パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

ワールドタイム 一覧

「多分、今年はまだ無理だと思いますが駄目モトでエントリーしときましょう」
パテック フィリップのコレクションには購入しにくいモデルが多々あるが、さらに購入方法が一筋縄でゆかない物もある。正直なところ我々販売店にも明確な基準が掴めているわけでも無い。さらに突っ込んで言えば輸入元であるPPJ(パテック フィリップ ジャパン)のスタッフですら、納期は勿論の事、入荷の可否が薄ぼんやりとしか予想出来ない事も間々ある様だ。
判り易いのは通常のカタログに未掲載の限りなくユニークピース(一点もの)や或いはそれに近い一桁しか製作されないレア・ハンドクラフト群。当然時価であり、現物はショーケースのガラス越しに年一回のスイスの展示会(昨年まではバーゼルワールド)の際にパテックのブース内展示を見るしかない。PPJ経由で注文を入れても大半が却下され極少数しか入荷していないようだ。
次がカタログUPされているが価格設定が、時価となっているグランド・コンプリケーション群。ミニット・リピーターとスプリットセコンド・クロノグラフが代表モデルで、永久カレンダーやトゥールビヨンが追加搭載されたハイブリッドな超複雑モデル等も有る。さらには現代に於いては新月の夜を選んで、人跡未踏地まで赴むかねば感動に浸る事すら難しくなった満天の星座達が生み出す一大叙事詩を、手首の上で真昼でも堪能できる"どこでもプラネタリウム!"の様な天文時計が組み合わさったドラえもんウオッチの様なモデル等もそれである。
アレや、コレや、ソレらの時計達は、注文そのものは一応可能だ。ただ経験的に複数のパテック フィリップのタイムピースを購入している実績の有る店舗からのオーダーでないとまず購入の見込みは無いと思われる。では、どの程度の実績が必要か?という事が判然としない。基準と言うものが無い。しかし無い無い尽くしで、取りつく島もなく溺れる人を見捨てる訳にもゆかず、個人的な独断でロープ付きの浮き輪を投げる事とする。
本数的な実績(同一店舗限定)は、8本から10本程度かと思われる。その内には定価設定有りのグランド・コンプリケーションが2本位(永久カレンダーと永久カレンダー・クロノグラフとか)含まれるのが望ましそうだ。さらにはノーチラス&アクアノート比率が半分以下と言う辺りだろうか。さらに言えば理由の如何を問わず、購入品が間を置かずに夜店の屋台などに並んでいたりすると実に面倒で難儀な話になって・・・1970年代のジャンジャン横町のようなラビリンスに迷い込み生還はおぼつかなくなるのである。
では、皆さんが高い関心を持たれているノーチラス&アクアノートの購入基準はどうか。過去何度かこの難問には触れてきた経緯があるが、コロナがやって来ようが、世界各地でデモの嵐が吹き荒れようが、お問い合わせの電話とメールと来店は引きも切らない。増える一方の狂喜乱舞にして百花繚乱なのである。2015年という微妙な最近にパテックの取り扱いをスタートした当店の最初の2年ぐらいは、今にして思えば"パラダイス"と呼んで差支え無かった。狂喜乱舞の温度が今現在より低温だった事もあるが、運よく知名度の低い天国に辿り着かれた幸運な方がおられた。しかし今は、この2年弱位で天国は、地獄とは言わずとも荒涼な荒野になってしまった。店頭限定での購入希望登録は受け付けているが、過去と将来のパテックご購入実績がお有りの顧客様へ優先的に販売したいので、中々ご登録だけのお客様にまで現在の入荷数では廻らない状況になってしまった。パテック社の方針として生産数を増やす事は考え辛いので、現在の異常人気が落ち着かない限り荒野を襲う嵐の厳しさは増すばかりではなかろうか。ただし、アレやコレやソレやの時価モデルの購入が棒高跳びレベルとすれば、ノーチやアクアはモデルによっては少し高目のハードル程度の高さだと言えなくもない。
毎回の事ながら長い前置きはさておいて、本題に入ろう。前述の棒高跳びレベルにはもう一群あって、定価設定の有るカタログモデルながら、本日冒頭の「駄目モトでエントリーしときましょう」というややこしいモデル。エントリー過程は、もっとややこしい話になるので、僭越な言い方になるが棒高跳びの半分くらいまでよじ登って頂ければご説明申し上げます。そんな意味深な本日の紹介モデルRef.5231J-001YG製ワールドタイム・クロワゾネ文字盤仕様。
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通常の現代ワールドタイム第三世代Ref.5230と何がどう違うのか。結論から言うと品番末尾と見た目が違うだけである。具体的には素材が、5230には設定の無いイエローゴールドである事。次に文字盤センターがギョーシェ装飾ではなくクロワゾネ(有線七宝)と称される特殊なエナメル加工で装飾されている事。最後が時針の形状がパテック特有の穴開き針(Pierced hour hand)では無くてRef.5130(2006~2015年、現代ワールドタイム第二世代)で採用されてファンも多かったアップルハンドが採用されている。分針はリーフハンドでほぼ同じ形状だ。個性的で押出の強いクロワゾネの印象によってレギュラーモデルの5230との相違感が圧倒的で、見落としてしまいそうになるがアップルハンドも特別感の醸成に大きく貢献している。
過去にベースモデルの5230を始め、第2世代5130も紹介してきた。さらにレア・ハンドクラフトの一つであるエナメルも或る程度(完璧に理解出来ているわけでは無いが・・)記述している。まさかの入荷に発注されたお客様同様にビックリして意気込んで撮影し、記事を書き始めたものの、さて一体何を書こうかしらん。
一体全体どうしてこのタイムピースがそれほど希少で追い求められるのか。これは重要な考察になりそうである。思うに幾つかの要素がありそうだ。まずレア・ハンドなのでそもそも年間の製作数が非常に限られる。価格がそこまで高額ではなく、永久カレンダーや手巻クロノグラフより手頃である為に購入を検討をする方が多い。カタログ外のユニークピース・クラスの文字盤全面クロワゾネ2針のシンプル自動巻時計よりも手頃で、購入過程はややハードルが低い(あくまで今回感じた事だが・・コロナが影響したか)。そんなこんな諸事情が有るが、恐らく最大の理由はその歴史に有りそうな気がする。ワールドタイムの父とも言えるジュネーブの時計師ルイ・コティエは、1937年~1965年の間にワールドタイムを400個あまり製作しているのだが、当時製作された世界地図をモチーフにしたクロワゾネ装飾のセンターダイアルを持つヴィンテージな個体が、2000年頃以降のオークションで「そら、もう、なんで?」だったり「・・・・・?」だったりが続いた。いつの世も数寄者のガマ口は、熱気球クラスだという事らしい。

