パテック フィリップに夢中

パテック フィリップ正規取扱店「カサブランカ奈良」のブランド紹介ブログ

Twenty~4® 一覧

すっかり秋だ。コロナ禍は依然として終息の行方が見えないが、季節は律義に粛々と巡って来る。時には終わりという事が無さそうだ。しかし我々の廻りには終わりの或るものが圧倒的に多い。人の人生はその最たるものだろう。そして形あるもの"時計"にも生産終了が遅かれ早かれやってくる。特にパテックの場合には人気の度合いに関わりなく、突然それはやってくる。特にここ数年で顕著な気がする。印象深いメンズのディスコンモデルは、カラトラバのド定番であった手巻Ref.5119、自動巻Ref.5296。レディスではトゥエンティフォーとノーチラス、アクアノートのクォーツモデルがゴッソリお蔵入りになった。中でもトゥエンティフォーシリーズの1999年デビューモデルにして超ロングセラーのレクタングル(縦長の長方形)にしてマンシェット(腕帯)型のRef.4910系は年を追うごとに人気が高まりパテックのレディスモデルの顔となっていた。飽きの来ないデザインに使い勝手の良いクォーツでSS製ならお手頃価格で圧倒的な支持を得たベストセラーだった。現在メンズモデルにクォーツは一切無い。高級にして恒久なタイムピースは機械式であるべし!の傾向は1990年代後半からずっと続いている。そしてこの10年程でレディスにもそのトレンドは浸透しつつある。パテックはその先陣を切るが如く、レディスのメカニカル化を一気呵成に進めたブランドである。2018年秋にイタリアで発表されたラウンドシェイプのトゥエンティフォー・オートマチックRef.7300。同シリーズ初のオートマチックは大ぶりな36mm径と視認性抜群のアラビアインデックス、センター秒針に窓表示のカレンダー・・とどこまでも実用性が追求されている。
まるで魔女狩りの様な"クォーツ排除"、何処まで行くのだろうと、個人的には少しやり過ぎ感を抱いていた。と思っていたら、まさかの文字盤アレンジ2色での復活モデルとして先日ラインナップに帰ってきた。
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文字盤以外のケースとブレス等は全く仕様変更無し。と思っていたら検品担当から間違い探しの様なリューズの違いを指摘された。旧タイプではブラック・オニキスのカボションがセットされた丸味の有るエレガントなリューズだった。新タイプではソリッドでごく実用的な普通のリューズになっていてメカニカルっぽく見えなくもない。文字盤も同様で12時、6時のインデックスがローマ数字から丸形オートマティックで採用されたアラビア数字となり、その他のインデックスはダイヤから《トラペーズ》と呼ばれる台形の植字インデックスとなっている。素材は時分針も含め18金WG製で夜光塗料スーパールミノバがしっかりと塗られていて昼夜共に読み取り易くトゥエンティフォーの名にふさわしい。
文字盤カラーは画像のグレー・ソレイユ、ブラック・グラデーションとブルー・ソレイユの2色があり、いづれもラウンドのステンレスモデル2型と同じカラー構成となっている。尚、公式HPのカタログ画像のグレー・ソレイユ・・の色目はラウンドと今回のクォーツで全く別色に見えるが同色で、クォーツ画像の色目が現物に近い。
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トゥエンティフォーの全てのブレスレットに共通するとても有用な仕様が通称"1.5駒"と言われる2駒のデフォルトでの採用だ。ブレス中央のカラトラバ十字駒両側がその駒。厳密には1.2倍程度の長さなので見た目の違和感はあまりない。言われなければ気付かないかもしれない。しかしその2駒によるブレス調節能力は非常に高く、あらゆる腕廻りにアジャスト可能である。この便利な駒がなぜかノーチラスやアクアノートのブレスレットには組み込まれていない。必要に応じて有料で別途手配となってしまう。経験的に3人に一人は調整駒が必要な気がするのに・・

