと言うジャンルは嘗て無い隆盛を極めている感がある。正直なところ「えっ!おたくも無理やりラグスポ作りましたか?」とあきれてしまう状況にさえなっている。
しかし、ノーチラスがデビュー時から商売的に順風満帆であったとは言い難い。ロレックスのデイトナと同じようにステンレス製のベーシックモデルに限れば、既に1990年代には恒常的に品薄であったが、コレクション全体に火がついたのはシリーズ発売30周年2006年の画期的なフルモデルチェンジが契機だったように思う。それ以前はパワーリザーブインジケーター以上の機能を持たなかったノーチラスにクロノグラフや年次カレンダー・・等の複雑機能が次々と搭載され人気がブレイクしていったのだ。と同時に着用感にダイレクトに響くケースの薄さはある程度犠牲となってしまった。
5990-5811-b.png画像左の5990フライバック・クロノグラフ・トラベルタイムのケース厚12.53mmはその代表格である。メカメカしいディスプレイとブラック・グラデーションのブルーダイヤルのイケメンぶりには文句なく脱帽なのだが、3針5811(画像右)やプチコン5712が鎧兜の兵士や武者だとすれば、アイアンマンのような重厚感を感じてしまう。でもシュワちゃんやスタローンの様なマッチョな腕っぷしには最高の相棒と言えそうだ。

5180/1R-001
5180_a.png
スケルトンウオッチも現在進行形のトレンドで間違いない。その代表格はリシャール・ミルではなかろうか。2001年に誕生したそのスタイルはとても立体的で3次元的であり、後を追う模倣モデルも様々なブランドで多々ある。個人的にはアーティスティックな建築構造物を眺めるような気さえしてくる。
しかしかなり古くからそれら今日スタイルとは一線を画した、薄さと彫金装飾性を追求した伝統的なスケルトン仕様の時計トレンドは存在した。ピアジェ、ヴァシュロン・コンスタンタン等が著名で、セイコーもクレドールから秀逸なものをリリースし続けている。パテック フィリップにおいても彫金と薄さをコンセプトにした王道のスケルトン時計は地味ながら脈々と製作され続けている。興味深いのはこの様式のスケルトンタイプの時計は手巻ムーブメントの採用が圧倒的に多いのだが、パテックは知りうる限り極薄型自動巻Cal.240を採用し続けている事だ。9時位置辺りの控え目なサイズの22金製の偏心マイクロローターが成し得た芸術的快挙である。
ただ残念なのは繊細で芸術的レベルが高すぎて、拙い画像では現物の凄みを上手く伝えられない事だ。そんな諦めから撮影も深追いは出来ず、サッサと終わらせて・・諦めてしまった。この手のスケルトンモデルはその希少性もあってブランドを問わず実機を見る機会を中々得ないが、チャンスに恵まれれば絶対に見逃してはいけない。
5180_b.png
決して美しい画像ではないが、肉眼では見る事が不可能なカメラ目線ならではの不思議な撮像。カメラを嗜む方には釈迦に説法ながら、絞りを開放し被写界深度を狭くして、スケルトンムーブメント越しにブレスレット裏側のバックル部にピントを合わせてみた。すみません!個人的満足の為の掲載なので飛ばし読みして頂きたい。
尚、以前はペアデザインの女性用スケルトンモデルRef.7180が存在していた。搭載ムーブメントはケース径僅か20.8mm、厚み1.77mmのフレデリック・ピゲ社エボーシュの極薄手巻きCal.177だったが、スウォッチグループからのムーブメント供給リスクからか2016年頃に生産を止めてしまった。理由も含めて大いに残念である。カラトラバの手巻きに5119&7119と言う売れ筋コレクションが唯一のペアデザインとして頑張っていたが、ディスコンとなってしまい現在カタログ掲載されるペアモデルは空席が続いている。

5905/1A-001
グリーンダイヤルのトレンドも気づけば結構長続きしている。けれども緑と言う色は個人的には凄く難しい色目だと思っている。正直なところ自分の手首に巻く自信がないモデルがブランドを問わず多々ある。パテックのグリーンダイヤルモデルもそこそこ有る中で最もしっくりと好印象なのが、年次カレンダーとフライバック・クロノグラフを併載する5905/1Aだ。緑と言う微妙な中間色の画像再現性に難が有って、現物の色目との乖離が残念ながら相当ある。
5905_1A.png
大胆にコンケーブ(逆ぞり)した存在感抜群のベゼルと文字盤上部に弓型に並んだ逆台形形状のカレンダー窓、ソレイユ(放射状)パターンに輝く電解めっき着色の緑文字盤。そんな、こんなで、この時計には何処となく男っぽい色気を感じてしまう。さらにアクアノート専用ブレスレットと同一デザイン形状のポリッシュとサテンのコンビネーションブレスレットも微妙な曲線仕様がセクシーさを醸している。
特筆すべきはプラチナや18金ではなくステンレス素材でリリースされた事である。この時計のルーツは2006年発表の大ヒットモデルRef.5960Pにまで遡る。同モデルは8年間の栄光の歴史の後、2014年にセンセーショナルなステンレス素材変更モデルRef.5960/1Aへと生まれ変わった。その1年後2015年には派生発展モデルとしてRef.5905Pも誕生した。その後ダイヤルカラー追加や18金素材追加などなどあって、さらに嬉しいステンレスモデルがメタルブレス仕様で2021年に5905/1Aとして加わったわけだ。この流れは明らかに5960の変遷をなぞっている様で面白い。

もう少しお蔵入り画像が残っているかと思いきや保存と整理のズボラもあって、たったの4モデルで最終稿の結末を迎えてしまった。なんかスカスカで中身も無いのだが、残り時間が迫った1分将棋の様な状況なのでご容赦いただきたい。
2015年6月に当店2階を増床して追加導入したパテック フィリップ。約2か月後の8月14日に我々スタッフの勉強も兼ねてスタートした本ブログ。可能な限り実機撮影に拘った事で、提供される情報だけでは気付けないウンチクを盛り込み、ねちこく、ひたすら長文ダラダラを自戒しながら起稿する事、8年5カ月、180回に及んだ。最後の方は個人的事情で超スローペースとなったが、商品紹介だけではなく、歴史や経営者、製造や伝統的技法、など自身が把握認識してきたブランド全体像はほぼ伝えられたのではないかと思っている。本当に長い間のご愛読を心より感謝申し上げる次第である。ありがとうございました。

2024年(令和6年)1月 カサブランカ奈良 乾 真一

コメントする

※ コメントは認証されるまで公開されません。ご了承くださいませ。

公開されません


画像の中に見える文字を入力してください。

Pagetop

カサブランカ奈良

〒630-8013 奈良市三条大路1-1-90-101
営業時間 / AM11:00~PM7:00
定休日 / 水曜日・第一木曜日
TEL / 0742-32-5555
> ホームページ / http://www.tokeinara.com/

サイト内検索