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28年間で400個は平均年産数は約14個。『パテック フィリップ正史』によれば、アンリ・スターンが社長就任した1959年の年産が6,000個とあるので、わずか2.3%に過ぎない。その中でクロワゾネ技法による地球装飾バージョンはどの程度あったのかは判然としない。さらに上図の中央は北米大陸であり、左はユーラシア大陸とアフリカ、さらにオセアニアまでが広く描かれたバージョンとなっていて図柄にはかなりバリエーションがある。現代よりはクロワゾネに携わる職人が多かったと思われるが、手仕事ゆえ量産は利かなかっただろうからモチーフ毎の個体数は限定的と想像される。
単純比較は出来ないが6月1日の為替レート(1CHF≒112円)として、左の1415の売価が約219,000円。49年後の落札額が約3億840万円で単純計算では1,400倍。中央の2523は売価不明ながら1989年にCHF36万(4千万円強)で落札された経緯を持ち、その後23年で約3億1千万円に大化けしている。
2000年に40年以上の時を経て復刻された現代ワールドタイムのRef.5110にはクロワゾネバージョンが用意されなかった。2006年にその第2世代としてRef.5130がデビュー。さらに2年後の2008年に待望の現代版クロワゾネダイアル・バージョン(上画像右端)が蘇った。大西洋を中心に両側にヨーロッパ・アフリカ大陸と南北アメリカ大陸が描かれている。今回紹介の5231とほぼ図柄は重なるが、使用されている七宝釉薬の多彩さでは5231の方が上回っている様に見られる。同モデルでは他にWG・PT素材も製作された。図柄は全て異なっており、PTはメタルブレス仕様で今現在も継続生産販売されているが入手の困難度合いは、やはり棒高跳びの世界となっている。
生産中止YGモデル5130Jの市場価格だが、個体によって非常にばらつきがある様だ。OSVALDO PATRIZZI他の資料では上記の60万ユーロ(約7,400万円)等というとんでもない見積もりもあるが、一方で18,000ユーロ(220万円余り)と言うにわかに信じがたい見積もりもある。ネット検索での国内2次マーケットでは税込1,100~1,200万円辺りが多いようだ。現代ワールドタイムもクロワゾネ仕様になるとプレミア価格にはなっている。ただ、なってはいるもののノーチラスSSの様な狂乱相場ではない。これはやはり実用性の延長にある時計として捉えられるばかりでは無く、嗜好、趣味、鑑賞といった芸術的側面を有している事で、良くも悪くも対象顧客が絞り込まれてしまうからだろう。平たく言えばニッチマーケットの稀少モデルなのであろう。
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さて、クロワゾネ(仏:cloisonné、有線七宝)等のエナメル技法について書きだすとキリがない。そしてまた何度も繰り返しになるが、製作現場をおのれのマナコで確と見た事も無いので資料を探してきて、ふわふわと書き綴っているに過ぎない。上画像の左右を較べると右側で有線の何たるかが何となく判るだろうか。
久々のエナメル紹介なので、製作工程のおさらいを少し。まず文字盤素材(大体18金)
に図柄を描いて(鉛筆なのかペンなのか、良く知らない)、高さ0.5mmの金線(銀、銅の事も)をスケッチに従って、辛気臭く曲げながら接着剤で文字盤に貼り付けてゆく。次にフォンダンと呼ばれる透明の釉薬(粉状ガラスの水溶液)を塗布し摂氏750~800度辺りの決められた温度に熱した窯で焼く。時間は極めて短い様だ。焼結の状態を常に目視して焼き過ぎを防ぐ。この際に文字盤裏側にも透明釉薬の捨て焼をする。これは表側の塗布・焼成を繰り返す事で表裏の膨張率が異なって文字盤が反る事を防止するためである。金線で囲まれた部分に様々な色の釉薬を焼成後の色滲みを想像しながら塗布してゆく。これを焼成するが、釉薬は焼成で目減りするので、何度も塗布と焼成を繰り返して金線の高さまで焼成面を盛り上げてゆく。勿論、この時点で表面は凸凹なので金線もろとも全体を均一にポリッシュ(恐らく砥石と水)する。平滑になったら最後にフォンダン(透明釉薬)を塗布焼成し保護膜を作って完成。
15分、30分等のクォーターインデックスはかなり早い段階で植字されていると思われる。時分針用のセンターの針穴は元々開いているだろうが、焼結後にエナメル層を穿って開け直す必要があるはずだが、クラックが入るリスクがある。その他にも焼成時のトラブルもあるので、エナメル文字盤は歩留まりがとても悪い。ゆえに生産数が限られてしまう。幾多の艱難辛苦を乗り越えて完成した良品文字盤にPATEK PHILIPPE GENEVEのブランドロゴをシリコン転写してお疲れさまとなる。かなり書き込んだ過去記事はコチラから。
日本に於いてシルクロードから伝わった七宝が盛んに作られるようになったのは17世紀と割に遅い。さらに有線七宝は、明治時代になってから急速に技術発展したが、現在は後継者難もあり存続が危ぶまれている。
愛知県には2010年まで七宝町という町があって、現在も僅かに数軒が七宝を製作している。前から信州に行くときにでもどちらかの窯元?さんを訪問して、見学したいものだと思いつつ未だ実現できていない。彼の地の若き有線七宝職人達の挑戦が紹介された動画が有ったのでご興味のある方はコチラから。スイスのクロワゾネダイアルそのものの製作工程動画は、残念ながら適当なものが見つからなかった。