ところでこの時計は入荷時にリューズが引かれている。要は針が止まって運針していない。埃の混入しない真空パック状態でスイスの工場から販売店に届けられるパテックならではの配慮で、かなりの電池消耗を防げる。過去国産・輸入を問わず他ブランドのクォーツ時計では見当たらない。
10月1日に久々に価格改定を実施したパテック。今回紹介のモデルは旧タイプからの値上がり幅が結構大きかったが、それでも100万円台半ばで購入可能なパテックの時計は男女を通じてこのモデルのみであり、この復活は本当に大きい。
異例尽くしの今年の新製品。婦人用はパイロット・トラベルタイムの素材違いWG製Ref.7234Gが追加されたし、今回はクォーツ トゥエンティフォーが復活したりと実に手堅くビジネスに速結する歓迎すべき中身だ。対して紳士用はお客様を絞るのに悩ましい限定モデルRef.6007Aや、超絶に近いグランド・コンプリケーション3モデルと普通の新作がまだ無い状態だ。パテックの年度末である1月末までもう3ヶ月しかない。ヨーロッパは新型コロナ感染状況が現在も非常に悪く商売の行方も不透明だが、せめて1型ぐらい"売り易く、買い易い"メンズニューモデル出て来んかい!!

Ref.4910/1200A-010
ケース径:25.1 x 30 mm ケース厚:6.8mm 防水:30m
ケースにダイヤモンドをセッティ ング(36個 約0.42カラット)     
ケースバリエーション:SS(別文字盤有) 
文字盤:グレー・ソレイユ、ブラック・グラデーション 蓄光塗料付ゴールド植字インデックス 
価格:お問い合わせ下さい

Caliber E15
サイズ:25.1 × 30mm 厚み:1.8mm 
部品点数:57個 石数:6個
電池寿命:約3年

PATEK PHILIPPE INTERNATONAL MAGAZINE Vol.Ⅳ No.08
文責、撮影:乾 画像修正:藤本

メンズブランドの印象が強いパテック フィリップだが、近年はレディスウオッチの存在感が徐々に増している。昨年度のスイスの出荷本数の男女比率が約70対30%と聞いた記憶が有る。最新の2019カタログへの掲載モデル数(時計のみ)では97対66本で約40%がレディスだ。グランドコンプリケーションには2モデルしかレディスが無いので、グラコンを除いたラインナップでの男女比率は65対64本となって半々になっている。
昨年、パテックの現行ラインナップには存在しなかったペアウオッチが新規に提案された。カラトラバ ・パイロット・トラベルタイムのローズゴールドモデル(5524R7234R)である。2015年度迄はクルドパリベゼル装飾が特徴的な7119と言うカラトラバのレディスモデルがあった。このモデルには全く同デザインのメンズで5119(2019年2月生産中止発表)が有り、シンプルかつベーシックな非常に好ましいペアウオッチがあったが残念な事に消滅してしまった。
何となくペアになりそうな時計はノーチラスやアクアノートに存在するが文字盤が異なったり、ケースやストラップが異なったりで"なんちゃってペア"と呼んだ方が良さそうだ。どうもパテックはメンズとレディスに求められる時計デザインは異なるという考えを持っている様だ。ただサイズの大小だけで対応するという考え方を避けている様に思う。
その最たる現象がレディスだけのシリーズが存在している事だ。1999年に登場した『Twenty~4』は一見全く新しいデザインに見えるが、明らかにレクタングラ―(縦長長方形)ウオッチであるゴンドーロの遺伝子を引いている。これはケースのみならずブレスレットにもその特徴が取り込まれている。同シリーズはデビュー以来ハイジュエリーを含む様々なモデルが生産されてきた。その殆どがクォーツムーブを搭載したが、一部手巻きの機械式モデルも存在した。現在は随分整理されステンレスとローズゴールド各4型がラインナップされている。ステンレスモデルはクォーツゆえの魅力的な価格と安定的な供給が相まってロングセラーかつベストセラーモデルである。
誕生から20周年を迎えたTwenty~4に自動巻の基幹エンジンCal.324 S Cを搭載したラウンドシェイプのニューモデルが加わった。昨年秋にミラノで大々的に発表され、一部の店舗で先行販売されていたが先日から当店でも取り扱いがスタートしている。_DSC9627.png