Ref.5231J-001
ケース径:38.5mm ケース厚:10.23mm 
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:YGのみ
文字盤:18金文字盤、クロワゾネエナメル(中央にヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸)
ストラップ:ブリリアント(艶有り)チョコレートブラウン手縫いアリゲーター
バックル:18金YGフォールドオーバークラスプ
価格:お問い合わせください

マイクロローター採用の極薄自動巻Cal.240をもう何度撮影した事だろう。でもこの角度から捉えたのは初めての気がする。初見でどうという事なく、必要な仕上げをぬかりなく極めてまじめに、そう必要にして充分に施されているのはパテックのエンジン全てに共通である。奇をてらっておらず、飽きが来ないのは表の顔だけじゃなくパテックのデザイン哲学の土台なのだろう。
世の中に彼女にしたい美人時計は一杯あるが、雨の日も、晴れの日も、健やかなる時も、病める時も、絶品の糠漬けを作り続けてくれる愛妻時計の趣を持っているのがパテック フィリップの最大の魅力だと思う。
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Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE INTERNATONAL MAGAZINE Vol.Ⅱ No.01
PATEK PHILIPPE INTERNATONAL MAGAZINE Vol.Ⅲ No.07
PATEK PHILIPPE THE AUTHORIZED BIOGRAPHY パテック フィリップ正史(Nicholas Foulkes ニコラス・フォークス)
COLLECTING NAUTILUS AND MODERN PATEK PHILIPPE Vol.Ⅲ(Osvaldo Patrizzi他)

文責・撮影:乾 画像提供:PATEK PHILIPPE S.A.

今年は7月が涼し目で8月はお盆迄が酷暑、盆明けはずっと雨ばかりで少し暑さもやわらぎ秋の風情。ところが9月に入って残暑?とは言えない猛暑に逆戻り。世界的にもハリケーンや台風が年々その猛威を増している様で、天候不順を通り越して徐々に住みにくい地球化が進んでいるような気がする。経済、政治、宗教、移民などに端を発する世界各地での諍いにもこの異常気象による人々のいらだちが拍車をかけているのかも知れない。
前回に引き続き紹介するワールドタイムには、そんな世界でのパワーバランスの変遷が反映されてきた歴史が詰まっている。タイムピースであると同時にタイムカプセルの一面を持っている。
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最新の文字盤を装備したRef.7130R-013レディス・ワールドタイム。判り易いターニングポイントはTOKYOとBANGKOKの間に存在する。パテック社が表示都市名の変更を決めたのは昨年度で、よもや変更前の都市が一年以内にアジア最大の政治問題を抱える事になろうとは想像も出来なかっただろう。前回紹介したメンズ同様にセンターギョーシェには透明なエナメル焼結処理の上からSWISS MADEとプリントされるが、なぜなのか文字間隔がかなり開いている(特にM A D E)。気になって他のレディスモデルの実機やカタログを見たが、どうもこのワールドタイムだけの特殊仕様のようだ。
下記画像はModèle 1415 HU(1939)、現在1時間の時差を持つLONDONとPARIS、古くは同じ時間帯を採用してきた。文字表記もLONDRESだったり、東京はTOKIOとなっていて興味深い。
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当時は一つのタイムゾーンに対して2~3都市の表示がざらにあって、デザイン的な座りの良さよりも主要な都市を出来るだけ盛り込む実用性が優先されていたようだ。アラスカとタヒチが同じ時間帯を共有しているという面白い発見も出来る。さしずめ東京と併記されそうなお友達は親日国のパラオだろうか。
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メンズの現代ワールドタイムは第3世代(2000年/第1世代Ref.5110、2006年/第2世代Ref.5130、2016年/第3世代Ref.5230)まで進化している中で、レディスは2011年に初出となっている。どのメンズともペア仕様ではなく、カラトラバの素直なクンロクケースにダイアルはメンズ初代Ref.5110に似た顔が与えられた。針の形状はほぼ同じだ。
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ワールドタイムのほぼ完全なペアモデルとしては2014年の175周年記念としてムーンフェイズ付きの限定モデルが発表されている。もちろん凄まじい争奪戦だった。(上の画像)
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メンズと全く同じ極薄自動巻キャリバー240 HUを搭載するがケースの厚みは8.83mmで紳士用(10.23mm)より1.4mm薄く仕上げてある。ベゼルへのダイヤセッティングは見るからに滑らかで衣類への引っ掛かりを防止するパテックらしい実用的な設計だ。
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ピンバックルにも27個のダイヤが同様にセットされている。ところでレディスにはいわゆるメンズのフォールディングバックル(二つ折りタイプ)が初期設定されているモデルが非常に少ない。ノーチラスやアクアノートのレディスには専用のメンズ同様の両観音バックルが初期設定されているのだが、今回のワールドタイムの様なクラシックなモデルではほぼ全てピンバックル仕様でリリースされている。別売アクセサリーとして11mmや14mmの各素材の二つ折りフォールディングバックルは用意されているし、2014年リリースの175周年記念限定レディスモデルにはフォールディングバックルが初期設定だった。対応は出来るにもかかわらずピンバックル主流はなぜか。
少し前までブライトリングのストラップモデルは男女ともピンバックルとフォールディングバックルを購入時に選択する事が出来た。男性は殆どが少し高くなるフォールディングタイプを選び、女性はほぼ全員がピンタイプを選択した。着脱時の万が一の落下を嫌がる男性、一方女性は見た目同じなら少しでも財布に優しい方が良いという意見だった。パテックの場合は18金素材が圧倒的に多いので両バックルの価格差は結構あるのだが、それがレディスをピン主流にしている理由かどうかは判然としない。個人的には女性は少しでも軽くて、細めの腕にはフォールディングタイプの曲線カーブの形状が個人個人にフィットし辛いからではないかと思っている。


Ref.7130R-013
ケース径:36mm ケース厚:8.83mm 
ラグ×美錠幅:18×14mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:RG,WG
ダイヤセッティング:ベゼル(62個 約0.85ct) ピンバックル(27個 約0.21ct)
文字盤:アイボリー・オパーリン、ハンドギョーシェ ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブリリアント(艶有り)・ダーク・チェスナット手縫いアリゲーター
価格:お問い合わせください
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ケース径36mmもメンズより2.5mm絞られている。手巻きクロノグラフなどもそうだが男女共通のエンジンを積むモデルでは、ケースとムーブのタイト感がレディスの方が勝るので後ろ姿に於いては見返り美人の婦人物に軍配を上げたい。

Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

文責、撮影:乾
参考:Wristwatches Martin Huber & Alan Banbery P.243
2014年刊行-パテック フィリップ創業175周年記念 P.28,29

PATEK PHILIPPE 公式ページ
PATEK PHILIPPE 公式インスタグラム
※毎月19日未明に新規投稿有り(スイス時間18日18:39ブランド創業年度由来)月一投稿なので作り込みスゴイです。
当店インスタグラムアカウントinstagram、投稿はかなりゆっくりですが・・

さすがに何度目かの紹介となると蘊蓄を書く事は難しい。だがインスタ用に取り直した下の画像が結構気に入ってしまって、無理やりしつこい紹介をそのイケメンな造形を切り口に挑戦する事にした。お暇な方はお付き合いください。
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個人的にはとても好印象な2016年デビューのハンサムウオッチ。ただ長男(Ref.5110、2000年発表)と次男(Ref.5130、2006年発表)に備わっていたチョッとボテッとした平たいお餅か饅頭を想像させる親しみやすいケース形状と比べると、凛々しさが災い?してか求める方が少しだけ厳選されている感じがする。このところビジネスシーンでのドレスコードのトレンドは、かなりカジュアルになって来ていてスーツよりジャケパンが主流になって来ている事なども影響しているのかもしれない。
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しかし、自分自信の本性が全く凛々しくなく軟弱なので個人的にはクンロクケースっぽい三男坊の折り目正しさに惹かれてしまう。真正面から見たサイドラインが、長男と次男は柔らかくまるで女性の姿態を思わせるシルエットをラグからリューズにかけての描き(リューズガードのお陰で)凸凹無く反対側のラグまで流れてゆく。対して末っ子はウイングレットラグでまずエッジを効かせリューズもしっかり露出させて、どこまでもメリハリがついている。本当にマッチョで端正なのである。まるで異母兄弟か種違い(下品な表現ですみません!)の様だが、搭載されるエンジンは全く同じであり血統は守られている。ちなみに年子?の2017年リリースのRef.5930ワールドタイムクロノグラフのケース形状も厚さが増すもののほとんど三男と同じである。