ケース径36mmは最新のサイズトレンドを反映し実に見やすい。ダイアルデザインは従来の長方形の第一世代とは大きく異なる。視認性抜群のアラビアインデックスは前述の唯一のぺアウオッチであるパイロット・トラベルタイムの字体から想起されている。縁取りされた見やすいカレンダーもこれまでは備わっていなかった。従来は良くも悪くもアバウトだった分(ミニット)の読み取りも分専用インデックスによって容易になった。何よりメカニカルな秒針の動きがこの時計の実用性を決定づけている。此処まで視認性を高めた女性専用時計はブランドを問わず大変珍しい。
第一世代のTwenty~4の広告は少しセクシーなイメージで女性特有の魅力を打ち出していたように思う。新しいTwenty~4 Automaticの訴求ではそんなテイストは微塵も無く、キャリアや完全に自立した大人の女性としての打ち出し方になっている。日本でも徐々に企業での女性管理職や役員が増えつつあるが、欧米ではこの20年間でそこが激変したのだろうなと思わせられる。第一世代のTwenty~4はプレゼントされるケースも多い時計だけれど、新しいTwenty~4 Automaticはステンレスモデルでも結構な価格ながら女性が自分自身で購入する時計なのだろう。
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バックル部分は少し改良されて完全な左右対称の両観音方式となり、リリースも両側から同時にプッシュ(青い保護シール部分)する最新方式に改められた。ティエリー・スターン社長が従来のデザイン継続に強く拘ったブレスレットは、この時計で一番美しい部分かもしれない。※左側の赤い部分は保護シール
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後ろ姿からは太いラグが特徴的な頑丈そうなケース構造が見て取れる。日常生活防水の時計には見えない安心感が漂う。画像下部でケースが少し段付きで凹んでいる部分が有る。どうやらスナップ形式の裏蓋を開封する為のスリットの様だ。これは中々見た事の無い珍しい細工である。個人的にはいっそのこと裏蓋は捻じ込みにして防水性能を高めてより実用性を獲得しても良かったのではないかと思う。この時計はベゼルのダイア装飾が無ければ本当にジェンダーレスだと思う。事実、数日前に来られた新規の男性のお客様は、最初は真剣に自分用として見ておられた。
恐らくパテック フィリップの中でメンズも含めて、最高に読み取りに優れる最強装備品的なレディスウォッチであろう。素材違いのステンレスタイプや、ラグやブレスレットにもダイア装飾されたモデル、フルパヴェと呼ばれるダイアモンドテンコ盛りのゴージャスな物まで多様なラインナップがいきなり揃って居る。詳しくはHP等でご覧頂きたい。

Ref.7300/1200R-001
ケース径:36mm ケース厚:10.05mm 防水:30m
ダイヤ付ベゼル(160個 約0.77カラット)     
ケースバリエーション:RG(別文字盤有)、SS(別文字盤有) 
文字盤:ブラウン・ソレイユ 蓄光塗料付ゴールド植字アラビアインデックス 
価格:お問い合わせ下さい

Caliber 324 S C
直径:27mm 厚み:3.3mm 部品点数:213個 石数:29個
パワーリザーブ:最低35時間~最大45時間
テンプ:ジャイロマックス 髭ゼンマイ:Spiromax(Silinvar製)
振動数:28,800振動
ローター:21金ローター反時計廻り片方向巻上(裏蓋側より)
尚、ムーブについての過去記事はコチラから

PATEK PHILIPPE 公式ページ

参考資料:PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE Vol.Ⅳ No.7
文責 撮影:乾

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