ところで不勉強の故、最近まで気付いていなかったのがギョーシェ装飾におけるフランケエナメルの存在。これはギョーシェの掘り込みが施された上に透明な釉薬(ブルーやグレー・ブルーの金釉)を焼成し、研磨を掛けてギョーシェの美しさを封じ込めると共に透明な平滑面を得る手法である。この手の文字盤をじっくり観察すれば宙に浮くシリコン転写プリント部分によって誰でも簡単にそれを確認できる。
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白色のSWISS MADEの転写プリントはどう見ても平滑面に乗っかっている。さらに文字の影がギョーシェ表面に写っている。もっとダイナミックな以前に紹介済みのレディスカラトラバRef.4897の参考画像をもう一枚。
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勿論パテック フィリップの専売特許では無くて、スイス時計ではよく知られた技法ではある。しかし良好なエナメル焼成を文字盤に施せるのは非常に限られたダイアルサプライヤーに限られており、文字盤に妥協の無いパテックならではと言える。現行ラインナップで同様のギョーシェ文字盤が採用されているモデルは限られておりメンズのワールドタイム系のメンズRef.5230、5930、レディスRef.7130と上記画像のRef.4897のみとなっている。ワールドタイムの歴史、機能や機械については繰り返しとなるので過去紹介記事をご参考されたい。
尚、都市表記が一か所(HONG KONG→BEIJING)に最近変更されている。


Ref.5230G
ケース径:38.5mm ケース厚:10.23mm 
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:WG,RG,
文字盤:ラック・アントラサイト、ハンドギョーシェ ゴールド植字インデックス
ストラップ:ブリリアント(艶有り)ブラック手縫いアリゲーター
価格:お問い合わせください


キャリバー名Cal.240 HU末尾のHUはHeures Universelles(仏:時間 世界)の頭文字だ。ちなみにパテック社のHP内には用語解説ページがあって時々御厄介になっている。1977年開発の極薄型自動巻キャリバー240(厚さ2.53mm)にワールドタイムモジュールを組み込んだ240 HUは3.88mm。これは厚み的には永久カレンダーキャリバーの240 Qと全く同寸である。たった1.35mmの各モジュールに地球やら100年やらが封じ込められている。
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Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ
PATEK PHILIPPE 公式インスタグラム
※毎月19日未明に新規投稿有り(スイス時間18日18:39ブランド創業年度由来)月一投稿なので作り込みスゴイです。
当店インスタグラムアカウントinstagram、投稿はかなりゆっくりですが・・

【2019パテック フィリップ展のご案内】
とき:2019年8月31日(土)・9月1日(日)11:00-19:00
ところ:カサブランカ奈良 2階パテック フィリップ・コーナー

文責、撮影:乾

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昨年のバーゼルはこのモデルの話題で随分盛り上がった。音系とカレンダーを除いた2大コンプルケーションともいえるワールドタイムとクロノグラフとの夢の組み合わせ。今まで無かったのが不思議だなと発表時には思ったものだが、実は毎日のようにその原型となった時計を見ていたのだった。本ブログのテキスト的存在の「PATEK PHILIPPE GENEVE」HUBER & BANBERY著のブックカバー掲載のRef.1415HUがそれ。手巻きクロノグラフに初期型のワールドタイムを組み合わせたスペシャルオーダーのユニークピース(製造No862 442)。一番外側のシティディスクは手動で、インナーの24時間リングはリューズの時刻調整と連動して操作する形。現代では別々のLONDRES(LONDON)とパリが同じタイムゾーン。東京はTOKIOとされ隔世の感がある。
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ところでこの時計の解説文には30分計クロノグラフとの記載があるが、どう見てもそれらしき機能は見られない。ただこの時計にはパルスメーター(脈拍計)が2系統も用意されている。外側の220-20目盛が15回の脈を数えて1分間の脈泊数を知るレールで24時間計の内側60-10目盛のレールは5回の脈で1分脈拍を読むチョッとずぼらな脈拍計。他ブランド等の手巻きクロノグラフでパルスメーター付を見てみると30回脈で測定するタイプが多い。想像するにこの時計はタイムゾーン移動の多い医療関係者が積算目的ではなく脈拍測定を主な用途としてクロノグラフ機能を特注で附加したのかもしれない。
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翻って現代版にはやや小ぶりな30分積算計が付きパルスメーターは無い。タイムゾーン移動はリューズではなく10時位置のプッシュボタン一つで短針とシティディスク&24時間ディスクを連動して1時間単位で同時に変更できる。これは1959年にジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏が開発・特許化した技術。実に60年近くにわたって使われ続ける実用的な仕組み・・誠に機械式時計の世界は息が長いと言うか何というのか・・
ダイアルセンターは定番ワールドタイムに倣ってギョーシェ装飾が施されている。紋様はシンプルかつ力強くモダンテイスト。ちなみにクロノグラフはパテック最先端の垂直クラッチ搭載のフライバック付き。キャリバーで言えば自動巻CH28-520系なのだが、初見では一瞬手巻きではないかと思ってしまった。それは各プッシュボタンの形状がスクエアかつ上下面がサテン仕上げになっているためだ。この組み合わせは現行ラインナップでは初めてのハズ。まあ30分計が6時位置なのでキャリバーは限られるのだけれど・・
ラグの形状もワールドタイム繋がりでか段差付きのウイングレットラグ。
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尚、クロノ秒針がこの時計では通常秒針として使用可能である。これはパテック開発の優れた垂直クラッチの賜物である。また24時間ディスクとシティディスクの間にある秒スケールは28800振動(4Hz)に合わせて4分の1秒で刻まれている。どうもこの時計、ケース形状はクラシカルながら顔は結構モダンである。
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フルローター自動巻きに垂直クラッチという厚みが出る組合せにワールドタイムモジュールを組み込んでいる。それでもムーブ厚を7.79mmに抑えている。構成部品数343個もあるというのに流石です。実はスペースの都合で30分計の位置がオリジナルから微妙に変更されているらしい。ケース厚さ12.86mmもスクリューバックケースに両面スケルトンなら妥当な厚みか。

Ref.5930G-001 ワールドタイム自動巻フライバッククロノグラフ
ケース径:39.5mm ケース厚:12.86mm ラグ×美錠幅:21×16mm
防水:3気圧
ケースバリエーション:WG
文字盤:ブルーオパーリン ハンドギョーシェ 蓄光塗料付きゴールド植字バーインデックス
ストラップ:マット(艶無し)ネイビーブルーアリゲーター 
バックル:フォールデイング(Fold-over-clasp)
価格:税別 8,040,000円(税込 8,683,200円)2017年8月現在

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チョッと飛び気味になってしまった後ろ姿。

Caliber CH 28-520 HU:ワールドタイム機構付コラムホイール搭載フルローター自動巻フライバッククロノグラフムーブメント

直径:33mm 厚み:7.97mm 部品点数:343個 石数:38個 
パワーリザーブ:最低50時間-最長55時間(クロノグラフ作動時とも)
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)

PATEK PHILIPPE 公式ページ 

文責:乾
参考:Patek Philippe Internaional Magazine Vol Ⅳ No.2
Wristwataches Martin Huber & Alan Banbery P.270




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今年の新作で最も期待値が大きかったのがワールドタイム。今春早々に超希少品で少々特殊なクロワゾネ(有線七宝)文字盤のローズゴールドケース1品番を除き全てが生産中止発表になった人気のRef.5130。当然後継モデルが出て当然なのだがローズとホワイトのレザーストラップタイプのみの2本限りは個人的には肩透かしされた感じ。
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恐らくプラチナはそのうち追加されるのではないか。ただイエローゴールドはどうなのか?今年の新作でイエロー素材は新しい永久カレンダーRef.5327Jの一点きりである。ちなみにローズは12点もあって、あまりにも差が激しい。
ここで少し脱線して、いくつかの時計ブランドを調べると、はたしてイエローゴールドケースは絶滅危惧種状態である。そんな中で今年APのロイヤルオークが新たにYGをラインナップし直してきたのはニュースですらある。パテックも随分と偏ってきているが、ド定番モデルにはほぼイエローが踏みとどまってる。2016カタログを素材別に追っかけたのが下表。
注:ノーチラスクロノRG/SSコンビ1点はSSとした。
素材分析表.gifプラチナがグラコンで最多の素材であり、全体でもステンレスと同数なのは流石にパテックならではだが、ここまでRGが多いとは正直ビックリ。特にレディースでYG貧弱化が顕著で、YG全14Ref.中でRef.7121Jのブレスストラップの2型のみしかない。断捨離好きなのに妙に物持ちが良い姐がたまたま取っていた今や貴重な2000年のカタログを開く。
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いやぁ~まあイエローだらけ真っ黄色だ。掲載モデルの7割弱がYG。右端には今回紹介の現代ワールドタイムの初代Ref.5110のプラチナとローズが居るがYG・WGが見当たらないので全モデルは掲載されていない。カタログと言っても縦30横70cmの薄手のコート紙の裏表という実に簡便な印刷物で現行カタログとは隔世の感がある。ネプチューンなど今はもう無いシリーズもあったりするので取り合えず別刷りのプライスリストから素材別に拾って見たのが下表。
注:ゴンドーロガブリオレRG/WG1型はWG、ノーチラスとネプチューンのYG/SS2型はSSとした。
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全リファレンス数はほぼ同じ。圧倒的なYGにRGを加えて金色系115Ref.(55%)と半分を超えている。この16年で激減したYGの大半はRGとなり一部PT、SSにもシェアを明け渡し、2016年現在はプラチナ・ステンレスが共に約1割でWGと合わせれば銀色系が115Ref(56%)と逆転している。

本題に戻って、ワールドタイム。2016年に生産中止発表となったRef.5130の紹介と多少重複するがおさらいをする。1930年代後半からジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏により製作が始まったワールドタイムは前期型として時分針リューズと24時間ディスクの連動操作システムを搭載してスタート。シティディスクは今日の回転ベゼルの様に手動で回していた。その11時ごろに現在時差ありのLONDRES(ロンドン)とPARISがあって当時は同一時間帯に属していた。3時半ごろにはTOKIOとあって中々面白い。下画像:Modèle1415HU(1939)
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1950年台に入っても基本は同じでシティディスクを9時位置に設けた第2リューズで回すように若干進化した後期型(1953年~)が作られるようになった。東京はTOKYOとなり、ロンドンもLONDONとなっているがパリとはまだお友達だ。下画像のModèle2523(1955)は今回紹介するRef.5230のデザインソースとされている。
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しかしワールドタイムは50年代中頃に生産が終了される。理由は調べたが判然としない。1950年代というのはそれまでのプロペラ機に代わってジェット旅客機が登場し、飛行機輸送が飛躍的に進化していった時代である。ブライトリングナビタイマーが1952年、ロレックスGMTマスターは1957年に登場している。そんな中で1959年にパテック フィリップはルイ・コティエ氏が開発した現在トラベルタイムと呼んでいる画期的な2ボタンによるローカル時針のアップダウンシステムを備えたモデルを発表している。下画像:Réf.2597(左1959,右1962)
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個人的想像だがジェット旅客機による航空新時代の到来にふさわしい全く新しいトラベルウオッチを模索していたのがパテックの1950年代後半だったのではないだろうか。そして1969年初代セイコーアストロンで始まるクォーツショックによる約20年間のスイス機械式時計暗黒時代。ようやく1990年頃からの機械式復活期を経て40数年ぶりに2000年にワールドタイム現代版は復刻される。ロンドンとパリには温度差!ではなくて1時間の時差が生じている。画像が荒くてつぶれているが文字盤センターには複雑で美しい格子状のギョーシェが刻まれている。デザイン的には1900年代半ばのオールドワールドタイムに似るがトラベルタイム機構を転用した短針、シティディスクと24時間リングの3者を10時位置のプッシュボタンで連動操作する画期的なシステムを備えるように進化している。詳しくは過去記事を参照。
※画像はPATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE Vol.Ⅲ No.01よりRef.5110 PT,YG
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人気を博したRef.5110は2006年にエンジンはそのままに時代の要請?から2.5mmのサイズアップを受けRef.5130へとマイナーチェンジされる。外観上の違いはダイアルのギョーシェが放射状の力強いものになり、時針はアップルハンドに分針はドーフィンハンドになった。サイズが大きくなってシティデスクの表示にはユッタリ感が出た。※下画像
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そして今年、現代版ワールドタイムとしては第3世代となるRef.5230が発表された。ムーブメントは初代からずっと同じCal.240 HUである。ケースデザインは大きく変更され1940年~50年代に流行したウイングレット(小翼)ラグ(前述の左右にリューズのあるModèle2523参照)を控えめに備え、ベゼルはそれまでの丸味を帯びたものから平面的でエッジの効いた形状となった。さらに好みの分かれるところだがリューズガードが廃止された。ケース径とラグ巾ともに1mm絞られ厚みは逆に0.63mm増して筋肉質で引き締まった印象になった。
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ダイアルセンターの手作業のギョーシェはパテック フィリップ ミュージアムの資料を参考に一新され同心円状に様々なサイズのリップ(波状)が大小交互に刻まれており複雑さでは過去一番である。
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下画像ではWGが少し白っぽく写ってしまったが、どう見てもWGとRGでセンターギョーシェも含めてインデックスを除く文字盤ベースは全く共通だ。その為にWGモデルはグレイッシュなギョーシェ部に針とインデックスの色目が同化しやすく視認性に少し難がある。時針は非常に特殊な形状だがパテック特有の穴開き針(Pierced hour hand:ピアス針)と紹介されている。分針は第1世代Ref.5110の物にほぼ先祖返りした印象だ。
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Ref.5230G-001、5230R-001
ケース径:38.5mm ケース厚:10.23mm 
ラグ×美錠幅:20×16mm 防水:3気圧
ケースバリエーション:WG,RG,

文字盤:チャコールグレーラッカー、ハンドギョーシェ ゴールド植字インデックス
ストラップ:シャイニー(艶有り)アリゲーター ブラック(WG)/チョコレートブラウン(RG)
価格:税別 5,190,000円(税込 5,605,200円)2016年11月現在

キャリバー名Cal.240 HU末尾のHUはHeures Universelles(仏:時間 世界)の頭文字だ。ちなみにパテック社のHP内には用語解説ページがあって時々御厄介になっている。1977年開発の極薄型自動巻キャリバー240(厚さ2.53mm)にワールドタイムモジュールを組み込んだ240 HUは3.88mm。これは厚み的には永久カレンダーキャリバーの240 Qと全く同寸である。たった1.35mmの各モジュールに地球やら100年やらが封じ込められている。
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Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

PATEK PHILIPPE GENEVE(M.HUBER & A. BANBERY)P.238、242、243

PATEK PHILIPPE 公式ページ

2016年11月29日現在
5230G-001 ご予約対応となっております。
5230R-001 ご予約対応となっております。

(パテック フィリップ在庫管理担当 岡田)

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パテック フィリップを代表する複雑機能は何か?これが多すぎて絞りようが無い。無理やり選べばミニット・リピーターと永久カレンダーが代表なんだろうが、今回のワールドタイムもどうしてどうして相当な物であり侮れない。もちろんクロノグラフも・・やっぱり全部か!

ジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏開発による時分針リューズと24時間ディスクの連動操作システムを搭載して1930年代後半には製造が開始されたワールドタイム。都市名(シティ)ディスクについては、当初のグリニッジ標準時固定タイプから始まって、手動で回す回転ベゼル式に移行。さらに1950年代には9時位置に設けた第2リューズでシティディスクをインナーベゼルとして回転操作するように進化した。と、ここまでの記載は多々あるが、話はいきなり1999年の特許取得にジャンプする。この50年代後半から2000年までの40年間、ワールドタイムはまるで冬眠状態。画像も記述も何にも出てこない。ただ当時の初期型ワールドタイムのアンティークピース人気は凄いようだ。何度も腕時計オークションのレコードを書き換えている。
中断の歴史は追々探すとして、2000年発表の新生ワールドタイム5110の画期的な特許技術をPP公式HPより拾って整理してみた。
ワールドタイムの技術革新は3段階。まずホップとして前述のようにルイ・コティエ(1894-1966)の1930年代の発明(時分針リューズと24時間ディスクの連動操作システム)、次のステップが1959年にコティエがパテックの為に開発した特許(9時側の上下2つのプッシャーによって分秒針に影響を与えずに時針のみを12ステップで回転)、さらにジャンプは40年後パテック技術陣がなしとげた1999年の凄い特許(たった一つのプッシャー操作で同時に時針、シティディスク、24時間ディスク、これら全ての表示変更を分秒針に影響を与えることなく12ステップ回転で実現)

で、実際にこのシステムを実機で見てみる。画像左側の東京は17時32分で、シティディスク上のTOKYOが12時位置にある。その真下の24時間ディスクは17時半ごろであって、決して5時半で無いとわかる。ちなみにシティディスク7時ごろにあるLONDONの24時間ディスクは8時半ごろなので、現地は午前8時32分と読める。(なぜロンドン?単純にラグビーWC感激のなせるところ・・)
11時位置のプッシャー操作でロンドン仕様に変更。ワンプッシュで時針は1時間進み、同時にシティディスクと24時間ディスクは1時間反時計に回るので、これを15回繰り返すと右側の状態になってシティディスクの12時はLONDONになり、真下の24時間ディスクは8時半ごろ、時分針は8時32分。
ロンドンは東京より9時間遅れなので時針を9時間分を反時計に回転させたいが、時計回り一方向に進むプッシャーひとつきりなので15時間進めて結果(24ー15=)9時間分の時差を作った事となる。コティエの1959年特許の応用で2ボタン化して両方向へのステップ回転、さらにカレンダー搭載と出来そうだが・・何も考えずにひたすら押してシティディスクの目的都市を12時に合わせるだけというシンプルな使い勝手を優先させたのだろう。やはりパテックはコンプリケーションカテゴリーではどこまでも実用性重視のようだ。
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ちなみにサマータイムはどうするか。画像左は先程の朝8時32分ロンドンである。ごく普通にリューズ操作で時計を1時間進めると24時間ディスクのみ連動して1時間反時計回りに回転し、シティディスクのLONDONの真下が9時半ごろに変更される。ただしサマータイムの無い東京は1時間進んだ18時半ごろと表示される。これだけは仕方がない。
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さて現行の5130は2006年に5110からサイズ等のマイナーチェンジを受けたものである。個人的には文字盤に情報がテンコ盛りなので2.5mmのサイズアップは歓迎だし、1930年代のオリジナルに似た地球イメージの時針になって格段に視認性が良くなったと思う。ベースキャリバーが極薄型自動巻240なので、ケース厚9.6mmとパテックらしい薄さも際立つ。サファイアクリスタルのケースバックはスナッチ(こじ開け)ではなくスクリュー(ねじ込み)だ。この開閉仕様の使い分け基準が、いまだに良くわからない。
_DSC6693.jpg昨年発表された175周年記念限定モデルにはワールドタイムが2型あって、その合計製造数は1,750個となっている。結構な数を来年1月末までに製造納品と聞いている。ベースムーブメントはレギュラーモデルと同じ240 HUなので今年は極端に定番ワールドタイムの入荷が悪い。同様のことは1,600個の限定クロノグラフモデルに投入されるキャリバーCH28-520 Cで割を食う定番自動巻クロノグラフモデルにもいえるのだが・・

Ref.5130J-001
ケース径:39.5mm ケース厚:9.6mm ラグ×美錠幅:21×16mm 
防水:3気圧
ケースバリエーション:YGの他にPT,RG,WG 
文字盤:ギヨーシェ シルバーリィ サンバースト ゴールド植字インデックス
ストラップ:マット(艶無)チョコレートアリゲーター
価格:税別 4,740,000円(税込 5,119,200円)2015年7月現在

Caliber 240 HU

直径:27.5mm 厚み:3.88mm 部品点数:239個 石数:33個 
パワーリザーブ:最低48時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax®(Silinvar®製)
振動数:21,600振動 
ローター:22金マイクロローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、スピロマックス等のパテック フィリップの革新的素材についてはコチラから

税別 4,740,000円(税込 5,119,200円)2015年7月現在
税別 4,600,000円(税込 4,968,000円)2016年11月改定(流通残在庫)

PATEK PHILIPPE 公式ページ

2016年2月19日現在
5130J-001 完売しました。5130全素材2016年生産中止決定、手配困難ですがお問合せ下さい。




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